説明

ケーブル用コネクタ着脱装置

【課題】プラグとレセプタクルとの接続及び切り離しを容易に行うことを可能にするケーブル用コネクタ着脱装置を提供する。
【解決手段】固定クランプ12と、固定クランプ12に接近する方向及び固定クランプ12から離れる方向に直線変位し得る可動クランプ14と、可動クランプ14を直線変位させるリニア操作機構15とをフレーム11に取り付け、プラグ及びレセプタクルの一方及び他方をそれぞれ固定クランプ12及び可動クランプ14によりクランプした状態で、リニア操作機構15により可動クランプ14を固定クランプ側及び固定クランプから離れる方向に変位させることにより、プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル同士を接続するケーブル用コネクタの接続と切り離しとを行うために用いるケーブル用コネクタ着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブル同士を接続するために、プラグとレセプタクルとからなるケーブル用コネクタが用いられている。プラグはプラグハウジングにプラグコンタクトを保持させた構造を有し、レセプタクルは、プラグハウジングの先端を受け入れる凹部を有するレセプタクルハウジングに、プラグコンタクトに接触するレセプタクルコンタクトを保持した構造を有する。
【0003】
屋外で使用されるケーブルコネクタのように、コネクタに防水性を持たせる必要がある場合には、プラグハウジング及びレセプタクルハウジングがゴムにより形成され、プラグ及びレセプタクルを相互に接続する際に、プラグハウジングの先端がレセプタクルハウジングの凹部内にきつく嵌合される。そのため、コネクタの着脱を行う際(プラグをレセプタクルに接続する際、及びプラグをレセプタクルから外す際)には、非常に大きな力を必要とする。従って、多くのコネクタが設けられている施設においては、保守点検の際に、コネクタの着脱に多くの労力を必要とし、作業能率が悪くなるのを避けられない。
【0004】
例えば、空港においては、飛行機を誘導するために滑走路の両側及び中央に数百個(例えば300個以上)の誘導灯が設置されており、各ランプへの給電は、各ランプの灯具から引き出されたケーブルと、電源につながるケーブルとをコネクタを介して接続することにより行われる。空港においては、各ランプの保守点検を定期的に行うことが必要とされるが、保守点検の際に数百個のコネクタの着脱を手作業で行うことは容易ではない。
【0005】
コネクタの着脱を補助する装置として、特許文献1に示されたコネクタ着脱装置が提案されている。特許文献1に示されたケーブル着脱装置は、上方に開口したコネクタ保持用凹部を有して固定プレート上に固定された固定側挿入ガイドと、同じく上方に開口したコネクタ保持用凹部を有して固定側挿入ガイドに接近する方向と固定側挿入ガイドから離れる方向とに変位可能に支持された可動側挿入ガイドと、操作アームの回動に伴って可動側挿入ガイドを固定側挿入ガイドに接近させる方向と固定側挿入ガイドから離れる方向とに変位させる操作機構と、プラグ及びレセプタクルにそれぞれ固定された着脱プレートとを備えている。このコネクタ着脱装置においては、プラグ及びレセプタクルにそれぞれ固定された着脱プレートを、例えば、固定側挿入ガイドのコネクタ保持用凹部内及び可動側挿入ガイドのコネクタ保持用凹部内に嵌合させて、プラグ及びレセプタクルを固定側挿入ガイド及び可動側挿入ガイドに機械的に結合しておき、この状態で、操作アームを回動させることにより、可動側挿入ガイドを固定側挿入ガイドに接近させる方向または固定側挿入ガイドから離れる方向に変位させてプラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行うようになっている。特許文献1に示されたコネクタ着脱装置は、原子力発電プラントなどの危険を伴う設備に設置して使用することを想定して設計されており、可搬性を持たせる配慮はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−146481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示されたコネクタ着脱装置は、プラグ及びレセプタクルを挿入ガイドに装着することを可能にするために、挿入ガイドの凹部に嵌合する着脱プレートをプラグ及びレセプタクルのハウジングに固定しておくことを必要とするため、プラグハウジング及びレセプタクルハウジングに着脱プレートを固定しておくことができないコネクタには適用することができないという問題があった。特に空港の滑走路の両側及び中央に設置される誘導灯施設のように、多数のコネクタが設けられる施設においては、コネクタとして特殊なものを用いることは好ましくないため、プラグハウジング及びレセプタクルハウジングに着脱プレートを設けておくことを必要とする特許文献1のコネクタ着脱装置を採用することはできない。
【0008】
また特許文献1に示されたコネクタ着脱装置は、プラグ及びレセプタクルを挿入ガイドから離脱させないようにするために、常に挿入ガイドの着脱プレート挿入用凹部を上方に開口させた状態に保って使用する必要がある。そのため、特許文献1のコネクタ着脱装置による場合には、コネクタの着脱方向が水平方向に限定され、コネクタの着脱を水平方向以外の任意の方向に沿って行うことができないという問題があった。
【0009】
特にハンドホール内などの狭いスペースでコネクタの着脱を行う場合には、プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを、水平方向だけでなく、水平方向に対して傾斜した方向や、垂直方向などの任意の方向に沿って行い得るようにしておく必要がある。
【0010】
例えば、空港の滑走路の両側に設置された誘導灯に給電するケーブルのコネクタは、地下溝内等の狭いスペースに配置されるため、プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを、水平方向だけでなく、水平方向に対して傾斜した方向や、垂直方向などにも行い得るようにしておく必要があり、コネクタの着脱を補助するコネクタ着脱装置は、任意の姿勢で使用し得るようにしておくことが好ましい。また空港のように、多数のコネクタが分散して配置されている施設において、電気設備の保守点検の際に各コネクタの着脱を補助する工具は、作業者にかかる負担を軽減するために、持ち運びが容易なものである必要がある。
【0011】
本発明の目的は、可搬性を持たせることができる上に、使用の際の姿勢が制限されることがなく、また一般的な構造を有するプラグ及びレセプタクルからなる汎用のコネクタにも問題なく適用することができるコネクタ着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、プラグ及びレセプタクルからなるケーブル用コネクタの接続と切り離しとを行う際に、接続作業及び切り離し作業を容易にするために用いるケーブル用コネクタ着脱装置に係わるものである。本願においては、上記の目的を達成するために、第1ないし第7の発明が開示される。
【0013】
第1の発明は、本発明に係わるコネクタ着脱装置の基本的な構成を要旨としたものである。本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、基本的には、長さと幅と高さとを有する可搬型のフレームと、プラグ及びレセプタクルを個別にクランプするように構成されてフレームの長手方向に相対的に直線変位し得るようにしてフレームに支持された手動操作形の一対のクランプと、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部と一対のクランプの少なくとも一方に機械的に結合された出力部と入力部の変位を直線変位として出力部に伝達すると共に入力部に与えられる操作力を増大させて出力部に伝達する変位伝達機構とを有して入力部の変位に応じて一対のクランプの間にフレームの長手方向に沿った直線的な相対変位を生じさせるリニア操作機構とを備えて、プラグ及びレセプタクルの一方及び他方をそれぞれ一対のクランプによりクランプした状態で、リニア操作機構により一対のクランプの間に相対的な変位を生じさせることにより、プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行う。
【0014】
なお本発明において、「可搬型のフレーム」とは、作業者が手で持って持ち運ぶことができる程度の大きさと質量とを有するフレームを意味する。
【0015】
本発明に係わるコネクタ着脱装置を用いて互いに接続されているプラグ及びレセプタクルを切り離す際には、プラグ及びレセプタクルを一対のクランプによりクランプした後、リニア操作機構の入力部を操作して、一対のクランプを互いに引き離す方向に相対変位させる。リニア操作機構は、入力部に与えられる操作力を増大させて出力部に伝達するように構成されているため、一対のクランプを相対変位させる操作は、大きな力を必要とすることなく行うことができる。従って、プラグをレセプタクルから切り離す操作を容易に行うことができる。また一対のクランプ及びリニア操作機構は可搬形のフレームに取り付けられているため、プラグ及びレセプタクルをクランプする操作と、リニア操作機構により一対のクランプを相対的に変位させる操作は、レセプタクル及びプラグを任意の方向に向けた状態で行うことができる。従って、狭いスペースでのコネクタの切り離し作業を容易に行うことができる。
【0016】
プラグをレセプタクルに接続する際には、プラグコンタクトの先端をレセプタクルコンタクトの先端に所定の接触代で接触させて、プラグとレセプタクルとを仮接続した状態(プラグコンタクトの先端とレセプタクルコンタクトの先端とが接触しているが、未だプラグハウジングの先端がレセプタクルハウジング内に嵌合していない状態)にする。プラグをレセプタクルに接続する際に大きな力を必要とする過程は、プラグハウジングの先端をレセプタクルハウジング内に挿入する過程であり、プラグコンタクトの先端をレセプタクルコンタクトの先端に接触させる過程は、それほど大きな力を必要とせずに行うことができる。
【0017】
上記のように、プラグとレセプタクルとを仮接続した状態にした後、プラグ及びレセプタクルを一対のクランプによりクランプする。この状態でリニア操作機構の入力部を操作して一対のクランプを互いに近づける方向に相対変位させる。これにより、プラグハウジングの先端をレセプタクルハウジング内に嵌合させて、プラグとレセプタクルとの接続を完了する。
【0018】
第2の発明は、本発明の好ましい態様を示したもので、第2の発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、長さと幅と高さとを有する可搬型のフレームと、フレームに固定された固定クランプと、フレームの長手方向に直線変位し得るようにフレームに対してスライド自在に支持されたスライダと、スライダに支持されて該スライダの直線変位に伴って固定クランプに接近する方向と固定クランプから離れる方向とに変位する可動クランプと、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部とスライダに機械的に結合された出力部と入力部の変位を直線変位として出力部に伝達すると共に入力部に与えられる操作力を増大させて出力部に伝達する変位伝達機構とを備えて入力部の変位に応じてスライダにスライド変位を生じさせるリニア操作機構とを備えることにより構成される。
【0019】
上記固定クランプ及び可動クランプは、プラグまたはレセプタクルを受け止める受け具と、該受け具との間にプラグまたはレセプタクルをクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置とクランプ位置よりも受け具から離れた位置に設定されたアンクランプ位置との間を受け具に対して相対的に変位し得るように設けられたクランプ具と、与えられた操作力に応じて変位を生じる操作部と、該操作部の変位に伴ってクランプ具をクランプ位置及びアンクランプ位置に変位させるクランプ具操作機構とを備えた構成とする。クランプ具の受け具に対する相対変位は、可動変位でもよく、直線変位でもよい。
【0020】
本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置では、プラグ及びレセプタクルの一方及び他方をそれぞれ固定クランプ及び可動クランプによりクランプした状態で、リニア操作機構により可動クランプを変位させることにより、プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行う。
【0021】
互いに接続されているプラグ及びレセプタクルを切り離す際には、例えばプラグを固定クランプによりクランプし、レセプタクルを可動クランプによりクランプした後、リニア操作機構の入力部を操作して、可動クランプを固定クランプから離れる方向に変位させる。この場合、固定クランプによるプラグのクランプ及び可動クランプによるレセプタクルのクランプは、固定クランプの受け具とクランプ具との間及び可動クランプの受け具とクランプ具との間にそれぞれプラグ及びレセプタクルを配置した後、固定クランプ及び可動クランプのそれぞれの操作部を操作してクランプ具を受け具側に変位させることにより行うことができる。この状態で、リニア操作機構により可動クランプを固定クランプから離す方向に変位させることにより、プラグをレセプタクルから引き抜くことができる。
【0022】
リニア操作機構は、入力部に与えられる操作力を増大させてスライダに伝達するように構成されているため、可動クランプを固定クランプから離れる方向に変位させる操作は、大きな力を必要とすることなく行うことができる。従って、プラグをレセプタクルから切り離す操作を容易に行うことができる。また固定クランプによりプラグをクランプする操作、可動クランプによりレセプタクルをクランプする操作及びリニア操作機構により可動クランプを直線変位させる操作は、レセプタクル及びプラグを任意の方向に向けた状態で行うことができるため、狭いスペースでのコネクタの切り離し作業を容易に行うことができる。
【0023】
またプラグをレセプタクルに接続する際には、プラグコンタクトの先端をレセプタクルコンタクトの先端に所定の接触代で接触させて、プラグとレセプタクルとを仮接続した状態にした後、プラグ及びレセプタクルをそれぞれ固定クランプ及び可動クランプによりクランプする。この状態でリニア操作機構の入力部を操作して可動クランプを固定クランプ側に変位させ、プラグハウジングの先端をレセプタクルハウジング内に嵌合させて、プラグとレセプタクルとの接続を完了する。この場合も、固定クランプによりプラグをクランプする操作、可動クランプによりレセプタクルをクランプする操作及びリニア操作機構により可動クランプを直線変位させる操作は、レセプタクル及びプラグを任意の方向に向けた状態で行うことができるため、狭いスペースでのコネクタの接続を容易に行うことができる。
【0024】
上記の説明では、プラグを固定クランプによりクランプし、レセプタクルを可動クランプによりクランプするとしたが、レセプタクルを固定クランプによりクランプし、プラグを可動クランプによりクランプするようにした場合にも同様にコネクタの接続及び切り離しを容易に行うことができる。
【0025】
本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、可搬型のフレームに部品を取り付けて構成するため、持ち運びが容易であり、多くのコネクタが分散して配置されている設備(例えば電源にコネクタを介して接続されている誘導灯が多数設けられている空港の滑走路)において、保守点検などの際に各コネクタの着脱を行うのに好適である。
【0026】
本願により開示された第3の発明は、第2の発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置に適用される。第3の発明においては、フレームが中空に形成されていて、その高さ方向の一端に長手方向に伸びるガイド板部を有している。この場合、固定クランプは、ガイド板部の外側に配置されて、フレームの長手方向の一端寄りの位置に固定される。本発明においてはまた、ガイド板部に、該ガイド板部を貫通した状態でフレームの長手方向の他端寄りの位置から固定クランプ側に伸びるガイドスロットが設けられ、このガイドスロットにより、スライダがスライド自在にガイドされる。スライダは、ガイドスロットにスライド自在に嵌合されてガイドスロットにより案内されつつフレームの長手方向にスライドする被ガイド部と、ガイド板部の内側に配置されて被ガイド部に機械的に結合された被駆動部とを有して、被ガイド部が可動クランプに結合されている。リニア操作機構の入力部はフレームの外側に配置され、変位伝達機構は、入力部の変位をフレームの内部を通してスライダの被駆動部に伝達するように設けられている。
【0027】
上記のように、フレームを中空に形成してリニア操作機構の入力部の変位をフレームの内部を通してスライダに伝達する構造にすると、リニア操作機構の変位伝達機構をフレーム内に収容して、フレームにより保護した状態で装置を構成することができるため、変位伝達機構が損傷するのを防いで装置の耐久性を高めることができる。また装置を取り扱う者が変位伝達機構に触れて指に怪我をするのを防ぐことができるため、安全性を高めることができる。
【0028】
本願により開示される第4の発明は、第3の発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置に適用される。本発明においては、リニア操作機構が、フレームの外側で回動操作される操作アームと、フレームの長手方向の端部から該フレーム内にスライド自在に挿入されて一端がフレーム内でスライダに連結されたスライド棒とを備えて、操作アーム及びスライド棒によりそれぞれ入力部及び出力部が構成される。またリニア操作機構の変位伝達機構は、操作アームの回動変位を直線変位に変換してスライド棒の他端に伝達するとともに操作アームに与えられる操作力を増大させてスライド棒に伝達するように構成されている。変位伝達機構は、例えばリンク機構により構成することができる。
【0029】
上記のように構成すると、操作アームを回動操作することにより、可動クランプを変位させて、コネクタの着脱を行うことができる。またリニア操作機構の入力部を操作アームにより構成すると、コネクタの着脱に必要な可動クランプの変位量を得るために必要な入力部の操作角度を360度以下の適宜の角度(例えば90度ないし180度)に設定することができ、入力部を広範囲に操作しなくてもコネクタの着脱を行うことができるため、コネクタの着脱作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0030】
本願により開示される第5の発明は、第3の発明に適用される。本発明においては、リニア操作機構が、フレームの外側で回転操作される操作ハンドルと、フレーム内を該フレームの長手方向に伸びるように設けられて操作ハンドルにより回転駆動されるネジ棒と、フレーム内でスライダに結合されてネジ棒に螺合されたナットとを備えて、操作ハンドル及びナットによりそれぞれ入力部及び出力部が構成される。また、リニア操作機構の変位伝達機構は、操作ハンドルに与えられる操作力を増大させた状態で該操作ハンドルの回転をネジ棒に伝達する機構部と上記ネジ棒とナットとにより構成される。
【0031】
上記のように構成すると、コネクタを構成するプラグ及びレセプタクルをクランプした後、操作ハンドルを回転させることにより、可動クランプを直線変位させて、コネクタの着脱を行うことができる。
【0032】
本願により開示される第6の発明は、第2ないし第5の発明のいずれかに適用されるものである。本発明においては、固定クランプ及び可動クランプの操作部が、フレームの外側で回動操作されるように設けられる。またクランプ具操作機構は、操作部の回動変位をクランプ具に伝達するトグル機構を備えていて、操作部の一方向への回動に伴ってクランプ具をクランプ位置まで変位させて該クランプ位置に拘束し、操作部の他方向への回動に伴ってクランプ具の拘束を解除して該クランプ具をアンクランプ位置に変位させるように構成される。
【0033】
上記のように固定クランプ及び可動クランプを構成しておくと、操作レバーを一方向及び他方向に一定の角度だけ回動させる一操作で、プラグ及びレセプタクルのクランプとアンクランプとを行うことができるため、操作性を良好にすることができる。
【0034】
上記のように固定クランプ及び可動クランプを構成する場合、固定クランプ及び可動クランプの操作レバーは、フレームの長手方向と直交する平面に沿って回動するように設けられていることが好ましい。
【0035】
このように構成しておくと、プラグ及びレセプタクルに接続されているケーブルにより妨げられることなく、固定クランプ及び可動クランプのクランプ操作及びアンクランプ操作を行うことができる。
【0036】
本願により開示される第7の発明は、第2ないし第5の発明のいずれかに係わるケーブル用コネクタ着脱装置に適用される。本発明においては、固定クランプ及び可動クランプの操作部が、フレームの外側で回転操作されるように設けられ、クランプ具操作機構は、操作部の回転変位を直線変位に変換してクランプ具に伝達する螺進機構により構成される。
【0037】
本発明の好ましい態様では、固定クランプと可動クランプの受け具及びクランプ具のプラグまたはレセプタクルに接する部分が弾性材料により構成される。
【0038】
このように構成すると、コネクタを構成するプラグ及びレセプタクルを損傷させることなくクランプすることができ、またクランプの受け具及びクランプ具とこれらが接するプラグまたはレセプタクルとの間の摩擦抵抗を大きくすることができるため、プラグ及びレセプタクルを確実にクランプして、両者の接続及び切り離しを支障なく行うことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、プラグ及びレセプタクルをそれぞれクランプする一対のクランプと、一対のクランプの間に相対的な変位を生じさせるリニア操作機構とを可搬形のフレームに取り付けて、プラグ及びレセプタクルを一対のクランプによりクランプした状態で、一対のクランプの間に相対的な変位を生じさせることにより、コネクタの接続と切り離しとを行うように構成したため、周囲の状況に応じて、プラグ及びレセプタクルを任意の方向に向けた状態でコネクタの接続及び切り離しを行うことができ、コネクタの着脱作業を容易にすることができる。
【0040】
本発明に係わるコネクタ着脱装置は、クランプによりクランプし得るプラグとレセプタクルとを備えた一般的な構造のコネクタに適用することができ、特殊な構造のプラグ及びレセプタクルを備えたコネクタに用途が限定されないため、汎用性を持たせることができる。
【0041】
また本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、可搬型のフレームに部品を取り付けて構成されるため、持ち運びが容易であり、多数のコネクタが分散配置されている施設において、各コネクタの着脱を行う場合に、作業者にかかる負担を軽減して作業性を向上させることができる。
【0042】
また本発明において、固定クランプ及び可動クランプとして、プラグまたはレセプタクルを受け止める受け具と、クランプ位置とアンクランプ位置との間を回動し得るように設けられたクランプ具と、フレームの外側で回動操作される操作レバーと、操作レバーの回動変位をクランプ具に伝達するトグル機構とを備えたものを用いた場合には、操作レバーを一方向及び他方向にそれぞれ回動させる一操作により、プラグ及びレセプタクルのクランプを行うことができるため、プラグ及びレセプタクルをクランプする操作を簡単かつ迅速に行わせて、作業能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の可動クランプをコネクタ接続完了位置に位置させた状態を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の可動クランプをコネクタ接続完了位置に位置させた状態を示す正面縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の可動クランプをコネクタ切り離し完了位置に位置させた状態を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の可動クランプをコネクタ切り離し完了位置に位置させた状態を示す正面縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の可動クランプをアンクランプ状態にした状態を示す図3と同様の断面図である。
【図7】(A)は本実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置で用いるフレームの第1の部分を示す平面図、(B)ないし(D)はそれぞれ同第1の部分の左側面図、正面図及び右側面図である。
【図8】(A)は本実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置で用いるフレームの第2の部分を示す平面図、(B)及び(C)はそれぞれ同第2の部分の左側面図及び正面図である。
【図9】(A)及び(B)はそれぞれ本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置により着脱を行うことができるコネクタのプラグの一例を示した正面図及び右側面図である。
【図10】(A)及び(B)はそれぞれ本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置により着脱を行うことができるコネクタのレセプタクルの一例を示した正面図及び右側面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の構成を示す正面縦断面図である。
【図12】図11のケーブル用コネクタ着脱装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、プラグ及びレセプタクルからなるケーブル用コネクタの接続と切り離しとを行う装置である。ケーブル用コネクタは、例えば、図9(A),(B)に示されたプラグ1と、図10(A),(B)に示されたレセプタクル2とにより構成される。
【0045】
図9に示されたプラグ1は、ケーブル3の絶縁被覆に一体化されたゴム製のプラグハウジング101内に一対の棒状の導体102,103の後端部寄りの部分を埋設して、これらの導体をハウジング101内でケーブル3の芯線に接続した構造を有するものである。
【0046】
プラグハウジング101は、円柱状の本体部101aと、本体部101aの後端部からケーブル3側に伸びる円錐状部分101bと、本体部101aの先端から突出した円柱状の雄型嵌合部101cとを一体に有している。雄型嵌合部101cは、本体部101aより小さい外径を有するように形成され、雄型嵌合部101cの先端から一対の導体102,103の先端寄りの部分が平行に突出させられている。ハウジング101の雄型嵌合部101cの先端から突出した導体102,103の先端寄りの部分は丸棒状に形成されていて、これらの部分により、プラグコンタクトとして機能する一対の雄型コンタクト102a,103aが構成されている。本実施形態では、プラグとレセプタクルとを、それぞれのコンタクトの極性を合わせた状態で接続し得るようにするために、コンタクト102a及び103aが異なる外径を有するように形成されている。図示の例では、コンタクト102aの外径が、コンタクト103aの外径よりも小さく設定されている。
【0047】
図10に示されたレセプタクル2は、ケーブル4の絶縁被覆に一体化されたゴム製のレセプタクルハウジング201内に一対の棒状の導体202,203を埋設して、これらの導体の後端部をハウジング201内でケーブル4の芯線に接続した構造を有する。
【0048】
ハウジング201は、円柱状の本体部201aと、本体部201aの後端部からケーブル4側に伸びる円錐状部分201bとを一体に有し、本体部201aの先端部の内側に、該本体部201aの先端面に開口した凹部からなる雌型嵌合部201cが形成されている。雌型嵌合部201cは、プラグ1の雄型嵌合部101cがきつく嵌合するように、その内径が設定されている。棒状導体202,203のそれぞれの先端部側には、レセプタクルコンタクトとして機能する雌型コンタクト202a及び203aが形成されている。雌型コンタクト202a及び203aは、レセプタクルハウジング201の雌型嵌合部201cを構成する凹部の底面に開口するようにしてレセプタクルハウジング201に設けられた穴内に配置されていて、プラグ1の雄型嵌合部101cがレセプタクル2の雌型嵌合部201c内に挿入された際に、プラグの雄形コンタクト102a及び103aがそれぞれレセプタクル2の雌型コンタクト202a及び203aに所定の接触圧力をもって接触するようになっている。プラグとレセプタクルとを、それぞれのコンタクトの極性を合わせた状態でのみ接続し得るようにするため、雌型コンタクト202aと雌型コンタクト202bとが異なる内径を有するように形成されている。
【0049】
なお図9及び図10に示したコネクタは、プラグ1側に雄型コンタクト102a,103aを設け、レセプタクル2側に雌型コンタクト202a,203aを設けているが、この種のコネクタでは、レセプタクル側に雄型コンタクトを設け、プラグ側に雌型コンタクトを設ける場合もある。本明細書では、コネクタを構成する2つの部材のうち、ハウジングに雄型嵌合部を有する方をプラグと呼び、ハウジングに雌型嵌合部を有する方をレセプタクルと呼ぶ。
【0050】
コネクタに防水性を持たせるため、プラグハウジング101の雄型嵌合部とレセプタクルハウジング201の雌型嵌合部とはきつく嵌合し合うように構成されている。従って、このコネクタの接続及び切り離しを行う作業には大きな力を必要とする。本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、このようなコネクタの接続及び切り離しを容易にするために用いられるものである。
【0051】
図1ないし図8を用いて、本発明の第1の実施形態に係わるケーブル用コネクタ着脱装置の構成を説明する。図1ないし図8において、符号10は本実施形態に係わるコネクタ着脱装置を示している。このコネクタ着脱装置は、金属板により、長さと幅と高さとを有するように形成された可搬型の中空のフレーム11と、フレーム11の長手方向の一端寄りに位置させてフレーム11の外側に固定された手動操作形の固定クランプ12と、固定クランプ12とフレーム11の長手方向の他端との間でフレーム11の長手方向に沿って変位し得るように設けられたスライダ13(図2参照)と、フレーム11の外側でスライダ13に支持されて該スライダのスライド変位に伴って固定クランプ12に接近する方向と固定クランプ12から離れる方向とに変位し得る手動操作形の可動クランプ14とを備えている。図示の例では、フレーム11が直方体状に形成されている。
【0052】
コネクタ着脱装置10はまた、作業者の操作に応じてスライダ13にフレーム11の長手方向に沿った直線的なスライド変位を生じさせる増力機構付きのリニア操作機構15を備えている。リニア操作機構15は、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部15aと、スライダ13に機械的に結合された出力部15bと、入力部15aの変位を直線変位に変換して出力部15bに伝達すると共に、入力部15aに与えられる操作力を増大させて出力部15bに伝達する変位伝達機構15cとにより構成される。
【0053】
本実施形態で用いる固定クランプ12及び可動クランプ14は、同一の構造を有している。これらのクランプは、フレーム11側に配置されてプラグ1またはレセプタクル2を受け止める受け具21と、受け具21との間にプラグ1またはレセプタクル2をクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置(図3に示した位置)と、このクランプ位置よりも受け具21から離れた位置に設定されたアンクランプ位置(図6に示した位置)との間を回動し得るように設けられたクランプ具26と、フレーム11の外側で回動操作される操作レバー32と、操作レバーの回動変位をクランプ具26に伝達するトグル機構25とを備えていて、操作レバー32の一方向への回動に伴ってクランプ具26をクランプ位置まで変位させて該クランプ位置に拘束し、操作レバー32の他方向への回動に伴ってクランプ具26の拘束を解除して該クランプ具をアンクランプ位置に変位させるように構成されている。
【0054】
またリニア操作機構15は、フレーム11の外側で回動操作される操作アーム16と、フレーム11の長手方向の端部に固定されたガイド部材17によりフレーム11の長手方向にスライド自在に支持されて、フレーム11の長手方向の端部から該フレーム内にスライド自在に挿入されたスライド棒18とを備え、スライド棒18の一端がフレーム11内でスライダ13に連結されている。この例では、操作アーム16及びスライド棒18がそれぞれリニア操作機構の入力部15a及び出力部15bを構成している。
【0055】
リニア操作機構15の変位伝達機構15cは、操作アーム16の変位を直線変位としてスライド棒17の他端に伝達するとともに、操作アームに与えられる操作力を増大させてスライド棒17に伝達するように構成されている。
【0056】
本実施形態に係わるコネクタ着脱装置10は、プラグ1及びレセプタクル2の一方及び他方をそれぞれ固定クランプ12及び可動クランプ14によりクランプした状態で、リニア操作機構15により可動クランプ14を変位させることにより、プラグ1及びレセプタクル2の接続及び切り離しを行う。
【0057】
更に詳細に説明すると、フレーム11は、図7に示す第1の部分11aと、図8に示す第2の部分11bとにより、全体がほぼ直方体状を呈するように構成されている。第1の部分11aは、長方形状を呈する平板状のガイド板部11a1と、ガイド板部11a1の長手方向の一端及び他端からそれぞれ同じ側に直角に折れ曲がった一対の端部壁11a2及び11a3と、端部壁11a2及び11a3の先端部から内側に直角に折れ曲がって先端がガイド板部11a1の長手方向に相対するように形成された一対の折曲げ部11a4及び11a5とを一体に有している。折曲げ部11a4及び11a5の幅寸法はそれぞれ端部壁11a2及び11a3の幅寸法よりも小さく設定されていて、折曲げ部11a4及び11a5のそれぞれの幅方向の両端と端部壁11a2及び11a3の幅方向の両端との間に長さが等しい逃げ部11a6が形成されている。
【0058】
ガイド板部11a1には、その長手方向の他端寄り(端部壁11a3寄り)の位置から一端側に直線的に伸びる所定長さのガイドスロット11a7が、ガイド板部11a1を厚み方向に貫通した状態で形成され、ガイド板部11a1の長手方向の他端側の端部壁11a3には、該端部壁11a3を貫通したガイド部材取付孔11a8が形成されている。
【0059】
図8に示された第2の部分11bは、第1の部分11aのガイド板部11a1と長さ及び幅がほぼ等しい長方形状の底板部11b1と、この底板部11b1の幅方向の一端及び他端からそれぞれ同じ側に直角に折れ曲がった一対の側壁部11b2及び11b3と、側壁部11b2及び11b3の先端から内側に直角に折れ曲がった折曲げ部11b4及び11b5とを一体に有している。
【0060】
第1の部分11aの端部壁11a2及び11a3の幅寸法は、第2の部分11bの折曲げ部11b4及び11b5の間に形成された隙間の幅寸法よりも僅かに小さく設定されていて、第1の部分11aのガイド板部11a1を第2の部分11bの底板部11b1に対向させた状態で、第1の部分11aの端部壁11a2及び11a3を第2の部分11bの折曲げ部11b3と11b4との間に挿入し得るようになっている。
【0061】
フレーム11を組み立てる際には、図7に示した第1の部分11aの端部壁11a2及び11a3をそれぞれ図8に示した第2の部分11bの長手方向の一端側及び他端側で、第2の部分11bの折曲げ部11b4及び11b5の間に位置させ、ガイド板部11a1の幅方向の両端を第2の部分11bの折曲げ部11b4及び11b5に当接させるとともに、第1の部分11aの折曲げ部11a3及び11a4を底板部11b2に当接させて、第1の部分11aと第2の部分11bとを組み合わせる。この状態で、第2の部分11bの底板部11b1の長手方向の両端を第1の部分11aの長手方向の両端の折曲げ部11a4及び11a5にネジ11c(図2、図5参照)で締結することにより、第1の部分11aと第2の部分11bとを機械的に結合してフレーム11を組み立てる。
【0062】
固定クランプ12は、フレーム11の長手方向の一端寄りに位置させてガイド板部11a1の外側に固定されている。固定クランプ12の構成は、後述する可動クランプ14の構成と同一である。本発明においては、フレーム11が、持ち運びが可能な大きさと質量とを有する可搬型に構成される。このフレーム11としては、例えば、高さ、長さ及び幅(奥行き)がそれぞれ4.5cm,18.0cm及び7.8cmに設定されたものを用いることができる。なおフレーム11は、可搬性を有するように構成されればよく、その各部の寸法がこの具体例に限定されるものでないことはもちろんである。
【0063】
図1ないし図6に示されているように、スライダ13は、フレーム11のガイド板部11a1に設けられたガイドスロット11a7にスライド自在に嵌合されて、ガイドスロット11a7により案内されつつフレーム11の長手方向にスライドする被ガイド部13aと、ガイド板部11a1の内側に配置されて被ガイド部13aに機械的に結合された被駆動部13bとを有して、被ガイド部13aが可動クランプ14に結合されている。
【0064】
スライダ13の被駆動部13bは、矩形状の基板部13b1と基板部13b1の長手方向の両端から同じ側に直角に折れ曲がった一対の側板部13b2,13b3とを有するコの字形の部材からなっていて、基板部13b1の外面をフレーム11のガイド板部11a1の内面に沿わせた状態でフレーム11内に配置されている。被ガイド部13aは、ガイドスロット11a7にスライド自在に嵌合された長方形状の板からなっていて、被駆動部13bの基板部13b1に固定されて、被駆動部13bとともにフレーム11の長手方向にスライドする。
【0065】
図3及び図6に示されているように、可動クランプ14は、ベース板部20aとベース板部20aの一端から直角に起立した起立板部20bとを有する断面L字形のクランプフレーム20を備え、クランプフレーム20のベース板部20aがスライダ13の被ガイド部13aに固定されている。
【0066】
クランプフレーム20のベース板部20aの上には、ゴム等の弾性部材からなる受け具21が固定されている。受け具21は、コネクタのプラグまたはレセプタクルを受け止める円筒面状の凹面21a(図3参照)を有し、凹面21aの軸線をフレーム11の長手方向に向けた状態で配置されている。
【0067】
図示の例では、受け具21と被ガイド部13aと被駆動部13bの基板部13b1とを貫通させたボルト(図示せず。)と、このボルトに螺合されたナット39(図2参照)とにより、スライダ本体13aとスライド板13bとクランプフレーム20と受け具21とが締結されて、スライダ13が組み立てられるとともに、クランプフレーム20がスライダ13に連結されている。受け具21とクランプベース20と被ガイド部13aと被駆動部13bとを締結するボルトの頭部を凹面21aから突出させないようにするため、受け具21には、該ボルトの頭部を収容するための凹部(凹面21aに開口した凹部)が設けられている。
【0068】
クランプフレーム20の起立板部20bの外面にブラケット22が固定されている。ブラケット22は、クランプフレーム20の起立板部20bに溶接等により固定された基部22aと、基部22aからクランプフレーム20の起立板部20bと反対側に張り出した板状のブラケット主部22bとを有している。図3に示されているように、クランプフレームの起立板部20bの先端が指向する方向と同方向に向いたブラケット主部22bの先端には、クランプフレーム20の起立板部20b側に配置された第1の突出部22c1と、クランプフレーム21と反対側に配置された第2の突出部22c2とが形成され、突出部22c1と突出部22c2との間には、ほぼV字形の切り欠き22dが形成されている。
【0069】
ブラケット22の第1の突出部22c1には、板面を対向させた状態で第1の突出部22c1の板厚方向の両側に配置された2枚のL字形の板(図1参照)からなるクランプレバー23の一端が、軸線をフレーム11の長手方向に向けたピン24により回動自在に連結されている。クランプレバー23の他端にゴム等の弾性部材からなるクランプ具26が固定されている。
【0070】
図示の例では、クランプレバー23を構成する2枚の板の他端を、該2枚の板の対向方向に対して直角な方向から挟持するように一対の支持板27,27が配置されている。またクランプ具26を貫通させたボルト28が設けられて、このボルト28にワッシャ25が嵌合されるとともにナット29が螺合され、ナット29がワッシャ25を介してクランプ具26に締め付けられることにより、ボルト28がクランプ具26に固定されている。ボルト28は一対の支持板27,27を貫通させた状態で設けられて、ナット29がクランプ具26側に配置された一方の支持板27に当接され、他方の支持板27を貫通したボルト28にナット30が螺合されている。
【0071】
クランプ具26も、コネクタのプラグまたはレセプタクルを受け止める円筒面状の凹面26aを有していて、凹面26aの軸線をフレーム11の長手方向に向けた状態で配置されている。クランプ具26をクランプレバー23に固定するボルト28の頭部を凹面26aから突出させないようにするため、クランプ具26には、該クランプ具をクランプレバー23に固定するボルト28の頭部を収容するための凹部(凹面26aに開口した凹部)が設けられている。
【0072】
クランプ具26は、クランプレバー23の回動に伴って、受け具21との間にプラグ及びレセプタクルをクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置(図1ないし図5に示す位置)と、このクランプ位置よりも受け具21から離れた位置に設定されたアンクランプ位置(図6に示した位置)との間を回動変位させられる。
【0073】
L字形のクランクレバー23の角部には、ヘの字形に形成された操作レバー32の先端が、軸線をフレーム11の長手方向に向けたピン31により回動自在に結合されている。またブラケット22の第2の突出部22c2に、トグルリンク34の一端が、軸線をフレーム11の長手方向に向けたピン33により、回動自在に連結されている。トグルリンク34の他端は、軸線をフレーム11の長手方向に対して直角な方向に向けたピン35により、操作レバー32に回動自在に連結されている。操作レバー32には、グリップ36が取り付けられている。
【0074】
本実施形態では、クランプレバー23と、トグルリンク34と、ピン24,31,33及び35とにより、操作レバー32の回動変位をクランプ具26に伝達するトグル機構37が構成され、操作レバー32の一方向への回動に伴ってクランプ具26をクランプ位置まで変位させて該クランプ位置に拘束し、操作レバー32の他方向への回動に伴ってクランプ具26の拘束を解除して該クランプ具をアンクランプ位置に変位させるように構成されている。
【0075】
トグル機構37は、操作レバー32を図3において、時計方向に回動させて、図示のようにクランプ具26をクランプ位置に位置させたときに、ピン35の中心がピン31の中心とピン33の中心とを結ぶ直線よりもブラケット22側に位置するように構成されている。この状態では、クランプ具26を受け具21から引き離そうとする側に(アンクランプ位置側に)変位させようとする力が働いたときに、ピン35がブラケット22側に付勢される。これにより操作レバー32が図3において時計方向(クランプ具26を受け具21側に変位させようとする方向)に付勢されるため、クランプ具26がアンクランプ位置側に変位するのが阻止され、クランプ具26がクランプ位置に拘束される。
【0076】
この状態から操作レバー32を、反時計方向に回動させると、ピン35の中心がピン31の中心とピン33の中心とを結ぶ直線上に位置する状態になる点(トグル機構の死点)を越えたところからクランプレバー23が図3において時計方向への回動を開始し、操作レバー32の反時計方向への回動に伴って、クランプ具26が図6に示すアンクランプ位置まで回動変位する。
【0077】
クランプ具26が図6に示すアンクランプ位置にある状態で、操作レバー32を時計方向に回動させると、クランプレバー23が反時計方向に回動して、クランプ具26が最終的に図3に示すクランプ位置まで変位させられ、トグル機構37のピン35の中心が死点を越えてブラケット22側に変位させられることにより、クランプ具26がクランプ位置に拘束される。
【0078】
本実施形態では、固定クランプ12が可動クランプ14と全く同一に構成されている。固定クランプ12は、その受け具21の凹面21aの中心軸線を、可動クランプ14の受け具21の凹面21aの中心軸線に一致させた状態で、フレーム11の長手方向の一端寄りの位置に配置されて、その受け具21とクランプフレーム20のベース板部20aとフレームのガイド板部11a1とを貫通させたボルトと、フレーム内でこのボルトに螺合されたナット39とよりフレームのガイド板部11a1に固定されている。
【0079】
可動クランプ14及び固定クランプ12は、それぞれの操作レバー32が、スライド棒18の軸線と直交する平面(フレーム11の長手方向と直交する平面)に沿って回動するように設けられている
【0080】
スライド棒18を支持するガイド部材17は、角柱状に形成されたガイドブロック17aと、ガイドブロック17aの一端に突設されたネジ部17bとを有している。フレーム11の長手方向の他端の端部壁11a3に設けられた取付孔11a8(図7D参照)と整合する孔を底部に有する皿状の取付座40が設けられて、この取付座40の底部がフレーム11の端部壁11a3の外面に当接されている。ガイド部材17のガイドブロック17aのネジ部17b寄りの端部が取付座40の内側に配置され、ガイド部材17のネジ部17bが、取付座40の底部に設けられた孔とフレーム11の端部壁11a3に設けられた取付孔11a8とを貫通してフレーム11内に挿入されている。取付孔11a8を通してフレーム11内に挿入されたガイド部材17のネジ部17bにナット41が螺合され、このナット41が締め付けられることにより、軸線をフレーム11の長手方向に向けたガイド部材17が、取付座40と共締めされた状態でフレーム11に固定されている。
【0081】
ガイドブロック15a及びネジ部15bの軸芯部を貫通させた孔内に丸棒状のスライド棒18がスライド自在に嵌合され、これにより、スライド棒18がフレーム11の長手方向にスライド自在に支持されている。
【0082】
スライド棒18の一端はフレーム11内でスライダ13に連結されている。図示の例では、スライド棒18の一端をスライダ13の被駆動部13bの側板部13b3に当接させた状態で、被駆動部13bの側板部13b2,13b3を貫通させたボルト42をスライド棒18の軸芯部に設けられたネジ孔にねじ込むことにより、スライド棒18がスライダ13に連結されている。ボルト42の外周には、スライダの被駆動部13bの側板部13b2,13b3の間を伸びるカラー43が嵌合されている。
【0083】
スライド棒18の他端には、2枚のL字形の板により構成されたL字形の操作アーム16の先端がピン46を介して回動自在に連結されている。操作アーム16の角部には、連結部48aにより連結された2枚の板からなるリンク48の一端がピン49を介して回動自在に連結され、リンク48の他端は、ピン50を介してガイドブロック15に回動自在に連結されている。操作アーム16の後端部側には樹脂からなるグリップ51が取り付けられている。
【0084】
本実施形態では、リンク48と、ピン46,49及び50とにより、操作アーム16の回動運動をスライド棒18の軸線方向に沿う直線運動に変換してスライド棒18の他端に伝達するとともに、操作アーム16に与えられる操作力を増大させてスライド棒18に伝達する増力機構付きの変位伝達機構15cが構成され、この変位伝達機構15cと操作アーム16と、スライド棒18とにより、操作アーム16の変位に応じてスライダ13にスライド変位を生じさせるリニア操作機構15が構成されている。前述のように、本実施形態では、操作アーム16がリニア操作機構15の入力部15aを構成し、スライド棒18がリニア操作機構15の出力部15bを構成している。
【0085】
図示のリニア操作機構15においては、操作アーム16が、図1に示す第1の位置と、図4に示した位置よりも更に反時計方向に寄った位置に設定された第2の位置との間で、ほぼ180度の角度範囲を回動するようになっていて、操作アーム16を回動させることにより、スライド棒18を直線変位させることができるようになっており、スライド棒18の直線運動に伴って、可動クランプ14を、固定クランプ12に接近する方向と、固定クランプ12から離れる方向とに直線変位させることができるようになっている。
【0086】
操作アーム16が図1に示す第1の位置にあるときに、可動クランプ14が図1に示した前進位置に配置され、このとき可動クランプ14が固定クランプ12に最も接近した位置に配置される。また操作アーム16が図4に示す位置よりも更に反時計方向の前方に設定された第2の位置に達したときに可動クランプが設定された後退位置に達して、可動クランプ14が固定クランプ12から最も離れた位置に配置される。このリニア操作機構においては、グリップ51とピン49との間の距離がピン49と46との間の距離よりも大きくなっていることにより、てこの原理を利用した増力機構が構成され、操作アーム16に加えた操作力が増大されてスライド棒18を介してスライダ13に伝達される。
【0087】
図示の例では、可動クランプ14の固定クランプ12に対する位置を表示するため、フレーム11のガイド板部11a1の外面に、フレーム11の長手方向に伸びる目盛り52が設けられており、可動クランプ14の固定クランプ12側の端部の位置に相応する目盛りを読み取ることにより、可動クランプ14の位置と変位量とを知ることができるようになっている。
【0088】
本実施形態のコネクタ着脱装置を用いて、互いに接続されているプラグ1及びレセプタクル2を切り離す際には、固定クランプ12及び可動クランプ14の操作レバー32を図6に示す位置に位置させ、かつ可動クランプ14を固定クランプ12に最も近い位置に設定された前進位置に位置させた状態で、両クランプをアンクランプ状態にする。この状態で、例えば図2に示したように、プラグ1及びレセプタクル2をそれぞれ固定クランプ12の受け具21及び可動クランプ14の受け具21の上に載せ、固定クランプ12及び可動クランプ14のグリップ36を手で持って操作レバー32を図6において時計方向に回動させることにより、固定クランプ12及び可動クランプ14をクランプ状態にする。これにより、図2及び図3に示すように、固定クランプ12の受け具21とクランプ具26との間及び可動クランプ14の受け具21とクランプ具26との間にそれぞれプラグ1及びレセプタクル2をクランプする。
【0089】
この状態で、リニア操作機構15のグリップ51を持って操作アーム16を図1において反時計方向に回動させることにより、可動クランプ14を固定クランプ12から離れる方向に直線変位させ、レセプタクル2をプラグ1から引き抜く。
【0090】
固定クランプ12によるプラグ1のクランプ及び可動クランプ14によるレセプタクル2のクランプは、固定クランプの受け具21とクランプ具26との間及び可動クランプの受け具21とクランプ具26との間にそれぞれプラグ1及びレセプタクル2を配置した後、固定クランプ12及び可動クランプ14のそれぞれの操作レバー32を一方向に回動させる一動作により行うことができる。またリニア操作機構15の操作アーム16の操作力が増大されてスライド棒18に伝達されるように構成されていることにより、可動クランプ14を固定クランプ12から離れる方向に変位させる操作は、大きな力を必要とすることなく行うことができるため、プラグをレセプタクルから切り離す操作を容易に行うことができる。また固定クランプ12によるプラグ1のクランプ及び可動クランプ14によるレセプタクル2のクランプは、プラグ及びレセプタクルを任意の方向に向けた状態で行うことができるため、狭いスペースでのコネクタの切り離しも容易に行うことができる。
【0091】
プラグ1をレセプタクル2に接続する際には、先ず、プラグ1のコンタクト102a及び103aの先端寄りの部分をレセプタクル2のコンタクト202a及び203aに挿入して、プラグハウジング101の先端の雄型嵌合部101cがレセプタクルハウジング201の雌型嵌合部201cに嵌合する直前の状態にして、プラグ1をレセプタクル2に仮接続した状態にする。プラグ1をレセプタクル2に接続する際に大きな力を必要とするのは、プラグハウジング101の先端の雄型嵌合部101cをレセプタクルハウジング201の雌型嵌合部201cに嵌合させる過程であり、プラグ1のコンタクト102a及び103aの先端寄りの部分をレセプタクル2のコンタクト202a及び203aに挿入して、プラグハウジング101の雄型嵌合部101cがレセプタクルハウジング201の雌型嵌合部201cに嵌合する直前の状態にする過程では、それほど大きな力は必要としない。従って、プラグ1をレセプタクル2に仮接続する作業は、着脱装置を用いることなく容易に行うことができる。
【0092】
上記のように、プラグ1のコンタクト102a及び103aの先端寄りの部分をレセプタクル2のコンタクト202a及び203aに挿入して、プラグ1とレセプタクル2とを仮接続した後、仮接続された状態にあるプラグ1及びレセプタクル2を固定クランプ12及び可動クランプ14によりクランプする。このとき、可動クランプ14は、プラグハウジング101の雄型嵌合部101cの軸線方向長さ(雄型嵌合部101cを雌型嵌合部201cに嵌合させる際の移動量)に等しい長さだけ、図1に示した前進位置(固定クランプ12に最も近い位置)よりも後退位置寄りに寄った初期位置に位置させておく。雄型嵌合部101cの軸線方向長さは、コネクタが決まれば一定であるため、プラグをレセプタクルに接続する際の可動クランプ14の初期位置は、目盛り52を利用して容易に設定することができる。
【0093】
上記のようにしてプラグ1及びレセプタクル2を固定クランプ12及び可動クランプ14によりクランプした後、リニア操作機構15の入力部15a(操作アーム16)を図4において時計方向に回動変位させて、可動クランプ14を図1に示す前進位置まで変位させ、これにより、プラグハウジング101の雄型嵌合部101cをレセプタクルハウジング201の雌型嵌合部201cに完全に嵌合させてプラグ1とレセプタクル2との接続を完了する。
【0094】
プラグをレセプタクルに接続する際にも、固定クランプ12によるプラグ1のクランプ及び可動クランプ14によるレセプタクル2のクランプは一動作で行うことができ、またリニア操作機構15の操作は大きな力を必要とせずに行うことができるため、プラグ1をレセプタクル2に接続する操作を容易に行うことができる。
【0095】
上記の実施形態においては、固定クランプ12及び可動クランプ14の操作レバー32が、スライド棒18の軸線(フレームの長手方向)と直交する平面に沿って回動するように設けられている。このように構成しておくと、プラグ1及びレセプタクル2に接続されているケーブル3及び4により妨げられることなく、固定クランプ12及び可動クランプ14のクランプ操作及びアンクランプ操作を行うことができる。
【0096】
上記の実施形態においては、操作アーム16が、スライド棒18の軸線を含む平面に沿って回動し得るように設けられている。この場合、例えば、ボルト42による締め付けを緩めにしておくことにより、操作アーム16とフレーム11との間にスライド棒18の軸線を中心とした回動運動が生じるのを許容する状態で、リニア操作機構15とスライダ13とを結合しておくようにすることもできる。
【0097】
このように構成しておくと、操作アーム16を任意の方向に向けることができるため、コネクタの周囲の状況に応じて、操作アーム16を操作しやすい方向に向けることができ、コネクタの周囲の状況の影響を受けたり、コネクタに接続されている電気コードに妨げられたりすることなく、コネクタの接続及び切り離し作業を容易に行うことができる。
【0098】
上記の実施形態では、操作レバー32が、固定クランプ及び可動クランプの操作部を構成しており、トグル機構が、操作部の変位に伴ってクランプ具26をクランプ位置及びアンクランプ位置に変位させるクランプ具操作機構を構成している。
【0099】
上記の実施形態では、固定クランプ及び可動クランプとして、クランプ具操作機構がトグル機構からなるトグルクランプを用いたが、本発明で用いる固定クランプ及び可動クランプは、フレーム11側に配置されてプラグまたはレセプタクルを受け止める受け具21と、受け具21との間にプラグまたはレセプタクルをクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置とこのクランプ位置よりも受け具21から離れた位置に設定されたアンクランプ位置との間を変位(回動変位または直線変位)し得るように設けられたクランプ具26と、手動操作により変位させられる操作部を有して該操作部の変位に伴ってクランプ具26をクランプ位置及びアンクランプ位置に変位させるクランプ具操作機構とを備えたものであればよく、上記実施形態で示したものに限定されない。例えば、クランプ具26をクランプ位置とアンクランプ位置との間で直線変位させるように構成すると共に、操作部(例えばつまみ)の回転運動を直線運動に変換してクランプ具26に伝達するようにクランプ具操作機構を構成するようにしてもよい。
【0100】
また上記実施形態では、リニア操作機構15の出力部15bを直線変位するスライド棒18により構成し、入力部15aを回動変位する操作アーム16により構成して、操作アーム16の回動変位を直線変位に変換してスライド棒18に伝達するようにリニア操作機構15の変位伝達機構15cを構成したが、本発明はリニア操作機構をこのように構成する場合に限定されない。例えば、ネジ棒と該ネジ棒に螺合されるナットとを用いて回転運動を直線運動に変換する螺進機構を用いて、入力部の回転運動を直線運動に変換してスライダ13に伝達するようにリニア操作機構を構成することもできる。
【0101】
図11及び図12は、トグルクランクを用いずに固定クランプ12及び可動クランプ14を構成し、螺進機構を用いてリニア操作機構を構成した本発明の第2の実施形態を示したものである。本実施形態では、フレーム11の長手方向に伸びるネジ棒60がフレーム11内に設けられて、このネジ棒60がフレーム11に回転自在に支持されている。図示の例では、ネジ棒60の一端がフレーム11の端部壁11a3に軸受61を介して支持され、ネジ棒60の他端がフレーム11内に固定された支柱62に軸受けを介して支持されている。スライダ13には、該スライダの側板部13b2、13b3間に位置させてナット63が固定され、このナットにネジ棒60が螺合されている。ネジ棒60には、フレーム11の端部壁11a3寄りに位置させてウォームホイール64が固定されている。またフレーム11内には、該フレームの幅方向に伸びる回転軸65(図12参照)が配置されて、該回転軸65が、フレーム11の幅方向に相対する側壁部11b2,11b3の上部に軸受66及び67を介して回転自在に支持され、回転軸65に取り付けられたウォーム68がウォームホイール64に噛み合わされている。回転軸65の一端はフレーム11の側壁部11b3を貫通して外部に導出され、回転軸65のフレーム外に導出された一端に、回転軸65を回転操作する操作ハンドル69が取り付けられている。この例では、ネジ棒60と、ナット63と、ウォームホイール64と、回転軸65と、ウォーム68と、操作ハンドル69とにより、リニア操作機構15′が構成されている。
【0102】
このリニア操作機構においては、操作ハンドル69がリニア操作機構の入力部15a′を構成しており、ナット63がリニア操作機構15′の出力部15b′を構成している。また回転軸65とウォーム68とウォームホイール64とにより、操作ハンドル69(入力部)の回転を減速してネジ棒60に伝達する機構部が構成され、この機構部と、ネジ棒60と、ナット63とにより、リニア操作機構の入力部15a′の回転変位を直線変位に変換して出力部15b′(ナット63)に伝達するとともに、入力部に与えられた操作力を増大させて出力部に伝達する変位伝達機構15c′が構成されている。この変位伝達機構においては、操作ハンドル69のアームの長さと、ウォーム68及びウォームホイール64により構成された歯車伝達機構の減速比とにより、操作ハンドル69に加えられた操作力を増大させてスライダ13に伝達するようになっている。
【0103】
また本実施形態では、固定クランプ12′及び可動クランプ14′が、基板部20a′と基板部20a′の端部から直角に起立した起立板部20b′と起立板部20b′の基板部と反対側の端部から基板部20a′と同じ側に張り出した天板部20c′とを有するほぼコの字形のクランプフレーム20′を備え、クランプフレーム20′の基板部20a′に受け具21が固定されている。また天板部20c′に設けられたボス部20c1′の軸心部を貫通させて設けられたネジ孔にフレーム11の高さ方向に伸びるネジ棒70が螺合され、このネジ棒70の先端(受け具21側の端部)が、クランプ具支持板71に回転自在に連結されている。クランプ具支持板71は矩形状の板からなっていて、その一側面に突起71aが設けられている。クランプフレーム20′の起立板部20b′には、フレーム11の高さ方向に直線的に伸びるスロットが設けられ、このスロットにクランプ具支持板71の側面の突起71aがスライド自在に嵌合されている。クランプ具支持板71の側面の突起71aがクランプフレーム20′の起立板部20b′のスロットに嵌合されることにより、クランプ具支持板71の回り止めが図られるとともに、クランプ具支持板71の変位の方向が、フレーム11の高さ方向に沿う方向に規制されている。クランプ具支持板71に、クランプ具26が取り付けられている。
【0104】
ネジ棒70のクランプ具26と反対側の端部には、操作つまみ72が固定され、この操作つまみ72を手で掴んで回転させることにより、ネジ棒70を回転させることができるようになっている。操作つまみ72を回転させると、ネジ棒70が回転しながらフレーム11の高さ方向に変位するため、回り止めが図られた状態でネジ棒70に回転自在に結合されたクランプ具支持板71がフレーム11の高さ方向に直線変位し、クランプ具支持板11の変位に伴って、該クランプ具支持板に取り付けられたクランプ具26が、その凹面26aの軸線をフレーム11の長手方向に向けた状態を保って、フレーム11の高さ方向に変位する。
【0105】
従って、操作つまみ72を回転操作することにより、クランプ具26を、受け具21との間にプラグまたはレセプタクルをクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置と、このクランプ位置よりも受け具21から離れた位置に設定されたアンクランプ位置とに変位させることができる。
【0106】
本実施形態では、操作つまみ72により、与えられた操作力に応じて変位を生じるクランプの操作部が構成されており、クランプフレームの天板部のボス部20c1′に設けられたネジ孔と、このネジ孔に螺合されたネジ棒70と、変位の方向がフレームの高さ方向に規制されてネジ棒70に回転自在に結合されたクランプ具支持板71とにより、操作部の変位に伴ってクランプ具26をクランプ位置及びアンクランプ位置に変位させるクランプ具操作機構が構成されている。
【0107】
固定クランプ12′は、そのクランプフレーム20′の基板部20a′をフレーム11のガイド板部11aに固定することによりフレーム11に固定される。また可動クランプ14′は、そのクランプフレーム20′の基板部20a′をスライダ13の被ガイド部13aに連結することによりスライダ13に支持されて、該スライダ13とともにフレーム11の長手方向に直線変位させられる。
【0108】
図11及び図12に示した第2の実施形態のその他の構成は、図1ないし図8に示した第1の実施形態の構成と同様である。第2の実施形態に係わるコネクタ着脱装置の使い方は、操作つまみ72を回転させてクランプ12′,14′のクランプ具26を変位させる点、及び操作ハンドル69を回転させて可動クランプ14を変位させる点を除き、第1の実施形態に係わるコネクタ着脱装置の使い方と同様である。
【0109】
第2の実施形態のように、操作ハンドル69の回転を歯車減速機構を介してネジ棒60に伝達するようにすると、リニア操作機構15からスライダ13に与えられる操作力F2とリニア操作機構15に与えられる操作力F1との比F2/F1を容易に調整することができる。
【0110】
上記第2の実施形態では、操作ハンドル69の回転をネジ棒60に伝達する機構部をウォーム68とウォームホイール64とからなる歯車減速機構により構成したが、操作ハンドル69をネジ棒60の端部に直結して操作ハンドル69の回転を直接ネジ棒60に伝達するように、操作ハンドル69の回転をネジ棒60に伝達する機構部を構成してもよい。
【0111】
上記の実施形態では、一対のクランプの一方を固定クランプとし、他方のクランプを可動クランプとしたが、一対のクランプの双方をフレーム11の長手方向に変位し得るように設けることもできる。この場合、プラグをレセプタクルから引き外す際に一対のクランプの双方を互いに離れる方向に変位させ、プラグをレセプタクルに接続する際に一対のクランプの双方を互いに接近させる方向に変位させるようにリニア操作機構を構成することができる。
【0112】
また第1及び第2の実施形態と同様に、プラグをレセプタクルから外す際及びプラグをレセプタクルに接続する際に、一方のクランプのみをフレームの長手方向に直線変位させるようにリニア操作機構を構成し、フレームの長手方向に変位が可能な他方のクランプに対しては、フレームの長手方向への位置を適宜の位置に調整するための位置調整機構のみを設けるようにすることもできる。
【0113】
即ち、本発明に係わるケーブル用コネクタ着脱装置は、長さと幅と高さとを有する可搬型のフレームと、プラグ及びレセプタクルを個別にクランプするように構成されてフレームの長手方向に相対的に直線変位し得るようにしてフレームに支持された手動操作形の一対のクランプと、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部と一対のクランプの少なくとも一方に機械的に結合された出力部と入力部の変位を直線変位として出力部に伝達すると共に入力部に与えられる操作力を増大させて出力部に伝達する変位伝達機構とを有して入力部の変位に応じて一対のクランプの間にフレームの長手方向に沿った相対的な直線的な相対変位を生じさせるリニア操作機構とを備えた構成とすることができる。
【符号の説明】
【0114】
11 フレーム
11a1 ガイド板部
11a7 ガイドスロット
12,12′ 固定クランプ
13 スライダ
13a 被ガイド部
13b 被駆動部
14、14′ 可動クランプ
15 リニア操作機構
15a 入力部
15b 出力部
15c 変位伝達機構
16 操作アーム
17 ガイド部材
18 スライド棒
20、20′ クランプベース
21 受け具
22 ブラケット
23 クランプレバー
24 ピン
26 クランプ具
31 ピン
32 操作レバー
33 ピン
34 トグルリンク
35 ピン
36 グリップ
37 トグル機構
46 ピン
48 リンク
49 ピン
50 ピン
51 グリップ
60 ネジ棒
63 ナット
64 ウォームホイール
68 ウォーム
69 操作ハンドル
70 ネジ棒
72 操作つまみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ及びレセプタクルからなるケーブル用コネクタの接続と切り離しとを行うケーブル用コネクタ着脱装置であって、
長さと幅と高さとを有する可搬型のフレームと、前記プラグ及びレセプタクルを個別にクランプするように構成されて前記フレームの長手方向に相対的に直線変位し得るようにして前記フレームに支持された手動操作形の一対のクランプと、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部と前記一対のクランプの少なくとも一方に機械的に結合された出力部と前記入力部の変位を直線変位として前記出力部に伝達すると共に前記入力部に与えられる操作力を増大させて前記出力部に伝達する変位伝達機構とを有して前記入力部の変位に応じて前記一対のクランプの間に前記フレームの長手方向に沿った直線的な相対変位を生じさせるリニア操作機構とを具備し、
前記プラグ及びレセプタクルの一方及び他方をそれぞれ前記一対のクランプによりクランプした状態で、前記リニア操作機構により前記一対のクランプの間に相対的な変位を生じさせることにより、前記プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行うように構成されているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項2】
プラグ及びレセプタクルからなるケーブル用コネクタの接続と切り離しとを行うケーブル用コネクタ着脱装置であって、
長さと幅と高さとを有する可搬型のフレームと、前記フレームに固定された固定クランプと、前記フレームの長手方向に直線変位し得るように前記フレームに対してスライド自在に支持されたスライダと、前記スライダに支持されて該スライダの直線変位に伴って前記固定クランプに接近する方向と前記固定クランプから離れる方向とに変位する可動クランプと、与えられた操作力に応じて変位を生じる入力部と前記スライダに機械的に結合された出力部と前記入力部の変位を直線変位として出力部に伝達すると共に入力部に与えられる操作力を増大させて出力部に伝達する変位伝達機構とを備えて前記入力部の変位に応じて前記スライダにスライド変位を生じさせるリニア操作機構とを具備し、
前記固定クランプ及び可動クランプは、前記プラグまたはレセプタクルを受け止める受け具と、前記受け具との間に前記プラグまたはレセプタクルをクランプするのに適した隙間を形成した状態になるクランプ位置と前記クランプ位置よりも前記受け具から離れた位置に設定されたアンクランプ位置との間を前記受け具に対して相対的に変位し得るように設けられたクランプ具と、与えられた操作力に応じて変位を生じる操作部と、該操作部の変位に伴って前記クランプ具を前記クランプ位置及びアンクランプ位置に変位させるクランプ具操作機構とを備え、
前記プラグ及びレセプタクルの一方及び他方をそれぞれ前記固定クランプ及び可動クランプによりクランプした状態で、前記リニア操作機構により前記可動クランプを変位させることにより、前記プラグ及びレセプタクルの接続及び切り離しを行うように構成されているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたケーブル用コネクタ着脱装置であって、
前記フレームは、中空に形成されていて、その高さ方向の一端に長手方向に伸びるガイド板部を有し、
前記固定クランプは、前記ガイド板部の外側に配置されて、前記フレームの長手方向の一端寄りの位置に固定され、
前記ガイド板部には、該ガイド板部を貫通した状態で前記フレームの長手方向の他端寄りの位置から前記固定クランプ側に伸びるガイドスロットが設けられ、
前記スライダは、前記ガイドスロットにスライド自在に嵌合されて前記ガイドスロットにより案内されつつ前記フレームの長手方向にスライドする被ガイド部と、前記ガイド板部の内側に配置されて前記被ガイド部に機械的に結合された被駆動部とを有して前記被ガイド部が前記可動クランプに結合され、
前記リニア操作機構の入力部は前記フレームの外側に配置され、
前記リニア操作機構の変位伝達機構は、前記入力部の変位を前記フレームの内部を通して前記スライダの被駆動部に伝達するように設けられているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたケーブル用コネクタ着脱装置であって、
前記リニア操作機構は、前記フレームの外側で回動操作される操作アームと、前記フレームの長手方向の端部から該フレーム内にスライド自在に挿入されて一端が前記フレーム内で前記スライダに連結されたスライド棒とを備えて、前記操作アーム及びスライド棒によりそれぞれ前記入力部及び出力部が構成され、
前記リニア操作機構の変位伝達機構は、前記操作アームの回動変位を直線変位に変換して前記スライド棒の他端に伝達するとともに前記操作アームに与えられる操作力を増大させて前記スライド棒に伝達するように構成されているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項5】
請求項3に記載されたケーブル用コネクタ着脱装置であって、
前記リニア操作機構は、前記フレームの外側で回転操作される操作ハンドルと、前記フレーム内を該フレームの長手方向に伸びるように設けられて前記操作ハンドルにより回転駆動されるネジ棒と、前記フレーム内で前記スライダに結合されて前記ネジ棒に螺合されたナットとを備えて、前記操作ハンドル及びナットによりそれぞれ前記入力部及び出力部が構成され、
前記リニア操作機構の変位伝達機構は、前記操作ハンドルに与えられる操作力を増大させた状態で該操作ハンドルの回転を前記ネジ棒に伝達する機構部と前記ネジ棒と前記ナットとにより構成されているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項6】
請求項2,3,4または5に記載されたケーブル用コネクタ着脱装置であって、
前記固定クランプ及び可動クランプの操作部は、前記フレームの外側で回動操作されるように設けられ、
前記クランプ具操作機構は、前記操作部の回動変位を前記クランプ具に伝達するトグル機構を備えて、前記操作部の一方向への回動に伴って前記クランプ具を前記クランプ位置まで変位させて該クランプ位置に拘束し、前記操作部の他方向への回動に伴って前記クランプ具の拘束を解除して該クランプ具を前記アンクランプ位置に変位させるように構成されているケーブル用コネクタ着脱装置。
【請求項7】
請求項2,3,4または5に記載されたケーブル用コネクタ着脱装置であって、
前記固定クランプ及び可動クランプの操作部は、前記フレームの外側で回転操作されるように設けられ、
前記クランプ具操作機構は、前記操作部の回転変位を直線変位に変換して前記クランプ具に伝達する螺進機構からなっているケーブル用コネクタ着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−34683(P2011−34683A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176827(P2009−176827)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(591086843)古河電工産業電線株式会社 (40)
【Fターム(参考)】