説明

ゲルダナマイシン化合物及び使用方法

下記式(I)


(式中、Q1、L、L1、R5、R6及びR11は、本出願で定義するとおり)の構造を有するゲルダナマイシン化合物は、細胞外熱ショックタンパク質-90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は、ゲルダナマイシン化合物及びその製法と使用、特に細胞外熱ショックタンパク質90を阻害する使用に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
ゲルダナマイシンは天然産物のアンサマイシンファミリーに属し、アンサマイシンファミリーのメンバーは、2つのメタ位で連結して大環状ラクタムを形成しているベンゾイド核(典型的にはベンゾキノン又はヒドロキノン核)によって特徴づけられる。ゲルダナマイシンの他に、アンサマイシンとしてマクベシン、ハービマイシン、TAN-420、レブラスタチン(reblastatin)が挙げられる。
【0003】
【化1】

【0004】
ゲルダナマイシン及びその誘導体は最も広範に研究されているアンサマイシンである。ゲルダナマイシンは元は抗菌活性のスクリーニングの結果として同定されたが、現在のゲルダナマイシンの関心は、主にその腫瘍細胞に対する細胞毒性、ひいてはその抗癌薬としての可能性に基づく。ゲルダナマイシンは熱ショックタンパク質-90(“Hsp90”)、すなわち信号伝達、細胞周期制御及び転写調節に関与する重要なタンパク質を含む広範なタンパク質(“クライエントタンパク質”)のフォールディング、活性化及び構築に関与するシャペロンタンパク質のインヒビターである。(Hsp90はいくつかのイソ型で存在し、α-イソ型が最も一般的なイソ型である。Hsp90のイソ型に関するレビューには、Sreedhar et al., FEBS Letters 562 (1-3), 11-15 (2004)を参照されたい。本出願では、特有のイソ型を参照することを意図する場合は、“Hsp90α”又は“Hsp90β”のような略語を用い、“Hsp90”は一般的にHsp90を表すために確保しておく。)ゲルダナマイシンがHsp90に結合すると、Hsp90-クライエントタンパク質相互作用を妨害し、クライエントタンパク質が正確にフォールディングすることを妨げて、クライエントタンパク質がプロテアソーム-媒介破壊しやくする。Hsp90クライエントタンパク質の多くは癌に関係する突然変異又は過剰発現したタンパク質である:p53、Bcr-Ablキナーゼ、Raf-1キナーゼ、Aktキナーゼ、Npm-Alkキナーゼp185ErB2膜貫通キナーゼ、Cdk4、Cdk6、Wee1(細胞周期依存性キナーゼ)、HER2/Neu(ErbB2)、及び低酸素誘導因子-1α(HIF-1α)。しかし、ゲルダナマイシンの肝毒性と不十分なバイオアべイラビリティが臨床候補としてそれを中止する原因になった。
【0005】
それにもかかわらず、より良い全体的な多種多様の特性があるために、ゲルダナマイシン様の生物活性を有するゲルダナマイシン誘導体又は類似体(総称して“ゲルダナマイシン化合物”)の開発の関心は持続している。ゲルダナマイシンの位置17は魅力的な焦点、化学的に言うと、ゲルダナマイシン化合物の合成のための焦点を有する。そのメトキシ基が求核試薬で容易に置き換えられて17-置換-17-デメトキシゲルダナマイシン化合物への好都合なエントリーを与えるからである。さらに、構造-活性関係(SAR)研究は、Hsp90と結合する能力を破壊することなく構造的及び立体的に多様な17-置換基を導入できることを示した。17-置換ゲルダナマイシン化合物に関する典型的開示については、Sasaki et al., US 4,261,989 (1981); Schnur et al., US 5,932,566 (1999); Schnur et al., J. Med. Chem., 38, 3806-3812 (1995); Schnur et al., J. Med. Chem., 38, 3813-3820 (1995); Ho et al., WO 00/03737 A2 (2000); Santi et al., US 2003/0114450 A1 (2003); Zhang et al., WO 03/066005 A2 (2003);及びClevenger et al., J. Org. Chem. 69, 4375-4380 (2004)を参照されたい(これら開示は、参照によって本明細書に取り込まれる)。SAR推論は、Hsp90とゲルダナマイシン誘導体との複合体(17-DMAG、下記参照)のX線結晶共構造(17-置換基が結合ポケットから溶媒中に突出していることを示す)によって支持される(Jez et al., Chemistry & Biology, 10, 361-368 (2003))。
最もよく知られている17置換ゲルダナマイシンは17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(“17-AAG”)であり、現在臨床試験中である。別の注目すべき17-置換ゲルダナマイシンは、17-(2-ジメチルアミノエチル)アミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(“17-DMAG”)であり、やはり臨床試験中である(Snader et al., WO 02/079167 A1 (2002)、参照によって取り込まれる)。ゲルダナマイシンと同様、17-AAGと17-DMAGは共にその細胞毒性のため慎重に投与しなければならない。
【0006】
【化2】

【0007】
Hsp90の機能に関する多くの研究は、細胞内部でのその活性に焦点を合わせているが、通常は癌細胞と関連して細胞外に存在するHsp90に関するいくつかの報告がある。Eustace et al., Nature Cell Biology, 6 (6), 507-514 (2004, web-published 16 May 2004) (“Eustace et al.”)は、Hsp90αが癌細胞浸潤において必須の細胞外役割を果たすことを報告した。彼らは、線維肉腫及び乳癌細胞がHsp90αを細胞外で発現し、そこでHsp90αがマトリックスメタロプロテイナーゼ-2(“MMP-2”)と相互作用すること、及びゲルダナマイシンによる細胞外Hsp90αの阻害がMMP-2活性と癌細胞浸潤を共に低減することを見出した。彼らの仮説は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(“MMPs”)が細胞外マトリックスの分解の原因であり、それによって癌細胞の浸潤作用を促すこと、またHsp90αがMMPsの活性化においてシャペロンタンパク質の役割を果たすことである。細胞外Hsp90の他の報告されている出来事として以下の文献が挙げられる:Hegmans et al., Am. J. Pathol., 164 (5), 1807-15 (2004); Xu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 96, 109-114 1999); Xu et al., Proc. Natl. Acad. Sci (USA), 90 7074-7078 (1993); Ferrarini et al., Int. J. Cancer, 1992, 613-619; and Pratt, J. Biol. Chem., 268 (29), 21455-21458 (1993)。
【0008】
ゲルダナマイシン、17-AAG、及び17-DMAGのようなHsp90インヒビターを細胞外Hsp90を標的とする療法で使用することの欠点はその細胞毒性であり、同時に治療指標を低下させる。しかし、標的が細胞外Hsp90である療法では、理論的には、細胞膜を横断しないで細胞に入るHsp90インヒビターを使用できる。該化合物がまだ細胞外Hsp90に結合してそれをを阻害できれば、その細胞不浸透性が低い細胞毒性と高い治療指標をもたらすだろう。
【0009】
〔発明の簡単な概要〕
一局面では、この発明は、細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害を治療する方法であって、該疾患又は障害で苦しんでいる被験者に、細胞外Hsp90の機能を阻害するために十分な量で、1,000nM以上というSkBr3細胞に対するIC50と、2μM以下というHsp90αへの結合のKdを有する化合物を投与することを含む方法を提供する。
別の局面では、この発明は細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害を治療する方法であって、該疾患又は障害で苦しんでいる被験者に、細胞外Hsp90の機能を阻害するために十分な量で、下記式(I)の構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形を投与することを含む方法を提供する。
【0010】
【化3】

【0011】
式中、
1は、三級アミンN-オキシド基、四級窒素基、スルホン酸基、ホスホン酸基、双性イオン基、カルボン酸基、グリコシド基、又はビオチニル基であり;
Lは、2〜12個の原子でQ1とNH基を隔てるリンカー成分であり(但し、Q1がグリコシド基の場合、Lが無くてもよい);
1はHであり、又はL及びそれらが共通に結合している窒素と共に3、4、5、6、又は7員窒素含有ヘテロ環式環構造を形成し;
5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。
【0012】
この発明の別の局面では、下記式(II)の構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形が提供される。
【化4】

【0013】
式中、
1は、三級アミンN-オキシド基であり;かつ
2は、2〜12個の原子でQ2とNH基を隔てるリンカー成分であり;かつ
1、R5、R6、及びR11は上記定義どおりである。
【0014】
この発明の別の局面では、下記式(III)の構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形が提供される。
【化5】

【0015】
式中、
3は、下記式から成る群より選択され;
【化6】

【0016】
1は、C1-C5アルキル、C1-C5アルケニル、C1-C5アルキニル、CH2CN、又はCH2CONH2であり;
5、R6、及びR11は上記定義どおりであり;かつ

は医薬的に許容しうる対イオンである。
本発明の別の局面では、下記式IVの構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形が提供される。
【化7】

【0017】
式中、
4は、下記式から成る群より選択され;
【化8】

【0018】
かつR5、R6、及びR11は上記定義どおりである。
この発明の別の局面では、下記式Vの構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形が提供される。
【化9】

【0019】
式中、
5は、下記式から成る群より選択され;
【化10】

【0020】
かつR5、R6、及びR11は上記定義どおりである。
この発明の別の局面では、下記式(VI)の構造を有する化合物、及びその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、及びプロドラッグ形が提供される。
【化11】

【0021】
式中、
6は、下記式から成る群より選択され;
【化12】

かつR5、R6、及びR11は上記定義どおりである。
【0022】
本発明の別の局面では、化合物のライブラリーから、細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害の治療で使うための候補化合物を同定する方法であって、以下の工程:
(a)前記ライブラリー中の化合物のSkBr3細胞に対するIC50を決定する工程;
(b)前記ライブラリー中の化合物のHsp90αへの結合の解離定数Kdを決定する工程;及び
(c)1,000nM以上のIC50と2μM以下のKdを有する、前記ライブラリー中の当該化合物を候補化合物として選択する工程。
本発明の別の局面では、この発明の化合物と賦形剤を含む医薬製剤が提供される。
本発明の実施態様の局面では、細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害の治療用薬物の調製のための本発明の化合物の使用が提供される。
【0023】
〔発明の詳細な説明〕
〔定義〕
“アルキル”は、任意に置換されていてもよい直鎖若しくは分岐鎖炭化水素成分を意味し、該鎖中に指定数の炭素原子を有し(例えば、“C1-C8アルキル”のように)、或いは炭素原子数が指定されていない場合、該鎖中に5個までの炭素原子を有する。
“アルケニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、任意に置換されていてもよい直鎖若しくは分岐鎖炭化水素成分を意味し、該鎖中に指定数の炭素原子を有し(例えば、“C2-C8アルケニル”のように)、或いは炭素原子数が指定されていない場合、該鎖中に5個までの炭素原子を有する。
“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、任意に置換されていてもよい直鎖若しくは分岐鎖炭化水素成分を意味し、該鎖中に指定数の炭素原子を有し(例えば、“C2-C8アルキニル”のように)、或いは炭素原子数が指定されていない場合、該鎖中に5個までの炭素原子を有する。
“アルキルアリール”、“アリールアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アルキルヘテロアリール”、“アルキルヘテロ環”等は、ベンジル、フェネチル等におけるように、直接アルキル成分に結合している(可能な場合に)アリール基、ヘテロ環式基、若しくはヘテロアリール基を意味する。
“アリール”は、フェニル、ナフチル、及びビフェニル成分のような単環式又は二環式の芳香族炭化水素環系を意味し、該環部分に6〜12個の炭素原子を有し、それぞれ任意に1以上の位置で置換されていてもよい。
“シクロアルキル”は、任意に置換されていてもよい飽和環式炭化水素環系、好ましくは1〜3個の環を含み、1つの環当たり3〜7個の炭素を有し(別の炭素数が指示されていない場合)、さらに不飽和のC3-C7炭素環式環と縮合しうる。典型的なシクロアルキル環系としてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、及びアダマンチルが挙げられる。
“ハロゲン”又は“ハロ”は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
“ヘテロ環”、“ヘテロ環式”又は“ヘテロシクロ”は、少なくとも1個の炭素原子含有環中に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、任意に置換されていてもよい、完全飽和若しくは不飽和の芳香族又は非芳香族環系、例えば、4〜7員単環式、7〜11員二環式、又は10〜15員三環式環系を意味する。“ヘテロアリール”は、環系がアリールであるヘテロ環を意味する。ヘテロ原子を含有するヘテロ環式基の各環は、N、O及びSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を有し、該N及びSは任意に酸化されていてもよく、該Nは任意に四級化されていてもよい。
典型的な単環式ヘテロ環式環系として、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル(thizaolyl)、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル(oxazepinyl)、アゼピニル、4-ピペリドニル、ピリジニル、N-オキソ-ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルフォリニル、チオモルフォリニル、チオモルフォリニルスルホキシド、チオモルフォリニルスルホン、1,3-ジオキソラン及びテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル(thiiranyl)、トリアジニル、及びトリアゾリル等が挙げられる。好ましいヘテロシクロ基として、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チエニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル等が挙げられる。
【0024】
例えば“置換若しくは無置換”又は“任意に置換されていてもよい”という表現を用いて、基が置換されていてもよいことが示されている場合、該基は1個以上の独立的に選択される置換基、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1又は2個の置換基を有しうる。当業者は置換基及び置換パターンを選択して化学的に安定、かつ当分野で公知の技術及び本明細書で述べる方法で合成できる化合物を提供できるものと解釈する。好適な置換基の例として、本明細書で指定するものに加え、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ 四級アンモニウム、アラルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシルアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリールチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アリールオキシ等が挙げられる。置換基は、例えばハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、置換アルキル、置換アラルキル等でさらに置換されていてもよい。好ましくは、アルキル、アルケニル、及びアルキニル成分の置換基は1〜3個であり、独立的にN-ピロリジニル、N-モルフォリニル、N-アゼチジニル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノから選択される。好ましくは、アリール、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキル成分の置換基は1〜3個であり、独立的にアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、ハロ、アルコキシル、シアノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノから選択される。
【0025】
“医薬的に許容しうる塩”は、医薬製剤に適した化合物の塩を意味する。好適な医薬的に許容しうる塩として、例えば、化合物の溶液を医薬的に許容しうる酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、安息香酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、炭酸などの溶液と混合することによって形成されうる酸付加塩が挙げられる。化合物が1個以上の酸性成分を保有する場合、該化合物の溶液を医薬的に許容しうる塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、アルキルアミンなどの溶液で処理して医薬的に許容しうる塩を生成しうる。当業者には、基Q1がカルボン酸、スルホン酸、又はリン酸のような酸性基である化合物の場合、該化合物は多くの場合、その塩、例えばそのナトリウム塩、カリウム塩又はリチウム塩として都合よく提供されることが分かるだろう。
【0026】
本発明は、その範囲内にこの発明のプロドラッグを包含する。該プロドラッグは、一般に、必要な化合物に容易にin vivo変換しうる、該化合物の機能性誘導体である。従って、本発明の治療方法において、用語“投与する”は、具体的に開示した化合物、又は具体的に開示されないが、該化合物が必要な被験者に投与後、その指定化合物にin vivo変換する化合物によって、上記種々の障害を治療することを包含するものとする。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製の通常の手順は、例えばDesign of Prodrugs, Bundgaard, ed., Elsevier, 1985に記載されている。プロドラッグとして、in vivo加水分解して(例えば人体内で)この発明の化合物又はその塩を生成するエステルが挙げられる。好適なエステル群として、限定するものではないが、医薬的に許容しうる脂肪族カルボン酸、特にアルカノン酸、アルケノン酸、シクロアルカノン酸及びアルカン二酸から誘導されるものが挙げられ、各アルキル又はアルケニル成分は、好ましくは最高6個の炭素原子を有する。例示エステルとして、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル、クエン酸エステル、コハク酸エステル、及びエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0027】
特定の立体異性体が具体的に示されていない場合(例えば、構造式中の妥当な立体中心における太線若しくは破線結合によって、又は構造式中にE若しくはZ配置を有するように二重結合を描くことによって、又は立体化学を表す命名法によって)、純粋な化合物のみならずその混合物として、すべての立体異性体が本発明の範囲内に包含される。特に指示しない限り、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体、並びにその組合せ及び混合物がすべて本発明に包含される。多形性の結晶形並びに溶媒和物及び水和物もこの発明の範囲内に包含される。
当業者は、化合物が本明細書で用いる構造式中に描かれている化合物に等価な互変異性形(例えば、ケト形とエノール形)、共鳴形、及び双性イオン形を有すること、及び構造式がこのような互変異性形、共鳴形、又は双性イオン形を包含することを認識している。
“C1〜C5アルキル”又は“5〜10%”のように範囲を規定する場合、該範囲は、その範囲の終点を含む。
【0028】
〔化合物及び方法〕
この発明の化合物及び方法を用いて治療しうる疾患又は障害は、該疾患又は障害で苦しんでいる被験者の細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害である。多くの場合、究極的な分子標的はHsp90自体ではなく、むしろ1種以上のクライエントタンパク質(そのためにHsp90が生物活性に必要なコンホメーションへのそのフォールディングを助ける必須のシャペロン機能を果たす)である。細胞外Hsp90の機能性を阻害すれば、クライエントタンパク質は活性化できず、最終的にプロテアーゼによって破壊される。疾患又は障害は、癌、さらに詳細には、線維肉腫又は乳癌でよい。
癌の浸潤及び転移に関係する特徴は、細胞外マトリックスの分解、それによって腫瘍の成長を促すことである。細胞外MMPは、ほとんどすべてのヒト癌でのMMP発現増加の検出によって証明されるように、分解プロセスに関係があるとされている(Lopez-Ortin et al., Nature Rev. Mol. Cell Biol., 3, 509-519 (2002))。Eustaceらは(前出)、Hsp90αが細胞外MMPの活性化で必須のシャペロンタンパク質の役割を果たすと提唱した。従って、細胞外Hsp90α又は同様の機能を果たす他の細胞外Hsp90の阻害がMMP活性を低減し、ひいては腫瘍浸潤の低減につながりうる。
その機能が阻害される細胞外Hsp90は、細胞によって正常な量で分泌される(しかし、そのクライエントタンパク質は過剰発現される)ものでよい。或いは、細胞外Hsp90がそれ自体過剰発現又は過剰分泌されてもよい。或いは、クライエントタンパク質とHsp90の両者がそれぞれ正常な量で存在するが、治療が求められている疾患又は障害と関連して、Hsp90及び結果としてそのクライエントタンパク質の阻害が望ましい。特定の実施態様では、阻害される細胞外Hsp90がHsp90αである。
【0029】
好ましくは、阻害すべき細胞外Hsp90の存在を検出するために被験者(ヒト又は他の哺乳動物でよい)をスクリーニングする。細胞外発現されるHsp90の検出の方法論はEustaceら(前出、参照によって本明細書に取り込まれる)に開示されている。さらに好ましくは、スクリーニングは、前記疾患又は障害で苦しんでいない被験者の正常な量と比較した、分泌される細胞外Hsp90の量の尺度を与える。
臨床的に、癌腫の大きさ若しくは数の減少及び/又は関連症候の低減といったいくつの手段によって、この発明で治療する疾患又は状態の寛解を明らかにすることができる。病因的に関連する反応は、癌細胞増殖の阻害、癌若しくは腫瘍の大きさの減少、さらなる転移の防止、及び腫瘍血管形成の阻害でありうる。
好ましくは、この発明の化合物はSkBr3細胞に対して1,000nM以上のIC50と共に2μM以下というHsp90αへの結合のKdを有する。今までは、一般的にHsp90インヒビターを用いて、細胞に入る能力が必須である、細胞内Hsp90を標的としていた。しかし、このようなHsp90インヒビターは、相当な細胞毒性の傾向があり、結果として低い療法指標となる。本発明では、標的は細胞外Hsp90である。理論に拘泥されるものではないが、我々は、式Iの化合物は基Q1を有しており、極性、大きさ、又は他の因子のどれかのため、化合物が細胞に入れないようにし;ひいては、SkBr3細胞に対して1,000nM以上のIC50によって明白なように、その細胞毒性が低減するものと考える。なお、同時に、2μM以下というHsp90αへの結合のKd(解離定数)によって明かなように、ゲルダナマイシンがHsp90に結合してHsp90を阻害できるようにするという基本的な分子特性は保存され、強力なHsp90バインダーということになる。この特色の組合せが、これら化合物を、細胞外Hsp90が標的である治療に望ましくし、かつ有効にする。
【0030】
さて、話を式I〜Vに戻すと、好ましい実施態様では、R5がOHであり、R6及びR11がそれぞれHであり、下記式Ia〜Vaで表される化学構造に対応して、それぞれQ1、Q2、Q3、Q4、Q5、L、L1及びL2は、「発明の簡単な概要」セクションで割り当てた意味を保持する。
【0031】
【化13】

【0032】
1が、L及びL1とLが共通に結合している窒素と共に3、4、5、5、6、又は7員の窒素含有ヘテロ環式環構造を形成する場合、該環構造は、好ましくはアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、又はアゼパニル環構造である。さらに好ましくは、該環構造はアジリジニル、アゼチジニル、又はピロリジニル環構造である。
【0033】
この発明の例示的な特有化合物として、下記化合物1〜10が挙げられる。
【化14】

【0034】
【化15】

【0035】
【化16】

(化合物(3)中、

は、塩化物イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、コハク酸イオン、安息香酸イオン、硫酸イオン、酒石酸イオン等のような医薬的に許容しうる対イオンである。)
【0036】
この発明を用いて、細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害を治療する方法で使うための薬物候補化合物をスクリーニングすることができる。望ましい薬物候補化合物はHsp90(特にHsp90α)に強く結合するが、まだ低い細胞毒性を示す当該化合物である。Hsp90αに結合するための化合物の解離定数Kdの点から、Hsp90に対する結合力を定量化でき、Kdが小さいほど強い結合の指標である。好ましくは、Kdは2μM以下である。同時に、望ましいポテンシャルのリード化合物は低い細胞毒性を示し、細胞毒性はSkBr3細胞のような基準細胞系に対する化合物のIC50によって定量化できる。好ましくは、IC50は1,000nM以上(相対的に低い細胞毒性の指標)である。従って、各化合物のKdとIC50を測定して、Kdが2μM以下でIC50が1,000nM以上の化合物を選択することによって、可能性のあるリード化合物、つまり候補化合物を化合物のライブラリーから選択することができる。ライブラリー内の化合物をそれぞれ合成しながら同時にスクリーニングすることができる。或いは、完全ライブラリー又はサブライブラリーを収集して、該化合物をおおよそ同時にスクリーニングすることができる。ライブラリーの大きさは、数個の化合物から数百又は数千でさえもの数の化合物の範囲でよい。
【0037】
この発明の方法で治療しうる癌として以下のものが挙げられる:頭頚部の癌(頭、首、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔、口咽頭、咽頭、下咽頭、唾液腺、及び傍神経節腫の癌が挙げられる);肝臓及び胆樹の癌、特に肝細胞癌;腸癌、特に結腸直腸癌;処置卵巣癌;小細胞肺癌及び非小細胞肺癌;乳癌肉腫、例えば線維肉腫、悪性線維性組織球腫、胎児性横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、神経線維肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、脂肪肉腫、及び胞状軟部肉腫;中枢神経系の新生物、特に脳癌;リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、B-系列大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及びT-細胞未分化大細胞リンパ腫。このような疾患を治療する方法は、治療的に有効な量のこの発明の化合物を被験者に投与することを含む。必要に応じて本方法を繰り返してよい。
【0038】
この発明の化合物は、他の抗癌薬又は細胞毒性薬と併用して投与することができる。併用薬として、アルキル化薬、血管形成インヒビター、抗代謝薬、DNA分解薬、DNA架橋薬、DNAインターカレーター、DNA副溝バインダー、エンジイン、熱ショックタンパク質90インヒビター、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、微小管安定薬、ヌクレオシド(プリン又はピリミジン)類似体、核エクスポートインヒビター、プロテアソームインヒビター、トポイソメラーゼ(I又はII)インヒビター、チロシンキナーゼインヒビターが挙げられる。特異的な抗癌薬又は細胞毒性薬として、β-ラパコーン(lapachone)、アンサミトシン(ansamitocin) P3、アウリスタチン(auristatin)、ビカルタミド(bicalutamide)、ブレオマイシン(bleomycin)、ブレオマイシン(bleomycin)、ボルテゾミブ(bortezomib)、ブスフルファン(busulfan)、カリケアマイシン(calicheamycin)、カリスタチン(callistatin) A、カンプトセシン(camptothecin)、カペシタビン(capecitabine)、CC-1065、シスプラチン(cisplatin)、クリプトフィシン(cryptophycins)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ジスコデルモリド(discodermolide)、ジソラゾール(disorazole)、ドセタキセル、ドキソルビシン、デュオカルマイシン(duocarmycin)、ジネマイシン(dynemycin) A、エポチロン(epothilones)、エトポシド、フロクスウリジン、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオルラシル(fluoruracil)、ゲフィチニブ、ゲルダナマイシン、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、17-(2-ジメチルアミノエチル)アミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-DMAG)、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イマチニブ、インターフェロン、インターロイキン、イリノテカン、レプトマイシン B、マイタンシン(maytansine)、メトトレキセート、マイトマイシン C、オキサリプラチン、パクリタキセル、スポンジスタチン(spongistatins)、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、チオテパ、トポテカン、トリコスタチン A、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンが挙げられる。
【0039】
好ましくは、この発明の化合物は、例えばカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、再結晶、又は他の精製法に従い、精製かつ単離形態で提供される。この発明の化合物の特定の立体異性体が指定されている場合、該立体異性体には、好ましくは実質的に他の立体異性体がない。
この発明の化合物は、この発明の化合物と賦形剤を含む医薬製剤で使用される。使用しうる賦形剤として、担体、界面活性剤、増粘剤若しくは乳化剤、固形バインダー、分散助剤若しくは懸濁助剤、可溶化剤、着色剤、調味剤、コーティング剤、崩壊剤、潤沢剤、甘味剤、保存剤、等張剤、及びその組合せが挙げられる。適切な賦形剤の選択と使用については、Gennaro, ed., Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed. (Lippincott Williams & Wilkins 2003)に教示されており、この開示は、参照によって本明細書に取り込まれる。
本組成物は、固体、半固体、又は液体形態のようないずれの適切な形態でもよい。一般に、医薬製剤は、外部適用、腸内適用、又は腸管外適用に適した有機若しくは無機の担体又は賦形剤との混合物中の活性成分として本発明の1種以上の化合物を含む。例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、座剤、ペッサリー、溶液、エマルジョン、懸濁液、及び用途に適した他のいずれかの形態用の通常の無毒の医薬的に許容しうる担体と活性成分をコンパウンドすることができる。使用可能な担体として、水、グルコース、ラクトース、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモデンプン、尿素、及び固体、半固体、又は液体形態の製剤の調製で使用するのに好適な他の担体が挙げられる。さらに、補助的な安定化剤、増粘剤、及び着色剤及び香料を使用しうる。
【0040】
適用できる場合、この発明の化合物をマイクロカプセルやナノ粒子として製剤化することができる。一般的なプロトコルは、例えば、Bosch et al., US 5,510,118 (1996); De Castro, US 5,534,270 (1996); and Bagchi et al., US 5,662,883 (1997)に記載されており、これら文献はすべて参照によって本明細書に取り込まれる。体積に対する表面積の比を増やすことによって、これら製剤を、そうしなければ経口送達に適用しえない化合物の経口送達を可能にする。
本発明の化合物の用量レベルは、1日に体重1kg当たり約0.1mg〜約100mg、好ましくは1日に体重1kg当たり約1mg〜約50mgのオーダーである。さらに好ましくは、用量レベルは1日に体重1kg当たり約5mg〜約20mgであり、体重70kgの患者で見積もると、1日350mg〜1400mgに相当する。本発明の化合物は間欠基礎に基づき、すなわち、半週間、1週間、半月又は1カ月の間隔で投与してよい。
担体材料と混ぜ合わせて単一剤形を生成しうる活性成分の量は、治療する宿主及び個々の投与態様によって変わるだろう。例えば、ヒトへの経口投与を意図した製剤は、全組成物の約5%〜約95%で変化しうる担体材料を含んでよい。単位剤形は、一般的に約5mg〜約500mgの活性成分を含有するだろう。
しかし、いずれの特定患者に特有の用量レベルも種々の因子によって決まることを理解すべきである。これら因子として、利用する特有化合物の活性;被験者の年齢、体重、一般的健康、性別、及び食事制限;投与の時間と経路及び薬物の排出速度;治療で複合製剤を利用するか;及び治療が求められている個々の疾患又は状態の重症度が挙げられる。
以下の実施例を参照して、この発明の実施をさらに理解できる。なお、実施例は例示として提供したものであり、限定するものではない。
【0041】
〔実施例1〕
1が三級アミンN-オキシドである化合物I(すなわち化合物II)は、典型例として(2-ジメチルアミノ)エチルアミンを用いる下記スキーム1の手順に示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なアミンの反応後、N-オキシドに酸化することによって合成することができる。
【0042】
【化17】

【0043】
化合物4([2-(17-デメトキシゲルダナマイシン-17-イルアミノ)-エチル]ジメチルアミンN-オキシ)を合成するために使用する以下の詳述手順が代表的である。
17-DMAGをゲルダナマイシンから以下のように合成した:1,2-ジクロロエタン(4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に20℃にて(2-ジメチルアミノ)エチルアミン(0.2mmol)を加えた。薄層クロマトグラフィー(“TLC”)で示されるように、ゲルダナマイシンが完全に消費されるまで混合物を20℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相高圧液体クロマトグラフィー(“HPLC”)で精製し、紫色固体として生成物17-DMAGを得た。17-DMAGの製法は、Snader et al., US 2004/0053909 A1 (2004)(この開示は参照によって本明細書に取り込まれる)にも記載されている。
ジクロロメタン(1mL)中の17-DMAGの溶液に3-クロロ過安息香酸(最大77%,12mg,最大50μmol)を加えた。混合物を20℃で20時間撹拌した。LC/MSは反応が完了したことを示した。水中アセトニトリルの勾配を用いて溶出されるC18カラム上HPLCで粗生成物を精製した。7mgの紫色固体として生成化合物4を得た。13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ (77.0ppmにおけるCDCl3に関して) 12.1, 12.5, 12.7, 23.0, 28.6, 32.2, 34.4, 34.9, 42.7, 56.6, 57.0, 59.1, 66.7, 72.3, 81.3, 81.5, 81.7, 109.2, 111.7, 126.6, 126.8, 132.6, 134.0, 135.0, 135.6, 140.4, 146.3, 156.2, 168.4, 178.7, 186.1。エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析(“ESI TOF MS”)m/z 633.3507, C32H49N4O9([M + H]+)について計算 633.3494。
【0044】
〔実施例2〕
1が四級窒素基である化合物I(つまり化合物III)は、典型例として(2-アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロライドを用いる下記スキーム2aの手順によって示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と、四級窒素基を有する適切なアミンの反応によって、或いは典型例として(2-ジメチルアミノ)エチルアミンを用いる下記スキーム2bの手順によって示されるように、三級窒素基を有する適切なジアミンの反応後、アルキル化剤R1Xによるアルキル化によって合成することができる。典型的な好適なアルキル化剤R1Xとして、ヨウ化メチル、臭化アリル、ブロモアセトニトリル、及び2-ブロモアセトアミドが挙げられる。
【0045】
【化18】

【0046】
【化19】

【0047】
化合物3({[2-(17-デメトキシゲルダナマイシン-17-イル)アミノ]エチル}トリメチルアンモニウムクロライド)を合成するために使用する以下の詳述手順(スキーム2aによって)が代表的である。
ジメチルスルホキシド(“DMSO”,4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に60℃にて(2-アミノエチル)トリメチルアンモニウムクロライド塩酸塩(0.2mmol)を添加した。(トリエチルアミンを用いて一級アミンを遊離させた。)TLCで示されるようにゲルダナマイシンが完全に消費されるまで混合物を60℃で撹拌した。 粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相HPLCで精製して、紫色固体として化合物3を得た。ESI TOF MS m/z 631.3702, C33H51N4O8 (M+)について計算 631.3702。
【0048】
〔実施例3〕
1がスルホン酸基である化合物I(つまり化合物IV)は、典型例として3-アミノ-1-プロパンスルホン酸を用いる下記スキーム3の手順で示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なアミノスルホン酸の反応によって合成することができる。反応はトリエチルアミンのような塩基の存在下、DMSO中で行うことができる。
【0049】
【化20】

【0050】
2-アミノ-1-エタンスルホン酸から誘導される対応スルホン酸化合物は、Schnur et al., J. Med. Chem. 38 (19), 3806-3812 (1995)(この開示は参照によって本明細書に取り込まれる)に開示されている。
【0051】
〔実施例4〕
1がホスホン酸基である化合物I(つまり化合物V)は、典型例として2-アミノエチルホスホン酸を用いる下記スキーム4の手順に示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なアミノホスホン酸の反応によって合成した。反応は、後述するような適切な溶媒中、トリエチルアミンのような塩基の存在下で行って一級アミンを遊離させた。典型的スケールは0.1mmol(56mg)のゲルダナマイシンと0.2mmolのアミノホスホン酸だった。薄層クロマトグラフィーで示されるように出発ゲルダナマイシンが完全に消費されるまで、反応混合物を20〜60℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相HPLCで精製して、紫色固体として生成物を得た。
【0052】
【化21】

【0053】
上記一般合成法に従い、12:12:1(v/v)のジクロロエタン/メタノール/水の混合物中、60℃にて2-アミノエチルホスホン酸を用いて化合物8を合成した。13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ (49.0ppmにおけるCD3ODに関して) 12.4, 13.5, 14.1, 22.6, 30.2 (d, 1JC-P = 131 Hz), 31.2, 33.8, 34.3, 35.6, 42.9, 56.8, 57.5, 74.3, 82.1 (2C), 83.0, 109.2, 109.5, 127.2, 129.5, 132.9, 134.4, 135.4, 137.8, 142.9, 146.9, 159.1, 170.7, 180.8, 185.9. ESI TOF MS m/z 652.2627, C30H43N3O11P ([M - H]-)について計算 652.2641。
上記一般合成法に従い、8:8:1(v/v)のジクロロエタン/メタノール/水の混合物中、60℃にて3-アミノプロピルホスホン酸を用いて化合物9を合成した。ESI TOF MS m/z 690.2780, C31H46N3O11NaP ([M + Na]+)について計算 690.2762。
上記一般合成法に従い、8:8:1(v/v)のジクロロエタン/メタノール/水の混合物中、60℃にて4-アミノブチルホスホン酸を用いて化合物10を合成した(トリエチルアミンを用いて一級アミンを遊離させた)。ESI TOF MS m/z 704.2948, C32H48N3O11NaP ([M + Na]+)について計算 704.2919。
【0054】
〔実施例5〕
1がグリコシド基である化合物Iは、下記スキーム5の手順で示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なアミノグリコシドの反応によって合成できる。
【0055】
【化22】

【0056】
化合物1(17-(グルコース-2-アミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン)及び化合物2(17-(グルコース-6-アミノ)-17-デメトキシゲルダナマイシン)の合成の以下の手順について説明する。
化合物1:DMSO(4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に、50℃にて、グルコサミン塩酸塩(0.2mmol)を添加した。(トリエチルアミンを用いて一級アミンを遊離させた。)TLCで示されるようにゲルダナマイシンが完全に消費されるまで、混合物を50℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相HPLCで精製して、紫色固体として化合物1を得た。13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ (49.0ppmにおけるCD3ODに関して) 12.4, 13.6, 14.4, 22.6, 31.5, 33.7, 34.6, 36.0, 56.9, 57.5, 62.6, 71.9, 73.3, 74.0, 74.9, 81.8, 81.8, 81.8, 82.7, 92.8, 109.4, 110.9, 127.1, 129.6, 132.4, 134.5, 135.4, 137.7, 142.4, 147.5, 159.0, 170.7, 181.3, 185.8. ESI TOF MS m/z 730.3204, C34H49N3O13 ([M + Na]+)について計算 730.3158。
化合物2:DMSO(4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に、20℃にて6-アミノ-6-デオキシ-(D)-グルコース塩酸塩(0.2mmol)を添加した。(トリエチルアミンを用いて一級アミンを遊離させた。)TLCで示されるようにゲルダナマイシンが完全に消費されるまで、混合物を20℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相HPLCで精製して、紫色固体として化合物2を得た。13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ (49.0ppmにおけるCD3ODに関して) 12.4, 13.6, 14.3, 22.7, 31.5, 33.6, 34.5, 35.7, 56.8, 57.5, 70.7 (2C), 73.4, 73.8 (2C), 74.3 (2C), 74.6, 75.4, 76.2, 77.7, 82.0 (2C), 83.0, 94.1, 98.4, 109.1, 110.0, 127.1, 129.6, 132.6, 134.4, 135.3, 138.0, 142.7, 146.7, 159.1, 170.6, 181.2, 185.6. ESI TOF MS m/z 730.3156, C34H49N3O13Na ([M + Na]+)について計算 730.3158。
【0057】
〔実施例6〕
1がビオチニル基である化合物Iは、下記スキーム6の手順で示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なビオチニル化アミンの反応によって合成できる。
【0058】
【化23】

【0059】
以下、化合物5及び化合物6の合成について説明する。
化合物5:メタノール(4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に20℃にて、ビオチン-PEO-アミン(Pierce, Rockford, IL; 0.2mmol)を添加した。TLCで示されるようにゲルダナマイシンが完全に消費されるまで混合物を20℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又は逆相HPLCで精製して紫色固体として化合物5を得た。13C NMR(CDCl3, 100 MHz) δ (77.0ppmにおけるCDCl3に関して) 12.4, 12.6, 12.8, 23.0, 25.5, 28.0, 28.1, 29.7, 32.3, 34.2, 34.8, 35.9, 39.2, 40.5, 45.2, 55.3, 56.7, 57.2, 60.1, 61.7, 68.6, 70.0, 70.2, 70.4, 72.6, 81.3, 81.4, 81.6, 108.5, 108.8, 126.4, 127.2, 132.8, 133.5, 134.7, 136.2, 141.5, 145.0, 156.3, 163.6, 168.5, 173.4, 180.5, 184.2. ESI TOF MS m/z 903.4555, C44H67N6O12S ([M + H]+)について計算 903.4532。
化合物6:メタノール(4mL)中のゲルダナマイシン(56mg,0.1mmol)の溶液に20℃にて、ビオチン-PEO-LC-アミン(Pierce, Rockford, IL; 0.2mmol)を添加した。TLCで示されるようにゲルダナマイシンが完全に消費されるまで混合物を20℃で撹拌した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー又はHPLCで精製して紫色固体として化合物6を得た。ESI TOF MS m/z 947.4799, C46H71N6O12S ([M + H]+)について計算 947.4794。
【0060】
〔実施例7〕
1がカルボン酸基又は双性イオン基である化合物I(つまり化合物VI)は、典型例としてβ-アラニンを用いる下記スキーム7の手順で示されるように、対応するゲルダナマイシン化合物と適切なアミノ酸の反応によって合成することができる。
【0061】
【化24】

【0062】
17-β-アラニル-17-デメトキシゲルダナマイシンを調製するための手順は、Schnur et al., US 5,932,566 (1999)に開示されている(この開示は、参照によって本明細書に取り込まれる)。
【0063】
〔実施例8〕
アメリカ培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(Manassas, VA)からヒト乳癌細胞系SKBr3を得、10%のウシ胎児血清(FBS)(Hyclone; Logan, UT)と2mMのグルタミンで補充したマッコイ(McCoy)の5A変性培地(Invitrogen; Carlsbad, CA)で、5% CO2の加湿空気中37℃にて維持した。
96ウェルブラック組織培養微量定量プレートに、1ウェル当たり約4000個の細胞を二通り接種して一晩付着させた。連続的な10倍希釈の化合物を加え、細胞を72時間インキュベートした。 CellTiter-GloTM Luminescent Cell Viability Assay(Promega; Madison, WI)を用いて細胞生存度を決定した。細胞の成長を50%まで阻害するために必要な薬物の濃度としてIC50を定義する。
それぞれ精製及びSPAアッセイを容易にするためにN-末端ポリHis及びビオチニル化認識配列(BRS)タグを有する大腸菌でヒトHsp90の切断型(Carreras et al.. Anal. Biochem. 2003, 317, 40-46)と全長型を発現させた。標識化された全長Hsp90配列は、配列MSH10SLTDIFEAQKIEWHHMA(BRSには下線を付した)に先行される天然のHsp90α配列から成っていた(Hickey et al., Mol. Cell Biol. 1989, 9, 2615-2626)。該遺伝子の3'末端は、C末端に単一のプロリン残基を付加するBamHI部位を含んでいた。Hsp90の標識化されたNドメインについて記載されているように(Carreras et al., 前出)、標識化された全長タンパク質をpET21dにクローン化し、大腸菌BL21DE(3)中、pBIRAcm(Avidity, Denver, CO)でコードされたビオチンリガーゼと一緒に発現させた。
結合緩衝液(10mM Tris-HCl,5mM MgCl2,pH 7.0)中のストレプトアビジン塗布YiSiビーズ(Pharmacia RPNQ0012; 219pmolのストレプトアビジン/mg)の1mg/mLの懸濁液に、ビオチニル化Hsp90αを添加して最終濃度225nMを得た。[アリル-3H]-17-AAG(2000cpm/pmol)を加えて2μMの最終濃度にし、結果の懸濁液の50μLアリコートを、結合緩衝液中の0.1〜50μMの試験化合物50μLアリコートと混合した。反応混合物を96ウェルアッセイプレート内で室温にて2〜4時間インキュベートしてから、Wallac Microbeta シンチレーションカウンターを用いて各反応のシグナルを測定した。結果のデータを競合結合方程式に当てはめた(Segal, I. H., Enzyme Kinetics: Behavior and analysis of rapid equilibrium and steady-state enzyme systems; Wiley Interscience: New York, 1975)。
【0064】
結果を下表Aに示す。

【0065】
上記結果は、この発明の化合物が臨床候補17-AAGに比べて顕著に低い細胞毒性を有することを示しており、細胞膜を通過して細胞に入る能力がないことを示唆している。しかし、それらはHsp90に強く結合することによってHsp90を阻害する能力を保持している。
本発明の前記詳細な説明は、本発明の特定部分又は局面と主に関係し、或いは排他的に関係する経過を包含する。これは明瞭さと便宜さのためであり、個々の特徴はそれが開示されている当然の経過以外で関係することもあり、かつ本明細書の開示は、異なる経過で見られる情報のすべての適切な組合せを包含するものと解釈する。同様に、本明細書の種々の図及び説明は本発明の特有の実施態様に関するものであるが、個々の図又は実施態様と関連して特有の特徴が開示されている場合、このような特徴は、妥当な範囲まで、又は別の図若しくは実施態様と関連して、又は別の特徴と組み合わせて、又は総体的な本発明でも使用できるものと解釈する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害を治療する方法であって、該疾患又は障害で苦しんでいる被験者に、細胞外Hsp90の機能を阻害するために十分な量で、1,000nM以上というSkBr3細胞に対するIC50と、2μM以下というHsp90αへの結合のKdとを有する化合物を投与することを含む方法。
【請求項2】
細胞外Hsp90のクライエントタンパク質がマトリックスメタロプロテイナーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害を治療する方法であって、該疾患又は障害で苦しんでいる被験者に、細胞外Hsp90の機能を阻害するために十分な量で、下記式Iの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、若しくはプロドラッグ形を投与することを含む方法。
【化1】

(式中
1は、三級アミンN-オキシド基、四級窒素基、スルホン酸基、ホスホン酸基、双性イオン基、カルボン酸基、グリコシド基、又はビオチニル基であり;
Lは、2〜12個の原子でQ1とNH基を隔てるリンカー成分であり(但し、Q1がグリコシド基の場合、Lが無くてもよい);
1はHであり、又はL及びそれらが共通に結合している窒素と共に3、4、5、6、又は7員窒素含有ヘテロ環式環構造を形成し;
5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。)
【請求項4】
阻害すべき細胞外Hsp90の存在を検出するために前記被験者をスクリーニングする工程をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記被験者がヒトである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記Hsp90がHsp90αである、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記疾患又は障害が線維肉腫又は乳癌である、請求項3記載の方法。
【請求項8】
式Iの構造を有する化合物が、1,000nM以上というSkBr3細胞に対するIC50と、2μM以下というHsp90αへの結合のKdとを有する、請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記細胞外Hsp90のクライエントタンパク質がマトリックスメタロプロテイナーゼである、請求項3記載の方法。
【請求項10】
下記式IIの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、若しくはプロドラッグ形。
【化2】

(式中
2は三級アミンN-オキシド基であり;
2は、2〜12個の原子でQ2とNH基を隔てるリンカー成分であり;
1はHであり、又はL及びそれらが共通に結合している窒素と共に3、4、5、6、又は7員窒素含有ヘテロ環式環構造を形成し;
5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。)
【請求項11】
5がOHであり、かつR6及びR11がそれぞれHである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
下記式4の構造を有する、請求項10記載の化合物。
【化3】

【請求項13】
下記式IIIの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、もしくはプロドラッグ形。
【化4】

(式中、
3は下記式からなる群より選択され;
【化5】

1は、C1-C5アルキル、C1-C5アルケニル、C1-C5アルキニル、CH2CN、又はCH2CONH2であり;
5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルであり;
かつ

は医薬的に許容しうる対イオンである。)
【請求項14】
5がOHであり、かつR6及びR11がそれぞれHである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
下記式3の構造を有する、請求項13記載の化合物。
【化6】

【請求項16】
下記式IVの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、若しくはプロドラッグ形。
【化7】

(式中、
4は下記式からなる群より選択され;
【化8】

5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。)
【請求項17】
5がOHであり、かつR6及びR11がそれぞれHである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
下記式Vの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、若しくはプロドラッグ形。
【化9】

(式中、
5は下記式からなる群より選択され;
【化10】

5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。)
【請求項19】
5がOHであり、かつR6及びR11がそれぞれHである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
下記式8、9、又は10の構造を有する、請求項18記載の化合物。
【化11】

【請求項21】
下記式VIの構造を有する化合物、又はその医薬的に許容しうる溶媒和物、水和物、塩、若しくはプロドラッグ形。
【化12】

(式中、
6は下記式からなる群より選択され;
【化13】

5は、H、OR8、ハロゲン、OC(=O)R8、O(C=O)N(R89)、OSO210、又はO(C=O)NHSO2N(R89)であり;
6はH又はハロゲンであり;或いはR5とR6が一緒に=O又は=NOR8を形成し;
各R8は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;
各R9は、独立的にH、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;或いはR8とR9が、それらが共通に結合している窒素原子と共に、置換若しくは無置換の3、4、5、又は6員ヘテロ環式環を形成し;
10は、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニル、又はC3-C6シクロアルキルであり;かつ
11は、H、C1-C5アルキル、C2-C5アルケニル、C2-C5アルキニルである。)
【請求項22】
下記式1、2、5、又は6の構造を有する化合物。
【化14】

【請求項23】
請求項10、13、16、18、21、又は22記載の化合物と、賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項24】
化合物のライブラリーから、細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害の治療で使うための候補化合物を同定する方法であって、以下の工程:
(a)前記ライブラリー中の化合物のSkBr3細胞に対するIC50を決定する工程;
(b)前記ライブラリー中の化合物のHsp90αへの結合の解離定数Kdを決定する工程;及び
(c)1,000nM以上のIC50と2μM以下のKdを有する、前記ライブラリー中の当該化合物を候補化合物として選択する工程;
を含む方法。
【請求項25】
細胞外Hsp90の機能を阻害することによって寛解する疾患又は障害の治療用薬物の調製のための請求項10、13、16、18、21又は22記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−505984(P2008−505984A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527525(P2007−527525)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/017966
【国際公開番号】WO2005/112952
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(504269110)コーザン バイオサイエンシス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】