ケーブル収納ユニット、スキャナシステム、及び、チェックアウトシステム
【課題】縦型スキャナから離れた位置で補助的に使用されるハンディスキャナがある。このハンディスキャナがチェックアウトカウンタの荷受面上に放置されると、ケーブルが商品カゴ等に絡まってしまい作業の妨げとなる。ケーブルを短くすることで問題は解消されるが、ハンディスキャナの使用範囲が限定されてしまう。
【解決手段】ケーブル451は、ユニット本体111の天井部111aに一端である固定端451bが固定され、底部111bに向けて延出して滑車151の下半周に巻かれて天井部111aに向けて延出し、他端である自由端451aにはハンディスキャナ401が接続される。ユニット本体111の天井部111aには、ケーブル451を挿通させる挿通部(ケーブル挿通孔112a)が開口形成されている。滑車151は、回動自在かつユニット本体111の長手方向に沿って底部111bと天井部111aとの間を昇降自在に保持されている。
【解決手段】ケーブル451は、ユニット本体111の天井部111aに一端である固定端451bが固定され、底部111bに向けて延出して滑車151の下半周に巻かれて天井部111aに向けて延出し、他端である自由端451aにはハンディスキャナ401が接続される。ユニット本体111の天井部111aには、ケーブル451を挿通させる挿通部(ケーブル挿通孔112a)が開口形成されている。滑車151は、回動自在かつユニット本体111の長手方向に沿って底部111bと天井部111aとの間を昇降自在に保持されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディスキャナのケーブルを収納するケーブル収納ユニット、ケーブル収納ユニットとハンディスキャナと縦型スキャナとを有するスキャナシステム、及び、チェックアウトカウンタを備えたチェックアウトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードスキャナとして、オペレータが手に持って自由に移動させて使用するハンディスキャナ(例えば、特許文献1参照)と、チェックアウトカウンタに固定的に設置されて据置使用される縦型スキャナとが普及している。
【0003】
ところで、商品によっては重すぎたり大きすぎたりしてチェックアウトカウンタ上への載置が困難で、縦型スキャナでのバーコード読み取りに馴染まない商品がある。そこで、ハンディスキャナが、POS端末又は縦型スキャナに接続されて、縦型スキャナの補助として使用されることがある。このような補助的に使用されるハンディスキャナのケーブルは、商品に届かないことがないように、使用が想定される距離範囲をカバーする最大限の長さが確保されている必要がある。
【0004】
【特許文献1】実開平5−18067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
補助的なハンディスキャナは、その未使用時には、ケーブルと共にチェックアウトカウンタの荷受面上に放置された状態となることが多い。すると、そのケーブルは相当程度の長さを有するので商品カゴや縦型スキャナ等に絡まってしまい、チェックアウト作業の妨げとなる問題が発生する。
【0006】
ケーブル長を短くすることでこの問題は解消される。しかし、ハンディスキャナを使用可能な距離範囲が大幅に限定されてしまうことになる。
【0007】
ここで、特許文献1には、リールを回転させてケーブルを巻き取ることで、ハンディスキャナのケーブル長を短くできるようにした技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術を採用する場合、リールと一体の操作ノブを回転させるという特別な作業をオペレータに強いることになるため煩雑である。
【0008】
本発明の目的は、ハンディスキャナのケーブルをその未使用時に特別な操作を必要としないで短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のケーブル収納ユニットは、円盤状の滑車と、上下方向に長い形状を有するユニット本体と、前記ユニット本体の天井部に一端である固定端が固定されて、当該固定端から底部に向けて延出して前記滑車の下半周に巻かれて前記天井部に向けて延出し、他端である自由端がハンディスキャナに接続するケーブルと、前記ユニット本体の天井部に開口形成されて前記ケーブルの前記延出部分を挿通させる挿通部と、前記滑車を回動自在かつ前記ユニット本体の長手方向に沿って前記底部と前記天井部との間を昇降自在に保持する保持機構と、を備える。
【0010】
本発明のスキャナシステムは、チェックアウトカウンタの荷受面上に設置される縦型スキャナと、ハンディスキャナと、チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって荷受面よりも下方位置に配置される上記のケーブル収納ユニットと、前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、を備える。
【0011】
本発明のチェックアウトシステムは、荷受面を有するチェックアウトカウンタと、前記荷受面上に設置される縦型スキャナと、ハンディスキャナと、前記チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって前記荷受面よりも下方位置に配置される上記のケーブル収納ユニットと、前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブルの自由端が引き抜かれると、滑車が巻き上げられて上昇し、ユニット本体に収納されていたケーブルの部分が引き出されるので、ハンディスキャナを自由に引き寄せることができる。そして、滑車は自重により降下して自由端を引き戻して、引き出されていたケーブルを再びユニット本体に収納させる。したがって、ハンディスキャナが接続される自由端側の引き抜き動作を止めるだけで、特別な操作を必要とせずに、ケーブルを短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0014】
図1は、チェックアウトシステム1を示す斜視図である。チェックアウトシステム1は、横長テーブル状のチェックアウトカウンタ301を主体に構成されている。チェックアウトカウンタ301の上面には、平坦な荷受面302が形成されている。荷受面302には、商品を収納する商品カゴ(図示せず)が載置される。荷受面302の両側における下方領域には、チェックアウト作業に必要な備品を収納する収納棚311が設けられている。
【0015】
チェックアウトカウンタ301の長手方向の略中央領域には、縦型スキャナ201が設置されている。縦型スキャナ201は、荷受面302において、オペレータから見て奥側に位置付けられている。縦型スキャナ201は、チェックアウトカウンタ301に隣接配置されるPOS端末(図示せず)とデータ送受信自在に接続されている。
【0016】
なお、縦型スキャナ201が設置される荷受面302の下方領域には、収納棚311は設けられておらず、縦型スキャナ201よりも手前側に位置させてパネル321が取り付けられている。
【0017】
縦型スキャナ201は、凹部がオペレータ側に形成された薄型矩形形状のスキャナベース202と、スキャナベース202の上部に取り付けられた操作部251とを主体に構成されている。
【0018】
操作部251は、スキャナハウジング211の正面よりも手前側に延出させて設けられ、その前部が下方下がりに傾斜した形状をしている。操作部251には、タッチパネル252が表面に積層されたディスプレイ253が設けられている。ディスプレイ253の右隣には複数個のキートップが配列されたキーボード254が配設されている。オペレータから見て操作部251の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用ディスプレイ255が設置されている。
【0019】
スキャナベース202には、その凹部に嵌まり込むようにして、薄型のスキャナハウジング211が設けられている。スキャナハウジング211の正面には、読取窓212が配置されている。スキャナハウジング211の内部には、読取窓212から読取光を照射する照明用LED、その反射光を受光するCCDイメージセンサ、CCDイメージセンサの出力信号に関してデコード処理を実行するデコーダ(いずれも図示せず)が内蔵されている。
【0020】
ところで、スキャナベース202は、荷受面302を貫通して、荷受面302の下方領域にまで延出されている。この延出部分は、パネル321によって目隠しされている。
【0021】
荷受面302には、スキャナベース202が差し込まれる貫通孔(図示せず)が形成されている。スキャナベース202の途中には、両側に延出する板状の鍔部203が一体的に設けられている。スキャナベース202が荷受面302の貫通孔に差し込まれると、鍔部203が荷受面302に支持される。こうして、縦型スキャナ201は、チェックアウトカウンタ301に設置される。
【0022】
図2は、チェックアウトシステム1を概略的に示す正面図である。図2では、チェックアウトカウンタ301からパネル321を取り外した状態を示している。スキャナベース202におけるチェックアウトカウンタ301への延出部分には、縦型スキャナ201が備えるプラグボックス271が配設されている。オペレータから見てスキャナベース202におけるこの延出部分の右側には、縦長のケーブル収納ユニット101が設置されている。ケーブル収納ユニット101については、後述する。
【0023】
オペレータから見てスキャナベース202の右側には、ハンディスキャナ401を保持するホルダ231が設けられている。ここで、ホルダ231は、ケーブル収納ユニット101の略直上となる位置でスキャナベース202に取り付けられている。縦型スキャナ201、ハンディスキャナ401、ケーブル収納ユニット101、及び、ホルダ231は、スキャナシステムを構成する。
【0024】
図3は、ホルダ231をハンディスキャナ401と共に示す斜視図である。
【0025】
ハンディスキャナ401について説明する。ハンディスキャナ401は、筐体402を主体に構成されている。筐体402は、オペレータが手で把持するための把持部402aと、把持部402aよりも幅広な読取部402bとを有する。読取部402bの先端には、商品に付されているバーコードに近付ける読取窓(図示せず)が設けられている。筐体402の内部には、この読取窓から読取光を照射する照明用LED、その反射光を受光するCCDイメージセンサ、CCDイメージセンサの出力信号に関してデコード処理を実行するデコーダ(いずれも図示せず)が設けられている。
【0026】
このようなハンディスキャナ401を保持するためのホルダ231は、略水平に設けられたU字形状のU字部232を有している。U字部232の内幅は、把持部402aよりも広く読取部402bよりも狭い。したがって、ハンディスキャナ401の把持部402aは、U字部232の開放部分から差し込まれる。
【0027】
U字部232に差し込まれたハンディスキャナ401は、自重により落下しようとする。すると、把持部402aと読取部402bとの付け根部分で、読取部402bがU字部232に突き当たり、筐体402の抜け落ちが規制される。このようにして、ハンディスキャナ401は、ホルダ231によって保持される。保持されたハンディスキャナ401は、U字部232の開放部分から、容易に引き抜くことができる。
【0028】
ところで、把持部402aの先端には、ケーブル451が接続されている。このようなケーブル451におけるハンディスキャナ401への接続端を自由端451aと呼ぶ。自由端451aを含むケーブル451は、ケーブル収納ユニット101から引き出されているものであり、荷受面302に形成された荷受面孔303から抜け出ている。
【0029】
ここで、荷受面孔303は、スキャナベース202が差し込まれるために荷受面302に形成された貫通孔の一部である。つまり、鍔部203には、荷受面孔303を形成するようにして切り欠けが形成されている。なお、荷受面孔303は、ケーブル451よりも大径である。そのため、ケーブル451は、荷受面孔303に対して規制されることなく、抜き差し自在となっている。
【0030】
図4は、ケーブル収納ユニット101を示す外観斜視図である。ケーブル収納ユニット101には、ケーブル451における自由端451aと他端である固定端451bとの途中部分が収納されている。本実施の形態では、ケーブル451の固定端451bは、縦型スキャナ201に接続されている。これにより、ハンディスキャナ401は、縦型スキャナ201に対してデータ送受信可能となっている。なお、固定端451bは、POS端末に接続されていてもよい。
【0031】
ケーブル収納ユニット101は、上下方向に長い薄型矩形形状を有する板金製のユニット本体111を主体に構成されている。ユニット本体111の上面を形成する本体上面部112には、ケーブル挿通孔112aとケーブル固定孔112bとが形成されている。ケーブル挿通孔112aからはケーブル451の自由端451a側が抜け出ている。ケーブル固定孔112bからは固定端451b側が抜け出ている。なお、詳細は後述するが、ケーブル挿通孔112aにおいてケーブル451は抜き差し自在である一方で、ケーブル固定孔112bにおいてケーブル451は抜き差し不可に固定されている。本実施の形態では、固定端451bは、このように固定された部分から縦型スキャナ201への接続部分までを含むケーブル451の部分を言う。
【0032】
ユニット本体111の正面(図4中左下側の面)を形成する本体正面部113には、ユニット本体111の長手方向(上下方向)に沿って形成された貫通孔(以下、レール孔121と呼ぶ)が設けられている。レール孔121の両端は、半円状に形成されている。レール孔121には、ユニット本体111の内側方向から、樹脂モールド品であるレール部材161(レール161c)が取り付けられている。
【0033】
図5は、レール部材161の取付状態を示す斜視図である。なお、図5中、ユニット本体111については本体正面部113のみを示し、本体正面部113とレール部材161とをその上側部分を切り欠いて示している。
【0034】
レール部材161は、平板状の平板部161aを主体に構成されている。平板部161aは、本体正面部113の外形よりも小さい矩形形状を有している。平板部161aの中央部分には、本体正面部113と同様に、長手方向(上下方向)に沿わせて両端が半円形状の貫通孔161bが形成されている。貫通孔161bの周囲には、平板部161aに対して直角方向に突出するレール161cが一体に設けられている。このレール161cは、本体正面部113に形成されたレール孔121の内周形状に沿わせた形状を有している。
【0035】
ユニット本体111の内側方向から、平板部161aが面接触するようにしてレール部材161を本体正面部113に取り付けることにより、突出したレール161cがレール孔121に対してその内周に接触して嵌まり込む。本体正面部113とレール部材161とは図示しない止着部材によって移動不可に固定される。
【0036】
図4の説明に戻る。レール161cには、樹脂モールド品であるリング状のカラー153が内側から差し込まれている。ここで、ユニット本体111には円盤状の滑車151が収納されており、カラー153は、この滑車151の回転中心である回転軸152の両端部分に固定的に嵌め込まれているものである。回転軸152は、滑車151に対して回転自在に設けられている。
【0037】
図6は、ケーブル収納ユニット101をユニット本体111の一部を切り欠いて示す外観斜視図である。なお、図6では、滑車151がユニット本体111の長手方向の略中央位置に位置する状態を示している。
【0038】
図6に示すように、ユニット本体111の背面を形成する本体背面部114にも、正面側のレール孔121に相当するレール孔121が形成されている。そして、この背面側のレール孔121にもレール161cが嵌まり込んでいる(図9参照)。つまり、本体背面部114にも、レール部材161が内側から固定的に取り付けられている。そして、背面側のレール孔121においても、レール161cには、他方のカラー153が内側から差し込まれている(図9参照)。正面側においても背面側においても、カラー153の外径は、レール161cの内幅に対して遊びをもっている。
【0039】
図6に示すように、滑車151は、その円盤面と下半周とを覆う板金製の滑車カバー171に収納されている。つまり、滑車151は、このような滑車カバー171に収納された状態で、ユニット本体111に収納されている。そして、このような滑車151の下半周に、ケーブル451が掛けられているのである。
【0040】
図7は、滑車151と滑車カバー171とを示す分解斜視図である。図8は、滑車カバー171に収納された滑車151を示す側面図である。
【0041】
滑車151には、200g〜250g程度の重量を有する錘(図示せず)が内蔵されている。滑車151の外周には、ケーブル451が嵌まり込む幅と深さとを有する溝(以下、外周溝154と呼ぶ)が形成されている。滑車151は、外周溝154にケーブル451が掛けられた状態で、滑車カバー171に収納される。
【0042】
滑車カバー171は、前述したように、滑車151の円盤面と下半周とを覆う。つまり、滑車カバー171は、滑車151の両方の円盤面を覆うカバー正面部171a及びカバー背面部171bと、外周溝154の下半分を覆うカバー側部171cとを有する。さらに、滑車カバー171は、滑車151の底面を覆うカバー底面部171dを有する。このような滑車カバー171は、収納された状態の滑車151の外周溝154の上半分を露出させる。
【0043】
両方のカバー側部171cには、カバー底面部171dに寄せた位置に、半球状の金属部材である緩衝部172が固定されている。緩衝部172については、後述する。
【0044】
滑車カバー171に収納された状態で、滑車151の中心には回転軸152が差し込まれる。差し込まれた状態で、回転軸152は、カバー正面部171aとカバー背面部171bとから突出する部分を有する。この回転軸152における突出部分には、樹脂モールド品であるカラー153が図示しないブッシュを介して固定的に取り付けられる。また、滑車カバー171に収納されて回転軸152が差し込まれた滑車151は、図8に示すように、その状態において、底面部分がカバー底面部171dと接触しない位置に位置付けられている。
【0045】
図9は、図4のA−A線断面図である。回転軸152は、滑車151に対してベアリング155を介して嵌め込まれている。そのため、回転軸152は、滑車151に対して回転自在となっている。
【0046】
図9に示すように、滑車カバー171は、その断面形状においていわばユニット本体111の形状を内側にオフセットさせた形状を有している。つまり、ユニット本体111と滑車カバー171との間には、隙間が形成されている。
【0047】
本体正面部113とカバー正面部171aとの間の隙間には、本体正面部113の内壁に取り付けられた平板部161aが位置付けられている。同様に、本体背面部114とカバー背面部171bとの間の隙間には、本体背面部114に取り付けられた平板部161aが位置付けられている。ここで、一対の平板部161a同士が形成する幅は、カバー正面部171aとカバー底面部171dとが形成する幅よりも幅広になっている。
【0048】
ユニット本体111の両側面を形成する本体側面部115とカバー側部171cとの間の隙間には、カバー側部171cに固定された緩衝部172が位置付けられている。ここで、一対の本体側面部115が形成する幅は、一対の緩衝部172同士が形成する幅よりも幅広になっている。
【0049】
したがって、滑車カバー171は、ユニット本体111に対して当接するものではない。そして、前述したように、カラー153もレール161cに対して遊びがもたれていることから、滑車151を収納する滑車カバー171は、ユニット本体111内において規制されることなく、レール161cに沿って昇降自在に保持されている。つまり、外力を付与することによって滑車151は、収納された滑車カバー171と共にレール161cに沿って上昇させることは可能であるし、また、その外力付与を解除すれば、この滑車151は、滑車カバー171と共にレール161cに沿って降下する。以下、滑車カバー171に収納された滑車151についても、単に「滑車151」と呼ぶことがある。
【0050】
レール161cに沿った滑車151の昇降過程において、その位置に揺れが生じることがある。カラー153がレール161cに対して遊びをもつからである。しかし、このような揺れが生じても、緩衝部172が本体側面部115に接触するので、カバー側部171cが直接に本体側面部115と接触してしまうことが回避される。
【0051】
図10は、ケーブル収納ユニット101の内部構造を示す模式図である。前述したように、ユニット本体111に収納されているケーブル451の固定端451b側は、抜き差し不可に固定されている。このようなケーブル451の固定は、ケーブル固定孔112bに固定的に設けられたチューブ状の固定部材191にケーブル451が圧入されることによって実現されている。
【0052】
固定部材191の下方位置には、ユニット本体111の内部を横断するようにして天井板182aが固定されている。天井板182aには、ケーブル451の自由端451a側と固定端451b側とを通過させるためのケーブル451よりも大径の貫通孔が形成されている。このような天井板182aの下面には、その面を覆うようにしてスポンジ製の天井クッション182が取り付けられている。天井クッション182にも、天井板182aに形成されている孔に対応させて、ケーブル451よりも大径の貫通孔が形成されている。天井クッション182が設けられているユニット本体111における上端部を天井部111aと呼ぶ。
【0053】
ユニット本体111の底面を形成する本体底面部116の上面にも、その面を覆うようにして、スポンジ製の底クッション181が取り付けられている。滑車カバー171に何ら外力が付与されていない状態では、この滑車カバー171は底クッション181と接触した状態となっている。底クッション181が設けられているユニット本体111における下端部を底部111bと呼ぶ。
【0054】
ここで、本実施の形態のケーブル451は、ホルダ231にハンディスキャナ401が保持された状態(図1、図2参照)で、滑車151が自重により底クッション181上に位置付けられる長さを備えている。
【0055】
図11は、底部111bと天井部111aとに位置する滑車151を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。図11中、ユニット本体111を透過して示し、天井部111aに位置する滑車151を破線で示す。また、図11中、ハンディスキャナ401はホルダ231(図11中では図示せず)に保持されている。前述したように、この場合においては、滑車151は底部111bで底クッション181上に位置付けられている。
【0056】
このような構成において、オペレータがハンディスキャナ401をホルダ231から取り外して所定の使用位置に位置付けると、ケーブル451の自由端451aはケーブル収納ユニット101に対して引き抜かれて、ユニット本体111に収納されているケーブル451の自由端451a側の部分は、ケーブル挿通孔112aから抜け出ようとする。このとき、他方の固定端451b側は、固定部材191によって固定されているため、ケーブル451は、底クッション181上の滑車151を巻き上げる。このとき、滑車151はレール孔121(レール161c)に沿って昇降自在であるため、レール孔121に沿って上昇する。
【0057】
このような巻き上げに際しては、滑車151は、回転軸152に対して回転自在であるため、ケーブル451との摩擦による回転を伴う。滑車151の回転が伴うため、自由端451aの引き抜き動作は非常にスムーズに行われる。
【0058】
滑車151は、ケーブル451に巻き上げられて上昇を続けて天井部111aに至ると、天井クッション182に衝突して上方向への移動が規制される。天井クッション182はスポンジ製であるため、勢い良く滑車151が衝突した場合における滑車151の衝撃は緩和される。こうして、上方向への移動が規制されて滑車151に上昇の余地がなくなると、これ以上のケーブル451の自由端451a側の引き抜き動作は不可となる。
【0059】
そして、ハンディスキャナ401の使用が終了したならば、オペレータはハンディスキャナ401をホルダ231に戻して保持させる。このように本実施の形態によれば、縦型スキャナ201にホルダ231が設けられているため、ハンディスキャナ401は、その使用後において荷受面302等に放置されることがなくなる。
【0060】
ハンディスキャナ401をホルダ231に戻すに際しては、ケーブル451に対する外力付与は解除される。すると、上昇していた滑車151は、その自重によってレール孔121に沿って降下を開始する。ケーブル挿通孔112aから排出されていたケーブル451の自由端451a側部分は、降下する滑車151によって引き戻されて、再びユニット本体111に収納される。
【0061】
降下する滑車151は、底部111bに至り底クッション181に衝突して下方向への移動が規制される。底クッション181はスポンジ製であるため、勢い良く滑車151が衝突した場合における滑車151の衝撃は緩和される。こうして、下方向への移動が規制されて滑車151に下降の余地がなくなると、ケーブル451の引き戻しは終了する。
【0062】
以上説明したように本実施の形態によれば、自由端451aが引き抜かれると、ケーブル451におけるユニット本体111に収納されていた部分が引き出されるため、ハンディスキャナ401を縦型スキャナ201から離れた位置に自由に引き寄せることができる。そして、ハンディスキャナ401をホルダ231に戻して自由端451aの排出方向への引き抜き動作を終了させると、引き出されていたケーブル451は再びユニット本体111に収納されることになる。つまり、ハンディスキャナ401が接続された自由端451a側の引き抜きを止めるだけで、特別な操作を必要とせずに、ケーブル451を短くすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、ケーブル収納ユニット101及びホルダ231が縦型スキャナ201の右側に位置付けられた例を示したが、縦型スキャナ201の左側に位置付けられていてもよい。これにより、チェックアウトシステム1の自由なレイアウトに対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】チェックアウトシステムを示す斜視図である。
【図2】チェックアウトシステムを概略的に示す正面図である。
【図3】ホルダをハンディスキャナと共に示す斜視図である。
【図4】ケーブル収納ユニットを示す外観斜視図である。
【図5】レール部材の取付状態を示す斜視図である。
【図6】ケーブル収納ユニットをユニット本体の一部を切り欠いて示す外観斜視図である。
【図7】滑車と滑車カバーとを示す分解斜視図である。
【図8】滑車カバーに収納された滑車を示す側面図である。
【図9】図4のA−A線断面図である。
【図10】ケーブル収納ユニットの内部構造を示す模式図である。
【図11】底部と天井部とに位置する滑車を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1…チェックアウトシステム、101…ケーブル収納ユニット、111…ユニット本体、111a…天井部、111b…底部、112a…ケーブル挿通孔(挿通部)、151…滑車、152…回転軸、161c…レール、181…底クッション、182…天井クッション、201…縦型スキャナ、231…ホルダ、301…チェックアウトカウンタ、302…荷受面、401…ハンディスキャナ、451…ケーブル、451a…自由端、451b…固定端
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディスキャナのケーブルを収納するケーブル収納ユニット、ケーブル収納ユニットとハンディスキャナと縦型スキャナとを有するスキャナシステム、及び、チェックアウトカウンタを備えたチェックアウトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードスキャナとして、オペレータが手に持って自由に移動させて使用するハンディスキャナ(例えば、特許文献1参照)と、チェックアウトカウンタに固定的に設置されて据置使用される縦型スキャナとが普及している。
【0003】
ところで、商品によっては重すぎたり大きすぎたりしてチェックアウトカウンタ上への載置が困難で、縦型スキャナでのバーコード読み取りに馴染まない商品がある。そこで、ハンディスキャナが、POS端末又は縦型スキャナに接続されて、縦型スキャナの補助として使用されることがある。このような補助的に使用されるハンディスキャナのケーブルは、商品に届かないことがないように、使用が想定される距離範囲をカバーする最大限の長さが確保されている必要がある。
【0004】
【特許文献1】実開平5−18067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
補助的なハンディスキャナは、その未使用時には、ケーブルと共にチェックアウトカウンタの荷受面上に放置された状態となることが多い。すると、そのケーブルは相当程度の長さを有するので商品カゴや縦型スキャナ等に絡まってしまい、チェックアウト作業の妨げとなる問題が発生する。
【0006】
ケーブル長を短くすることでこの問題は解消される。しかし、ハンディスキャナを使用可能な距離範囲が大幅に限定されてしまうことになる。
【0007】
ここで、特許文献1には、リールを回転させてケーブルを巻き取ることで、ハンディスキャナのケーブル長を短くできるようにした技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術を採用する場合、リールと一体の操作ノブを回転させるという特別な作業をオペレータに強いることになるため煩雑である。
【0008】
本発明の目的は、ハンディスキャナのケーブルをその未使用時に特別な操作を必要としないで短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のケーブル収納ユニットは、円盤状の滑車と、上下方向に長い形状を有するユニット本体と、前記ユニット本体の天井部に一端である固定端が固定されて、当該固定端から底部に向けて延出して前記滑車の下半周に巻かれて前記天井部に向けて延出し、他端である自由端がハンディスキャナに接続するケーブルと、前記ユニット本体の天井部に開口形成されて前記ケーブルの前記延出部分を挿通させる挿通部と、前記滑車を回動自在かつ前記ユニット本体の長手方向に沿って前記底部と前記天井部との間を昇降自在に保持する保持機構と、を備える。
【0010】
本発明のスキャナシステムは、チェックアウトカウンタの荷受面上に設置される縦型スキャナと、ハンディスキャナと、チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって荷受面よりも下方位置に配置される上記のケーブル収納ユニットと、前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、を備える。
【0011】
本発明のチェックアウトシステムは、荷受面を有するチェックアウトカウンタと、前記荷受面上に設置される縦型スキャナと、ハンディスキャナと、前記チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって前記荷受面よりも下方位置に配置される上記のケーブル収納ユニットと、前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ケーブルの自由端が引き抜かれると、滑車が巻き上げられて上昇し、ユニット本体に収納されていたケーブルの部分が引き出されるので、ハンディスキャナを自由に引き寄せることができる。そして、滑車は自重により降下して自由端を引き戻して、引き出されていたケーブルを再びユニット本体に収納させる。したがって、ハンディスキャナが接続される自由端側の引き抜き動作を止めるだけで、特別な操作を必要とせずに、ケーブルを短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を図1ないし図11に基づいて説明する。
【0014】
図1は、チェックアウトシステム1を示す斜視図である。チェックアウトシステム1は、横長テーブル状のチェックアウトカウンタ301を主体に構成されている。チェックアウトカウンタ301の上面には、平坦な荷受面302が形成されている。荷受面302には、商品を収納する商品カゴ(図示せず)が載置される。荷受面302の両側における下方領域には、チェックアウト作業に必要な備品を収納する収納棚311が設けられている。
【0015】
チェックアウトカウンタ301の長手方向の略中央領域には、縦型スキャナ201が設置されている。縦型スキャナ201は、荷受面302において、オペレータから見て奥側に位置付けられている。縦型スキャナ201は、チェックアウトカウンタ301に隣接配置されるPOS端末(図示せず)とデータ送受信自在に接続されている。
【0016】
なお、縦型スキャナ201が設置される荷受面302の下方領域には、収納棚311は設けられておらず、縦型スキャナ201よりも手前側に位置させてパネル321が取り付けられている。
【0017】
縦型スキャナ201は、凹部がオペレータ側に形成された薄型矩形形状のスキャナベース202と、スキャナベース202の上部に取り付けられた操作部251とを主体に構成されている。
【0018】
操作部251は、スキャナハウジング211の正面よりも手前側に延出させて設けられ、その前部が下方下がりに傾斜した形状をしている。操作部251には、タッチパネル252が表面に積層されたディスプレイ253が設けられている。ディスプレイ253の右隣には複数個のキートップが配列されたキーボード254が配設されている。オペレータから見て操作部251の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用ディスプレイ255が設置されている。
【0019】
スキャナベース202には、その凹部に嵌まり込むようにして、薄型のスキャナハウジング211が設けられている。スキャナハウジング211の正面には、読取窓212が配置されている。スキャナハウジング211の内部には、読取窓212から読取光を照射する照明用LED、その反射光を受光するCCDイメージセンサ、CCDイメージセンサの出力信号に関してデコード処理を実行するデコーダ(いずれも図示せず)が内蔵されている。
【0020】
ところで、スキャナベース202は、荷受面302を貫通して、荷受面302の下方領域にまで延出されている。この延出部分は、パネル321によって目隠しされている。
【0021】
荷受面302には、スキャナベース202が差し込まれる貫通孔(図示せず)が形成されている。スキャナベース202の途中には、両側に延出する板状の鍔部203が一体的に設けられている。スキャナベース202が荷受面302の貫通孔に差し込まれると、鍔部203が荷受面302に支持される。こうして、縦型スキャナ201は、チェックアウトカウンタ301に設置される。
【0022】
図2は、チェックアウトシステム1を概略的に示す正面図である。図2では、チェックアウトカウンタ301からパネル321を取り外した状態を示している。スキャナベース202におけるチェックアウトカウンタ301への延出部分には、縦型スキャナ201が備えるプラグボックス271が配設されている。オペレータから見てスキャナベース202におけるこの延出部分の右側には、縦長のケーブル収納ユニット101が設置されている。ケーブル収納ユニット101については、後述する。
【0023】
オペレータから見てスキャナベース202の右側には、ハンディスキャナ401を保持するホルダ231が設けられている。ここで、ホルダ231は、ケーブル収納ユニット101の略直上となる位置でスキャナベース202に取り付けられている。縦型スキャナ201、ハンディスキャナ401、ケーブル収納ユニット101、及び、ホルダ231は、スキャナシステムを構成する。
【0024】
図3は、ホルダ231をハンディスキャナ401と共に示す斜視図である。
【0025】
ハンディスキャナ401について説明する。ハンディスキャナ401は、筐体402を主体に構成されている。筐体402は、オペレータが手で把持するための把持部402aと、把持部402aよりも幅広な読取部402bとを有する。読取部402bの先端には、商品に付されているバーコードに近付ける読取窓(図示せず)が設けられている。筐体402の内部には、この読取窓から読取光を照射する照明用LED、その反射光を受光するCCDイメージセンサ、CCDイメージセンサの出力信号に関してデコード処理を実行するデコーダ(いずれも図示せず)が設けられている。
【0026】
このようなハンディスキャナ401を保持するためのホルダ231は、略水平に設けられたU字形状のU字部232を有している。U字部232の内幅は、把持部402aよりも広く読取部402bよりも狭い。したがって、ハンディスキャナ401の把持部402aは、U字部232の開放部分から差し込まれる。
【0027】
U字部232に差し込まれたハンディスキャナ401は、自重により落下しようとする。すると、把持部402aと読取部402bとの付け根部分で、読取部402bがU字部232に突き当たり、筐体402の抜け落ちが規制される。このようにして、ハンディスキャナ401は、ホルダ231によって保持される。保持されたハンディスキャナ401は、U字部232の開放部分から、容易に引き抜くことができる。
【0028】
ところで、把持部402aの先端には、ケーブル451が接続されている。このようなケーブル451におけるハンディスキャナ401への接続端を自由端451aと呼ぶ。自由端451aを含むケーブル451は、ケーブル収納ユニット101から引き出されているものであり、荷受面302に形成された荷受面孔303から抜け出ている。
【0029】
ここで、荷受面孔303は、スキャナベース202が差し込まれるために荷受面302に形成された貫通孔の一部である。つまり、鍔部203には、荷受面孔303を形成するようにして切り欠けが形成されている。なお、荷受面孔303は、ケーブル451よりも大径である。そのため、ケーブル451は、荷受面孔303に対して規制されることなく、抜き差し自在となっている。
【0030】
図4は、ケーブル収納ユニット101を示す外観斜視図である。ケーブル収納ユニット101には、ケーブル451における自由端451aと他端である固定端451bとの途中部分が収納されている。本実施の形態では、ケーブル451の固定端451bは、縦型スキャナ201に接続されている。これにより、ハンディスキャナ401は、縦型スキャナ201に対してデータ送受信可能となっている。なお、固定端451bは、POS端末に接続されていてもよい。
【0031】
ケーブル収納ユニット101は、上下方向に長い薄型矩形形状を有する板金製のユニット本体111を主体に構成されている。ユニット本体111の上面を形成する本体上面部112には、ケーブル挿通孔112aとケーブル固定孔112bとが形成されている。ケーブル挿通孔112aからはケーブル451の自由端451a側が抜け出ている。ケーブル固定孔112bからは固定端451b側が抜け出ている。なお、詳細は後述するが、ケーブル挿通孔112aにおいてケーブル451は抜き差し自在である一方で、ケーブル固定孔112bにおいてケーブル451は抜き差し不可に固定されている。本実施の形態では、固定端451bは、このように固定された部分から縦型スキャナ201への接続部分までを含むケーブル451の部分を言う。
【0032】
ユニット本体111の正面(図4中左下側の面)を形成する本体正面部113には、ユニット本体111の長手方向(上下方向)に沿って形成された貫通孔(以下、レール孔121と呼ぶ)が設けられている。レール孔121の両端は、半円状に形成されている。レール孔121には、ユニット本体111の内側方向から、樹脂モールド品であるレール部材161(レール161c)が取り付けられている。
【0033】
図5は、レール部材161の取付状態を示す斜視図である。なお、図5中、ユニット本体111については本体正面部113のみを示し、本体正面部113とレール部材161とをその上側部分を切り欠いて示している。
【0034】
レール部材161は、平板状の平板部161aを主体に構成されている。平板部161aは、本体正面部113の外形よりも小さい矩形形状を有している。平板部161aの中央部分には、本体正面部113と同様に、長手方向(上下方向)に沿わせて両端が半円形状の貫通孔161bが形成されている。貫通孔161bの周囲には、平板部161aに対して直角方向に突出するレール161cが一体に設けられている。このレール161cは、本体正面部113に形成されたレール孔121の内周形状に沿わせた形状を有している。
【0035】
ユニット本体111の内側方向から、平板部161aが面接触するようにしてレール部材161を本体正面部113に取り付けることにより、突出したレール161cがレール孔121に対してその内周に接触して嵌まり込む。本体正面部113とレール部材161とは図示しない止着部材によって移動不可に固定される。
【0036】
図4の説明に戻る。レール161cには、樹脂モールド品であるリング状のカラー153が内側から差し込まれている。ここで、ユニット本体111には円盤状の滑車151が収納されており、カラー153は、この滑車151の回転中心である回転軸152の両端部分に固定的に嵌め込まれているものである。回転軸152は、滑車151に対して回転自在に設けられている。
【0037】
図6は、ケーブル収納ユニット101をユニット本体111の一部を切り欠いて示す外観斜視図である。なお、図6では、滑車151がユニット本体111の長手方向の略中央位置に位置する状態を示している。
【0038】
図6に示すように、ユニット本体111の背面を形成する本体背面部114にも、正面側のレール孔121に相当するレール孔121が形成されている。そして、この背面側のレール孔121にもレール161cが嵌まり込んでいる(図9参照)。つまり、本体背面部114にも、レール部材161が内側から固定的に取り付けられている。そして、背面側のレール孔121においても、レール161cには、他方のカラー153が内側から差し込まれている(図9参照)。正面側においても背面側においても、カラー153の外径は、レール161cの内幅に対して遊びをもっている。
【0039】
図6に示すように、滑車151は、その円盤面と下半周とを覆う板金製の滑車カバー171に収納されている。つまり、滑車151は、このような滑車カバー171に収納された状態で、ユニット本体111に収納されている。そして、このような滑車151の下半周に、ケーブル451が掛けられているのである。
【0040】
図7は、滑車151と滑車カバー171とを示す分解斜視図である。図8は、滑車カバー171に収納された滑車151を示す側面図である。
【0041】
滑車151には、200g〜250g程度の重量を有する錘(図示せず)が内蔵されている。滑車151の外周には、ケーブル451が嵌まり込む幅と深さとを有する溝(以下、外周溝154と呼ぶ)が形成されている。滑車151は、外周溝154にケーブル451が掛けられた状態で、滑車カバー171に収納される。
【0042】
滑車カバー171は、前述したように、滑車151の円盤面と下半周とを覆う。つまり、滑車カバー171は、滑車151の両方の円盤面を覆うカバー正面部171a及びカバー背面部171bと、外周溝154の下半分を覆うカバー側部171cとを有する。さらに、滑車カバー171は、滑車151の底面を覆うカバー底面部171dを有する。このような滑車カバー171は、収納された状態の滑車151の外周溝154の上半分を露出させる。
【0043】
両方のカバー側部171cには、カバー底面部171dに寄せた位置に、半球状の金属部材である緩衝部172が固定されている。緩衝部172については、後述する。
【0044】
滑車カバー171に収納された状態で、滑車151の中心には回転軸152が差し込まれる。差し込まれた状態で、回転軸152は、カバー正面部171aとカバー背面部171bとから突出する部分を有する。この回転軸152における突出部分には、樹脂モールド品であるカラー153が図示しないブッシュを介して固定的に取り付けられる。また、滑車カバー171に収納されて回転軸152が差し込まれた滑車151は、図8に示すように、その状態において、底面部分がカバー底面部171dと接触しない位置に位置付けられている。
【0045】
図9は、図4のA−A線断面図である。回転軸152は、滑車151に対してベアリング155を介して嵌め込まれている。そのため、回転軸152は、滑車151に対して回転自在となっている。
【0046】
図9に示すように、滑車カバー171は、その断面形状においていわばユニット本体111の形状を内側にオフセットさせた形状を有している。つまり、ユニット本体111と滑車カバー171との間には、隙間が形成されている。
【0047】
本体正面部113とカバー正面部171aとの間の隙間には、本体正面部113の内壁に取り付けられた平板部161aが位置付けられている。同様に、本体背面部114とカバー背面部171bとの間の隙間には、本体背面部114に取り付けられた平板部161aが位置付けられている。ここで、一対の平板部161a同士が形成する幅は、カバー正面部171aとカバー底面部171dとが形成する幅よりも幅広になっている。
【0048】
ユニット本体111の両側面を形成する本体側面部115とカバー側部171cとの間の隙間には、カバー側部171cに固定された緩衝部172が位置付けられている。ここで、一対の本体側面部115が形成する幅は、一対の緩衝部172同士が形成する幅よりも幅広になっている。
【0049】
したがって、滑車カバー171は、ユニット本体111に対して当接するものではない。そして、前述したように、カラー153もレール161cに対して遊びがもたれていることから、滑車151を収納する滑車カバー171は、ユニット本体111内において規制されることなく、レール161cに沿って昇降自在に保持されている。つまり、外力を付与することによって滑車151は、収納された滑車カバー171と共にレール161cに沿って上昇させることは可能であるし、また、その外力付与を解除すれば、この滑車151は、滑車カバー171と共にレール161cに沿って降下する。以下、滑車カバー171に収納された滑車151についても、単に「滑車151」と呼ぶことがある。
【0050】
レール161cに沿った滑車151の昇降過程において、その位置に揺れが生じることがある。カラー153がレール161cに対して遊びをもつからである。しかし、このような揺れが生じても、緩衝部172が本体側面部115に接触するので、カバー側部171cが直接に本体側面部115と接触してしまうことが回避される。
【0051】
図10は、ケーブル収納ユニット101の内部構造を示す模式図である。前述したように、ユニット本体111に収納されているケーブル451の固定端451b側は、抜き差し不可に固定されている。このようなケーブル451の固定は、ケーブル固定孔112bに固定的に設けられたチューブ状の固定部材191にケーブル451が圧入されることによって実現されている。
【0052】
固定部材191の下方位置には、ユニット本体111の内部を横断するようにして天井板182aが固定されている。天井板182aには、ケーブル451の自由端451a側と固定端451b側とを通過させるためのケーブル451よりも大径の貫通孔が形成されている。このような天井板182aの下面には、その面を覆うようにしてスポンジ製の天井クッション182が取り付けられている。天井クッション182にも、天井板182aに形成されている孔に対応させて、ケーブル451よりも大径の貫通孔が形成されている。天井クッション182が設けられているユニット本体111における上端部を天井部111aと呼ぶ。
【0053】
ユニット本体111の底面を形成する本体底面部116の上面にも、その面を覆うようにして、スポンジ製の底クッション181が取り付けられている。滑車カバー171に何ら外力が付与されていない状態では、この滑車カバー171は底クッション181と接触した状態となっている。底クッション181が設けられているユニット本体111における下端部を底部111bと呼ぶ。
【0054】
ここで、本実施の形態のケーブル451は、ホルダ231にハンディスキャナ401が保持された状態(図1、図2参照)で、滑車151が自重により底クッション181上に位置付けられる長さを備えている。
【0055】
図11は、底部111bと天井部111aとに位置する滑車151を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。図11中、ユニット本体111を透過して示し、天井部111aに位置する滑車151を破線で示す。また、図11中、ハンディスキャナ401はホルダ231(図11中では図示せず)に保持されている。前述したように、この場合においては、滑車151は底部111bで底クッション181上に位置付けられている。
【0056】
このような構成において、オペレータがハンディスキャナ401をホルダ231から取り外して所定の使用位置に位置付けると、ケーブル451の自由端451aはケーブル収納ユニット101に対して引き抜かれて、ユニット本体111に収納されているケーブル451の自由端451a側の部分は、ケーブル挿通孔112aから抜け出ようとする。このとき、他方の固定端451b側は、固定部材191によって固定されているため、ケーブル451は、底クッション181上の滑車151を巻き上げる。このとき、滑車151はレール孔121(レール161c)に沿って昇降自在であるため、レール孔121に沿って上昇する。
【0057】
このような巻き上げに際しては、滑車151は、回転軸152に対して回転自在であるため、ケーブル451との摩擦による回転を伴う。滑車151の回転が伴うため、自由端451aの引き抜き動作は非常にスムーズに行われる。
【0058】
滑車151は、ケーブル451に巻き上げられて上昇を続けて天井部111aに至ると、天井クッション182に衝突して上方向への移動が規制される。天井クッション182はスポンジ製であるため、勢い良く滑車151が衝突した場合における滑車151の衝撃は緩和される。こうして、上方向への移動が規制されて滑車151に上昇の余地がなくなると、これ以上のケーブル451の自由端451a側の引き抜き動作は不可となる。
【0059】
そして、ハンディスキャナ401の使用が終了したならば、オペレータはハンディスキャナ401をホルダ231に戻して保持させる。このように本実施の形態によれば、縦型スキャナ201にホルダ231が設けられているため、ハンディスキャナ401は、その使用後において荷受面302等に放置されることがなくなる。
【0060】
ハンディスキャナ401をホルダ231に戻すに際しては、ケーブル451に対する外力付与は解除される。すると、上昇していた滑車151は、その自重によってレール孔121に沿って降下を開始する。ケーブル挿通孔112aから排出されていたケーブル451の自由端451a側部分は、降下する滑車151によって引き戻されて、再びユニット本体111に収納される。
【0061】
降下する滑車151は、底部111bに至り底クッション181に衝突して下方向への移動が規制される。底クッション181はスポンジ製であるため、勢い良く滑車151が衝突した場合における滑車151の衝撃は緩和される。こうして、下方向への移動が規制されて滑車151に下降の余地がなくなると、ケーブル451の引き戻しは終了する。
【0062】
以上説明したように本実施の形態によれば、自由端451aが引き抜かれると、ケーブル451におけるユニット本体111に収納されていた部分が引き出されるため、ハンディスキャナ401を縦型スキャナ201から離れた位置に自由に引き寄せることができる。そして、ハンディスキャナ401をホルダ231に戻して自由端451aの排出方向への引き抜き動作を終了させると、引き出されていたケーブル451は再びユニット本体111に収納されることになる。つまり、ハンディスキャナ401が接続された自由端451a側の引き抜きを止めるだけで、特別な操作を必要とせずに、ケーブル451を短くすることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、ケーブル収納ユニット101及びホルダ231が縦型スキャナ201の右側に位置付けられた例を示したが、縦型スキャナ201の左側に位置付けられていてもよい。これにより、チェックアウトシステム1の自由なレイアウトに対応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】チェックアウトシステムを示す斜視図である。
【図2】チェックアウトシステムを概略的に示す正面図である。
【図3】ホルダをハンディスキャナと共に示す斜視図である。
【図4】ケーブル収納ユニットを示す外観斜視図である。
【図5】レール部材の取付状態を示す斜視図である。
【図6】ケーブル収納ユニットをユニット本体の一部を切り欠いて示す外観斜視図である。
【図7】滑車と滑車カバーとを示す分解斜視図である。
【図8】滑車カバーに収納された滑車を示す側面図である。
【図9】図4のA−A線断面図である。
【図10】ケーブル収納ユニットの内部構造を示す模式図である。
【図11】底部と天井部とに位置する滑車を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
【0065】
1…チェックアウトシステム、101…ケーブル収納ユニット、111…ユニット本体、111a…天井部、111b…底部、112a…ケーブル挿通孔(挿通部)、151…滑車、152…回転軸、161c…レール、181…底クッション、182…天井クッション、201…縦型スキャナ、231…ホルダ、301…チェックアウトカウンタ、302…荷受面、401…ハンディスキャナ、451…ケーブル、451a…自由端、451b…固定端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状の滑車と、
上下方向に長い形状を有するユニット本体と、
前記ユニット本体の天井部に一端である固定端が固定されて、当該固定端から底部に向けて延出して前記滑車の下半周に巻かれて前記天井部に向けて延出し、他端である自由端がハンディスキャナに接続するケーブルと、
前記ユニット本体の天井部に開口形成されて前記ケーブルの前記延出部分を挿通させる挿通部と、
前記滑車を回動自在かつ前記ユニット本体の長手方向に沿って前記底部と前記天井部との間を昇降自在に保持する保持機構と、
を備えるケーブル収納ユニット。
【請求項2】
前記天井部における上昇する前記滑車が衝突する位置に設けられた天井クッションと、
前記底部における降下する前記滑車が衝突する位置に設けられた底クッションと、
を備える、
請求項1記載のケーブル収納ユニット。
【請求項3】
前記滑車は、錘を内蔵する、
請求項1又は2記載のケーブル収納ユニット。
【請求項4】
前記ケーブルの自由端に接続されたハンディスキャナを備える、
請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニット。
【請求項5】
チェックアウトカウンタの荷受面上に設置される縦型スキャナと、
ハンディスキャナと、
チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって荷受面よりも下方位置に配置される、請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニットと、
前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、
を備えるスキャナシステム。
【請求項6】
荷受面を有するチェックアウトカウンタと、
前記荷受面上に設置される縦型スキャナと、
ハンディスキャナと、
前記チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって前記荷受面よりも下方位置に配置される、請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニットと、
前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、
を備えるチェックアウトシステム。
【請求項1】
円盤状の滑車と、
上下方向に長い形状を有するユニット本体と、
前記ユニット本体の天井部に一端である固定端が固定されて、当該固定端から底部に向けて延出して前記滑車の下半周に巻かれて前記天井部に向けて延出し、他端である自由端がハンディスキャナに接続するケーブルと、
前記ユニット本体の天井部に開口形成されて前記ケーブルの前記延出部分を挿通させる挿通部と、
前記滑車を回動自在かつ前記ユニット本体の長手方向に沿って前記底部と前記天井部との間を昇降自在に保持する保持機構と、
を備えるケーブル収納ユニット。
【請求項2】
前記天井部における上昇する前記滑車が衝突する位置に設けられた天井クッションと、
前記底部における降下する前記滑車が衝突する位置に設けられた底クッションと、
を備える、
請求項1記載のケーブル収納ユニット。
【請求項3】
前記滑車は、錘を内蔵する、
請求項1又は2記載のケーブル収納ユニット。
【請求項4】
前記ケーブルの自由端に接続されたハンディスキャナを備える、
請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニット。
【請求項5】
チェックアウトカウンタの荷受面上に設置される縦型スキャナと、
ハンディスキャナと、
チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって荷受面よりも下方位置に配置される、請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニットと、
前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、
を備えるスキャナシステム。
【請求項6】
荷受面を有するチェックアウトカウンタと、
前記荷受面上に設置される縦型スキャナと、
ハンディスキャナと、
前記チェックアウトカウンタにおける前記縦型スキャナの一側であって前記荷受面よりも下方位置に配置される、請求項1ないし3のいずれか一記載のケーブル収納ユニットと、
前記ケーブル収納ユニットの略真上位置で前記縦型スキャナに設けられて前記ハンディスキャナを保持するホルダと、
を備えるチェックアウトシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−9202(P2010−9202A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165915(P2008−165915)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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