説明

ゲルネットワーク内に活性剤を含むパーソナルケア製品

本発明は、オルガノポリシロキサンポリマーの架橋と、1つ以上の活性剤を含む液体を導入することによってゲルネットワークを形成するための該オルガノポリシロキサンポリマーの膨潤であって、前記活性剤が前記ゲルネットワークに取り込まれる膨潤とのプロセスによって製造される高分子ゲルネットワークを含有するパーソナルケア製品に関する。本製品の液体は、任意に1つ以上の溶媒を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の皮膚及び毛髪への使用に適したパーソナルケア製品に関する。これらの製品は、オルガノポリシロキサンポリマー及び、活性剤又は溶媒と組合せた活性剤である液体を含む高分子ゲルネットワークを含む。これらの製品は、パーソナルケア組成物を通じて供出される快い感覚的及び審美的特性を有する活性剤の濃度の増大を目的とする。さらに、該製品はパーソナルケア組成物に処方の柔軟性及び安定性を付加する。
【背景技術】
【0002】
ジメチコン、シクロメチコン、イソドデカン、鉱油等の流体中で膨潤された架橋オルガノポリシロキサンポリマーのゲル組成物は当該技術分野において既知である(米国特許第6,531,540B1号、米国特許第6,538,061B2号、米国特許第6,444,745B1号、米国特許第6,346,583B1号)。これらのシリコーンエラストマー又はシリコーンゲルは、消費者及び処方の両方の利益を提供することから、パーソナルケア及び美容ケア製品界において有用である。これらは消費者に快い感覚及び光沢調整効果を提供する。さらに、これらの物質はローション、クリーム、ファンデーション、マスカラ等の濃厚剤成分として、及びエマルション及び微粒子の懸濁及び安定剤として機能する。
【0003】
これらのゲルの製造プロセスは、主に2つの部分から成る。第一の部分は、三次元架橋ポリマーネットワークを形成するためのオルガノポリシロキサンポリマー間の反応であり、一般に粉末状又はゴム状物質を生じる。第二の部分は、剪断力及び混合力の助けを借りて、該架橋ポリマーを流体で膨潤することによるゲルシステムの形成である。最終製品は、製造業者の間でポリマー及び流体含有量が変動しうる流体中で膨潤された架橋ポリマーの粘弾性ゲルである。ゲルネットワークの特性及び製品内性能は、開始ポリマー分子量、反応化学、流体の種類、加工力、及び製造業者が所望のゲル性能を達成するために選択したその他のパラメ−タに依存する。
【0004】
架橋反応プロセス(プロセスの第一の部分)の間に有益活性剤を含むことは、当該技術分野において既知である。反応の第一段階中に活性物質を添加することは、米国特許第6,207,717B1号、EP1020494A1及びEP1057872A1で論じられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より大きな効力及びより長く持続する効果のためにより高濃度の活性物質を供出し、同時に安定で感覚的に快いシステムから供出される他のパーソナルケア及び美容ケア構成成分を含むためのより大きな処方の余地を作ることができる、改善されたプロセスの必要性がなお存在する。さらに、消費者及び処方の利益を費用対効果の高い方法で提供し、パーソナルケア製品の追加構成成分が存在する時に配合者が採用し易いゲルシステムから供出される、完成したゲル製品の必要性がなお存在する。
【0006】
本発明の発明者は、驚くべきことに、パーソナルケア活性剤を、単独で又は他の流体と組合せて、架橋ポリマーを膨潤する第二のプロセスの工程の間に添加することが、処方柔軟性及び消費者感覚を追加する利益を生じることを発見した。意外にも、このプロセスは、第一のプロセス工程中に潜在的に反応阻害性の活性剤がポリマーの架橋を阻害するのを防止しながら、費用効果の高いゲルを製造する方法で達成できる処方及び消費者の利益を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、オルガノポリシロキサンポリマーを架橋させる工程と、1つ以上の活性剤を含む液体を導入することによりゲルネットワークを形成するために該オルガノポリシロキサンポリマーを膨潤させる工程であって、その際前記活性剤が前記ゲルネットワーク中に取り込まれる膨潤とのプロセスによって製造されるゲル高分子ネットワークを含有するパーソナルケア製品に関する。
本発明の製品中の液体は、付加的に1つ以上の溶媒を含んでももよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、「パーソナルケア製品」は、いかなる着色化粧品、毛髪、又はスキンケア製品も意味する。「パーソナルケア組成物」は、所望の効果を付与するパーソナルケア製品に含まれる処方を指す。「パーソナルケア製品」とは、皮膚又は毛髪を処置したり、手入れしたり、何らかの形で潤いを与えたり、整えたり、洗浄したりするために使用する製品である。「パーソナルケア製品」という用語によって意図される追加の製品としては、日焼け止め剤、絆創膏、包帯、歯磨き粉、無水閉塞性保湿剤、制汗剤、防臭剤、パーソナルクレンジング製品、粉末洗濯洗剤、柔軟仕上げタオル、閉塞性薬物送達貼付剤、マニキュア液、パウダー、ティッシュ、拭取り布、無水ヘアコンディショナー、シェービングクリームなどが挙げられるが、これらに限定されない。「化粧品」又は「メークアップ」という用語は、ファンデーション、黒色及び褐色、すなわち、マスカラ、コンシーラー、アイライン、眉墨、アイシャドウ、頬紅、口紅、リップバーム、おしろい、固形エマルションコンパクトなどを含む、顔に色を残す製品をいう。「ファンデーション」という用語は、皮膚の全体的な着色を均等にするために化粧品会社によって作られる、又は再導入される液体、クリーム、ムース、パンケーキ、コンパクト、コンシーラーなどの製品をいう。
【0009】
本明細書で使用する時、「周囲条件」という用語は、指示がない限り、約1気圧、約50%の相対湿度及び約25℃のもとでの周囲条件を意味する。
【0010】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を与えない他の工程及び他の成分を追加できることを意味する。この用語は、「から成る」及び「から本質的に成る」という用語を含む。本発明の製品、組成物、及び方法/プロセスは、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるいかなる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項をも含み、これらから成り、またこれらから本質的に成ることができる。
【0011】
百分率、部、及び比率はすべて、特に指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。このようなすべての重量は、記載した成分に関する限り有効濃度に基づくものであり、したがって特に明記しない限りは、市販材料に含まれる可能性のある溶媒又は副産物を含まない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。
【0012】
本発明のパーソナルケア製品組に好ましいpH範囲は、約pH3〜約pH10、好ましくは約pH4〜約pH9である。
指示がない限り、測定は全て25℃で行う。
【0013】
I.組成物
A.ポリマー
本発明の組成物は、本質的に直鎖、本質的に非直鎖状、又はそれらの組合せであるポリマーを含む。ポリマーは、該ポリマーが液体、液体の混合物、又は液体中に溶解した固体を含む溶液で膨潤しさえすれば、種々のモノマーから製造できる。特許請求の範囲に記載される組成物中に含有するのに適したポリマーは、架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークであるポリシロキサンであるが、これに限定されない。例えば、特に非常に適した架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークは、酸触媒の存在下でエポキシ官能性オルガノシロキサンの重合から形成される。オルガノポリシロキサンポリマーは、非乳化ポリマーゲルネットワーク、乳化ポリマーゲルネットワーク、及びこれらの組合せから選択される架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークである。このような具体例は、米国特許第6,531,540B1号、米国特許第6,538,061B2号、米国特許第6,444,745B1号、米国特許第6,346,583B1号、米国特許第5,654,362号、米国特許第5,811、487号、米国特許5,880,210号、米国特許第5,889,108号、米国特許第5,929,164号、米国特許第5,948,855号、米国特許第5,696,035号、米国特許第5,977,280号、米国特許第6,080,394号、米国特許第6,168,782号、米国特許第6,177,071号、米国特許第6,200,581号、米国特許第6,207,717号、米国特許第6,221,927号、米国特許第6,221,979号、米国特許第6,238,657号、及び米国特許第4,987,169号に記載されている。 ポリマーは、組成物の約0.1重量%〜約40重量%、好ましくは約1重量%〜約30重量%の量で存在する。好ましい実施形態において、ポリマーは組成物の約2重量%〜約20重量%の量で存在する。
【0014】
B.活性剤
本発明の組成物は、皮膚又は毛髪に使用するための1つ以上の活性剤を含む。活性剤は、ポリマー及び任意に別の溶媒と組み合わされた時、ポリマーを懸濁及び膨潤して、弾性の三次元ゲルネットワーク又はマトリックスを提供する機能を果たす。ポリマーのための活性剤としては、1つ以上の液体、液体と該液体に溶解した固体との溶液、又はこれらの混合物が挙げられる。活性剤は周囲条件下にあり、皮膚上でよりよくなった延びを提供するために好ましくは低い粘度を有する。
【0015】
本発明の化粧品組成物の活性剤の濃度は、主に用いられるポリマーの種類及び量によって変化する。
活性剤は、乳化剤及び両親媒性分子、油溶性活性物質、日焼け止め活性物質、抗ニキビ活性物質、抗しわ活性物質、スキンコンディショニング剤、抗炎症剤、酵素材料、皮膜形成剤、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0016】
1.乳化剤及び両親媒性分子
本発明の組成物は、乳化剤、両親媒性分子、又はこれらの混合物を含有してもよい。好ましい実施形態において、組成物は、組成物の約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤、より好ましくは約0.5重量%〜約7.5重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜約5重量%の乳化剤、両親媒性分子、又はこれらの混合物を含有する。乳化剤は、液相の分散及び懸濁を助け、これは本発明の組成物と不混和性であり他の方法で不溶性の活性物質をミセル、小胞、液晶、層状相、及びその他の熱力学的に安定な会合相又は構造の形で可溶化する。さらに、乳化剤は毛髪又は皮膚表面を被覆する能力を提供し、及び追加の感覚的利益を提供する。
【0017】
選択された乳化剤が化学的及び物理的に組成物の必須構成成分に適合し、望ましい分散特性を提供するという条件で、既知の又は従来の乳化剤を組成物に使用することができる。適した乳化剤としては、シリコーン乳化剤、非シリコーン含有乳化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。適した乳化剤としては、ジメチコンベースの乳化剤、乳化シリコーンエラストマー、及びこれらの組合せが挙げられる。乳化シリコーンエラストマー及びその他のシリコーン乳化剤は、本明細書に用いるのに好ましい。乳化シリコーンエラストマーとシリコーン乳化剤との組合せも本明細書で有用である。
【0018】
本明細書で有用なこれらのシリコーン乳化剤は、典型的には、有機的に修飾されたオルガノポリシロキサンであり、当業者にはシリコーン界面活性剤としても既知である。有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオールが挙げられる。これらの物質は、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、これらの鎖の混合物のようなポリエーテル側鎖又はペンダント鎖、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両方に由来する部分を含有するポリエーテル鎖を含むように修飾されたポリジメチルシロキサン類である。ポリグリセリン側鎖を含むように修飾されたポリジメチルシロキサン類も挙げられる。その他の例には、アルキル変性ジメチコンコポリオール、(即ち、C2〜C30ペンダント側鎖を含有する化合物)が挙げられる。更に他の有用なジメチコンコポリオールとしては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。
【0019】
本明細書において有用なジメチコンコポリオール乳化剤は、次の一般構造で記載することができる。
【0020】
【化1】

式中、Rは、C1〜C30の直鎖、分岐鎖、又は環式アルキルであり、R2は以下から成る群より選択される。
−(CH2n−O−(CH2CHR3O)m−H
及び
−(CH2n−O−(CH2HR3O)m−(CH2CHR4O)o−H
式中、nは3〜約10の整数であり、、R3及びR4は、同時に同一のものとならないようにH及びC1〜C6の直鎖又は分岐鎖アルキルから成る群より選択され、、m、o、x、及びyは、分子の全分子量が約200〜約10,000,000になるように選択され、m、o、x、及びyは、m及びoの両方が同時にゼロにならないように、独立してゼロ以上の整数から選択され、zは独立して1つ以上の整数から選択される。これらのコポリオールの位置異性体が生成し得ることが認識される。R3及びR4基を含有するR2部分について前述した化学表示は、便宜上示されたものであり、これらに限定されるものではない。
【0021】
厳密にはジメチコンコポリオールとしては分類されないが、前段落の構造式で表されるシリコーン界面活性剤も本明細書で有用であり、式中、R2は、
−(CH2n−O−R5
式中R5は、陽イオン性、陰イオン性、両性、又は双性イオン性部分であり、nは上述の通りである。
【0022】
ジメチコンコポリオールの非限定例としては、ラウリルジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールアセテート、ジメチコンコポリオールアジパート、ジメチコンコポリオールアミン、及びジメチコンコポリオールベへネートも挙げられる。国際化粧品成分辞典(International Cosmetic Ingredient Dictionary)、第5版(1993年)を参照されたい。本発明において有用な市販のジメチコンコポリオールの例は、ダウ・コーニング社((Dow Corning Corporation)のダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)190、193、Q2−5220、2501ワックス、2−5324流体、及び3225C(この後者の物質はシクロメチコンとの混合物として販売されている)である。セチルジメチコンコポリオールは、ポリグリセリル−4−イソステアレート(及び)ヘキシルラウレートとの混合物として市販されており、商品名ABIL(登録商標)WE−09(ゴールドシュミット(Goldschmidt)から入手可能)で販売されている。セチルジメチコンコポリオールは、ヘキシルラウレート(及び)ポリグリセリル−3オレエート(及び)セチルジメチコンの混合物としても市販されており、商品名ABIL(登録商標)WS−08(ゴールドシュミット(Goldschmidt)から市販)で販売されている。その他の非限定例としては、クロンプトン(Crompton)/OSiより入手可能なシルウェット(SILWET)シリーズ及びシルソフト(SILSOFT)シリーズが挙げられる。
【0023】
2.油溶性スキンケア活性物質
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の油溶性スキンケア活性物質を含有してもよい。「油溶性活性物質」は、水と不混和性であるいかなる活性物質として定義されてもよい。好ましくは、組成物は、生成した組成物の約0.001重量%〜約98重量%の油溶性スキンケア活性物質を含有し、より好ましくは約0.01重量%〜約40重量%、さらにより好ましくは約0.05重量%〜約30重量%、より一層好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約10重量%を含有する。
【0024】
本明細書に使用してもよい油溶性活性物質の非限定例としては、油溶性テルペンアルコール、フィトステロール、抗ニキビ活性物質、βヒドロキシ酸、油溶性ビタミン化合物、キレート化剤、フラボノイド、抗炎症剤、抗セルライト剤、局所麻酔剤、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いるのに好ましい油溶性スキンケア活性物質は、ファルネソールである。
【0025】
a.油溶性テルペンアルコール
本明細書で使用する時、「テルペンアルコール」は、末端ヒドロキシル基を有する2つ又はそれ以上の5−炭素イソプレン単位[CH2=C(CH3)−CH=CH2]を指す。
【0026】
本明細書で有用な油溶性テルペンアルコールの例としては、ファルネソール、ファルネソールの誘導体、ファルネソールの異性体、ゲラニオール、ゲラニオールの誘導体、ゲラニオールの異性体、フィタントリオール、フィタントリオールの誘導体、フィタントリオールの異性体、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましいのは、ファルネソールである。
【0027】
i.ファルネソール及びその誘導体
ファルネソールは、スクアレン及びステロール、特にコレステロールの生合成で前駆体及び/又は中間体として作用すると考えられている天然物質である。ファルネソールは、タンパク質の修飾及び調節(例えば、タンパク質のファルネシル化)にも関与し、ファルネソールに反応する細胞核受容体が存在する。
【0028】
化学的には、ファルネソールは[2E,6E]−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オールであり、本明細書で使用する時「ファルネソール」はそのような異性体及び互変異性体を含む。ファルネソールは、例えば、ファルネソール(異性体の混合物、ドラゴコ(Dragoco)より)及びトランス−トランス−ファルネソール(シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company))の名前で市販されている。適したファルネソールの誘導体は、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)より市販されているファルネシルアセテートである。
【0029】
ii.ゲラニオール及びその誘導体
ゲラニオールは、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オールとして知られる化学物質の一般名である。本明細書で使用する時、「ゲラニオール」はそのような異性体及び互変異性体を含む。ゲラニオールは、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)より市販されている。適したゲラニオールの誘導体としては、ゲラニルアセテート、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルピロフォスフェート、及びゲラニルゲラニルピロホスフェートが挙げられ、これらすべてがシグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)より市販されている。
【0030】
iii.フィタントリオール及びその誘導体
フィタントリオールは、3,7,11,15,テトラメチルヘキサデカン−1,2,3,−トリオールとして知られる化学物質の一般名である。フィタントリオールは、BASFより市販されている。
【0031】
b.フィトステロール
油溶性フィトステロール誘導体の非限定例としては、β−シトステロール、カンペステロール、ブラジカステロール、ルペノ−ル、α−スピナステロール、スチグマステロール、これらの誘導体、及びこれらの組合せが挙げられる。好ましくは、フィトステロール誘導体は、β−シトステロール、カンペステロール、ブラジカステロール、スチグマステロール、これらの誘導体、及びこれらの組合せから成る群から選択される。
【0032】
フィトステロールは、遊離ステロール、アセチル化誘導体、ステロールエステル、エトキシル化又はグリコシド誘導体として入手できる。更に好ましくは、フィトステロールは遊離ステロールを含まない。フィトステロールは、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)、及びドラゴコ(Dragoco)より市販されている。
【0033】
c.油溶性ビタミン化合物
種々の皮膚効果を提供することが当該技術分野において既知の多数のビタミン類は、油溶性であり、それらの誘導体の一部又はすべてが油溶性である。そのようなものとして、油溶性ビタミン化合物は、本明細書で油溶性スキンケア活性物質として有用である。このような油溶性ビタミン化合物の非限定例としては、レチノイド、ビタミンB3化合物、ビタミンC(例えばパルミチン酸アスコルビル)、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンE、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましいのは、レチノイド、ビタミンB3化合物、ビタミンE化合物、及びこれらの混合物であり、これらは以下により詳細に論じられる。
【0034】
i.レチノイド
本発明で使用するとき、「レチノイド」には、皮膚内でビタミンAの生物学的活性を有するビタミンA又はレチノール様化合物のすべての天然及び/又は合成類縁体、並びにこれらの化合物の幾何異性体及び立体異性体が含まれる。好ましいレチノイドは、レチノール、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネート、レチナール及びこれらの組合せであるが、いかなる油溶性レチノイドも本明細書に使用してよい。これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、複数の供給元、例えば、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)、及びベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)より市販されている。
【0035】
ii.油溶性ビタミンB3化合物
本明細書で有用な油溶性ビタミンB3化合物の非限定例としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、トコフェリルニコチネート)を含むニコチン酸エステルが挙げられる。適したビタミンB3化合物の例は当該技術分野において周知であり、多数の供給源、例えば、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Company)、ICNバイオメディカルズ社(ICN Biomedicals,Inc.)及びアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company)より市販されている。
【0036】
iii.油溶性ビタミンE化合物
油溶性ビタミンE化合物の非限定例としては、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、及びその他のトコフェロールのエステルが挙げられる。好ましい酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、及びこれらの混合物から選択される。物質の一部類、トコトリエノールも本明細書で有用であり、これはビタミンEに関連する。
【0037】
d.抗ニキビ活性物質
油溶性抗ニキビ活性物質の非限定例としては、レゾルシノール及びエリスロマイシンが挙げられる。
【0038】
e.β−ヒドロキシ酸
油溶性β−ヒドロキシ酸の非限定例としては、サリチル酸及びその誘導体、例えばオクタノイル誘導体が挙げられる。β−ヒドロキシ酸は、抗ニキビ及び老化防止効果を提供することが知られている。
【0039】
f.キレート化剤
本明細書で使用するとき、「キレーター」又は「キレート化剤」とは、金属イオンが容易に化学反応に加わったり、化学反応を触媒したりしないように、錯体を形成することによって系から金属イオンを除くことができる活性物質を意味する。本明細書で有用な代表的な油溶性キレート化剤は、米国特許第5,487,884号、国際公開番号91/16035、及び国際公開番号91/16034に開示されている。主題発明の組成物に有用な好ましい油溶性キレート剤は、フリルジオキシム、フリルモノオキシム、及びこれらの誘導体である。
【0040】
g.フラボノイド
フラボノイド化合物は、米国特許第5,686,082号及び第5,686,367号に広く開示されている。本明細書に使用するのに好ましいものは、非置換フラバノン、メトキシフラバノン、非置換カルコン、2’,4−ジヒドロキシカルコン、イソフラボン、及びこれらの混合物である。より好ましいのは、非置換フラバノン、非置換カルコン(とりわけトランス異性体)、イソフラボン、及びこれらの混合物である。
【0041】
本明細書で有用なフラボノイド化合物は、多数の供給元、例えば、インドファイン・ケミカル社(Indofine Chemical Company,Inc.)、ステラロイズ社(Steraloids,Inc.)、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社(Archer Daniels Midland Co.)からのノバソイ(NovaSoy)、及びアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company,Inc.)から販売されている。
【0042】
h.抗炎症剤
本明細書で有用な油溶性抗炎症剤の非限定例としては、副腎皮質ホルモン(例えばヒドロコルチゾン)のようなステロイド性抗炎症剤、及びプロピオン酸誘導体(例えばイブプロフェン、ナプロキセン、及び/又はケトプロフェン)のような油溶性非ステロイド性抗炎症剤が挙げられる。
【0043】
これらの油溶性抗炎症剤の混合物、並びにこれらの薬剤の皮膚科学的に許容可能な塩及びエステルも使用してもよい。例えば、フルフェナム酸の誘導体であるエトフェナメートは、局所適用に特に有用である。
【0044】
本明細書で有用ないわゆる「天然の」抗炎症剤の非限定例としては、天然源(例えば、植物、菌類、微生物の副生成物)から適した物理的及び/又は化学的単離によって抽出物として得られるもの又は合成的に調製できるものが挙げられる。例えば、キャンデリラワックス、ビサボロール(例えば、αビサボロール)、及び/又は植物ステロール(例えば、フィトステロール)が使用されてもよい。
【0045】
i.抗セルライト剤
本明細書で有用な油溶性抗セルライトスキンケア活性物質としては、カフェインのような油溶性キサンチンが挙げられる。
【0046】
j.局所麻酔剤
油溶性局所麻酔剤の非限定例としては、ベンゾカイン、リドカイン、製薬上許容可能なこれらの塩が挙げられる。
【0047】
3.日焼け止め活性物質
本発明の組成物は、日焼け止め活性物質を含んでもよい。適した日焼け止め剤は、UVA吸収特性、UVB吸収特性、又はこれらの組合せを有することができる。日焼け止め活性物質の正確な量は、組成物の所望の太陽光線保護指数(SPF)及び所望のUVA保護レベルに応じて変化する。本発明の組成物のSPFは、少なくとも10、好ましくは少なくとも15であるのが好ましい。(SPFとは、一般に使用される、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護指標である)。SPFは、同一人物において、保護された皮膚に最小限の紅斑を生じさせるのに必要な紫外線エネルギーの、保護されていない皮膚に同じ最小限の紅斑を生じさせるのに必要な紫外線エネルギーに対する比率として定義される。米国官報(Federal Register)、43、第166号、38206〜38269頁、1978年8月25日を参照のこと。)本発明の組成物は、好ましくは、約1重量%〜約40重量%、より好ましくは約4重量%〜約30重量%の有機日焼け止め剤を含む。適した日焼け止め剤としては、ウェニガー(Wenninger)及びマックオーエン(McEwen)編の「CTFA国際化粧品成分辞典及びハンドブック(CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)」、第7版、第2巻、1672頁、化粧品工業会(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.)(ワシントンDC)、1997年)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明の組成物は、好ましくは、約320〜約400nmの波長を有する紫外線を吸収するUVA吸収日焼け止め活性物質を含む。適したUVA吸収日焼け止め活性物質は、ジベンゾイルメタン誘導体、アントラニレート誘導体(例えばメチルアントラニレート及びホモメチル1−N−アセチルアントラニレート)、オキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、及びこれらの混合物から選択される。ジベンゾイルメタン日焼け止め活性物質の例は、米国特許第4,387,089号、並びに日焼け止め剤:開発、評価、及び規制態様(Sunscreens:Development,Evaluation,and Regulatory Aspects)、N.J.ローベ(Lowe)及びN.A.シャース(Shaath)編、マーセル・デッカー・インコーポレーテッド(Marcel Dekker.Inc)(1990年)に記載されている。UVA吸収日焼け止め活性物質は、好ましくは、単独で又は本組成物内に存在し得るその他の紫外線防止活性剤と組合せて、広域スペクトルのUVA保護作用を発揮する量で存在する。
【0049】
日焼け止め活性物質4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンは、ブチルメトキシベンゾイルメタン又はアボベンゾンとしても知られ、ジボダン・ローレ(インターナショナル)社(Givaudan Roure(International)S.A.)よりパーソル(Parsol)(登録商標)1789、及びメルク社(Merck & Co.,Inc.)よりユーソレックス(Eusolex)(登録商標)9020の名前で市販されている。これは室温で固体であるが、本明細書に記載されている膨潤プロセス工程中に存在するか又は組成物に添加された溶媒に溶解することができる。日焼け止め剤4−イソプロピルジベンゾイルメタンは、イソプロピルジベンゾイルメタンとしても知られているが、メルク(Merck)からユーゾレックス(Eusolex)(登録商標)8020の名称で市販されている。
【0050】
本発明の組成物には、約290nm〜約320nmの波長を有する紫外線を吸収するUVB日焼け止め活性物質が更に含まれているのが好ましい。本組成物は、好ましくは、単独で又は本組成物内に存在し得るその他の紫外線防止活性剤と組合せて、UVB保護作用を発揮するのに安全及び有効な量のUVB日焼け止め活性物質を含む。本組成物は、好ましくは約0.1重量%〜約16重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約12重量%、より一層好ましくは約0.5重量%〜約8重量%のUVB吸収日焼け止め活性物質を含む。
【0051】
多種多様なUVB日焼け止め活性物質が、本明細書での使用に適している。このような日焼け止め活性物質の非限定例は、米国特許第5,087,372号、同第5,073,371号及び同第5,073,372号に記載されている。好ましいUVB日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ばれる)、シンナメート、及びこれらの誘導体(例えば、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート及びオクチル−p−メトキシシンナメート)、サルチル酸TEA、ホモメンチルサリチラート、オクチルサリチラート、オクチルジメチルPABA、カンファー誘導体、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物から選択される。好ましい日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ばれる)、オクチル−p−メトキシシンナメート、及びこれらの混合物である。
【0052】
UV日焼け止め剤を安定化させ、紫外線にさらされた時にUV日焼け止め剤が光分解するのを防ぎ、それによってUV保護効果を維持するため、本発明に有用な組成物のいずれかに試剤を加えてもよい。広範囲の化合物がこれらの安定化特性を提供するものとして引用されており、この化合物は、全体として日焼け止め剤及び組成物の双方を相補するように選択すべきである。適した安定化剤としては、米国特許第5,972,316号、同第5,968,485号、同第5,935,556号、同第5,827,508号、及びPCT国際公開特許WO00/06110に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用する安定化剤の好ましい例としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレンと呼ばれる)、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−3,3−ビス(4−メトキシフェニル)アクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。安定化剤のより好ましい例としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(2-ethylhexyl-2-cyano-3 and 3-diphenylacrylate)が挙げられる。
【0053】
本組成物の皮膚に対する実在性を向上させるため、特に水での洗い落とし又はこすり落としに対する耐性を高めるために、本発明で有用な組成物のいずれかに試剤を加えてもよい。このような利点を提供するための好ましい試剤は、エチレンとアクリル酸とのコポリマーである。このコポリマーを含む組成物は、米国特許第4,663,157号に開示されている。
【0054】
4.皮膜形成剤類
皮膜形成剤は、フィルムの実在性及び皮膚への接着性を助けるために本発明の組成物に包含されてもよい。本組成物の耐久性及び非付着特性を改善させることが望まれる。所望の最終効果を付与するために、油溶性、シリコーン流体可溶性、及び非水溶性の皮膜形成剤を組成物に使用することができる。
【0055】
好ましくは、組成物は、約0.001重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約10重量%、より一層好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の皮膜形成剤を含む。
【0056】
適した皮膜形成剤としては次の物質が挙げられる。
1)有機シリコーン樹脂、フッ素化シリコーン樹脂、有機シリコーン樹脂のコポリマー、例えば、GE(SR1000)のトリメチルシロキシシリケート、GEのシリコーン樹脂のコポリマー、例えば、SF1318(シリコーン樹脂及びイソステアリン酸有機エステルコポリマー)及びCF1301(シリコーン樹脂及びαメチルスチレンコポリマー)、ダウ・コーニング(Dow Corning)の感圧性接着剤−シリコーン樹脂及び種々のPDMSのコポリマー(BIO−PSAシリーズ)並びにワッカー・ベルシル(Wacker-Belsil)PMS MK、ワッカー・ベルシル(Wacker-Belsil)TMS803、ワッカー・ベルシル(Wacker-Belsil)SPR45(ワッカー(Wacker)より入手可能)、及び
2)アクリル及びメタクリルポリマー及び樹脂、シリコーン−アクリレート型コポリマー及びそのフッ素化物、例えば3Mのシリコーンを加えたポリマーSA70、信越(Shin-Etsu)のKP545、アルキル−アクリレートコポリマー、例えば、信越(Shin-Etsu)のKP561及びKP562、
3)コラボレイティブラボズ(Collaborative Labs)のデセン/ブテンコポリマー、
4)ポリウレタン、例えば、ポリダーム(Polyderm)PE/PA、ポリダーム(Polyderm)PPI−SI−WS、ポリダーム(Polyderm)PPI−GHを含むがこれらに限定されないアルゾ(Alzo)のポリダーム(Polyderm)シリーズ、BASFのルビセット(Luviset)P.U.R.、ノベオン(Noveon)のアバルア(Avalure)URシリーズ、
5)スチレンを基にした物質、及び
6)セルロース及びセルロースを基にした物質を含むキトサン及びキトサンを基にした物質。
【0057】
5.スキンコンディショニング剤
本発明の組成物は更に、スキンコンディショニング剤を含むことができる。スキンコンディショニング剤は、油溶性保湿剤、剥離剤、又は皮膚軟化剤、から選択されてもよい。好ましくは、組成物は、生成した組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約7.5重量%、より一層好ましくは約1重量%〜約5重量%のスキンコンディショニング剤を含有する。
【0058】
コンディショニング剤が皮膚軟化剤である場合、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、及びエステルから選択されてもよい。イソノニルイソノナノエートは、好ましい炭化水素型の皮膚軟化コンディショニング剤である。その他の炭化水素で用いてもよいものとしては、鉱油、ポリデセンのようなポリオレフィン、及びイソヘキサデカン(ペルメチル(Permethyl)99(登録商標)及びペルメチル(Permethyl)101(登録商標)など)のようなパラフィンが挙げられる。好ましくは、本発明の組成物は、ラノリン及びラノリン誘導体、ステロール(例えばエトキシル化大豆ステロール)、高分子量ポリブテン及びカカオバターのような半固体炭化水素を含有する。
【0059】
脂肪酸及びアルコールは、約10〜約30個の炭素原子を有する。この例としては、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸及びエルカ酸、及びアルコールが挙げられる。
【0060】
油性のエステル皮膚軟化剤は、以下の部類の1つ又は複数から選択されてもよい。
1.植物及び動物の油脂などのトリグリセリドエステル。例としては、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、スクアレン、キクイ油、及び大豆油が挙げられる。
2.アセチル化モノグリセリドなどのアセトグリセリドエステル。
3.エトキシル化グリセリルモノステアレートなどのエトキシル化グリセリド。
4.約10〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル。脂肪酸のメチルエステル、イソプロピルエステル、及びブチルエステルが本明細書で有用である。例としては、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、イソプロピルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジヘキシルデシルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、及びセチルラクテートが挙げられる。
5.約10〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル。例としては、オレイルミリステート、オレイルステアレート、及びオレイルオレエートが挙げられる。
6.エトキシル化脂肪族アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテル−エステル。
7.多価アルコールエステル。有効な多価アルコールエステルは、エチレングリコールモノ及びジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200〜6000)モノ−及びジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−及びジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロール多脂肪性エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,2−ブチレングリコールモノステアレート、1,2−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
8.蜜蝋、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレートなどの蝋エステル。
9.糖及びその関連物質のC1〜C30モノ−及びポリ−エステル。
【0061】
C.溶媒
本発明の組成物は、上述のポリマー用の溶媒を含んでもよい。溶媒は、ポリマーと組合せた時に、そのポリマーを懸濁させ、膨潤させるように作用して、弾力性の三次元ゲルネットワーク又はマトリックスを与える。ポリマーの溶媒は周囲条件下では液体であり、好ましくは低い粘度を有して、皮膚上での延びを向上させる。
【0062】
本発明の化粧品組成物の溶媒の濃度は、主に用いられるポリマーの種類及び量によって変化する。溶媒の好ましい濃度は、組成物の約1重量%〜約98重量%、好ましくは約10重量%〜約60重量%、より好ましくは約15重量%〜約40重量%である。
【0063】
ポリマーの溶媒は、哺乳類の皮膚又は毛髪に局所適用するのに適した1つ又は複数の液体キャリアを含む。これらの液体キャリアは、ポリマーと組合せた場合に約20℃〜約250℃、好ましくは約25℃〜約100℃、好ましくは約28℃〜約78℃で、三次元ゲルネットワークを形成するならば、有機、シリコーン含有又はフッ素含有、揮発性又は不揮発性、極性又は非極性であってもよい。架橋シロキサンポリマーゲルネットワーク用の溶媒は、好ましくは約3〜約13(cal/cm30.5、より好ましくは約4〜約11(cal/cm30.5、より一層好ましくは約5〜約9(cal/cm30.5の溶解度パラメータを有する。液体キャリア又はその他の物質の溶解度パラメータ、及びその溶解度パラメータの決定方法は、化学技術分野で周知である。溶解度パラメータ及びそれらを決定するための手段の説明は、C.D.ボーン(Vaughan)の「製品、包接、浸透及び保存における溶解度効果」(Solubility Effects in Product,Package,Penetration and Preservation)、103、化粧品及びトイレタリー(Cosmetics and Toiletries)、47〜69、1988年10月、及びC.D.ボーン(Vaughan)の「化粧品配合における溶解度パラメータの使用」(Using Solubility Parameters in Cosmetics Formulation)、36、化粧品化学誌(J.Soc.Cosmetic Chemists)、319〜333、1988年9月/10月に記載されている。
【0064】
溶媒には好ましくは、揮発性で非極性の油、不揮発性で比較的極性の高い油、不揮発性で非極性の油、及び不揮発性のパラフィン系炭化水素の油が挙げられる。本明細書で使用する場合、「不揮発性」という用語は、1気圧、25℃において約3,333.06Pa(約0.2mmHg)以下の蒸気圧を示す物質、及び/又は1気圧での沸点が少なくとも約300℃の物質を意味する。本明細書で使用する場合、「揮発性」という用語は、上記で定義した「不揮発性」に当てはまらない全ての物質を意味する。本明細書で使用する場合、「比較的極性の高い」という用語は、溶解度パラメータの点で極性が別の物質よりも高いことを意味し、つまり、溶解度パラメータが高いほど、液体の極性は高くなる。「非極性」という用語は、通常は、物質の溶解度パラメータが約8.0(cal/cm30.5未満であることを意味する。
【0065】
本発明で特に有用な非極性で揮発性の油は、シリコーン油、炭化水素、及びこれらの混合物から成る群より選択される。このような非極性で揮発性の油は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編「コスメティック・サイエンス・アンド・テクノロジー(Cosmetics,Science,and Technology)」(1972年)第1巻、27〜104頁に開示されている。好ましい非極性で揮発性の炭化水素の例には、イソドデカン及びイソデカン(例えば、プレスパースから入手可能なペルメチル(permethyl)−99A)などのポリデカン、及びC7〜C8からC12〜C15までのイソパラフィン(例えば、エクソン・ケミカルズ(Exxon Chemicals)から入手可能なイソパール(Isopar)シリーズ)が挙げられる。非極性の揮発性液体シリコーン油は、米国特許第4,781,917号に開示されている。特に好ましい揮発性シリコーン油は、次式に相当する環式揮発性シリコーン、
【0066】
【化2】

(式中、nは約3〜約7である)、及び次式に相当する直鎖状揮発性シリコーン、
(CH33Si−O−[Si(CH32−O]m−Si(CH33
(式中、mは約1〜約7である)から成る群より選択される。直鎖状揮発性シリコーンは一般的には25℃で約5E−6m2/s(約5センチストークス)未満の粘度を有するが、環状シリコーンは25℃で約1E−5m2/s(約10センチストークス)未満の粘度を有する。好ましい揮発性シリコーン油の例としては、様々な粘度のジメチコン又はシクロメチコン、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)200、ダウ・コーニング(Dow Corning)244、ダウ・コーニング(Dow Corning)245、ダウ・コーニング(Dow Corning)344、及びダウ・コーニング(Dow Corning)345、(ダウ・コーニング(Dow Corning Corp)社より市販されている)、SF−1204及びSF−1202シリコーン流体(G.E.シリコーンズ(G.E.Silicones)より市販されている)、GE7207及び7158(ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Co.)より市販されている)、及びSWS−03314(SWSシリコーンズ・コーポレーション社(SWS Silicones Corp.)より市販されている)が挙げられる。
【0067】
本発明で潜在的に有用な比較的極性の高い不揮発性油は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編「コスメティック・サイエンス・アンド・テクノロジー(Cosmetics,Science,and Technology)」(1972年)第1巻、27〜104頁、米国特許第4,202,879号及び米国特許第4,816,261号に開示されている。本発明で有用な比較的極性の高い不揮発性の油は好ましくは、シリコーン油、炭化水素油、脂肪族アルコール、脂肪酸、一及び二塩基カルボン酸とモノ及び多価アルコールとのエステル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、脂肪族アルコールのポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンエーテルの混合物、並びにこれらの混合物から成る群より選択される。好ましい比較的極性の高い不揮発性の溶媒は、約12〜約26個の炭素原子を有する分子鎖脂肪族アルコールである。同じく好ましい比較的極性の高い不揮発性の溶媒は、イソセチルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール及びウンデシルペンタデカノールであり、より一層好ましいのはオクチルドデカノールである。これら好ましい脂肪族アルコールは、本明細書で示す揮発性液状シリコーン油と組合せて溶媒の平均溶解度を調整するのに特に有用である。
【0068】
代表的な不揮発性、非極性皮膚軟化剤は、例えば、バルサム(Balsam)及びサガリン(Sagarin)編「コスメティック・サイエンス・アンド・テクノロジー(Cosmetics,Science,and Technology)」(1972年)第1巻、27〜104頁、及び米国特許第4,202,879号及び同第4,816,261号に開示されている。本発明で有用な不揮発性の油は、本質的に不揮発性のポリシロキサン、パラフィン系炭化水素油、及びこれらの混合物である。本発明で有用なポリシロキサンは、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択され、例えばダウ・コーニング(Dow Corning)200流体シリーズ(ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corp.)が販売)、SF1075メチルフェニル流体(ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)が販売)及び556 コスメティック・グレード液(Cosmetic Grade Fluid)(ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corp.))が販売である。本発明で有用な不揮発性パラフィン系炭化水素油としては、鉱油並びにパルメチル(Permethyl)102A、パルメチル(Permethyl)103A、及びパルメチル(Permethyl)104A(パルメチル・コーポレーション(Permethyl Corporation)が販売)のような特定の分岐鎖炭化水素が挙げられる。
本明細書で有用な追加の溶媒は、米国特許第5,750,096号に記載されている。
【0069】
D.任意成分
1.固体粒子
本発明の組成物は、1つ以上の固体粒子を更に含んでもよい。粒子は、最終製品組成物に添加されてもよく、又は本明細書でポリマーの架橋として記載されているポリマーの重合の間にポリマー内に封入されてもよい。本明細書で使用する時、「封入される」という用語は、前記ポリマーであるキャリアマトリックスの隙間(又は空間)内に固体粒子が永続的に含まれることを意味する。通常は、本発明の組成物は、光沢調整剤、ソフトフォーカス粉末(soft focus powders)、日焼け止め剤粉末、着色剤、充填剤粉末、及びこれらの組合せから成る群から選択される固体粒子を含むであろう。本明細書で使用する時、「着色剤」は、一般に、顔料、レーキ、トナー、染料又は材料に色の発現を付与するために使用される他の試剤を指す。
【0070】
組成物の「固体粒子」として使用できる顔料、着色剤、又は充填剤粉末に関する制限は特にない。それぞれは、体質顔料、無機白色顔料、無機着色顔料、パール剤などであってもよい。具体例としては、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、ウルトラマリン、ポリエチレン粉末、メタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、シルク粉末、結晶性セルロース、デンプン、チタン酸雲母、酸化鉄チタン酸雲母(iron oxide titanated mica)、オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。本明細書で有用な着色剤類、顔料類、及び粉末類は、米国特許第5,505,937号及び米国特許第5,688,831号に記載されている。本明細書ではカルシウムレーキ及びバリウムレーキも使用される。
【0071】
BASFのナノ着色剤のような顔料及び/又は染料内包物及びBASFのシコパール(Sicopearls)のような多層干渉顔料も固体粒子として本明細書で有用である。
本発明の色素及び顔料とともに分散剤も使用してもよい。適した分散剤の例としては、米国特許第5,688,493号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
特定の光沢調整剤は、本組成物の固体粒子として使用するのに適してある。このような試剤又は粒子としては、シリカ、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、タルク、セリサイト、及び種々の有機コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。特に効果的な光沢調節剤としては、カーボネート又はシリケートを、アルカリ(IA)金属、アルカリ土類(IIA)金属又は遷移金属、及びシリカ類(二酸化ケイ素)と反応させて形成されるシリケート又はカーボネートが挙げられる。好ましい光沢調整剤は、ケイ酸カルシウム、非晶性シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、及びこれらの組合せから成る群から選択される。本発明で有用なケイ酸塩及び炭酸塩の具体例の一部は、ヴァン・ノストランド・レイノルドの化学百科事典(Van Nostrand Reinhold's Encyclopedia of Chemistry)、第4版(1984年)の155、169、556、及び849頁で、更に詳細に説明されている。光沢調整剤の合成版、特にケイ酸塩が好ましい。本発明で有用な合成ケイ酸塩の例としては、J.M.フーバー(J.M.Huber)から市販されているフーバーソルブ(Hubersorb)250(登録商標)又はフーバーソルブ(Hubersorb)600(登録商標)が挙げられる。デンプン基剤物質を光沢調整剤として用いてもよい。有用な例は、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル・カンパニー(National Starch and Chemical Company)からのナトロソルブ(Natrosorb)W、ナトロソルブHFW、ドライフロ(DryFlo)Plus、及びドライフロAF Pureである。
【0073】
2.固化剤
本発明の化粧品組成物は、本明細書において単独で又は総称的に「固化剤」と呼ばれる物質を1つ又は複数含有することができ、この物質は、化粧品組成物で使用される特定の液体ベースの物質を固化させるのに有効である。(本明細書で使用する場合、「固化させる」という用語は、周囲条件下で固体又は半固体になるように、つまり、通常の使用条件において安定な物理的構造を有し、皮膚に付着する最終組成物を形成するように液体ベースの物質を物理的及び/又は化学的に変化させることを指す。)
適した固化剤としては、キャンデリラ、カルナウバ蝋、蜜蝋、鯨蝋、カルナウバ、ヤマモモ、モンタン、オゾケライト、セレシン、パラフィンのような蝋状物質、フィッシャートロプシュ蝋、シリコーン蝋(例えばダウ・コーニング(Dow Corning)のDC2503など)、微結晶蝋などのような合成蝋、高級脂肪酸(すなわち約12〜約22個の炭素原子を有する酸)のナトリウム塩及びカリウム塩のような石鹸、高級脂肪酸アミド、アルキロールアミンの高級脂肪酸酸アミド、ジベンズアルデヒド−モノソルビトールアセタール、アセテート、プロピオネート及びラクテートのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
また疎水変性セルロースも、本明細書での使用に適している。このようなセルロースは、米国特許第4,228,277号及び米国特許第5,104,646号に詳細に記載されている。適したゲル化剤の更なる例は、コスメティック・ベンチ・リファレンス(Cosmetic Bench Reference)の1.27頁に記載されている。
【0075】
3.防腐剤
本発明の組成物に対する適した従来の防腐剤は、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。最近になって使用されるようになったその他の防腐剤には、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントインのようなヒダントイン誘導体、プロピオネート塩、並びに塩化ベンザルコニウム、クアテルニウム15(ダウィシル(Dowicil)200)、塩化ベンゼトニウム、及び塩化メチルベンゼトニウムのような種々の第四級アンモニウム化合物が挙げられる。特に好ましい防腐剤は、EDTA二ナトリウム、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素(ガーモール(Germall)1157として市販)、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールである。
【0076】
4.皮膚漂白剤及び美白剤
本発明のスキンケア組成物は、皮膚漂白剤又は美白剤を含んでもよい。好ましくは、皮膚漂白剤又は美白剤は油溶性である。適した皮膚漂白剤又は美白剤としては、レチニルプロピオネート、PCT国際公開特許WO2076423A3に相当する米国特許出願第20020182237A1号に記載されているn−アルキルグルコサミン、ヘキサミジン、ヒドロキノン、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸を含む当該技術分野において既知のものが挙げられる。本明細書に用いるのに適したその他の美白物質としては、ウンデシレノイルフェニルアラニン(SEPPICのセピホワイト(Sepiwhite)(登録商標))、アロエシン、アクチホワイト(Actiwhite)(登録商標)(コグニス(Cognis))、エンブリカ(Emblica)(登録商標)、及びアゼログリシナ(Azeloglicina)が挙げられる。本明細書に用いるのに適した美白剤には、米国特許第6,068,834号に記載されているものも挙げられる。
【0077】
5.その他の任意成分
種々の追加成分を本発明の組成物に組み入れることができる。追加成分の非限定例としては、ペプチド、グリセロール、尿素、グアニジンのような追加のスキンケア活性物質、アスコルビン酸、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB3、ビタミンB5及びこれらの混合物のようなビタミン類、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、及びアミノシリコーン類(例えば、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)/FMシリーズ、ワッカー(Wacker)/ベルシル(BELSIL)シリーズ、Osi/シルソフト(SILSOFT)シリーズ、及びCTFA第9版の第1巻、107頁に列挙されているもの)、抗ニキビ薬剤、酸化防止剤、抗菌活性物質、抗ウイルス活性物質、抗カビ活性物質、毛孔減少活性物質及び制汗剤、皮膚鎮静剤及び治癒剤(例えば、アロエベラ抽出物、アラントイン)、キレート化剤及び隔離剤、並びに精油、芳香剤、皮膚感覚剤、不透明化剤、芳香化合物(例えば、丁子油、メンソール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール)のような審美剤が挙げられる。
【0078】
II.処方プロセス
A.ポリマーの架橋
ポリマーを架橋する方法は、米国特許第6,531,540B1号、米国特許第6,444,745B1号、米国特許第6,346,583B1号、米国特許第4,970,252号、米国特許第4,987,169号、米国特許第5,654,326号に記載されている。具体的には、架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークが本組成物のポリマーとして使用される場合、このようなポリマーゲルネットワークは、多数の方法によって誘導されてもよい(すなわち様々な出発物質から形成されてもよい)。適したポリマーゲルネットワークとしては、白金金属触媒の下でSiH含有ジオルガノポリシロキサンとシリコーン結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの付加反応により硬化する付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物、有機スズ化合物の存在下でヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンとの脱水素反応により硬化する縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物、有機スズ化合物又はチタン酸エステルの存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解可能なオルガノシランとの縮合反応(この縮合反応は、脱水、アルコール遊離、オキシム遊離、アミン遊離、アミド遊離、カルボキシル遊離、及びケトン遊離反応によって例証される)により硬化する縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物、オルガノペルオキシド触媒の存在下で熱硬化するペルオキシド硬化型オルガノポリシロキサン組成物、並びにガンマ線、紫外線、又は電子線のような高エネルギー放射線法により硬化するオルガノポリシロキサン組成物が挙げられる。
【0079】
迅速な硬化速度及び優れた硬化均一性から、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物が好ましい。特に好ましい付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)各分子に少なくとも2つの低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、
(B)各分子に少なくとも2つのシリコーン結合した水素を有するオルガノポリシロキサン、
(C)白金型触媒、及び任意に
(D)不活性液体から調製される。
【0080】
上記に関して、構成成分(A)はシリコーンポリマーゲルネットワークを生成するオルガノポリシロキサンの基本構成成分であり、硬化は、構成成分(C)による触媒の下でこの構成成分と構成成分(B)との付加反応によって進む。構成成分(A)は、各分子中に、少なくとも2つのシリコーン結合低級アルケニル基を含有し、低級アルケニル基が2つ未満では、ネットワーク構造が形成されないので、十分に硬化した生成物が得られない。低級アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、及びプロペニルが挙げられる。低級アルケニル基は、分子中のどの位置にも存在することができるが、分子末端に存在することが好ましい。この構成成分の分子構造は、直鎖、分岐状直鎖、環状、又は網状であってもよいが、直鎖であって、可能性としてやや分岐状のものが好ましい。構成成分の分子量の制限は特にないので、粘度は低い粘度の液体から極めて高い粘度のゴムであってもよい。硬化生成物がゴム状ポリマーゲルネットワークの形態で得られるためには、25℃での粘度は少なくとも0.0001m2/s(100センチストークス)であるのが好ましい。
【0081】
構成成分(B)は、各分子の中に少なくとも2つのシリコーン結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンであり、構成成分(A)の架橋剤である。構成成分(C)による触媒の下、この構成成分のシリコーン結合した水素原子と構成成分(A)の低級アルケニル基との付加反応によって硬化が進行する。構成成分(B)は、架橋剤として機能するためには、各分子の中に少なくとも2つのシリコーン結合の水素原子を含有する。更に、構成成分(A)の各分子におけるアルケニル基の数と構成成分(B)の各分子におけるシリコーン結合した水素原子の数の合計は少なくとも5となるべきである。ネットワーク構造が本質的に形成されないので、5未満にならないようにしなければならない。
【0082】
構成成分(C)は、シリコーン結合した水素原子とアルケニル基との付加反応の触媒であり、例えば、塩化白金酸、できればアルコール又はケトンに溶解させてその溶液を任意で熟成させた塩化白金酸、塩化白金酸−オレフィン錯体、塩化白金酸−アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸−ジケトン錯体、白金黒、及びキャリア担持白金である。この構成成分は、構成成分(A)と(B)の総量の厳密に1,000,000重量部当たりの重量部が好ましくは0.1〜1,000、更に好ましくは1〜100である白金型金属として添加する。
構成成分(D)は、必要であればプロセスの反応速度を促進するために添加される液体である。
【0083】
オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワーク粉末の製造の一例としては、上述のオルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、又はペルオキシド硬化型)を界面活性剤(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は両性)の存在下で水と混合する方法が挙げられる。ホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー、プロペラミキサー等の中で均質になるまで混合した後、これを温水(少なくとも50℃の温度)中に排出することによって硬化し、その後乾燥する。オルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、又はペルオキシド硬化型)は、加熱された流れの中に直接噴霧することによって硬化する。放射線硬化型オルガノポリシロキサン組成物を、高エネルギー放射線の下で噴霧することによって硬化することで、粉末が得られる。オルガノポリシロキサン組成物(付加硬化型、縮合硬化型、又はペルオキシド硬化型)又は高エネルギー硬化型オルガノポリシロキサン組成物を硬化し(後者は高エネルギー放射線法によって)、生成物を続いて、例えばボールミル、アトマイザ、ニーダー、ロールミル等のような既知の粉砕機を使用して粉砕し、それによって粉末を形成する。適したオルガノポリシロキサンポリマーネットワーク粉末類としては、信越(Shin-Etsu)のKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105のようなビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー、信越のKSP−200のようなフルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、信越のKSP−300、及びダウ・コーニング(Dow Corning)のDC9506のようなフェニル基含有ハイブリッドシリコーン粉末が挙げられる。
【0084】
好ましいオルガノポリシロキサン組成物は、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。かかるジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーは、ダウ・コーニング(Dow Corning)(DC9040及びDC9041)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)(SFE839)、信越(Shin-Etsu)(KSG−15、16、18[ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー])、及びKSG−21[ジメチコンコポリオールクロスポリマー])、グラントインダストリーズ(Grant Industries)(グランシル(Gransil)(商標)系列の物質)を含む種々の供給元から供給されており、ラウリルジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーは信越(Shin-Etsu)から供給され(例えば、KSG−41、KSG−42、KSG−43、及びKSG−44)、ラウリルジメチコン/ジメチコンコポリオールクロスポリマーも信越(Shin-Etsu)から供給される(例えば、KSG−31、KSG−32、KSG−33、及びKSG−34)。本発明で使用するのに適した信越(Shin-Etsu)製の追加のポリマー類には、KSG−210、−310、−320、−330、及び−340が挙げられる。本発明で有用な架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワーク及びその製造方法は、米国特許第4,970,252号、米国特許第5,760,116号、米国特許第5,654,362号、及び日本国特許JP61−18708に更に記載されている。
【0085】
本特許請求の範囲に記載されている組成物に含むのに適した別のシリコーン系ポリマーは、1つ以上のポリエーテルブロックであって、各々がi)式−R1O−の構造単位を2つ以上含み、式中、各R1は独立して二価の炭化水素基又はR2であり、R2は三価の炭化水素基である前記ポリエーテルブロックと、ii)1つ以上のポリシロキサンブロックであって、各々が式−R32SiO2/2−の構造単位を2つ以上含み、式中各R3は独立して一価の炭化水素基又はR2である前記ポリシロキサンブロックとを含むポリエーテルシロキサンブロックコポリマーネットワークであって、該コポリマーネットワークの少なくとも1つのポリエーテルブロックが、次式による結合でコポリマーネットワークの少なくとも1つのポリシロキサンブロックに結合されている。
【0086】
【化3】

式中、この式のR2O単位は少なくとも1つのポリエーテルブロックの単位であり、この式の構造、R23SiO2/2単位は、少なくとも1つのポリシロキサン単位の単位である。このコポリマーネットワークは、米国特許第6,444,745B1号及び米国特許第6,531,540号に更に詳細に記載されている。
【0087】
本発明の組成物は、乳化、非乳化、又はそれらの組合せの、架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークをポリマーとして含む。乳化架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークは、米国特許第5,412,004号、米国特許第5,837,793号、及び米国特許第5,811,487号に記載されている架橋ポリマーから特に選択できる。
【0088】
B.膨潤、ゲル粒子形成、及び活性剤取り込み
三次元オルガノポリシロキサンネットワークの形成における上述の架橋反応工程の終了時に、オルガノポリシロキサンの製造工程は、1つ以上の活性剤によるポリマーの均質混合(intimate mixing)及び膨潤を必要とし、そこで活性剤はゲルに取り込まれるようになる。任意に、1つ以上の溶媒と組合せた1つ以上の活性剤によるポリマーの均質混合及び膨潤を、活性剤を取り込んだゲルを形成するために用いることができる。これは、上述のポリマーと活性剤及び任意に溶媒との可能な異なる組合せを剪断力で処理することによって達成される。熟練者にとって、このプロセスはゲルの「混練」又は「均質化」として知られる。
【0089】
混合、膨潤、及びゲル形成段階の間に、1つ以上の活性剤又は1つ以上の活性剤と1つ以上の溶媒との組合せは、一度に又は少しずつ増やして、上述の混練プロセスの前又は間に、直前に架橋されたポリマーに導入される。さらに、ゲルの形成における均質混合及び膨潤を促進するため、剪断力の形での機械的エネルギーの入力も、所望のゲル粒径へのゲルの破砕を援助する。本発明の架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークは、好ましくは、膨潤及び所望の寸法のゲル粒子へのゲルの形成を促進するために機械的エネルギーをシステムに導入する多数のプロセスによってさらに加工される。この種の剪断力処理の例は、3本ロールミル、2本ロールミル、サンドグラインダ、コロイドミル、及びガウリン(Gaulin)ホモジナイザーである。使用する装置及び所望のゲル特性、例えば粒径及びゲル濃度に依存して、異なる滞留時間又は1を超えるパスのゲルシステムを装置に通すことが必要な場合がある。本発明で利用されるプロセスの具体例の一つは、ゲルネットワークを、シロキサンポリマーゲルネットワークのための溶媒の存在下にて、10パス未満でソノレーター(Sonolator)を介して、高剪断力およそ34,474kPa(5,000psi))処理にかけることである。ソノレーターを使用すると、ホリバ(Horiba)LA−910で測定した時に約5μm〜約200μm、好ましくは約20〜約100μm、より好ましくは約25〜約80μm、より一層好ましくは約30〜約65μmの範囲のポリマーゲルネットワーク平均粒径を有する組成物が得られる。本発明の組成物を、例えばコスチュームメークアップ又は流行用メークアップ製品などの代表的な化粧品目的に利用する場合、より広範囲の粒径がおそらく適しているであろう。この場合、ポリマー粒子は、ホリバ(Horiba)LA−910によって測定した時に、約20μm〜約200μm、好ましくは約30μm〜約150μm、より好ましくは約40μm〜約95μm、より一層好ましくは約50μm〜約90μmの範囲であってもよい。本明細書で使用する時、ポリマーゲルネットワークの「粒径」という用語は、その膨潤状態のポリマーゲルネットワーク粒径を指す。本明細書で使用する時、「膨潤した」とは、ポリマーゲルネットワーク粒子が溶媒化合物を吸収することによって、通常のサイズ及び形状を超えて拡大したことを意味する。ゲルの粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)LV粘度計(サイズ400kPa(4bar)、60rpm、0.3sec)を使って25℃において測定した時に、約20,000〜約6,000,000、好ましくは約25,000〜約4,000,000、より好ましくは約30,000〜約3,000,000、より一層好ましくは約40,000〜約2,000,000、より一層好ましくは約60,000〜約1,500,000の範囲であるのが最も良い。
【0090】
好ましくは、架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークは、再生処理しない。理論に束縛されるものではないが、再生処理すると、本発明の肌触り効果を達成するために必要な大きさよりも大きい粒子又は小さい粒子まで含まれるなど、粒径分布が広範囲に及んでしまう。特に、ゲル球は、200μmより大きいシリコーンポリマーゲルネットワーク粒子を生じることが多い一方で、10μmより小さいポリマーゲルネットワーク粒子は肌触り及び粘度効果を低減する。全てのポリマーゲルネットワーク粒子物質が処理中にわたって同じ剪断力を受けなかった場合に、このような粒径分布になる。通常は、再生処理を行うと、粒子の一部だけが剪断を受け、その後この剪断を受けた粒子が処理の開始時点に戻り、残りの剪断を受けていない粒子と混合される。同様に、次のサイクルがこの粒子混合物の一部分だけが剪断を受けた状態で始まり、その後、新たに剪断を受けた混合粒子が処理の開始時点に戻り、残りの剪断を受けていない粒子混合物と混合される。重要なことに、多量の再生処理をした後でさえ、高剪断を受けた粒子がある一方で、実際に剪断を受けていない粒子も存在する。その結果、本発明を実現するのに必要な大きさよりも大きい粒子と小さい粒子が発生してしまい、粒径範囲が広がってしまう。
【0091】
それに対し、前述のように、別の経路処理を使用すれば、確実に全ての粒子が剪断を受け、各処理又は経路で同じ剪断を受けるようにすることができる。更に具体的には、全ての粒子が同じ剪断力を受けるまでは、処理又は経路が継続される。従って、特定の粒径に対して「再処理」を行う場合よりも、粒径分布が狭くなる。その結果、ゲル球の形成と粘度、及び肌触りと粘度のバランスがよくなる。
【0092】
(関連方法)
本出願人は、本発明の組成物が、哺乳類の皮膚及び毛髪の機能強化を指向する種々の適用に有用であることを見出した。本明細書で開示され、請求されている組成物の使用方法には次の方法が挙げられるが、これらに限定されない。1)皮膚に対する化粧品の実在性を高める方法、2)皮膚に潤いを与える方法、3)皮膚の自然な外観を改善する方法、4)皮膚に着色化粧品を適用する方法、5)しわを防ぎ、その発生を遅らせ、及び/又はそれを処置する方法、6)皮膚にUV保護を提供する方法、7)油っぽい外観を防ぎ、その発生を遅らせ、及び/又はそれを制御する方法、8)皮膚の感触及びキメを改質する方法、9)均一な皮膚の色調を提供する方法、10)クモの巣状血管及び静脈瘤の出現を防ぎ、遅らせ、及び/又は処置する方法、11)皮膚上のうぶ毛の外観を覆い隠す方法、及び12)ニキビ、加齢斑、ソバカス、あざ、瘢痕、目の下のくま、誕生斑、炎症後の過剰色素形成などを含むヒトの皮膚における欠点及び/又は不完全さを隠す方法、13)皮膚の色を向上又は改質する、例えば明るくする、暗くする、よりピンク色にする、より黄色にする、くすみを低減する、青白さを低減する、赤味を低減する、輝きを増大する方法、14)人工的に日焼けさせる方法、15)白斑を隠す方法、16)外傷、例えば美容手術、火傷、皮膚の緊張などの結果として皮膚がこうむる損傷を隠す方法、並びに17)しわ、小じわ、孔、不均一な皮膚表面などを隠す方法。本明細書で取り上げた各方法には、請求された組成物を皮膚に局所的に適用することが含まれている。
【0093】
以下の実施例によって、本発明の実施形態を更に詳細に説明する。指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲で示す部、パーセンテージ、及び割合は全て重量である。
【実施例】
【0094】
以下は、本発明の組成物の非限定例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変が可能であり、当該分野における一般的な知識を有する者には、これらのことは理解されよう。実施例においては、すべての濃度が重量%として列挙されており、特に指定のない限り、希釈剤、充填剤などの微量物質は除外されてもよい。そのため、列挙する配合物は、列挙した構成成分及びこのような構成成分に関連するいかなる微量物質も含む。当業者にとって明白なように、このような微量成分の選択は、本明細書に記載されるように本発明を作るために選択された特定成分の物理的及び化学的特質に依存して変化することになる。
【0095】
(実施例I)
本発明の口紅組成物を以下のように調製する。
【0096】
【表1】

1#1154−141−1、GEシリコーンズ(GE Silicones)により供給
2ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
【0097】
会合構造相の成分は、顔料を除き、会合構造が形成されるまで混合される。会合構造が形成された後、顔料を添加し、3本ロールミルにかける。続いて、混合物を残りの成分と混合し、均質混合物が得られるまで混合する。あるいは、上記構成成分を一緒に同時に添加及び混合する。この混合物を、混合しながら、85℃に加熱し、続いて室温で鋳型に注ぐ。
【0098】
口紅は唇に適用され、色、保湿及び改善された唇の感触を提供する。
【0099】
(実施例II)
本発明のマスカラを以下のように調製する。
【0100】
【表2】

1ヘンケル/エメリー(Henkel/Emery)からエメレスト(Emerest)2400として入手可能。
2クローダ(Croda)社からシンクロワックス(Syncrowax)HGL−Cとして入手可能。
3ハーキュレス社(Hercules,Inc.)からフォラル(Foral)105として入手可能。
4ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)からベルベシル(Velvesil)として入手可能。
5ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)から、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
6セントラル・ソイ(Central Soya,Inc.)よりセントロレックス(Centrolex)Fとして入手可能。
7ジボダン(Givaudan)よりアンフィソル(Amphisol)Kとして入手可能。
【0101】
熱源を備えた容器の中で蝋状物質と脂肪を混合する。蝋状物質及び脂肪を加熱し、従来の混合機を用いて低速にて混合し、混合物を液状化する。混合物が均質になるまで混合を継続する。該均質混合物に顔料を添加する。均一に分散されるまで約30〜35分間、混合速度を高め、混合物中に顔料を混合する。混合は、乳化剤を添加している間継続する。
【0102】
水を、熱源を備えた第二の容器に添加し、続いてナイアシンアミド、レシチン及びその他の水分散性構成成分を添加する。混合物を、約80〜95℃の温度に加熱及び混合する。水の損失を考慮に入れるため、必要に応じて追加の水を添加する。
【0103】
該水性及び親油性混合物を、ディスパーサター(dispersator)型ミキサを使用して組合せ及び混合する。混合物が約65〜70℃の温度に冷えるまで、混合を継続する。混合しながら防腐剤を添加し、混合物を約45〜47℃にさらに冷やす。残りの構成成分を混合しながら添加する。合わせた混合物を上記の凝固点を超える温度まで冷却し、次いで適した容器に注ぐ。
【0104】
該マスカラ組成物は睫毛及び/又は眉毛に適用され、柔軟化、保湿、及びコンディショニングを提供する。
【0105】
(実施例III)
本発明の保湿UV保護ローションを以下のように調製する。
【0106】
【表3】

1ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
2ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)より、15%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、4.6%オクチルサリチラート、4.5%オキシベンゾン−3、10.8%オクチルメトキシシンナメート、30%イソドデカン及び35%シクロメチコンD5として入手可能。
3ダウ・コーニング社(Dow Corning Company)よりシクロメチコン中13%ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーとして入手可能。
4コボ・プロダクツ(Kobo Products Inc.)より供給されるフロビーズ(Flobeads)EA209。
【0107】
適したステンレス鋼容器に、シクロメチコン、エラストマー−コポリオールゲルブレンド、エラストマー−UV活性ゲルブレンド、DC9040及びプロピルパラベンを、従来の混合技術を使用して混合しながら添加し、均質になるまで混合する。別の容器で、ナイアシンアミド及び水を、従来の混合技術を使用して均質になるまで混合する。グリセリン、エチレン/アクリル酸コポリマー微小球及びメチルパラベンを、均質になるまで混合しながら該ナイアシンアミド溶液に添加する。次に、ナイアシンアミド混合物をシクロメチコン混合物と組合せ、従来の混合技術を使用して均質になるまで混合する。組合せた混合物を、続いて、適した容器に注ぐ。
【0108】
該保湿化粧ローションは顔及び/又は身体に適用され、柔軟化、保湿、及びコンディショニングを提供する。
【0109】
(実施例IV)
本発明のUV保護機能を備えたリキッドファンデーションを以下のように調製する。
【0110】
【表4】

1ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
2ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、20%オクチルメトキシシンナメート、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
【0111】
シクロメチコン、エラストマー−コポリオールゲルブレンド、エラストマー−UV活性ゲルブレンド、イソノニルイソノナノエート、n−プロピル−4−ヒドロキシ安息香酸、及びエチレンブラシレートを、適したステンレス鋼容器に、従来混合技術を使用して混合しながら添加し、均質になるまで混合する。熱源を備えた別の容器に、スクロースオレエートエステル及び水を添加し、50℃まで加熱し及び従来の混合技術を使用して均質になるまで混合する。該スクロースオレエートエステル混合物を、続いて、室温まで冷ます。冷却後、二酸化チタン、酸化鉄、メチルパラヒドロキシベンゾエート、グリセリン、及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールをスクロースオレエートエステル混合物に混合しながら添加し、均質な顔料スラリーを形成する。次に、スクロースオレエートエステル混合物をシクロメチコン混合物と組合せ、従来の混合技術を使用して均質になるまで混合する。組合せた混合物を、続いて、適した容器に注ぐ。
【0112】
該リキッドファンデーションは顔に適用され、柔軟化、保湿及びコンディショニングを提供する。
【0113】
(実施例V−XIII)
顔の保湿、UV保護及び脂っぽい/光沢のある外観の出現の低減を提供するために有用なクリームファンデーション
【0114】
【表5−1】

【0115】
【表5−2】

*=酸化鉄と二酸化チタンとの混合物
1ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より、15%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、4.6%オクチルサリチラート、4.5%オキシベンゾン−3、10.8%オクチルメトキシシンナメート、30%イソドデカン及び35%シクロメチコンD5として入手可能。
2ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
3ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)からベルベシル(Velvesil)として入手可能。
【0116】
シクロメチコン、エラストマー−UV活性ゲルブレンド、エラストマー−コポリオールゲルブレンド、シリコーンエポキシゲル、イソエイコサン、及びビタミンEアセテートを、適したステンレス鋼容器内で、均質になるまで混合する。熱源を備えた別の容器内で、水相の物質を50℃まで加熱し及び均質になるまで混合する。日焼け止め物質、防腐剤、皮膜形成剤、及び微粒子を、シクロペンタシロキサンバッチに添加し、均質になるまで混合する。固化剤を使用する場合、シクロペンタシロキサン混合物を80〜95℃に加熱し、固化剤を溶融するまで添加する。水相及びシリコーン相を30℃未満まで冷却し、高剪断混合下で混合して、エマルションを形成する。
【0117】
(実施例XIV)
化粧品組成物を以下のように製造する。
【0118】
【表6】

1ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より、15%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、4.6%オクチルサリチラート、4.5%オキシベンゾン−3、10.8%オクチルメトキシシンナメート、30%イソドデカン及び35%シクロメチコンD5として入手可能。
2ゼネラル・エレクトリック社(General Electric Company)より、12.5%シリコーンクロスポリマーエポキシゲル、5%シリコーンポリエーテル、及び82.5%シクロメチコンD5として入手可能。
【0119】
顔料を含有する相(B)の成分の各々を組合せ、5000rpmで30分間又は成分が分散されるまで混合する。非顔料含有相(A)の成分の各々を組合せ、最大1300rpmで均質になるまで(約10〜15分間)混合する。水相(B)を、エマルションが適切に混合されるまでゆっくりとシリコーン相に添加する。混合された後、混合物を適切な容器に注ぎ、使用のため保存する。
【0120】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0121】
「背景技術」「課題を解決するための手段」、及び「発明を実施するための最良の形態」で引用されるすべての文献は、その関連部分において、本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用もそれが本発明に関して先行技術であるという容認として解釈されるべきではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.オルガノポリシロキサンポリマーを架橋させる工程と、
b.1つ以上の活性剤を含む液体を導入することにより前記ゲルネットワークを形成するために前記オルガノポリシロキサンポリマーを膨潤させる工程とからの方法により得られる、
ポリマーのゲルネットワークを含むパーソナルケア製品であって、前記活性剤が前記ゲルネットワーク中に取り込まれていることを特徴とするパーソナルケア製品。
【請求項2】
前記液体が1つ以上の溶媒を含み、前記溶媒又は各々の溶媒が、シリコーンオイル、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、エステル、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項3】
前記オルガノポリシロキサンポリマーが、直鎖状ポリマー、非直鎖状ポリマー、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項1または2に記載のパーソナルケア製品。
【請求項4】
前記オルガノポリシロキサンポリマーが、非乳化ポリマーゲルネットワーク、乳化ポリマーゲルネットワーク、及びこれらの組合せから成る群から選択される架橋オルガノポリシロキサンポリマーゲルネットワークである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項5】
前記活性剤が、乳化剤及び両親媒性分子、油溶性活性物質、日焼け止め活性物質、抗ニキビ活性物質、抗しわ活性物質、抗炎症活性物質、スキンコンディショニング剤、酵素材料、皮膜形成剤、及びこれらの組合せから成る群から選択される、前記請求項1〜4のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。
【請求項6】
前記乳化剤が、ジメチコンベースの乳化剤、乳化シリコーンエラストマー、及びこれらの組合せから成る群から選択され、好ましくはジメチコンコポリオールである、請求項5に記載のパーソナルケア製品。
【請求項7】
前記油溶性活性物質が、油溶性テルペンアルコール、フィトステロール、抗ニキビ活性物質、βヒドロキシ酸、キレート化剤、フラボノイド、抗炎症剤、抗セルライト剤、局所麻酔剤、及びこれらの組合せから成る群から選択される、請求項5に記載のパーソナルケア製品。
【請求項8】
前記日焼け止め活性種が、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、オクトクリレン、オキシベンゾン、ホモメンチルサリチラート、オクチルサリチラート、ジベンゾイルメタン誘導体、カンファー誘導体、アボベンゾン、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−6、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載のパーソナルケア製品。
【請求項9】
前記パーソナルケア製品が、口紅、リップバーム、メークアップ、ファンデーション、頬紅、おしろい、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、コンシーラー、保湿剤、及び日焼け止め剤から成る群から選択される、前記請求項1〜8のいずれか一項に記載のパーソナルケア製品。


【公表番号】特表2006−526019(P2006−526019A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514878(P2006−514878)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/015324
【国際公開番号】WO2004/103323
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】