説明

ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット

【課題】ブラケット構造を簡素化して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材を機械フレーム側へ緩みなく密着させる取り付け作業を簡便かつ確実に達成し、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲動作で発生しがちな機械フレーム側との間の振動騒音を吸収するケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットを提供すること。
【解決手段】ケーブル・配管類Cのケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部210とケーブル・配管類Cをケーブル長手方向に沿って拘束する多数の左抱持部220aと右抱持部220bとで囲繞されたケーブル収容空間R内にケーブル・配管類Cを収容してU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部110と、ケーブルCを接続する機械側フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部120とを一体に備えたケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定エネルギー源を備えた機械側固定フレームに連結した一端から機械側可動フレームに連結した他端に向けてエネルギを供給するのに用いられるケーブル、ホースなどのケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材を、これらの機械側固定フレームと機械側可動フレームとに着脱自在に取り付けるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル・配管類保護案内部材として、合成樹脂製の扁平な構造の一片として射出成形するとともに曲げ可能なブリッジにより相互に結合されるセグメントから構成された折り畳み可能なケーブル保護要素部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−514725号公報(特許請求の範囲、図1−図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようなケーブル保護要素部材は、合成樹脂製の扁平な構造の一片として射出成形されているため、射出成形されたセグメントを1個ずつ折り畳んで組み付けなければならないという組み立て製造上の厄介な問題があるばかりでなく、機械側固定フレームおよび機械側可動フレームに着脱自在に取り付ける際に、折り畳んで組み付けたケーブル保護要素部材が複雑な構造を備えているため、機械フレーム側に取り付けるための取り付け金具も複雑な構造になり、その設置作業に多大の手間を必要とするにもかかわらず取り付け形態も不安定で外れ易いという機械フレーム側への設置上の厄介な問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、従来のような問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、ブラケット構造を簡素化して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材に適するようにブラケット構造を簡素化し、さらに機械フレーム側への取り付け作業を簡便にして、かつ外れにくいケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、請求項1に係る本発明は、ケーブル・配管類のケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部と該帯状基部の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類をケーブル長手方向に沿って対向間隙を持つ左右両側から抱持する左抱持部と右抱持部とで囲繞されたチューブ状のケーブル収容空間内にケーブル・配管類を配置するとともに前記ケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材と、前記左抱持部および右抱持部がケーブル収容空間をケーブル長手方向と直交する方向に切断するような切り込み部分を介した状態でケーブル長手方向に配置された前記ケーブル・配管類保護案内部材の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部と、前記ケーブル・配管類を接続する機械フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部とを一体に備えたケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットであって、前記保護案内側係止部が、前記ケーブル・配管類保護案内部材の端部に挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部と右抱持部の相互間に差し込んだ状態で係止される抜け止め用係止爪を備えているとともに前記保護案内側係止部が、前記ケーブル・配管類の直線姿勢を保持した状態で前記左抱持部と右抱持部の間に配置されてケーブル収容空間の内側に膨らんだアーチ状曲面を形成している帯状基部に対面して配置され、前記機械フレーム側固定部が、前記ケーブル・配管類保護案内部材のケーブル収容空間内から突出して機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴を備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
また、請求項2に係る発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットは、請求項1記載の構成に加えて、前記機械フレーム側固定部が、前記保護案内側係止部より帯状基部の厚み分だけ合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲内周側に向けて肉厚に成形されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0008】
また、請求項3に係る発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットは、請求項1または請求項2記載の構成に加えて、前記保護案内側係止部が、前記機械フレーム側固定部との間に形成された段差状の位置決め当接面を介して前記合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に位置決めされることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
まず、請求項1に係るケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットによれば、ケーブル・配管類のケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部とこの帯状基部の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類をケーブル長手方向に沿って対向間隙を持つ左右両側から抱持する左抱持部と右抱持部とで囲繞されたチューブ状のケーブル収容空間内にケーブル・配管類を配置するとともにケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材であり、左抱持部および右抱持部がケーブル収容空間をケーブル長手方向と直交する方向に切断するような切り込み部分を介した状態でケーブル長手方向に配置されたケーブル・配管類保護案内部材の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部と、ケーブル・配管類を接続する機械フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部とを一体に備えていること、そして、保護案内側係止部がケーブル・配管類保護案内部材の端部に挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部と右抱持部の相互間に差し込んだ状態で係止される抜け止め用係止爪を備えていることにより、ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの一方端に設けた保護案内側係止部の先端に設けた左右一対の抜け止め用係止爪を合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の切り込み部分に挿入し係止した状態でケーブル・配管類保護案内装置用取り付けブラケットの他方端に一体に設けた機械フレーム側固定部を機械フレーム側に取り付けるか、あるいは、ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの一方端に設けた機械フレーム固定部を機械フレーム側に取り付けた状態でケーブル・配管類保護案内装置用取り付けブラケットの他方端に一体に設けた保護案内側係止部の先端に設けた左右一対の抜け止め用係止爪を合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の切り込み部分に挿入し係止することが可能となるため、ブラケット構造を簡素化することができ、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材を機械フレーム側に着脱する際の取り付け作業を簡便に達成することができる。
【0010】
また、保護案内側係止部がケーブル・配管類の直線姿勢を保持した状態で左抱持部と右抱持部の間に配置されてケーブル収容空間の内側に膨らんだアーチ状曲面を形成している帯状基部に対面して配置されることにより、保護案内係止部と機械フレームとの間に帯状基部が挟まれることとなり、帯状基部のアーチ状曲面が平坦化して、それに伴い左抱持部と右抱持部が中央に寄り対向間隙が小さくなることでブラケットを固定する取り外し口を塞ぐため、ブラケットが外れることを防止することができる。
【0011】
さらに、機械フレーム側固定部がケーブル・配管類保護案内部材のケーブル収容空間内から突出して機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴を備えていることにより、保護案内側係止部の抜け止め用係止爪が差し込まれた合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の特徴的な端部形状を利用して係止し、機械フレーム側の取り付け面に対してネジ止めすることが可能になるため、ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットのブラケット構造を簡素化することができるとともにその組み付け作業も簡便に達成することができる。
【0012】
また、請求項2に係るケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットによれば、請求項1に記載のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットが奏する効果に加えて、機械フレーム側固定部が保護案内側係止部より帯状基部の厚み分だけ合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲内周側に向けて肉厚に成形されていることにより、ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの機械フレーム側固定部が機械フレーム側の取り付け面に対して浮き上がることなく面一状態で取り付けられるため、ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの保護案内側係止部を帯状基部のケーブル収容空間側に対して変形させることなく全面的に密着させた状態で取り付けることができる。
【0013】
また、請求項3に係るケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットによれば、請求項1又は請求項2に記載のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットが奏する効果に加えて、保護案内側係止部が機械フレーム側固定部との間に形成された段差状の位置決め当接面を介して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に位置決めされることにより、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部とケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの位置決め当接面との間の遊びを無くしてケーブル長手方向の緩みを阻止するため、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材に発生しがちな蛇行移動を阻止するとともにケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットを機械フレーム側の取り付け面に対して確実かつ強固に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明であるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの使用態様図。
【図2】本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の全体斜視図。
【図3】本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の直線姿勢領域の拡大斜視図。
【図4】本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲姿勢領域の拡大斜視図。
【図5】本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の側面図。
【図6】図5のA―A断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図。
【図7】図5のB―B断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図。
【図8】図5のC―C断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図。
【図9】本発明であるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの拡大斜視図。
【図10】図5のD−D断面における取り付け直前の断面図。
【図11】図5のD−D断面における取り付け直後の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ケーブル・配管類のケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部と該帯状基部の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類をケーブル長手方向に沿って対向間隙を持つ左右両側から抱持する左抱持部と右抱持部とで囲繞されたチューブ状のケーブル収容空間内にケーブル・配管類を配置するとともに前記ケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部と、ケーブルを接続する機械フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部とを一体に備えたケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットであって、保護案内側係止部が合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部と右抱持部の相互間に差し込んだ状態で係止される抜け止め用係止爪を備えているとともに、機械フレーム側固定部が合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材のケーブル収容空間内から突出して機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴を備え、ブラケット構造を簡素化して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材を機械フレーム側へ緩みなく密着させる取り付け作業を簡便かつ確実に達成し、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲動作で発生しがちな機械フレーム側との間の振動騒音を吸収するものであれば、その具体的な実施の形態は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0016】
まず、本発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットにより取り付ける合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の具体的な使用態様については、固定エネルギー源を備えた機械側固定フレームに連結した一端からこの機械側固定フレームに沿って平行移動する機械側可動フレームに連結した他端に向けてケーブル、ホースなどのケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する使用状況下であれば、工作機械、生産機械、動力伝達機械、測定機械、物流機械、ロボットと称する各種機械などの如何なる使用態様であっても、何ら差し支えない。
【0017】
本発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットにより取り付ける合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の具体的なU字状の屈曲形態については、機械側固定フレームに連結した一端からこの機械側固定フレームに沿って平行移動する機械側可動フレームに連結した他端に向けて配置された垂直面内や水平面内で屈曲させて良く、あるいは、3次元的空間で屈曲させるものであっても良い。
【0018】
なお、上述した合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材に用いる具体的な材質については、ケーブル・配管類を保持するとともに、押し出し成形加工が施し易い機械的強度や成形精度に優れた合成樹脂の材質であれば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などのいずれであっても良い。
【0019】
さらに、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材に成形される矩形チューブ状のケーブル収容空間の具体的形態については、ケーブル・配管類のケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部とこの帯状基部の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類をケーブル長手方向に沿って対向間隙を持つ左右両側から抱持する左抱持部と右抱持部とで囲繞されたチューブ状のケーブル収容空間内にケーブル・配管類を配置するとともに前記ケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内するものであれば、如何なる具体的な形態であっても良い。
【0020】
他方、本発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの具体的な形態については、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に挿入配置されて合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部がケーブル長手方向に隣接した左抱持部と右抱持部の相互間に差し込まれて係止される抜け止め用係止爪を備えているとともに合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材のケーブル収容空間内から突出してケーブル・配管類を接続する機械フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部が機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴を備えているものであれば、如何なる形態を備えたものであっても良く、たとえば、左抱持部と右抱持部の相互間に差し込まれて係止される抜け止め用係止爪が、保護案内側係止部の左右両側に複数配置されて抜け止め機能をさらに向上させたもの、あるいは、機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴が、機械フレーム側固定部のケーブル長手方向、あるいは、幅方向の複数箇所に設けられていても良い。
【0021】
また、本発明のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの具体的な素材については、金属製のもの、あるいは、合成樹脂製のものの、いずれであっても良い。
【実施例】
【0022】
本発明の実施例であるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット(以下、「取り付けブラケット」という。)について、図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例である本発明であるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの使用態様図であり、図2は、本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の全体斜視図であり、図3は、本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の直線姿勢領域の拡大斜視図であり、図4は、本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲姿勢領域の拡大斜視図であり、図5は、本発明を用いる合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の側面図であり、図6は、図5のA―A断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図であり、図7は、図5のB―B断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図であり、図8は、図5のC―C断面における合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の断面図であり、図9は、本発明であるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの拡大斜視図であり、図10は、図5のD−D断面におけるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの取り付け直前の断面図であり、図11は、図5のD−D断面におけるケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットの取り付け直後の断面図である。
【0023】
まず、本発明の実施例である取り付けブラケット100を説明するに先立って、本実施例の取り付けブラケット100を用いて着脱自在に取り付ける合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200について、具体的に説明する。
そこで、前述した合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200は、図1に示すように、直動ロボットと称する直線移動装置Mにおいてボールねじ駆動方式のアクチュエータを内蔵した機械側固定フレームである固定フレームM1側から機械側可動フレームである移動体M2側へ電力供給および信号送信を行うケーブル・配管類Cを保護案内するために使用されるものである。
すなわち、図1に示すように、固定フレームM1に連結した一端200aからこの固定フレームM1に沿って平行移動する移動体M2に連結した他端200bに向けてケーブル・配管類Cを垂直面内でU字状に屈曲させながら保護案内している。
なお、図1における符号M3は、固定フレームM1に連設された駆動モータの設置フレームであり、符号M4は、固定フレームM1に対して移動体M2を直線作動させるためのボールねじ駆動方式のアクチュエータであり、矢印は、移動体M2が直線移動する方向である。
【0024】
そこで、前述した合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200について、その具体的な構造を図2乃至図8に基づいて詳しく説明する。
なお、図2、図3、図5に示す符号100は、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200に取り付けられる本発明の取り付けブラケットであるが、その説明は、詳しい後述に委ねる。
本実施例の合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200は、ケーブル・配管類Cのケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部210とこの帯状基部210の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類Cをケーブル長手方向に沿って対向間隙Sを持つ左右両側から抱持する左抱持部220aおよび右抱持部220bとで囲繞された合成樹脂でチューブ状のケーブル収容空間Rを構成し、このチューブ状のケーブル収容空間R内にケーブル・配管類Cを左右両側に配置された左抱持部220aと右抱持部220bとの間の対向間隙Sから収容するとともに、帯状基部210の一端とこの一端を連結した固定フレームM1に対して相対移動する移動体M2に連結した帯状基部210の他端との間の垂直面内でケーブル・配管類CをU字状に屈曲させながら保護案内するようになっている。
【0025】
加えて、前述した帯状基部210と左抱持部220aと右抱持部220bは、押し出し成形加工により矩形チューブ状のケーブル収容空間Rを構成するように形成された後に、この矩形チューブ状のケーブル収容空間Rをケーブル長手方向と直交する方向に切断するように所定の間隔で切り込むことで成形されている。
これにより、帯状基部110と左抱持部120aおよび右抱持部120bとを組み付ける作業負担が解消されるため、いかなる長尺なケーブル収容空間Rを要する現場施工であってもケーブル・配管類Cのケーブル長さに応じた裁断のみで最適な長尺体を簡便に構成するとともに、押し出し成形加工によって帯状基部110におけるケーブル長手方向の分子配向度が高くなるため、ケーブル長手方向の疲労強度が大幅に向上して優れた耐久性を発揮している。
また、押し出し成形加工時に、帯状基部210、左抱持部220aおよび右抱持部220bの厚みや材質が変更可能になるため、収容するケーブル・配管類Cに応じてケーブル収容空間Rを造作するチューブ状の収容形態やケーブル・配管類Cを保護案内する軌道形態を簡便に変更することが可能になっている。
しかも、前述したように、帯状基部210と左抱持部220aおよび右抱持部220bとが、合成樹脂から成形され、押し出し成形加工や引き抜き加工などの一体の連続加工が可能であり、ケーブル収容空間Rの形態安定性を充分に発揮している。
【0026】
そして、ケーブル保護案内部材200の帯状基部210は、図6におよび図8に示すように、ケーブル・配管類Cの直線姿勢を保持した状態で左抱持部220aと右抱持部220bとの間に配置されてケーブル収容空間Rの内側へ膨らんだアーチ状曲面を形成している。
これにより、ケーブル・配管類Cを直線移動させる際にアーチ状曲面を呈する帯状基部210が、この帯状基部210の壁厚とアーチ状曲面の形態とに起因する剛性を発揮しながらケーブル長手方向に一直線状となってケーブル・配管類Cの重量を支える。
【0027】
また、図7に示すように、ケーブル・配管類Cを屈曲移動させる際に、帯状基部210のアーチ状曲面が弾性変形して平坦化する作用を伴い、帯状基部210の左右両側縁に沿って一体に連続成形された左抱持部220aおよび右抱持部220bが、対向間隙Sに向かって相互に傾いて対向間隙Sを塞ぎ込むようになっている。もし、帯状基部210がケーブル収容空間Rの外側に膨らんだアーチ状曲面を形成した場合には、逆に左抱持部220aと右抱持部220bとの間の対向間隙Sが大きくなるために逆にケーブル・配管類Cの飛び出しが発生し易くなる。
【0028】
また、帯状基部210に一体に連続成形された左抱持部220aおよび右抱持部220bは、帯状基部210の左右両側縁に沿ってそれぞれ配置され、ケーブル・配管類Cがケーブル収容空間R内に抱持されるように構成されている。
これにより、左抱持部220aおよび右抱持部220bが、帯状基部210と一体化してチューブ状のケーブル収容空間Rを確実に造形するため、ケーブル・配管類Cをケーブル収容空間R内でケーブル長手方向に沿って抱持状態で確実に収容している。
【0029】
そして、左抱持部220aおよび右抱持部220bは、図6乃至図8に示すように、帯状基部210に連続して立設した側壁形成部分221とこの側壁形成部分221に折曲して連続で取り付けた抱持壁形成部分222とで構成されている。
これにより、帯状基部210とこれに連続する左抱持部220aおよび右抱持部220bの側壁形成部分221とでケーブル・配管類Cの屈曲姿勢を柔軟に形作るとともに左抱持部220aおよび右抱持部220bの抱持壁形成部分222でケーブル収容空間Rに収容したケーブル・配管類Cを確実に保持するため、ケーブル・配管類保護案内部材200を弾力的に屈曲させながらケーブル・配管類Cを保護案内している。
【0030】
また、左抱持部220aおよび右抱持部220bの抱持壁形成部分222は、図6および図8に示すように、左抱持部220aおよび右抱持部220bの側壁形成部分221に対してケーブル収容空間R側へ直角よりも僅かに鋭角に折曲した状態で形成されている。
これにより、対向する左右一対の抱持壁形成部分222、222が、ケーブル・配管類Cを屈曲移動させる際に帯状基部210のアーチ状曲面が弾性変形して平坦化すると、ケーブル収容空間Rから左抱持部220aと右抱持部220bとの間の対向間隙Sを介して飛び出そうとするケーブル・配管類Cを、左抱持部220aおよび右抱持部220bと帯状基部210とでケーブル・配管類Cを包むように内蔵して抱えて、ケーブル・配管類Cが左抱持部220aと右抱持部220bとの間の対向間隙Sの方に移動しがたくなるため、ケーブル・配管類Cの不用意な飛び出しを完全に阻止している。
【0031】
また、左抱持部220aおよび右抱持部220bは、図3乃至図5に示すように、帯状基部210の左右両側縁に沿って同形状かつ等間隔で配置されている。
これにより、ケーブル収容空間Rが、単一の曲率半径を確保しながら順次屈曲して移動していくため、ケーブル・配管類CをU字状に屈曲させながら安定して保護案内している。
また、左抱持部220aおよび右抱持部220bは、図3に示すように、帯状基部210の左右両側縁に沿って相互に隣接して配置されている。
要するに、相互に隣接した左抱持部220aおよび右抱持部220b同士が、ケーブル収容空間Rをケーブル長手方向と直交する方向に切断するような切り込み部分223を介した状態で配置されている。
【0032】
また、上述した切り込み部分223は、その根元が帯状基部210まで切り込まれたR状切り込み終端を呈し、ケーブル・配管類保護案内部材200が屈曲する際の曲率半径を小さくすることができるため、ケーブル・配管類保護案内部材200の省スペース化が可能となる。
【0033】
そこで、上述した合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200を移動体M2側となる機械側可動フレームに取り付ける場合を一例として、本発明の一実施例である取り付けブラケット100について、以下に、図9乃至図11に基づいて詳しく説明する。
すなわち、本実施例の取り付けブラケット100は、図9に示すように、合成樹脂からなり、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに着脱自在に係止する保護案内側係止部110と、ケーブルCを接続する可動体M2に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部120とを一体に備えている。
【0034】
これにより、本実施例の取り付けブラケット100の一方端に設けた保護案内側係止部110を、たとえば、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに係止した状態で取り付けブラケット100の他方端に一体に設けた機械フレーム側固定部120を機械側可動フレームである移動体M2側に取り付けるか、あるいは、取り付けブラケット100の一方端に設けた機械フレーム側固定部120を移動体M2側に取り付けた状態で取り付けブラケット100の他方端に一体に設けた保護案内側係止部110を合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに係止することが可能になっている。
【0035】
そして、前述した取り付けブラケット100の保護案内側係止部110は、図9に示すように、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部220aと右抱持部220bの相互間に差し込んだ状態で係止される左右一対の抜け止め用係止爪111、111を備えている。
他方、前述した機械フレーム側固定部120は、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200のケーブル収容空間R内から突出して前述した移動体M2側の取り付け面にネジ止めするケーブル長手方向に前後一対のネジ穴121、121を備えている。
これにより、保護案内側係止部110に設けた左右一対の抜け止め用係止爪111、111が、ケーブル収容空間R内に差し込まれた合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の特異な端部形態、すなわち、相互に隣接した左抱持部220aと右抱持部220b同士の間に形成された左右一対の僅かな切り込み部分223を利用して係止され、機械フレーム側固定部120に設けた前後一対のネジ穴121、121から汎用のねじを用いて移動体M2側の取り付け面に対してネジ止めすることが可能になっている。
【0036】
また、前述した取り付けブラケット100の保護案内側係止部110は、ケーブル・配管類Cの直線姿勢を保持した状態で左抱持部220aと右抱持部220bの左右両側に跨がってケーブル収容空間R内へ膨らんだアーチ状曲面を形成するとともにケーブル・配管類Cを保持した屈曲姿勢に応じて弾性変形して平坦面化する帯状基部210のケーブル収容空間R側に対面配置される平坦面を備えている。
これにより、この帯状基部210が、図10乃至図11に示すように、保護案内側係止部110と移動体M2側の取り付け面との間で弾力性を発揮するようになっている。
【0037】
また、前述した取り付けブラケット100の機械フレーム側固定部120は、図9に示すように、保護案内側係止部110より帯状基部210の厚み分tだけ合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の屈曲内周側に向けて肉厚に成形されている。
これにより、この機械フレーム側固定部120が、移動体M2側の取り付け面に対して浮き上がることなく面一状態で取り付け可能になっている。
【0038】
また、取り付けブラケット100の保護案内側係止部110は、機械フレーム側固定部120との間に形成された段差状の位置決め当接面130を介して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに位置決めされる。
これにより、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bと取り付けブラケット100の位置決め当接面130との間の遊びを無くしてケーブル長手方向の緩みを阻止することが可能になっている。
【0039】
このようにして得られた本実施例の取り付けブラケット100は、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに着脱自在に係止する保護案内側係止部110とケーブルCを接続する移動体M2側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部120とを一体に備え、保護案内側係止部110が合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部220aと右抱持部220bの相互間に差し込んだ状態で係止される左右一対の抜け止め用係止爪111、111を備えているとともに、機械フレーム側固定部120が合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200のケーブル収容空間R内から突出して移動体M2側の取り付け面にネジ止めする前後一対のネジ穴121、121を備えていることにより、取り付けブラケット100のブラケット構造を簡素化してその取り扱いも簡便に達成するとともに合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200を移動体M2側に着脱する際の取り付け作業を簡便に達成することができる。
【0040】
また、取り付けブラケット100の保護案内側係止部110が、ケーブル・配管類Cの直線姿勢を保持した状態で左抱持部220aと右抱持部220bの左右両側に跨がってケーブル収容空間R内へ膨らんだアーチ状曲面を形成するとともにケーブル・配管類Cを保持した屈曲姿勢に応じて弾性変形して平坦面化する帯状基部210に対面して配置されることにより、取り付けブラケット100の保護案内側係止部110を移動体M2側の取り付け面に対して緩みなく密着した状態で取り付けるとともに合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の屈曲動作で発生しがちな移動体M2側との間の振動騒音を吸収することができる。
【0041】
また、取り付けブラケット100の機械フレーム側固定部120が、保護案内側係止部110より帯状基部210の厚み分tだけ合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の屈曲内周側に向けて肉厚に成形されていることにより、取り付けブラケット100の保護案内側係止部110を帯状基部210のケーブル収容空間R側に対して変形させることなく全面的に密着させた状態で取り付けることができる。
【0042】
また、取り付けブラケット100の保護案内側係止部110が、機械フレーム側固定部120との間に形成された段差状の位置決め当接面130を介して合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200の端部200bに位置決めされることにより、合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材200に発生しがちな蛇行移動を阻止するとともに取り付けブラケット100を移動体M2側の取り付け面に対して確実かつ強固に取り付けることができる等、その効果は、甚大である。
【符号の説明】
【0043】
100 ・・・ ケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット
110 ・・・ 保護案内側係止部
111 ・・・ 抜け止め用係止爪
120 ・・・ 機械フレーム側固定部
121 ・・・ ネジ穴
130 ・・・ 位置決め当接面
200 ・・・ 合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材
200a・・・ 合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の一端
200b・・・ 合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の他端
210 ・・・ 帯状基部
220a・・・ 左抱持部
220b・・・ 右抱持部
221 ・・・ 側壁形成部分
222 ・・・ 外周壁形成部分
223 ・・・ 切り込み部分
M1 ・・・ 固定フレーム
M2 ・・・ 移動体
M3 ・・・ 駆動モータの設置フレーム
M4 ・・・ ボールねじ駆動方式のアクチュエータ
S ・・・ 対向間隙
C ・・・ ケーブル・配管類
t ・・・ 帯状基部210の厚み分
B ・・・ 汎用ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル・配管類のケーブル長手方向に沿って延在する帯状基部と該帯状基部の左右両側縁に沿って一体に連続成形されてケーブル・配管類をケーブル長手方向に沿って対向間隙を持つ左右両側から抱持する左抱持部と右抱持部とで囲繞されたチューブ状のケーブル収容空間内にケーブル・配管類を配置するとともに前記ケーブル・配管類をU字状に屈曲させながら保護案内する合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材と、前記左抱持部および右抱持部がケーブル収容空間をケーブル長手方向と直交する方向に切断するような切り込み部分を介した状態でケーブル長手方向に配置された前記ケーブル・配管類保護案内部材の端部に着脱自在に係止する保護案内側係止部と、前記ケーブル・配管類を接続する機械フレーム側に着脱自在に取り付ける機械フレーム側固定部とを一体に備えたケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケットであって、
前記保護案内側係止部が、前記ケーブル・配管類保護案内部材の端部に挿入配置してケーブル長手方向に隣接した左抱持部と右抱持部の相互間に差し込んだ状態で係止される抜け止め用係止爪を備えているとともに前記保護案内側係止部が、前記ケーブル・配管類の直線姿勢を保持した状態で前記左抱持部と右抱持部の間に配置されてケーブル収容空間の内側に膨らんだアーチ状曲面を形成している帯状基部に対面して配置され、
前記機械フレーム側固定部が、前記ケーブル・配管類保護案内部材のケーブル収容空間内から突出して機械フレーム側の取り付け面にネジ止めするネジ穴を備えていることを特徴とするケーブル・配管類保護案内用取り付けブラケット。
【請求項2】
前記機械フレーム側固定部が、前記保護案内側係止部より帯状基部の厚み分だけ合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の屈曲内周側に向けて肉厚に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット。
【請求項3】
前記保護案内側係止部が、前記機械フレーム側固定部との間に形成された段差状の位置決め当接面を介して前記合成樹脂製ケーブル・配管類保護案内部材の端部に位置決めされることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のケーブル・配管類保護案内部材用取り付けブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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