説明

ケーブル組立装置及びケーブル組立方法

【課題】端子と電線の丸圧着等の高精度な加締めを可能とし、しかも端子形成用のプレス機と圧着機が別であることに起因した設備費の増大を解消する。
【解決手段】金属板7から複数の工程を経て端子10を形成すると共に端子に電線8を圧着するための複数種の駒型15を並列に配置した下側のプレス金型14を有するプレス機3と、下側のプレス金型14において複数種の駒型の間に進入する先端部9aに金属板ガイド部17を有する複数の並列に配置された電線保持治具9と、電線保持治具を金属板ごと下側のプレス金型の駒型よりも高く上昇させ、隣接の次工程の駒型に向けて前進及び下降させる送り機2とを備えるケーブル組立装置1を採用する。複数種の駒型15のうちの途中の駒型において電線8を電線保持治具に供給する電線チャック13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用の同軸ケーブル等の芯線に、プレス機で金属板から順次成型した端子を加締め接続させるケーブル組立装置及びケーブル組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の信号線を含む同軸ケーブルに端子を接続するために種々の構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、同軸ケーブルの芯線に内側端子を圧着し、内側端子の外側に絶縁樹脂(誘電体)を成形し、絶縁樹脂の外側に外側端子を設置して同軸ケーブルの導電性の編組に圧着することが記載されている。
【0004】
内側端子は円筒状の雌端子であり、内側端子の先端から相手側のピン状の雄端子が挿入接続される。内側端子と外側端子とは中間の絶縁樹脂で絶縁される。内側端子は横連鎖端子のキャリア(連鎖帯)に連結された状態で(キャリアの切り離しと同時に)絶縁樹脂の付着を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−224033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の同軸ケーブルの接続構造にあっては、内側端子をキャリアから切り離した状態で同軸ケーブルの芯線の圧着を行わせるために、丸圧着等の高精度な加締めを行い難いという問題や、端子成形用のプレス機やそのプレス金型と、電線圧着用の圧着機やその加締め金型が別になって多くの設備費がかかるという問題や、端子への絶縁樹脂の成形が面倒であるという問題あった。
【0007】
本発明は、上記した点に鑑み、丸圧着等の高精度な加締めが可能で、また、プレス機やそのプレス金型と、圧着機やその加締め金型とが別であることに起因した設備費の増加を解消し、それに加えて端子への絶縁樹脂の成形を効率良く行うことのできるケーブル組立装置及びケーブル組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るケーブル組立装置は、金属板から複数の工程を経て端子を形成すると共に該端子に電線を圧着するための複数種の駒型を並列に配置した下側のプレス金型を有するプレス機と、該下側のプレス金型において該複数種の駒型の間に進入する先端部に金属板ガイド部を有する複数の並列に配置された電線保持治具と、該電線保持治具を該金属板ごと該下側のプレス金型の該駒型よりも高く上昇させ、隣接の次工程の駒型に向けて前進及び下降させる送り機とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成により、端子の母材である金属板が電線保持治具の前進動作で一ピッチずつ各工程の駒型上に送られて、各駒型で金属板から順次に端子が形成され、電線への端子の圧着接続が行われ、圧着後に端子が金属板から切り離される。電線保持治具の上昇と前進下降動作で電線保持治具の先端部が駒型を乗り越える。電線保持治具の先端部が金属板を支持し、金属板ガイド部が金属板を常時案内する。
【0010】
請求項2に係るケーブル組立装置は、請求項1記載のケーブル組立装置において、前記複数種の駒型のうちの途中の駒型において前記電線を前記電線保持治具に供給する電線チャックを備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、金属板が最初の駒型から中間の駒型にかけて平形の端子に打ち抜き成形されると共に、平形の端子から少し湾曲した略半円筒状の端子に成形されるが、この略半円筒状の端子に電線チャックで電線が供給されて電線の芯線部が上方から挿入セットされる。中間の駒型から最後の駒型の間で芯線部が端子に圧着され、端子は円筒形に成形される。
【0012】
請求項3に係るケーブル組立装置は、請求項1又は2記載のケーブル組立装置において、前記送り機が、前記電線保持治具に対する位置決め部をそれぞれ有する固定フレームと可動板とを備え、該可動板が該固定フレームに対して昇降及び進退可能であることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、電線保持治具が可動板で支持されて上昇及び駒型並び方向に前進し、次工程の駒型の位置で可動板が固定フレームよりも低く下降して、電線保持治具が固定フレームで支持され、その状態で駒型による金属板のプレス加工が行われる。固定フレームは不動であり、可動板は下降状態で後退して原位置に復帰する。
【0014】
請求項4に係るケーブル組立装置は、請求項1〜3の何れかに記載のケーブル組立装置において、前記下側のプレス金型14が金属板位置決め部を有し、該金属板位置決め部が、前記金属板7の前記上昇時に該金属板から離脱し、該金属板の前記前進及び下降時に該金属板に係合することを特徴とする。
【0015】
上記構成により、駒型による金属板の加工時に、プレス金型の位置決め部で金属板がガタつきなく正確に位置決めされる。これにより、金属板の加工すなわち端子の形成と端子への電線の圧着とが正確に行われる。
【0016】
請求項5に係るケーブル組立装置は、請求項1〜4の何れかに記載のケーブル組立装置において、前記電線を圧着した前記端子に絶縁樹脂材を付着させる樹脂成形機を備え、該端子付きの該電線が前記電線保持治具に保持された状態で該樹脂成形機に供給されることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、電線保持治具で保持された電線が端子を圧着し終えた状態で、電線保持治具ごと次工程の樹脂成形機に速やかに運ばれて、端子に絶縁樹脂材が付着成形される。
【0018】
請求項6に係るケーブル組立方法は、プレス機の下側のプレス金型の複数種の並列な駒型の間に各電線保持治具を配置し、金属板を該複数種の駒型に沿って供給して、該下側のプレス金型の金属板位置決め部で位置決めし、該金属板を該電線保持治具でガイド且つ支持した状態で、該駒型で該金属板をプレス加工し、該電線保持治具を該金属板と一体に該駒型よりも高く上昇させて一ピッチ前進及び下降させ、該金属板を隣接の次工程の駒型に位置させてプレス加工し、この工程を繰り返して、該複数種の駒型で該金属板から端子を形成すると共に該端子に電線を圧着させることを特徴とする。
【0019】
上記構成により、端子の母材である金属板が電線保持治具の前進動作で一ピッチずつ各工程の駒型上に送られて、各駒型で金属板から順次に端子が形成され、電線への端子の圧着接続が行われ、圧着後に端子が金属板から切り離される。電線保持治具の上昇と前進下降動作で電線保持治具の先端部が駒型を乗り越える。電線保持治具の先端部が金属板を支持し、ガイド部が金属板を常時案内する。
【0020】
請求項7に係るケーブル組立方法は、請求項6記載のケーブル組立方法において、前記端子に圧着した前記電線を前記端子保持治具と一体に隣接の樹脂成形機に送って、該端子に絶縁樹脂材を付着させることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、電線保持治具で保持された電線が端子を圧着し終えた状態で、電線保持治具ごと次工程の樹脂成形機に速やかに運ばれて、端子に絶縁樹脂材が付着成形される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、複数種の駒型で金属板を順次プレス加工することで、端子を精度良く丸形(筒状)に成形することができ、しかも丸成形に続いて電線に端子を丸圧着等の高精度な加締めで確実に接続させることができる。また、金属板の平面上に端子を順次形成して同じ平面上で端子に電線を圧着することで、端子を一々リール巻きしたり、リール巻きで運ぶ手間がかからず、端子付き電線の製造コストを低く抑えると共に、製造スペースを小さく抑えることができる。しかも、端子形成用のプレス金型と電線接続用の圧着金型とを同じ装置で使用するから、これらが別であることに起因する設備費の増加を防いで、端子付き電線の製造を効率良く、低コストで行うことができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、電線チャックで複数種の駒型のうちの途中の駒型に容易に電線を供給することができ、製造過程の半開きの端子に電線の芯線部を確実に挿入セットすることができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、可動板の上昇、前進、下降、後退の動きで電線保持治具を端子加工工程順にスムーズに移動させることができる。また、固定フレームで電線保持治具を安定に支持することができる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、プレス金型の位置決め部で金属板をガタつきなく正確に位置決めすることができ、各駒型による金属板からの端子の形成と端子への電線の圧着とを精度良く行わせることができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、端子を圧着した電線を電線保持治具ごと速やかに樹脂成形機へ運ぶことにより、正確に位置決めすることができ、端子への絶縁樹脂の成形を精度良く行うことができる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、複数種の駒型で金属板を順次プレス加工することで、端子を精度良く丸形(筒状)に成形することができ、しかも丸成形に続いて電線に端子を丸圧着等の高精度な加締めで確実に接続させることができる。また、金属板の平面上に端子を順次形成して同じ平面上で端子に電線を圧着することで、端子を一々リール巻きしたり、リール巻きで運ぶ手間がかからず、端子付き電線の製造コストを低く抑えると共に、製造スペースを小さく抑えることができる。しかも、端子形成用のプレス金型と電線接続用の圧着金型とを同じ装置で使用するから、これらが別であることに起因する設備費の増加を防いで、端子付き電線の製造を効率良く、低コストで行うことができる。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、端子を圧着した電線を電線保持治具ごと速やかに樹脂成形機へ運ぶことにより、正確に位置決めすることができ、端子への絶縁樹脂の成形を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るケーブル組立装置の一実施形態を示す全体レイアウト図である。
【図2】ケーブル組立装置のプレス機及び送り機とそれらを用いたケーブル組立方法の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】プレス機で金属板から端子を形成して電線に圧着する状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は図3のA−A断面図、(b)は図3のB−B断面図、(c)は図3のC−C断面図、(d)は図3のD−D断面図である。
【図5】プレス機における電線クランプの初期位置状態を示す斜視図である。
【図6】同じく電線クランプの上昇位置状態を示す斜視図である。
【図7】同じく電線クランプの前進(横移動)位置状態を示す斜視図である。
【図8】送り機における電線クランプの送り機構と位置決め構造を示す斜視図である。
【図9】ケーブル組立装置の樹脂成形機とそれを用いたケーブル組立方法の一形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1〜図9は、本発明に係るケーブル組立装置及びケーブル組立方法の一実施形態を示すものである。
【0031】
図1の如く、このケーブル組立装置1は、電線送り機2と端子プレス機3と樹脂成形機4とが一つの支持台5の上に配置されて成り、各機械2〜4は一つの操作画面6で集中操作される。プレス機3に左端から端子の母材である横長の導電金属板7が供給される。プレス機3の右側に成形機4が配置され、プレス機3と成形機4との前側に送り機2が配置されている。
【0032】
電線(同軸ケーブル)8は例えばU字状に折り返された状態で不図示のクリップ等で保持され、端末8aが矢印aの如く送り機2からチャック13(図2)でプレス機3に送られて、後述の電線クランプ(電線保持部材ないし電線保持治具)9(図2)に乗せられた状態で端子10(図3)に圧着され、次いで端子付き電線11(図3)が電線クランプ9ごと矢印bの如くプレス機3から成形機4に送られて、成形機4で端子10(図3)の外側に絶縁樹脂12(図9)を成形され、次いで成形機4から矢印cの如く電線クランプ9ごと送り機2に加工完了品として払い出される。
【0033】
図3,図4の電線8は同軸ケーブルであり、芯線8bを覆う絶縁内皮8cと、絶縁内皮8cを覆う編組8dと、編組8dを覆う絶縁外皮8eとで構成されている。芯線8bや編組8dは予め皮剥き(露出)され、編組8dは絶縁外皮8e上に折り返されている。なお、図2の駒型15の数や形状は端子10の種類に応じて適宜変更され、必ずしも図3に完全対応するとは限らない。
【0034】
図2の如く、送り機2上の電線クランプ9の先端部(後端部)9aはプレス機3(図1)の下側のプレス金型14の前部内に進入して(左右方向にラップして)各駒型15の間に配置されている。最初の駒型151を除く他の駒型152〜1513の間にそれぞれ電線クランプ9を進入させる空間42が形成されている。電線クランプ9は右から二番目と三番目の駒型152,153の間に不図示のチャックで挿入される。図2で、符号3’は下側のプレス金型14と不図示の上側のプレス金型とで成るプレス金型を示す。
【0035】
各電線クランプ9は送り機2で後述のように上下左右方向に一ピッチずつ移動して、駒型15を乗り越えて隣(次工程)の駒型15に金属板7(図3)と電線8を搬送する。駒型151〜158の間の電線8を搬送しない電線クランプ9は、駒型159〜1513の間の電線8を搬送する電線クランプ9と共に金属板7(図3)の送りを行う。図2で金属板7や電線8の送り方向を符号30で示す。
【0036】
その際、各電線クランプ9の位置ずれ(持ち上がり)を上側の金属製の押さえ板24で押さえて防止する。押さえ板24は各電線クランプ9の上方まで水平方向に水平なシリンダ等の不図示の移動手段で移動し、垂直なシリンダ等の移動手段で下降して各電線クランプ9と一体に昇降する。
【0037】
図2の右から2番目と3番目の駒型152,153の間にカラの(後述の樹脂成形を終えた)電線クランプ9が供給され、前述の如く丸成形の駒型159において電線クランプ9に電線8が供給される。図2では金属板7や端子10の図示を省略しており、図2の各駒型15の上に図3の金属板7や端子10が配置される。図2の右端のガイドブロック25の水平な溝25aに沿って帯状の金属板7が各駒型15上に供給される。
【0038】
各電線クランプ9は電線送り方向すなわち駒型15の並び方向に等ピッチで並列に配置される。電線クランプ9は金属を材料として図2で右半の部分9bと左半の部分9cとで成り、右半の部分9bは先端上部に、金属板7(図3)の前側(基部側)の孔部16に進入係合する位置決めピン(金属板位置決め部)17を有し、左半の部分9cは右半の部分9bの前半側に位置し、電線挿通用の前後方向の溝部9dの一側方に電線固定用の逆U字状のばね片9eを有している。
【0039】
電線8は左右一対の電線チャック13で把持された状態で溝部9d内に水平に押し込まれてばね片9eで挟持される。電線チャック13は例えばXY方向のレールやボールねじ軸やシリンダやモータ等といった不図示の移動手段で上下前後左右に移動可能である。
【0040】
図5〜図7は、プレス機3における各電線クランプ9の上下左右方向の動きを示すものである。
【0041】
図5の如く、並列な各電線クランプ9ごとに各駒型15で金属板7の各加工が行われ、図6の如く、各電線クランプ9が金属板7と電線8ごと矢印の如く上昇して下側のプレス金型14の駒型15よりも高く位置し、図7の如く各電線クランプ9が金属板7と電線8ごと矢印30の如く一ピッチ右側(図2で左側)に移動して隣の各駒型15の上に位置し、その状態で各電線クランプ9が金属板7と電線8ごと下降して、金属板7に図5におけるよりも一工程先のプレス加工が行われる。図5で左端のガイドブロック25側において金属板7は各電線クランプ9と同期して不図示のチャックで把持されて水平なシリンダ等で一ピッチずつ送られる。
【0042】
図5で符号31は、金型14を載せるベースブロックを示す。金型14の前端には一段低い突壁34が設けられ、突壁34に電線クランプ9の左半の部分9bの先端側部分9aを進入係合させる不図示の位置決め部品が設けられている。
【0043】
図8の如く、送り機2は、前後の固定フレーム33と中間の可動板34とを備え、固定フレーム33と可動板34とはそれぞれ各電線クランプ9に対する位置決めピン(位置決め部)35を有し、可動板34は例えば垂直なシリンダ等の不図示の第一の駆動手段で昇降し、垂直なシリンダ等の不図示の第二の駆動手段で左右方向に一ピッチ進退する。各電線クランプ9は可動板34の上面に支持されて可動板34と一体に移動する。
【0044】
すなわち、可動板34が固定フレーム33よりも高く上昇して各電線クランプ9を電線送り方向(図8で右方向、矢印30の方向)に一ピッチ移動させ、可動板34が固定フレーム33よりも低く下降して各電線クランプ9を固定フレーム33上に支持させると共に、可動板34のみが図8で左方向(矢印30とは反対方向)に一ピッチ後退して原位置に復帰する。
【0045】
図5の各電線クランプ9の下降時に(可動板34の下降時に)固定フレーム33と可動板34との各位置決めピン35が各電線クランプ9の底部側の不図示の位置決め孔に進入係合し、図6の各電線クランプ9の上昇時に(可動板34の上昇時に)各電線クランプ9の位置決め孔から固定フレーム33の位置決めピン35が離脱する。
【0046】
図8の如く、下側のプレス金型には各駒型15の間において、金属板7の後側の円孔(位置決め孔)16’に進入係合する位置決めピン(金属板位置決め部)36が等ピッチで垂直に立設されている。金属板7の前側の円孔(ガイド孔)16には電線クランプ9の先端上部のガイドピン17が進入係合する。ガイドピン17はガイド孔16に隙間を存してラフに係合し、位置決めピン36は円孔(位置決め孔)16’に適度な嵌め合いにより係合する。金属板7は位置決めピン36で振れ等なく正確に位置決めされる。
【0047】
電線クランプ9の位置決めピン17は金属板7の位置決め孔16に常時係合し、下側のプレス金型14の位置決めピン36は、電線クランプ9と一体に金属板7が上昇した際に金属板7の位置決め孔16’から離脱し、電線クランプ9と一体に金属板7が前進し下降した際に金属板7の隣接の位置決め孔16’に進入係合する。下側のプレス金型14の位置決めピン36は電線クランプ9の先端の凹溝9fを上下に貫通して金属板7の位置決め孔16’に係合する。凹溝9fの左右のクランプ上面9gは広い面積で金属板7を安定に支持する。
【0048】
図2の最終の駒型1513でキャリアカットを終えた端子付き電線11は、不図示のチャックで電線クランプ9ごと把持されて不図示の移動手段で樹脂成形機4に送られる。
【0049】
電線クランプ9の先端部9aが下側の樹脂成形金型40の前部開口40aに上方ないし前方から挿入され、電線8(端子付き電線11)の端末の端子10が下側の樹脂成形金型40と不図示の上側の樹脂成形金型との間の樹脂成形室に位置し、上下の樹脂成形金型を閉じた状態で端子10の外周に円柱状の絶縁樹脂材12が形成される。
【0050】
絶縁樹脂材12を付着させた端子付き電線11は不図示のチャックで前方(送り機側)に運ばれて、不図示の分離位置で電線クランプ9と端子付き電線11とが分離され、電線クランプ9は別の不図示のチャックで図2の送り機2の右端側に復帰(再供給)され、絶縁樹脂材12付きの端子付き電線11は中間製品として払い出される。
【0051】
絶縁樹脂材12付きの端子付き電線11には、図2の各駒型15を段取り替えした後、段取り替え後の不図示の各駒型で不図示の外側端子が絶縁樹脂材12の外側に組み付けられて電線8の編組8d(図3)に圧着接続される。
【0052】
上記記載は主にケーブル組立装置1についてのものであるが、上記記載における受動態的記載を能動態的記載に置き換えることで、ケーブル組立方法として見ることができる。これらケーブル組立装置1及びケーブル組立方法によって、プレス機3で金属板7による端子10の形成と電線8への端子10の加締めを同時に行うことができる。また、例えば電線8を電線クランプ9にセットした際に、画像処理によって電線8の先端位置を補正することで、電線8のセット位置精度を向上させることができる。また、プレス機3・樹脂成形機4・送り機(搬送機)2・画像処理は一つの操作画面6で集中操作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るケーブル組立装置及びケーブル組立方法は、例えば自動車用の高周波帯コネクタの組立を行う際に、同軸ケーブルの芯線に端子を丸圧着等で高精度に加締め接続し、また、リールに巻くことができない端子でも電線に加締め接続し、しかも、プレス機と圧着機、プレス型と加締め型を一体として設備費を抑えるために利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 ケーブル組立装置
2 送り機
3 プレス機
4 樹脂成形機
7 金属板
8 電線
9 電線クランプ(電線保持治具)
9a 先端部
10 端子
12 絶縁樹脂材
13 電線チャック
14 下側のプレス金型
15(151〜1513) 駒型
17 ガイドピン(金属板ガイド部)
33 固定フレーム
34 可動板
35 位置決めピン(位置決め部)
36 位置決めピン(金属板位置決め部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板から複数の工程を経て端子を形成すると共に該端子に電線を圧着するための複数種の駒型を並列に配置した下側のプレス金型を有するプレス機と、該下側のプレス金型において該複数種の駒型の間に進入する先端部に金属板ガイド部を有する複数の並列に配置された電線保持治具と、該電線保持治具を該金属板ごと該下側のプレス金型の該駒型よりも高く上昇させ、隣接の次工程の駒型に向けて前進及び下降させる送り機とを備えることを特徴とするケーブル組立装置。
【請求項2】
前記複数種の駒型のうちの途中の駒型において前記電線を前記電線保持治具に供給する電線チャックを備えることを特徴とする請求項1記載のケーブル組立装置。
【請求項3】
前記送り機が、前記電線保持治具に対する位置決め部をそれぞれ有する固定フレームと可動板とを備え、該可動板が該固定フレームに対して昇降及び進退可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のケーブル組立装置。
【請求項4】
前記下側のプレス金型が金属板位置決め部を有し、該金属板位置決め部が、前記金属板の前記上昇時に該金属板から離脱し、該金属板の前記前進及び下降時に該金属板に係合することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のケーブル組立装置。
【請求項5】
前記電線を圧着した前記端子に絶縁樹脂材を付着させる樹脂成形機を備え、該端子付きの該電線が前記電線保持治具に保持された状態で該樹脂成形機に供給されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のケーブル組立装置。
【請求項6】
プレス機の下側のプレス金型の複数種の並列な駒型の間に各電線保持治具を配置し、金属板を該複数種の駒型に沿って供給して、該下側のプレス金型の金属板位置決め部で位置決めし、該金属板を該電線保持治具でガイド且つ支持した状態で、該駒型で該金属板をプレス加工し、該電線保持治具を該金属板と一体に該駒型よりも高く上昇させて一ピッチ前進及び下降させ、該金属板を隣接の次工程の駒型に位置させてプレス加工し、この工程を繰り返して、該複数種の駒型で該金属板から端子を形成すると共に該端子に電線を圧着させることを特徴とするケーブル組立方法。
【請求項7】
前記端子に圧着した前記電線を前記端子保持治具と一体に隣接の樹脂成形機に送って、該端子に絶縁樹脂材を付着させることを特徴とする請求項6記載のケーブル組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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