説明

ゲルフィルムを製造するための方法

【課題】ソフトカプセルの製造に適する熱可逆性ゲルフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置において高固形分・低水分フィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、(ii)溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、及び(iii)均一な溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法を対象とする。本発明はまた、ゲルフィルム自体、ソフトカプセル、固体投与形態及び送達システムなどの、そのようなフィルムから製造される様々な製品を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、(ii)溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、及び(iii)均一な溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法を対象とする。本発明はまた、ゲルフィルム自体、ソフトカプセル、固体投与形態及び送達システムなどの、そのようなフィルムから製造される様々な製品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
例えばハイドロコロイドを含む、ある種の高固形分・低水分フィルム形成組成物は、水和フィルムの形成を困難にする高度粘性溶液を形成することが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、そのような高度粘性溶液から高固形分・低水分フィルムを製造するための方法を提供する。
加えて、ハイドロコロイドなどの高固形分・低水分フィルムからソフトカプセルを製造するために多くの試みが為されてきた。しかし、ソフトカプセルを製造するためのそのような試みには前記のような難点があった。すなわち、ハイドロコロイドは、十分に水和して、従来のソフトカプセル製造方法でフィルムを形成することが困難な高度粘性溶液を形成することが知られている。本発明の方法は、それ故、そのようなフィルムからのソフトカプセルの製造を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態として、本発明は、(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、(ii)溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、及び(iii)均一な溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法を対象とする。
【0005】
第2の実施形態として、本発明は、上記方法から製造される均一な熱可逆性ゲルフィルムを対象とする。
第3の実施形態として、本発明は、(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、(ii)溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、(iii)溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、均一な熱可逆性ゲルフィルムを形成すること、及び(iii)ゲルフィルムからソフトカプセルを製造すること、の工程を含む、ソフトカプセルを製造するための方法を対象とする。
【0006】
第4の実施形態として、本発明は、上記方法によって製造されるソフトカプセルを対象とする。
第5の実施形態として、本発明は、(i)上記方法に従って均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造すること、及び(ii)前記ゲルフィルム内に充填物質を被包すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムによって被包された充填物質を含有する固体投与形態を製造するための方法を対象とする。
【0007】
第6の実施形態として、本発明は、(i)上記の方法で溶融組成物を製造すること、(ii)溶融組成物の形成前又は形成後に有効量の活性物質を添加すること、及び(iii)活性物質を含む溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、活性物質を含むゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、活性物質と均一な熱可逆性ゲルフィルムを含む均一ゲルフィルム送達システムを製造するための方法を対象とする。本発明はまた、上記方法によって製造される送達システムを対照とする。
【0008】
第7の実施形態として、本発明は、(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、及び(ii)均一溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法を対象とする。本発明はまた、上記方法によって製造される投与形態、固体形態及び送達システムを対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態は、(i)溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供することができる装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但し溶融塊の温度はその可溶化温度又はそれ以上に維持する、(ii)前記溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、及び(iii)前記溶融組成物をゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法である。
【0010】
本発明の方法は、例えば比較的高い固形分を有する、均一な熱可逆性ゲルフィルムを提供する。
ここで使用する、「均一なフィルム」は、裸眼で、視覚的に一様であり、塊、裂け目、溶解すべきであるのに溶解していない粒子、不溶性粒子の不均一な分布等がないフィルムを定義する。「フィッシュアイ」(液体と固体の混合状態)又は「ゲルボール」(不均一なゲル構造)は、ここで使用する「均一」の定義を満たさない。
【0011】
本発明のゲルフィルムは、均一な熱可逆性ゲルフィルムである。それらは鋳込でありえ、鋳造フィルムとして又はさらなる加工において様々な適用に使用できる。
ここで使用する、「熱可逆性フィルム」は、融解温度を有するフィルムを定義する。ここで使用する融解温度は、ゲルフィルムが軟化する又は流動する温度又は温度範囲である。
【0012】
ここで使用する、「ゲルフィルム」という用語は、例えば構造化ハイドロコロイドから形成される、薄い膜を指す。ゲル形成組成物は、自己支持構造を形成するためにゲル組成物の溶融塊をそれ以下の温度に冷却しなければならないゲル化温度によって特徴付けられる。場合により、溶融塊は、ゲル組成物によってゲルフィルムが形成されるまで、鋳込高温(cast hot)でありえ、冷却させることもでき、ならびに乾燥して固形分をさらに濃縮することができる(制御水分除去)。熱可逆性ゲルフィルムの融解温度はそのゲル化温度よりも高い。
【0013】
ここで使用する、「可溶化温度」は、前記組成物が均一になる温度を意味する。可溶化は、溶融組成物中のすべての可溶性成分が完全に溶解する行為を指し、すべての不溶性物質は均質に分散している。
フィル形成系における成分は、加熱して水和したとき高固形分で低水分率のゲルフィルムを形成し、及び均一な熱可逆性ゲルフィルムを形成するフィルム形成組成物中に認められる何らかの成分でありうる。例えば、そのような組成物は熱可逆性ハイドロコロイドを含みうる。
【0014】
熱可逆性ゲルフィルムを形成するために本発明において使用できる熱可逆性ハイドロコロイドは、多糖類、例えば:イオタカラゲニン、カッパカラゲニン及びカッパ−2カラゲニンを含むカラゲニン;キサンタンガム;ローカストビーンガム、コンニャク、タラガム、カシアガム、グアーガム(例えば低粘度グアーガム)などのポリマンナンガム(例えばグルコマンナンガム及びガラクトマンナンガム);プロピレングリコールアルギネートなどのアルギネート、及びカリウム及びナトリウムなどのアルギネートの一価の塩;プルラン;ゲラン(高及び低アシルゲランを含む);デキストラン;ペクチン、及びそれらの組合せを含む。カラゲニンは修飾することができ、又は部分的に修飾することもでき、修飾されていなくてもよい。ここで使用する、カッパ−2カラゲニンは、25−50%の3:6−無水ガラクトース−2−スルフェート(3:6−AG−2−S)対3:6−無水ガラクトース(3:6−AG)含有量のモル比を有し、イオタカラゲニンは、80−100%の3:6AG−2S対3:6AG含有量のモル比を有し、そしてカッパカラゲニンは、カッパ−2カラゲニンに関するよりも低い3:6AG−2S対3:6AG含有量のモル比を有する。例えば、カッパカラゲニンについての一般的に知られ且つ使用される海藻ソースであるEucheuma cottoniiからのカッパカラゲニンは、約10%未満の3:6AG−2S対3:6AG含有量のモル比を有し;イオタカラゲニンについての一般的に知られ且つ使用される海藻ソースであるSpinosumからのイオタカラゲニンは、約85%超の3:6AG−2S対3:6AG含有量のモル比を有する。これは、カッパ−2カラゲニンが、1.0から3.0:1、より特定すると1.5から3.0:1(より特定すると所望適用に依存して)のカッパ(3:6−AG)繰り返し単位対イオタ(3:6−AG−2−S)繰り返し単位の比率を含むことを意味する。これらのカラゲニンにおける3:6AG−2S対3:6AG含有量のモル比は、それらの修飾の程度及び前駆体含有量(例えばミュー及びニュー繰り返し単位)に関わりなく保持される。
【0015】
本発明の方法によって製造される均一な熱可逆性ゲルフィルムは、場合により、それらの適用に依存して可塑剤、第二フィルム形成剤、充填剤及びpH調整剤の少なくとも1つを含みうる。
【0016】
そのような可塑剤の例は、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、トウモロコシデンプン、フルクトース、ポリデキストロース、可溶化油などのポリオール、及びプロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールを含む。例えばそのような可塑剤は、一般に、より大きな弾性を有するゲルフィルムを所望する場合、例えばソフトカプセルを製造するために使用するフィルムの場合、ドライフィルム中の水を含むすべての成分の重量比で少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%の量で使用することができる。より弾性の低いフィルムを所望する、ハードカプセルなどの他の適用に関しては、可塑剤は、ドライフィルム中のすべての成分の0重量%−20重量%の量で存在しうる。本発明のゲルフィルムは全く可塑剤を含まないことが可能である。所望に応じて、イオタ、カッパ又はカッパ−2カラゲニンをハイドロコロイドとして使用する場合、そのようなカラゲニンは、組成物の総重量に基づいてそのようなカラゲニン1.5重量%を含む0.10モル塩化ナトリウム溶液を測定するとき、75℃で19cps又はそれ以下、より特定すると10cps未満の粘度を有しうる。この粘度試験は、Spindle No.1を60r.p.m.で用いるBrookfield LVF(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)粘度計を使用し、6回転後の粘度を測定して実施することができる。
【0017】
本発明において使用できる第二フィルム形成剤の例は、デンプン、デンプン誘導体、デンプン水解物、セルロースガム、ハイドロコロイド、アルキルセルロースエーテル又は改質アルキルセルロースエーテルの少なくとも1つを含む。ハイドロコロイドの例は、上記に列挙したものである。その他には、ラムダカラゲニンなどの非ゲル化カラゲニンを含む。本発明において使用できるアルキルセルロースエーテルの一例は、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明において使用できる改質アルキルセルロースエーテルの例は、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。第一フィルム形成剤は、ゲルフィルム中の唯一のフィルム形成剤でありうる。本発明のゲルフィルムが第二フィルム形成剤を含むとき、第一フィルム形成剤は、ゲルフィルム中のフィルム形成剤の総量の重量比で少なくとも10%、少なくとも40%、少なくとも60%又は少なくとも80%の量で存在しうる。
【0018】
充填剤の例は、微結晶セルロース、微結晶デンプン、改質及び非改質デンプン、デンプン誘導体、イヌリン、デンプン水解物、糖、トウモロコシシロップ及びポリデキストロースを含む。ここで及び特許請求の範囲において使用する、「改質デンプン」という用語は、ヒドロキシプロピル化デンプン、酸希薄化(acid−thinned)デンプン等のようなデンプンを含む。本発明において使用できる改質デンプンの例は、すべてGrain Processing Corporation of Muscatine,Iowaより入手可能なPure Cote(商標)B760、B790、B793、B795、M250及びM180、Pure−Dent(商標)B890及びPure−Set(商標)B965、及びCerestar,Inc.より入手可能なCAraTex(商標)75701を含む。デンプン水解物の例は、デキストリンとしても知られるマルトデキストリンを含む。ジャガイモデンプンなどの非改質デンプンも、本発明の範囲内のハイドロコロイドと組み合わせたときフィルム強度に寄与しうる。一般に、改質デンプンは、デンプンの化学的処理によって調製される生成物、例えば酸処理デンプン、酵素処理デンプン、酸化デンプン、架橋デンプン、及び他のデンプン誘導体である。改質デンプンは、側鎖が親水又は疎水基で修飾され、それによって側鎖間の強力な相互作用を伴うより複雑な構造を形成するように、誘導体化されていることが好ましい。
【0019】
本発明において使用される充填剤の量は、一般にドライフィルムの0−20重量%の量であるが、所望する場合はそれ以上、例えば適用に依存してドライフィルムの少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%が使用できる。
【0020】
デンプン、デンプン誘導体及びデンプン水解物は多機能性でありうることに留意しなければならない。すなわち、充填剤として使用されることに加えて、それらは第二フィルム形成剤として使用できる。充填剤及び第二フィルム形成剤として使用されるとき、それらは一般にゲルフィルムの重量比で少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%の量で使用される。
【0021】
本発明において使用されるpH調整剤の例は、水酸化物、炭酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩などの塩基を含む。pH調整剤は、カリウムなどの付加される有益な陽イオンのソースとして選択することができる。一部の組成物に関しては、pH調整剤はゲルフィルムの安定性を改善するために使用できる。pH調整剤の量は、一般に0−4%、好ましくは0−2%の量である。
【0022】
本発明のゲルから製造されるドライフィルムは、例えばTexture Analyzer TA−108S Mini Film Test Rigを使用して測定したとき、少なくとも1,000グラム、少なくとも2,500グラム、少なくとも4,000グラム、少なくとも5,000グラム、少なくとも6,000グラムの破断強度(break force strength)を有することが認められた。一部の場合には、本発明の方法によって製造されるウエットフィルムは低い破断強度(例えば250−320g)を生じたが、前述した破断強度を有する強力なドライフィルムを生産した。
【0023】
本発明のゲルフィルムは、ゲルフィルム中のすべての成分の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%及び少なくとも90%の固形分を有することが認められた。15%、10%、5%までの水分がゲルフィルム中の固形分と強力に結合したままでありうることは了解される。
【0024】
ソフトカプセルのために一般的に使用されるドライフィルムの厚さは、0.5−3.0mm、より好ましくは0.8−1.2mmの範囲内である。
本発明のフィルムは非熱可逆性ガムを含みうることが可能である。しかし、本発明のゲルフィルムの均一で熱可逆性の性質に有害な影響を及ぼさないために、そのような非熱可逆性ガムは、重量比で熱可逆性フィルム形成剤の50%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満の量で存在すべきである。そのような非熱可逆性ガムの例は、カルシウム硬化(例えば架橋)ペクチン又はアルギネートなどの架橋又は部分架橋ガムを含む。カルシウム反応性アルギネート及びペクチン、並びにそれらの低精製形態は、二価カチオンの不在下で熱可逆性ガムとみなされる。
【0025】
本発明のゲルフィルムは、一般に、組成物の均一な溶融塊及び冷却時のゲルの形成を提供するために十分に高いせん断、温度(ゲル化温度より上)及び滞留時間を可能にする装置を使用した工程から製造される。これは一般に、装置において組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気することによって達成される。そのような装置は、ロス混合機、ステファンプロセッサー、従来のジェットクッカー(自動糊化装置)、押出機及び図3に示すような液体混合装置を含むが、これらに限定されない。ロス混合機、ステファンプロセッサー、押出機及び従来のジェットクッカーは、市販品が容易に入手できる。冷却の前に、溶融塊をポンプ、混合機又は脱泡機の少なくとも1つに供給することができる。そのような機能のいずれか1つを実施する装置の一例は押出機である。押出された溶融塊はまた、連続フィルムの均質な鋳造を助けるフィルム形成又は成形装置(例えばカプセル形成機において使用されるようなスプレッダーボックス)に送るか、又は溶融塊送達装置からのフィルムの直接形成を可能にする鋳型に通すこともできる。溶融塊を限定フロー/ゲル構造形成の開始より上に維持するように注意しなければならない。所望ゲルフィルム形成が鋳造ロール上で又は押出機(限定フロー、フィルム形成装置)又は鋳型などの他のフィルム形成ポイントで開始されるまで溶融塊のフローを確実にするために、断熱してあらかじめ加熱した(適切な温度を維持するため)輸送ホースを使用しうる。付加的な処理方法(ロスプロセスシステムに見られるような放電/プランジャー様ヘッドを予備加熱することなど)は、前述した輸送ホースを通して溶融塊を(圧によって)推し進めることができる。付加的な断熱は、混合装置を出た直後に溶融塊表面に最初に設置されるテフロンディスクの使用を通して溶融塊の温度を維持するのを助けることができる。加えて、フィーダーホースは、直接フィーダーボックスに、又はフィーダーボックス内の溶融塊の温度を維持するのを助け、水分損失を低減し、カプセルのためのフィルムを形成する圧延工程の間ボックスの均質な(中心)充填を維持する、上半分の囲い込み/カバーを導入するフィーダーボックスの任意の改変を通して、カプセル製造機上に位置する熱制御溶融塊フィーダー(鋳造)ボックスに引き込むことができる。溶融塊温度を維持する他の方法も、カプセル用のフィルムを形成するために使用できることは了解される。これは、溶融塊を、鋳型/オリフィスを通して、直ちにカプセル形成装置に供給できる、必要時まで適切なフィルム条件(カプセルを形成するための)を維持する温度で保存できる、又は必要時まで所望の水分率、固形分及びテクスチャーレベルに乾燥することができるフィルムへと押出することを含むが、これに限定されない。そのようなドライフィルムは、そのゲルフィルムマトリックス全体にわたって水を再吸収する(水は何らかの手段によって導入される)性質を有し、必要なときには、例えばソフトカプセル又は他の固体形態を製造するために、再水和することができる。ソフトカプセルを製造するためにフィルムをカプセル製造機に導入することを可能にする所望水分量及び強度/テクスチャーが達成されるまで水分をフィルムに導入する。
【0026】
ステファンプロセッサー又は従来のジェットクッカーを使用するとき、それをハイドロコロイドと共に使用するための典型的な工程は次の通りである。フィルム形成組成物の成分をステファンプロセッサーに供給し、成分に可溶性を与える、それらのゲル化温度より上の温度に加熱する(攪拌しながら)。その後、前記材料をゲルフィルム又は溶融塊として加工することができる。この材料に関するさらなる加工は、その最終形態を生じさせることを可能にする適切な装置を用いて完了しうる。
【0027】
ここで使用する、「液体混合装置」は、図3の装置を指す。図3は、液体混合装置10を例示する。液体混合装置10は、蒸気2を第一液体又はスラリー4及び第二液体又はスラリー6と混合して、溶融塊又はスラリー混合物8を生じる仕組みになっている。
【0028】
液体混合装置10は、それを通って蒸気2がハウジング22に入る第一吸入口22を有する第一ハウジング20、そこからスチーム2がハウジング20を出ていくノズル先端24、及びノズル先端24に配置されたノズル弁又はステム26を含む。作動手段30は、ノズル先端24における第一液体2の排出速度又は排出圧を制御するために第一ハウジング20に接続されている。作動手段30は、Fisher Controls U.S.A.によって製造されるタイプでありうる。
【0029】
液体混合装置10は、第一ハウジング20のノズル先端24で、第一ハウジング20に連結された第二混合ハウジング40をさらに含む。第二ハウジング40は、それを通って第一液体4が第二ハウジング40に入る第二吸入口42、及びそれを通って第二液体6が第二ハウジング40に入る第三吸入口44を含む。吸入口42及び44は、第一吸入口22の下流に配置される。図3に示すように、第二吸入口42及び第三吸入口44は共通の平面に位置し、互いから放射状に、最も好ましくは混合装置10の中心軸Yの周囲で真正面に(すなわち180°離れて)、間隔を置いて配置される。第二ハウジング40は、一般に円筒混合チャンバ52を規定し、次に円筒混合チャンバ52は、混合チャンバ52の入口先端54からチャンバ52の出口先端56まで混合チャンバ52の軸の長さに沿って伸びるフロー通路を規定する。ノズル弁26は、混合チャンバ52への蒸気2の流量を制御するために入口先端54の座り位置と開放位置(unseated position)の間を作動装置30によって移動できる。
【0030】
第一ハウジング20のノズル先端24は、蒸気2を混合チャンバ52の入口先端54へと導く。第二吸入口42と第三吸入口44は、それぞれ第一液体4と第二液体6を混合チャンバ52内へと放射状に導く。蒸気2、第一液体4及び第二液体6は混合チャンバ52内で混合されて、溶融塊又は混合物8を形成し、それが混合チャンバ52から出て行く。次に溶融塊8は、混合物8を冷却ドラム上で鋳造することによって又は混合物8を押出機に通すことなどによって成形製品へと形作られるか又はフィルムへと形成されうる。
【0031】
ひとたび溶融塊組成物が調製され、それが溶解温度又はそれ以上の温度に維持されていれば、次にその溶融塊をポンプ、混合機又は脱泡機の少なくとも1つに直接供給しうる。その後、溶融塊を組成物のゲル化温度又はそれ以下に冷却して、ゲルフィルムを形成する。
【0032】
可溶化温度が、大気圧で均一溶融組成物の沸点より高いこと、及び加熱、水和、混合及び可溶化を大気圧より上で実施することが好ましい。
好ましい方法は、溶融組成物のゲル化温度又はそれ以下に冷却する前に溶融組成物を直接混合機に供給し、脱気し、減圧し、ポンプで送り込むことを含む。
ポンプ、混合機及び脱泡機の少なくとも1つを含む1つの装置は押出機である。押出機は、冷却の前に溶融組成物を脱泡し、それによって固形分を濃縮するために好ましい装置である。
【0033】
本発明において使用できる押出機は、輸送の間に温度低下を受けることなく、完全に又は部分的に水和した組成物を輸送するのに十分な吸入口装置を備えた単一又はダブルバレル押出機を含む。ひとたび組成物材料がその標的固形分含有量を達成し、温度がそのゲル化温度以上に維持されていれば、生じた溶融塊を先に述べたように使用することができる。
【0034】
本発明のもう1つの態様として、溶融塊は必ずしも工程(i)において均一に達する必要はないことに留意すべきである。すなわち、溶融塊がゲル化の前に均一に達することを条件として、溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給する前又は供給後に溶融塊の均一性を得ることができる。
【0035】
本発明のゲルフィルムは、例えば少なくとも2,500グラムのドライフィルム強度を有することが示されたので、それらは様々な適用に良好に適する。例えば、そのようなゲルフィルムはソフトカプセルを製造するために使用できる。そこで、第2の実施形態として、本発明は、(i)溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は溶融塊の可溶化温度又はそれ以上である、(ii)溶融組成物を押出機に供給して、高固形分・低水分の均一な熱可逆性ゲルフィルムを形成すること、及び(iii)そのゲルフィルムからソフトカプセルを製造すること、の工程を含む、ソフトカプセルを製造するための方法である。使用できるゲルフィルム及びその成分、並びに装置及び押出機は、上記で述べたとおりである。
【0036】
本発明のソフトカプセルを製造するための方法は、前述したゲルフィルムが調製された後の何らかの従来の被包装置、例えば従来のロータリーダイ装置又は凹面スタンピングダイの使用を含む。例えば、ひとたび本発明の溶融塊が製造されると、それをドラムで鋳造し、冷却して、その後ロータリー被包ダイの間に供給し、そこでフィルムが再び加熱され、充填され、密封されて、切断される。この従来の方法の詳細な説明については、国際公開第98/42294号参照。あるいは、及び従来のソフトカプセル工程と比べての本発明の利点として、上記で開示される高せん断装置の使用は、溶融塊が、冷却しながら十分に水和され、押出され、ドラムに適用されて、その後充填、密封及び切断のために従来の被包装置に供給されることを可能にする。この連続方式の工程を使用して、十分にゲル化し、冷却したフィルムをカプセル製造のために再加熱しなければならない工程を省くことができる。
【0037】
本発明のゲルフィルムの他の適用は、本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムによって被包された充填物質を含む固体形態を製造するための方法を含む。そのような固体形態の1つの種類はハードカプセルである。ここで使用するハードカプセルは、2つの半分ずつの殻を形成し、充填物質、通常は粉末をその殻の中に入れ、2つの半分ずつの殻を合体してハードカプセルを形成する、例えば製薬産業において好都合に使用される固体形態を指す。そのようなハードカプセルを製造するための方法は、典型的には、金属ピン又はバーを本発明の溶融組成物に浸し、そのピンの周囲にゲルフィルムを形成させることを含む。ゲルフィルムを乾燥し、その後ピンから取り外す。これらの工程は、ハードカプセルを製造する方法として当業界において周知である。ハードカプセルのための充填物質は、そのような投与形態において一般的に使用されるいかなる充填物質であってもよい。一般に充填物質は、液体又は粉末などの固体でありうる。充填物質は、医薬成分、農薬成分、栄養補助食品成分、獣医学的成分、食品、化粧品成分、矯味矯臭剤等でありうる。
【0038】
固体形態はまた、公知の手法に従って粉末、錠剤、カプレット、マイクロカプセル又はカプセルを被包しうる。例えば本発明のゲルフィルムでハードカプセルを被包することは、安全な密封/不正開封防止能力を可能にする。
【0039】
ゲルフィルムはまた、投与形態の溶解プロフィールを改変するためにも使用できる。例えば本発明のゲルフィルムは、即時放出、制御、腸溶又は遅延放出能力を有する固体投与形態を創造することができる付加的な成分を含み得る。「即時放出」、「遅延放出」及び「腸溶」の定義は、米国薬局方の中に認められ、参照してここに組み込まれる。
【0040】
加えて、本発明のゲルフィルムは、(i)溶融組成物を製造すること、(ii)有効量の活性物質をそれに添加すること、及び(iii)前記活性物質を含む前記溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、前記活性物質を含むゲルフィルムを形成すること、の工程を含む、活性物質と均一な熱可逆性ゲルフィルムを含む均一ゲルフィルム送達システムを製造するための方法において使用できる。活性物質は、口腔ケア剤、口臭消臭剤、医薬品、栄養補助食品成分、唾液分泌促進剤、ビタミン、ミネラル、着色料、甘味料、矯味矯臭剤、香味料、食品の少なくとも1つを含みうる。
【0041】
本発明の均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法はまた、(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但しその温度は組成物の可溶化温度又はそれ以上である、及び(ii)均一溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること、の工程を含む。この方法は、前述したような投与形態、固体形態及び送達システムを製造するために使用できる。この方法に特に適する装置はロス混合機であり、ソフト又はハードカプセルを製造するとき、ゲルフィルムを直接カプセル製造機に供給するため又は、所望する場合は、後程使用するためにローラーに供給するために使用できる。ここで述べるすべての材料がこの方法において使用できる。
【0042】
以下の実施例を参照しながらここで本発明を詳細に説明するが、本発明がそれらに限定すると解釈されないことは了解されるべきである。ここで異なる記載がない限り、すべての割合、パーセント、比率等は重量ベースである。
(実施例)
【実施例1】
【0043】
以下の実施例は、本発明のゲルフィルムを製造するために図3の液体混合装置を使用する。この実施例では、パートA及びパートBを常温で別々の貯留タンクから、2つの別々の流れ4、6として、2つの異なる吸入口43、44へとポンプで送り込み、そこからスチーム噴射を液体混合装置10に供給した。2つの個々の流れ4、6を液体混合装置10の混合区域52において蒸気の界面で一緒にした。パートAとパートBの別々の溶液を迅速に液体混合装置10にポンプで送り込み、スチーム2と混合した。スチーム2を120psiの圧力で混合区域に導入した。生じた溶融塊又はスラリー混合物8を液体混合装置10の排出口56から流出させた。混合物8を滑らかな表面に注ぎ、延伸して均一なフィルム9を形成した。
【0044】
混合物8の粘度を測定するため、混合物8の試料約500mlを出口56から収集し、ジャーに注ぎ入れた。95℃のこの試料に関して温度、pH及び粘度を測定した。Brookfield LVF粘度計を使用して粘度を測定した。表示が得られるように適切な速度と回転数の組合せを用いた。ダイアル表示を動的粘度(cP)に変換した。
【0045】
フィルム強度及び固形分レベルを測定するため、溶融塊8を出口56から収集し、次に延伸バーを用いてギャップセット3mmで、ステンレススチール金属プレートに流し入れた。初期フィルム9又は「新鮮フィルム」を収集した。新鮮フィルム9の一部を40℃の強制通風炉に入れることによって乾燥した。キャスト上で破断強度を測定し、Texture Analyzer TA−108S Mini Film Test Rigを用いてフィルムストリップを乾燥した。新鮮フィルムの初期重量と乾燥フィルムの最終重量の差を測定することによって固形分パーセントを決定した。
【0046】
ゲル化温度を測定するため、溶融塊8の一部を混合装置10の出口56から収集し、試験管に移した。試験管の半分は空のままであった。ガラス温度計を溶融塊8に挿入した。物質8を室温条件下で冷却させた。1℃冷却する度、温度計を物質8から取り出した。小さな一過性のくぼみが塊8の表面に認められたとき、この温度を記録した。温度計を塊8に再挿入し、さらに冷却させた。くぼみが再充填されない、永続的なくぼみが塊8において形成される時点まで、1℃冷却する度に温度計を取り出し、再挿入した。永続的なくぼみが形成された温度を記録した。報告されているゲル化温度は2つの記録温度の範囲であった。以下の表中の成分を表5及び6においてさらに定義する。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
表2は、フィルム形成剤が、カラゲニンとPGAのようなハイドロコロイドの組合せでありうることを示す。さらに、強度、ゲル化温度及びpHなどのフィルム物性に影響を与えるために塩を添加することができる。
【0050】
【表3】

【0051】
表3は、フィルム形成剤が、カラゲニンとグアーのようなハイドロコロイドの組合せでありうることを示す。
【0052】
【表4】

【0053】
表4は、PES及びアップグレードPESが混合装置10において処理できることを示す。アップグレードPESは、より低い出口粘度のようないくつかの利点を提供し、より高い強度のドライフィルムを生じさせる。以下の表5及び6は、この実施例に記載する成分のさらなる説明を提供する。
【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
上記で説明し、明らかにしたように、本発明に従って製造されるフィルムは、ゼラチンカプセルを製造するためにこれまで使用されてきた従来のカプセル製造装置において使用することができる。
【0057】
実施例2−7についての手順
異なる記載がない限り、実施例2−7では材料及びフィルムを調製し、評価するために以下の手順を使用した。ステファンUMC5プロセッサーは、実験室においてフィルムとして鋳造された製剤の適切な高せん断混合、加熱及び脱気を提供する、実験室規模の混合装置である。ステファンUMC5プロセッサーに関して使用した適切なバッチサイズは1500グラムであった。
【0058】
何らかの塩/緩衝剤とpH調整剤を脱イオン水に溶解してデンプンの水分散液を調製した。デンプン及び/又はマルトデキストリン(M100)を加え、溶解/分散するまで混合した。Pure Cote(登録商標)B760 及びB790デンプンは、Grain Processing Corporation of Muscatine,Iowaより入手可能である。
【0059】
均一になるまで可塑剤を予混合し、あらかじめ混合した無水ハイドロコロイドを、各々の添加後に200rpmで約30秒間混合しながら少しずつ添加することにより、ステファンUMC5プロセッサーにおいてハイドロコロイド混合物を調製した。Sorbitol Special及びグリセリンを可塑剤として使用した。Sorbitol Specialは、SPI Polyols,Inc.(New Castle,DE)によって供給される、76%固形分のソルビトール及び無水ソルビトールの水溶液である。
【0060】
デンプン分散液を非水性ハイドロコロイド混合物に添加し、300rpmで5分間混合した。機械的攪拌を2100rpmに上げ、その混合物を、混合しながら85℃−95℃に加熱した。標的温度に達したとき、混合物を30秒間混合し、その後、さらに45分間攪拌を続けながら試料を真空下に保持した(50−60バール)。
【0061】
一定温度の真空下での保持時間が完了した後、試料をあらかじめ加熱した広口クォートガラスビンに注ぎ入れた。温度とpHを記録した。Brookfield LVF粘度計を用いて高温試料に関して粘度を測定した。
【0062】
少量の試料を別に取り分けておき、Atago Eシリーズの手持ち式屈折計(Gardco,Pompano Beach,FL)を使用したゲル化/溶融特性及び固形分の測定の前に、通常は一晩冷蔵した。冷蔵したゲルの小さな塊を、その塊が試験管の壁に接触しないように針金で試験管内に保持することによって融解温度を測定した。試験管を、デジタルTempermeterプローブを使用してゲル化温度を測定するための小さな穴をあけたアルミニウム箔で覆った。塊が約100℃の湯浴の表面より下になるように試験管を加熱浴に液浸した。90℃超の融解温度を有する試料についてはシリコーン油を使用した。ゲル化試料が、外見上湿潤になり、軟化し、攪拌できるようになったとき、融解温度を記録した(温度範囲を記録した)。ひとたび試料が融解すれば、試験管を低温水道水(15℃)の入った第二のビーカーに移した。温度プローブを使用して、試料が冷却したときの温度を記録し、試料の表面をプローブして試料がゲル化し始めていたかどうかを判定した。ゲル化温度は、試料がもはやプローブによって作られたくぼみを満たすように流動しない、冷却時の温度であった。
【0063】
次に、3mmクリアランスのギャップセットで延伸バーを用いて、高温試料を、フィルム材料の除去を容易にするためにPAM(レシチン)をあらかじめスプレーしておいた177mm×177mm×5mmの金属プレートで鋳造した。鋳造フィルムからの水分の損失を避けるためにゲル被覆プレートをおおった。鋳造フィルムは、典型的には試験のためのフィルムを取り出す前に少なくとも30分間冷蔵した(8℃未満)。フィルム形成のためには冷蔵は必要ない。被覆プレートを40℃の強制通風/送風炉で乾燥することにより、ドライフィルムストリップを調製した。40℃で2時間乾燥したフィルムは約60%の中間的な固形分を与えたが、40℃で一晩乾燥したフィルムは、典型的には80%又はそれ以上の固形分を生じた。異なる記載がない限り、試験特性は室温(約20℃)で測定した。ドライフィルムの固形分のパーセントは、その所定固形分レベルの鋳造フィルムとドライフィルムの間での重量差によって測定した。破断強度(break force、BF)は、Texture Analyzer TA−108S Mini Film Test Rigを使用して、鋳造及びドライフィルムストリップに関して測定した。
異なる記載がない限り、Maltrin M100はGrain Processing Corporationより入手し、Pure−Cote B760はGrain Processing Corporationより入手し、Sorbitol SpecialはSPI Polyolsより入手し、そしてグリセリンはVWRから入手した(欧州薬局方/米国薬局方グレード)。
【実施例2】
【0064】
以下の表8は、カッパ−2カラゲニンと組み合わせて低粘度グアーULV50を使用して製造した製剤についての組成物及びフィルム物性を示す。
Cgn Aは、Gigartina skottsbergii、特に一倍体(配偶体)植物の、アルカリ処理して清澄化した抽出物として得た、ここで定義するようなカッパ−2カラゲニンである。二倍体(四分胞子体)植物からのわずかなレベル(合計5%未満)のラムダ−及びシータ−カラゲニンも存在した。Cgn Aは、表7に示すように低い二価陽イオン含有量及び低いカリウム陽イオン含有量を有する。
【0065】
Cgn Bは、Gigartina skottsbergiiとSarcothalia crispataの混合物、主として一倍体(配偶体)植物の、アルカリ処理して清澄化した抽出物として得たカッパ−2カラゲニンである。二倍体(四分胞子体)植物からの約10−20%(合計)のラムダ−及びシータ−カラゲニンも存在した。
【0066】
カッパ−2カラゲニンの性質を表7に示す。1.5重量%固形分の水溶液の粘度を、Brookfield LVF粘度計を適切な速度と回転数で用いて75℃で測定した。陽イオンを添加しない(#1)、0.2重量%のKClを添加した(#2)、及び0.2%KClと0.2%CaClを添加した(#3)、2重量%の試料Cgn A−Bをそれぞれ使用して調製した2%水分ゲルの性質を、TXTM Texture Analyzerを用いて決定した。ゲルを25℃で試験し、破断強度(グラム)及び浸透(ミリメートル)を記録した。
【0067】
【表7】

【0068】
【表8】

【0069】
上記の本発明のゲルフィルムに関して16時間後に40℃で測定したドライフィルム強度は、既存の機械でソフトカプセルを製造するのに十分であると考えられる。さらに、例えば実施例2−3から2−5までの、2時間目、40℃でのドライフィルム強度も、既存の機械でソフトカプセルを製造するのに十分である。実施例1−2は、グアーとカッパ−2カラゲニンの55−45重量%混合物がグアー単独と比較して(実施例2−1)高い強度を有することを明らかにする。実施例2−4と2−5の比較は、実施例2−5が、95℃で鋳造したとき、87℃でのフィルム鋳造(実施例2−4)よりも少なくとも28%高い最終(ドライ)ゲル強度を提供したので、溶融塊についての工程温度をゲル化温度より上に維持することが望ましいことを明らかにする。より低いゲル強度値は、比較的低いゲル強度を生じさせるフィルム形成の間の潜在的プレゲル化を反映する。すべてのフィルムは貯蔵時に離液を生じず、それらの相対的屈曲性を維持した。
【0070】
粘度は一般に、使用した試験装置及び条件に関して最大値又はそれに近いことが認められた。それ故、初期水和/活性化装置と共に補助装置を使用することは、工程温度をそれらの高固形分硬化/ゲル化温度より十分上に(>100℃)に維持しながら付加的なせん断及び固形分濃縮作用を提供することができる。この補助装置の一例は、直接フィルム又はカプセルを鋳造するために溶融塊を成形する、又はフィルムとしての使用のため又は他の形態及び機能へとさらに処理するための、フィルムのような所望形態へと溶融塊をさらに成形するのに必要な、均一な混合及び固形分濃度を提供するために必要である適切な温度及びせん断を維持するのに十分な押出機型装置であるが、これに限定されない。
【実施例3】
【0071】
カッパカラゲニン若しくはカッパカラゲニン及び/又はイオタカラゲニンと組み合わせて低粘度グアーガムULV50の混合組成物を使用して製造したフィルムの性質をそれぞれ表9及び表10に示す。使用したカラゲニンを以下で述べる。カラゲニンLは、10−15cPの粘度を有するカッパカラゲニンであった。
【0072】
【表9】

【0073】
グアーと組み合わせたカッパカラゲニンの使用(実施例3−2)は、グアー単独(実施例2−1)の場合よりもフィルム強度を上昇させた。
KClの添加(実施例3−3)は、ゲル化温度及びまた40%固形分ゲル強度も上昇させた。さらに、KCl添加及びフィルム形成成分の比率の変化は、鋳造フィルム強度及びゲル融解温度を制御する。カッパカラゲニンを本発明の低粘度グアーと組み合わせて使用するとき、陽イオンの二価性の制御は、望ましくはゲルの硬化及び脆性を予防する/最小限に抑える。
【0074】
表10は、カッパ及びイオタカラゲニンと低粘度グアーULV50を使用して形成したフィルムの組成物及び性質を報告する。Cgn Cは、Kappaphycus alverezii(Eucheuma cottonii)の、アルカリ処理して清澄化したカッパカラゲニン抽出物である。Cgn Dは、低い二価性を有するEucheuma denticulatum(Eucheuma spinosum)の、アルカリ処理して清澄化したイオタカラゲニン抽出物である。Cgn C及びCgn Dはいずれも低い二価性を有する。
【0075】
【表10】

【0076】
上記実施例は、他のカラゲニンの添加がどのようにして低粘度グアーフィルムに強度を付加したかを示す。適切な量の陽イオンを添加することによってさらなる強化及びゲル化/融解温度の制御が達成できる。
【実施例4】
【0077】
表11は、アルギン酸カリウム及び/又はカラゲニンとグアーの混合物を使用して形成したフィルムの組成物及び性質を示す。アルギネートは、マンヌロン酸(M)とグルクロン酸(G)単位を含むポリウロン酸コポリマーである。KAHGは、アルギネートが高レベルのG単位を有するアルギン酸カリウムであり、Laminaria hyperboreanから抽出される。KAHMは、アルギネートが高レベルのM単位を有するアルギン酸カリウムであり、Lessonia nigrescensから抽出される。
【0078】
【表11】

【0079】
表12は、アルギン酸ナトリウムと低粘度グアーULV50の混合物を使用して製造したゲルフィルムの組成物及び性質を報告する。Protanal(登録商標)LFR5/60、Protanal(登録商標)LFR20/40及びProtanal(登録商標)SF 120RBは、FMC Corporation(Philadelphia,PA)から入手可能なアルギン酸ナトリウムである。
【0080】
【表12】

【0081】
表13は、プロピレングリコールアルギネートと組み合わせた低粘度グアーULV50から形成した組成物及びゲルフィルムを示す。Protanal(登録商標)エステルBV4830及びProtanal(登録商標)エステルSLF3は、FMC BioPolymer(Philadelphia,PA)から入手可能なプロピレングリコールアルギネートである。
【0082】
【表13】

【実施例5】
【0083】
表14は、プロピレングリコールアルギネートとカッパカラゲニンを使用して製造したゲルフィルムの組成物及び性質を列記する。Protanal(登録商標)エステルBV4830は、FMC Corporation(Philadelphia,PA)から入手可能なプロピレングリコールアルギネートである。HECはヒドロキシエチルセルロースである。カッパカラゲニンは、Kappaphycus alaverei(Euchema cottonii)の、アルカリ処理して清澄化した抽出物である。
【0084】
【表14】

表15は、プロピレングリコールアルギネート及びアルギン酸カリウムと組み合わせて使用したカッパ−2カラゲニンについての組成物及びフィルム特性を報告する。このカッパ−2カラゲニンは、Gigartina skottsbergiiとSarcothalia crispataの混合物、主として一倍体(配偶体)植物の、アルカリ処理して清澄化した抽出物であった。二倍体(四分胞子体)植物からの約10−20%(合計)のラムダ−及びシータ−カラゲニンも存在した。
【0085】
【表15】

【0086】
実施例5−4において、カリウム陽イオンがアルギン酸カリウムによって供給される。カリウム陽イオンは、カラゲニンがそのゲルフィルム構造を形成することができる温度でカラゲニンの二重らせん形成を促進する。実施例5−5では、付加的な強度及びより低いプロセシング粘度は、より高いレベルのプロピレングリコールアルギネートによるものであると考えられる。
【実施例6】
【0087】
以下に示すように、Cgn Aは、Gigartina skottsbergii、特に一倍体(配偶体)植物の、アルカリ処理したカッパ−2カラゲニンの清澄化抽出物として入手し、アルコールでの沈殿によって回収した。二倍体(四分胞子体)植物からのわずかなレベル(合計5%未満)のラムダ−及びシータ−カラゲニンも存在した。
【0088】
Cgn Bは、Cgn Aを水に溶解することによって入手し、アルコール沈殿と乾燥によって回収した。溶解したカラゲニンを酸化剤と反応させてCgn C−Fを生成することにより、種々の分子量の試料を得た。酸化工程後及びアルコール沈殿の前に、生じる生成物のpHを調整するために水酸化ナトリウムを試料Cgn C−Eに添加した。
【0089】
カッパ−2カラゲニンの性質を表16に示す。1.5重量%固形分の水溶液の粘度を、Brookfield LVF粘度計を適切な速度と回転数で用いて75℃で測定した。陽イオンを添加しない(#1)、0.2重量%のKClを添加した(#2)、及び0.2%KClと0.2%CaClを添加した(#3)、2重量%の試料Cgn A−Fをそれぞれ使用して調製した2%水分ゲルの性質を、TXTM Texture Analyzerを用いて決定した。ゲルを25℃で試験し、破断強度(グラム)及び浸透(ミリメートル)を記録した。
以下のCgn A−Fは、本発明において使用できるカッパ−2カラゲニンの例である。
【0090】
【表16】

【0091】
以下の表17において、Cgn D及びEは、示されているように製剤し、フィルムとして鋳造した。製剤及びフィルム特性を表IIに報告する。すべての製剤は、一部が特定用途のために他のものよりも好ましい場合があるが、本発明の範囲内とみなされる。
【0092】
【表17】

【0093】
表記の表は、実施例6−2及び実施例6−1において、加工温度での溶融塊の粘度(それぞれ13,700mPas及び4,000mPas)が、フィルム特性に有意の影響を及ぼさずに、Cgn Dの分子量をCgn Eに低下させることによって制御された(それぞれ24mPas及び14mPasの粘度として表わされる)ことを示す。
【0094】
所与の製剤に関して固形分含有量を上昇させたとき、鋳造物質の融解温度は上昇した(実施例6−2、6−3及び6−4)。実施例6−2、6−3及び6−4において、ゲル化温度は、溶融塊の温度に近づくまで固形分の上昇と共に上昇した。実施例6−4において鋳造フィルムの低いゲル強度と高い溶融状態粘度(>50,000mPa)によって示される、鋳造前のゲル化は、ゲル化温度が溶融塊の温度に近いことによるものである。これは、より強いフィルムを所望する場合は、加工の間溶融塊の温度をゲル化温度より上に維持することが望ましいことを示唆する。ゲル化温度以下での攪拌は、ゲル構造の破壊と強度低下を生じさせる。
【実施例7】
【0095】
カッパ−2カラゲニンは、Gigartina skottsbergiiとSarcothalia crispataの混合物、主として一倍体(配偶体)植物の、アルカリ処理して清澄化した抽出物として得た。二倍体(四分胞子体)植物からの約10−20%(合計)のラムダ−及びシータ−カラゲニンも存在した。前記抽出物を回収し、その後イオン交換して、低い二価性を有するカッパ−2カラゲニンを生成した。低二価陽イオンカッパ−2カラゲニン(Cgn G−J)の性質を表18に示す。Cgn G−Jは本発明の範囲内とみなされる。
【0096】
【表18】

【0097】
試料Cgn G−Jの低い二価陽イオン含有量のカッパ−2カラゲニンを使用したフィルム組成物及び対応するフィルム特性を表19に示す。以下の製剤はすべて、一部が特定用途のために他のものよりも好ましい場合があるが、本発明の範囲内とみなされる。
【0098】
【表19】

【0099】
ポリオール及びマルトデキストリン(充填剤として)と組み合わせたイオン交換カッパ−2カラゲニン(I及びJ)は、40%固形分でわずかな破断強度を有する比較的弱い鋳造ゲルフィルムを提供した。これは、カラゲニンが一次構造剤でありうる温度でカラゲニンの二重らせん形成(すなわちゲル化)をより十分に促進するために望ましい、カリウム陽イオンの量が不十分であったことによると考えられる。実施例7−1及び7−2は、比較的低い融解及びゲル化温度を有するゲルフィルムである。ゲル化の潜在能は最大化されていないが(低いカリウムレベルによる)、実施例7−1及び7−2は、それぞれ3468および3697の破断強度を示す。実施例7−3は、Cgn Jにおけるカッパ−2カラゲニンによって形成される構造へのカリウムイオン添加の影響を明らかにする。キャスト強度は、ソフトであるが、鋳造プレートからフィルムを取り出すために十分な強度を提供した。カリウムイオンの添加による、Cgn Jによる構造発現は、実施例7−1に比べて実施例7−3における融解及びゲル化温度の上昇によって確認される。ドライフィルムの破断強度は、実施例7−1及び7−2と同等のままであった。
【0100】
実施例7−4は、実施例7−3のマルトデキストリンを改質デンプン(B790)に置き換えることの影響を示す。粘度は上昇したが、ゲル化及び融解温度は、マルトデキストリンを含む実施例7−3と相対的に同様のままであった。実施例7−4の鋳造フィルム強度も、相対的に実施例7−3と等しかった。実施例2−4のドライフィルム強度は実施例7−3に比べて2倍以上であった。これは、デンプンとカッパ−2カラゲニンの両方がカリウム陽イオン(すなわちカッパ−2カラゲニンについてのゲル化イオン)と共に存在するときの、デンプンとカッパ−2カラゲニンの間の構造的相乗作用を明らかに示す。カリウムイオンは、無機塩、有機塩又はそれらの組合せの直接添加によって提供されうるか又は付加的な成分中に含まれうる。残余プロセシング塩を含むカッパ−2カラゲニンの使用は、ゲル構造及びデンプン相乗作用を最大化する所望ゲル形成条件を促進することができる。プレゲル化を防ぐために十分に高い温度での溶融塊の鋳造によって均一なカッパ−2カラゲニン/デンプンゲル構造が形成された。
本発明の付加的な製剤を以下に示す。
【0101】
【表20】

【0102】
実施例7−5は、実施例5−1と等しい陽イオン含有量を有するように調製した。どちらの試料も同じゲル融解特性を示す。実施例5−1のCgn Eより高い分子量(14cps)は、ドライフィルムのより高い破断強度によって示されるように、実施例7−5のCgn H(6cps)に比べてゲルフィルムにより大きな構造支持を与えた。実施例7−7のより高いドライフィルム強度は、低分子量カッパ−2カラゲニンと組み合わせた改質デンプンの使用が全体的なフィルム構造を提供することを示し、デンプンとカッパ−2カラゲニンの錯形成を示す。
【実施例8】
【0103】
加熱して混合した組成物、例えば実施例1−7のいずれかは、制御された厚さの溶融組成物を、形成されるフィルムがその後の操作における取扱いと加工に適するような温度で操作される温度制御回転ドラムに移すことにより、従来のポリマーフィルム鋳造機においてフィルムへと形作られる。フィルム形成操作より下流で、フィルムは一連のローラーを通って、様々なサイズのカプセルを形成し、切断し、充填する従来のゼラチンカプセル製造機の逆回転ダイへと供給される。この工程の間、2つのフィルム表面を融合条件(すなわちそれらを融合させるのに十分な局所圧と局所温度)下で接触させる。形成されたカプセルはさらなる加工のために放出される。回収されたカプセルは、取扱い、梱包及び貯蔵条件に耐える十分な機械的強度を有する。
【実施例9】
【0104】
ソフトカプセル実施例
長さ7.25インチ×直径4インチの鋳型を有するTechnophar SGM1010ソフトカプセル製造機を用いて、鉱物油を含むソフトゲルカプセル(以下の製剤A)(7.5長円体)を生産した。カプセル殻を形成するために使用する溶融塊の調製は以下の通りであった:カッパ−2カラゲニン11.35ポンドを、ロスDS40ジャケット付き真空混合機において33.89ポンドの量のグリセリンに添加し、最大速度で5分間分散させた。さらに11.35ポンドのカッパ−2カラゲニンを混合物に加え、さらに5分間分散させた。次に、脱イオン水94.1ポンド中のPureCote B790改質デンプン50ポンドの予混合物を混合機に負荷した。混合機のフードを閉じ、26インチ真空を引いて空気を除去した。最大速度のプラネタリーミキサーと1/3最大速度の分散機で内容物を30分間混合した。真空を閉じ込め、次に混合機のジャケットに低圧蒸気(<10psig)を適用することによって90℃に加熱しながら、混合機の内容物を混合した。90℃の温度に達した後、溶融塊を少なくとも90℃の温度に45分間維持しながら、分散機の速度を徐々に2/3最大速度まで上昇させた。加圧プレートを用いて溶融塊を押し出し、必要に応じて溶融塊をロス混合機から、温度制御された電気加熱(〜125℃)フレキシブルホースを通してカバー付き展着器へと流動させた。展着器で形成される鋳造フィルムは連続的で均一であった。フィルムをローラーによってカプセル形成鋳型に輸送し、そこでカプセルを形成し、鉱物油を充填して、密封した。カプセル密封温度は62℃であり、密封圧は〜2バールであった。リボンの厚さを0.28インチから0.16インチに減じたとき密封能力が改善された。カプセルを80°F及び19%RHで72時間トンネル乾燥した。カプセル密封の完全性は乾燥後も良好なままであった。この製剤から作られた鋳造フィルムは暗琥珀色で混濁しており、わずかな海藻臭があった。フィルム(厚さ0.3mm)の破断強度は58%固形分で310gであった。40℃、40%RHで一晩乾燥した後のフィルム(〜80%固形分)の破断強度は3309gであった。以下の表21のA参照。
【0105】
ソルビトールSP39.7ポンド、グリセリン59.5ポンド、ナトリウムイオン交換カッパ−2カラゲニン19.6ポンド、PureCote B760デンプン44.6ポンド及び水92.6ポンドを含む第二製剤を使用し、上記工程及び装置に従って、鉱物油を被包するさらなるソフトカプセル(以下の製剤B)を生産した。ソルビトールSPをデンプン/水予混合物に加えた。この製剤を用いて生産されるフィルムは、無臭、透明、中間色であった。鋳放しのフィルムは、0.6mmの厚さ、55%固形分で263gの破断強度を有していた。40℃、40%RHで一晩乾燥したフィルム試料(〜80%固形分)は、0.7mmの厚さ及び6463gの破断強度を有していた。鋳放しのフィルムは、ローラーでカプセル鋳型に供給したとき、より弾性で伸長した。42℃のカプセル密封温度と0.5バールの密封圧を用いてカプセルを形成した。鉱物油を被包した。
【0106】
カプセルを、重量、カプセルの各々半分についてのフィルムの厚さ、及び破裂強度(burst strength)に関して評価した。破裂強度は、カプセルを壊れるまで圧縮することによって測定した。圧縮プローブは1mm/秒の速度であった。各々の条件について10個のカプセルを試験した。殻強度は、合わせ目を水平に位置づけたときのカプセル破裂強度として報告する。合わせ目の強度を、合わせ目を垂直に位置づけた10個のカプセルに関して測定した。結果を表21に示す。どちらのカッパ−2カラゲニンフィルムも、破裂距離によって示されるように屈曲性であり、また、カプセル殻とカプセルの合わせ目に関して破裂強度がほぼ同じであること及びカプセルが合わせ目(圧点から離れた)ではなく合わせ目の上の先端で壊れたことによって示されるように強力なソフトカプセル密封を生産した。
【0107】
【表21】

【0108】
本発明を、その特定実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を施しうることは当業者には明白である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】ステファンプロセッサーを押出機と共に使用する、フィルム及びソフトカプセルを製造するための本発明の方法の概要図である。押出機はこの図では任意であり、ステファンプロセッサーは、例えばロス混合機に置き換えることができる。さらに、この図は「LBグアー」(低粘度グアー)に言及しているが、本発明はそれによって限定されない。
【図2】図3のような液体混合装置を押出機と共に使用する、フィルム及びソフトカプセルを製造するための本発明の方法の概要図である。押出機はこの図では任意である。
【図3】図2の方法において使用することができる、第一及び第二液体を蒸気で混合するための液体混合装置の、一部を断面で示した側面図である。
【図4】被包装置へと続く、押出機から出てきたフィルムを示す図2の概要図のもう1つのバージョンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但し前記温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、
(ii)前記溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機(devolatilizer)の少なくとも1つに供給すること、及び
(iii)前記均一溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること
の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法。
【請求項2】
前記フィルム形成組成物が、少なくとも1つのハイドロコロイドフィルム形成剤及び場合により可塑剤、充填剤、pH調整剤及び第二フィルム形成剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置が、ロス混合機、ステファンプロセッサー、押出機、ジェットクッカー(自動糊化装置)又は液体混合装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融組成物が少なくとも50%固形分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶融組成物が少なくとも60%固形分である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶融組成物が少なくとも70%固形分である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融組成物が少なくとも80%固形分である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記溶融組成物が少なくとも90%固形分である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲルフィルムが少なくとも1,000グラムの破断強度(break force strength)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲルフィルムが少なくとも2,500グラムの破断強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲルフィルムが少なくとも4,000グラムの破断強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲルフィルムが少なくとも5,000グラムの破断強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲルフィルムが少なくとも6,000グラムの破断強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記溶融組成物をポンプ、混合機又は脱泡機の少なくとも1つに供給する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ハイドロコロイドが、カラゲニン、アルギネート、グルコマンナン又はガラクトマンナンから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びポリアルキレングリコールから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記第二フィルム形成剤が、デンプン、デンプン誘導体、デンプン水解物、セルロースガム、ハイドロコロイド、アルキルセルロースエーテル及び改質アルキルセルロースエーテルから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、そして前記充填剤が、微結晶セルロース、微結晶デンプン、デンプン、デンプン誘導体、イヌリン及びデンプン水解物から成る群より選択される少なくとも1つの成員である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記カラゲニンが、イオタカラゲニン、カッパカラゲニン及びカッパ−2カラゲニンから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記アルギネートが、プロピレングリコールアルギネートであり、前記グルコマンナンがコンニャクであり、そして前記ガラクトマンナンがグアーガムである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記可溶化温度が大気圧での均一溶融組成物の沸点より高く、及び前記加熱、水和、混合及び可溶化を大気圧より上で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記脱泡を押出機において実施する、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶融組成物を、溶融組成物のゲル化温度に又はそれ以下に冷却する前に、直接前記混合機に供給し、脱気し、減圧し、ポンプで送り込む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1−19のいずれか一項に記載の方法から製造される均一な熱可逆性高固形分・低水分フィルム。
【請求項21】
(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置において高固形分・低水分フィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但し前記温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、
(ii)前記溶融組成物を混合機、ポンプ又は脱泡機の少なくとも1つに供給すること、
(iii)前記溶融組成物を、そのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、均一な熱可逆性ゲルフィルムを形成すること、及び
(iii)前記ゲルフィルムからソフトカプセルを製造すること
の工程を含む、ソフトカプセルを製造するための方法。
【請求項22】
前記フィルム形成組成物が、少なくとも1つのハイドロコロイド及び場合により可塑剤、充填剤、pH調整剤及び第二フィルム形成剤を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記装置が、ロス混合機、押出機、ステファンプロセッサー、ジェットクッカー又は液体混合装置である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記溶融組成物が少なくとも50%固形分である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記溶融組成物が少なくとも60%固形分である、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記溶融組成物が少なくとも70%固形分である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記溶融組成物が少なくとも80%固形分である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記溶融組成物が少なくとも90%固形分である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記ゲルフィルムが少なくとも1,000グラムの破断強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記ゲルフィルムが少なくとも2,500グラムの破断強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記ゲルフィルムが少なくとも4,000グラムの破断強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記ゲルフィルムが少なくとも5,000グラムの破断強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記ゲルフィルムが少なくとも6,000グラムの破断強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記溶融組成物をポンプ、混合機又は脱泡機の少なくとも1つを有する押出器に供給する、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ハイドロコロイドが、カラゲニン、アルギネート、グルコマンナン又はガラクトマンナンから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記可塑剤が、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びポリアルキレングリコールから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記第二フィルム形成剤が、デンプン、デンプン誘導体、デンプン水解物、セルロースガム、カッパカラゲニン、イオタカラゲニン、カッパ−2カラゲニン、アルギネート、プロピレングリコールアルギネート、ポリマンナンガム、プルラン、デキストラン、ゲラン、ペクチン、アルキルセルロースエーテル及び改質アルキルセルロースエーテルから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、そして前記充填剤が、微結晶セルロース、微結晶デンプン、デンプン、デンプン誘導体、イヌリン及びデンプン水解物から成る群より選択される少なくとも1つの成員である、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記カラゲニンが、イオタカラゲニン、カッパカラゲニン及びカッパ−2カラゲニンから成る群より選択される少なくとも1つの成員であり、前記アルギネートが、プロピレングリコールアルギネートであり、前記グルコマンナンがコンニャクであり、そして前記ガラクトマンナンがグアーガムである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記可溶化温度が大気圧での均一溶融組成物の沸点より高く、及び前記加熱、水和、混合及び可溶化を大気圧より上で実施する、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記脱泡を押出機において実施する、請求項21から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記溶融組成物を、溶融組成物のゲル化温度に又はそれ以下に冷却する前に、直接前記混合機に供給し、脱気し、減圧し、ポンプで送り込む、請求項21から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項21から39のいずれか一項に記載の方法によって製造されるソフトカプセル。
【請求項41】
(i)請求項1から19のいずれか一項に記載の方法に従って均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造すること、及び
(ii)前記ゲルフィルム内に充填物質を被包すること
の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムによって被包された充填物質を含有する固体投与形態を製造するための方法。
【請求項42】
前記充填物質が粉末、錠剤、カプレット、マイクロカプセル又はカプセルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記固体形態がハードカプセルである、請求項41に記載の固体形態。
【請求項44】
(i)請求項1から19のいずれか一項に記載の溶融組成物を製造すること
(ii)溶融組成物の形成前又は形成後に有効量の活性物質を添加すること、及び
(iii)前記活性物質を含む前記溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、前記活性物質を含む前記ゲルフィルムを形成すること
の工程を含む、活性物質と均一な熱可逆性ゲルフィルムを含む均一ゲルフィルム送達システムを製造するための方法。
【請求項45】
前記活性物質が、口腔ケア剤、口臭消臭剤、医薬品、栄養補助食品成分、唾液分泌促進剤、ビタミン、ミネラル、着色料、甘味料、矯味矯臭剤、香味料、食品の少なくとも1つである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法によって製造される送達システム。
【請求項47】
(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置においてフィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但し前記温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、及び
(ii)前記均一溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却してゲルフィルムを形成すること
の工程を含む、均一な熱可逆性ゲルフィルムを製造するための方法。
【請求項48】
前記装置がロス混合機である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(i)均一な溶融組成物を形成するために十分なせん断、温度及び滞留時間を提供する装置において高固形分・低水分フィルム形成組成物を加熱し、水和し、混合し、可溶化し、及び、場合により、脱気すること、但し前記温度は前記組成物の可溶化温度又はそれ以上である、
(ii)前記溶融組成物をそのゲル化温度又はそれ以下に冷却して、均一な熱可逆性ゲルフィルムを形成すること、及び
(iii)前記ゲルフィルムからソフトカプセルを製造すること
の工程を含む、ソフトカプセルを製造するための方法。
【請求項50】
前記装置がロス混合機である、請求項49に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−528357(P2007−528357A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513096(P2006−513096)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011906
【国際公開番号】WO2004/091537
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(391022452)エフ エム シー コーポレーション (74)
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
【Fターム(参考)】