説明

ケーブルラック用開口部のカバー方法およびケーブルラック用開口部のカバー具

【課題】ケーブルラックを施工後から防火区画貫通の埋めもどし処理までの間、ケーブルラック用開口部を簡単な操作で覆って落下事故を確実に防止できるとともに、再使用できるケーブルラック用開口部のカバー方法およびケーブルラック用開口部のカバー具を得る。
【解決手段】建物3の床面4に形成されたケーブルラック用開口部5に取付けられたケーブルラック用架台8および、一方の落下防止用ネット13を取付ける工程と、他方の落下防止用ネット15を取付ける工程と、この他方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた他方の落下防止用ネットおよび前記一方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた一方の落下防止用ネットを四角部の紐および両端部にフックが取付けられたゴム紐18で固定する両落下防止用ネットの固定工程とでケーブルラック用開口部のカバー方法を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビル等の建物にケーブルを配線するためのケーブル配線用開口部にケーブルラックを施行後から防火区画貫通の埋めもどし処理までの間のケーブルラック用開口部のカバー方法およびケーブルラック用開口部のカバー具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルラックを施行後のケーブルラック用開口部は、ケーブルラックの一対のコ字状の架台や、この一対の架台のほぼ中央部より上方へ突出するように取付けられた一対の支柱によってベニヤ板等で覆う場合、ベニヤ板を一対の架台内へ挿入できるように切断しなければ設置することができず、手数がかかるとともに、使い捨て状態となりコスト高になるという欠点があった。
また、ベニヤ板の切断作業が面倒で、ケーブルラック用開口部を開口した状態に放置し、工具やコンクリート片等の下階への落下事故が生じてしまうという欠点があった。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ケーブルラックを施工後から防火区画貫通の埋めもどし処理までの作業の経過によってケーブルラック開口部の形状が変化しても、ケーブルラック用開口部を簡単な操作で確実に覆って落下事故を確実に防止することができるとともに、使い捨てることなく再使用ができて、経済的に使用することができるケーブルラック用開口部のカバー方法およびケーブルラック用開口部のカバー具を提供することを目的としている。
【0004】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は建物の床面に形成されたケーブルラック用開口部に取付けられたケーブルラック用架台および、該ケーブルラック用架台のほぼ中央部より上方へ突出するケーブル支持桁が取付けられた一対の支柱とからなるケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、一端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットを取付ける一方の落下防止用ネットの取付け工程と、前記ケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、他端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットを取付ける他方の落下防止用ネットの取付け工程と、この他方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた他方の落下防止用ネットおよび前記一方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた一方の落下防止用ネットを四角部の紐および両端部にフックが取付けられたゴム紐で固定する両落下防止用ネットの固定工程とでケーブルラック用開口部のカバー方法を構成している。
【0006】
本発明はケーブルラックの一対の支柱に一端部が取付けられ、一端部側の開口部を覆うことができる四角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットと、前記ケーブルラックの一対の支柱に一端部側が取付けられ、他端部側の開口部を覆うことができる四角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットと、この他方の落下防止用ネットと前記一方の落下防止用ネットを固定する両端部にフックが取付けられた複数個のゴム紐とでケーブルラック用開口部のカバー具を構成している。
【0007】
本発明はケーブルラック用開口部の一方を覆うことができる角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットと、前記ケーブルラック用開口部の他方を覆うことができる角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットと、この他方の落下防止用ネットの一端部と前記一方の落下防止用ネットの一端部とを開閉できるように取付けられた両方開きファスナーとでケーブルラック用開口部のカバー具を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)建物の床面に形成されたケーブルラック用開口部に取付けられたケーブルラック用架台および、該ケーブルラック用架台のほぼ中央部より上方へ突出するケーブル支持桁が取付けられた一対の支柱とからなるケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、一端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットを取付ける一方の落下防止用ネットの取付け工程と、前記ケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、他端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットを取付ける他方の落下防止用ネットの取付け工程と、この他方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた他方の落下防止用ネットおよび前記一方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた一方の落下防止用ネットを四角部の紐および両端部にフックが取付けられたゴム紐で固定する両落下防止用ネットの固定工程とからなるので、ケーブルラック用架台や一対の支柱があっても簡単にケーブルラック用開口部を2つの落下防止用ネットで覆うことができる。
したがって、工具やコンクリート片等の落下を防止することができる。
【0010】
(2)前記(1)によって、2つの落下防止用ネットを両端部にフックが取付けられたゴム紐で固定するとともに、落下防止用ネットの四角より外方へ突出する紐によって、落下防止用ネット同志あるいはケーブルラック用架台に紐で取付けることができる。
したがって、着脱可能に確実に取付けることができるとともに、作業の経過によってケーブルラック開口部の形状が変化してもケーブルラック用開口部を確実に覆うように取付けることができる。
【0011】
(3)前記(1)によって、2枚の落下防止用ネットと複数個のゴム紐を用いるだけでよいので、容易に使用することができるとともに、くり返し使用することができ、経済的に使用することができる。
【0012】
(4)請求項2、3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための最良の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図5に示す本発明を実施するための最良の第1の形態において、1はケーブルラック用開口部のカバー具2を用いて建物3の床面4に形成されたケーブルラック用開口部5に取付けられたケーブルラック11の開口部6をカバーするケーブルラック用開口部のカバー方法で、このケーブルラック用開口部のカバー方法1は前記ケーブルラック用開口部5に取付けられたスリーブ7と、このスリーブ7の両端部寄りの部位に位置する一対のコ字状のケーブルラック用架台8、8および、該ケーブルラック用架台8、8のほぼ中央部より上方へ突出するケーブル支持桁9が取付けられた一対の支柱10、10とからなるケーブルラック11の一対の支柱10、10に、図3に示すように一端部側を取付け、一端部側の開口部6aを覆うように四角部より外方へ突出する紐12、12、12、12、12、12、12、12が設けられた一方の落下防止用ネット13を取付ける一方の落下防止用ネットの取付け工程14と、前記ケーブルラック11の一対の支柱10、10に図4に示すように一端部側を取付け、他端部側の開口部6bを覆うように四角部より外方へ突出する紐12、12、12、12、12、12、12、12が設けられた他方の落下防止用ネット15を取付ける他方の落下防止用ネットの取付け工程16と、この他方の落下防止用ネットの取付け工程16で取付けられた他方の落下防止用ネット15および、前記一方の落下防止用ネットの取付け工程14で取付けられた一方の落下防止用ネット13を、図5に示すように四角部の紐12、12、12、12、12、12、12、12で結び、ケーブルラック1に固定するとともに、両端部にフック17、17が取付けられたゴム紐18、18、18でケーブルラック用開口部5が開口しないように固定する両落下防止用ネットの固定工程19とで構成されている。
【0015】
前記ケーブルラック用開口部のカバー方法1で使用されるケーブルラック用開口部のカバー具2は、前述の説明で明らかなように前記一方の落下防止用ネット13と、この一方の落下防止用ネット13と同構成の他方の落下防止用ネット15と、複数本、本発明を実施する形態では3本の両端部にフック17、17が取付けられたゴム紐18、18、18とで構成されている。
なお、両方の落下防止用ネット13、15は、網目は1升づつ編み込んだ目が崩れないものを使用し、10mmメッシュ以下のものを使用する。
【0016】
このため、ケーブルラック11のケーブルラック用架台8や一対の支柱10、10に一方の落下防止用ネット13と他方の落下防止用ネット15の四角部の紐12、12、12、12、12、12、12、12で、一対の支柱10、10や両方の落下防止用ネット13、15の四角部の紐12、12、12、12を結んだりして、簡単に着脱可能に取付けることができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0017】
次に、図6ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
図6ないし図8に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、長辺側のほぼ中央部より外方へ突出する中央紐20、20、20、20を取付けた両方の落下防止用ネット13A、15Aを用いたケーブルラック用開口部のカバー具2Aを用いた点で、このようなケーブルラック用開口部のカバー具2Aを用いたケーブルラック用開口部のカバー方法1Aを行なっても同様な作用効果が得られるとともに、両方の落下防止用ネット13A、15Aの中央紐20、20、20、20によって、ケーブルラック11の開口部6を前記両方の落下防止用ネット13A、15A間に開口部が生じないように覆うように結び付けることができる。
【0019】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、長辺側の中央部より離れた部位に、先端部にフック17が取付けられたゴム紐18A、18Aを取付けた両方の落下防止用ネット13B、15Bを用いたケーブルラック用開口部のカバー具2Bを用いた点で、このようなケーブルラック用開口部のカバー具2Bを用いたケーブルラック用開口部のカバー方法1Bを行なっても同様な作用効果が得られるとともに、先端部にフック17が取付けられたゴム紐18A、18Aによって、両方の落下防止用ネット13B、15B間に開口部が生じないように固定することができる。
【0020】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための最良の第1の形態と主に異なる点は、一方の落下防止用ネット13の一端部と他方の落下防止用ネット15の一端部とを開閉できるように取付けられた両方開きファスナー21とで開閉可能にした点で、このようなケーブルラック用開口部のカバー具2Cを用いても、ケーブルラック11の開口部6を覆うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はケーブルラック用開口部のカバー具を製造したり、使用する産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するための最良の第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための最良の第1の形態のケーブルラックおよびカバー具の説明図。
【図3】本発明を実施するための最良の第1の形態の一方の落下防止用ネットの取付け工程の説明図。
【図4】本発明を実施するための最良の第1の形態の他方の落下防止用ネットの取付け工程の説明図。
【図5】本発明を実施するための最良の第1の形態の両落下防止用ネットの固定工程の説明図。
【図6】本発明を実施するための第2の形態の工程図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態のケーブルラックおよびカバー具の説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の両落下防止用ネットの固定工程の説明図。
【図9】本発明を実施するための第3の形態の工程図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態のケーブルラックおよびカバー具の説明図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の両落下防止用ネットの固定工程の説明図。
【図12】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【図13】本発明を実施するための第4の形態の取付け工程の平面図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の取付け工程の側面図。
【符号の説明】
【0023】
1、1A、1B:ケーブルラック用開口部のカバー方法、
2、2A、2B、2C:ケーブルラック用開口部のカバー具 、
3:建物、 4:床面、
5:ケーブルラック用開口部、 6:ケーブルラック、
6a:開口部、 7:スリーブ、
8:ケーブルラック用架台、 9:ケーブル支持桁、
10:支柱、 11:ケーブルラック、
12:紐、
13、13A、13B:一方の落下防止用ネット、
14:一方の落下防止用ネットの取付け工程、
15、15A、15B:他方の落下防止用ネット、
16:他方の落下防止用ネットの取付け工程、
17:フック、 18、18A:ゴム紐、
19:固定工程、 20:中央紐、
21:両方開きファスナー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床面に形成されたケーブルラック用開口部に取付けられたケーブルラック用架台および、該ケーブルラック用架台のほぼ中央部より上方へ突出するケーブル支持桁が取付けられた一対の支柱とからなるケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、一端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットを取付ける一方の落下防止用ネットの取付け工程と、前記ケーブルラックの一対の支柱に一端部側を取付け、他端部側の開口部を覆うように四角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットを取付ける他方の落下防止用ネットの取付け工程と、この他方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた他方の落下防止用ネットおよび前記一方の落下防止用ネットの取付け工程で取付けられた一方の落下防止用ネットを四角部の紐および両端部にフックが取付けられたゴム紐で固定する両落下防止用ネットの固定工程とからなることを特徴とするケーブルラック用開口部のカバー方法。
【請求項2】
ケーブルラックの一対の支柱に一端部が取付けられ、一端部側の開口部を覆うことができる四角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットと、前記ケーブルラックの一対の支柱に一端部側が取付けられ、他端部側の開口部を覆うことができる四角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットと、この他方の落下防止用ネットと前記一方の落下防止用ネットを固定する両端部にフックが取付けられた複数個のゴム紐とからなることを特徴とするケーブルラック用開口部のカバー具。
【請求項3】
ケーブルラック用開口部の一方を覆うことができる角部より外方へ突出する紐が設けられた一方の落下防止用ネットと、前記ケーブルラック用開口部の他方を覆うことができる角部より外方へ突出する紐が設けられた他方の落下防止用ネットと、この他方の落下防止用ネットの一端部と前記一方の落下防止用ネットの一端部とを開閉できるように取付けられた両方開きファスナーとからなることを特徴とするケーブルラック用開口部のカバー具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−17641(P2008−17641A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187322(P2006−187322)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000110309)トヨクニ電線株式会社 (80)
【Fターム(参考)】