説明

ケーブルマーキング装置のサーマルヘッド

【課題】ケーブルマーキング装置のサーマルヘッドが非常にコンパクトに構成され、作業スペースが狭く、既に敷設されたケーブルにも容易にマーキング作業を行うことができ、さらに、従来のサーマルヘッドに比べて少ない押圧力で確実に熱転写することのできるケーブルマーキング装置のサーマルヘッドを提供する。
【解決手段】サーマルヘッド10は、発熱素子Cと接続するためのホルダー11と、マーキングシートBをケーブルAに押圧して熱転写するためのローラー部16によって構成されている。 ローラー部16は、ローラー17と、ローラー17に形成された軸穴20に回動可能に挿入されたローラー軸21と、ローラー軸21に形成されたねじ穴22にねじ止めされホルダー11の軸受14に固定するための固定ねじ23から構成され、ホルダー11に延設された保持部12に軸支されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル表面に識別情報等を熱転写するためのケーブルマーキング装置に用いられるサーマルヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、敷設するケーブルの識別を容易にするために、様々な手段が採られている。例えば、ケーブルの両端(ロードセンター盤の開閉器の2次側と負荷先の分電盤の主管開閉器部の1次側など)にシールや名札等を取り付けるといった手法が採られている。
【0003】
しかし、この技術では、ケーブルの本数が多くなると使用用途の判別が出来ないため、仮に敷設するケーブルに一定間隔で名札等を取り付けようとすると、その作業が極めて煩雑になり、また、ケーブルを何本も敷設すると、ケーブル同士が擦れることにより、名札等が剥がれ落ちてしまうという問題が生じていた。
【0004】
そこで、この問題を解決するために、インクジェット方式による印刷装置を用いて、ケーブル表面にケーブルの識別情報を印字するという技術が用いられている。例えば、特許文献1に開示されているケーブル敷設情報印字装置は、ケーブル導入部、印字部、速度検出部及びケーブル送り部が架台のプラットフォーム上にシリーズに配設されており、さらにケーブル送り部を構成するボール延線機により、ケーブルがプリンタヘッド上を走行移動するようになっている。
【0005】
続いて、このケーブルの走行速度が速度検出部のエンコーダで検出され、パソコンがエンコーダの出力に基づいて、ケーブルの走行距離を演算処理し、所定の走行距離毎にインクジェットプリンタに敷設情報及び印字指令を出力する構成になっている。その結果、敷設情報が、プリンタヘッドを介してケーブルの表面に所定ピッチで印字されるようになっている。そして、この技術によると、現場にて敷設情報のリストに基づいて、ケーブル毎に敷設情報を簡易に印字できるとされている。
【0006】
また、その他、レーザー方式による印刷装置を用いて、ケーブル表面にケーブルの識別情報を印字するという技術も用いられている。例えば、特許文献2に開示されているケーブル敷設方法およびケーブル番号印字装置は、ケーブルをドラムから引き出して敷設する過程に、ケーブル長さを計測する装置と、ケーブル番号を印字する装置を設置し、敷設ケーブル毎に予め計画されたケーブル番号を計算機に記憶させておき、ドラムから引き出すケーブルの所定長さ毎にレーザー方式でケーブル番号を印字するもので、ケーブルの黒色と識別の容易な発色剤を塗布する手段を持たせている。
【0007】
この技術によると、敷設ケーブルのうち、どの部分を見てもケーブルを特定することができ、年数を経たプラントのケーブル保守作業に際し、ケーブル調査費や人件費、また、ケーブル番号カードの貼付作業や、ケーブル番号札を紐で取り付けるといったような作業が省略できるようになり、さらに、作業中にケーブルの一定の長さを見れば、ケーブル番号を認識することができるようになるので、作業性が向上するという効果が生じ、また、ケーブル番号が、レーザーにより印字されるので、作業中に消えることもなく、切断後も連続して作業することが可能となるとされている。
【0008】
その他、一般的な技術として、種々の媒体表面にホットスタンプ装置を用いて、識別情報を印字(マーキング)するという方法が採られていることが知られている。つまり、予めホットスタンプ装置にセットしておいた文字等(識別情報)の刻印盤(金属製やゴム製)からなるスタンプ手段を、ホットスタンプテープ(PETフィルムの上に印刷用のフィルム層を積層させたもの)を介在させた状態で、媒体表面に押圧し、当該媒体表面に識別情報を印字(マーキング)するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−99706号公報
【特許文献2】特開2000−69639公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の技術は、確かに、作業性の向上や、印字された識別情報の劣化に強いとされてはいるが、それぞれ欠点があることが分かっている。即ち、インクジェット方式の印刷装置によると、ケーブル表面に印字された識別情報が硬化するまでにかなりの時間を要してしまうため、その硬化前にケーブル同士が擦れてしまうと、ケーブル表面の識別情報が、消失してしまうという可能性が極めて高いということである。
【0011】
また、レーザー方式の印刷装置によると、レーザーの出力制御を必要とするため、その設定を間違えると、ケーブルの表面のみならず、ケーブルの芯線まで焼いてしまう可能性が高く、さらに、ケーブルの太さが異なる場合や、ケーブルのセッティングが悪いと、レーザーがケーブルの芯に達してしまうおそれがある。そして、インクジェット方式及びレーザー方式の印刷装置は、その機械構成の複雑さゆえに、印刷装置自体のサイズが、極めて大きくなってしまい、可搬性に欠けるという、現場作業における決定的な欠陥があることが分かっている。
【0012】
また、従来からあるホットスタンプ装置を用いてケーブル表面に識別情報を印字しようとした場合は、通常、刻印盤とケーブル表面とが点接触となってしまい、印字する識別情報が欠けてしまうという問題が生じる。また、識別情報の欠落を防止するためには、刻印盤をケーブル表面に強く押圧させなくてはならないため、ケーブル自体を損傷させてしまうという問題もある。
【0013】
ここで、これら識別情報の欠落問題を解決するためには、刻印盤をケーブル表面の曲面に沿った形状にしなければならず、さらに、曲面形状が異なる複数ケーブルについて印字する場合は、それぞれの形状に沿った刻印盤を予め用意していなければならず、また、必要な文字等に該当する刻印盤をその都度交換しなくてはならないため、煩雑を極めることは容易に想像でき、そして、製造や作業コストも極めて高くなることが明白である。
【0014】
また、一般的にホットスタンプ装置は、その刻印盤を加熱するための温度を非常に高く設定しなければならず(刻印盤を高温(通常200℃程度)にしなければ、媒体への印字性能が悪くなってしまう。)、例えば現場で印字作業をする場合、作業員に危険が伴ってしまうという欠点が挙げられている(つまり、現場での作業に不向きということである。)。
【0015】
これに対して、本出願人は、図7のように、従来の印刷装置及び印刷方法の欠点を改良したもので、熱転写による識別情報のマーキングをケーブルのドラムからの延線作業中に一定間隔毎に行え、可搬性に極めて優れると同時に、作業が簡便となるケーブルマーキング装置を考案した。
【0016】
ところが、図7のケーブルマーキング装置は、新規にケーブルを敷設する際のマーキングに関しては一定間隔毎に素早く安定的に安全にマーキングすることに優れているが、既に敷設されたケーブルにマーキングしたり、曲がったケーブルにマーキングすることは装置の設置スペースの確保や、熱転写をするためのサーマルヘッドの可動位置が固定されているため使用が困難であった。
【0017】
本発明は、上記のケーブルマーキング装置の欠点を改良したもので、サーマルヘッドが非常にコンパクトに構成され、作業スペースが狭く、既に敷設されたケーブルにも容易にマーキング作業を行うことができ、さらに、従来のサーマルヘッドに比べて少ない押圧力で確実に熱転写することのできるケーブルマーキング装置のサーマルヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、ケーブルに応じたケーブル識別情報が予め印刷されたマーキングシートを前記ケーブル表面に配置し、発熱素子によって所定の温度に加熱されたサーマルヘッドを前記マーキングシート表面に押圧することで前記ケーブルに前記ケーブル識別情報を熱転写させるケーブルマーキング装置において、前記サーマルヘッドは、ケーブルの表面形状に対応した横断面形状が円弧形状のローラーと、前記ローラーを保持する保持部を有するホルダーとを具備し、前記発熱素子によって加熱された前記ローラーが前記ケーブル表面に配置された前記マーキングシート表面を線接触で押圧しながら回動することで、前記ケーブルに前記ケーブル識別情報が熱転写されることを特徴としたケーブルマーキング装置のサーマルヘッドである。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッドであって、前記ローラーに、該ローラーの横断面円弧形状となっている面に沿った形状の熱伝導性シリコーンゴムが設けられていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッドであって、前記ローラーが前記ホルダーに着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【0021】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1から3いずれか1項記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッドであって、前記保持部が前記ホルダーから所定の角度を有して延設されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサーマルヘッドを用いたケーブルマーキング装置によると、予めケーブルの識別情報を印刷したマーキングシートを用いて、ケーブル表面にマーキングすることができるため、従来のホットスタンプ装置やマーキング方法のように刻印盤を用いる必要がなくなり、その結果、マーキングに要する温度を低く設定することが可能となる(従来は、200℃程度必要であるところを本発明の技術によると160℃〜170℃の温度で足りることが分かっている。)。また、この範囲の温度によって熱転写を行うので、熱転写した識別情報が瞬時に硬化し、擦れに強いマーキングが可能となる。
【0023】
そして、予めケーブルの識別情報を印刷したマーキングシートを用いことができるため、従来の刻印盤を用いるホットスタンプ装置に比べ、文字や情報、色彩、漫画等々、様々なマーキングに容易に対応することが可能となり(特に、従来のホットスタンプ装置では、ホットスタンプ箔が1つの色でしかないので、種々の色を混在させてマーキングすることは困難であり、さらに、漫画等の絵図をマーキングすることも困難である。)、コストも大幅に抑えることが可能となる。
【0024】
また、従来のインクジェット方式やレーザー方式に比べ、マーキング性能を格段に良くすることができる(マーキングした識別情報の劣化や消失が極めて少ない。)。さらに、インクジェット方式やレーザー方式に比べ、その装置を小さくすることができるため、可搬性に優れ、現場でのマーキング作業を極めて容易なものにすることが可能となる。
【0025】
また、本発明のケーブルマーキング装置のサーマルヘッドによると、従来のヘッドのように板状であるとマーキングシート全体を覆う面積が必要となるが、本発明のローラー形状のサーマルヘッドでは前記ケーブルの表面に配置された前記マーキングシートの表面を線接触で押圧しながら回動し、前記ケーブル識別情報が熱転写されるので、非常に軽量コンパクトに構成することができ片手での保持操作も可能としている。またローラーが回動するということは1度に押圧するシートの長さに制限が無いので印刷情報の自由度を増すことができる。
【0026】
またさらに、ローラーの横断面形状が円弧形状となっているため、従来のホットスタンプ装置に用いられている刻印盤では非常に困難であった曲面へのマーキングを容易なものとすることができるようになっている。
【0027】
さらに、サーマルヘッドはローラーによる線接触でマーキングシートを押圧するため、従来の面接触による押圧に比べより確実な押圧力で熱転写することができるのでより密着性が高くなるという利点もある。
【0028】
また、請求項2記載の発明によれば、サーマルヘッドのローラーが、ケーブルを押圧する面に熱伝導性シリコーンゴムを設けているため、ケーブルへの密着性が向上するとともに、ケーブルの損傷を防止することができる。
【0029】
また、請求項3記載の発明によれば、サーマルヘッドのローラーがホルダーに着脱可能に設けられているため、ローラーが劣化しても容易に交換することができる。また、ケーブルの表面形状に応じて、横断面形状の異なるローラに交換することもできるので、様々な形状、太さのケーブルにマーキングすることができる。
【0030】
また、請求項4記載の発明によれば、サーマルヘッドのローラー保持部がホルダーから所定の角度(好ましくは45度)を有して延設されているので、作業者が押圧位置を確認しやすい。さらに、作業者が押圧力を掛けやすいので作業負担を軽減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るケーブルマーキング装置のサーマルヘッドの実施形態を示した図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は平面図、(e)は斜視図である。
【図2】本発明に係るサーマルヘッドのホルダーを示した図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は平面図である。
【図3】本発明に係るサーマルヘッドのローラー部の横断面図である。
【図4】本発明に係るサーマルヘッドのローラーを示した図で、(a)は横断面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明に係るサーマルヘッドのローラーを軸支する軸を示した図で、(a)は横断面図、(b)は側面図である。
【図6】本発明に係るサーマルヘッドの使用状態の一例を示した図である。
【図7】従来例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るケーブルマーキング装置のサーマルヘッドの一実施形態を示した図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は背面図、(d)は平面図、(e)は斜視図を表している。
【0033】
本実施例におけるサーマルヘッド10は、図1に示すように、発熱素子Cと接続するためのホルダー11と、マーキングシートBをケーブルAに押圧して熱転写するためのローラー部16によって構成されている。
ローラー部16は、ホルダー11に延設された保持部12に軸支されている。
サーマルヘッド10のうち特にローラー部16が発熱素子Cによって所定の温度まで加熱され、ケーブルAの表面に配置されたマーキングシートB上面をローラー部16が押圧しながら回動することによって、マーキングシートBに印刷された識別情報をケーブルAに熱転写することができる。ローラー部16の押圧面は横断面形状が円弧形状となっていてケーブルAに密着しやすく押圧力を高めることができるので、より安定して熱転写することができる。
サーマルヘッド10の材質は熱伝導性が良好で、切削等の加工性の良い真鍮を使用しているが、これに限らずアルミ製など熱伝導性及び加工性が良く耐久性も高い材質を使用することが好ましい。
【0034】
次に、本実施例におけるサーマルヘッド10の構成を図2〜図5を参照して説明する。ホルダー11は、図2に示すように、発熱素子Cを把持するためのホルダー11と、ホルダー11から延設された保持部12から構成されている。保持部12には切り欠き13が設けられており、切り欠き13には、ローラー部16を軸支するための軸受14が設けられている。また、ホルダー11には発熱素子Cの外形に密着して把持する形状の発熱素子把持部15が設けられている。
【0035】
本実施例ではホルダー11の一部が分割され、発熱素子Cを挟み込んでねじ止めすることによって把持する構造となっている。その他、発熱素子Cの熱を効率的に伝達できるように把持する構造であればこれに限らず、例えば、発熱素子C自体に雄ねじを形成し、発熱素子把持部15にこれに対応する雌ねじ穴を形成して発熱素子Cをねじ込むことにより把持する構造でも良い。
【0036】
保持部12はホルダー11より所定の角度αを有して延設されており、角度αは好ましくは30°〜90°、より好ましくは45°に設定すると作業者が押圧位置を確認しやすい。また、作業者が押圧力を掛けやすいので作業負担を軽減することもできる。
【0037】
また、保持部12には切り欠き13を設けることによって、ローラー部16を容易に着脱可能にしている。これによって、ローラー部16が劣化したり、押圧面の円弧形状を変更するための交換作業を非常に簡便に行うことができる。
【0038】
次に、ローラー部16は、図3の横断面図のように、ローラー17と、ローラー17に形成された軸穴20に挿入されたローラー軸21と、ローラー軸21に形成されたねじ穴22にねじ止めされホルダー11の軸受14に固定するための固定ねじ23から構成されている。
【0039】
ローラー部16は、図1のように、ホルダー11の保持部12に設けられた切り欠き13から挿入し、軸受け14にローラー軸21を軸支し、固定ねじ23をねじ込むことによってその座面が軸受け14に係合されて軸は完全に固定される。
ローラー17はローラー軸21と固定されておらず回動自在に軸支されているので、ローラー17のみが回動することによって熱転写を行う構成となっている。
【0040】
ローラー部16は、ローラー17とローラー軸21が一体となった構造でホルダー11の保持部12に回動可能に軸支されていても良い。本実施例では、ローラー17とローラー軸21を別部材で構成することによって、ローラー17が劣化した場合や、押圧面の円弧形状を変更する際の交換する部材を少なくかつコンパクトにすることができるので、ランニングコストを削減することができる。
【0041】
ローラー17は、図4(a)のように、ケーブルAに押しつける押圧面18の横断面形状が円弧形状の筒状体となっている。押圧面18が円弧形状となっているので、ケーブルA外被に密着し押圧力を高めることができるので、より安定して熱転写することができる。
また、ローラー17の押圧面18表面を押圧面18と同様の円弧形状の熱伝導性シリコーンゴム19で覆うことにより、ケーブルA外被に微妙な凹凸があっても確実にローラー17を密着することができ、安定した熱転写をすることができる。
さらに、熱伝導性シリコーンゴム19の弾性により、ケーブル表面を傷つけることなく熱転写できるという利点もある。
【0042】
ローラー17には軸穴20が設けられており、この軸穴20に図5のローラー軸21が回動可能に挿通されることによってローラー17のみが回動する構造となっている。ローラー軸21の両端には雌ねじのねじ穴22が形成されており、このねじ穴22には固定ねじ23がねじ込まれる。
【0043】
次に、本発明に係るサーマルヘッド10の使用状態の一例を図6に示す。熱転写の作業手順としては、まず、サーマルヘッド10を発熱素子Cによって所定の温度に加熱しておく。発熱素子Cは通常電熱式の発熱部分と持ち手部分で構成されていて、本実施例のサーマルヘッド10では、ホルダー11の発熱素子把持部15が分割されて発熱素子Cを挟み込んで固定する形状となっている。このため、市販されている電熱式の半田コテ等も発熱素子として使用できるので、汎用性も非常に高く、サーマルヘッド10のみを携帯していればよいのでよりコンパクトとなる利点がある。
【0044】
マーキング作業は、第1に、ケーブルA表面の識別情報を熱転写させたい位置にマーキングシートBを配置する。マーキングシートBは作業者の一方の手で押えていても良いが、マーキングシートBの一部に粘着剤を塗布しておき、その部分をケーブルAに接着させてマーキングシートBを固定しても良い。
【0045】
第2に、サーマルヘッド10のローラー部16を固定されたマーキングシートB上を押圧しながら移動させる。ローラー部16の横断面形状が円弧形状なので、ケーブルAの表面にしっかりと密着し、より確実にマーキングすることができる。また、サーマルヘッド10は非常にコンパクトで、その上、保持部12が角度を有して延設されてローラー部16が設けられているので押圧箇所の確認がし易い。そのため、熱転写の状況を目視しながら、熱転写が完了するまでサーマルヘッド10を往復させればよいので、より確実に作業を行える。
【0046】
また、押圧部分はローラーが回転しながら押圧する構造のため線接触で押圧することになる。そのため面接触による押圧の場合に比べてより少ない押圧力で熱転写できるので作業者の負担を減らすことができる。
さらに、押圧部分が横断面円弧形状で線接触のため、図6のようにケーブルAが曲がっていても確実に押圧することができる。そのため、例えば、ケーブルがドラムに収納されている状態でも熱転写によるマーキングができるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、予めケーブルの識別情報を印刷したマーキングシートを用いてマーキング作業を行えるため、様々な識別情報をマーキングする必要がある場合に極めて好適である。また、サーマルヘッドが非常に軽量コンパクトに構成されているので、可搬性に優れ、ケーブルが曲がっていても容易にマーキングすることができ、さらに、既に敷設されたケーブルにも容易にマーキングすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
A ケーブル
B マーキングシート
C 発熱素子
10 サーマルヘッド
11 ホルダー
12 保持部
13 切り欠き
14 軸受
15 発熱素子把持部
16 ローラー部
17 ローラー
18 押圧面
19 熱伝導性シリコーンゴム
20 軸穴
21 ローラー軸
22 ねじ穴
23 固定ねじ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに応じたケーブル識別情報が予め印刷されたマーキングシートを前記ケーブル表面に配置し、発熱素子によって所定の温度に加熱されたサーマルヘッドを前記マーキングシート表面に押圧することで前記ケーブルに前記ケーブル識別情報を熱転写させるケーブルマーキング装置において、
前記サーマルヘッドは、
ケーブルの表面形状に対応した横断面形状が円弧形状のローラーと、
前記ローラーを保持する保持部を有するホルダーと、
を具備し、
前記発熱素子によって加熱された前記ローラーが前記ケーブル表面に配置された前記マーキングシート表面を線接触で押圧しながら回動することで、前記ケーブルに前記ケーブル識別情報が熱転写されることを特徴としたケーブルマーキング装置のサーマルヘッド。
【請求項2】
前記ローラーに、該ローラーの横断面円弧形状となっている面に沿った形状の熱伝導性シリコーンゴムが設けられていることを特徴とした請求項1に記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記ローラーが前記ホルダーに着脱可能に設けられていることを特徴とした請求項1又は2に記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッド。
【請求項4】
前記保持部が前記ホルダーから所定の角度を有して延設されてなることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブルマーキング装置のサーマルヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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