説明

ケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法

【課題】ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法を提供する。
【解決手段】ケーブル用収納箱11は、8の字巻きしたケーブル15を収納するものであって、外側面12aに、余分に引き出された余長ケーブル15Bを引っ掛けて保持できる、折曲または湾曲可能な引っ掛け部20と、引っ掛け部20を係止する係止穴21または係止スリットとが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に室内に布設されるLANケーブル、インドア用光ケーブルなどの比較的細径のケーブルの収納に、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱が用いられている。このケーブル用収納箱は、ケーブルを絡めずに引き出しやすい、いわゆる8の字巻きしたケーブルの状態で収納するもので、一つの面に形成された穴からケーブルが引き出されて布設されるようになっている。このケーブル用収納箱は、使用後つまりケーブルがなくなった後に廃棄が容易となるようにダンボールを主体として形成されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3986067号公報
【特許文献2】特開2001−63784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ケーブル用収納箱においては、室内にケーブルを布設し終わった後、ケーブルを箱から余分に引き出した余長(例えば、5〜10m程度)が残ることがある。ケーブル用収納箱においては、この余長を箱の中に押し込んでしまうと、箱の中でケーブルが絡まってしまい、次に引き出そうとしてもスムーズに引き出せなかったり、ケーブルにキンク(折れ曲がり)が発生したりして、ケーブルが光ケーブルである場合は断線に至るなどのトラブルの原因となる。このため、布設作業後は箱の近傍でケーブルを切断し、余長は廃棄することとしている。しかしながら、このように余長を廃棄すると、資源の無駄になり、ネットワーク構築コストが増大してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長を保持することにより、余長の有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱及びこれを用いた余長収納方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明のケーブル用収納箱は、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
外側面の少なくとも一つに、余分に引き出された余長ケーブルを引っ掛けて保持できる折曲または湾曲可能な引っ掛け部と、前記引っ掛け部を係止する係止穴または係止スリットとが設けられていることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明に係るケーブル用収納箱において、前記ケーブルを収納する箱本体に対して前記引っ掛け部が一体に設けられており、前記引っ掛け部の一箇所に対して前記係止穴または前記係止スリットが一箇所設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係るケーブル用収納箱において、前記ケーブルを収納する箱本体に対して前記引っ掛け部が使用時に取り付け可能となるように別体で設けられており、前記引っ掛け部の一箇所に対して前記係止穴または前記係止スリットが二箇所設けられていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るケーブル用収納箱において、前記引っ掛け部による保持箇所が複数箇所設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る余長保持方法は、8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを、上記のいずれかのケーブル用収納箱に設けられた前記引っ掛け部を用いて保持することを特徴とする。
【0011】
なお、本発明に係る余長保持方法において、前記余長ケーブルを8の字巻きして前記引っ掛け部で保持することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のケーブル用収納箱によれば、その外側面の少なくとも一つに設けられた引っ掛け部で、余分に引き出された余長ケーブルを保持し、引っ掛け部を係止穴または係止スリットに係止することで、引っ掛け部による余長ケーブルの保持状態を維持することができる。よって、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブルを保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブルの取り出し作業も引っ掛け部を係止穴または係止スリットから外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブルを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブルの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0013】
本発明の余長保持方法によれば、ケーブル用収納箱に設けられた引っ掛け部で、余分に引き出された余長ケーブルを保持し、引っ掛け部を係止穴または係止スリットに係止することで、引っ掛け部による余長ケーブルの保持状態を維持することができる。よって、ケーブルの絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブルをケーブル用収納箱に保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブルの取り出し作業も引っ掛け部を外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブルを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブルの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るケーブル用収納箱の一実施形態の側断面図である。
【図2】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持前の斜視図である。
【図3】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【図4】引っ掛け部の別の例を示す部分斜視図である。
【図5】引っ掛け部のさらに別の例を示す部分斜視図である。
【図6】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【図7】引っ掛け部材を示す斜視図である。
【図8】引っ掛け部材の別の例を示す斜視図である。
【図9】引っ掛け部材のさらに別の例を示す斜視図である。
【図10】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【図11】ケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1から図5を参照して説明する。
図1はケーブル用収納箱の側断面図、図2はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持前の斜視図、図3はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図、図4は引っ掛け部の別の例を示す部分斜視図、図5は引っ掛け部のさらに別の例を示す部分斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、ケーブル用収納箱11は外形が直方体形状とされている。このケーブル用収納箱11は、外形を形成する直方体形状の箱本体12と、箱本体12内に設けられた板状の支持部材13とを有している。これら箱本体12及び支持部材13はダンボールで形成されている。箱本体12内には、主に室内に布設されるLANケーブル、インドア用光ケーブルなどの比較的細径のケーブル15が、いわゆる8の字巻きした円環状の8の字束ケーブル15Aの状態で収納されている。
【0017】
箱本体12の一つの外側面12aには、引き出し穴17が形成されており、この引き出し穴17には、プラスチック材料などで形成されたテーパ筒状の取り出し口18が嵌合されている。この取り出し口18は、箱本体12内において8の字束ケーブル15Aを半径方向に貫通しており、円環状の8の字束ケーブル15Aの内周側からケーブル15が取り出し口18の内側を通って箱本体12の外側に引き出されるようになっている。なお、支持部材13は、箱本体12の引き出し穴17が形成された外側面12aに近接して設けられており、取り出し口18を支持する。
【0018】
第1実施形態においては、図2に示すように、箱本体12の外側面の少なくとも一つである、引き出し穴17が形成された外側面12aに、その上縁部から外側面12aに対し垂直方向に一定幅で延出する板状の引っ掛け部20が箱本体12と一体に形成されている。この引っ掛け部20は、折曲または湾曲可能であり、引き出し穴17の鉛直上方に配置されている。ケーブル用収納箱11の外側面12aにおける引っ掛け部20と引き出し穴17との間には、この引っ掛け部20の一箇所に対して一箇所の横長の係止穴21が形成されている。この係止穴21は、引っ掛け部20を差し込み可能とするように、引っ掛け部20より若干幅広に形成されている。
【0019】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを図3に示すように円環状に巻き、その上部を引っ掛け部20と係止穴21との間に配置する。そして、ダンボールからなる引っ掛け部20を中間位置で外側面12aと平行な一本の折れ線20Aのみを形成するように係止穴21側にV字状に折り曲げ、この引っ掛け部20を、余長ケーブル15Bの上部を覆うようにして、その先端部において係止穴21に差し込む。これにより、引っ掛け部20の先端部が係止穴21に係止されることになり、余長ケーブル15Bは、円環状の上部が折曲形状の引っ掛け部20で引っ掛けられてケーブル用収納箱11に保持される。なお、箱本体12の外側面12aには、X字状あるいは十字状のスリット23が形成されており、ケーブル用収納箱11に引っ掛け部20で保持された余長ケーブル15Bの端部がこのスリット23に差し込まれて係止される。なお、余長ケーブル15Bの端部は、ケーブル収納箱11の外面に接着テープによって貼り付けても良い。
【0020】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、引っ掛け部20を係止穴21から抜いて、余長ケーブル15Bの保持を解除すれば良い。
【0021】
以上に述べた第1実施形態によれば、ケーブル用収納箱11の外側面の少なくとも一つである外側面12aに設けられた引っ掛け部20で、余分に引き出された余長ケーブル15Bを保持し、引っ掛け部20を係止穴21に係止することで、引っ掛け部20による余長ケーブル15Bの保持状態を維持することができる。よって、余長ケーブル15Bの長短に拘わらずケーブル15の絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブル15Bを保持することができて保持作業が容易となる。また、余長ケーブル15Bの取り出し作業も引っ掛け部20を係止穴21から外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブル15Bを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブル15Bの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0022】
また、ケーブル15を収納する箱本体12に対して引っ掛け部20が一体に設けられているため、引っ掛け部20を紛失してしまうことがなくなる。しかも、ケーブル布設作業の際には、ケーブル用収納箱11だけを運搬すれば良く、作業がさらに容易になる。
【0023】
なお、係止穴21にかえて、切れ目状の係止スリットを形成して、引っ掛け部20の先端部をこの係止スリットに挿入して係止するようにしても良い。
また、引っ掛け部20を一本の折れ線20Aのみを形成するようにV字状に折り曲げるのではなく、図4に示すようにU字状に湾曲させて係止穴21または係止スリットに挿入し係止しても良い。
【0024】
さらに、引っ掛け部20を一本の折れ線20Aのみを形成するようにV字状に折り曲げるのではなく、図5に示すように二本の平行な折れ線20B,20Cを形成するようにコ字状に折り曲げて係止穴21または係止スリットに挿入し係止しても良い。
【0025】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6〜図9を参照して、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図6はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図、図7は引っ掛け部材を示す斜視図、図8は引っ掛け部材の別の例を示す斜視図、図9は引っ掛け部材のさらに別の例を示す斜視図である。
【0026】
第2実施形態においては、図6に示すように、箱本体12の外側面の少なくとも一つである、引き出し穴17が形成された外側面12aの引き出し穴17の鉛直上方に、上下二箇所の横長の係止穴25,26が形成されている。
【0027】
そして、第2実施形態においては、二箇所の係止穴25,26に対して係合する引っ掛け部材(引っ掛け部)28が、箱本体12とは別体で形成されている。この引っ掛け部材28は、箱本体12と同様にダンボールで形成されており、矩形板状のダンボールが平行な二箇所の折れ線28A,28Bで折り曲げられることで形成され、コ字状とされている。なお、この引っ掛け部材28の一つに対して二箇所の係止穴25,26が設けられており、これら係止穴25,26は、引っ掛け部材28を差し込み可能となるように引っ掛け部材28より若干幅広に形成されている。これにより、引っ掛け部材28は使用時に箱本体12に取り付け可能となっている。
【0028】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを円環状に巻き、その上部を二箇所の係止穴25,26の間に配置する。そして、引っ掛け部材28を余長ケーブル15Bの上部を覆うようにして配置しつつ、その両端部を係止穴25,26に挿入する。これにより、引っ掛け部材28の両端部が係止穴25,26に係止されることになり、余長ケーブル15Bは、円環状の上部が折曲形状の引っ掛け部材28で引っ掛けられてケーブル用収納箱11に保持される。
【0029】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、引っ掛け部材28を係止穴25,26から抜いて、余長ケーブル15Bの保持を解除すれば良い。
【0030】
以上に述べた第2実施形態によれば、ケーブル用収納箱11の外側面の少なくとも一つである外側面12aに設けられた引っ掛け部材28で、余分に引き出された余長ケーブル15Bを保持し、引っ掛け部材28を係止穴25,26に係止することで、引っ掛け部材28による余長ケーブル15Bの保持状態を維持することができる。よって、余長ケーブル15Bの長短に拘わらずケーブル15の絡まりを防止しつつ簡便に余長ケーブル15Bを保持することができて保持作業が容易となり、また、余長ケーブル15Bの取り出し作業も引っ掛け部材28を係止穴25,26から外せば良いため容易となる。したがって、余長ケーブル15Bを切断して廃棄する必要がなくなることから、余長ケーブル15Bの有効活用を可能にし、資源の有効活用及びネットワーク構築コストを低減することができる。
【0031】
また、ケーブル15を収納する箱本体12に対して別体の引っ掛け部材28が設けられているため、複数回使用すること等で引っ掛け部材28が劣化して十分な強度を保てなくなってしまった場合に、引っ掛け部材28を交換することができる。
【0032】
また、箱本体12と引っ掛け部材28とを異なる材料で形成できるため、箱本体12をダンボールで形成するのに対して、引っ掛け部材28をこれより強度の高いプラスチック材料などで形成することによって引っ掛け部材28の強度低下を防止することができる。
【0033】
なお、係止穴25,26にかえて、切れ目状の係止スリットを二箇所形成して、引っ掛け部材28の両端部をこれらの係止スリットに挿入して係止するようにしても良い。
【0034】
また、引っ掛け部材28を二本の折れ線28A,28Bを形成するようにコ字状に折り曲げるのではなく、図8に示すように、一本の折れ線28Cのみを形成するようにV字状に折り曲げて、両端部を二箇所の係止穴25,26または二箇所の係止スリットに挿入し係止しても良い。
【0035】
さらに、引っ掛け部材28を二本の折れ線28A,28Bを形成するようにコ字状に折り曲げるのではなく、図9に示すように、U字状に湾曲させて、両端部を二箇所の係止穴25,26または二箇所の係止スリットに挿入し係止しても良い。
【0036】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図10はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【0037】
第3実施形態においては、図10に示すように、箱本体12の外側面の少なくとも一つである、引き出し穴17が形成された外側面12aに、上側の引っ掛け部20に加えて、引き出し穴17の左右両側の側縁部にも、外側面12aに対し垂直方向に一定幅で延出する板状の引っ掛け部30,31が箱本体12と一体に形成されている。
【0038】
そして、外側面12aにおける引っ掛け部30と引き出し穴17との間には、この引っ掛け部30の一箇所に対して一箇所の縦長の係止穴32が形成されており、外側面12aにおける引っ掛け部31と引き出し穴17との間にも、この引っ掛け部31の一箇所に対して一箇所の縦長の係止穴33が形成されている。これら係止穴32,33も、引っ掛け部30,31を差し込み可能とするように、引っ掛け部30,31より若干幅広に形成されている。
【0039】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを円環状に巻き、その上部を引っ掛け部20と係止穴21との間に配置する。そして、ダンボールからなる引っ掛け部20を中間位置で外側面12aと平行な一本の折れ線20Aのみを形成するように係止穴21側にV字状に折り曲げ、この引っ掛け部20を、余長ケーブル15Bの上部を覆うようにして、その先端部において係止穴21に差し込む。これにより、引っ掛け部20の先端部が係止穴21に係止されることになり、余長ケーブル15Bは、円環状の上部が折曲形状の引っ掛け部20で引っ掛けられる。
【0040】
また、余長ケーブル15Bの両側を引っ掛け部30と係止穴32との間及び引っ掛け部31と係止穴33との間に配置して、ダンボールからなる引っ掛け部30,31を中間位置で外側面12aと平行な一本の折れ線30A,31Aのみを形成するように係止穴32,33側にV字状に折り曲げ、この引っ掛け部30,31を、余長ケーブル15Bの両側部を覆うようにして、その先端部において係止穴32,33にそれぞれ差し込む。これにより、引っ掛け部30,31の先端部が係止穴32,33にそれぞれ係止されることになり、余長ケーブル15Bは、円環状の両側部が折曲形状の引っ掛け部30,31で引っ掛けられる。このようにして、余長ケーブル15Bがケーブル用収納箱11に保持される。
【0041】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、引っ掛け部20,30,31を係止穴21,32,33から抜いて、余長ケーブル15Bの保持を解除すれば良い。
【0042】
以上に述べた第3実施形態によれば、引っ掛け部20,30,31により余長ケーブル15Bの保持箇所が複数箇所となるため、より安定して余長ケーブル15Bを保持できる。
【0043】
なお、第3実施形態の引っ掛け部20,30,31及び係止穴21,32,33についても、第1実施形態で述べた引っ掛け部20及び係止穴21の変形例と同様の変更が可能であり、また、第2実施形態及びその変形例で述べたように、別体の引っ掛け部材を用いて、その保持箇所を複数箇所としても良い。また、引っ掛け部20,30,31の何れかを面ファスナーとしても良い。
【0044】
この場合、互いに貼り付く一対の面ファスナーの一方の面ファスナーをケーブル用収納箱11の外面に取り付け、その取り付け箇所に余長ケーブル15Bを配置させて他方の面ファスナーを被せるように一方の面ファスナーに貼り付ける。これにより、余長ケーブル15Bを面ファスナーによってケーブル用収納箱11の外面にて保持させることができる。
【0045】
また、ケーブル用収納箱11に一対のスリットを形成し、これらスリットに表面と裏面とが貼り付く面ファスナーを通して両端を外側に配置させても良い。この場合、面ファスナーの両端間に余長ケーブル15Bを配置させ、面ファスナーの両端の表裏面同士を貼り合わせることにより、余長ケーブル15Bを保持させることができる。
【0046】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図11はケーブル用収納箱の余長ケーブル保持状態の斜視図である。
【0047】
第4実施形態においては、図11に示すように、引き出し穴17が形成された外側面12aではなく、外側面12aと隣り合う外側面12bの上縁部及び下縁部に、外側面12bに対し垂直方向に一定幅で延出する板状の引っ掛け部35,36が箱本体12と一体に形成されている。
【0048】
そして、外側面12bにおける引っ掛け部35の下側には、この引っ掛け部35の一箇所に対して一箇所の横長の係止穴37が形成されており、外側面12bにおける引っ掛け部36の上側にも、この引っ掛け部36の一箇所に対して一箇所の横長の係止穴38が形成されている。これら係止穴37,38も、引っ掛け部35,36を差し込み可能とするように、引っ掛け部35,36より若干幅広に形成されている。
【0049】
ケーブル布設作業の後、ケーブル用収納箱11内から取り出し口18の内側を介して引き出されたケーブル15に、余分に引き出された余長ケーブル15Bが発生すると、作業者は、余長ケーブル15Bを8の字巻きし、その上部を引っ掛け部35と係止穴37との間に配置する。そして、ダンボールからなる引っ掛け部35を中間位置で外側面12bと平行な一本の折れ線35Aのみを形成するように係止穴37側にV字状に折り曲げる。この引っ掛け部35を、余長ケーブル15Bの上部を覆うようにして、その先端部において係止穴37に差し込む。これにより、引っ掛け部35の先端部が係止穴37に係止されることになり、余長ケーブル15Bは、8の字状の上部が折曲形状の引っ掛け部35で引っ掛けられる。
【0050】
また、8の字巻きの下部を引っ掛け部36と係止穴38との間に配置して、ダンボールからなる引っ掛け部36を中間位置で外側面12bと平行な一本の折れ線36Aのみを形成するように係止穴38側にV字状に折り曲げ、この引っ掛け部36を、余長ケーブル15Bの下部を覆うようにして、その先端部において係止穴38に差し込む。これにより、引っ掛け部36の先端部が係止穴38に係止されることになり、余長ケーブル15Bは、8の字状の下部が折曲形状の引っ掛け部36で引っ掛けられる。このようにして、余長ケーブル15Bがケーブル用収納箱11に保持される。
【0051】
また、このようにケーブル用収納箱11に保持された余長ケーブル15Bを次の布設作業で使用する場合には、引っ掛け部35,36を係止穴37,38から抜いて、余長ケーブル15Bの保持を解除すれば良い。
【0052】
以上に述べた第4実施形態によれば、引っ掛け部35,36により余長ケーブル15Bの保持箇所が複数箇所となるため、より安定して余長ケーブル15Bを保持できる。
【0053】
また、余長ケーブル15Bを8の字巻きして引っ掛け部35,36で保持するため、余長ケーブル15Bを繰り出して使用する際に撚りが生じず絡まりにくくなり、より簡単に作業できることになる。
【0054】
なお、第4実施形態の引っ掛け部35,36及び係止穴37,38についても、第1実施形態で述べた引っ掛け部20及び係止穴21の変形例と同様の変更が可能であり、また、第2実施形態及びその変形例で述べたように、別体の引っ掛け部材を用いて、その保持箇所を複数箇所としても良い。
【符号の説明】
【0055】
11:ケーブル用収納箱、12a,12b:外側面、15:ケーブル、15A:8の字束ケーブル、15B:余長ケーブル、20,30,31,35,36:引っ掛け部、21,25,26,32,33,37,38:係止穴、28:引っ掛け部材(引っ掛け部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱であって、
外側面の少なくとも一つに、余分に引き出された余長ケーブルを引っ掛けて保持できる折曲または湾曲可能な引っ掛け部と、前記引っ掛け部を係止する係止穴または係止スリットとが設けられていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル用収納箱であって、
前記ケーブルを収納する箱本体に対して前記引っ掛け部が一体に設けられており、前記引っ掛け部の一箇所に対して前記係止穴または前記係止スリットが一箇所設けられていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル用収納箱であって、
前記ケーブルを収納する箱本体に対して前記引っ掛け部が使用時に取り付け可能となるように別体で設けられており、前記引っ掛け部の一箇所に対して前記係止穴または前記係止スリットが二箇所設けられていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のケーブル用収納箱であって、
前記引っ掛け部による保持箇所が複数箇所設けられていることを特徴とするケーブル用収納箱。
【請求項5】
8の字巻きしたケーブルを収納するケーブル用収納箱から余分に引き出された余長ケーブルを、請求項1から4の何れか一項に記載のケーブル用収納箱に設けられた前記引っ掛け部を用いて保持することを特徴とする余長保持方法。
【請求項6】
請求項5に記載の余長保持方法であって、
前記余長ケーブルを8の字巻きして前記引っ掛け部で保持することを特徴とする余長保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−168101(P2010−168101A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14467(P2009−14467)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】