説明

ケーブル型二次電池及びその製造方法

【課題】可撓性及び弾性に優れており、活物質の脱離を予防することができるケーブル型二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】細長いワイヤ型の第1極性集電体上に少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を形成し、該第1極性電極活物質層を囲むように電解質層を形成し、該電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第2極性活物質層を形成した後該第2極性活物質層を第2極性集電体で囲んで電極組立体120を形成する。更に該電極組立体120をカバー部材110で囲み、該第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分を基準にして実質的にS字状になるように上記電極組立体120及び上記カバー部材110を連続して屈曲させることによりケーブル型二次電池100を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形自在なケーブル型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2010年10月21日出願の韓国特許出願第10−2010−0102969号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書および図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【0003】
最近、無線通信技術の発展はモバイルデバイスの大衆化を主導しており、このような無線化技術の発達につれて二次電池がデバイスの電源として必須になりつつある。一方、環境汚染などの防止のため、電気自動車、ハイブリッド自動車などが開発されており、このような車両の動力源も二次電池である。
【0004】
このように、二次電池は多くの産業分野でその使用頻度が急増しており、使用分野の特性によって、二次電池の出力、容量、構造などが多様化している。
【0005】
一般に、二次電池は、板状である集電体の表面に活物質を塗布して正極と負極とを構成し、正極と負極との間に分離膜が介された形態の電極組立体を備える。このような電極組立体は、主に、液体電解質または固体電解質とともに円筒型または角型の金属缶、またはアルミニウムラミネートシートから構成されたポーチ型ケースの内部に収納される。また、このような電極組立体は二次電池の容量を増大させることができるように、シート状の正極/分離膜/負極が巻き取りされたゼリーロール形態または薄いプレート形態の多数の単位電極が順次積層された構造を持つ。従って、電極組立体において、電極(正極及び負極)の構造は、本質的に板状である。
【0006】
このような従来の板状電極構造は、電極組立体の巻取りまたは積層時、高い集積度が具現できる長所はあるが、産業分野の必要に応じてその構造的変形が難しい短所がある。また、板状電極構造は、充放電時、電極の体積変化に敏感であり、セル内部で発生するガスが外部に排出され難く、電極同士間の電位差が大きくなるなど、様々な問題点がある。
【0007】
特に、需要者の多様なニーズに応じて二次電池が使われるデバイスの種類が多様化され、デバイスのデザインが重要視されている成り行きにおいて、そのような特殊な形態のデバイスに、従来の構造及び/または形態(円筒型、角型またはポーチ型)の二次電池が装着できる別途の部位または空間を割かなければならないということは、無線技術の拡張またはより自由なデザインには大きい障害要因であると言える。例えば、新しく開発されたデバイスにおいて、二次電池が装着される空間が狭くて長い部分である場合、現在のような板状電極を基本とする電極組立体を備える二次電池を構造的に変化させて装着するということは、本質的に不可能であるか、非常に非効率である。すなわち、従来の円筒型電池、コイン型電池、角型電池は特定の形態を持っているので、自由に変形できなくて使用するにおいて制限的であるという問題点があり、電池の格納場所に適するように任意に捩じるか曲げるなどの変形が自由ではないという問題点があった。
【0008】
このような問題点を解決するために、本出願人は引用によってその全体内容が本明細書に合体される、2006年1月17日付で出願され、2008年2月12付で登録された特許文献1の「新規な構造の電極組立体及びこれを含む二次電池」を開示した。
【0009】
ところが、このような二次電池(以下、「ケーブル型二次電池」という)は、可撓性が充分ではない。また、外部より加えられる力によってケーブル型二次電池に過度な変形が起こる場合には、活物質の脱離が発生し得る問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許登録第10‐0804411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、変形が容易でありながらも、二次電池の安全性及び優れた性能が維持できる新規な線形構造の二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のケーブル型二次電池は、長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長い第1極性集電体、上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層、上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように充填された電解質層、上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第2極性活物質層、及び上記第2極性活物質層の外面を囲むように構成された第2極性集電体を備える電極組立体;上記第2極性集電体を囲むように構成されたカバー部材;を備え、上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分によって上記電極組立体及び上記カバー部材が連続して実質的にS字状に屈曲される。
【0013】
このような第2極性集電体としては、所定形状のパイプ型集電体であるものを使用し得、または所定形状のメッシュ(mesh)型集電体であるものも使用し得る。
【0014】
また、上記第2極性集電体は、上記第2極性活物質層の外面に巻線されたワイヤ型集電体であり得る。
【0015】
このとき、集電体としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅、またはステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金、導電材で表面処理した非伝導性高分子または伝導性高分子のうち何れか一つを使用して製造されたものが望ましい。このような導電材としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ窒化硫黄(poly(sulfur nitride))、ITO(Indum Thin Oxide)、銅、銀、パラジウム、及びニッケルなどが使用でき、伝導性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリ窒化硫黄などが使用できる。
【0016】
活物質層は、負極活物質層としては、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);上記金属類(Me)から構成された合金類;上記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び上記金属類(Me)と炭素との複合体などからなったものが使用できる。また、正極活物質層としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCoPO4、LiFePO4、LiNiMnCoO2、及びLiNi1-x-y-zCoxM1yM2z2(M1及びM2は、互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg、及びMoからなる群より選択された何れか一つであり、x、y及びzは、互いに独立して、酸化物組成元素の原子分率であって0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)などからなったものが使用できる。
【0017】
電解質層としては、PEO、PVdF、PMMA、PANまたはPVACを使用したゲル型高分子電解質、或いは、PEO、PPO(polypropylene oxide)、PEI(polyethylene imine)、PES(polyethyle sulphide)またはPVAc(polyvinyl acetate)を使用した固体高分子電解質などが使用できる。
【0018】
本発明のケーブル型二次電池において、電解質層は、リチウム塩をさらに含むことができる。リチウム塩としては、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムなどが使用できる。
【0019】
上記第1極性は負極であり、上記第2極性は正極である。
【0020】
また、本発明のケーブル型二次電池の製造方法は、(a)長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長いワイヤ型の第1極性集電体を用意するステップ;(b)上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を形成するステップ;(c)上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように電解質層を形成するステップ;(d)上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第2極性活物質層を形成するステップ;(e)上記第2極性活物質層を第2極性集電体で囲んで電極組立体を形成するステップ;(f)上記実質的にS字状に屈曲された電極組立体をカバー部材で囲むステップ;及び(g)上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分を基準にして実質的にS字状になるように上記電極組立体及び上記カバー部材を連続して屈曲させるステップを含む。
【発明の効果】
【0021】
活物質層がパターンを形成しながら連続したS字状である電極組立体を含む本発明のケーブル型二次電池は、活物質層が形成されていない部分を備えるが、このような部分は相対的に可撓性に優れていることから、全体的なケーブル型二次電池の可撓性が向上する。また、外部より過度な力が本発明のケーブル型二次電池に加えられた場合には、活物質層が形成された部分よりも活物質層が形成されていない部分から変形が発生することになることから、活物質層に対する変形が少なくなる。従って、活物質の脱離を予防することができる。
【0022】
このような本発明の連続したS字状のケーブル型二次電池は、弾性を有し、腕時計のような形態のモバイル機器の電力供給用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に添付される下記の図面は本発明の望ましい実施例を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解させる役割を果たすものであるため、本発明はそのような図面に記載された事項にのみ限定されて解釈されてはいけない。
【図1】一実施例によるケーブル型二次電池の断面図である。
【図2】一実施例によるケーブル型二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図面を参照しながら詳しく説明する。本明細書に記載された実施例は本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想の全てを代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0025】
図1及び図2は、本発明による二次電池の一実施例を概略的に示している。各図面において、同一の符号は同一または同等な構成要素を示している。
【0026】
図1及び図2を参照すれば、本発明のケーブル型二次電池100は、長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長い第1極性集電体121、上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層122、上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように充填された電解質層123、上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第2極性活物質層124、及び上記第2極性活物質層の外面を囲むように構成された第2極性集電体125を備える電極組立体120; 上記第2極性集電体125を囲むように構成されたカバー部材110;を備え、上記第1極性活物質層122間の予め決められた間隔が形成する部分によって上記電極組立体120及び上記カバー部材110が連続して実質的にS字状に屈曲される。
【0027】
本発明のケーブル型二次電池は、連続したS字状の構造を有することから弾性を持ち、可撓性を持つことから変形自在である。また、ここで、「実質的に」という表現は、完全なS字状ではなくても、本発明の目的を達成するのに十分な形態の変形を加えたS字状も可能であるという意味である。
【0028】
以下、上述した構造のケーブル型二次電池の製造方法を概略的に説明する。
【0029】
長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長いワイヤ型の第1極性集電体を用意する(aステップ)。
【0030】
上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を形成する(bステップ)。
【0031】
第1極性電極活物質層を形成するコーティング方法としては、一般的なコーティング方法が適用可能であり、具体的には、電気メッキ(electroplating)または陽極酸化処理(anodic oxidation process)方法が使用可能であるが、一定の間隔を維持するためには活物質を含む電極スラリーを押出機を通じて不連続的に押出コーティングする方法を使用して製造することが望ましい。
【0032】
上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように電解質層を形成する(cステップ)。
【0033】
電解質層を形成する方法も特に限定されないが、線形であるケーブル型二次電池の特性上、押出コーティングする方法を使用することが製造しやすい。
【0034】
上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第2極性活物質層を形成する(dステップ)。
【0035】
上記第2極性活物質層を第2極性集電体で囲んで電極組立体を製造する(eステップ)。
【0036】
このような第2極性集電体は、パイプ構造またはメッシュ構造であり得る。また、上記第2極性集電体は、上記第2極性活物質層の外面に巻線されたワイヤ構造を含み得る。
【0037】
上記第2極性集電体をカバー部材で囲む(fステップ)。
【0038】
上記カバー部材は絶縁体であって、空気中の水分及び外部衝撃から電極を保護するために最外面に形成する。カバー部材としては通常の高分子樹脂を使うことができ、一例として、PVC、HDPEまたはエポキシ樹脂を使うことができる。
【0039】
上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分を基準にして実質的にS字状になるように上記電極組立体及び上記カバー部材を連続して屈曲させてケーブル型二次電池を製造する(gステップ)。
【0040】
上記電極組立体の活物質層が形成されていない未形成部を屈曲させてS字状になるようにし、屈曲されたカバー部材がその形態を維持するように加熱などの処理を加え得る。
【0041】
本発明の電極活物質層は、電極活物質、バインダー、及び導電材を含んで集電体と結合して電極を構成するが、電極が外部の力によって折れるか、ひどく曲がるなどの変形が起こる場合には、電極活物質層で電極活物質の脱離が発生することになる。このような電極活物質の脱離によって電池の性能及び電池容量の低下が発生する。しかし、本発明のケーブル型二次電池は、パターンを備える第1極性活物質層122及び第2極性活物質層124が形成されており、外部より過度な力が本発明のケーブル型二次電池に加えられた場合には、電極活物質層122、124が形成された部分よりも電極活物質層が形成されていない未形成部から変形が発生することになる。これは、電極活物質層が形成されていない部分は電極活物質層が形成された部分に比べて非常に可撓性に優れているので、同一の力が作用する場合でも電極活物質層が形成されていない部分から変形が発生するからである。従って、本発明の第1極性活物質層122及び第2極性活物質層124の電極活物質層は変形が少なくなるので、電極活物質の脱離を予防することができる。
【0042】
また、電極活物質層が形成されていない未形成部の可撓性が非常に優れているので、全体的なケーブル型二次電池の加撓性も向上する。本発明の電極組立体120は連続したS字状をなすことになり、上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分である活物質層が形成されていない未形成部を屈曲させて形成する。
【0043】
本発明の電極活物質層122、124は、集電体121、125を通じてイオンを移動させる作用をし、これらイオンの移動は電解質層123からのイオンの吸蔵及び電解質層へのイオンの放出を通じた相互作用による。
【0044】
上記第2極性集電体125は、所定形状のパイプ型集電体であるものを使用し得る。また、可撓性の確保のために、上記第2極性集電体125は、可撓性に優れた網状組職を有するメッシュ型集電体であるものも使用し得る。
【0045】
このような第2極性集電体125としては、ワイヤ型集電体であるものを使うことができ、上記第2極性活物質層124の外面にワイヤ型集電体を巻線してケーブル型二次電池を構成することができる。特に、上記電極活物質層が形成された部分だけにワイヤ型集電体を巻線し、電極活物質層が形成されていない未形成部には巻線しなかったものを使用することで、可撓性を向上させることができる。パイプ型である第2極性集電体125を使用すれば、外部の力によってくちゃくちゃになって鋭く折れた第2極性集電体125が電解質層123を通過し第1極性集電体122と接触して短絡が発生する恐れがあるが、ワイヤ型集電体を使用する場合には、くちゃくちゃになるか折れ難いので、電解質層123の貫通による短絡の危険が少ない。
【0046】
上記集電体121、125としては、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅、またはステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金、導電材で表面処理した非伝導性高分子または伝導性高分子のうち何れか一つを使用して製造されたものが望ましい。
【0047】
集電体とは、活物質の電気化学反応により生成された電子を集めるか、電気化学反応に必要な電子を供給する役割をするものであって、一般的に銅やアルミニウムなどの金属を使用する。特に、導電材で表面処理した非伝導性高分子または伝導性高分子からなった高分子伝導体を使用する場合には、銅やアルミニウムのような金属を使用した場合よりも、相対的に可撓性に優れている。また、金属集電体の代わりに高分子集電体を使用して電池の軽量化を達成できる。
【0048】
このような導電材としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ窒化硫黄、ITO、銅、銀、パラジウム、及びニッケルなどが使用でき、伝導性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリ窒化硫黄などが使用できる。但し、集電体に使われる非伝導性高分子は、特に種類を限定しない。
【0049】
上記第1極性は負極であり、上記第2極性は正極である。
【0050】
負極活物質層の非制限的な例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);上記金属類(Me)から構成された合金類;上記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び上記金属類(Me)と炭素との複合体などからなったものが使用できる。
【0051】
正極活物質層の非制限的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCoPO4、LiFePO4、LiNiMnCoO2、及びLiNi1-x-y-zCoxM1yM2z2(M1及びM2は、互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg、及びMoからなる群より選択された何れか一つであり、x、y及びzは、互いに独立して、酸化物組成元素の原子分率であって0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)などからなったものが使用できる。
【0052】
また、本発明のケーブル型二次電池において、電解質層123は第1極性電極活物質層を囲んで充填されており、このようなイオンの通路になる電解質層は、PEO、PVdF、PMMA、PANまたはPVACを使用したゲル型高分子電解質、或いは、PEO、PPO、PEI、PESまたはPVAcを使用した固体電解質などを使用する。固体電解質のマトリックス(matrix)は、高分子またはセラミックスガラスを基本骨格にすることが望ましい。一般的な高分子電解質の場合には、イオン伝導度が充分であっても反応速度面においてイオンが非常に遅く移動する恐れがあるので、固体電解質よりは、イオンの移動が容易なゲル型高分子電解質を使用することが望ましい。ゲル型高分子電解質は機械的特性に優れていないので、これを補うために気孔構造支持体または架橋高分子を含み得る。本発明の電解質層は分離膜としての役割が可能であるので、別途の分離膜を使用しなくても良い。
【0053】
本発明の電解質層123は、リチウム塩をさらに含み得る。リチウム塩はイオン伝導度及び反応速度を向上させることができるが、これらの非制限的な例としては、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムを使用することができる。
【0054】
本発明はカバー部材を備え、カバー部材110は絶縁体であって、空気中の水分及び外部衝撃から電極を保護するために電極組立体120を囲んで形成される。このようなカバー部材110はその形態を特に制限しないが、シート型であるものを使用することが望ましい。カバー部材110としては通常の高分子樹脂を使うことができ、一例として、PVC、HDPEまたはエポキシ樹脂を使うことができる。
【0055】
このようにカバー部材110が形成されたケーブル型二次電池100は、可撓性に優れており、連続したS字状の形態が可能であることから、弾性も優れており、腕時計のような形態のモバイル機器の電力供給用に適している。
【0056】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を持つ者により本発明の技術思想と特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能なのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100 ケーブル型二次電池
110 カバー部材
120 電極組立体
121 第1極性集電体
122 第1極性活物質層
123 電解質層
124 第2極性活物質層
125 第2極性集電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長いワイヤ型の第1極性集電体を用意するステップ;
(b)上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を形成するステップ;
(c)上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように電解質層を形成するステップ;
(d)上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して少なくとも二つ以上の第2極性活物質層を形成するステップ;
(e)上記第2極性活物質層を第2極性集電体で囲んで電極組立体を形成するステップ;
(f)上記電極組立体をカバー部材で囲むステップ;及び
(g)上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分を基準にして実質的にS字状になるように上記電極組立体及び上記カバー部材を連続して屈曲させるステップを含むことを特徴とするケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項2】
上記第2極性集電体は、パイプ構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項3】
上記第2極性集電体は、メッシュ構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項4】
上記第2極性集電体は、上記第2極性活物質層の外面に巻線されたワイヤ構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項5】
上記第1極性活物質層のそれぞれは、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素質材料;リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)、Si、Sn、Li、Zn、Mg、Cd、Ce、NiまたはFeである金属類(Me);上記金属類(Me)から構成された合金類;上記金属類(Me)の酸化物(MeOx);及び上記金属類(Me)と炭素との複合体からなる群より選択された何れか一つの活物質粒子またはこれらの中で2種以上の混合物からなったことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項6】
上記第2極性活物質層のそれぞれは、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCoPO4、LiFePO4、LiNiMnCoO2、及びLiNi1-x-y-zCoxM1yM2z2(M1及びM2は、互いに独立して、Al、Ni、Co、Fe、Mn、V、Cr、Ti、W、Ta、Mg、及びMoからなる群より選択された何れか一つであり、x、y、及びzは、互いに独立して、酸化物組成元素の原子分率であって0≦x<0.5、0≦y<0.5、0≦z<0.5、x+y+z≦1である)からなる群より選択された何れか一つの活物質粒子またはこれらの中で2種以上の混合物からなったことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項7】
上記第1極性集電体は、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理したステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理した非伝導性高分子または伝導性高分子のうち選択された何れか一つから製造されたことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項8】
上記第2極性集電体は、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅;カーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理したステンレススチール;アルミニウム‐カドミウム合金;導電材で表面処理した非伝導性高分子または伝導性高分子のうち選択された何れか一つから製造されたことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項9】
上記導電材は、互いに独立して、それぞれ、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ窒化硫黄、ITO、銅、銀、パラジウム、及びニッケルのうち選択された1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項10】
上記伝導性高分子は、互いに独立して、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びポリ窒化硫黄のうち選択された1種の化合物または2種以上の混合物の高分子であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項11】
上記電解質層は、PEO、PVdF、PMMA、PANまたはPVACを使用したゲル型高分子電解質、或いは、PEO、PPO、PEI、PESまたはPVAcを使用した固体電解質のうち選択された電解質からなったことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項12】
上記電解質層は、リチウム塩をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法 。
【請求項13】
上記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、及びテトラフェニルホウ酸リチウムのうち選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項12に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項14】
上記第1極性は負極であり、上記第2極性は正極であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル型二次電池の製造方法。
【請求項15】
長手方向に直交する断面が円形、非対称な楕円形または多角形状である細長い第1極性集電体、上記第1極性集電体の外面に長手方向に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層、上記少なくとも二つ以上の第1極性電極活物質層を囲むように充填された電解質層、上記第1極性活物質層のそれぞれに対応する位置で上記電解質層の外面に予め決められた間隔で互いに離隔して形成された少なくとも二つ以上の第2極性活物質層、及び上記第2極性活物質層の外面を囲むように構成された第2極性集電体を備える電極組立体;
上記第2極性集電体を囲むように構成されたカバー部材;を備え、
上記第1極性活物質層間の予め決められた間隔が形成する部分によって上記電極組立体及び上記カバー部材が連続して実質的にS字状に屈曲されたことを特徴とするケーブル型二次電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−89503(P2012−89503A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231227(P2011−231227)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】