説明

ケーブル送り出し装置および車両

【課題】ケーブルの捩じれを解消するケーブル送り出し装置、およびそのようなケーブル送り出し装置を備える車両を提供する。
【解決手段】ケーブル送り出し装置50は、回転自在に支持される送りローラ51および送りローラ52を備える。送りローラ51および送りローラ52は、それぞれ、外周面56および外周面58を有し、車載ケーブル96をその外周面56および外周面58に接触させた状態で挟持する。送りローラ51および送りローラ52には、それぞれ、外周面56および外周面58から凹む凹部57および凹部59が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、ケーブル送り出し装置および車両に関し、より特定的には、車両に搭載された電力供給用のケーブルを送り出すためのケーブル送り出し装置、およびそのようなケーブル送り出し装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のケーブル送り出し装置に関して、特開2004−359365号公報には、ホースと、繰り出しローラおよびテンションローラとの接点を増加させることなく、ホースを確実に挟持して繰り出すことを目的としたホース繰り出し巻き取り機が開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたホース繰り出し巻き取り機においては、繰り出しローラの外周面上に形成されるホースをガイドするための凹溝が、断面視略V字形状を有し、繰り出しローラに対向して配置されるテンションローラの外周面上に設けられる凹溝が、断面視略V字形状を有する。
【0004】
また、特開2010−172126号公報には、ケーブルの捩じれを改善することを目的とした車両用充電ケーブルが開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された車両用充電ケーブルは、車両の充電口に接続可能な車両側コネクタ部と、一方端が車両側コネクタ部に接続され、他方端が外部電源用のプラグと接続されるケーブルと、ケーブルの長手方向の軸周りに回動可能に設けられるグリップ部とを有する。
【0005】
また、特開2009−136108号公報には、充電コードの不使用時に、その充電コードのプラグを、水のかかるおそれのない所定位置に確実に固定することを目的とした電気自動車が開示されている(特許文献3)。特許文献3に開示された電気自動車には、充電コードを収納するためのコード収納箱と、扉部材とを備える充電コード収納部が設けられている。
【0006】
また、特開2010−52861号公報には、安全に使用でき、見栄えもよいことを目的とした電気自動車充電用コードセットが開示されている(特許文献4)。
【0007】
特許文献4に開示された電気自動車充電用コードセットは、一対の端子部を有し、漏電時に一対の端子部間を遮断する遮断装置と、建物の壁面に設置されるアウトレットに接続されるプラグが一端に設けられ、他端が遮断装置の一方の端子部に接続される第1のコードと、電気自動車のインレットに接続されるコネクタが一端に設けられ、他端が遮断装置の他方の端子部に接続される第2のコードとを有する。
【0008】
また、特開2005−118030号公報には、作業者一人でも農薬等を散布できることを目的とした、ホース自動巻き戻しおよび引き出し装置を有する省力型防除システムが開示されている(特許文献5)。また、特開平9−328255号公報には、糸の巻き取りにおける分かれ巻の防止および糸巻きの高速化を図ることを目的とした糸巻き機が開示されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−359365号公報
【特許文献2】特開2010−172126号公報
【特許文献3】特開2009−136108号公報
【特許文献4】特開2010−52861号公報
【特許文献5】特開2005−118030号公報
【特許文献6】特開平9−328255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1に開示されたホース繰り出し巻き取り機においては、繰り出しローラおよびテンションローラの凹溝間でホースを押圧しつつ、繰り出しローラを回転駆動させることによって、ホースの繰り出しおよび巻き取りを行なっている。しかしながら、このような構成を備えるホース繰り出し巻き取り機をケーブルの送り出しに適用した場合、ケーブルの送り出しを繰り返し行なっていると、ホースが徐々に捩じれてしまうという懸念が生じる。
【0011】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、ケーブルの捩じれを解消するケーブル送り出し装置、およびそのようなケーブル送り出し装置を備える車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に従ったケーブル送り出し装置は、ケーブルを送り出すケーブル送り出し装置である。ケーブル送り出し装置は、回転自在に支持される第1ローラおよび第2ローラを備える。第1ローラおよび第2ローラは、外周面を有し、ケーブルをその外周面に接触させた状態で挟持する。第1ローラおよび第2ローラの少なくともいずれか一方には、外周面から凹む凹部が形成される。
【0013】
このように構成されたケーブル送り出し装置によれば、第1ローラおよび第2ローラの回転に伴って、これらのローラ間に挟持されたケーブルが送り出されていく。この際、凹部がケーブルを送り出す位置を通過するタイミングで、第1ローラおよび第2ローラによってケーブルを挟持する力が弱まる。このため、ケーブルの捩じれを解消しつつ、ケーブルを送り出すことができる。
【0014】
また好ましくは、第1ローラおよび第2ローラに凹部が形成される。凹部は、第1ローラおよび第2ローラの回転時に、第1ローラに形成された凹部と第2ローラに形成された凹部とが、ケーブルを挟んで互いに対峙するように配置される。
【0015】
このように構成されたケーブル送り出し装置によれば、第1ローラに形成された凹部と第2ローラに形成された凹部とが、同期してケーブルを送り出す位置を通過するタイミングで、第1ローラおよび第2ローラによってケーブルを挟持する力が弱まる。このため、ケーブルの捩じれを解消しつつ、ケーブルを送り出すことができる。
【0016】
また好ましくは、ケーブル送り出し装置は、ケーブルを収容するケーブル収容部をさらに備える。第1ローラおよび第2ローラの回転に伴って、ケーブル収容部に収容されたケーブルが外部に送り出される。このように構成されたケーブル送り出し装置によれば、ケーブルの捩じれを解消しつつ、ケーブル収容部に収容されたケーブルを外部に送り出すことができる。
【0017】
この発明に従って車両は、上述のいずれかに記載のケーブル送り出し装置を搭載し、車両外部の電源から電力供給を受けることによって蓄電装置に充電可能なように構成された車両である。車両は、車両外部の電源に接続可能なプラグを有し、車両に搭載されるケーブルと、ケーブルを収容するケーブル収容部とを備える。ケーブル送り出し装置によって
、ケーブル収容部から車両外部の電源に向けてケーブルが送り出される。
【0018】
このように構成された車両によれば、ケーブル収容部から車両外部の電源に向けて電力供給用のケーブルを送り出す際に、ケーブルが捩れることを防止できる。これにより、蓄電装置の充電作業を容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、この発明に従えば、ケーブルの捩じれを解消するケーブル送り出し装置、およびそのようなケーブル送り出し装置を備える車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車を示す斜視図である。
【図2】ハイブリッド自動車のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
【図3】図1中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲を示す断面図である。
【図4】図3中のIV−IV線上に沿ったハイブリッド自動車を示す断面図である。
【図5】図3中のV−V線上に沿ったケーブル送り出し装置を示す断面図である。
【図6】図5中の送りローラを示す斜視図である。
【図7】図3中のケーブル送り出し装置により車載ケーブルを送り出す工程を示す図である。
【図8】図5中のケーブル送り出し装置の第1変形例を示す断面図である。
【図9】図5中のケーブル送り出し装置の第2変形例を示す側面図である。
【図10】図3中に示すハイブリッド自動車の変形例を示す正面図である。
【図11】この発明の実施の形態3におけるハイブリッド自動車を示す斜視図である。
【図12】図11中の車載ケーブルの取り出し口を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車を示す斜視図である。図1を参照して、まず、本実施の形態におけるケーブル送り出し装置を搭載するハイブリッド自動車10の構造について説明する。
【0023】
ハイブリッド自動車10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等のエンジンと、充放電可能な2次電池(バッテリ)から電力供給されるモータとを動力源とする。ハイブリッド自動車10は、ボディ11、燃料タンク19およびバッテリ20を有する。
【0024】
ボディ11は、ハイブリッド自動車10の外郭をなす。ボディ11の表面は、上面12と、下面13と、周面14とから構成されている。周面14は、平面的に見たハイブリッド自動車10の外周上に配置される表面であり、側面15および側面16と、前面17と、背面18とを有する。側面15および側面16は、車両側方に配置され、前面17は、車両前方に配置され、背面18は、車両後方に配置される。
【0025】
側面15には、乗降用開口部22が形成されている。乗降用開口部22には、その開口を開閉可能なようにドア23およびドア24が設けられている。
【0026】
運転手が乗車する運転席113には、ハンドル114などのハイブリッド自動車10を操作するための操作部が設けられている。本実施の形態では、運転席113が、側面15よりも側面16側に配置されている。運転席113は、側面16よりも側面15側に配置されてもよい。
【0027】
ハイブリッド自動車10は、給油部33および蓋部34と、充電部31および蓋部32とをさらに有する。
【0028】
給油部33は、側面15に設けられている。給油部33は、乗降用開口部22より車両後方側に配置されている。蓋部34は、ボディ11の表面上に開閉自在に設けられている。給油部33は、蓋部34の内側に配置されている。給油部33は、燃料タンク19に接続されている。ハイブリッド自動車10への燃料供給時、蓋部34が開けられ、給油部33に給油ノズルが挿入される。給油部33に供給された燃料は、燃料タンク19に導かれる。
【0029】
充電部31は、電気回路を接続するための端子を有し、車両外部の電源から電力供給を受けるための充電手段として設けられている。本実施の形態では、充電部31が、外部電源95から電力供給を受けるために、充電用ケーブル94のコネクタ93が接続可能な形状を有する。
【0030】
充電部31は、側面15に設けられている。充電部31は、乗降用開口部22より車両前方側に配置されている。蓋部32は、ボディ11の表面上に開閉自在に設けられている。充電部31は、蓋部32の内側に配置されている。
【0031】
なお、本実施の形態では、充電部31が、側面15であって、乗降用開口部22より車両前方側に設けられる場合について説明したが、充電部31は、このような位置に限られず、たとえば、側面15であって、乗降用開口部22より車両後方側に設けられてもよいし、側面16の車両前方側もしくは車両後方側に設けられてもよい。
【0032】
ハイブリッド自動車10は、ケーブル収容ボックス40をさらに有する。ケーブル収容ボックス40は、後述する車載ケーブル96を収容するためのケーブル収容部として設けられている。ケーブル収容ボックス40は、車載ケーブル96を収容可能な筐体から形成されている。ケーブル収容ボックス40は、充電部31と隣り合う位置に設けられている。本実施の形態では、ケーブル収容ボックス40が、側面15であって、乗降用開口部22より車両前方側に設けられている。
【0033】
図2は、ハイブリッド自動車のモータジェネレータ制御に関する構成を示す回路図である。
【0034】
図1および図2を参照して、ハイブリッド自動車10は、エンジン1と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構2と、コンデンサCと、リアクトルLと、コンバータ4と、インバータ5およびインバータ6と、車両ECU(Electronic Control Unit)7と、充電器9とをさらに有する。
【0035】
動力分割機構2は、エンジン1およびモータジェネレータMG1,MG2に結合されており、これらの間で動力を分配する。たとえば、動力分割機構2としては、サンギヤ、プラネタリキャリヤおよびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構が用いられる。この3つの回転軸は、エンジン1、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸に接続されている。たとえば、モータジェネレータMG1のロータを中空とし、その中心にエンジン1のクランク軸を通すことによって、動力分割機構2にエンジン1およびモータジェ
ネレータMG1,MG2を機械的に接続されている。
【0036】
なお、モータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤや差動ギヤによって駆動輪である前輪3に結合されている。動力分割機構2の内部には、モータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機がさらに組み込まれてもよい。
【0037】
モータジェネレータMG1は、エンジン1によって駆動される発電機として動作し、かつ、エンジン1の始動を行ない得る電動機として動作するものとしてハイブリッド自動車10に組み込まれている。モータジェネレータMG2は、ハイブリッド自動車10の駆動輪である前輪3を駆動する電動機としてハイブリッド自動車10に組み込まれている。
【0038】
モータジェネレータMG1,MG2は、たとえば、三相交流同期電動機である。モータジェネレータMG1,MG2は、U相コイル、V相コイル、W相コイルからなる三相コイルをステータコイルとして含む。
【0039】
モータジェネレータMG1は、エンジン出力を用いて三相交流電圧を発生し、その発生した三相交流電圧をインバータ5へ出力する。モータジェネレータMG1は、インバータ5から受ける三相交流電圧によって駆動力を発生し、エンジン1の始動を行なう。
【0040】
モータジェネレータMG2は、インバータ6から受ける三相交流電圧によって車両の駆動トルクを発生する。モータジェネレータMG2は、車両の回生制動時、三相交流電圧を発生してインバータ6へ出力する。
【0041】
バッテリ20としては、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、鉛蓄電池などの2次電池を用いることができる。また、バッテリ20に替えて、大容量の電気2重層コンデンサを用いることもできる。
【0042】
バッテリ20と充電部31との間には、充電器9が設けられている。バッテリ20と充電器9とは、ハーネスによって電気的に接続され、充電器9と充電部31とは、ハーネスによって電気的に接続されている。充電器9は、車両ECU7のコントロール信号CNTL1によって駆動が制御されている。充電器9は、AC/DCコンバータとして機能し、充電部31を通じて外部電源から供給された交流電流を直流電流に変換するとともに、所定の電圧とする。
【0043】
ハイブリッド自動車10は、車載ケーブル96をさらに有する。車載ケーブル96は、長尺の配線からなる電気ケーブル部98を有し、車両外部の電源から電力供給を受けるための充電手段として設けられている。車載ケーブル96は、ケーブル収容ボックス40に収容された状態でハイブリッド自動車10に搭載されている。
【0044】
車載ケーブル96は、コネクタ99およびプラグ97をさらに有する。コネクタ99およびプラグ97は、それぞれ、電気ケーブル部98の一方端および他方端に接続されている。
【0045】
車載ケーブル96によって家庭用電源からハイブリッド自動車10に電力供給するため、プラグ97は、コンセント92に接続可能な形状を有する。コネクタ99は、充電部31に接続可能な形状を有する。すなわち、車載ケーブル96のコネクタ99と、充電用ケーブル94のコネクタ93とは、同一の端子形状を有する。コネクタ99とコネクタ93とは、2本の電力供給用ピンと、1本のグランド用ピンと、2本の信号用ピンとを有する、同一の端子形状を有する。
【0046】
ハイブリッド自動車10は、車両外部の電源から電力供給を受けることによってバッテリ20に充電可能なように構成されている。特に本実施の形態では、バッテリ20を充電するための充電手段として、充電部31および車載ケーブル96が準備されており、ユーザーは、充電時の車両周辺の環境に応じて最適な充電方式を選択することができる。
【0047】
典型的には、ハイブリッド自動車10が自宅の駐車場に駐車されている場合には、車載ケーブル96のコネクタ99を充電部31に接続した状態で、プラグ97をコンセント92に接続する。これにより、家庭用電源の電力が、車載ケーブル96を通じてバッテリ20に供給される(車載ケーブル96を用いた充電方式)。また、ハイブリッド自動車10が公共道路に設置された充電スタンドに立ち寄った場合には、コネクタ99を充電部31から取り外し、スタンドに設備された充電用ケーブル94のコネクタ93を充電部31に接続する。これにより、外部電源95の電力が、充電用ケーブル94を通じてバッテリ20に供給される(充電用ケーブル94を用いた充電方式)。
【0048】
このような構成によれば、充電用ケーブル94を用いた充電方式を採る場合に、車載ケーブル96のコネクタ99が充電部31から取り外されるため、バッテリ20の充電時に使用されていない車載ケーブル96側の回路が活線状態となることがない。このため、充電用ケーブル94を用いた充電方式のみを採用する車両に対して、車載ケーブル96を用いた充電方式を追加する場合に、回路をオン、オフするためのリレー制御を設ける必要がなく、車両ECU7のシステムの大幅な変更が不要となる。
【0049】
続いて、ハイブリッド自動車10に搭載される、本実施の形態におけるケーブル送り出し装置の構造について説明する。図3は、図1中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲を示す断面図である。図4は、図3中のIV−IV線上に沿ったハイブリッド自動車を示す断面図である。
【0050】
図3および図4を参照して、図中には、車載ケーブル96を用いた充電時の様子が示されている。ハイブリッド自動車10は、充電部収容部60およびケーブル送り出し装置50をさらに有する。
【0051】
充電部収容部60は、ボディ11の表面に開口する凹部により形成されている。本実施の形態では、充電部収容部60が、側面15に開口する凹部により形成されている。充電部収容部60は、側面15から連なり、筒状に配置された側壁62と、側面15における開口と向かい合って配置される底壁61とにより区画形成されている。充電部収容部60には、充電部31が収容されている。充電部31は、底壁61に固定されている。
【0052】
蓋部32は、充電部収容部60の開口を塞ぐように設けられている。蓋部32は、側面15に対して開閉自在に取り付けられている。
【0053】
ケーブル収容ボックス40は、充電部収容部60の直下に配置されている。側壁62には、ケーブル収容ボックス40と充電部収容部60との間を連通させるケーブル挿通孔68が形成されている。ケーブル送り出し装置50は、ケーブル挿通孔68に配設されている。
【0054】
車載ケーブル96の電気ケーブル部98は、蛇行状に折り曲げられた状態や、螺旋状に積み重なった状態でケーブル収容ボックス40に収容されている。車載ケーブル96のコネクタ99は、ケーブル挿通孔68を通じてケーブル収容ボックス40から充電部収容部60に引き出され、充電部31に接続されている。車載ケーブル96のプラグ97は、ケーブル送り出し装置50を通じてケーブル収容ボックス40から充電部収容部60に引き出されている。
【0055】
蓋部32が閉じられた状態で、車載ケーブル96のコネクタ99は、充電部31に接続されている。車載ケーブル96を用いた充電を開始する場合には、蓋部32を開けてプラグ97を把持し、ケーブル送り出し装置50を用いて車載ケーブル96をケーブル収容ボックス40から車外に向けて送り出す。そして、プラグ97をコンセント92に接続する。また、充電終了後は、プラグ97をコンセント92から取り外した後、ケーブル送り出し装置50を用いて車載ケーブル96をケーブル収容ボックス40に回収する。
【0056】
図5は、図3中のV−V線上に沿ったケーブル送り出し装置を示す断面図である。図6は、図5中の送りローラを示す斜視図である。
【0057】
図3から図6を参照して、ケーブル送り出し装置50は、送りローラ51および送りローラ52と、動力伝達部としてのギヤ71およびギヤ72と、動力発生部としてのモータ73とを有する。
【0058】
送りローラ51および送りローラ52は、それぞれ、仮想線である中心線102および中心線103を中心に回転自在に支持されている。送りローラ51と送りローラ52とは、中心線102と中心線103とが互いに間隔を隔てて平行配置されるように支持されている。
【0059】
送りローラ51は、外周面56を有する。外周面56は、中心線102の外周上に配置される周面として形成されている。本実施の形態では、外周面56がV字断面を有するように形成されている。より具体的には、送りローラ51を中心線102を含む平面により切断した場合に、外周面58は、中心線102と外周面58との間の長さが中心線102の両端に近づくほど大きくなるV字状の断面形状を有する。
【0060】
送りローラ52は、送りローラ51と同様の形状を有する。送りローラ52はV字断面の外周面58を有する。
【0061】
ギヤ71は、中心線102を中心に回転可能なように送りローラ51に接続されている。ギヤ72は、中心線103を中心に回転可能なように送りローラ52に接続されている。ギヤ71とギヤ72とは、互いに噛み合って配置されている。ギヤ72には、モータ73が接続されている。モータ73は、正転および反転可能なように構成されている。充電部収容部60には、送りローラ51および送りローラ52の操作部として、モータ73を正転させる際に操作される押しボタン66と、モータ73を反転させる際に操作される押しボタン67とが設けられている。本実施の形態では、押しボタン66および押しボタン67は、ケーブル挿通孔68に隣り合う位置に設けられている。
【0062】
このような構成により、送りローラ51と送りローラ52とは、互いに同期して回転駆動可能なように設けられている。送りローラ51と送りローラ52とは、互いに反対方向に回転する。すなわち、送りローラ51が、中心線102を中心に時計周りに回転するとき、送りローラ52は、中心線103を中心に反時計周りに回転し、送りローラ51が、中心線102を中心に反時計周りに回転するとき、送りローラ52は、中心線103を中心に時計周りに回転する。
【0063】
車載ケーブル96は、外周面56および外周面58に接触した状態で、送りローラ51および送りローラ52により挟持されている。より具体的には、プラグ97から延出する電気ケーブル部98が、送りローラ51および送りローラ52により挟持されている。電気ケーブル部98は、V字断面を有する外周面56の2点と、V字断面を有する外周面58の2点とに接触している。送りローラ51および送りローラ52の間隔は、送りローラ
51および送りローラ52から電気ケーブル部98に一定の挟持する力が作用するように設定されている。
【0064】
このような構成により、モータ73を正転させることによって、車載ケーブル96をケーブル収容ボックス40から車外に向けて送り出したり、モータ73を反転させることによって、車載ケーブル96をケーブル収容ボックス40に回収したりする。
【0065】
なお、本実施の形態では、モータ73の駆動力を利用して車載ケーブル96の送り出しおよび回収を実施する構成としたが、本発明はこれに限られず、手動により車載ケーブル96の送り出しおよび回収を実施する構成としてもよい。
【0066】
本実施の形態におけるケーブル送り出し装置50においては、送りローラ51に、凹部57が形成されている。凹部57は、外周面56から凹むように形成されている。送りローラ51を中心線102に直交する平面により切断した場合に、中心線102と凹部57との間の長さは、外周面58の半径よりも小さい。外周面58は、中心線102の軸周りにおいて一定の曲率で周回し、凹部57において不連続とされている。
【0067】
凹部57は、図6中に示すように平面状に形成されてもよいし、湾曲面状に形成されてもよい。凹部57は、図6中に示すように、中心線102に平行な方向における送りローラ51の一方端と他方端との間の全範囲に形成されてもよいし、送りローラ51と車載ケーブル96とが接触する位置に対応する範囲にのみ形成されてもよい。凹部57は、中心線102の軸線周りの複数個所に形成されてもよい。
【0068】
たとえば、直径12mmを有する電気ケーブル部98に対して、凹部57は、0.5mm以上の深さを有することが好ましい。
【0069】
送りローラ52には、送りローラ51に形成された凹部57と同じ形態により、凹部59が形成されている。凹部57および凹部59は、送りローラ51および送りローラ52の回転時に、凹部57と凹部59とが電気ケーブル部98を挟んで互いに対峙するように形成されている。すなわち、送りローラ51および送りローラ52の回転時、凹部57と凹部59とは、同じタイミングで車載ケーブル96を送り出す位置を通過する。
【0070】
図7は、図3中のケーブル送り出し装置により車載ケーブルを送り出す工程を示す図である。
【0071】
図7(A)を参照して、車載ケーブル96は、送りローラ51および送りローラ52により拘束されながらその回転方向に送り出されるため、電気ケーブル部98に捩じりが発生する。図7(B)を参照して、凹部57および凹部59が車載ケーブル96を送り出す位置を通過するタイミングで、送りローラ51および送りローラ52が電気ケーブル部98を挟持する力が弱まる。電気ケーブル部98の捩じりによる反力が、その電気ケーブル部98を挟持する力よりも大きくなることにより、電気ケーブル部98に発生していた捩じりが解消される。図7(C)を参照して、送りローラ51および送りローラ52が電気ケーブル部98を再び挟持することにより、車載ケーブル96がケーブル収容ボックス40から車外に向けて送り出されていく。
【0072】
このように本実施の形態では、凹部57および凹部59が車載ケーブル96を送り出す位置を通過する度に、送りローラ51および送りローラ52が電気ケーブル部98を挟持する力が弱まるため、車載ケーブル96の捩じれを解消しつつ、車載ケーブル96の送り出し、回収作業を実施することができる。特に、本実施の形態のように、車載ケーブル96の電気ケーブル部98が、ケーブルリールなどに巻かれることなく、回収されたままの
状態でケーブル収容ボックス40に収容される場合、ケーブル収容ボックス40内で電気ケーブル部98の捩じりが発生する懸念が大きくなる。したがって、車載ケーブル96の捩じれを解消しつつ、車載ケーブル96の送り出しおよび回収が可能なケーブル送り装置50がより有効に利用される。
【0073】
図4および図5を参照して、車載ケーブル96が通される外周面56と外周面58との間の空間は、ケーブル挿通孔68と通じている。このような構成によれば、車載ケーブル96が故障したり汚れたりした場合に、電気ケーブル部98を外周面56と外周面58との間からケーブル挿通孔68に抜き出し、車載ケーブル96をケーブル送り出し装置50から取り外すことができる。この際、電気ケーブル部98を容易に抜き出すことができるように、送りローラ51および送りローラ52の少なくともいずれか一方を可動式としてもよい。
【0074】
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるケーブル送り出し装置の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるケーブル送り出し装置50は、ケーブルとしての車載ケーブル96を送り出すケーブル送り出し装置である。ケーブル送り出し装置50は、回転自在に支持される第1ローラとしての送りローラ51および第2ローラとしての送りローラ52を備える。送りローラ51および送りローラ52は、それぞれ、外周面56および外周面58を有し、車載ケーブル96をその外周面56および外周面58に接触させた状態で挟持する。送りローラ51および送りローラ52には、それぞれ、外周面56および外周面58から凹む凹部57および凹部59が形成される。
【0075】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるハイブリッド自動車10およびケーブル送り出し装置50によれば、車載ケーブル96の捩じれを解消しつつ、車載ケーブル96の送り出し、回収作業を実施することができる。これにより、ケーブル収容ボックス40内で車載ケーブル96がキンク屈曲を起こしたり、車載ケーブル96の捩れ溜まりが発生したりすることを防止できる。
【0076】
なお、本発明を、燃料電池と2次電池とを動力源とする燃料電池ハイブリッド車(FCHV:Fuel Cell Hybrid Vehicle)または電気自動車(EV:Electric Vehicle)に適用することもできる。本実施の形態におけるハイブリッド自動車では、燃費最適動作点で内燃機関を駆動するのに対して、燃料電池ハイブリッド車では、発電効率最適動作点で燃料電池を駆動する。また、2次電池の使用に関しては、両方のハイブリッド自動車で基本的に変わらない。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したハイブリッド自動車10およびケーブル送り出し装置50の各種変形例について説明する。
【0078】
図8は、図5中のケーブル送り出し装置の第1変形例を示す断面図である。図8を参照して、本変形例では、送りローラ51に凹部57が形成されているが、送りローラ52に凹部59が形成されていない。このような構成によっても、凹部57が車載ケーブル96を送り出す位置を通過する度に、送りローラ51および送りローラ52が電気ケーブル部98を挟持する力が弱まるため、車載ケーブル96の捩じれを解消しつつ、車載ケーブル96の送り出し、回収作業を実施することができる。
【0079】
図9は、図5中のケーブル送り出し装置の第2変形例を示す側面図である。図9を参照して、本変形例におけるケーブル送り出し装置は、図5中の送りローラ51および送りローラ52に替えて、送りローラ76と、補助ローラ74および補助ローラ75とを有する。
【0080】
送りローラ76は、中心線106を中心に回転自在に支持されている。送りローラ76には、図示しないモータが接続されており、そのモータの駆動に伴って送りローラ76は回転駆動可能である。補助ローラ74および補助ローラ75は、それぞれ、中心線107および中心線108を中心に回転自在に支持されている。車載ケーブル96は、送りローラ76と、補助ローラ74および補助ローラ75との間を通されている。
【0081】
送りローラ76は、気密空間79に空気が封入されたタイヤ構造を有する。送りローラ76は、中心線106の外周上に配置された外周面77を有する。送りローラ76には、外周面77から凹む凹部78が形成されている。
【0082】
このような構成によっても、凹部78が車載ケーブル96を送り出す位置を通過する度に、送りローラ76と、補助ローラ74および補助ローラ75とが電気ケーブル部98を挟持する力が弱まるため、車載ケーブル96の捩じれを解消しつつ、車載ケーブル96の送り出し、回収作業を実施することができる。
【0083】
図10は、図3中に示すハイブリッド自動車の変形例を示す正面図である。図10を参照して、車載ケーブル96は、コントロールボックス81をさらに有する。コントロールボックス81は、筐体からなり、充電を制御するための装置を内蔵している。コントロールボックス81は、電気ケーブル部98の経路上に設けられている。コントロールボックス81は、コネクタ99よりもプラグ97に近い位置に設けられている。コントロールボックス81は、プラグ97から30cm以内の位置に設けられている。
【0084】
本変形例におけるハイブリッド自動車は、コントロールボックス収容部82をさらに有する。コントロールボックス収容部82は、充電部収容部60と隣り合って設けられている。コントロールボックス収容部82には、コントロールボックス81が収容されている。コントロールボックス収容部82には、コントロールボックス81を支持するための係止爪が設けられている。
【0085】
以上に説明した、この発明の実施の形態2におけるハイブリッド自動車およびケーブル送り出し装置によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を奏することができる。
【0086】
(実施の形態3)
図11は、この発明の実施の形態3におけるハイブリッド自動車を示す斜視図である。この発明の実施の形態3におけるハイブリッド自動車は、実施の形態1におけるハイブリッド自動車10と比較して、基本的には同様の構造を有する。以下、重複する構造についてはその説明を繰り返さない。
【0087】
図11を参照して、本実施の形態におけるハイブリッド自動車は、実施の形態1における車載ケーブル96に替えて、車載ケーブル122を有する。車載ケーブル122は、その一方端に、家庭用電源のコンセント126に接続可能なプラグ123を有する。車載ケーブル122の他方端は、図示しないハーネスを介して充電器4に電気的に接続されている。本実施の形態では、充電部31の直下にケーブル収容ボックス40が設けられていない。
【0088】
ハイブリッド自動車は、ケーブル収容部としてのケーブルリール121をさらに有する。ケーブルリール121は、車載ケーブル96が巻かれる回転可能なドラムを有して構成されている。車載ケーブル122は、ケーブルリール121に巻き取られた形態でハイブリッド自動車に搭載されている。
【0089】
図12は、図11中の車載ケーブルの取り出し口を示す正面図である。図11および図12を参照して、ハイブリッド自動車は、プラグ収容部130および蓋部131をさらに有する。プラグ収容部130は、ボディ11の表面に開口する凹部により形成されている。本実施の形態では、プラグ収容部130が、側面16に開口する凹部により形成されている。蓋131は、プラグ収容部130の開口を塞ぐように設けられている。蓋部131は、側面16に対して開閉自在に取り付けられている。
【0090】
ケーブルリール121は、プラグ収容部130の直下に配置されている。ケーブルリール121に巻かれた車載ケーブル122が、ケーブル送り出し装置50を通じてプラグ収容部130に引き出され、車載ケーブル122のプラグ123がプラグ収容部130内に収容されている。車載ケーブル122を用いた充電を開始する場合には、蓋部131を開けてプラグ123を把持し、ケーブル送り出し装置50を用いて車載ケーブル122をケーブルリール121から車外に向けて送り出す。
【0091】
このように構成された、この発明の実施の形態3におけるハイブリッド自動車によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
車両外部の電源から電力供給を受けることによって蓄電装置に充電可能なように構成された車両に適用される。
【符号の説明】
【0094】
1 エンジン、2 動力分割機構、3 前輪、4 コンバータ、5,6 インバータ、9 充電器、10 ハイブリッド自動車、11 ボディ、12 上面、13 下面、14
周面、15,16 側面、17 前面、18 背面、19 燃料タンク、20 バッテリ、22 乗降用開口部、23,24 ドア、31 充電部、32 蓋部、33 給油部、34 蓋部、40 ケーブル収容ボックス、50 ケーブル送り出し装置、51,52
送りローラ、56,58 外周面、57,59 凹部、60 充電部収容部、61 底壁、62 側壁、66,67 押しボタン、68 ケーブル挿通孔、71,72 ギヤ、73 モータ、74,75 補助ローラ、76 送りローラ、77 外周面、78 凹部、79 気密空間、81 コントロールボックス、82 コントロールボックス収容部、92 コンセント、93 コネクタ、94 充電用ケーブル、95 外部電源、96 車載ケーブル、97 プラグ、98 電気ケーブル部、99 コネクタ、113 運転席、114 ハンドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを送り出すケーブル送り出し装置であって、
外周面を有し、ケーブルを前記外周面に接触させた状態で挟持し、回転自在に支持される第1ローラおよび第2ローラを備え、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの少なくともいずれか一方には、前記外周面から凹む凹部が形成される、ケーブル送り出し装置。
【請求項2】
前記第1ローラおよび前記第2ローラに前記凹部が形成され、
前記凹部は、前記第1ローラおよび前記第2ローラの回転時に、前記第1ローラに形成された前記凹部と前記第2ローラに形成された前記凹部とが、前記ケーブルを挟んで互いに対峙するように配置される、請求項1に記載のケーブル送り出し装置。
【請求項3】
ケーブルを収容するケーブル収容部をさらに備え、
前記第1ローラおよび前記第2ローラの回転に伴って、前記ケーブル収容部に収容されたケーブルが外部に送り出される、請求項1または2に記載のケーブル送り出し装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブル送り出し装置を搭載し、車両外部の電源から電力供給を受けることによって蓄電装置に充電可能なように構成された車両であって、
車両外部の電源に接続可能なプラグを有し、車両に搭載されるケーブルと、
前記ケーブルを収容するケーブル収容部とを備え、
前記ケーブル送り出し装置によって、前記ケーブル収容部から車両外部の電源に向けて前記ケーブルが送り出される、車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−27092(P2013−27092A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157787(P2011−157787)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】