説明

ゲムシタビン誘導体ナノ粒子

【課題】ゲムシタビンよりも優れた抗癌活性を備えており、それにも拘らず非経口投与、特に静脈内投与に適合している、新規なゲムシタビン誘導体の提供。
【解決手段】一般式(I)の2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン誘導体。(式中、R1、R2、およびR3は、水素原子、または少なくともC18の炭化水素アシル基を表し、少なくとも一つはスクアレニル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン(ゲムシタビン)の新規な誘導体であって、それら自体をナノ粒子の形に組織化するその適性について特に興味がもたれる誘導体を提案する。
【背景技術】
【0002】
ゲムシタビンは、デオキシシチジンに類似した抗癌剤であり、大腸、肺、膵臓、乳房、膀胱、卵巣などの癌性腫瘍に対して有効である(Hertel L.W.et al, Cancer Res., 50; 1990, 4417〜4422、およびPlunkett W. et al, Anticancer Drugs, 6(Suppl.6); 1995, 7〜13)。その化学構造は、デオキシリボース糖の2’-位にある2つのジェミナルフッ素原子の存在を除き、シタラビン(Ara-C)の構造に類似している。この構造の差異が、シタラビンのものと比較してゲムシタビン分子の親油性および膜透過性を増大させ、したがって毒性を増加させる有利な効果を有する(Heinemann V. et al, Cancer Res., 48; 1988, 4024〜4031)。
【0003】
ゲムシタビンの作用についての機序は、下記のように説明することができる。
【0004】
ゲムシタビンは、デオキシシチジン-キナーゼの作用による5’-位におけるリン酸化によって、細胞内レベルで活性化され、したがってそのトリホスフェート誘導体に変換される。次にこれが、複製の際にDNA鎖中に組み込まれ、鎖の伸長の停止、および細胞死をもたらす(Plunkett W. et al, Semin. Oncol., 22 (4 Suppl.11); 1995, 3〜10)。
【0005】
しかし、ゲムシタビンはまた、血液、肝臓および腎臓中に主として存在するデオキシシチジン脱アミノ酵素の作用により代謝されて、そのウラシル誘導体になり、この誘導体は完全に不活性であることが判明している(Heinemann V. et al, Cancer Res., 52; 1992, 533〜539)。その結果として、ゲムシタビンを静脈内投与する場合に、血漿内半減期が著しく短くなるため、ゲムシタビンは最適化されていない抗癌活性しか有しない(Storniolo A. M. et al, Semin. Oncol., 24 (2 Suppl.7); 1997, S7-2〜S7-7)。
【0006】
前記脱アミノ反応に対してゲムシタビンを保護するために、そのアミノ基を4-位において非環状鎖と共有結合的にカップリングさせる提案が行われてきている。このような代替案は、特に欧州特許EP-A-0986570号において考慮されており、この特許は、3’-および/または5’-OH基および/またはN4-アミノ基が飽和もしくはモノ不飽和C18〜C20鎖によって誘導体化されているゲムシタビンエステルおよびアミドを記載している。しかし、ゲムシタビンと比較してこのような親油性誘導体にみられる抗癌活性の増加は、この場合、水性媒質中でのそれらの溶解性を損なう形で得られる。その高い親油的性質のため、これらの誘導体は、静脈内投与にほとんど適合していないことが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許EP-A-0986570号
【特許文献2】Myhren F. et al, Gemcitabine derivatives, 米国特許第2002/0042391号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Hertel L. W. et al, Cancer Res., 50; 1990, 4417〜4422
【非特許文献2】Plunkett W. et al, Anticancer Drugs, 6 (Suppl.6); 1995, 7〜13)
【非特許文献3】Heinemann V. et al, Cancer Res., 48; 1988, 4024〜4031)
【非特許文献4】Plunkett W. et al, Semin. Oncol., 22 (4 Suppl.11); 1995, 3〜10)
【非特許文献5】Heinemann V. et al, Cancer Res., 52; 1992, 533〜539
【非特許文献6】Storniolo A.M. et al, Semin. Oncol., 24 (2 Suppl.7); 1997, S7-2〜S7-7
【非特許文献7】Fessi H. et al., Int. J. Pharm., 55; 1989, R1〜R4
【非特許文献8】Ceruti M. et al, J. Chem. Soc, Perkin Trans, 1; 2002, 1477〜1486
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の明確な目標は、代謝に対する著しい安定性、および延長された血漿内半減期によって、ゲムシタビンのものよりも優れた抗癌活性を備えており、それにも拘らず非経口投与、特に静脈内投与に適合している、新規なゲムシタビン誘導体を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より明確には、第1の態様において、本発明は、下記一般式(I)を有する2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン誘導体に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
上記式中、
R1、R2、およびR3は、同一でも異なっていてもよく、互いに独立に、水素原子、または極性溶媒媒質中において一般式(I)を有する前記化合物に、特にナノ微粒子型のコンパクト化された形態を付与することが可能である立体配座を有する少なくともC18の炭化水素アシル基、を表し;
R1、R2、およびR3基の少なくとも1つが、水素原子以外のものである。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、本発明によるゲムシタビン誘導体のナノ粒子に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、前記ナノ粒子を調製する方法であって、
・ 本発明によるゲムシタビン誘導体を少なくとも1種の有機溶媒中に溶解させるステップであって、得られる混合物を撹拌しながら水性相に添加した場合に、前記水性相中に懸濁した前記誘導体のナノ粒子の瞬間的形成が得られるのに十分な濃度で溶解させるステップと、所望により、
・ 前記ナノ粒子を単離するステップと
を含む方法に関する。
【0015】
さらなる態様において、本発明はまた、抗ガン活性もしくは抗ウイルス活性を備えた医薬組成物の調製における前記誘導体および前記ナノ粒子の使用にも関する。
【0016】
さらに、本発明は、活性物質として、本発明による少なくとも1種の誘導体、特にナノ粒子の形態の誘導体、を含む医薬組成物に関する。
【0017】
最後に、本発明はまた、スクアレン酸またはその誘導体の使用であって、ナノ粒子の形態にある、100Da以上、特に150Daを超える、さらに特に200Daを超える分子量をもつ極性活性成分、特にヌクレオチド及びその他同様のもの、の製剤化における使用にも関する。本使用は、スクアレン酸またはその誘導体の少なくとも1分子を、考慮している活性成分の少なくとも1分子と、特に共有結合によってカップリングすることを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、溶液の濃度の関数として、ゲムシタビン溶液(Gem)、4-(N)-ステアロイルゲムシタビン(C18gem)、および4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン(SQgem)の表面張力(γ)の変化を示すグラフである。
【図2】図2は、濃度の関数として、SQgemナノ粒子(NP SQgem)の表面張力(γ)の変化を示すグラフである。
【図3】図3は、インサートの存在下および不存在下における2つの細胞株に対して、100μMのSQgemナノ粒子をインキュベートした(MTTテスト)(n=3)後の時間の関数として、細胞生存能力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
驚くべきことに、本発明者らは、少なくとも18個の炭素原子を有する炭化水素誘導体の少なくとも1分子と共有結合的にカップリングしたゲムシタビンが、前記炭化水素誘導体が極性溶媒媒質中でコンパクト化された形態にそれ自身を組織化することができる立体配座を有する場合には、ゲムシタビンを基にしたナノ粒子を形成することを示すものである。
【0020】
このゲムシタビン誘導体は、有利には、いくつかの役割を果たす。
【0021】
それらの高い疎水性により水に不溶性となっているため、ゲムシタビン誘導体は、ナノ析出により、自発的に自らを粒子の形態に組織化することができる。
【0022】
粒子が非常に小さいため、このゲムシタビン誘導体を水性懸濁液の形態で静脈内投与することができ、したがって血管内微小循環に適合可能である。
【0023】
本発明の文脈において考慮されるC18炭化水素誘導体は、一般に、ゲムシタビンの3’-および/または5’-OH基において且つ/または4-アミノ基において、共有結合で結合される。
【0024】
より特には、この不飽和の、非直鎖非環状の炭化水素誘導体は、スクアレンおよびその誘導体などのテルペン誘導体に似ている。
【0025】
前記炭化水素誘導体はカルボン酸であることが有利である。この場合には、共有結合は、3’-または5’-OH基の場合には特にエステル型であり、4-アミノ基の場合にはアミド型である。
【0026】
明らかに、本発明のゲムシタビン誘導体は、2つの誘導体化、あるいは3つの誘導体化を含む誘導体であってもよく、これらの誘導体化は同一でも異なっていてもよい。
【0027】
本発明のある特定の態様においては、本発明の誘導体は、4-アミノ基に炭化水素を有する少なくとも1つのアシル炭化水素誘導体を有する。その場合、それは、R1基を指す。
【0028】
より特に、本発明のゲムシタビン誘導体は、下記一般式(IA)を有する。
【0029】
【化2】

(上記式中、R2およびR3は上記において定義している通りであり、R’1はスクアレノイル基またはその誘導体を表す。)
【0030】
本発明の文脈内において、用語「スクアレノイル(squalenoyl)誘導体」は、1つまたは複数の置換基の存在はスクアレノイル基の本来の立体配座にいかなる著しい影響も及ぼさないという条件で、スクアレノイル基の置換誘導体を包含することを意図している。換言すると、スクアレノイル基は、ある濃度から始めて、極性溶媒の存在下にもっていった場合にこの基がコンパクト化される能力、または表面張力の著しい減少もしくは表面張力の急速な低下をもたらす能力を保持しなければならない。この現象は、図1および2中に図示されている。
【0031】
より詳細には、その場合、R2およびR3は水素原子を表すことができる。
【0032】
より詳細には、本発明は、4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン誘導体(SQgem)に関する。
【0033】
驚くべきことに、本発明者らは、炭化水素基としてスクアレノイル基を含む本発明の誘導体が、スクアレンと極めて類似して、溶媒の極性に特に敏感であることが示されていることを見出した。さらに、本発明者らは、前記ゲムシタビン誘導体を例えば水などの極性溶媒の存在下にもっていくと、ナノメートルスケールの粒子の自発的形成をもたらし、したがって静脈内投与に有利に適合可能であることを見出した。
【0034】
本発明のゲムシタビン誘導体ナノ粒子は、従来のナノ析出技術、例えば、Fessi H. et al., Int. J. Pharm., 55; 1989, R1〜R4により記述されているもの、を使用して得ることができる。
【0035】
より明確には、本発明のナノ粒子は、本発明に従う誘導体をアセトンおよび/またはエタノールなどの有機溶媒中に溶解することにより得られる。得られた混合物を、撹拌しながら水性相に添加すると、界面活性剤(1種以上)の存在下または不存在下で、予期したナノ粒子の瞬間的形成をもたらす。
【0036】
有利なことには、この方法は、本発明のナノ粒子を得るために、界面活性剤(1種以上)の必須の存在を要しない。この性質は、かなり多くのものが生体内適用に不適合であるため、特に有利である。
【0037】
しかし、一般に有利に毒性を無くした界面活性剤の使用は、本発明において考えてもよい。その種の界面活性剤により、ナノ粒子を生成させるときに、さらにより小さい粒径のものを得ることをもたらしうる。
【0038】
本発明において使用できるこの種の界面活性剤の非限定的な例示として、次のものを挙げることができる:ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリエチレングリコールのリン脂質誘導体および親油性誘導体。挙げることができるポリエチレングリコールの親油性誘導体は、例えば、ポリエチレングリコールコレステロールである。
【0039】
特に挙げることができるブロックポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーの例は、BASF社により販売されているPoloxamers(登録商標)、Pluronics(登録商標)、またはSynperonics(登録商標)として知られている、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレントリブロックコポリマーである。Poloxamines(登録商標)は、これらのコポリマーの範疇に密接に関連しており、疎水性部分(ポリオキシプロピレンに基づく)、親水性部分(ポリオキシエチレンに基づく)、およびエチレンジアミンモチーフに由来する中心部分によって構成され、これを用いてもよい。
【0040】
コロイド状粒子懸濁液はそのまま保存でき、または蒸発させて本発明のナノ粒子を濃縮してもよい。
【0041】
一般に、得られるナノ粒子の平均径は、Coulter(登録商標)N4MDナノサイザー(Coulter Electronics社、Hialeah、米国)を使用した光散乱によって測定して、30から500 nm、特には50から250 nm、特に70から200 nm、あるいは100から175 nmである。
【0042】
ナノ粒子の形成をもたらす本発明の誘導体のこの能力は、水性媒質中でのこれらの誘導体の特定の挙動の結果である可能性が最も大きい。下記の実施例から明らかになるように、4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン誘導体は、水性媒質中において、ゲムシタビン、または4-(N)-ステアロイルゲムシタビン誘導体と非常に異なったふるまいをすることが判明している。本発明の誘導体だけが、水の表面張力を著しく減少させることができる。
【0043】
本発明者らは、ナノ析出のため使用するゲムシタビン誘導体の量によって、前記粒子の粒径を制御することが可能であることも見出している。下記の実施例2に見られるように、4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンの濃度を増加させると一般に粒径の増加をもたらし、またその逆もなりたつ。さらに、また上記のように、この粒径は、界面活性剤の存在下でナノ粒子の形成を行うことによっても制御できる。
【0044】
本発明の誘導体はまた、ゲムシタビンよりも遥かに大きな抗腫瘍活性を付与されてもいる。すなわち、下記に示した結果は、4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンのナノ粒子は、ゲムシタビン分子よりも5から7倍大きい毒性であるという結果であることを明らかに示している。
【0045】
したがって、上に示したように、本発明の化合物はいくつかの理由で有利である。第1に、4-アミノ位におけるゲムシタビンの官能化は、ひとたび静脈内投与したゲムシタビンの血漿内半減期が短縮される元来の原因であるデオキシシチジンデアミナーゼの作用から、アミン官能基を有効に保護する。
【0046】
しかし、前記保護が、細胞酵素の作用によってin vivoで増加し、ゲムシタビンの放出をもたらす可能性もある。
【0047】
さらに、ゲムシタビンを、本発明に従う炭化水素誘導体と、また特にスクアレン酸と共役させることは、ゲムシタビン分子に、非経口投与および特に静脈内投与に適合可能であることが判明している粒径を有する粒子をナノ析出によって形成する能力を付与するために十分な物理化学的特性を与える。
【0048】
本発明の誘導体はまた、全ての従来経路によって投与することもできる。しかし、上に示したように、前記組成物は、それらが非経口投与のためのナノ微粒子の形態である場合に特に有利である。
【0049】
したがって、さらなる態様において、本発明は、活性物質として少なくとも本発明の化合物、特にナノ粒子の形態にある本発明の化合物、を含む組成物に関する。本発明の誘導体は、少なくとも1種の医薬として許容可能なビヒクルと組み合せてもよい。
【0050】
挙げることができる、本発明の組成物に適合可能である医薬製剤の例は:
・ 静脈内注射液または灌流液;
・ 食塩水または精製水;
・ 吸入用組成物;
・ 眼投与用組成物;
・ カプセル剤、糖衣剤、および貼剤であり、特にビヒクルとして、水、リン酸カルシウム、糖(例えば、ラクトース、デキストロースまたはマンニトール)、タルク、ステアリン酸、デンプン、重炭酸ナトリウム、および/またはゼラチンを組み込んでいるもの
である。
【0051】
水性溶液中の分散物として本化合物を使用する場合、本化合物は金属イオン封鎖剤またはキレート化剤、酸化防止剤、pH調節剤、および/または緩衝剤型の賦形剤と組み合せることができる。
【0052】
本発明のナノ粒子は、明らかに、例えばヒドロキシル官能基またはアミンなどの、多重の反応性表面官能基を有することができる。したがって、前記官能基へのあらゆる種類の分子の結合、特に共有結合によるものを考えることができる。
【0053】
本ナノ粒子と結合させることができるこの型の分子の非限定的な例示として、マーカー型分子、スクリーニング機能を確保することができる化合物、ならびにナノ粒子に特定の薬物動力学的特性を付与することができる任意の化合物を挙げることができる。したがって、この後者の態様に関して、ポリエチレングリコールコレステロール、またはポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミンなどのポリエチレングリコールの親油性誘導体を前記ナノ粒子の表面に結合させることを考えることができる。そのような化合物に基づく表面被覆は、肝臓マクロファージによるナノ粒子の捕捉を著しく減少させるため、血管残留分極の増加を付与する点に関して有利である。
【0054】
上記において定義した付加分子との、本発明の化合物および/または対応するナノ粒子の非共有結合的な結合を考えることも可能である。前記結合は、例えば、本発明の化合物とこれらの他の分子との間の親和力による吸着現象を生じさせてもよい。
【0055】
実施例4において例示するように、コレステロールと共役形態にあるポリエチレングリコールは、本発明の分子と結合されうる。コレステロールに対するスクアレンの本来の親和力のため、ポリエチレングリコールコレステロール共役物は、活性なスクアレン-ゲムシタビン共役物と結合し、したがってその表面がポリエチレングリコールで被覆されたナノ粒子の形成をもたらす。さらに、また上述のように、ポリエチレングリコールコレステロール共役物は、スクアレン-ゲムシタビンナノ粒子を形成する過程において、その両親媒性挙動のため界面活性剤のように作用し、したがってコロイド溶液を安定化し、それによって形成されるナノ粒子の粒径を小さくする点が有利である。
【0056】
上記に挙げた化合物のほかに、本発明の医薬組成物は、保存剤、湿潤剤、可溶化剤、着色剤、および芳香剤型の薬剤を含有できる。
【0057】
明らかに、使用できる本発明の誘導体の量は、特に抗ガン目的のために、使用方式および投与方式に応じて著しく変動しうる。
【0058】
一例として、成人患者向けを意図した全身治療のために、1日当り約0.1から150mg/体重kg、より特に、1日当り1から40mg/体重kgの用量での本発明の誘導体の投与を考えることができる。
【0059】
その一方、局所投与については、考慮中の医薬製剤の全重量に対して0.1重量%〜40重量%あるいはそれ以上の量で、少なくとも1種の本発明の誘導体を配合することができる。
【0060】
少なくとも1種の本発明の誘導体を、考慮中の症状に関してやはり有益でありうる少なくとも1種の他の活性物質と共に同時投与することも可能である。
【0061】
挙げることができる、本発明の誘導体と併用できる前記活性物質の例は、他の抗ガンまたは細胞増殖抑制性高分子もしくは分子(例えば白金塩、アントラサイクリン、有糸分裂紡錘体毒物、トポイソメラーゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、またはメタロプロテアーゼ阻害剤)、副腎皮質ホルモン(例えばデキサメタゾン)または非副腎皮質ホルモン抗炎症剤、あるいは免疫アジュバント活性を有する分子(例えば抗ガン活性を有する抗体)である。ある種の化学療法で使用されている発熱療法との組合せを考えることができる。本発明の誘導体は、ガンの治療について手術、および/または放射線療法と組み合せてもよい。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、スクアレン酸、またはその誘導体の1つの使用であって、ナノ粒子として、100Da以上、詳細には150Daを超える、より詳細には200Daを超える分子量を、また特にヌクレオシドまたは同種のものを有する、極性の性質をもつ活性成分を製剤化するための使用に関する。本発明者らは、スクアレン誘導体と共有結合で結合している抗ウイルス性ヌクレオシドが、ナノ粒子を形成することができることを立証している。この側面は、実施例6、7、および8においてより詳細に例示されている。
【0063】
本発明に従って製剤化できる抗ウイルス性ヌクレオシドまたはその構造的類似体の非限定的な例示として、次のものを挙げることができる:ジダノシン(didanosine)、ジドブジン(zidovidine)およびアシクロビル、ならびにまたザルシタビン、ガンシクロビル、バラシクロビル、ラスタブジン(lastavudine)、ラミブジン、アバカビル、フェムトリシタビン(femtricitabine)、ファムドキソビル(famdoxovir)、dOTCまたはシドフォビル(sidophovir)。
【0064】
下記の非限定的実施例および図は、本発明の分野を例示している。
【実施例】
【0065】
〔実施例1:4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン(SQgem)の調製〕
a)スクアレン酸(SQCOOH)の合成
11mlの蒸留水に1.16mlの硫酸を添加し;次に0.615g(2.06ミリモル)のNa2Cr2O7.2H2Oを注意深く添加して、クロム酸が得られた。0.794g(2.06ミリモル)のスクアレンアルデヒド(SQCHO)(Ceruti M. et al, J. Chem. Soc, Perkin Trans, 1; 2002,1477〜1486)を、磁気撹拌機を使用して撹拌しながら16mlのジエチルエーテルに溶解し、次いでフラスコを0℃に冷却した。次に、このSQCHO溶液にクロム酸を1滴ずつ添加した。この反応液を、0℃で2時間磁気攪拌機により撹拌した。粗生成物を、有機相を水で洗浄することにより、次いでシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、石油エーテル/エーテル95:5で溶離して精製した。収率:35%(0.286g、0.714ミリモル)。
1H NMR (CD3COCH3 99.5% 300MHz) δ:5.11 (5H, m, CH ビニル)、2.38 (2H, t, CH2CH2COOH)、2.26 (2H, t, CH2CH2COOH)、2.13〜1.86 (16H, m, CH2 アリル)、1.65〜1.59 (15H, m, CH3 アリル)、1.26 (3H, s, CH3 アリル)。
CIMS (イソブタン) m/z 401 (100)。
EIMS m/z 400 (5)、357 (3)、331 (5)、289 (3)、208 (6)、136 (3)、81 (100)。
【0066】
b)4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンの合成
1mlの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解した、a)で得られた0.209g(0.522ミリモル)のSQCOOHを、流量計を備えた三ツ口フラスコに入れ、次いで、磁気攪拌機で撹拌しかつアルゴンを流しながら、0.5mlの無水THFに溶解した0.053g(0.522ミリモル)のトリエチルアミン(TEA)を添加した。次いでフラスコを-15℃まで冷却した。この反応混合物に、2.15mlの無水THFに溶解した0.057g(0.522ミリモル)のエチルクロロホルメートを1滴ずつ添加した。-15℃において20分後、2.72mlのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した0.137g(0.522ミリモル)のゲムシタビンを添加し、+5℃まで温度を上昇させ、さらに最後に室温まで温度を上昇させた。反応を薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン/アセトン、50:50)によりモニターして、アミドが生成するまで磁気撹拌を数日継続した。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン/アセトン95:5混合物で溶離して精製した。収率:55%(0.185g、0.287ミリモル)。
1H NMR (ピリジン-d5 99.5% 300MHz) δ:12.05 (1H,s,NHCO)、8.77 (1H,d,CH-6)、7.74 (1H,d,CH-5)、6.99 (1H,t,CH-1’)、5.30〜5.02 (1H,m,CH-3’および5H,m,CH ビニル)、4.47〜4.31 (3H,m,CH-4’およびCH2-5’)、2.81 (2H,t,NHCOCH2)、2.53 (2H,t,NHCOCH2CH2)、2.18〜2.00 (16H,m,CH2 アリル)、1.68〜1.55 (18H,m,CH3 アリル)。
CIMS (イソブタン) m/z 646 (100)。
EIMS m/z 645 (10)、577 (8)、523 (7)、509 (18)、494 (10)、454 (15)、429 (24)、372 (100)。
【0067】
c)4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンにより構成されるナノ粒子の調製
Fessi H. et al., Int. J. Pharm., 55; 1989, R1〜R4に記載されたナノ析出技術を使用して、SQgemにより構成される粒子が得られた。エタノール中のSQgem10mg/ml溶液の試料を取り出し、所望の濃度までアセトンに添加して、合計2mlの有機相が得られた。次いで、エタノール/アセトン混合物中のこのSQgem溶液を、磁気撹拌しながら4mlのMilliQ(登録商標)水に添加した。瞬間的に粒子が生成した。真空下で有機溶媒を蒸発除去した後、SQgemの安定粒子の懸濁液が得られた。この懸濁液は、+4℃で保存しなければならなかった。
【0068】
〔実施例2:粒子の物理-化学的特性〕
a)ナノ粒子の粒径の測定
実施例1において得られたコロイド粒子の粒径を、ナノサイザー(Coulter(登録商標)N4MD、Coulter Electronics社、Hialeah、米国)を使用して準弾性光散乱によりモニタした。
【0069】
コロイド状懸濁液を、1ml当りの粒子数が測定装置に適するようにMilliQ(登録商標)水中に希釈した。
【0070】
ナノ粒子径は100から200nmの範囲内にあった。実施例1において記述したナノ析出方法で用いたSQgemの、種々の濃度についてナノ粒子径をモニタした。得られた結果を、以下の表Iに示している。
【0071】
【表1】

【0072】
b)4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン溶液の表面張力の測定、および安定性の検討
Wilhemyブレード型張力計を使用して、種々の濃度で一定表面積におけるSQgem水溶液の表面張力を測定し、ゲムシタビン(Gem)、および4-(N)-ステアロイルゲムシタビン(C18gem)(Myhren F et al, Gemcitabine derivatives, 米国特許第2002/0042391号)の溶液の表面張力と比較した。
【0073】
SQgemおよびC18gemの種々の希釈液を調製するため、エタノール溶液から出発することが必要であった;最終溶液中のエタノールの割合は10%であった(エタノールの存在により、水の表面張力は72mN/mから約50mN/mまで低下する)。結果を図1に示している。
【0074】
SQgemでは、ナノ粒子の生成に正確に対応する濃度である4×10-6Mにおいて、表面張力を低下させることに注目されたい。
【0075】
SQgem粒子懸濁液の種々の希釈液の、一定面積における表面張力を測定することにより、希釈に対するSQgen粒子の安定性も評価した。それを図2に図示している。
【0076】
〔実施例3:4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン粒子の抗腫瘍活性の測定〕
2つのヒト腫瘍細胞株(KB3-1、鼻咽頭の癌、およびMCF-7、乳癌)についてのSQgemの細胞毒性活性を、SQgemに72時間曝露することにより評価し、ゲムシタビンの活性と比較した。
【0077】
上記細胞株を、37℃、CO2 5%、湿度95%で、ウシ胎児血清10%、グルタミン2mM、抗生物質50mg/lを含むDMEM培地中に維持した。細胞は、1×104/ウェルの量で96ウェルプレート上に接種した;24時間後、ゲムシタビンおよびSQgem粒子の種々の希釈液を添加し、72時間インキュベートした。次にMTTテストにより細胞生存能力を測定した。その結果を、その濃度で細胞の50%が生存している分子の濃度であるCI50として表している。
【0078】
得られた結果を、以下の表IIに示している。それらの結果は、SQgem粒子は、ゲムシタビン分子よりも5から7倍細胞毒性が高いことを明らかに示している。
【0079】
【表2】

【0080】
インサート(0.02μm)有り及び無しにおける2つの細胞株上の100μMのSQgemナノ粒子をインキュベートすることにより、異なった時間におけるSQgemの細胞毒性活性も測定した(MTTテスト)(n=3)。
【0081】
得られた結果を、図3に示している。インサート無しにおける細胞毒性試験に関して、SQgemの抗癌活性が低下しなかった点に注目されたい。
【0082】
〔実施例4:PEG化4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンナノ粒子の調製〕
4-(N)-スクアレノイルゲムシタビン2mgと、ポリエチレングリコールにカップリングしたコレステロール(Chol-PEG PEGYLATED CHOLESTEROL、SUNBRIGHT CS-20) 1.4mgとを、1mlのアセトン中に溶解した。磁気撹拌しながら、この有機相を2mlのMillQ(登録商標)水に添加した。真空下でアセトンを蒸発除去した後、ナノ粒子の安定懸濁液が得られた。ナノ粒子の粒径は、実施例2に記載したプロトコルを使用して測定して、約75nmであり、ゼータ電位は-32.7mVであった。
【0083】
〔実施例5:4-(N)-スクアレノイルシタラビン(SQara-C)により構成されるナノ粒子の調製〕
4-(N)-スクアレノイルゲムシタビンについて実施例1に記載した手順を使用して、シタラビンとの反応によりスクアレン酸から4-(N)-スクアレノイルシタラビンを合成した。SQgem粒子について記述したように、ナノ析出技術によって、SQara-Cにより構成される粒子が得られ、最終懸濁液中のSQara-Cの濃度1mg/mlについてその平均流体力学的直径は、110.4±34.1nmであった(多分散性指数:0.168)。
【0084】
〔実施例6:5’-スクアレノイル-ジダノシン:5-(6-オキソ-1,6-ジヒドロ-プリン-9-イル)-テトラヒドロ-フラン-2-イル-メチル(2S,5R)-4,8,13,17,21-ペンタメチル-ドコサ-4,8,12,16,20-ペンタエノエート、のナノ粒子の合成〕
28mgのN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.18ミリモル)、36mgのジダノシン(ddI、0.15ミリモル)、70mgのO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボレート(0.18ミリモル)、および最後に62mgのジイソプロピルエチルアミン(0.5ミリモル)を、無水ジメチルホルムアミド(1.2ml)中の31mgの(4,8,13,17,21-ペンタメチル-ドコサ-4,8,12,16,20-ペンタエン酸(SqCOOH、0.15ミリモル)の溶液に添加した。この混合物を、窒素雰囲気中において20℃で84時間撹拌し、次いで減圧(0.05torr)下で濃縮した。その残渣を、5mlの重炭酸ナトリウムの飽和水溶液中に溶解し、酢酸エチルで抽出した(3×10ml)。有機相をNaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、かつ真空下で濃縮した。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて(CH2Cl2/MeOH:92/8)、無色の非晶質固体の形態で37mgの5’-スクアレノイルジダノシンを得た(収率58%)。
IR (cm-1) 3550〜2700、2921、2856、1734、1691、1590、1548、1449、1380、1261。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ:13.0 (s broad, 1H)、8.18 (s, IH)、8.08 (s, IH)、6.38 (t, J = 4.2Hz, 1H)、5.17〜5.00 (m, 5H)、4.40〜4.20 (m, 3H)、2.60〜1.90 (m, 24H)、1.67 (s, 3H)、1.60 (s broad, 15H)。
13C NMR (50MHz, CDCl3) δ:173.27 (CO2)、159.20 (CO)、148.34 (C)、144.3 (CH) 138.60 (CH)、135.23 (C)、135.03 (C)、135.00 (C)、133.09 (C)、131.31 (C)、125.56 (CH)、125.38 (C)、125.54 (CH)、124.53 (CH)、124.40 (2 CH)、85.94 (CH)、79.60 (CH)、65.07 (CH2)、39.86 (CH2)、39.83 (CH2)、39.68 (CH2)、34.67 (CH2)、33.12 (CH2)、33.01 (CH2)、28.39 (CH2)、28.38 (CH2)、29.9 (CH2)、26.83 (CH2)、26.79 (CH2)、26.28 (CH2)、25.77 (CH3)、17.77 (CH3)、16.51 (2 CH3)、16.10 (CH3)、16.00 (CH3)。
【0085】
カップリング剤としてEDCIを使用し、収率10%で同一化合物を得ることができたが、一方スクアロイル酸塩化物とddIとの間の縮合は収率15%でその化合物をもたらした。
【0086】
実施例2に記載したプロトコルを使用して粒子径を測定した。流体力学的直径平均値は152nmであり、標準偏差34.4nm、および多分散性指数0.1と共に測定された。
【0087】
〔実施例7:5’-スクアレノイル-ジドブジン:3-アジド-5-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル)-テトラヒドロ-フラン-2-イル-メチル(2S,3S,5R)-4,8,13,17,21-ペンタメチル-ドコサ-4,8,12,16,20-ペンタノエート、のナノ粒子の合成〕
45mgのN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.29ミリモル)、79mgのジドブジン(AZT、0.24ミリモル)、113mgのO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロボレート(0.29ミリモル)、および最後に102mgのジイソプロピルエチルアミン(0.5ミリモル)を、無水ジメチルホルムアミド(2ml)中の50mgの4,8,13,17,21-ペンタメチル-ドコサ-4,8,12,16,20-ペンタエン酸(SqCOOH、0.15ミリモル)の溶液に添加した。この混合物を、窒素雰囲気中において20℃で90時間撹拌し、次に減圧下(0.05Torr)で濃縮した。残渣を、10mlの重炭酸ナトリウムの飽和水溶液中に溶解し、酢酸エチルで抽出した(3×15ml)。有機相をNaCl水溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけ(CH2Cl2/MeOH:97/3)、無色の非晶質固体の形態で52mgの5’-スクアレノイルジドブジンを得た(収率43%)。
IR (cm-1) 3158、2920、2854、2105、1741、1690、1449、1381、1270。
1H NMR (200MHz, CDCl3) δ:8.2 (s broad, 1H)、7.22 (s, 1H)、6.12 (t, J = 6.4Hz, 1H)、5.17〜5.00 (m, 5H)、4.40 (dd, J = 12.2Hz, 4.6Hz, 1H)、4.30 (dd, 12.2Hz, 3.8Hz, 1H)、4.10〜4.05 (m, 1H)、2.55〜2.20 (m, 5H)、2.10〜1.90 (m, 18H)、1.94 (s, 3H)、1.69 (s, 3H)、1.60 (s broad,15H)。
13C NMR (50MHz, CDCl3) δ:172.87 (CO2)、163.57 (CO)、150.12 (CO)、135.31 (C)、135.27 (CH)、135.04 (C)、134.91 (C)、132.86 (C)、131.35 (C)、125.79 (CH)、124.67 (CH)、124.56 (CH)、124.40 (CH)、124.37 (CH)、111.43 (C)、85.64 (CH)、82.00 (CH)、63.36 (CH2)、60.81 (CH)、39.88 (CH2)、39.85 (CH2)、39.68 (CH2)、37.75 (CH2)、34.62 (CH2)、33.18 (CH2)、29.81 (CH2)、28.41 (CH2)、28.39 (CH2)、26.91 (CH2)、26.82 (CH2)、26.81 (CH2)、25.80 (CH3)、17.79 (CH3)、16.17 (2 CH3)、16.16 (CH3)、16.12 (CH3)、16.05 (CH3)、12.73 (CH3)。
【0088】
実施例2に記載したプロトコルを使用して、粒子径を測定した。流体力学的直径平均値は150から170nmであった。
【0089】
〔実施例8:4-(N)-スクアレノイルアシクロビル(SQACV)により構成されるナノ粒子の調製〕
4-(N)-スクアレノイルアシクロビルを、アシクロビルとの反応によりスクアレン酸から合成した。使用した上記手順で、スクアレン鎖とアシクロビルの間にエステル結合またはアミド結合のいずれかを得ることが可能であった。SQACVにより構成される粒子は、SQgemの粒子について記述したナノ析出技術を使用して得られ、最終懸濁液中のSQACVの濃度1mg/mlについてその平均流体力学的直径は、217.5 + 37.9nmであった(多分散性指数:0.038)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性の性質を有し且つ100Daを超える分子量を有する少なくとも1種の活性成分を、ナノ粒子の形態に製剤化するための、スクアレン酸またはその誘導体の使用。
【請求項2】
前記スクアレン酸の少なくとも1分子を、前記活性成分の少なくとも1分子と共有結合でカップリングさせることを含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記活性成分が、少なくとも1種のヌクレオシドまたはその類似体であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記ヌクレオシドが、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン誘導体であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記ヌクレオシドが、ゲムシタビン、シタラビン、ジダノシン(didanoside)、およびジドブジン、アシクロビル、ザルシタビン、ガンシクロビル、ならびにバラシクロビルから選択されることを特徴とする、請求項3または4に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−102107(P2012−102107A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267891(P2011−267891)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2007−518660(P2007−518660)の分割
【原出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)
【出願人】(507002273)ウニヴェルシテ・パリ−シュド (2)
【出願人】(507002147)
【出願人】(507002262)
【出願人】(507002332)
【Fターム(参考)】