説明

ケーブルラックの縦方向への敷設工法及び当該工法に使用するケーブルラックの取付金具

【課題】構造体の最上階から地上階や地下階までケーブルラックを敷設する工法において、敷設作業の安全性、容易性、迅速性等を備えたケーブルラックの縦方向の敷設工法。
【解決手段】上下に隣接する各階の床1aの間隔と同じ長さのケーブルラック2を予め必要数用意し、当該各ケーブルラック2を床1aに設けたケーブルダクト開口穴3から下ろして、ケーブルラック2の上端を、前記ケーブルダクト開口穴3の相対向した辺の型枠3aに固定した取付金具4の下部に固定し、当該ケーブルラック2の下端を、上下に隣接する下の床1aに設けたケーブルダクト開口穴3の相対向した辺の型枠3aに固定した取付金具4の上部に固定し、この様にして、各階の床1aに設けたケーブルダクト開口穴3の相対向した辺の型枠3aに固定した取付金具4に各ケーブルラック2の上下端を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビルやタワー等の構造体の最上階等から地上階や地下階等まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックの縦方向への敷設工法及びその工法に使用するケーブルラックの取付金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやタワー等の構造体の最上階から地上階や地下階まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックを敷設している。このケーブルラックの敷設工法は、定形長の汎用ラック製品を取り付け場所に搬入し、その場で必要に応じてケーブルラックの長さ等を加工し、取り付け作業を実施していた。
【0003】
定形長のラックは建物(構造体)の梁やフロアの間隔と必ずしも一致しないため、上下のラック間を接続する垂直接続金具と、ラックのゆれ防止用に、梁やフロアにラックを固定する固定金具や装置の2種類の金具又は装置を用意し、それぞれ別に取り付け作業を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−223009号公報
【特許文献2】実用新案登録第3128062号公報
【特許文献3】実開平5−78123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の工法では、上下のラックどうしの接続と梁や床への取り付けに、2種類の金具や装置の取り付けを必要とし、取り付け作業の手間がかかる。また、上下のラックどうしの垂直接続が、梁や床の位置での接続作業とならず、床と床の中間の位置で接続する場合が多いため、別途足場や脚立を用意し、これらの上での不安定な作業となり、作業の手間が掛かると同時に安全面に不安があった。また、取り付け場所でのラックの加工作業を伴うこともあり、これも安全面での負の要因でもあり、当該加工の残材の処理も手間が掛かる。
【0006】
また、上下のラックどうしの垂直接続作業において、上下のラックを接続金具で隙間なく取り付けるため、作業精度を要し、作業者に一層の負担を掛けている。さらに、上述のように、上下のラックどうしを接続金具で隙間なく取り付けるため、構造体の縦方向の伸縮に対する対応に柔軟性がない等の欠点がある。しかも従来工法を、数百メートルの高長となる構造体での縦方向のラックの敷設においては、より一層の作業手間や危険性がある。また、タワーのような上方が先細形状になっている構造体では、タワー内の空間をより広く活用するため、タワーの内壁に沿ってケーブルラックを敷設することが求められている。
【0007】
そこで、この発明では、構造体の最上階等から地上階や地下階等まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックを敷設する工法において、迅速に上下のケーブルラックを接続すると同時にケーブルラックを構造体へ固定し、敷設作業の安全性、容易性、迅速性等を備えたケーブルラックの縦方向の敷設工法、及び当該工法に使用するケーブルラックの取付金具を提供することを目的としたものである。またさらに、タワーのような上方が先細形状の構造体において、タワー内壁に近づけてケーブルラックを敷設することができる敷設工法、及びケーブルラックの取付金具を提供することも目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、構造体の上部の階から下部の階まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックを敷設する工法において、上下に隣接する各階の床の間隔、梁に設けた上下に隣接する足場の間隔、又は上下に隣接する作業場の間隔のいずれかと略同じ長さのケーブルラックを予め必要数用意し、当該各ケーブルラックを床、足場又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴から下ろして、当該ケーブルラックの上端を、前記ケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具の下部に固定し、当該ケーブルラックの下端を、上下に隣接する下方の床、足場又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具の上部に固定し、この様にして、各階の床、梁に設けた足場、又は作業場の何れかのケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具に各ケーブルラックの上下端を固定する、ケーブルラックの縦方向の敷設工法とした。
【0009】
請求項2の発明は、前記取付金具の上部に、上方から垂下したケーブルラックの下端をボルト、ナットで固定するボルト貫通用長孔を設け、前記取付金具の下部に、下方に垂下するケーブルラックの上端をボルト、ナットで固定するボルト貫通用孔を設けた、請求項1に記載のケーブルラックの縦方向の敷設工法とした。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の敷設工法に使用する取付金具が、チャネル鋼から成る接続板を垂直に設け、当該接続板の背面下端から略直角に伸びた当接板を設け、これらの接続板と当接版とを繋ぐ補強板を設け、前記接続板の上部に、ボルト貫通用長孔を設け、下部にボルト貫通用孔を設け、前記当接板は床、足場又は作業場のいずれかに載せて固定し、前記接続板の上部に、上から垂下したケーブルラックの下端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔にボルトを通して止め、前記接続板の下部に、下方に垂下したケーブルラックの上端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔にボルトを通して止める構成である、ケーブルラックの取付金具とした。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記構造体が上方へ行くにつれて先細形状である構造体において、前記取付金具には二つのチャネル鋼が平行して垂直に並んだ接続板を設け、一方のチャネル鋼には上から垂下したケーブルラックを固定し、他方のチャネル鋼には、下方に垂下したケーブルラックを固定することにより、前記各階の床、梁に設けた足場、又は作業場のいずれかで、上方のケーブルラックに対して下方のケーブルラックを外側にずれて固定することにより、常に構造体の内側にケーブルラックを近づけて敷設する、請求項1又は2に記載のケーブルラックの縦方向の敷設工法とした。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4の敷設工法に使用する取付金具が、二つのチャネル鋼が平行して垂直に並んだ接続板を設け、当該接続板の背面下端から略直角に伸びた当接板を設け、これらの接続板と当接板とを繋ぐ補強板を設け、これらの一方のチャネル鋼の上部に、ボルト貫通用長孔を設け、他方のチャネル鋼の下部にボルト貫通用孔を設け、前記当接板は床、足場又は作業場のいずれかに載せて固定し、前記接続板の一方のチャネル鋼の上部に、上から垂下したケーブルラックの下端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔にボルトを通して止め、前記接続板の他方のチャネル鋼の下部に、下方に垂下したケーブルラックの上端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔にボルトを通して止める構成である、ケーブルラックの取付金具とした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、上下に隣接する各階の床の間隔、梁に設けた上下に隣接する足場の間隔、又は上下に隣接する作業場の間隔のいずれかと略同じ長さのケーブルラックを予め必要数用意しておき、各階の床、梁の足場又は作業場のいずれかに設けた各ケーブルラックを通すケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具で、上下のケーブルラックを接続するため、上下の各ケーブルダクトの接続作業及び各ケーブルラックの構造体への固定作業が、同時に床又は足場で行え、安全性が高く、作業性が向上し、迅速にできる。それ故、コストダウンが図れる。
【0014】
また、請求項2の発明によれば、上方から垂下したケーブルラックの下端を、下方の床又は足場に固定された取付金具の上部に固定するが、取付金具の接続板の上部には、ボルト貫通用長孔が設けられているため、ケーブルラックを取付金具の接続板に重ね、前記ケーブルラックのボルト孔及び接続板のボルト貫通長孔にボルトを通して、ナットで固定する際、接続板の長孔によって上下に裕度があり、ボルトを通しやすい。しかも、この様に上下のケーブルラックの接続に裕度を持たせているため、構造体の伸縮を当該取付金具箇所で吸収できる。
【0015】
また、請求項3の発明によれば、取付金具の当接板を、各階の床、梁に設けた足場、又は作業場のいずれかのケーブルダクト開口穴の縁周りに固定し、取付金具の接続板の上部に上方から垂下したケーブルラックの下端側を固定し、同接続板の下部に下方に垂下するケーブルラックの上端側を固定するため、当該金具一つで、上下のケーブルラックの接続及びケーブルラックの構造体への固定ができる。従って、従来のように、上下のケーブルラックの接続金具と、ケーブルラックの構造体への固定金具や装置を夫々用意する必要がない。
【0016】
また、請求項4の発明によれば、タワー等の構造体のように上方に行くに従って、先細と成っている構造のものにおいては、ケーブルラックは直線上に接続できない。直線上に接続すると、下方に行くに従って、タワーの内面から遠ざかり、場所を取ってしまうが、この方法によれば、常にケーブルラックがタワーの内面に近づいているため、ケーブルラックが場所を取らず、邪魔にならない。
【0017】
また、請求項5の発明によれば、タワー等の構造体のように上方に行くに従って、先細と成っている構造のものにおいては、ケーブルラックは直線上に接続できない。従って、この発明の取付金具を用いれば、上下のケーブルラックを水平方向にずらして接続することができるため、先細形状の構造体には、最適の物となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、構造体の最上階から地上階や地下階まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックを敷設する工法において、上下に隣接する各階の床の間隔、梁に設けた上下に隣接する足場の間隔、又は上下に隣接する作業場の間隔のいずれかと略同じ長さのケーブルラックを予め必要数用意し、当該各ケーブルラックを、床、足場、又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴から下ろして、当該ケーブルラックの上端を、前記ケーブルダクト開口穴の相対向する辺の縁周りに固定した二つの各取付金具の下部に固定し、当該ケーブルラックの下端を、上下に隣接する下の床、足場、又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴の相対向する辺の縁周りに固定した複数の各取付金具の上部に固定し、この様にして、各階の床、梁に設けた足場、又は作業場のいずれかのケーブルダクト開口穴の相対向する辺の縁周りに固定した取付金具に各ケーブルラックの上下端を固定する、ケーブルラックの縦方向の敷設工法とした。
【0019】
これにより、ケーブルラックの縦方向の敷設が、容易、安全、迅速に行える。
【実施例1】
【0020】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。図1は高層ビルにおけるこの発明の方法を示す概略構成図、図2はこの発明の方法の取付金具箇所の詳細を示す斜視図、図3はこの方法に使用する取付金具の斜視図、図4は同取付金具の背面図である。
【0021】
図1に示すように、高層ビル1の隣接する各階の床1aの間隔に略合わせたケーブルラック2を予め必要数用意する。また、最上階から各床1aの相応する位置に予めケーブルダクト開口穴3を設けている。このケーブルダクト開口穴3の周囲には金属から成る型枠3aが設けられている。そして、最上階の床1aのケーブルダクト開口穴3から、ケーブルラック2を階下に降ろす。次に、当該床1aの前記ケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の前記型枠3aの上に固定した二つの取付金具4の各下部にボルト、ナットにより当該ケーブルラック2の両側枠体2aの上端両側面部を固定する。これにより当該ケーブルラック2はその上端両側を最上階の床1aの二つの取付金具4に支持、固定されて下の階に吊り下げられる。
【0022】
次に、前記の最上階の床1aの真下の床1aのケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の前記型枠3aの上に固定した二つの取付金具4の各上部に、前記ケーブルラック2の両側枠体2aの下端両側面をボルト、ナットにより固定する。そして、当該ケーブルラック2の下に接続するケーブルラック2を、当該ケーブルダクト開口穴3に挿入して階下に降ろし、当該ケーブルラック2の両側枠体2aの上端両側面を、前記各取付金具4の下部に固定し、当該各取付金具4にその上部を支持されて階下に吊り下がったケーブルラック2の両側枠体2aの下端両側面に、さらにその真下の床1aのケーブルラック開口穴3の相対向する内周縁に固定した二つの取付金具4の各上部に固定する。この様にして上方の階から下方の階の床まで多数のケーブルラック2を敷設する。
【0023】
上記の方法は、ケーブルラック2を上方階から下方向に順次延伸する方法であるが、これに代えて、ケーブルラック2を下方階から上方階に向けて順次延伸する方法がある。
【0024】
これは、例えば、10階から20階までの間にケーブルラック2を敷設する場合、11階のケーブルダクト開口穴3を通して11階からケーブルラック2を下ろし、当該ケーブルラック2の上部を、11階のケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の前記型枠3aの上に固定した取付金具4の下部にボルト、ナットで固定し、12階より、次のケーブルラック2を11階に向けて下ろし、当該ケーブルラック2の上部を12階のケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の前記型枠3aの上に固定した取付金具4の下部にボルト、ナットで固定し、当該ケーブルラック2の下部を、11階の前記取付金具4の上部にボルト、ナットで固定する。次に13階から、次のケーブルラック2を12階に向けて下ろし、これを繰り返す。
【0025】
また、ケーブルラック2は、予め各階の床に一つずつ用意しておいても良いし、数階おきにまとめて用意しておいても良い。上記の例では、20階から16階まで下ろされるケーブルラック2は21階に、15階から10階まで下ろされるケーブルラック2は16階に夫々まとめておく。
【0026】
また、上記実施例1では、高層ビル1の各階の床にケーブルダクト開口穴3を設けたが、タワー等の高層構造物の建築中では、床が設けられない場合がある。この様な場合、上下に一定間隔で設けられた梁を利用して当該梁に足場を設け、当該各足場にケーブルダクト開口穴3を設けたり、または、上下に一定間隔で設けられた各作業場にケーブルダクト開口穴3を設ける場合がある。これらの場合、取付金具4を梁とか作業場に直接固定するものではなく、梁とか作業場に固定した補完材等にボルト穴をあけて、ボルトにより固定する。
【0027】
また、前記取付金具4は、図3及び図4に示すように、チャネル鋼から成る接続板5を垂直に設け、当該接続板5の背面下端から略直角に伸びた当接板6を設け、これらの接続板5と当接版6とを繋ぐ二つの補強板7をこれらの両端に設け、前記接続板5の上部に二つのボルト貫通用長孔8を設け、下部に二つのボルト貫通用孔9を設けた構成である。さらに、前記当接板5には二つのボルト長孔10を設けている。
【0028】
そして、この取付金具4は、図2に示すように、ケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の型枠3aに当接板6を載せてボルト長孔10にボルトを通して床1aに固定する。また、前記チャネル鋼の接続板5の上部に、上から垂下したケーブルラック2の両側枠体2aの下端側面部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔8及びケーブルラックの両側枠体2aのボルト孔(図示省略)にボルトを通して止め、また、当該接続板5の下部に、下方に垂下するケーブルラック2の両側枠体2aの上端側面部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔9及びケーブルラックの両側枠体2aのボルト孔(図示省略)にボルトを通して止める。
【0029】
前記取付金具4の接続板5の上部に設けた二つのボルト貫通用長孔8は、上からのケーブルラック2の両側枠体2aに予め設けたボルト孔と接続板5のボルト孔が一致しないとボルトを通すことができないため、余裕をもたせてボルト貫通用長孔8としたものである。これによって、上下の床1aの間隔、ケーブルラック2の長さ、取付金具4の精度に裕度を設け、作業し易いようにしている。
【実施例2】
【0030】
図5及び図6はこの発明の実施例2を示す。図5はタワー11の一部概略図であり、梁を利用した足場11aは上下の間隔を略均一にしている。そして隣接する各足場11aの間隔に相応する長さのケーブルラック2を用意する。このタワー11は、上方に行くに従って先細形状であるため、ケーブルラック2は、下方に従って、外側にずらして接続しなければならない。このため、前記実施例1の取付金具4と異なった構成の取付金具14を用意する。その他の構成は実施例1と略同じであり、ケーブルラック2を略同じ方法で敷設する。
【0031】
この取付金具14は、図6に示すように、二つのチャネル鋼が平行して垂直に並んだ接続板15を設け、当該接続板15の背面下端から略直角に伸びた当接板16を設け、これらの接続板15と当接板16とを繋ぐ二つの補強板17をこれらの両端に設けている。また、これらの一方のチャネル鋼の上部に二つのボルト貫通用長孔18を設け、他方のチャネル鋼の下部に二つのボルト貫通用孔19を設け、前記当接板16には二つのボルト長孔20を設けている。
【0032】
この取付金具14は、接続板15の一方のチャネル鋼の上部に、上から垂下したケーブルラック2の両側枠体2aの下端側面部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔18及びにケーブルラック2の両側枠体2aのボルト孔(図示省略)にボルトを通して止め、前記接続板15の他方のチャネル鋼の下部に、下方に垂下したケーブルラックの両側枠体2aの上端側面部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔19及びケーブルラック2の両側枠体2aのボルト孔(図示省略)にボルトを通して止める。これにより、足場11a箇所で、上方のケーブルラック2に対し下方のケーブルラック2は外側にずれて接続され、固定される。
【実施例3】
【0033】
図7及び図8はこの発明の実施例3を示す。図7はタワー21の一部概略図であり、梁を利用した足場21aは上下の間隔を略均一にしている。そして隣接する各足場21aの間隔に相応する長さのケーブルラック2を用意する。このタワー21は上方に行くに従って先細形状であるため、ケーブルラック2は、タワー21の外郭線に沿って傾斜して接続、敷設しなければならない。このため、前記実施例1の取付金具4の変形形状の取付金具24を用意する。その他の構成は実施例1と略同じであり、ケーブルラック2を略同じ方法で敷設する。
【0034】
この取付金具24は、実施例1の取付金具4と略同じ構成であるが、接続板25が当接板26に対して傾斜しており、上下のケーブルラック2の傾斜に合わせている。これに伴い、二つのボルト貫通用長孔28及び二つのボルト貫通用孔29も接続板25の傾斜に沿って傾斜した位置に設けられている。また、二つの補強板27は当接板26に垂直に設けられている。この取付金具24の使用方法は、実施例1の取付金具4と略同じである。
【0035】
なお、上記実施例では取付金具4、14、24のいずれの場合も、ケーブルダクト開口穴3の相対向する辺の型枠3aや補完材にボルト等で固定する構成となっているが、ケーブルダクト開口穴周辺の床等にこれらの型枠や補完材を設けず、直接取付金具を床等に固定する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施例1の高層ビルにおける敷設方法を示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1の敷設方法の取付金具箇所の詳細を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1に使用する取付金具の斜視図である。
【図4】この発明の実施例1に使用する取付金具の背面図である。
【図5】この発明の実施例2のタワーにおける敷設方法を示す概略構成図である。
【図6】この発明の実施例2の敷設方法に使用する取付金具の斜視図である。
【図7】この発明の実施例3のタワーにおける敷設方法を示す概略構成図である。
【図8】この発明の実施例3の敷設方法に使用する取付金具の背面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 高層ビル 2 ケーブルラック
3 ケーブルダクト開口穴 4 取付金具
5 接続板 6 当接板
7 補強板 8 ボルト貫通用長孔
9 ボルト貫通用孔 10 ボルト孔
11 タワー 14 取付金具
21 タワー 24 取付金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の上部の階から下部の階まで、電力ケーブルや通信ケーブル等を支持するケーブルラックを敷設する工法において、
上下に隣接する各階の床の間隔、梁に設けた上下に隣接する足場の間隔、又は上下に隣接する作業場の間隔のいずれかと略同じ長さのケーブルラックを予め必要数用意し、
当該各ケーブルラックを床、足場又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴から下ろして、当該ケーブルラックの上端を、前記ケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具の下部に固定し、
当該ケーブルラックの下端を、上下に隣接する下方の床、足場又は作業場のいずれかに設けたケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具の上部に固定し、
この様にして、各階の床、梁に設けた足場、又は作業場の何れかのケーブルダクト開口穴の縁周りに固定した取付金具に各ケーブルラックの上下端を固定することを特徴とする、ケーブルラックの縦方向の敷設工法。
【請求項2】
前記取付金具の上部に、上方から垂下したケーブルラックの下端をボルト、ナットで固定するボルト貫通用長孔を設け、前記取付金具の下部に、下方に垂下するケーブルラックの上端をボルト、ナットで固定するボルト貫通用孔を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のケーブルラックの縦方向の敷設工法。
【請求項3】
取付金具は、チャネル鋼から成る接続板を略垂直に設け、当該接続板の背面下端から略直角に伸びた当接板を設け、これらの接続板と当接版とを繋ぐ補強板を設け、前記接続板の上部にボルト貫通用長孔を設け、下部にボルト貫通用孔を設け、前記当接板は床、足場又は作業場のいずれかに載せて固定し、前記接続板の上部に、上から垂下したケーブルラックの下端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔にボルトを通して止め、前記接続板の下部に、下方に垂下したケーブルラックの上端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔にボルトを通して止める構成であることを特徴とする、請求項1又は2の敷設工法に使用するケーブルラックの取付金具。
【請求項4】
前記構造体が上方へ行くにつれて先細形状である構造体において、
前記取付金具には二つのチャネル鋼が平行して略垂直に並んだ接続板を設け、一方のチャネル鋼には上から垂下したケーブルラックを固定し、他方のチャネル鋼には、下方に垂下したケーブルラックを固定し、
前記各階の床、梁に設けた足場、又は作業場のいずれかで、上方のケーブルラックに対して下方のケーブルラックを外側にずれて固定することにより、常に構造体の内側にケーブルラックを近づけて敷設することを特徴とする、請求項1又は2に記載のケーブルラックの縦方向の敷設工法。
【請求項5】
二つのチャネル鋼が平行して垂直に並んだ接続板を設け、当該接続板の背面下端から略直角に伸びた当接板を設け、これらの接続板と当接板とを繋ぐ補強板を設け、これらの一方のチャネル鋼の上部にボルト貫通用長孔を設け、他方のチャネル鋼の下部にボルト貫通用孔を設け、前記当接板は床、梁に設けた足場、又は作業場のいずれかに載せて固定し、 前記接続板の一方のチャネル鋼の上部に、上から垂下したケーブルラックの下端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用長孔にボルトを通して止め、前記接続板の他方のチャネル鋼の下部に、下方に垂下したケーブルラックの上端側部を嵌めて、前記ボルト貫通用孔にボルトを通して止める構成であることを特徴とする、請求項4の敷設工法に使用するケーブルラックの取付金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95396(P2012−95396A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238871(P2010−238871)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(591133273)カナフジ電工株式会社 (1)
【出願人】(510284174)新星電工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】