説明

ケーブル長算出装置

【課題】汎用性が高く不要なケーブルの購入を防止でき、ケーブルの残量計算時間を短縮し、その計算精度を向上し得るケーブル長算出装置を提供する。
【解決手段】ドラムBに巻かれているケーブルAの長さを算出するケーブル長算出装置であって、ドラムBの胴径や軸方向の長さなどのドラム仕様、ケーブルAの外径などのケーブル仕様および、ドラムBに巻かれている状態のケーブルの外周長などの状態情報、などを入力する入力部2と、この入力部2で入力されたドラム仕様とケーブル仕様と状態情報とに基づいて、ケーブルAの長さを算出する長さ中央処理部と、この長さ算出手段で算出された算出結果を出力する表示部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラムに巻かれた電線・制御ケーブルなどの残量を容易に知ることができるケーブル長算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事中および工事後の電線や制御ケーブルを巻いたドラムのケーブル残量を把握するには、ドラムに巻かれているケーブル外周を測定し、巻き数を確認する必要があった。しかし、ケーブルの残量が多い場合は、巻き数を確認するための延線作業に時間と労力がかかる不具合があった。また、ドラムに巻かれているケーブルは、ドラムの中心側と外側とで長さが違うため、外周×巻き数という計算式を用いると、正確性に欠けるという不具合が生じていた。
【0003】
このような不具合を解決する方法として、例えば、ドラムにスケール表示を行って、換算表を用いて残量を計算するという方法(例えば、特許文献1参照。)、または、スケール付ケーブルを用いる方法などにより、上記問題を解決していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−113880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスケールを表示したドラムでは、汎用性が乏しく、一般的に購入されているケーブルには、スケール付のドラムはほぼ採用されていないという面で、実用的でないという不具合があった。
【0006】
また、従来のスケール付ケーブルでは、ケーブル購入時に在庫とは別に「スケール付」を指定して新たに購入するため、既に購入済みの在庫ケーブルでスケールが付いてない場合は、現場で対応できず残量が分からない。
【0007】
そこでこの発明は、汎用性が高く不要なケーブルの購入を防止でき、ケーブルの残量計算時間を短縮し、その計算精度を向上し得るケーブル長算出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、ドラムに巻かれているケーブルの長さを算出するケーブル長算出装置であって、前記ドラムの胴径や軸方向の長さなどのドラム仕様、前記ケーブルの外径などのケーブル仕様および、前記ドラムに巻かれている状態の前記ケーブルの外周長などの状態情報、などを入力する入力手段と、前記入力手段で入力されたドラム仕様とケーブル仕様と状態情報とに基づいて、前記ケーブルの長さを算出する長さ算出手段と、前記長さ算出手段で算出された算出結果を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、入力手段によりドラムおよびケーブルの仕様とケーブルの外周長などの状態情報とを入力するだけで、当該情報に基づいて長さ算出手段が自動的にケーブルの残量を算出する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のケーブル長算出装置において、前記入力手段は、前記ドラムとケーブルとから各仕様を読み取る読取り手段と、前記ドラムに巻かれている状態の前記ケーブルの画像などを撮影する撮影手段と、を備え、前記長さ算出手段は、前記撮影手段で撮影された画像に基づいて、前記ケーブルの外周長などの状態情報を算出する状態情報算出手段を備え、前記読取り手段のドラム仕様とケーブル仕様と、前記状態情報算出手段で算出された状態情報とに基づいて、前記ケーブルの長さを算出する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、入力手段による人為的な数値入力を、撮影手段や読取り手段により簡単にデータを入力することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、入力手段によりドラム仕様、ケーブル仕様、および巻かれたケーブルの外周長などの状態情報を各々入力するだけで、当該データに基づいて長さ算出手段が自動的にケーブルの残量を算出するため、汎用性が高く不要なケーブルの購入を防止でき、ケーブルの残量計算時間を短縮することができる。しかも、状態情報に基づいて算出するため、ドラムに巻かれたケーブルの状態に応じた算出、つまりより正確な算出結果を得ることが可能になる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、入力手段による人為的な数値入力を、撮影手段や読取り手段により簡単に入力することができるため、各種情報の入力時間を短縮できるとともに、入力ミスなどを防止して計算精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施の形態に係るケーブル長算出装置を示す概略構成ブロック図である。
【図2】図1のケーブル長算出装置を具体化した外観を示す外観図である。
【図3】図2のメイン表示部による概略仕様の入力画面を示す図であり、(a)は電線種類の選択を、(b)は制御ケーブル種類の選択を各々示している。
【図4】図3の入力仕様に更なる詳細仕様の入力画面を示す図であり、(a)はケーブルサイズの選択を、(b)は線心数の選択を、(c)ドラム仕様の選択を各々示している。
【図5】ドラムに巻かれているケーブル状態情報の入力画面を示す図であり、(a)は巻かれているケーブル外周長の入力を、(b)は中途半端に巻かれているケーブルの外周数の入力を各々示している。
【図6】算出結果の表示画面を示す図である。
【図7】図5の入力で測定されるケーブルとドラムとの関係を示した図である。
【図8】この発明の他の実施形態に係るケーブル長算出装置を示す概略構成ブロック図である。
【図9】図8に示したケーブル長算出装置を具体化した外観を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態に係るケーブル長算出装置を示す概略構成ブロック図である。図1に示すように、このケーブル長算出装置は、各種データを入力する入力部2と、このデータを蓄積するデータ記憶部3と、種々の計算を行うプログラムを蓄積するプログラム記憶部4と、入力されたデータに基づいてプログラム記憶部4のプログラムにより所定値を算出する中央処理部1と、この算出による算出結果を表示する表示部5と、を備えている。
【0017】
ここで、入力部2は、後述するドラムの胴径や軸方向の長さなどのドラム仕様、ケーブルの外径などのケーブル仕様、ドラムに巻かれている状態のケーブルの外周長などの状態情報、などのデータを入力する入力手段であって、例えば、キーボードやボタン、或いはマウスなどで構成される。なお、入力部2は、表示部5によりタッチ式で入力することで不要になるが、前述した各種データの入力以外に、機器本体の修正プログラムやリセットなどの条件を入力する手段として設置することも可能である。
【0018】
データ記憶部3は、データを蓄積するメモリ装置であって、入力部2で入力されたデータを記憶し、呼出し、修正、削除などの処理を行えるようになっている。
【0019】
プログラム記憶部4は、各種条件からケーブル長を算出するためのプログラム(計算式)が記憶されており、各種データに応じて中央処理部1に出力される。
【0020】
中央処理部1は、入力部2やデータ記憶部3からのドラム仕様、ケーブル仕様、巻かれているケーブルの外周長などの状態情報に基づいて、プログラム記憶部4からのプログラムを受け取り、ケーブル長さを算出する長さ算出手段であって、その算出結果や現状況を表示部5に送信して表示するようになっている。
【0021】
表示部5は、中央処理部1で算出された算出結果や入力したデータの現状況などを出力する出力手段であって、液晶ディスプレイなどで構成される。
【0022】
次に、このような発明の具体的な実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。図2は、図1のケーブル長算出装置を具体化した外観を示す外観図である。この実施の形態では、表示部5がタッチパネル式で各種データを入力できる場合を例としている。このケーブル長算出装置は、図2に示すように、樹脂材などで形成された本体10を備え、この本体10の表面に、電源スイッチ11と、タッチパネル式のメイン表示部12と、このメイン表示部12で入力されたデータ入力状況を表示する補助表示部13と、が各々配置されている。
【0023】
ここで、本体10内には、図1に示した中央処理部1、データ記憶部3、プログラム記憶部4が各々収納されている。また本体10の表面では、メイン表示部12と補助表示部13とによって表示部5(図1参照)を形成し、かつメイン表示部12がタッチパネル式で入力部2の役割を兼用している。なお、図1の入力部2は、使用状況に応じて、適宜、図2の本体10外面に配置することも可能である。
【0024】
また、本体10は、好ましくは外形の大きさが、例えばポケットに入るサイズに形成することが望ましい。これにより、本体10は、ドラムが配置された現場に、容易に持ち運ぶことができ、短時間にケーブルの残量を算出することができる。
【0025】
そして、このような構成によるケーブル長算出装置を用いた動作について、図3〜6を参照して説明する。図3は、図2のメイン表示部12による概略仕様の入力画面を示す図であり、(a)は電線種類の選択を、(b)は制御ケーブル種類の選択を各々示している。また、図4は、図3の入力仕様に更なる詳細仕様の入力画面を示す図であり、(a)はケーブルサイズの選択を、(b)は線心数の選択を、(c)ドラム仕様の選択を各々示している。また、図5は、ドラムに巻かれているケーブル状態情報の入力画面を示す図であり、(a)は巻かれているケーブル外周長の入力を、(b)は中途半端に巻かれているケーブルの外周数の入力を各々示している。また、図6は、算出結果の表示画面を示す図である。
【0026】
まず、図2に示した電源スイッチ11のOFF状態からON状態にすることで、図3(a)に示すように、メイン表示部12に電線の種類が表示され、この種類から特定のケーブルを選択するSTEP1が実行される。ここで、メイン表示部12では、電線の種類に対応した「裸線」、「制御ケーブル」、「電力ケーブル」のような選択項目を順次表示し、作業者がこの項目から特定の項目をタッチするだけで入力でき、キーボードなどで文字や数字を打ち込むのに比べて、確実に入力ミスを防止することができる。ここでは、制御ケーブルを選択した場合を例として以下説明する。
【0027】
図3(a)のメイン表示部12で制御ケーブルを選択すると、図3(b)に示すように、メイン表示部12に制御ケーブルの種類が表示され、この種類からさらに選択するSTEP2が実行される。ここで、図3のメイン表示部12で選択された各種仕様データは、図1の表示部5(タッチパネル)から入力され、中央処理部1を介してデータ記憶部3に記憶される。そして、その記憶情報(仕様データ)は、図3(b)に示すように補助表示部13によって随時表示される。以下、補助表示部13は、データ記憶部3にデータが入力されるたびに、そのデータ状態を表示して計算結果が出るまで表示を続ける。
【0028】
次に、図3の入力データに基づき更なる詳細仕様が、図4に示すように表示画面に従って入力される。まず、図3でのケーブル仕様が入力されると、図4(a)に示すように、そのケーブルのサイズを選択するSTEP3が実行される。また、サイズの選択に続いて、図4(b)に示すように、線心数を選択するSTEP4が実行される。そして、仕様選択の最後として、図4(c)に示すように、ドラムのサイズを選択するSTEP5が実行される。
【0029】
これによりケーブルおよびドラムの仕様が、図1に示したデータ記憶部2に記録されて、その後、後述するドラムに巻かれたケーブルの状態情報を入力することで、ケーブルの残量を容易に算出することが可能になる。ここで、ケーブルおよびドラムの仕様は、あらかじめ各種仕様を入力しておくことで、必要に応じてデータ記憶部3から適宜読み出しながら用いることが可能である。
【0030】
次に、実際にドラムに巻かれたケーブルの状態情報が、図5に示すSTEP6およびSTEP7の入力画面により入力される。まず、図5(a)に示すように、ドラムに巻かれている制御ケーブルの一番外側部分の外周を入力するSTEP6が実行される。ここで、ケーブルの一番外側部分の外周とは、ドラムに1層目のケーブルを巻いて、さらに重ねて2層目と巻き、何層目かでケーブルがなくなり、中途半端に巻かれた一番外側の外周の長さである。この外周の長さは、作業員がドラムに巻かれたケーブルを実際に測定して入力される。すなわち、ケーブルの状態情報は、ドラムに巻かれたケーブルの最外周の長さを測定して入力する実測したデータである。この際、STEP6では、外周の長さ(周長)でなく、外周の直径を入力するだけで、その円の周長を自動的に算出するようにプログラムすることも可能である。
【0031】
最後に、ケーブルの一番外側の外周が入力された後、図5(b)に示すように、この一番外側の中途半端に巻かれている部分の外周数(巻数)を入力するSTEP7が実行される。これによりすべてのデータの入力が完了され、図6に示すように、ドラムに巻かれたケーブルの残数量(図6では700m)が算出される。なお、この算出で用いたデータは、前述したデータ記憶部3に記憶されているため、線種の変更、ドラムサイズの変更、外周測定値の変更、巻数の変更などの数値変更が可能であり、残数量の再計算を容易に実行するこができる。
【0032】
ここで、このようなケーブル残数量の算出(STEP1〜7)について、より詳しく、図7を参照して説明する。図7は、図5の入力で測定されるケーブルとドラムとの関係を示した図である。まず、図3および4(STEP1〜4)のケーブル種類(仕様)の入力により、図7に示すように、ケーブルAの「仕上げ外径d」が分かる。また、図4(STEP5)のドラム仕様の入力により、図7のドラムBの「胴径D」および「内幅H」が分かる。
【0033】
このような、ケーブルAとドラムBとの仕様を入力することで、以下の(1)〜(3)のように、新たに各種値を計算して算出する。
(1):(内幅H)÷(仕上げ外径d)で一層の「巻数N」が計算できる。
(2):((仕上げ外径d)×2+(胴径D))×πで1層目の周長が計算できる。
(3):(((仕上げ外径d)×2)×n+(胴径D))×πでn層目の周長が計算できる。
【0034】
ここで、(2)の((仕上げ外径d)×2+(胴径D))は、図7に示すように、胴径Dにケーブルを1層巻いた時の直径D1を求める式であって、この直径D1から円の周長を計算することで、1層目の周長(1層目に1周巻いたケーブルの長さ)が計算できる。また、(3)は、(2)の1層目に加えてさらにn層重ねて巻いた時の周長であって、図7では2層であるため、n=2となり、その外径が直径D2となる。
【0035】
従って、(2)および(3)で算出された各層の周長を巻数N分(内幅H分)設けて合計した値が、ドラムBに巻かれたケーブルの長さ(残量)となる。しかし、このケーブルAは、「仕上げ外径d」が変形などの変形量を考慮して若干の補正する必要がある。そこで、本実施の形態では、前述したSTEP6およびSTEP7(図5参照)のように、作業員がドラムに巻かれたケーブルの外周長を実際に測定して入力することで誤差がないようにしている。
【0036】
この際、作業員は、ケーブルの外周測定において、メジャーなどを用いて測定、またはメジャーでは更なる誤差を生じる可能性があるため、巨大なノギスのような専用測定器を用いて測定誤差が減少するように測定している。また、他の方法として、図7に示した幅Xを測定することで、あらかじめ入力したドラムの仕様寸法から幅Xを引いて直径D2を求めて外周長を算出してもよい。
【0037】
このように、本実施の形態では、ドラムに巻かれているケーブルの外周長を測定して誤差がないよう入力することで、以下の(4)のように正確な値(層数)が計算され、これにより以下の(5)のように最終的なケーブルの長さ(残量)が計算される。
(4):((外周長:測定値)÷π−(胴径D))÷(仕上げ外径d)÷2でケーブルの層数が分かる。
(5):((巻数:N)×(1層目の長さ:外周長))+((巻数)×(2層目の長さ))・・・・+((巻数)×(n層目の長さ))+((最外層の巻数)×(最外層の長さ))でケーブルのすべての長さが求められる。
【0038】
すなわち、図5のSTEP6およびSTEP7により測定したケーブルの最外層の長さと最外層の巻数とを入力するだけで、上記(4)によりケーブルの正確な層数が分かり、上記(5)により(4)で求めた層数分のケーブル長さが自動的に計算されて最終的なケーブルの残量を算出することができる。
【0039】
以上のように、このケーブル長算出装置によれば、メイン表示部12によりドラム仕様、ケーブル仕様、および巻かれたケーブルAの外周長などの状態情報を各々入力するだけで、当該データに基づいて中央処理部1(長さ算出手段)が自動的にケーブルAの残量を算出するため、汎用性が高く不要なケーブルの購入を防止でき、ケーブルAの残量計算時間を短縮することができる。しかも、状態情報に基づいて算出するため、ドラムBに巻かれたケーブルAの状態に応じた算出、つまりより正確な算出結果を得ることが可能になる。
【0040】
(実施の形態2)
次に、図8および図9を参照して、この実施形態に係るケーブル長算出装置について説明する。図8は、この発明の他の実施形態に係るケーブル長算出装置を示す概略構成ブロック図である。また、図9は、図8に示したケーブル長算出装置を具体化した外観を示す外観図である。なお、この実施の形態では、図1に示した実施の形態と同一もしくは同一とみなされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0041】
この実施の形態では、図8に示すように、中央処理部1、表示部5、プログラム記憶部4、データ記憶部2のように、図1の構成と同一の構成要素を備えている。また、この実施の形態では、図1のタッチパネル式の構成とは異なり、入力部2にカメラ2aとICリーダー2bとを備えて構成されている。すなわち、図2のメイン表示部12でタッチ式に入力していた動作を、図8の入力部2のカメラ2aとICリーダー2bとにより自動的に読み取らせることで、残量算出時間を短縮することを目的としている。
【0042】
そして、このような構成の実施形態に係るケーブル長算出装置は、図9に示すように、樹脂材などからなる本体20を備え、この本体20にカメラ2aおよびICリーダー2bを接続できるようになっている。また、本体20は、カメラ2aおよびICリーダー2bを接続する以外、図2に示した本体と同様の構造であり、電源スイッチ11、メイン表示部12、補助表示部13などが配置されている。なお、本体20内には、図8に示した中央処理部1に、撮影手段であるカメラ2aで撮影された画像に基づいて、画像処理によってケーブルAの外周長などの状態情報を算出する状態情報算出手段(図示せず)を備えている。
【0043】
また、図9に示したケーブルAおよびドラムBには、ICタグA1、B1が各々装着され、このICタグA1、B1にケーブルAおよびドラムBの仕様が各々記憶されており、この仕様を本体20に接続したICリーダー2bにより読み取るようになっている。すなわち、ICリーダー2bを用いることで、図3および図4に示したSTEP1〜STEP5の入力画面による入力がすべて不要となり、短時間でデータ記憶部3にケーブルAおよびドラムBの仕様を記憶することができる。
【0044】
一方、本体20に接続したカメラ2aは、図9に示すように、ドラムBに巻かれているケーブルAの状態を、画像として撮影する撮影手段であって、その画像を本体20に送信するようになっている。そして、本体20内では、図8の中央処理部1(状態情報算出手段)がカメラ2aから受け取った画像と基準値(ケーブルサイズやドラムサイズ等)とに基づいて、ケーブルの外周長や巻数が、画像処理により算出されるようになっている。すなわち、カメラ2aの映像を用いることで、図5に示したSTEP6〜STEP7でのケーブルの外周長や巻数を測定して入力する必要がないため、さらに短時間で状態情報を入力することができる。
【0045】
ここで、カメラ2aは、図9に示した測定用紐Lを用いて、ドラムBから常に一定の間隔離れた位置で撮影することで、基準値と比較することなく測定用紐Lが基準となり、画像だけで瞬時にケーブルの外周長や巻数が算出できる。よって、測定用紐Lを用いるか、基準値を用いるかは、現場状況によって適宜決定することができる。なお、測定用紐Lを用いる場合、その長さを、あらかじめデータ記憶部3に記憶しておく必要がある。
【0046】
従って、この実施の形態では、ICリーダー2bでケーブルAおよびドラムBの仕様を読み取り、カメラ2aでドラムBに巻かれたケーブルの映像を撮るだけで、図3〜5の入力が不要になり、短時間で図6に示した計算結果を得ることができる。
【0047】
以上のように、このケーブル長算出装置によれば、入力手段による人為的な数値入力を、撮影手段(カメラ2a)や読取り手段(ICリーダー2b)により各種情報(データ)を簡単に入力することができるため、各種情報の入力時間を短縮できるとともに、入力ミスなどを防止して計算精度を向上できる。
【0048】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、ICリーダー2bやICタグA1、B1を用いることを説明したが、使用状況に応じてバーコードを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 中央処理部
2 入力部
2a カメラ
2b ICリーダー
3 データ記憶部
4 プログラム記憶部
5 表示部
10 本体
11 電源スイッチ
12 メイン表示部
13 補助表示部
A ケーブル
A1 ICタグ
B ドラム
B1 ICタグ
L 測定用紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムに巻かれているケーブルの長さを算出するケーブル長算出装置であって、
前記ドラムの胴径や軸方向の長さなどのドラム仕様、前記ケーブルの外径などのケーブル仕様および、前記ドラムに巻かれている状態の前記ケーブルの外周長などの状態情報、などを入力する入力手段と、
前記入力手段で入力されたドラム仕様とケーブル仕様と状態情報とに基づいて、前記ケーブルの長さを算出する長さ算出手段と、
前記長さ算出手段で算出された算出結果を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするケーブル長算出装置。
【請求項2】
前記入力手段は、
前記ドラムとケーブルとから各仕様を読み取る読取り手段と、
前記ドラムに巻かれている状態の前記ケーブルの画像などを撮影する撮影手段と、を備え、
前記長さ算出手段は、
前記撮影手段で撮影された画像に基づいて、前記ケーブルの外周長などの状態情報を算出する状態情報算出手段を備え、前記読取り手段のドラム仕様とケーブル仕様と、前記状態情報算出手段で算出された状態情報とに基づいて、前記ケーブルの長さを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル長算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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