説明

ケーブル支持具

【課題】組付作業性に優れるとともに、不均衡な負荷や高負荷が作用したとしても組付け状態を安定的に保持することができ、しかもケーブルの支持高さ位置を容易に変更することができるケーブル支持具を提供する。
【解決手段】トンネル鉛直壁面Tに固定されるケーブル立物2と、ケーブルKを受け止めるケーブル受物3とを備えるケーブル支持具1において、組付用開口部4にケーブル受物3の第1の係止部片11を挿入後その挿入方向回りにケーブル受物3を回動操作すると、その組付用開口部4の側縁にその第1の係止部片11が係止され、第2平板部7bを第1平板部7aに向けて折り曲げ操作しつつケーブル受物3の第2の係止部片12を組付用開口部4に挿入すると、第1平板部7aに対する第2平板部7bの弾性反発力にてその組付用開口部4の側縁にその第2の係止部片12が係止されるように構成するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネルの壁面に電力や通信用のケーブルを懸架支持するのに好適に用いられるケーブル支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のケーブル支持具として、例えば特許文献1にて開示されているトンネル用ケーブル支持具がある。このトンネル用ケーブル支持具は、トンネル壁面に立掛け状に固定される支持金具と、ケーブルを支持する受け皿とを備えている。
支持金具には、中心線状に沿ってスリットが設けられ、このスリットに対応する係止部が受け皿に設けられている。
そして、支持金具のスリットに受け皿の係止部を挿入して受け皿を90°回転させることにより、スリットの縁部に係止部が係止されて、支持金具に受け皿が組み付けられるようになっている。
【0003】
しかし、この特許文献1に係るトンネル用ケーブル支持具では、支持金具に対し受け皿を単に回転させることで組み付けられる構成とされているため、例えばケーブルなどの荷重が受け皿に不均衡に負荷されると、受け皿が容易に回転して受け皿の組付け状態が不安定になる恐れがある。かかる回転防止のために、複数の受け皿を多段的に連続配置して、上下の受け皿同士を互いに掛け止め合う構成とされているが、使用しない受け皿でも組み付ける必要があり、無駄な組み付け作業と無駄な受け皿が生じることになる。つまり、複数段階の高さ位置のうちの所望の高さ位置に所要の受け皿を連続的・間欠的を問わずに組み付けるという組付けの自由度が小さいという問題点がある。
【0004】
このような問題点を解決し得るものとして、例えば特許文献2にて提案されているケーブル受金具がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−140985号公報
【特許文献2】特開2008−43167号公報
【0006】
図9(a)に示されるように、前記特許文献2に係るケーブル受金具101は、トンネル壁面Tに立掛け状に固定される支持基枠102と、ケーブルKを支持する支持受103とを備えている。
図9(b)に示されるように、支持基枠102の前面板部102aには、縦方向に所定間隔を存して複数の組付け部104が設けられ、これら組付け部104を利用することにより、複数段階の高さ位置のうちの所望の高さ位置に所要の支持受103を組み付けることができるようになっている。
【0007】
組付け部104は、前面板部102aの縦方向に沿う中央に設けられる第一組付孔105と、この組付孔105よりも下方位置で前面板部102aの左右両側部に設けられる一対の第二組付孔106,106とにより構成されている。
第一組付孔105は、前面板部102aの一部を背面方向に切り起こして設けたもので、下方側の両側部分を切欠き状にして部分的な幅広部105aを備えた縦長方形状を呈するものである。ここで、この第一組付孔105の上辺部には、切り起こし片107が連設されており、この切り起こし片107は、第一組付孔105を形成するために切り起こされた前面板部102aの一部で構成されるもので、第一組付孔105の長さよりも後述する係止部片108のほぼ板厚分だけ短い長方形状に形成されている。
第二組付孔106は、第一組付孔105よりも小さい縦長の撥形状を呈するものである。
【0008】
図9(c)に示されるように、支持受103は、前後方向に長い長方形状の受部片103aの両側に側部片103bが連設されてなり、受部片103の基端部には、頸部とその頸部よりも幅広い係止部とからなる係止部片108が突設され、側部片103bの基端部には、掛止部と先部とかなる鉤形状の掛止部片109が突設されている。
【0009】
このケーブル受金具101においては、係止部片108を第一組付孔105に幅広部105aを通して挿通させ、第一組付孔105に沿って降下させて頸部を幅広部105a以外の部分に係合させることにより、係止部の両側部が第一組付孔105の両縁に係止して支持受103の支持基枠102との組付け状態が保持される。また、掛止部片109を第二組付孔106に挿通させて降下させると、掛止部が第二組付孔106の下縁に掛止される。
そして、この状態で切り起こし片107を第一組付孔105に嵌め込むように叩打または押圧させると、切り起こし片107の先端部が係止部片108に当接して係止部片108の第一組付孔105からの離脱を防止し、支持基枠102との組付け状態を確実に保持することができるようになっている。
【0010】
しかしながら、上記のケーブル受金具101では、支持基枠102に支持受103を組み付ける際に、係止部片108を第一組付孔105に係止する作業と掛止部片109を第二組付孔106に掛止する作業とに加えて、切り起こし片107を第一組付孔105に嵌め込むように叩打または押圧させる作業が必要で手間がかかるため、組付作業性が悪いという問題点がある。
また、ケーブル受金具101をトンネル壁面Tに取り付け終えた後に支持受103の高さ位置を変更したいなどの理由で、既にトンネル壁面Tに固定された支持基枠102に対して支持受103を組み付け直す場合、支持基枠102の背面側はトンネル壁面Tで塞がれているため、切り起こし片107を第一組付孔105に嵌め込むように叩打または押圧させることが極めて困難な作業となる。このため、トンネル壁面Tに固定された支持基枠102を一旦外してからでないと、支持受103を組み付け直すことができない。つまり、このケーブル受金具101では、ケーブルKの支持高さ位置の変更を容易に行うことができないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、組付作業性に優れるとともに、不均衡な負荷や高負荷が作用したとしても組付け状態を安定的に保持することができ、しかもケーブルの支持高さ位置を容易に変更することができるケーブル支持具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明によるケーブル支持具は、
壁面に固定されるケーブル立物と、このケーブル立物に複数段階の高さ位置に組付可能でケーブルを受け止めるケーブル受物とを備えるケーブル支持具において、
前記ケーブル受物は、ケーブルを下側から抱きかかえるようにして支える抱持部材と、この抱持部材を支える補強部材とが互いに折り曲げ操作に対して弾性反発力を発するように連設されてなり、
前記抱持部材の基端部に第1の係止部片を突設するとともに、前記補強部材の基端部に第2の係止部片を突設し、
前記ケーブル立物は、前記第1の係止部片に対応して長さ方向に所定間隔を存して設けられる複数の第1の開口部と、前記第2の係止部片に対応して長さ方向に所定間隔を存して設けられる複数の第2の開口部とを有し、
前記第1の開口部に前記第1の係止部片を挿入後その挿入方向回りに前記ケーブル受物を回動操作すると、その第1の開口部の側縁にその第1の係止部片が係止され、
前記補強部材を前記抱持部材に向けて折り曲げ操作しつつ前記第2の係止部片を前記第2の開口部に挿入すると、前記抱持部材に対する前記補強部材の弾性反発力にてその第2の開口部の側縁にその第2の係止部片が係止されるようにしたことを特徴とするものである(第1発明)。
【0013】
本発明において、
前記第1の係止部片は、頸部とその頸部よりも幅広い係止部とからなり、
前記第2の係止部片は、頸部とその頸部よりも幅広い係止部とからなり、かつ前記第1の係止部片と相似形状で一回り小さく形成され、
前記第1の開口部と第2の開口部の機能を兼ねる組付用開口部が設けられ、
前記組付用開口部は、前記第1の係止部片の頸部を挟み、かつ前記第1の係止部片の係止部の両側部を係止する一対の側辺部と、前記第2の係止部片の頸部を挟み、かつ前記第2の係止部片の両側部を係止する一対の側辺部とを有するものとされるのが好ましい(第2発明)。
【0014】
本発明において、
前記補強部材の基端部に、前記ケーブル立物の側面に当接可能な横荷重受止部片が突設されるのが好ましい(第3発明)。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、ケーブル立物の第1の開口部にケーブル受物の第1の係止部片を挿入後その挿入方向回りにケーブル受物を回動操作することで、第1の開口部の側縁に第1の係止部片が係止される。次いで、ケーブル受物の補強部材を抱持部材に向けて折り曲げ操作しつつケーブル受物の第2の係止部片をケーブル立物の第2の開口部に挿入することにより、抱持部材に対する補強部材の弾性反発力にて第2の開口部の側縁に第2の係止部片が係止される。
第2の開口部の側縁への第2の係止部片の係止状態は、抱持部材に対する補強部材の弾性反発力にて強固に保持される。この第2の開口部の側縁への第2の係止部片の係止状態が解除されない限り、ケーブル受物は回動されないので、第1の開口部からの第1の係止部片の離脱が防止され、ケーブル立物に対するケーブル受物の組付け状態が確実に保持される。
このように、ケーブル受物の第1の係止部片をケーブル立物の第1の開口部に係止する作業と、ケーブル受物の第2の係止部片をケーブル立物の第2の開口部に係止する作業とを実施するだけで、ケーブル立物にケーブル受物を容易に組み付けることができるので、組付作業性に優れるという効果を奏する。
【0016】
また、例えばケーブルなどの荷重がケーブル受物に不均衡に負荷されたとしても、ケーブル立物の第2の開口部への第2の係止部片の係止状態が解除されない限り、ケーブル受物は回動されないので、ケーブル立物の第1の開口部への第1の係止部片の係止状態が保持されることになり、ケーブル立物に対するケーブル受物の組付け状態を確実に保持することができる。
さらに、ケーブル受物は、ケーブルを直接的に受け止める抱持部材が補強部材によって下側から支えられて補強される構成とされているので、たとえケーブル受物に高負荷が作用したとしても、ケーブル立物に対するケーブル受物の組付け状態を確実に保持することができる。
【0017】
また、ケーブル立物を壁面に取り付け終えた後にケーブル受物の高さ位置を変更したいなどの理由で、既に壁面に固定されたケーブル立物に対してケーブル受物を組み付け直す場合、ケーブル受物における補強部材を抱持部材に向けて折り曲げ操作しつつ第2の開口部から第2の係止部片を引き出して第2の開口部に対する第2の係止部片の係止状態を解除し、次いでケーブル受物の回動操作により第1の開口部に対する第1の係止部片の係止状態を解除して第1の開口部から第1の係止部片を引き出すことで、ケーブル立物からケーブル受物を容易に取り外すことができる。
そして、取り外したケーブル受物をケーブル立物に対し所望の高さ位置に配して、第1の係止部片を第1の開口部に係止する作業と、第2の係止部片を第2の開口部に係止する作業とを実施するだけで、ケーブル立物に対するケーブル受物の高さ位置を変更して容易に組み付け直すことができ、ケーブルの支持高さ位置を容易に変更することができる。
【0018】
第2発明の構成を採用することにより、同一形状の組付用開口部を所要個数、所要ピッチで配置すればよく、第1の係止部片および第2の係止部片のそれぞれに対応させて特別に形状の異なる開口部を設ける必要がなくなり、構造の簡素化を図ることができる。
【0019】
第3発明の構成を採用することにより、ケーブル立物に対するケーブル受物の横方向のがたつきを確実に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)
【図2】ケーブル立物の正面図(a)、(a)のA−A線断面図(b)および(a)B部拡大図(c)
【図3】ケーブル受物の側面図(a)、弾性受け部材の側面図(b)および正面図(c)、支持ブラケットの平面図(d)、側面図(e)および正面図(f)、並びに(e)のC−C線断面図(g)および(e)のD矢視図(h)
【図4】組付用開口部への第1の係止部片の挿入動作説明図で、第1の係止部片を45°傾けた挿入直前状態図(a)および90°傾けた挿入直前状態図(b)
【図5】組付用開口部への第2の係止部片の挿入動作説明図で、第2の係止部片の挿入前状態図(a)、(a)のE−E線断面図(b)、(a)のF−F線断面図(c)、第2の係止部片の挿入後状態図(d)、(d)のG−G線断面図(e)および(d)のH−H線断面図(f)
【図6】本発明の第2の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)
【図7】ケーブル受物の側面図(a)、弾性受け部材の側面図(b)および底面図(c)、支持ブラケットの側面図(d)、正面図(e)および底面図(f)、並びに(d)のI矢視図(g)
【図8】本発明の第3の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)
【図9】従来技術の説明図で、トンネル用ケーブル支持具の側面図(a)、(a)のX矢視拡大図(b)および(b)のY−Y線断面図(c)
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明によるケーブル支持具の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
〔第1の実施形態〕
図1には、本発明の第1の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)がそれぞれ示されている。
【0023】
<ケーブル支持具の概略構成説明>
図1(a)(b)に示されるケーブル支持具1は、例えばトンネルの内側壁面において水平面と直角を成すトンネル鉛直壁面Tに立掛け状に固定されるケーブル立物2と、このケーブル立物2に複数段階の高さ位置に組付可能で例えば電力や通信用のケーブルKを受け止めるケーブル受物3とを備えている。
【0024】
<ケーブル立物の説明>
図2(a)に示されるように、ケーブル立物2は、金属板材にプレス加工等が施されて折り曲げ形成されたもので、上下方向に延びる前面板部2aを備えている。
同図(b)に示されるように、前面板部2aの左右両側には、それぞれ側面板部2b,2b´が前面板部2aを上にして見たときに八の字形状となるように連設され、各側面板部2b,2b´には、フランジ板部2c,2c´が連設されている。こうして、前面板部2aに対し左右の側面板部2b,2b´を八の字形状に連設することにより、例えば複数のケーブル立物2同士を積み重ねるような場合に、八の字形状の内面と外面とを順次に嵌め合わせることで、嵩低く抑えることができる。
図1(a)に示されるように、前面板部2aの上側には上面板部2dが連設され、この上面板部2dには、トンネル鉛直壁面Tに押し当てられる上側取付板部2eが連設されている。また、前面板部2aの下側には下面板部2fが連設され、この下面板部2fには、前記上側取付板部2eと対を成してトンネル鉛直壁面Tに押し当てられる下側取付板部2gが連設されている。
【0025】
図2(a)に示されるように、前面板部2aには、立掛け方向(長さ方向、上下方向)に所定間隔を存して複数(本例では10個)の組付用開口部4が穿設されている。
上側取付板部2eおよび下側取付板部2gには、それぞれトンネル鉛直壁面Tに突設されるアンカーボルトP(図1(b)参照)が挿通されるアンカーボルト挿通孔5,5´が穿設されている。ここで、上側取付板部2eに穿設されたアンカーボルト挿通孔5は、横方向に長い角丸長方形状で、アンカーボルトPに対するケーブル立物2の横方向の位置ずれを吸収することができるようになっている。一方、下側取付板部2gに穿設されたアンカーボルト挿通孔5´は、縦方向に長い角丸長方形状で、アンカーボルトPに対するケーブル立物2の縦方向の位置ずれを吸収することができるようになっている。
【0026】
<ケーブル受物の説明>
図3(a)に示されるように、ケーブル受物3は、弾性受け部材6と支持ブラケット7とから構成されている。
【0027】
<弾性受け部材の説明>
図3(b)(c)に示されるように、弾性受け部材6は、ケーブルKを傷付けないように支えるためにゴム製で、ケーブルKを下側から抱きかかえるようにして受け止める湾曲面部6aを有している。この弾性受け部材6の基端部は、コーナ部が大きくカットされた形状とされており、湾曲面部6aから基部側に底面に向けて延びる上凸曲面を含むコーナカット部6bを有している。また、弾性受け部材6の底部両側には、それぞれ基部の一部をストッパ部6c,6c´として各ストッパ部6c,6c´から前方に突きぬけるようにして延びる左右のスライド溝6d,6d´が形成されている。
【0028】
<支持ブラケットの説明>
図3(d)(e)(f)に示されるように、支持ブラケット7は、例えばばね用ステンレス鋼板材を折り曲げ形成してなるものであって、ケーブル立物2から水平面に沿って前方に延びる第1平板部7aと、この第1平板部7aの前端部からその第1平板部7aに対し鋭角を成して斜め下方にケーブル立物2に向かって延設される第2平板部7bとを備えている。
第1平板部7aと第2平板部7bとは、互いに折り曲げ操作に対して弾性反発力を発するように連設されている。
【0029】
<ウェブ板部、案内フランジ、補強フランジの説明>
図3(f)に示されるように、第1平板部7aの左右両側部には、それぞれ立ち上がり状にウェブ板部8,8´が連設され、各ウェブ板部8,8´の上端部には、案内フランジ9,9´が内向きに張り出すように連設されている。
同図(g)に示されるように、第2平板部7bの左右両側部には、それぞれ立ち上がり状に補強フランジ10,10´が連設されている。
【0030】
<第1の係止部片、第2の係止部片、横荷重受止部片の説明>
図3図(d)に示されるように、第1平板部7aの基端部には、頸部11aとその頸部11aよりも幅広い係止部11bとからなる略Tの字形状の第1の係止部片11が突設されている。
同図(h)に示されるように、第2平板部7bの基端部における左右方向中間部分には、頸部12aとその頸部12aよりも幅広い係止部12bとからなり、第1の係止部片11と相似形状で一回り小さく形成される第2の係止部片12が突設されている。
【0031】
<横荷重受止部片の説明>
図3(h)に示されるように、第2平板部7bの基端部における左右両側部には、ケーブル立物2における左右の側面板部2b,2b´(図2(b)参照)に当接可能に横荷重受止部片13,13´が突設されている。これら横荷重受止部片13,13´により、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の横方向のがたつきを確実に抑えることができる。
【0032】
<抱持部材、補強部材の説明>
図3(a)に示されるように、支持ブラケット7に対し弾性受け部材6は、着脱可能に装着されている。すなわち、第1平板部7aの後方に弾性受け部材6を位置させ、左右の案内フランジ9,9´に左右のスライド溝6d,6d´を係合させ、ストッパ部6c,6c´が案内フランジ9,9´の基端に突き当たるまで弾性受け部材6を第1平板部7aの基端側から先端側に向けて前進させることにより、支持ブラケット7に弾性受け部材6を装着することができる。これと逆の手順を行うことにより、支持ブラケット7から弾性受け部材6を取り外すことができる。
第1平板部7aと弾性受け部材6とによって、ケーブルKを下側から抱きかかえるようにして支える抱持部材14が構成される。また、第2平板部7bは、抱持部材14を下側から支える補強部材として機能する。
【0033】
<組付用開口部の説明>
図2(c)に示されるように、ケーブル立物2の前面板部2aに設けられる組付用開口部4は、左側辺部16と、右側辺部17と、上側辺群18と、下側辺群19とに囲まれて形成され、本発明の「第1の開口部」と「第2の開口部」の機能を兼ねる開口部である。
【0034】
左側辺部16と右側辺部17とは、第1の係止部片11の頸部11aの幅寸法(外法寸法)よりも大きくて係止部11bの幅寸法(外法寸法)よりも小さい間隔で配されている。
上側辺群18は、第1上側辺部21と第2上側辺部22と第3上側辺部23と第4上側辺部24と第5上側辺部25とにより構成されている。
下側辺群19は、第1下側辺部31と第2下側辺部32と第3下側辺部33と第4下側辺部34と第5下側辺部35と第6下側辺部36と第7下側辺部37とにより構成されている。
【0035】
第1上側辺部21は、第1の係止部片11の板厚寸法の約2倍程度の長さ寸法で、上側辺群18の最上位置において水平方向に延設されている。
第1上側辺部21の左側には第2上側辺部22が、右側には第3上側辺部23がそれぞれ連設され、これら第2上側辺部22および第3上側辺部23は下方に向かって進むに従って左右に広がるように配されている。
第2上側辺部22と左側辺部16とは、第1の係止部片11の頸部11aの左側縁に当接可能な第4上側辺部24によって接続されている。同様に、第3上側辺部23と右側辺部17とは、第1の係止部片11の頸部11aの右側縁に当接可能な第5上側辺部25によって接続されている。
【0036】
第1下側辺部31は、第2の係止部片12の頸部12aの幅寸法(外法寸法)よりも若干大きくて係止部12bの幅寸法(外法寸法)よりも小さい長さ寸法で、下側辺群19の最下位置において水平方向に延設されている。
第1下側辺部31の左側には第2下側辺部32が、右側には第3下側辺部33がそれぞれ連設され、これら第2下側辺部32および第3下側辺部33は第2の係止部片12の板厚寸法程度の長さ寸法で上方に向かって互いに平行に延び、第2の係止部片12の頸部12aの幅寸法(外法寸法)よりも大きくて係止部12bの幅寸法(外法寸法)よりも小さい間隔で配されている。
第2下側辺部32の左側には第4下側辺部34が、右側には第5下側辺部35がそれぞれ連設され、これら第4下側辺部34および第5下側辺部35は上方に向かって進むに従って左右に広がるように配されている。
第4下側辺部34と左側辺部16とは、第1の係止部片11の頸部11aの左側縁に当接可能な第6下側辺部36によって接続されている。同様に、第5下側辺部35と右側辺部17とは、第1の係止部片11の頸部11aの右側縁に当接可能な第7下側辺部37によって接続されている。
【0037】
図4(a)(b)に示されるように、組付用開口部4においては、その組付用開口部4に対する第1の係止部片11の挿入方向回りに第1の係止部片11の板面を水平面に対し約45°〜90°傾けた状態でのみ第1の係止部片11の抜き差しが可能とされている。
また、図5(a)(b)に示されるように、組付用開口部4に第1の係止部片11が係止された状態において、その第1の係止部片11が係止された組付用開口部4の1つ下段の組付用開口部4の下側近傍に第2の係止部片12が配されるように、複数の組付用開口部4の配置ピッチ等が定められている。
【0038】
<ケーブル受物の組付手順の説明>
以上に述べたように構成されるケーブル支持具1において、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の組み付けは以下の通りである。
まず、図4(a)(b)に示されるように、ケーブル立物2の組付用開口部4に対するケーブル受物3の第1の係止部片11の挿入方向回りに第1の係止部片11の板面を水平面に対し約45°〜90°傾けた状態でその第1の係止部片11を、組付用開口部4を通してケーブル立物2の内部に挿入する。
次いで、第1の係止部片11の板面を水平面に沿う状態に戻すように、しかも第1平板部7aに対し第2平板部7bが下方に位置するようにケーブル受物3をその挿入方向回りに回動操作する。これにより、図5(c)に示されるように、第1の係止部片11の頸部11aが左側辺部16と右側辺部17との間に挟まれ、係止部11aの両側部がそれら左側辺部16および右側辺部17のそれぞれの縁部に係止され、組付用開口部4に第1の係止部片11が係止される。
次いで、組付用開口部4に第1の係止部片11が係止された状態において、第2平板部7bを第1平板部7aに向けて第2の係止部片12が左側辺部16と右側辺部17との間の四角形状開口領域に入るまで折り曲げ操作しつつ第2の係止部片12を組付用開口部4を通してケーブル立物2の内部に挿入する。これにより、第1平板部7aに対する第2平板部7bの弾性反発力にて第2の係止部片12の頸部12aが、図5(f)に示されるように、第2下側辺部32と第3下側辺部33との間に挟まれ、係止部12bの両側部がそれら第2下側辺部32および第3下側辺部33のそれぞれの縁部に係止され、組付用開口部4に第2の係止部片12が係止される。
なお、かかる組付作業時において、ケーブル受物3の回動操作や第2の係止部片12の係止操作の際、弾性受け部材6は、コーナカット部6bを有する形状とされているので、その基端部がケーブル立物2に干渉することがない。
【0039】
<ケーブル受物の取外し手順の説明>
ケーブル立物2に対するケーブル受物3の取外しは以下の通りである。
まず、ケーブル受物3における第2平板部7bを第1平板部7aに向けて第2の係止部片12が左側辺部16と右側辺部17との間の四角形状開口領域に入るまで折り曲げ操作しつつ組付用開口部4から第2の係止部片12を引き出す。これにより、組付用開口部4に対する第2の係止部片12の係止状態が解除される。
次いで、ケーブル立物2の組付用開口部4に対するケーブル受物3の第1の係止部片11の挿入方向回りに第1の係止部片11の板面を水平面に対し約45°〜90°傾けるようにケーブル受物3を回動操作する。これにより、組付用開口部4に対する第1の係止部片11の係止状態が解除される。
そして、組付用開口部4から第1の係止部片11を引き出すと、ケーブル立物2からケーブル受物3を取り外すことができる。
なお、上記の組付作業時と同様、かかる取外し作業において、第2の係止部片12の係止解除操作やケーブル受物3の回動操作の際、弾性受け部材6は、コーナカット部6bを有する形状とされているので、その基端部がケーブル立物2に干渉することがない。
【0040】
<作用効果の説明>
ケーブル受物3が前述した組付手順に従ってケーブル立物2に組み付けられた状態において、組付用開口部4への第2の係止部片12の係止状態は、第1平板部7aに対する第2平板部7bの弾性反発力にて強固に保持される。この組付用開口部4への第2の係止部片12の係止状態が解除されない限り、ケーブル受物3は回動されないので、組付用開口部4からの第1の係止部片11の離脱が防止され、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の組付け状態が確実に保持される。
このように、第1の係止部片11を組付用開口部4に係止する作業と、第2の係止部片12を組付用開口部4に係止する作業とを実施するだけで、ケーブル立物2にケーブル受物3を容易に組み付けることができるので、組付作業性に優れるという効果を奏する。
【0041】
また、例えばケーブルKなどの荷重がケーブル受物3に不均衡に負荷されたとしても、組付用開口部4への第2の係止部片12の係止状態が解除されない限り、ケーブル受物3は回動されないので、組付用開口部4への第1の係止部片11の係止状態が保持されることになり、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の組付け状態を確実に保持することができる。
さらに、ケーブル受物3は、ケーブルKを直接的に受け止める抱持部材14が第2平板部7bによって下側から支えられて補強される構成とされているので、たとえケーブル受物3に高負荷が作用したとしても、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の組付け状態を確実に保持することができる。
【0042】
また、ケーブル立物2をトンネル鉛直壁面Tに取り付け終えた後にケーブル受物3の高さ位置を変更したいなどの理由で、既にトンネル鉛直壁面Tに固定されたケーブル立物2に対してケーブル受物3を組み付け直す場合、前述したケーブル受物3の取外し手順を実施することにより、ケーブル立物2からケーブル受物3を容易に取り外すことができる。
そして、取り外したケーブル受物3をケーブル立物2に対し所望の高さ位置に配して、第1の係止部片11を組付用開口部4に係止する作業と、第2の係止部片12を組付用開口部4に係止する作業とを実施するだけで、ケーブル立物2に対するケーブル受物3の高さ位置を変更して容易に組み付け直すことができ、ケーブルKの支持高さ位置を容易に変更することができる。
【0043】
また、ケーブル立物2に設けられる複数の組付用開口部4の中から選択される2つの組付用開口部4のうち、上段側の組付用開口部4を第1の係止部片11に対応させ、下段側の組付用開口部4を第2の係止部片12に対応させるようにされている。これにより、同一形状の組付用開口部4を所要個数、所要ピッチで配置すればよく、第1の係止部片11および第2の係止部片12のそれぞれに対応させて特別に形状の異なる開口部を設ける必要がなくなり、構造の簡素化を図ることができる。
【0044】
〔第2の実施形態〕
図6には、本発明の第2の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)がそれぞれ示されている。なお、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0045】
<ケーブル支持具の概略構成説明>
図6(a)(b)に示されるケーブル支持具1Aは、例えばトンネルの内側壁面において水平面と約45°を成すトンネル傾斜壁面T´に立掛け状に固定されるケーブル立物2と、このケーブル立物2に複数段階の高さ位置に組付可能で例えば電力や通信用のケーブルKを受け止めるケーブル受物3Aとを備えている。
【0046】
<ケーブル受物の説明>
図7(a)(b)に示されるように、ケーブル受物3Aは、弾性受け部材6Aと支持ブラケット7Aとから構成されている。
【0047】
<弾性受け部材の説明>
弾性受け部材6Aは、中芯金部材41に外装部材42が一体的に被覆されて構成されている。
外装部材42は、ケーブルKを傷付けないように支えるためにゴム製で、ケーブルKを下側から抱きかかえるようにして受け止める湾曲面部42aを有している。この外装部材42aの基部両側には、それぞれ上部の一部をストッパ部42bとしてそのストッパ部42bから下方に突きぬけるようにして延びて支持ブラケット7Aの案内フランジ9,9´に係合するスライド溝42c,42c´が形成されている。
中芯金部材41は、外装部材42の基部から湾曲面部42aの下側底部を補強するために、金属板に所要の折り曲げ加工が施されて形成されている。
こうして、外装部材42に中芯金部材41が埋め込まれてなる弾性受け部材6Aにより、弾性受け部材6Aの強度を向上させてケーブルKを安定的に支持することができる。
【0048】
<支持ブラケットの説明>
支持ブラケット7Aは、例えばばね用ステンレス鋼板材を折り曲げ形成してなるものであって、ケーブル立物2から鉛直面に沿って上下方向に延びる第1平板部7aと、この第1平板部7aの下端部からその第1平板部7aに対し鈍角を成して斜め下方にケーブル立物に向かって延設される第2平板部7bとを備えている。
第1平板部7aと第2平板部7bとは、互いに折り曲げ操作に対して弾性反発力を発するように連設されている。
【0049】
<弾性受け部材と支持ブラケットの着脱操作の説明>
図7(a)に示されるように、支持ブラケット7Aに対し弾性受け部材6Aは、着脱可能に装着されている。すなわち、第1平板部7aの上方に弾性受け部材6を位置させ、左右の案内フランジ9,9´に左右のスライド溝42c,42c´を係合させ、ストッパ部42b,42b´が案内フランジ9,9´の上端に突き当たるまで弾性受け部材6Aを第1平板部7aの上端側から下端側に向けて降下させることにより、支持ブラケット7Aに弾性受け部材6Aを装着することができる。これと逆の手順を行うことにより、支持ブラケット7Aから弾性受け部材6Aを取り外すことができる。
【0050】
<ケーブル受物の組付・取外し手順の説明>
以上に述べたように構成されるケーブル支持具1Aにおいて、ケーブル立物2に対するケーブル受物3Aの組付・取外しは、基本的に第1の実施形態と同様である。
【0051】
<作用効果の説明>
本実施形態のケーブル支持具1Aによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるのは勿論のこと、水平面と約45°を成すトンネル傾斜壁面T´においてもケーブルKを安定的に懸架支持することができる。
【0052】
〔第3の実施形態〕
図8には、本発明の第3の実施形態に係るケーブル支持具の正面図(a)および側面図(b)がそれぞれ示されている。なお、本実施形態において、先の各実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては先の各実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0053】
<ケーブル支持具の概略構成説明>
図8(a)(b)に示されるケーブル支持具1Bは、例えばトンネルの内側壁面において水平面と平行を成すトンネル天井壁面T"に平行に固定されるケーブル立物2と、このケーブル立物2に複数段階の高さ位置に組付可能で例えば電力や通信用のケーブルKを受け止めるケーブル受物3Bとを備えている。
【0054】
<ケーブル受物の説明>
ケーブル受物3Bは、第2の実施形態で用いられた支持ブラケット7Aに、弾性受け部材6Bが組み合わされて構成されている。ここで、弾性受け部材6Bは、第2の実施形態で用いられた弾性受け部材6Aと基本的に同じ構造のものであるが、ケーブルKをより安定的に支持することができるようにするために、略Uの字形状に懐を深くした構成のものである。
【0055】
<作用効果の説明>
本実施形態のケーブル支持具1Bによれば、上記の各実施形態と同様の作用効果を得ることができるのは勿論のこと、水平面と平行を成すトンネル天井壁面T"においてもケーブルKを安定的に懸架支持することができる。
【0056】
以上、本発明のケーブル支持具について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のケーブル支持具は、組付作業性に優れるとともに、不均衡な負荷や高負荷が作用したとしても組付け状態を安定的に保持することができ、しかもケーブルの支持高さ位置を容易に変更することができるという特性を有していることから、トンネル等の壁面へのケーブルの架設の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0058】
1,1A,1B ケーブル支持具
2 ケーブル立物
3,3A,3B ケーブル受物
4 組付用開口部(第1の開口部、第2の開口部)
7b 第2平板部(補強部材)
11 第1の係止部片
11a 頸部
11b 係止部
12 第2の係止部片
12a 頸部
12b 係止部
13,13´ 横荷重受止部片
14 抱持部材
16 左側辺部
17 右側辺部
32 第2下側辺部
33 第3下側辺部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定されるケーブル立物と、このケーブル立物に複数段階の高さ位置に組付可能でケーブルを受け止めるケーブル受物とを備えるケーブル支持具において、
前記ケーブル受物は、ケーブルを下側から抱きかかえるようにして支える抱持部材と、この抱持部材を支える補強部材とが互いに折り曲げ操作に対して弾性反発力を発するように連設されてなり、
前記抱持部材の基端部に第1の係止部片を突設するとともに、前記補強部材の基端部に第2の係止部片を突設し、
前記ケーブル立物は、前記第1の係止部片に対応して長さ方向に所定間隔を存して設けられる複数の第1の開口部と、前記第2の係止部片に対応して長さ方向に所定間隔を存して設けられる複数の第2の開口部とを有し、
前記第1の開口部に前記第1の係止部片を挿入後その挿入方向回りに前記ケーブル受物を回動操作すると、その第1の開口部の側縁にその第1の係止部片が係止され、
前記補強部材を前記抱持部材に向けて折り曲げ操作しつつ前記第2の係止部片を前記第2の開口部に挿入すると、前記抱持部材に対する前記補強部材の弾性反発力にてその第2の開口部の側縁にその第2の係止部片が係止されるようにしたことを特徴とするケーブル支持具。
【請求項2】
前記第1の係止部片は、頸部とその頸部よりも幅広い係止部とからなり、
前記第2の係止部片は、頸部とその頸部よりも幅広い係止部とからなり、かつ前記第1の係止部片と相似形状で一回り小さく形成され、
前記第1の開口部と第2の開口部の機能を兼ねる組付用開口部が設けられ、
前記組付用開口部は、前記第1の係止部片の頸部を挟み、かつ前記第1の係止部片の係止部の両側部を係止する一対の側辺部と、前記第2の係止部片の頸部を挟み、かつ前記第2の係止部片の両側部を係止する一対の側辺部とを有するものとされる請求項1に記載のケーブル支持具。
【請求項3】
前記補強部材の基端部に、前記ケーブル立物の側面に当接可能な横荷重受止部片が突設される請求項1または2に記載のケーブル支持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−90494(P2013−90494A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230350(P2011−230350)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(511054558)ミカサ金属株式会社 (3)
【Fターム(参考)】