ゲルマニウム含有ナノ構造体および形成方法
【課題】電気めっきによる自己制約型異方性ゲルマニウム・ナノ構造体を提供する。
【解決手段】ゲルマニウム・ナノ構造体は、直径1ミクロン未満のワイヤ及び幅1ミクロン未満のウォールを含み、基板と接触してその基板の外側に延びる。さらに電気めっきによるゲルマニウム・ナノ構造体の作成方法を提供する。
【解決手段】ゲルマニウム・ナノ構造体は、直径1ミクロン未満のワイヤ及び幅1ミクロン未満のウォールを含み、基板と接触してその基板の外側に延びる。さらに電気めっきによるゲルマニウム・ナノ構造体の作成方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、ゲルマニウム(Ge)ナノワイヤを含むナノ構造体に関する。特に、本開示は、パターン化された半導体基板上へのGeの電着に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤ電界効果トランジスタは、3次元集積化を可能にし、従って現在の技術よりも遥かに高いデバイス密度を可能にするであろう。そのようなデバイスの重要な要素は半導体ナノワイヤである。今までのところ、電気めっきで作成された幾つかの半導体化合物のナノワイヤが報告されている。しかし、Si及びGeのナノワイヤは、真空プロセスのみによって作成されてきた。
【0003】
さらに、以前に報告された電気めっきで作られたナノワイヤ構造体は、構造体の形状を画定するテンプレートを用いて作成される。図1及び図2に示すように、ナノ細孔(101)を有するテンプレート(100)は、片面に電気めっき電流を通す導電性材料層(102)を有し、ワイヤ構造体(103)は、細孔により画定される形状で電気めっきされる。
【0004】
ゲルマニウムは、シリコンと比較して高い移動度を有する半導体材料である。金属上へのゲルマニウムの電着に関する幾つかの限定的な提案がされている。しかし、それらは特に成功してはいない。これらの努力は、Geの高い可逆電位及びGe表面上の極めて低い水素過電圧によって妨げられてはいない可能性がある。従って、めっき電流のすべてが、プロトン還元(副作用)から生じる可能性があり、一旦電極表面がGeで覆われるとGeめっきは起こり得ない。今までのところ、Ge電気めっきに関する3つの手法が報告されている。
【0005】
例えば、金属基板上のゲルマニウムのめっきは、アルカリ性水溶液(Fink他による非特許文献1を参照)及びグリコール溶液(Szekelyによる非特許文献2及び特許文献1を参照)中で報告されている。最近、イオン液体媒体内での有向核(directed nucleation)形成に関する幾つかの研究が報告されている(Endresによる非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5を参照)。
【0006】
水溶液の手法では、強アルカリ性溶液(pH>13)がプロトン濃度を最小にしてプロトンの還元を抑制することが示唆された。この手法は、電解液の極端に高いpHのために殆どのマイクロエレクトロニクス・プロセスとは適合せず、その極端に高いpHはシリコン酸化物のような誘電体から形成される殆どの構造体に損傷を与える。
【0007】
非水溶液の手法では、グリコール溶液及びイオン液体溶媒が用いられ、プロトンは、溶液中で部分的に削減されるか又は完全に除去されて、副反応が遥かに少なくなる。イオン液体を用いる技術は、高粘度及び高コストの不利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2,690,422号明細書。
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fink 他、Journal of the ElectrochemicalSociety、1948年、95巻、80。
【非特許文献2】Szekely、Journal of the ElectrochemicalSociety、1951年、98巻、318。
【非特許文献3】Endres、Electrochemical and Solid StateLetters、2002年、5巻、C38。
【非特許文献4】Endres、Physical Chemistry and ChemicalPhysics、2002年、4巻、1640。
【非特許文献5】Endres、Physical Chemistry and ChemicalPhysics、2002年、4巻、1649。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、上記の問題点を解決したゲルマニウムめっき法によるゲルマニウム・ナノ構造体の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、半導体基板を含み、その基板に接触するGeを含むナノ構造体に関する。Geは、少なくとも1つの寸法において1ミクロン未満である。一実施形態において、Geはその基板から外側に延びる。
【0012】
本開示はまた、ゲルマニウム含有ナノ構造体を形成する方法であって、
パターン化された半導体基板を準備するステップと、
半導体基板をGe含有めっき溶液中に浸すステップと、
めっき溶液内で半導体基板とアノードの間に電圧を印加して、それによりパターン化された半導体基板にGeがパターン中の開口部を通してめっきされる、ステップと
を含む方法に関する。
【0013】
Geは少なくとも1つの寸法において1ミクロン未満である。一実施形態において、Geはその基板から外側に延び、Geは直径が1ミクロン未満である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】金属ナノ構造体の電気めっきに関する従来技術の概略図である。
【図2】金属ナノ構造体の電気めっきに関する従来技術の概略図である。
【図3】マスクを通した電気めっきの殆どの場合における従来技術のマッシュルーム成長の概略図である。
【図4】マスクを通した電気めっきの殆どの場合における従来技術のマッシュルーム成長の概略図である。
【図5】本発明によるナノ構造体の概略図である。
【図6】本開示によるめっき前のパターン化半導体基板の電子顕微鏡写真である。
【図7】図6のパターン化基板から外部に成長したゲルマニウム・ナノワイヤを示すある倍率の電子顕微鏡写真である。
【図8】図6のパターン化基板から外部に成長したゲルマニウム・ナノワイヤを示す別の倍率の電子顕微鏡写真である。
【図9】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウム・ワイヤを示す電子顕微鏡写真である。
【図10】本開示により電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤのGeのXPS分析を示す。2つのピークは、元素ゲルマニウム及び酸化ゲルマニウムを表す。
【図11】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウムのワイヤ型構造体を示す電子顕微鏡写真である。
【図12】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウムのウォール型構造体を示す電子顕微鏡写真である。
【図13】半導体ウェハ基板上のGe電着のための例示的な装置の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は半導体基板上にゲルマニウム・ナノ構造体を設けることに関する。適切な半導体基板には、それらに限定はされないが、Siベース及びGeベースの半導体、例えば、Si、Ge、SiGe合金、SiC合金、及びSiGeC合金、並びにIII族−V族及びII族−VI族半導体、並びに上記の任意の組合せが含まれる。
【0016】
本開示により、ゲルマニウム・ナノ構造体が、絶縁体領域及び半導体領域を有するパターン化された半導体基板の上に電気めっきされる。絶縁体領域は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸化アルミニウムのような誘電体から形成することができる。
【0017】
ゲルマニウムは、シード又はシード層のような中間層を何も必要とせずに、半導体基板の上に直接的に電気めっきすることができる。必要であれば、銅又はニッケル層のようなシード層をゲルマニウムの電気めっきの前に堆積させることができる。このシード層は、スパッタリング、蒸着、PVD及びCVDのような標準的な堆積プロセスによって、誘電体ステンシルの作成前に形成することができる。シード層は存在するとき、典型的には、約10乃至約100ナノメートルの厚さを有し、より典型的には、約10乃至約20ナノメートルの厚さを有する。他の中間層もまた、無電解又は電気めっき技術を含む電気化学的堆積によって、ゲルマニウムのめっき前に堆積させることができる。
【0018】
本開示により典型的に使用される電気めっき槽は、四ハロゲン化ゲルマニウム及び特に四塩化ゲルマニウムのようなゲルマニウム・イオン源、及びアルキルジオールのような有機溶媒を含む。アルキルジオールの例は、典型的には、2乃至5個の炭素原子を有するアルキルジオールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ブチレングリコール、1,3ブタンジオール及びペンチレングリコールが含まれる。ゲルマニウム源の濃度は、典型的には、約0.2乃至約0.7モル/リットル、及びより典型的には、約0.3乃至約0.5モル/リットルであり、一実施例は約0.5モル/LのGeGl4である。電気めっき槽の構成部分は、高純度(>99.9%)であることが望ましい。
【0019】
図13は、本開示のGe電気めっきを実施するのに使用することができるめっき装置10を示す。装置10は、電解液30及び固定アノード40を収容する容器20を備える。基板50は、回転カソード60の上に取り付けられ、電解液30の中に浸される。回転カソード60及び基板50の縁部は、絶縁ハウジング70によって電解液から保護される。電源80は、アノード40と基板/カソード50/60の間に電流を供給する。典型的なアノード40はグラファイトである。
【0020】
電着は、典型的には、約50℃乃至約90℃、より典型的には、約70℃乃至80℃の温度で実施する。用いる電流密度は、典型的には、約2000乃至約8000ミリアンペア/cm2である。半導体基板をめっき槽に浸す前に、基板は、典型的には、例えば希釈HF溶液(1:100)で洗うなどして洗浄する。めっき槽は、典型的には、例えば少なくとも約3時間エージングするか、又は、別の方法では、少量の水、例えば約0.5g/L乃至約2g/L、典型的には1g/Lの水を入れる。
【0021】
めっき中、カソードは、約500rpm乃至約2000rpm、例えば約1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは定電流モードで実施する。めっきは、基板から外側に、典型的には約0.1μm乃至約3μm、より典型的には約0.2μm乃至約1μmの長さだけゲルマニウムが延びるのに十分な時間実施する。
【0022】
上述のように、本開示は、テンプレートを使用せずにゲルマニウム・ナノワイヤ構造体を作成することを可能にする。本開示の方法は、電気めっきにおいて、自己制約型異方性成長によりゲルマニウム・ナノワイヤを形成することを可能にするもので、従来のテンプレートめっきプロセスとは完全に異なる。図3、図4及び図5に示すように、細孔(201)を有する浅いパターン(200)が、導電層又は半導体層(202)の上に形成される。めっきは、細孔が充填された後も継続する。電気めっきのほとんどの場合に生じるマッシュルーム・キャップ(203)の代わりに、ワイヤ構造体(204)が、パターンによって画定されるサイズを維持する異方的な様式で、パターンから外部に成長するように形成される。
【0023】
以下に非限定的な実施例を提示して本開示をさらに説明する。
【実施例1】
【0024】
用いた電解液は、1,3−プロパンジオール中のGeGl4の0.5モル/L溶液を含む。両化学物質は高純度で乾燥したものである。カソードは、標準的なマイクロエレクトロニクス製造プロセスによって前洗浄してパターン付けしたパターン化シリコンである。パターン付け用の典型的な積層体は、シリコンの上に、約10ナノメートルの厚さの二酸化シリコンと、次いで20ナノメートルの厚さの窒化シリコンとを堆積させて準備する。寸法200ナノメートルの構造部を、リソグラフィ及び反応性イオン・エッチング・プロセスにより、窒化シリコン及び二酸化シリコンを貫通してパターン化する。電気めっきの直前に、パターン化シリコン基板を1:100の希釈HF中に約2分間浸して自然酸化物を除去する。InGa共晶混合物をシリコンの裏面に塗布してオーム接点を形成し、図13に示すように基板を回転ディスク電極上に取り付ける。
【0025】
新しいGeGl4槽を、少なくとも約3時間、環境条件に晒すことによってエージングする。電解液は約70乃至80℃に維持する。グラファイトのアノードを用いる。めっき中、カソードは1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは定電流モードで実施し、典型的には約−4000mA/cm2の電流を用いてナノ構造体を形成する。
【0026】
図6及び図8は、本実施例による典型的な条件においてめっきされたワイヤ構造体の典型的な例を示す。図6は、めっき前のパターンを示し、10ナノメートルの二酸化シリコン、次いで20ナノメートルの窒化シリコンの積層体(300)をシリコン上に堆積させる。直径200ナノメートルのビア(301)をリソグラフィ及びエッチング・プロセスによってパターン化して、シリコン基板を露出させる。電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤ構造体(302)がパターンから外部に成長し、ビアの直径200nmを維持する(図7及び図8を参照されたい)。図9は、図7と同じ条件で、しかしより長時間成長させたワイヤ構造体を示す。マイクロメートルの長さを有し、なおパターンで画定された形状を有するワイヤが得られている。
【0027】
図10は、本実施例による電気めっきされた典型的なワイヤ構造体のXPS解析を示す。2つのピークは、元素ゲルマニウム及び酸化ゲルマニウムを表す。大部分の堆積物はゲルマニウムであることが確認され、一方構造体の表面は空気中で酸化され得る。
【実施例2】
【0028】
用いた電解液は、1,3−プロパンジオール中のGeGl4の0.5モル/L溶液を含む。両化学物質は、高純度で乾燥したものである。カソードは、標準的なマイクロエレクトロニクス製造プロセスによって前洗浄してパターン付けしたパターン化シリコンである。パターン付け用の典型的な積層体は、シリコンの上に、約10ナノメートルの厚さの二酸化シリコンと、次いで20ナノメートルの厚さの窒化シリコンとを堆積させて準備する。寸法200ナノメートルの構造部を、リソグラフィ及び反応性イオン・エッチング・プロセスにより、窒化シリコン及び二酸化シリコンを貫通してパターン化する。電気めっきの直前に、パターン化シリコン基板を1:100の希釈HF中に約2分間浸して自然酸化物を除去する。InGa共晶混合物をシリコンの裏面に塗布してオーム接点を形成し、図13に示すように基板を回転ディスク電極上に取り付ける。
【0029】
約1g/Lの水を新しいGeGl4槽に加える。電解液は約70乃至80℃に維持する。グラファイトのアノードを用いる。めっき中、カソードは1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは、定電流モードで実施し、典型的には約−4000mA/cm2の電流を用いてナノ構造体を形成する。
【0030】
図11及び図12は、本実施例による典型的な条件において、ビア及びストライプ・パターンの上にめっきされた典型的な構造体を示す。図11は、電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤ構造体がビア・パターンから外部に成長し、ビアの直径200nmを維持することを示す。図12は、本実施例における同じ条件で、しかし図12に示すストライプ・パターンの上に成長させたウォール型構造体を示す。ウォール型構造体はストライプ・パターンから外部に成長し、長さ数百マイクロメートル及び幅200ナノメートルのストライプ形状を維持する。
【0031】
本明細書で用いる用語「含む(comprising)」(及びその文法的変形)は、「有する(having)」又は「包含する(including)」の包括的な意味で用い、「〜だけから成る(consisting only of)」の排他的な意味では用いない。本明細書で用いる用語「ある(a)」及び「その(the)」は、単数と同様に複数を包含することを理解されたい。
【符号の説明】
【0032】
10:めっき装置
20:容器
30:電解液
40:固定アノード
50:基板
60:回転カソード
70:絶縁ハウジング
80:電源
100:テンプレート
101:ナノ細孔
102:導電性材料層
103:ワイヤ構造体
200:浅いパターン
201:細孔
202:半導体層
203:マッシュルーム・キャップ
204:ワイヤ構造体
300:積層体
301:ビア
302:ゲルマニウム・ナノワイヤ構造体
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、ゲルマニウム(Ge)ナノワイヤを含むナノ構造体に関する。特に、本開示は、パターン化された半導体基板上へのGeの電着に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノワイヤ電界効果トランジスタは、3次元集積化を可能にし、従って現在の技術よりも遥かに高いデバイス密度を可能にするであろう。そのようなデバイスの重要な要素は半導体ナノワイヤである。今までのところ、電気めっきで作成された幾つかの半導体化合物のナノワイヤが報告されている。しかし、Si及びGeのナノワイヤは、真空プロセスのみによって作成されてきた。
【0003】
さらに、以前に報告された電気めっきで作られたナノワイヤ構造体は、構造体の形状を画定するテンプレートを用いて作成される。図1及び図2に示すように、ナノ細孔(101)を有するテンプレート(100)は、片面に電気めっき電流を通す導電性材料層(102)を有し、ワイヤ構造体(103)は、細孔により画定される形状で電気めっきされる。
【0004】
ゲルマニウムは、シリコンと比較して高い移動度を有する半導体材料である。金属上へのゲルマニウムの電着に関する幾つかの限定的な提案がされている。しかし、それらは特に成功してはいない。これらの努力は、Geの高い可逆電位及びGe表面上の極めて低い水素過電圧によって妨げられてはいない可能性がある。従って、めっき電流のすべてが、プロトン還元(副作用)から生じる可能性があり、一旦電極表面がGeで覆われるとGeめっきは起こり得ない。今までのところ、Ge電気めっきに関する3つの手法が報告されている。
【0005】
例えば、金属基板上のゲルマニウムのめっきは、アルカリ性水溶液(Fink他による非特許文献1を参照)及びグリコール溶液(Szekelyによる非特許文献2及び特許文献1を参照)中で報告されている。最近、イオン液体媒体内での有向核(directed nucleation)形成に関する幾つかの研究が報告されている(Endresによる非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5を参照)。
【0006】
水溶液の手法では、強アルカリ性溶液(pH>13)がプロトン濃度を最小にしてプロトンの還元を抑制することが示唆された。この手法は、電解液の極端に高いpHのために殆どのマイクロエレクトロニクス・プロセスとは適合せず、その極端に高いpHはシリコン酸化物のような誘電体から形成される殆どの構造体に損傷を与える。
【0007】
非水溶液の手法では、グリコール溶液及びイオン液体溶媒が用いられ、プロトンは、溶液中で部分的に削減されるか又は完全に除去されて、副反応が遥かに少なくなる。イオン液体を用いる技術は、高粘度及び高コストの不利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2,690,422号明細書。
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fink 他、Journal of the ElectrochemicalSociety、1948年、95巻、80。
【非特許文献2】Szekely、Journal of the ElectrochemicalSociety、1951年、98巻、318。
【非特許文献3】Endres、Electrochemical and Solid StateLetters、2002年、5巻、C38。
【非特許文献4】Endres、Physical Chemistry and ChemicalPhysics、2002年、4巻、1640。
【非特許文献5】Endres、Physical Chemistry and ChemicalPhysics、2002年、4巻、1649。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、上記の問題点を解決したゲルマニウムめっき法によるゲルマニウム・ナノ構造体の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、半導体基板を含み、その基板に接触するGeを含むナノ構造体に関する。Geは、少なくとも1つの寸法において1ミクロン未満である。一実施形態において、Geはその基板から外側に延びる。
【0012】
本開示はまた、ゲルマニウム含有ナノ構造体を形成する方法であって、
パターン化された半導体基板を準備するステップと、
半導体基板をGe含有めっき溶液中に浸すステップと、
めっき溶液内で半導体基板とアノードの間に電圧を印加して、それによりパターン化された半導体基板にGeがパターン中の開口部を通してめっきされる、ステップと
を含む方法に関する。
【0013】
Geは少なくとも1つの寸法において1ミクロン未満である。一実施形態において、Geはその基板から外側に延び、Geは直径が1ミクロン未満である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】金属ナノ構造体の電気めっきに関する従来技術の概略図である。
【図2】金属ナノ構造体の電気めっきに関する従来技術の概略図である。
【図3】マスクを通した電気めっきの殆どの場合における従来技術のマッシュルーム成長の概略図である。
【図4】マスクを通した電気めっきの殆どの場合における従来技術のマッシュルーム成長の概略図である。
【図5】本発明によるナノ構造体の概略図である。
【図6】本開示によるめっき前のパターン化半導体基板の電子顕微鏡写真である。
【図7】図6のパターン化基板から外部に成長したゲルマニウム・ナノワイヤを示すある倍率の電子顕微鏡写真である。
【図8】図6のパターン化基板から外部に成長したゲルマニウム・ナノワイヤを示す別の倍率の電子顕微鏡写真である。
【図9】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウム・ワイヤを示す電子顕微鏡写真である。
【図10】本開示により電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤのGeのXPS分析を示す。2つのピークは、元素ゲルマニウム及び酸化ゲルマニウムを表す。
【図11】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウムのワイヤ型構造体を示す電子顕微鏡写真である。
【図12】パターン化半導体基板から外部に成長したゲルマニウムのウォール型構造体を示す電子顕微鏡写真である。
【図13】半導体ウェハ基板上のGe電着のための例示的な装置の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は半導体基板上にゲルマニウム・ナノ構造体を設けることに関する。適切な半導体基板には、それらに限定はされないが、Siベース及びGeベースの半導体、例えば、Si、Ge、SiGe合金、SiC合金、及びSiGeC合金、並びにIII族−V族及びII族−VI族半導体、並びに上記の任意の組合せが含まれる。
【0016】
本開示により、ゲルマニウム・ナノ構造体が、絶縁体領域及び半導体領域を有するパターン化された半導体基板の上に電気めっきされる。絶縁体領域は、酸化シリコン、窒化シリコン及び酸化アルミニウムのような誘電体から形成することができる。
【0017】
ゲルマニウムは、シード又はシード層のような中間層を何も必要とせずに、半導体基板の上に直接的に電気めっきすることができる。必要であれば、銅又はニッケル層のようなシード層をゲルマニウムの電気めっきの前に堆積させることができる。このシード層は、スパッタリング、蒸着、PVD及びCVDのような標準的な堆積プロセスによって、誘電体ステンシルの作成前に形成することができる。シード層は存在するとき、典型的には、約10乃至約100ナノメートルの厚さを有し、より典型的には、約10乃至約20ナノメートルの厚さを有する。他の中間層もまた、無電解又は電気めっき技術を含む電気化学的堆積によって、ゲルマニウムのめっき前に堆積させることができる。
【0018】
本開示により典型的に使用される電気めっき槽は、四ハロゲン化ゲルマニウム及び特に四塩化ゲルマニウムのようなゲルマニウム・イオン源、及びアルキルジオールのような有機溶媒を含む。アルキルジオールの例は、典型的には、2乃至5個の炭素原子を有するアルキルジオールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ブチレングリコール、1,3ブタンジオール及びペンチレングリコールが含まれる。ゲルマニウム源の濃度は、典型的には、約0.2乃至約0.7モル/リットル、及びより典型的には、約0.3乃至約0.5モル/リットルであり、一実施例は約0.5モル/LのGeGl4である。電気めっき槽の構成部分は、高純度(>99.9%)であることが望ましい。
【0019】
図13は、本開示のGe電気めっきを実施するのに使用することができるめっき装置10を示す。装置10は、電解液30及び固定アノード40を収容する容器20を備える。基板50は、回転カソード60の上に取り付けられ、電解液30の中に浸される。回転カソード60及び基板50の縁部は、絶縁ハウジング70によって電解液から保護される。電源80は、アノード40と基板/カソード50/60の間に電流を供給する。典型的なアノード40はグラファイトである。
【0020】
電着は、典型的には、約50℃乃至約90℃、より典型的には、約70℃乃至80℃の温度で実施する。用いる電流密度は、典型的には、約2000乃至約8000ミリアンペア/cm2である。半導体基板をめっき槽に浸す前に、基板は、典型的には、例えば希釈HF溶液(1:100)で洗うなどして洗浄する。めっき槽は、典型的には、例えば少なくとも約3時間エージングするか、又は、別の方法では、少量の水、例えば約0.5g/L乃至約2g/L、典型的には1g/Lの水を入れる。
【0021】
めっき中、カソードは、約500rpm乃至約2000rpm、例えば約1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは定電流モードで実施する。めっきは、基板から外側に、典型的には約0.1μm乃至約3μm、より典型的には約0.2μm乃至約1μmの長さだけゲルマニウムが延びるのに十分な時間実施する。
【0022】
上述のように、本開示は、テンプレートを使用せずにゲルマニウム・ナノワイヤ構造体を作成することを可能にする。本開示の方法は、電気めっきにおいて、自己制約型異方性成長によりゲルマニウム・ナノワイヤを形成することを可能にするもので、従来のテンプレートめっきプロセスとは完全に異なる。図3、図4及び図5に示すように、細孔(201)を有する浅いパターン(200)が、導電層又は半導体層(202)の上に形成される。めっきは、細孔が充填された後も継続する。電気めっきのほとんどの場合に生じるマッシュルーム・キャップ(203)の代わりに、ワイヤ構造体(204)が、パターンによって画定されるサイズを維持する異方的な様式で、パターンから外部に成長するように形成される。
【0023】
以下に非限定的な実施例を提示して本開示をさらに説明する。
【実施例1】
【0024】
用いた電解液は、1,3−プロパンジオール中のGeGl4の0.5モル/L溶液を含む。両化学物質は高純度で乾燥したものである。カソードは、標準的なマイクロエレクトロニクス製造プロセスによって前洗浄してパターン付けしたパターン化シリコンである。パターン付け用の典型的な積層体は、シリコンの上に、約10ナノメートルの厚さの二酸化シリコンと、次いで20ナノメートルの厚さの窒化シリコンとを堆積させて準備する。寸法200ナノメートルの構造部を、リソグラフィ及び反応性イオン・エッチング・プロセスにより、窒化シリコン及び二酸化シリコンを貫通してパターン化する。電気めっきの直前に、パターン化シリコン基板を1:100の希釈HF中に約2分間浸して自然酸化物を除去する。InGa共晶混合物をシリコンの裏面に塗布してオーム接点を形成し、図13に示すように基板を回転ディスク電極上に取り付ける。
【0025】
新しいGeGl4槽を、少なくとも約3時間、環境条件に晒すことによってエージングする。電解液は約70乃至80℃に維持する。グラファイトのアノードを用いる。めっき中、カソードは1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは定電流モードで実施し、典型的には約−4000mA/cm2の電流を用いてナノ構造体を形成する。
【0026】
図6及び図8は、本実施例による典型的な条件においてめっきされたワイヤ構造体の典型的な例を示す。図6は、めっき前のパターンを示し、10ナノメートルの二酸化シリコン、次いで20ナノメートルの窒化シリコンの積層体(300)をシリコン上に堆積させる。直径200ナノメートルのビア(301)をリソグラフィ及びエッチング・プロセスによってパターン化して、シリコン基板を露出させる。電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤ構造体(302)がパターンから外部に成長し、ビアの直径200nmを維持する(図7及び図8を参照されたい)。図9は、図7と同じ条件で、しかしより長時間成長させたワイヤ構造体を示す。マイクロメートルの長さを有し、なおパターンで画定された形状を有するワイヤが得られている。
【0027】
図10は、本実施例による電気めっきされた典型的なワイヤ構造体のXPS解析を示す。2つのピークは、元素ゲルマニウム及び酸化ゲルマニウムを表す。大部分の堆積物はゲルマニウムであることが確認され、一方構造体の表面は空気中で酸化され得る。
【実施例2】
【0028】
用いた電解液は、1,3−プロパンジオール中のGeGl4の0.5モル/L溶液を含む。両化学物質は、高純度で乾燥したものである。カソードは、標準的なマイクロエレクトロニクス製造プロセスによって前洗浄してパターン付けしたパターン化シリコンである。パターン付け用の典型的な積層体は、シリコンの上に、約10ナノメートルの厚さの二酸化シリコンと、次いで20ナノメートルの厚さの窒化シリコンとを堆積させて準備する。寸法200ナノメートルの構造部を、リソグラフィ及び反応性イオン・エッチング・プロセスにより、窒化シリコン及び二酸化シリコンを貫通してパターン化する。電気めっきの直前に、パターン化シリコン基板を1:100の希釈HF中に約2分間浸して自然酸化物を除去する。InGa共晶混合物をシリコンの裏面に塗布してオーム接点を形成し、図13に示すように基板を回転ディスク電極上に取り付ける。
【0029】
約1g/Lの水を新しいGeGl4槽に加える。電解液は約70乃至80℃に維持する。グラファイトのアノードを用いる。めっき中、カソードは1000rpmの典型的な速度で回転する。電気めっきは、定電流モードで実施し、典型的には約−4000mA/cm2の電流を用いてナノ構造体を形成する。
【0030】
図11及び図12は、本実施例による典型的な条件において、ビア及びストライプ・パターンの上にめっきされた典型的な構造体を示す。図11は、電気めっきされたゲルマニウム・ナノワイヤ構造体がビア・パターンから外部に成長し、ビアの直径200nmを維持することを示す。図12は、本実施例における同じ条件で、しかし図12に示すストライプ・パターンの上に成長させたウォール型構造体を示す。ウォール型構造体はストライプ・パターンから外部に成長し、長さ数百マイクロメートル及び幅200ナノメートルのストライプ形状を維持する。
【0031】
本明細書で用いる用語「含む(comprising)」(及びその文法的変形)は、「有する(having)」又は「包含する(including)」の包括的な意味で用い、「〜だけから成る(consisting only of)」の排他的な意味では用いない。本明細書で用いる用語「ある(a)」及び「その(the)」は、単数と同様に複数を包含することを理解されたい。
【符号の説明】
【0032】
10:めっき装置
20:容器
30:電解液
40:固定アノード
50:基板
60:回転カソード
70:絶縁ハウジング
80:電源
100:テンプレート
101:ナノ細孔
102:導電性材料層
103:ワイヤ構造体
200:浅いパターン
201:細孔
202:半導体層
203:マッシュルーム・キャップ
204:ワイヤ構造体
300:積層体
301:ビア
302:ゲルマニウム・ナノワイヤ構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲルマニウム含有ナノ構造体を形成する方法であって、
半導体基板の上に、該基板を露出させる少なくとも1つの開口部を有するマスクを形成するステップと、
前記マスクを有する前記半導体基板をGe含有めっき溶液中に浸すステップと、
めっき槽内で前記半導体基板とアノードの間に電力を印加して、前記半導体基板の露出部分をゲルマニウムで電気めっきするステップと
を含み、
前記ゲルマニウムは、前記基板と接触して前記開口部から外部に延び、前記基板と平行に取った前記ゲルマニウムの如何なる断面も前記マスクの前記開口部の形状にほぼ一致する、
方法。
【請求項2】
前記ゲルマニウム含有ナノ構造体は、100乃至300ナノメートルの直径を有するナノワイヤを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲルマニウム含有ナノ構造体は、100乃至300ナノメートルの幅を有するウォール型構造体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体基板は、Si、Ge、SiGe、SiC、GeC、SiGeC、III族−V族材料、及びII族−VI族材料、並びにそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板は、Si、Ge及びGaAsから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板は誘電体領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記めっき槽はアルキルジオール溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルジオール溶媒は、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール及びペンタンジオールから成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキルジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールから成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電気めっきの電流密度は、−2000乃至−8000ミリアンペア/cm2である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記めっき槽は、前記電気めっきの前に3乃至6時間エージングされる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ゲルマニウム源はGeCl4を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記めっき槽は、重量で0.5g/L乃至2g/Lの水をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記請求項の何れか1項による方法で形成されるゲルマニウム含有ナノ構造体。
【請求項1】
ゲルマニウム含有ナノ構造体を形成する方法であって、
半導体基板の上に、該基板を露出させる少なくとも1つの開口部を有するマスクを形成するステップと、
前記マスクを有する前記半導体基板をGe含有めっき溶液中に浸すステップと、
めっき槽内で前記半導体基板とアノードの間に電力を印加して、前記半導体基板の露出部分をゲルマニウムで電気めっきするステップと
を含み、
前記ゲルマニウムは、前記基板と接触して前記開口部から外部に延び、前記基板と平行に取った前記ゲルマニウムの如何なる断面も前記マスクの前記開口部の形状にほぼ一致する、
方法。
【請求項2】
前記ゲルマニウム含有ナノ構造体は、100乃至300ナノメートルの直径を有するナノワイヤを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲルマニウム含有ナノ構造体は、100乃至300ナノメートルの幅を有するウォール型構造体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体基板は、Si、Ge、SiGe、SiC、GeC、SiGeC、III族−V族材料、及びII族−VI族材料、並びにそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板は、Si、Ge及びGaAsから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板は誘電体領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記めっき槽はアルキルジオール溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルジオール溶媒は、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール及びペンタンジオールから成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキルジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールから成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電気めっきの電流密度は、−2000乃至−8000ミリアンペア/cm2である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記めっき槽は、前記電気めっきの前に3乃至6時間エージングされる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ゲルマニウム源はGeCl4を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記めっき槽は、重量で0.5g/L乃至2g/Lの水をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記請求項の何れか1項による方法で形成されるゲルマニウム含有ナノ構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−514944(P2010−514944A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544382(P2009−544382)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064118
【国際公開番号】WO2008/080828
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064118
【国際公開番号】WO2008/080828
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】
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