説明

ケーブル梱包箱及びケーブル引出し方法

【課題】 本発明は、最も一般的な束ね方である整列巻き束から、水平方向に、軽く、かつ、絡まることなく、ケーブルを順次引き出すことのできるケーブル引出し方法と、段積みしても使用可能なケーブル梱包箱とを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、前面に前穴を有する箱本体に、1本のケーブルを同心円状に整列かつ数段巻いた整列巻き束を収納し、前記整列巻き束の上に内径より径の小さい貫通孔を有するパルプモールドを取り付けた中蓋を置いたことを特徴とし、箱本体の上蓋の左右端に折畳式突起、及び箱本体の左右側面下部に溝を設け、複数の箱本体を、下段の箱本体の折畳式突起を上段の箱本体の溝に嵌合することにより段積みできるケーブル梱包箱の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの整列巻き束から、束に対して水平方向に、ケーブルを絡まることなくスムーズに引き出すことができるケーブル梱包箱及びケーブル引出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルの整列巻き束からケーブルを引き出す場合、束に対して垂直方向、即ち上部にしか引き出せなかった。また、束を箱に梱包したまま使用する場合、上部からしか引き出せないため、箱を段積みすることができなかった。
【0003】
一方、ケーブルを横面から引き出す場合は、リール又はドラムにケーブルを巻き、リール又はドラムを回転させることでケーブルを引き出すターンテーブル方式があるが、ケーブルが巻かれたリール又はドラムを回転させるので、ケーブルを引き出すのに力が必要であることや、リール又はドラム自体が高価であるといった問題がある。
【0004】
更に、ケーブルを8の字状に束ね、束の内側から引き出す8の字巻きという方法もある。8の字巻きは、横面から軽くケーブルを引き出すことができるが、ケーブルを束ねるのに特殊な設備が必要であることや、数百メートル巻くと束外径が大きくなり、箱に入れると嵩張るといった問題がある。
【0005】
特許文献1に記載されているように、中から引き出した電線ケーブルに捻りが加わりにくく、引き出しやすい上に、上下方向へ多段に積重ね可能で取扱い性に優れ且つコンパクトな電線ケーブル包装体の発明も公開されている。
【特許文献1】特開2000−007068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、ケーブルをあや巻という特殊な巻き方にする必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、最も一般的な束ね方である整列巻き束から、水平方向に、軽く、かつ、絡まることなく、ケーブルを順次引き出すことのできるケーブル引出し方法と、段積みしても使用可能なケーブル梱包箱とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、前面に前穴を有する箱本体に、1本のケーブルを同心円状に整列かつ数段巻いた整列巻き束を収納し、前記整列巻き束の上に内径より径の小さい貫通孔を有するパルプモールドを取り付けた中蓋を置いたことを特徴とし、箱本体の上蓋の左右端に折畳式突起、及び箱本体の左右側面下部に溝を設け、複数の箱本体を、下段の箱本体の折畳式突起を上段の箱本体の溝に嵌合することにより段積みできるケーブル梱包箱の構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。第一に、最も一般的な巻き方である整列巻き束でも、絡まることなく、水平方向に軽い力で引き出すことができる。
【0010】
第二に、整列巻き束で良いので、ケーブル製造メーカーにおいて、ケーブルを巻くための特殊な設備を導入する必要がなく、イニシャルコストが掛からない。
【0011】
第三に、整列巻き束で良いので、束の高さを低くすることができ、箱の高さも低くすることができるので、嵩張らず運搬しやすい。
【0012】
第四に、箱の高さを低くすることができるので、箱を数段重ねても荷重を分散できるので、箱が潰れにくい。
【0013】
第五に、箱の前面からケーブルを引き出すことができるので、箱を段積みしたまま使用することができる。尚、折畳式突起を溝に嵌め込むことにより、段積みした箱群が安易に崩れることはない。
【0014】
第六に、箱の上蓋のミシン目を打ち抜くことで、束の上部からもケーブルを引き出すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、最も一般的な束ね方である整列巻き束から、水平方向に、軽く、かつ、絡まることなく、ケーブルを順次引き出すことのできるケーブル引出し方法と、段積みしても使用可能なケーブル梱包箱とを提供するという目的を、前面に前穴を有する箱本体に、1本のケーブルを同心円状に整列かつ数段巻いた整列巻き束を収納し、前記整列巻き束の上に内径より径の小さい貫通孔を有するパルプモールドを取り付けた中蓋を置いたことを特徴とし、箱本体の上蓋の左右端に折畳式突起、及び箱本体の左右側面下部に溝を設け、複数の箱本体を、下段の箱本体の折畳式突起を上段の箱本体の溝に嵌合することにより段積みできるケーブル梱包箱の構成とすることで実現した。
【実施例1】
【0016】
以下に、添付図面に基づいて、本発明であるケーブル梱包箱について詳細に説明する。図1は、本発明であるケーブル梱包箱の斜視図であり、図2は、本発明であるケーブル梱包箱の上蓋を開いた図であり、図3は、本発明であるケーブル梱包箱の中蓋を取り出した図である。
【0017】
ケーブル梱包箱1は、前面に前穴2kを有する箱本体2に、1本のケーブル5を同心円状に整列かつ数段巻いた整列巻き束5aを収納し、前記整列巻き束5aの上に内径より径の小さい貫通孔4cを有するパルプモールド4を取り付けた中蓋3を置いたことを特徴とする。
【0018】
箱本体2は、段ボール等の軽い材質で出来たフラットな直方体状の中空の箱である。箱本体2は、上面の上蓋2aが開閉可能であり、内部に同心円状に整列かつ数段巻いたケーブル5を収納することができる。
【0019】
箱本体2の高さは、中に納めるケーブル5の外径及び巻き量にも依るが、両者を調整することで束の高さを高くせずに済む。箱の高さを低く抑えることができれば、箱を重ねた際の重心も低く抑えることができ、より多くの箱を積み重ねることができる。
【0020】
上蓋2aは、箱本体2の蓋である。上蓋2aは、奥側が背面2dに連設されており、手前側を持ち上げて開閉する。また、上蓋2aの手前側には突起2iが設けられ、前面2bの差込口2jに嵌め込むことによりケーブル梱包箱1を閉じる。
【0021】
また、上蓋2aには、上穴用ミシン目2f及び折畳式突起2gのミシン目が付けられる。上穴用ミシン目2fは、ミシン目を切り取ると上穴2lが空き、折畳式突起2gは、ミシン目を切って起こすことができる。
【0022】
前面2bは、箱本体2の手前側の面である。前面2bの上部には、差込口2jが空けられ、上蓋2aの突起2iを差し込むことができる。また、前面2bは、前穴用ミシン目2eを有し、ミシン目を切り取ると穴2kが空く。
【0023】
側面2cは、箱本体2の左右両側の面である。側面2cの下側には、溝用ミシン目2hが設けられる。溝用ミシン目2hのミシン目を切り取ると溝2mが生じ、他のケーブル梱包箱1の折畳式突起2gを嵌め込んで上下に連結することができる。
【0024】
背面2dは、箱本体2の奥側の面である。背面2dは、下端が底面と連設し、上端が上蓋2aと連設しており、上蓋2aを回動させることにより、ケーブル梱包箱1を開閉することができる。
【0025】
前穴用ミシン目2e、上穴用ミシン目2f及び溝用ミシン目2hは、出荷時は塞がった状態であり、折畳式突起2gは、折り畳まれた状態である。使用する際、必要があればミシン目を空ける。尚、溝用ミシン目2hは、最初から空けた状態にしておいても良い。
【0026】
突起2iは、上蓋2aの手前側に設けた長方形状の部材であり、差込口2jは、前面2bに若干厚みを持たせ、上面に直線状の溝を設けたものである。突起2i及び差込口2jは、中央に1箇所でも左右2箇所でも構わないが、突起2iと差込口2jの位置が合うようにする。
【0027】
穴2kは、ケーブル5を通す円状の穴であり、前穴用ミシン目2eを空けたものである。尚、穴2kは、前面2b上部からU字状に空けても良いが、上蓋2aを閉める際に邪魔となる可能性があるので、円状にすることが好ましい。
【0028】
中蓋3は、上蓋2aより一回り小さい略正方形状の段ボール等の板である。中蓋3は、箱本体2とは独立した部材であり、箱本体2の中に入れたケーブル5の束の上に載せる。中蓋3の中央付近には穴が空けられ、パルプモールド4が取り付けられる。
【0029】
パルプモールド4は、リサイクル用紙等を水などで溶かし、管状に成形して水分を蒸発させた部材であり、中蓋3の下側から上側にケーブル5を通すために孔が貫通する。引き出されるケーブル5がパルプモールド4の下部に接触することで摩擦が生じ、ケーブル5の束を崩すような余分な荷重を分散させることができる。
【0030】
ケーブル5は、1本の電線等を同心円状に整列及び数段巻いて束にした整列巻き束5aであり、箱本体2の中に収納する。尚、ケーブル5の巻き方は、特殊な設備を必要としない一般的な巻き方が好ましい。また、右巻きであっても左巻きであっても構わない。
【0031】
整列巻き束5aは、中心の空洞部5b側の内径からケーブル5の先端5cを引いていくと、束から解れてスムーズに引き出すことができる。尚、整列巻き束5aからケーブル5が離れ、空洞部5bに落ち込むと、ケーブル5の絡みに繋がるので、ケーブル5を引く際の張力を抑えて、空洞部5bへの落下を出来るだけ防止する。
【0032】
図4は、本発明であるケーブル梱包箱の中蓋にケーブルを通した状態を示す図であり、図5は、本発明であるケーブル梱包箱の穴にケーブルを通した状態を示す図である。
【0033】
ケーブル梱包箱1は、ケーブル5を収納したまま使用することができる。出荷時の状態から一旦箱本体2を開け、ケーブル5の先端を中蓋3のパルプモールド4に通して中蓋3の上側に出す。尚、出荷時の状態において、ケーブル5を中蓋3の上側に出しておいても良い。
【0034】
箱本体2の前面2bにある前穴用ミシン目2eを切り取って穴2kを空け、ケーブル5の先端を箱本体2の内側から外側に出す。箱本体2の上蓋2aを閉め、箱本体2の穴2kから必要な分だけケーブル5を引き出して使用する。
【0035】
図6は、本発明であるケーブル梱包箱の中蓋の平面図であり、図7は、本発明であるケーブル梱包箱の中蓋の正面図である。
【0036】
中蓋3の蓋本体3aは、箱本体2と同様に段ボール等の軽い材質の四角形状の板であり、四つの角を面取りしても良い。また、丸めても構わない。蓋本体3aの中央又は中央から若干ずらした位置に円形の穴が空けられ、パルプモールド4が嵌め込まれる。
【0037】
中蓋3の穴に対し上側からパルプモールド4のパイプ4aを通し、パルプモールド4の縁4bを中蓋3の穴の周りに掛けるように取り付け、パルプモールド4が中蓋3から外れないように固定する。
【0038】
尚、中蓋3から下方に飛び出しているパルプモールド4のパイプ4aは、ケーブル5の残量が少なくなったとき、パルプモールド4の下部から残りのケーブル5が一気に引き出されることを防ぐ効果もある。
【0039】
また、ケーブル5を引き出す際に、中蓋3の蓋本体3aがケーブル5の上に載っているので、ケーブル5が減っていくことで箱本体2内に生じる空間に、ケーブル5が漂うのを防ぐことができるので、ケーブル5が絡まったりすることがない。
【0040】
中蓋3は、ケーブル5の束の上に載っているで、ケーブル5の残量が少なくなると、自重により落ちていく。ケーブル5が少なくなっても押さえることが可能で、常に安定した作用を生じさせることができる。
【0041】
引き出されるケーブル5については、パルプモールド4により若干の負荷が掛けられ、引き出し張力が調整される。ケーブル5に力が急に掛からないため、ケーブル5の束が崩れるのを防止する効果がある。
【0042】
図8は、本発明であるケーブル梱包箱の中蓋からパルプモールドを取り外した図であり、図9は、本発明であるケーブル梱包箱のケーブルを引き出す状況を示す図である。
【0043】
パルプモールド4のパイプ4aは、長さの短い管状の部材であり、上部の円周上に外方に向かって輪状の縁4bが連設される。また、パイプ4aは、上側から下側に抜ける貫通孔4cを有する。
【0044】
図9において、符号6は、引き出し方向6bにケーブル5を引き出す際に、箱本体2内のケーブル5の束6cが解ける位置が奥の場合であり、符号6aは、引き出し方向6bにケーブル5を引き出す際に、箱本体2内のケーブル5の束6cが解ける位置が手前の場合である。
【0045】
ケーブル引出し方法は、整列巻き束5aの内側から出したケーブル5の先端5cを、パルプモールド4の貫通孔4cの下側から上側に通し、箱本体2の前穴2kから出すことを特徴とする。
【0046】
また、ケーブル引出し方法は、整列巻き束5aから解れたケーブル5を、パルプモールド4のパイプ4a下端に接触させて、ケーブル5に掛かる張力を低減させることを特徴とする。
【0047】
奥の場合6、手前の場合6aのいずれの場合であっても、パルプモールド4でケーブル5の通り道を制御することにより、ケーブル5がケーブル梱包箱1の内部で絡まらずにスムーズに引き出すことができる。
【0048】
ケーブル5がパルプモールド4のパイプ4aの下部に接触し摩擦が生じるので、ケーブル5を引き出す力が抑えられる。ケーブル5の束6cに掛かる荷重が低減されるので、束6cが崩れなくなり、ケーブル5が絡まることもなくなる。
【0049】
ケーブル5は、束6cから円状に解れていくが、パルプモールド4のパイプ4aも円状なので、ケーブル5が常時パイプ4aの下部に接触することになり、ケーブル5を安定してスムーズに引き出すことができる。
【0050】
ケーブル5を引き出すにつれて、束6cの高さは次第に低くなっていくが、中蓋3は束6cの上に置いてあるだけなので、束6cの高さが低くなれば、中蓋3も共に下がっていき、引出状況は維持される。
【0051】
図10は、本発明であるケーブル梱包箱のパルプモールドの位置を調整した図であり、図11は、本発明であるケーブル梱包箱のパルプモールドの位置調整の結果を示す表である。
【0052】
パルプモールド4の位置は、中蓋3の蓋本体3aの中心3bであっても良いが、中心3bよりも若干ずらした方が、より引き出しやすくなる場合もある。表7に条件を変えた場合のケーブル引出し結果を示す。
【0053】
表7において、高さはパルプモールド4のパイプ4aの高さ、位置は中蓋3におけるパルプモールド4の位置、巻き方向はケーブル5を巻く方向、巻量はケーブル5の巻き段数の多少(増減)である。
【0054】
高さが20ミリメートル、位置が中心、巻き方向が右、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、比較的スムーズである。
【0055】
高さが20ミリメートル、位置が中心、巻き方向が左、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、ケーブルが束内側に落ち込み、少し溜まってから一度に出ようとする。更に、引き出すと、束内側で渦巻き状になり、捩れて引き出しづらくなる。
【0056】
高さが20ミリメートル、位置が中心から奥に50ミリメートル、巻き方向が右、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、手前側のケーブル5が滞りがちになり、奥側に行った際に突然開放される。
【0057】
高さが20ミリメートル、位置が中心から手前に50ミリメートル、巻き方向が右、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、手前側のケーブル5が急勾配になり、若干重くなる。
【0058】
高さが20ミリメートル、位置が中心から奥に25ミリメートル、巻き方向が右、巻量が少の場合、ケーブル引出し結果は、手前側のケーブル5が急勾配になり、引っ掛かって中蓋3を持ち上げてしまうため、若干重くなる。
【0059】
高さが20ミリメートル、位置が中心から手前に25ミリメートル、巻き方向が右、巻量が少の場合、ケーブル引出し結果は、中蓋3を持ち上げてしまうため、若干重くなる。
【0060】
高さが20ミリメートル、位置が中心から手前に25ミリメートルで左に30ミリメートル、巻き方向が右、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、スムーズに引き出される。
【0061】
高さが20ミリメートル、位置が中心から手前に25ミリメートルで左に30ミリメートル、巻き方向が右、巻量が少の場合、ケーブル引出し結果は、中蓋3を持ち上げてしまい、ケーブル5を押さえられなくなる。パルプモールド4と箱底との間に隙間が生じ、ケーブル5が渦巻き状になって絡まる。
【0062】
高さが30ミリメートル、位置が中心から手前に25ミリメートルで左に20ミリメートル、巻き方向が右、巻量が少の場合、ケーブル引出し結果は、スムーズに引き出される。
【0063】
高さが30ミリメートル、位置が中心から手前に25ミリメートルで左に20ミリメートル、巻き方向が右、巻量が多の場合、ケーブル引出し結果は、スムーズに引き出される。
【0064】
尚、ケーブル5が絡まったり絡まなかったりするのは、ケーブル5の巻き方向と束巻取機の巻き方向にも依るが、ケーブル5自体の対撚り又は集合撚り等の方向と逆方向に置くことが好ましい。
【0065】
結果として、パルプモールド4の高さを約20〜30ミリメートルにし、位置を中心から手前に約25ミリメートルで左に約20〜30ミリメートルずらすと、よりスムーズにケーブル5を引き出すことができる。
【0066】
図12は、本発明であるケーブル梱包箱の折畳式突起を立てた図であり、図13は、本発明であるケーブル梱包箱を積み重ねた図である。
【0067】
ケーブル梱包箱群1aは、箱本体2の上蓋2aの左右端に折畳式突起2g、及び箱本体2の左右側面下部に溝2mを設け、複数の箱本体2を、下段の箱本体2の折畳式突起2gを上段の箱本体2の溝2mに嵌合することにより段積みできることを特徴とする。
【0068】
ケーブル梱包箱1の箱本体2の上蓋2aに設けた左右の折畳式突起2gのミシン目を切り、折畳式突起2gを立てる。また、左右の側面2cの溝用ミシン目2hが塞がっている場合は切り取り、溝2mを空ける。
【0069】
ケーブル梱包箱1の上に別のケーブル梱包箱1を載せ、上側のケーブル梱包箱1の溝2mに、下側のケーブル梱包箱1の折畳式突起2gを嵌め込む。次々にケーブル梱包箱1を積み重ねていき、ケーブル梱包箱群1aにする。
【0070】
尚、ケーブル梱包箱群1aのうち、一番下にあるケーブル梱包箱1の溝用ミシン目2hは空けなくても良いし、一番上のケーブル梱包箱1の折畳式突起2gのミシン目も空ける必要はない。また、ケーブル梱包箱1の折畳式突起2gは、折り畳むことができるので、異なる構造の箱を、積み重ねることも可能である。
【0071】
ケーブル梱包箱1は、前面2bの穴2kからケーブル5を引き出すことができるので、何段にも重ねたケーブル梱包箱群1aの場合であっても、段を崩さずにそのまま使用することができる。
【0072】
図14は、本発明であるケーブル梱包箱の上穴からケーブルを引き出す場合の図である。
【0073】
ケーブル梱包箱1は、ケーブル梱包箱群1aの一番上の段の場合、又は単独で使用する場合には、前面2bの穴2kではなく、上蓋2aの上穴2lからケーブル5を引き出すこともできる。
【0074】
前穴用ミシン目2eは空けず、上穴用ミシン目2fを切り、上穴2lを空ける。中蓋3は、箱本体2の中から取り出して使用しなくても良いし、取り出さないでケーブル5を貫通孔4cに通して使用しても良い。ケーブル5を上穴2lから箱本体2の外部へ出すことにより、スムーズに引き出すことができる。
【実施例2】
【0075】
図15は、本発明であるケーブル梱包箱の縁前面を切り取ったパルプモールドの斜視図であり、図16は、本発明であるケーブル梱包箱の縁前面を切り取ったパルプモールドを使用した状況を示す図である。
【0076】
ケーブル梱包箱1bは、パルプモールド8の縁8b前面を切り取ったことを特徴とする。パルプモールド8は、貫通孔8cを有する管状のパイプ8aの上端に、輪状の縁8bを連設するが、縁8bの前側は切り取ってC字状の切開部8dとする。
【0077】
ケーブル梱包箱1bの中蓋3にパルプモールド8を取り付けて使用した場合、縁8b上にあるケーブル5は、切開部8dにより前方へガイドされるので、ケーブル5の引出しがスムーズになる。
【実施例3】
【0078】
図17は、本発明であるケーブル梱包箱の折畳式突起を嵌め込む溝の空け方を変更した場合の図であり、図18は、本発明であるケーブル梱包箱を重ねて下段の折畳式突起を上段の溝に嵌め込んだ図である。
【0079】
ケーブル梱包箱1cは、箱本体2の側面2cを二重にし、側面2cの下面に溝2nを設ける。ケーブル梱包箱1cを積み重ねる場合、下段の箱本体2の折畳式突起2gを、上段の箱本体2の溝2nに嵌合する。
【0080】
溝2nを側面2cの下面に設けることにより、横から溝2nが見えないため、見栄えが良くなる。また、溝2nは、予め空けられているので、使用者がミシン目を空ける手間も省くことができる。
【0081】
以上のように、本発明であるケーブル梱包箱1は、一般的な巻き方で巻いたケーブルでも箱内部で絡まることなく軽く引き出すことができ、その結果、ケーブルを巻くための特殊な設備を設ける必要がなく、コストを抑えることができる。
【0082】
また、ケーブルが一般的な巻き方で良いため嵩張ることがなく、箱の高さを低くすることが出来るので、箱を重ねても荷重が分散し、多くの箱を積み重ねることができる。尚、ケーブルを横側から引き出せるので、箱を段積みした状態でも問題はない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明であるケーブル梱包箱の斜視図である。
【図2】本発明であるケーブル梱包箱の上蓋を開いた図である。
【図3】本発明であるケーブル梱包箱の中蓋を取り出した図である。
【図4】本発明であるケーブル梱包箱の中蓋にケーブルを通した状態を示す図である。
【図5】本発明であるケーブル梱包箱の穴にケーブルを通した状態を示す図である。
【図6】本発明であるケーブル梱包箱の中蓋の平面図である。
【図7】本発明であるケーブル梱包箱の中蓋の正面図である。
【図8】本発明であるケーブル梱包箱の中蓋からパルプモールドを取り外した図である。
【図9】本発明であるケーブル梱包箱のケーブルを引き出す状況を示す図である。
【図10】本発明であるケーブル梱包箱のパルプモールドの位置を調整した図である。
【図11】本発明であるケーブル梱包箱のパルプモールドの位置調整の結果を示す表である。
【図12】本発明であるケーブル梱包箱の折畳式突起を立てた図である。
【図13】本発明であるケーブル梱包箱を積み重ねた図である。
【図14】本発明であるケーブル梱包箱の上穴からケーブルを引き出す場合の図である。
【図15】本発明であるケーブル梱包箱の縁前面を切り取ったパルプモールドの斜視図である。
【図16】本発明であるケーブル梱包箱の縁前面を切り取ったパルプモールドを使用した状況を示す図である。
【図17】本発明であるケーブル梱包箱の折畳式突起を嵌め込む溝の空け方を変更した場合の図である。
【図18】本発明であるケーブル梱包箱を重ねて下段の折畳式突起を上段の溝に嵌め込んだ図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ケーブル梱包箱
1a ケーブル梱包箱群
1b ケーブル梱包箱
1c ケーブル梱包箱
2 箱本体
2a 上蓋
2b 前面
2c 側面
2d 背面
2e 前穴用ミシン目
2f 上穴用ミシン目
2g 折畳式突起
2h 溝用ミシン目
2i 突起
2j 差込口
2k 穴
2l 上穴
2m 溝
2n 溝
3 中蓋
3a 蓋本体
3b 中心
4 パルプモールド
4a パイプ
4b 縁
4c 貫通孔
5 ケーブル
5a 整列巻き束
5b 空洞部
5c 先端
6 奥の場合
6a 手前の場合
6b 引き出し方向
6c 束
7 表
8 パルプモールド
8a パイプ
8b 縁
8c 貫通孔
8d 切開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に前穴を有する箱本体に、1本のケーブルを同心円状に整列かつ数段巻いた整列巻き束を収納し、前記整列巻き束の上に内径より径の小さい貫通孔を有するパルプモールドを取り付けた中蓋を置いたことを特徴とするケーブル梱包箱。
【請求項2】
箱本体の上蓋の左右端に折畳式突起、及び箱本体の左右側面下部に溝を設け、複数の箱本体を、下段の箱本体の折畳式突起を上段の箱本体の溝に嵌合することにより段積みできることを特徴とする請求項1に記載のケーブル梱包箱。
【請求項3】
パルプモールドの縁前面を切り取ったことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケーブル梱包箱。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のケーブル梱包箱において、整列巻き束の内側から出したケーブルの先端を、パルプモールドの貫通孔の下側から上側に通し、箱本体の前穴から出すことを特徴とするケーブル引出し方法。
【請求項5】
整列巻き束から解れたケーブルを、パルプモールドのパイプ下端に接触させて、ケーブルに掛かる張力を低減させることを特徴とする請求項4に記載のケーブル引出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−55626(P2007−55626A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240591(P2005−240591)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(300040302)東日京三電線株式会社 (16)
【Fターム(参考)】