説明

ゲル不含ポリマーの連続的製造方法ならびにゲル不含ポリマーを含む粉体および液体コーティング材料

【課題】ゲルを含まないポリマー生成物を調製するための連続高温重合方法の提供。
【解決手段】本方法は反応器がその可使用容積の100%まで満たされるように少なくとも1種のモノマーを反応器に連続的に充填することを含む。反応器は、ポリマー生成物へのモノマーの重合が起こるような有効温度に有効な時間保たれ、その結果ポリマー生成物が実質的にゲル粒子を含むことなく生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲルを含まないポリマーの連続製造方法、その方法により製造されるポリマー生成物、その方法により製造されるポリマー生成物を含む粉体および液体コーティングへの応用、ならびにそのポリマーを含む粉体および液体コーティングに関する。
【0002】
(発明の背景)
ポリマーの連続製造方法は本技術分野においてよく知られている。しかし、工業用途のポリマーを製造するのに今日までに用いられてきた方法の多くは、高コスト、エポキシ含有モノマーまたは高レベルのアクリルモノマーを用いる場合に問題となるゲル化の問題、特定のモノマーを低レベルでしか組み込めないこと、および耐候性があり黄色味のないコーティングへの応用に用いることができるポリマーを製造できないことなどを含む問題のある限界を有している。
【0003】
Hamielec等の米国特許第4,414,370号は、低分子量ポリマーを調製するためにビニルモニマーを重合する連続塊状重合方法を開示し、この方法では235℃から310℃の反応温度での熱開始および少なくとも2分の連続攪拌反応器ゾーンにおける滞留時間を用いる。
【0004】
Schmidt等の米国特許第4,529,787号は、短い滞留時間および穏やかな反応温度でビニルモノマーから低分子量で均一なポリマーを調製してハイソリッドの用途に適する生成物を高収率で得るための開始剤を含む連続塊状重合方法を開示する。
【0005】
Brand等の米国特許第4,546,160号は、ハイソリッドの用途に用いられる低分子量で均一なポリマーを調製するためにアクリルモノマーを重合する連続塊状重合方法を開示し、その方法では短い滞留時間および中程度の温度で少量の開始剤を使用する。
【0006】
従来技術のいずれも、連続方法を用いて高温でゲルを含まないポリマーを製造することに関する困難を克服する方法は教示していない。通常、問題となるゲル粒子の生成は、連続高温重合反応がポリマー、特にエポキシ化付加ポリマーなどの付加ポリマーを製造するために実施される場合に起こる。ゲルの生成はエポキシ成分および水酸基など他の官能基成分の両方が同時に反応器中に存在する場合により深刻であることが知られている。
【0007】
さらに、エポキシ化付加ポリマーは、通常エポキシ官能性モノマーとメタクリレートモノマーおよび他の選択されたモノマーを共重合することにより生成する。しばしばエポキシ官能性モノマーはそれ自体がメタクリレートモノマーである。従来の高温重合法では、低レベルでメタクリレートモノマーが最終ポリマー生成物に組み込まれることを含むポリマーを製造する場合に直面する困難を適切に解決することができなかった。当技術分野で知られるこの方法のこれらの欠点を克服する、エポキシ化付加ポリマーを製造する連続高温重合方法が依然として求められている。
【0008】
McMonigal等の米国特許第5,256,452号は、セミバッチ式方法で製造されたエポキシ化ポリマーを用いる透明コーティングの製造を教示する。このコーティングは通常自動車の仕上げに用いられ、それが被覆する着色ベースコートに黄色味がかった色を与えることがある。これは着色ベースコートが白色である場合特に問題となる。残念ながら、米国特許第5,256,452号により製造されたこれらのエポキシ化ポリマーを含む透明コーティングは、ベースコーティング上に液体または粉体透明コーティングとして塗装された場合過剰の黄色度を実際に示すものであった。
【0009】
最後に、従来の方法により製造されたエポキシ化ポリマーを含む透明コーティングには、前記の黄色味を帯びる問題以外にも重大な問題がある。例えば、従来のエポキシ化ポリマーを含む透明コーティングには耐候性もない。これらの従来の透明コーティングが自動車のコーティングなどの極端な条件にそれらを曝す用途に用いられる場合、それらは時に必要とされる耐久性をもたせることができない。従来のエポキシ化ポリマーに付随する問題を克服する透明コーティング用のエポキシ化ポリマーを製造することが求められている。
【0010】
(発明の概要)
本発明はポリマー生成物を調製するための連続高温重合方法に関し、この方法ではポリマー生成物は実質的にゲル粒子なしに生成する。これはその可使用容積の100%まで満たされた反応器を用いることにより成し遂げられる。1つの実施形態において、反応器は少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマーと、所望により、これらに限定されるわけではないが、非官能性アクリレートモノマー、非官能性メタクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびこれらの組合わせを含むモノマーなどの少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーとで連続的に充填される。別の実施形態において、反応器は少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマーと少なくとも1種のヒドロキシ官能性アクリルモノマーと、これらに限定されるわけではないが、非官能性アクリレートモノマー、非官能性メタクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびこれらの組合わせを含むモノマーなどの少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーとを含むモノマーで充填される。さらに別の実施形態において、反応器は少なくとも1種のカルボン酸官能性アクリルモノマーと、所望により、これらに限定されるわけではないが、非官能性アクリレートモノマー、非官能性メタクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびこれらの組合わせを含むモノマーなどの少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーとを含むモノマーで充填される。各実施形態における反応器は、反応器内で、モノマーを重合させ、モノマーから実質的にゲル粒子なしに形成されたポリマー生成物を生成するのに有効な温度に有効な時間に保持されている。また各実施形態においては、反応器に所望により少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤および/または1種または複数種の溶剤を充填することもできる。
【0011】
また本発明は、反応器に供給された全てのモノマーの本発明によるポリマー生成物への転化率を最大化することに関する。
【0012】
また本発明は、本発明のポリマー生成物を組み込む液体および粉体の透明および着色コーティングにも関わる。
【0013】
本発明のこれらおよび他の態様は、特許請求の範囲の記載と合わせて以下の明細書の記載から明らかとなるであろう。
【0014】
本発明の好ましい例示的実施形態は以後本明細書において添付図に関連して記載され、図において類似の数字は類似の要素を表す。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本出願において、以下の用語が全体を通して一貫して用いられ、次のように定義される。
【0016】
比較アクリレート非含有ポリマー生成物−本発明と同じ連続方法により製造された、アクリレートモノマーが反応器への供給に含まれないがそれ以外は同じモノマーを反応器への供給に含むポリマー生成物。
【0017】
比較バッチポリマー生成物−本発明のポリマー生成物と同じモノマー組成で製造された、本発明により提供されるような連続方法でなくバッチ式またはセミバッチ式方法により製造されるという点が異なるポリマー生成物。
【0018】
官能基−エポキシ官能基と化学的に反応しうる化学的基であり、これらに限定はされないが、ヒドロキシ、カルボン酸およびアミノ基を含む。
【0019】
黄色味が少ない(lower color)−同じ条件で測定したとき第2の透明コーティングよりデルタb値が小さい第1の透明コーティングを本明細書では黄色味が少ないと定める。
【0020】
非官能性(モノマー)−架橋しうる官能性エポキシ基、またはエポキシ基と化学的に反応しうるいかなる官能基も含まないモノマー。
【0021】
標準条件−標準条件はデルタbが測定される条件に関連する。液体透明コーティングの場合、標準条件はE−コートED5250、PPGプライマFCP6842、およびPPGベースコートODCT6466オックスフォードホワイトからなる3層基材の上にポリマー生成物を含む液体透明コーティングが厚さ1.6ミルで配置されたものについてデルタb値を測定することと定められる。液体透明コーティングは本明細書の実施例4に記載されるように配合され製造される。液体コーティングを付けた各基材は電気オーブン中140℃で30分間硬化させて、Macbeth Color Eye 7000を用いてデルタb黄色度で色を調べる。デルタbは平均値を得るために3種の別の光条件D−65、A、およびCWF(2)のもとで測定される。粉体透明コーティングの場合、標準条件はE−コートED5250、PPGプライマFCP6842、およびPPGベースコートODCT6466オックスフォードホワイトからなる3層基材の上にポリマー生成物を含む粉体透明コーティングが厚さ2.0ミルで配置されたものについてデルタb値を測定することと定められる。ポリマー生成物を含む粉体コーティングは、エポキシ官能性アクリルモノマーからのエポキシ官能性と粉体コーティングを製造するのに使用される架橋剤からの酸官能性とが化学量論的当量となるように調製される。粉体透明コーティングは本明細書の実施例3に記載されるように配合され製造される。粉体コーティングを付けた各基材は電気オーブン中140℃で30分間硬化させて、Macbeth Color Eye 7000を用いてデルタb黄色度の色を調べる。デルタbは平均値を得るために3種の別の光条件D−65、A、およびCWF(2)のもとで測定される。
【0022】
実質的にゲル粒子を含まない−重合反応が、反応中に連続反応および/または得られるポリマー生成物に悪影響を及ぼすと想定されるいかなる程度にもゲル粒子が生成することを避けるような方法で起こる。
【0023】
耐候性−日光および/またはUV光への曝露後に光沢および/または色を保持する性能。
【0024】
本発明は実質的にゲル粒子なしに生成するポリマーを調製する連続高温重合方法を対象とする。これはその可使用容積の100%まで満たされた反応器を用いることにより成し遂げられる。本技術分野でよく知られるいかなる適切なモノマーも用いることができる。1つの実施形態においては、付加ポリマーが生成する。
【0025】
また本発明は、フリーラジカル重合でエポキシ官能性ポリマー生成物を調製するための連続高温重合方法を含み、少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、所望により少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマー、および所望により少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤を、反応器が液体充満状態で運転されるように反応器に連続的に充填することを含む。好ましい方法において、反応器はエポキシ官能性アクリルモニマー以外には官能基を含む他のいかなるモノマーまたは化合物も含まない。モノマー混合物は、モノマーを重合させ、ポリマー生成物が実質的にゲル粒子なしに生成するように、ポリマー生成物を生成するのに効果的な温度で効果的な時間反応器中に留まる。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、エポキシ官能性アクリルモノマーは、連続方法の供給モノマー中に、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約1重量%から100重量%の範囲の量で、別の実施形態では約15重量%から約60重量%の量で存在する。これらの場合、非官能性フリーラジカル重合性モノマーは、重合性モノマーの全重量に対して0重量%から約99重量%、または別の実施形態においては85重量%までの量で存在する。
【0027】
別の実施形態において、エポキシ官能性およびヒドロキシ官能性アクリルモノマーが連続方法の供給モノマー中に、供給中の重合性モノマーの全重量に対して合計量で約2重量%から約76重量%の範囲で存在する。これらの場合において、エポキシ官能性モノマーは、供給モノマー中に、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約1重量%から約75重量%の範囲の量で存在することができ、またヒドロキシ官能性アクリルモノマーは約75重量%から約1重量%の範囲の量で存在することができる。別の実施形態において、エポキシ官能性およびヒドロキシ官能性モノマーは、供給モノマー中に約20重量%から約60重量%の合計量で存在し、エポキシ官能性アクリルモノマーをエポキシ官能性およびヒドロキシ官能性アクリルモノマーの合計重量に対して少なくとも50重量%含む。供給モノマーがエポキシ官能性およびヒドロキシ官能性アクリルモノマーの両方を含む場合、供給モノマーは、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約25重量%から約98重量%の少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーを含むこともできる。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態において、カルボン酸官能性モノマーが、連続方法の供給モノマー中に、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約5重量%から100重量%、別の実施形態において約20重量%から100重量%、別の実施形態において約22重量%から約55重量%の範囲の量で存在する。供給モノマーがカルボン酸官能性アクリルモノマーを含む場合、供給モノマーはまた少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーを、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約95重量%から0重量%、別の実施形態においては約80重量%から0重量%、また別の実施形態においては約45重量%から約78重量%含むことができる。
【0029】
本明細書で用いられる用語「重量」は、ここで、用いられる特定のモノマーの全ての類にわたる全重量として定義され、例えば多種のエポキシ官能性アクリルモノマーが用いられる場合、全てのこの種のモノマーの好ましい全重量は、供給中の重合性モノマーの全重量に対して約15重量%から約60重量%であろう。本明細書で列挙される全ての範囲はその範囲の限界に含まれる全ての組合わせおよび下位組合わせを含む。したがって、「約15%から約60%」の範囲は約15%から約45%、約30%から約47%、その他の範囲を含むであろう。「85%までの」範囲は80%まで、50%まで、24%まで、その他を含むと想定されている。
【0030】
本発明で用いられるエポキシ官能性アクリルモノマーおよび他のアクリルモノマーの例にはアクリレートおよびメタクリレートの両方が含まれる。エポキシ官能性アクリルモノマーの例には、これらに限定されるわけではないが、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートなどの1,2−エポキシ基をもつものが含まれる。好ましいエポキシ官能性アクリルモノマーはグリシジルメタクリレートである。
【0031】
モノマー混合物にはまたあらゆる組合わせの1種または複数種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーが含まれる。これらのさらなる非官能性フリーラジカル重合性モノマーは全体として、存在するモノマーの全重量の99重量%までの量で存在する。
【0032】
本発明で用いられるヒドロキシ官能性アクリルモノマーの例には、アクリレートおよびメタクリレートの両方が含まれる。これらのモノマーの例には、これらに限定されるわけではないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどの2、3または4−ヒドロキシ基を有するものが含まれる。ヒドロキシ官能性アクリルモノマーが用いられる場合、好ましいエポキシ官能性アクリルモノマーはグリシジルメタクリレートである。
【0033】
1つの実施形態において、これらのフリーラジカル重合性モノマーには他の非官能性アクリレートモノマーおよび/または非官能性メタクリレートモノマーが含まれる。本発明の好ましい実施形態において、非官能性アクリレートおよび/または非官能性メタクリレートモノマーは連続方法の供給モノマー中に、モノマーの全重量に対して約99重量%までの範囲の量で存在する。別の好ましい実施形態において、非官能性アクリレートおよび/または非官能性メタクリレートモノマーは連続方法の供給モノマー中に、モノマーの全重量に対して約85重量%までの範囲の量で存在する。適切なアクリレートおよびメタクリレートモノマーには、これらに限定されるわけではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、i−アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、i−アミルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートが含まれる。好ましい非官能性アクリレートモノマーおよび非官能性メタクリレートモノマーは、ブチルアクリレート、ブチレメタクリレート、メチルメタクリレート、イソ−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびこれらの混合物である。
【0034】
本発明の好ましい方法において、供給モノマーは少なくとも2種の異なる非官能性アクリレートまたは非官能性メタクリレートモノマーを含み、さらにより好ましい実施形態において、連続反応の供給モノマーは少なくとも3種の異なる非官能性メタクリレートモノマーを含む。本発明のさらに別の好ましい方法において、少なくとも2種の非官能性メタクリレートモノマーおよび1種の非官能性アクリレートモノマーが連続反応混合物に供給される。本発明のさらに別の好ましい方法において、供給モノマーは少なくとも1種の非官能性アクリレートおよび1種の非官能性メタクリレートを含む。本発明の別の好ましい方法において、供給モノマーは本質的にエポキシ官能性モノマーおよび非官能性スチレンモノマーからなる。
【0035】
好ましい実施形態において、本発明の方法はまた1種または複数種のフリーラジカル重合開始剤を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の方法はいかなる開始剤も存在することなく実施することができる。本発明による方法を実施するのに適切な開始剤は、1次反応で加熱によりラジカルに分解する化合物であるが、これは決定的な要素ではない。適切な開始剤のラジカル分解方法の半減期は、好ましくは90℃以上の温度で約1時間であり、またより好ましくは100℃以上の温度で10時間である。100℃よりかなり低い温度で約10時間の半減期をもつ他のものを用いることもできる。適切な開始剤は例えば、1−t−アミルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、アゾ−ビス−イソブチロニトリルおよび1−t−ブチルアゾ−シアノシクロヘキサン、2,2’−アゾ−ビス−(2−メチル)ブチロニトリルなどの脂肪族アゾ化合物とt−ブチルパーオクトエート、t−ブチルパーベンゾアート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイドおよびこれらの類似物などのパーオキサイドおよびハイドロパーオキサイドである。さらに、ジ−パーオキサイド開始剤は単独でまたは他の開始剤と組合わせて用いることもできる。このようなジ−パーオキサイド開始剤には、これらに限定されるわけではないが、1,4−ビス−(t−ブチルパーオキシカルボ)シクロヘキサン、1,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、および2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン、および本技術分野でよく知られる他の類似の開始剤が含まれる。好ましい開始剤はジ−t−ブチルパーオキサイドおよびジ−t−アミルパーオキサイドである。
【0036】
開始剤は好ましくはモノマーと共に添加される。開始剤は適量であればいかなる量で添加してもよいが、全開始剤は、好ましくは供給モノマー1モルあたり約0.0005から約0.06モル開始剤の量で添加される。このために開始剤は供給モノマーと前混合されるかまたは別の供給として方法に添加される。
【0037】
本発明のポリマー生成物には、1種または複数種の他の非官能性フリ−ラジカル重合性モノマーとして1種または複数種の非官能性スチレンモノマーを任意で含むこともできる。存在する場合、スチレンモノマーは全供給モノマーの重量に対して99重量%まで、1つの実施形態においては25重量%までの量で他のモノマーと共に供給される。本発明で用いられるスチレンモノマーには、これらに限定されるわけではないが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−クロロスチレン、ビニルピリジン、およびこれらの混合物が含まれる。本方法で用いられる好ましいスチレンモノマーには、スチレンおよびα−メチル−スチレンが含まれる。
【0038】
本発明の方法は所望によりさらに反応器への供給中に1種または複数種の不活性溶剤を含むことができる。この溶剤はモノマーと共にまたは別の供給として反応器に供給することができる。溶剤は、本明細書に説明される連続方法における高温においてエポキシ官能性アクリルモノマーのエポキシ官能性と反応しないことが好ましい、本技術分野でよく知られているどのような溶剤でもよい。以下により詳細に説明するように、溶剤を適切に選択すると、本発明の連続高温反応中のゲル粒子の生成を減少させることができる。このような溶剤には、これらに限定されるわけではないが、キシレン、トルエン、エチル−ベンゼン、Aromatic−1009、Aromatic1509、Aromatic2009(すべてのAromaticはExxonが市販する)、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、およびこれらの組合わせが含まれる。用いられる場合、溶剤は反応器条件および供給モノマーを考慮して望ましいいかなる量でも存在することができる。1つの実施形態において、1種または複数種の溶剤が重合性モノマーの全重量に対して40重量%まで、好ましい実施形態においては15重量%までの量で存在する。
【0039】
本発明の方法はまた、フリーラジカル重合されたエポキシ官能性ポリマー生成物を調製するための連続高温液体充満重合方法を含み、少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、少なくとも1種の非官能性メタクリレートモノマー、少なくとも1種の非官能性アクリレートモノマーおよび所望により少なくとも1種のフリーラジカル重合開始剤を反応器に連続的に充填することを含む。反応器は、モノマーを重合させ、ポリマー生成物を生成するのに有効な温度に有効な時間維持される。好ましい実施形態において、反応器はエポキシ官能性アクリルモノマーからの官能基以外にはいかなる官能基も含まない。別の好ましい実施形態において、ポリマー生成物は、モノマーの全重量に対して合わせて60重量%の官能性および非官能性メタクリレートモノマーを組み込む。より好ましい実施形態において、方法が約160℃および約270℃の間、好ましくは約232℃までの温度で実施される場合、メタクリレートモノマーの全重量の少なくとも60重量%がポリマー生成物に組み込まれる。別の好ましい実施形態において、ポリマー生成物に組み込まれるメタクリレートモノマーの全重量は、比較のアクリレート非含有ポリマー生成物に組み込まれるメタクリレートモノマーの全重量を超える。
【0040】
驚くべきことにまた思いがけなく、非官能性アクリレートモノマーを加えることによりこの非官能性アクリレートモノマーがメタクリレートモノマーの得られるポリマー生成物への転化率を最大化するということが見出された。得られるポリマー生成物は、比較のアクリレート非含有ポリマー生成物が製造される場合よりもより大きいパーセンテージでメタクリレートを組み込む。
【0041】
本発明者は、高温連続重合方法によりポリマー生成物に組み込まれる場合、官能性および非官能性メタクリレートモノマーの両方が特有の挙動をとるということを見出した。連続重合方法のモノマー混合物中のあらゆる種類の全てのメタクリレートモノマー成分は、反応器の温度を上げた場合ポリマー生成物へと共重合する程度(すなわち、単独の転化率)の実質的な減少を示し、高温ではより低い方法収率(すなわち、より低い方法生産性)を与えるということが見出された。これは、本発明の範囲内で、アクリルおよびスチレンアクリルポリマーの連続重合において、他のビニルモノマーの挙動とは異なる。
【0042】
適切な非官能性アクリレートモノマーおよび/または非官能性α−非置換スチレンモノマーを少量加えることにより、供給モノマー混合物中のあらゆる種類の全てのメタクリレートモノマー成分の転化率を大幅に増大させ、メタクリレートを含む配合組成の高温共重合でのこの思わしくない特徴を克服する。本発明による方法能力を拡大するための配合組成に導入される適切なアクリレートモノマーの選択は、最終のポリマー生成物の特性、特にエポキシ当量、T、および分子量分布(以後「MWD」という)(MnおよびMwにより与えられるMWD)を変えずに維持することによってでなければならない。
【0043】
等しいMWDに対する方法条件は拡大された方法能力の範囲で容易に見出すことができるので、エポキシ当量およびTの等価性は主に2つのことを意味する。すなわち、1)非官能性アクリレートの導入は、最終ポリマー生成物に組み込まれるエポキシ官能性アクリルモノマーの最終含量に影響をあたえるべきではない。および2)ポリマー生成物の最終のTが所望の用途に十分であるような仕方でアクリレートを選択することができる。ポリマー生成物のTは、本発明により製造される液体および粉体コーティングのいずれの調製および性能にとっても非常に重要である。約30℃よりTが低いとポリマー生成物がコールドフローとして知られる現象を示し、固体として使用することができず、したがってその粉体特性を失う原因となるので、粉体コーティング調製においてTは特に重要である。本発明のポリマー生成物を組み込む液体コーティング調製において、Tの変動は結果としてレオロジー挙動における実質的な差異をもたらす。
【0044】
これらの要求を満たすためには、適切な非官能性アクリレートモノマーを選択する基準は共重合ポリマー生成物のT予測モデルに基づくことができる。一例として、当技術分野でよく知られるFoxモデルは次の式に従うことにより明確な選択基準を確立する。
【0045】
式1.方法向上のためにアクリレートを導入する基準
[式1]

この式中、Tgproduct+/−xは、配合組成中にさらなる非官能性アクリレートおよび/または非官能性α−非置換スチレンを含めることによりもつことになるポリマー生成物の所望または現行のT+/−許容範囲である。
【0046】
は現行の生成物の成分iの重量分率である。
W’は、(新規の)非官能性アクリレートおよび/または非官能性α−非置換スチレン拡大生成物における成分iの重量分率である。
giはホモポリマーiのTである。
【0047】
GMAはグリシジルメタクリレートであるが、適切なエポキシ官能性アクリルモノマーのいずれでもありうる。
【0048】
したがって、式1の教示に従えば、液体コーティング用途のTが低い本発明のポリマー生成物の配合組成では、Tの低い非官能性アクリレートモノマーが用いられるべきである。これらの非官能性アクリレートモノマーには、これらに限定されるわけではないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよびより長鎖の脂肪族アクリレート、もしくはそのアクリレートのホモポリマーが、T≦30℃であるあらゆる他のアクリレートモノマーまたはこれらの組合わせも含まれる。
【0049】
粉体コーティング用途のTが高い本発明によるポリマー生成物の配合組成において、シクロヘキシルアクリレート、イソ−ボルニルアクリレートなどの高T非官能性アクリレートモノマー、非官能性α−非置換スチレンおよびこれらの組合わせ、ならびにそのホモポリマーがT>30℃であるあらゆる他のアクリレートモノマーなどが好ましい。
【0050】
いずれの場合においても、導入すべき、選択された適切な非官能性アクリレートモノマーおよび/または非官能性α−非置換スチレンモノマーの最大許容量はそれが式1に従うことにより制限される。すなわち、導入すべき所定のアクリレート/スチレンの選択はそのTを確定し、したがってまたTの変動許容制限を破らないようにその最大使用量を確定する。
【0051】
この方法において、いかなる非官能性アクリレートモノマーおよび/または非官能性α−非置換スチレンモノマーでも方法能力拡大のために本発明の範囲内のいかなる配合組成にでも導入することができる。しかし、置き換えようとするモノマーのTまたは目標とするポリマー生成物のTと選択された非官能性モノマーのTの間の差が大きくなればなるほど、このモノマーの許容量は式1に従うことによりますます低く押さえられる。Tの差があまりに大きい場合、許容量が非常に小さいので方法にはいかなる利点もない。この官能性および非官能性メタクリレートの両方の転化率が増加する様子は図1に示されている。図1は非官能性α−非置換スチレンおよび非官能性アクリレート含量の同じ反応混合物に含まれるあらゆる種類の全ての官能性および非官能性メタクリレートの平均転化率への併用効果を本発明の方法の重合温度の関数として例示する。
【0052】
が適切なあらゆる非官能性アクリレートモノマーおよび/または非官能性α−非置換スチレンモノマーを用いることができる。しかし、ある特定のアクリレートモノマーは最終生成物へのメタクリレートモノマーの組込み比に影響するだけでなく、得られるポリマー生成物が用いられる最終製品の性能を向上させる。本発明において、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、またはこれらの組合わせが、液体および粉体コーティングに用いられるポリマー生成物に見出されるメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびイソブチルメタクリレートなどの通常のメタクリレート成分とのTの差が小さく、このためより多量のシクロへキシルアクリレートまたはイソボニルアクリレートを導入できるためだけでなく、これらのモノマーはまた生成物が最終コーティングの耐候性をよくするために生成物の性能を向上させるので、これらの量で用いられてもかまわないということのために方法能力向上のために好ましい。したがって、これらのモノマーの利益は2重、すなわち方法能力向上および生成物の性能向上である。
【0053】
1つの実施形態において、本発明は非官能性モノマーとエポキシ官能性アクリルモノマーとを反応させることを対象とするが、このような例で他の官能性モノマーを反応に加えることもできる。加えることのできるこれらの他の官能性モノマーのレベルは通常さらなる架橋によるポリマー生成物中のゲル粒子のレベルまたはポリマー生成物へのエポキシ官能性アクリルモノマーの転化率のいずれにも大して影響しない程度に十分少ない。
【0054】
本発明の別の実施形態において、液体充満反応器内で連続反応を実施することによって、ヒドロキシ官能性アクリルモノマーとエポキシ官能性アクリルモノマーが同じ反応において同時に反応し実質的にゲル粒子を含まないポリマー生成物を製造することができるということが驚くべきことにまた予想外に見出された。加えることのできるこれらの2種の官能性モノマーは、非官能性フリーラジカル重合性モノマーを含む供給モノマーとの釣合いを考慮して、合わせて重合性供給モノマーの全重量の通常約75重量%以下である。
【0055】
また本発明は、連続方法条件のもとで液体充満反応器内で、通常エポキシ官能性モノマーおよび他の官能性モノマーなしで、カルボン酸官能性アクリルモノマーと非官能性フリーラジカル重合性モノマーとを反応させることを対象とする。しかし、少量の他の官能性モノマーもまたこのような条件のもとで液体充満反応器に加えることもできる。加えることのできるこれらの他の官能性モノマーのレベルは通常さらなる架橋によるポリマー生成物中のゲル粒子のレベルまたはポリマー生成物へのカルボン酸官能性アクリルモノマーの転化率のいずれかに大して影響しない程度に十分少ない。
【0056】
本発明の連続高温方法は当技術分野においてよく知られた方法で実施され、また特に相違を注記しない限りSchmidt等の米国特許第4,529,787号(以後、「Schmidt等」という)で具体化されている方法により実施される。Schmidt等の全体をここで参照によって組み込む。しかし、Schmidt等に記載される連続方法を修正することにより、当技術分野で以前直面していたいくつかの問題を避けることができ、またいくつかのさらなる利益を得ることができるということが驚くべきことにまた予想外に見出された。
【0057】
Schmidt等に記載される連続高温方法には、様々な官能性モノマーが反応への供給に用いられた場合、結果的に生成物汚染になるゲル状異常物を高温で生成する大きな傾向があるということが以前示された。本発明の発明者は、いくつかの点でSchmidt等の方法を修正することにより、この方法はエポキシ官能性モノマーを用いる場合実質的にゲル粒子のないポリマー生成物を得られるように実施しうるということを見出した。ゲル粒子の形成は、(a)モノマー反応物の表面下でのゲルの沈積、(b)モノマー反応物の表面上の上部空隙でのゲルの沈積、の両方として、および(c)高温連続方法を実施するのに用いられる装置全体で発生する。このゲル形成のいずれも最終ポリマー生成物を汚染する可能性がある。
【0058】
いくつかのステップが高温連続方法におけるゲル粒子の生成をかなり減らし、結果として得られるポリマー生成物が実質的にゲル粒子を含まないとを保証することができるということが驚くべきことにまた予想外に見出された。これらのステップは、各々個別にまたは何らかの組合わせで用いることができる。これらのステップには、(1)反応器の前洗浄、(2)反応溶剤の選択、(3)エポキシ官能性モノマーの転化率を最大化すること、および(4)液体充満反応器での操業が含まれる。
【0059】
注意深い反応系列の前洗浄により、エポキシ化付加ポリマー製造におけるゲル粒子生成を防ぐことができるということが見出された。官能性カルボン酸基、モノマーの汚染、副生成物、その他を含む前の重合生成物により残された反応器系内の酸官能性化合物の痕跡が、本発明のエポキシ官能性モノマーと容易に反応しジビニル化合物種を生成するということが見出された。これらのゲル化の核となる少量のジビニルモノマーはフリーラジカル重合において多数の架橋結合を生成し、それがゲル粒子の生成に導くということがよく知られている。これらのジビニルモノマーは方法からの酸のあらゆる痕跡を最少化することにより可能な限り効果的にまた経済的に除去できる。そうするために、反応器はこのような酸残留物を取除くためにN−メチルピロリドンなどの適切な溶剤で前洗浄される。
【0060】
高温でエポキシ官能性モノマーと反応する官能性基を含む溶剤は避けるべきであるということもまた見出された。これらには一般式がR−OH、R−COOH、R−NHである全ての溶剤、および官能基をもつ他の溶剤などが含まれる。このような官能基をもたないがそれらの製造方法からのこれらの官能基の副生成物または汚染物質または残留物が、痕跡量でさえ存在する溶剤はエポキシを開環させジビニル中間体を生成し、これがゲル粒子になりうるということがさらに驚くべきことにまた予想外に見出された。したがって、汚染物質、副生成物、その他を含むこのような溶剤は、本発明により用いられる反応系では避けることができる。溶剤の適切な選択は液体表面下でのゲル沈積を最少化する。
【0061】
モノマーは反応系の上部空隙の自由表面でこれらの表面に凝縮することによりゲルの成長に原料を供給するということがさらに見出された。本発明の連続重合は高温の閉じた系で起るので、重合は大気圧を超える圧力下で行われる。このような超大気圧下で、蒸気相および蒸気と接触する自由表面で生成する凝縮相の挙動は既知の気−液平衡則に従うであろう。したがって、不活性溶剤の選択をさらにエポキシ官能性モノマーに対するその蒸気圧に基づいて行うことができる。エポキシ官能性モノマーと類似のまたはより低い蒸気圧をもつ溶剤は、好ましくは自由表面に凝縮し反応の他の成分を希釈するであろう。別法として、エポキシ官能性モノマーより大きな蒸気圧の溶剤は蒸気相におけるこれらのモノマーの量を減少させてそれらが実際に凝縮する量を減少させる。
【0062】
これらの2つの条件のどちらがより効果的であるかは用いられる特定の系による。前記のように、溶剤の組合わせを、所定の反応において求められる特定の性質を最大化するように用いることもできる。
【0063】
最後に、ゲル粒子の生成はエポキシ官能性モノマーのポリマー生成物への転化率を最大化することによりおよび/または上部空隙のない液体充満反応器を用いることによりさらに減少させることができる。本発明の方法におけるゲル生成量および速度は系内のエポキシ官能性モノマーの量に正比例するということが驚くべきことにまた予想外に見出された。反応系内の上部空隙表面でのゲル粒子の生成は前に記載した通りエポキシ官能性モノマーの蒸発−凝縮を必要とするので、この系へのエポキシ官能性モノマーからの影響は、これらのモノマーがポリマー生成物に組み込まれる場合ポリマー生成物は非揮発性であるため、全くない。したがって、1種または複数種の非官能性アクリレートモノマーの存在あるいは本技術分野で既知の何らかの他の方法のいずれかによりエポキシ官能性モノマーのポリマー生成物への組み込みを増加させると、さらにゲル粒子の生成を減少させるであろう。1つの実施形態において、液体充満反応器は大気圧を超える一定圧力下に保持される。この圧力は窒素などの不活性ガスを用いることを含めて当技術分野において既知のいかなる手段によって維持してもよい。
【0064】
本発明の方法は高温での連続方法で実施される。1つの実施形態において、温度は約160℃から約270℃、好ましくは約170℃から約250℃、そしてより好ましくは約170℃から約232℃の範囲である。別の実施形態において、温度は約175℃から約250℃の範囲、好ましい温度は約180℃から約232℃の範囲である。
【0065】
本発明の連続方法は反応器内の滞留時間を短くできる。滞留時間は通常1時間より短く、モノマーの好ましい平均滞留時間は15分より短い。別の実施形態において、滞留時間は通常30分より短く、モノマーの好ましい平均滞留時間は20分より短い。
【0066】
本発明の方法は当技術分野においてよく知られる連続配置のいかなるタイプの反応器または反応器の組合わせを用いても実施することができる。このような反応器には、これらに限定されるわけではないが、連続攪拌槽型反応器(「CSTR」)、管型反応器、ループ型反応器、押出型反応器、または連続操業に適するいかなる反応器または反応器の組合わせも含まれる。
【0067】
1つの好ましい実施形態において、連続塊状重合方法の反応ゾーンは通常、エポキシ化ポリマーの製造のために槽の可使用容積のわずか10%から100%までの様々な充填操業に適合するように構成された何らかのタイプのよく混合されるCSTRを含む。この方法に通常用いられるCSTRは、水平または垂直型のいずれかであり、また冷却ジャケット、内部冷却コイルまたは当技術分野でよく知られる他の適切な手段による制御を含む何らかの所望の手段によるその中の精密な温度制御のための設備を備えるべきである。
【0068】
本方法を実施するのに適することが見出されたCSTRの好ましい形状は、その中での重合の既定の温度を維持するように、連続的に充填されるモノマー組成物の温度を上げることによっては奪えない全ての重合反応熱を取除くのに十分な冷却コイルおよび/または冷却ジャケットを備える槽型反応器である。好ましくはこのようなCSTRは、よく混合された反応ゾーンを提供するために、少なくとも1つ、また通常は複数の攪拌機を備えるであろう。
【0069】
本発明の連続重合方法を行う際に、製造されるポリマーの種類およびポリマーの生産速度における柔軟性と選択の幅を、適切な重合反応条件の選択によって実現することができる。作動中、少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマーおよび所望により少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーが、所望により少なくとも1種の適切なフリーラジカル重合開始剤と共に反応器に充填され、望ましい温度に保たれる。反応器は通常、混合反応物を含む攪拌供給槽から充填される。しかし、モノマー、開始剤、および溶剤などの他の何らかの任意成分を個別に反応器に供給することもまた可能である。
【0070】
所望のレベルまで反応器を満たしそして充填された反応器の重合を開始した後、反応器に充填される反応組成物の量は、反応器内の反応物およびポリマー生成物混合物を所望のレベルに保つように調節される。したがって、ポリマーおよび未反応の単数または複数のモノマーの液体混合物は、好ましくは反応ゾーンのレベルを一定に保つような割合で反応器から抜き取られる。重合条件は、このような液体混合物中で、選択された分子量のポリマーおよびモノマーの転化率が得られるように反応器内で維持される。
【0071】
すでに注記したように、反応器が満たされるレベルは、可使用容積のわずか10%から100%まで変えることができ、また例えば反応器からの移送ラインのバルブまたはポンプに付随するレベル制御器などの何らかの望ましい手段により制御することができる。好ましい実施形態において、本発明の方法は可使用容積の100%まで満たされた反応器内で実施され、したがって上部空隙表面積をさらに減少させまたゲル粒子の生成をさらに減少させる。可使用容積の100%まで満たされたこのような反応器は反応物の上に上部空隙をもたず、そして液体充満反応器である。
【0072】
反応器内の温度を制御するいかなる所望の手段でも用いることができる。内部冷却コイルおよび/またはそのように装備された反応器の反応器循環ジャケットを通してオイルなどの冷媒を循環することにより温度を制御することが好ましい。通常、比較的低温の反応物の投入は放出される重合熱の大部分を取除く役をし、また内部冷却コイルは反応混合物の温度を所定の値に保つように残りの熱を取除く役をする。
【0073】
反応後、得られる混合物には通常分離および生成物回収が行われる。未反応モノマーは、好ましくは反応器または供給モノマーに再使用される。分離工程中に、溶剤、未反応モノマーおよび副生成物などの揮発成分を適当な場所で蒸発させ再使用する。このステップのために、薄膜式蒸発装置、降下ストランド式蒸発装置および何らかの適当な揮発分除去装置などの従来の装置が容易に使用可能である。
【0074】
本発明による本方法を実施する1つの非限定的方法論を図2に関連して記載する。図2はCSTRを用いる例示的なポリマー方法ライン1の部分概略図である。使用前にCSTR4をN−メチルピロリドンで前洗浄する。新規供給槽20からの新規モノマー供給ライン18が本発明の1種のモノマーまたは複数種のモノマーを、フリーラジカル重合開始剤および何らかの任意成分の溶剤と共に攪拌機6を備えるCSTR4へ運ぶ。所望により、開始剤および/または溶剤などの何らかの他の反応成分を2からCSTR4へ供給することもできる。CSTR4は所望の種類のポリマーを得るために反応条件の適切な選択を提供する。次に反応のポリマー生成物を揮発分除去のためにCSTR4から揮発器16へ供給される。ポリマー生成物はさらなる処理のため、または所望の最終生成物として導管15の経路で送られる。22からの凝縮留出物は導管14および10の経路で再使用物供給8でCSTR4へ送り返され、かつ/または望ましい場合除去導管12の経路により取除かれる。
【0075】
CSTR4は1つのCSTRとして描かれているが、反応器4はまた連続方法が可能な他の反応器配置を含むこともできる。したがって、反応器4は管型反応器、ループ型反応器、押出機、または何らかの反応器あるいは連続操作が可能な反応器の組合わせでもよい。CSTR4は2次反応器および/または仕上げ反応器をさらに含むこともできる。
【0076】
多くの工業上の用途において、対象に有色または着色ベースコーティングが施され有色ベースコーティングを保護するために透明コーティング組成物がベースコートの上に施される。これらの有色+透明コーティング系は多くの用途のオリジナル仕上げとして、最も著しくは自動車の仕上げ用にますます普及している。有色+透明系の光沢およびイメージの識別性は傑出しており、また透明トップコートはこれらの性質に特に重要である。
【0077】
透明コーティングはいくつかの性質をもつことが重要である。これらの性質の1つは耐候性である。自動車の仕上げに用いられる透明コーティングは雨、雪、埃および日光などの過酷な条件に常に曝されている。透明コーティングが自動車仕上げに用いられるためには、透明コートは有色ベースコートが保護されるような耐候性でなければならない。
【0078】
さらに、透明コーティングはそれが施される有色ベースコートの視覚認知に影響を与えてはならない。当技術分野において既知のエポキシ化ポリマー生成物を含む透明コーティングのもつ典型的な問題は、このコーティングがベースコート上に施された場合目視でわかる黄色味を与えるということである。この黄色度は通常透明コーティングが白色ベースコート上に施された場合にはより問題である。
【0079】
本発明のポリマー生成物の産業上の用途は、液体および粉体仕様の両方において、最も顕著には着色および透明コーティングの広い範囲に渡る。本発明によるポリマー生成物を含むこのコーティングは透明および着色コーティングにおいて耐候性が改善されており、ならびに透明コーティングにおいて以下の例でさらに記載される比較のアクリレート非含有ポリマー生成物および/または比較のバッチ法ポリマー生成物を含む類似のコーティングより黄色味が少ないということが驚くべきことにまた予想外に見出された。好ましい実施形態において、本発明のポリマー生成物を含む透明コーティングは、比較のアクリレート非含有ポリマー生成物および/または比較のバッチ法ポリマー生成物を含む類似の透明コーティングと比較した場合、0.5以上のデルタb値の減少を実際に示す。
【0080】
粉体コーティングは本技術分野においてよく知られており、また本発明のものも一般に通常の方法に従い調製される。通常、本発明の粉体コーティングは1種または複数種の本発明のポリマー生成物を約45重量%から約85重量%の量で、1種または複数種の架橋剤を約15重量%から約40重量%の量で、1種または複数種の触媒を0.1重量%から約3.0重量%の量で、また1種または複数種の流動性改質剤を0.5重量%から約2.0重量%の量で含む。本発明の粉体コーティングはまた、所望により1種または複数種の脱ガス剤を約0.1重量%から1.5重量%の量で、1種または複数種の抗酸化剤を約0.1重量%から3.0重量%の量で、および/または1種または複数種のUV安定剤を約0.5重量%から3.0重量%の量で含むこともできる。
【0081】
粉体および液体コーティングは、例えば米国特許第5,256,452号−その開示の全体をここで参照によって組み込む−などの本技術分野でよく知られるいかなる方法によっても作り出すことができる。
【0082】
粉体コーティングに使用するのに適する架橋剤は、これらに限定されるわけではないが、2官能性酸およびこのような酸から誘導される無水物を含む本技術分野でよく知られるものである。好ましい架橋剤はドデシルジカルボン酸である。
【0083】
粉体コーティングに使用するのに適する触媒は、これらに限定されるわけではないが、酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムを含む無機アルカリ性塩;酢酸エチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウムなどのホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、zirconium
【0084】
ocotateなどの有機金属塩;およびN,N−ジメチルドデシルアミン、ジメチルアニリンなどの第3級アミン、ピペラジンなどの第2級アミン、トリフェニルホスフィンなどのホスフィンを含む他の有機化合物を含む本技術分野でよく知られたものである。好ましい触媒は、AKZO Chemicalが市販するN,N−ジメチルアミン触媒の1つであるArmeen DM−12Dなどの第3級アミンである。
【0085】
粉体コーティングに使用するのに適切な流動性改質剤は、これらに限定されるわけではないが、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(エチルヘキシルアクリレート)およびこれらの混合物などのポリアクリレート;およびポリアミドを含む本技術分野でよく知られたものである。好ましい流動性改質剤はポリアクリレートである。
【0086】
粉体コーティングに使用するのに適切な脱ガス剤は、好ましい脱ガス剤であるベンゾイン含む本技術分野でよく知られたものである。
【0087】
粉体コーティングに使用するのに適切なUV安定剤は、これらに限定されるわけではないが、ヒンダードアミンおよびベンゾトリアゾールを含む本技術分野でよく知られたものである。好ましいUV安定剤はベンゾトリアゾールである。
【0088】
粉体コーティングに使用するのに適切な抗酸化剤は、これらに限定されるわけではないが、ヒンダードフェノールを含む本技術分野でよく知られたものであ。
【0089】
1つの実施形態において、粉体コーティング組成物は実質的に、モノマーの全重量に対して約1重量%から100重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、所望により、これらに限定されるわけではないが、モノマーの全重量に対して99重量%までの、非官能性アクリレートモノマー、非官能性メタクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびこれらの組合わせなどを含む少なくとも1種のフリーラジカル重合性モノマーからなり、これらのモノマーを重合してポリマー生成物とし、1つの実施形態におけるポリマー生成物は少なくとも約40%のエポキシ官能性アクリルモノマーのモノマー含量を含むようなポリマー生成物を含む。粉体コーティングはまたポリマー生成物と一緒にされた場合に粉体コーティングを形成するのに十分な他の材料を含む。これらの他の材料には好ましくは粉体コーティングを形成する少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の触媒、および少なくとも1種の流動性改質剤が含まれる。粉体コーティング組成物は、粉体コーティングが透明コーティングである場合、標準条件で1.2以下のデルタb値を示し、より好ましくは標準条件で1.05以下のデルタb値を示す。
【0090】
別の実施形態において、本発明による粉体コーティングはポリマー生成物を含み、このポリマー生成物は実質的に、モノマーの全重量に対して約15重量%から約60重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、モノマーの全重量に対して85重量%までの少なくとも1種の非官能性アクリレートまたは非官能性メタクリレートモノマー、モノマーの全重量に対して0から約25重量%の少なくとも1種の非官能性スチレンモノマーからなり、これらのモノマーがポリマー生成物へと重合される。この粉体コーティングは、約45重量%から約85重量%の量の1種または複数種のポリマー生成物、約15重量%から約40重量%の量の1種または複数種の架橋剤、約0.1重量%から約3.0重量%の量の1種または複数種の触媒、約0.5重量%から約2.0重量%の量の1種または複数種の流動性改質剤を含む。粉体コーティング組成物は、粉体コーティングが透明コーティングである場合、標準条件で1.2以下のデルタb値、より好ましくは標準条件で1.05以下のデルタb値を示す。
【0091】
同様に、液体コーティングは当技術分野においてよく知られておりまた本発明の液体コーティングは通常この方法により調製される。
【0092】
1つの実施形態において、本発明の液体コーティング組成物は本質的に、モノマーの全重量に対して約1重量%から100重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、モノマーの全重量に対して99重量%までの、これらに限定されるわけではないが、非官能性アクリレートモノマー、非官能性メタクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびこれらの組合わせなどを含む少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーからなり、これらのモノマーを重合してポリマー生成物とし、1つの実施形態におけるポリマー生成物はエポキシ官能性アクリルモノマーのモノマーを少なくとも約40%の含量で含み、ポリマー生成物を、液体コーティングを形成するのに十分な他の材料と混合する。液体コーティング透明組成物は、液体コーティングが透明コーティングである場合、標準条件で1.2以下のデルタb値を示す。好ましい実施形態において、液体コーティングを形成するのに用いられる他の材料には、少なくとも1種の溶剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の硬化剤、および少なくとも1種の触媒が含まれる。
【0093】
本発明の液体コーティングはまた、所望により1種または複数種の流動性改質剤、1種または複数種の抗酸化剤および/または1種または複数種のUV安定剤を粉体コーティングに関連して上に記載された量で含む。粉体コーティングの調製におけるものと類似の化合物を液体コーティングの調製に用いることができる。硬化剤および溶剤は米国特許第5,256,452号に教示されるものであり、この特許をここで参照により組み込む。
【0094】
別の好ましい実施形態において、本発明による液体コーティングはポリマー生成物を含み、このポリマー生成物は本質的にモノマーの全重量に対して約15重量%から約60重量%の少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー、モノマーの全重量に対して85重量%までの少なくとも1種の非官能性アクリレートまたは非官能性メタクリレートモノマー、モノマーの全重量に対して0から約25重量%の少なくとも1種の非官能性スチレンモノマーからなり、これらのモノマーがポリマー生成物へと重合される。この粉体コーティングは、45重量%から85重量%の量のポリマー生成物を含み、さらに約15重量%から約40重量%の量の1種または複数種の架橋剤、約0.1重量%から約3.0重量%の量の1種または複数種の触媒、約40重量%までの1種または複数種の硬化剤および約25重量%から約60重量%の量の1種または複数種の溶剤を含む。液体コーティング組成物は、液体コーティングが透明コーティングである場合、標準条件で1.2以下のデルタb値示す。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】非官能性アクリレートモノマーおよび非官能性α−非置換スチレンモノマー濃度が増加するにつれて官能性および非官能性メタクリレートモノマー転化率が増加する効果を例示するグラフである。
【図2】本発明のポリマー製造ラインの概略図である。
【図3】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明粉体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明粉体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図4】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明粉体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明粉体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図5】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明粉体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明粉体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図6】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明液体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明液体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図7】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明液体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明液体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図8】比較バッチ法ポリマー生成物を用いて配合された透明液体コーティングに比較した場合に本発明のポリマー生成物で配合された透明液体コーティングの黄色度が小さいことを例示するグラフである。
【図9】非官能性アクリレートモノマー濃度が増加するにつれて全モノマー転化率が増加する効果を例示するグラフである。
【図10】非官能性アクリレートモノマー濃度が増加するにつれてエポキシ官能性メタクリレートモノマー転化率が増加する効果を例示するグラフである。
【図11】非官能性アクリレートモノマー濃度が増加するにつれて非官能性メタクリレートモノマー転化率が増加する効果を例示するグラフである。
【図12】非官能性アクリレートモノマーの適切な選択により観察された本発明の様々なポリマー生成物の未補正MwとTの関係を例示するグラフである。
【図13】本発明によりその可使用容積の100%まで満たされた(液体充満)反応器を用いるポリマー製造ラインの概略図である。
【0096】
本発明を、以下の、例示のためにのみ示され本発明の範囲を限定する意図ではない各実施例を参照してさらに説明する。特にことわらない限り、すべての分率は重量による。
【0097】
実施例
実施例1−メタクリレートの組み込みを増やしたエポキシ化ポリマー生成物の調製および比較バッチ法ポリマー生成物との比較
27%のグリシジルメタクリレート、18%のスチレン(St)、22.5%のメチルメタクリレート、22.5%のシクロヘキシルアクリレート(CHA)、9.5%のキシレンおよび0.5%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=30%グリシジルメタクリレート、20%スチレン、25%メチルメタクリレート、および25%シクロヘキシルアクリレート)の反応混合物を、一定の温度に維持した10ガロンのCSTRを含む図2に記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン質量および供給質量流量をCSTRでの平均滞留時間が10から15分の範囲内で一定となるように制御した。実験は最小で30〜40回の滞留の間続けた。CSTRの反応温度を175〜232℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。反応生成物を連続的に揮発分除去ゾーンにポンプで送り、揮発分除去ゾーンからのポリマー生成物を連続的に採取しそして後で平均分子量(MnおよびMw)とマスバランス組成を分析しそれからエポキシ当量を計算した。得られるポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0098】
比較の目的で、類似の供給モノマー比のエポキシアクリル樹脂を、米国特許第5256452号に記載されたものに類似のセミバッチ法を用いて同じ反応器ゾーンで製造した。方法の最後に、反応生成物を揮発分除去ゾーンにポンプで送った。揮発分除去ゾーンからのポリマー生成物を採取しそして後に平均分子量(MnおよびMw)、およびマスバランス組成を分析しそれからエポキシ当量を計算した。
【0099】
比較合成の結果を表1に示す。表1に詳説したように、本発明のポリマー生成物は、比較バッチ法ポリマー生成物よりも類似のエポキシ当量および類似の平均分子量を有する。
【表1】

【0100】
実施例2−連続方法によるエポキシ化ポリマー生成物の調製および比較バッチ法ポリマー生成物との比較
40.5%のグリシジルメタクリレート、9%のスチレン、40.5%のメチルメタクリレート、9.25%のキシレンおよび0.75%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=45%グリシジルメタクリレート、10%スチレンおよび45%メチルメタクリレート)の反応混合物を、実施例1で記載のものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン質量および供給質量流量をCSTRでの平均滞留時間が12分となるように制御した。CSTRの温度を193℃から210℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取しそして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0101】
比較の目的で、同じモノマー比(45%のグリシジルメタクリレート、10%のスチレン、および45%のメチルメタクリレート)の反応混合物を、米国特許第5256452号に記載されるものに類似のセミバッチ法に従って、同じCSTRで重合した。実施例1に記載したように、反応生成物を揮発分除去し、採取し、そして分析した。
【0102】
比較合成の結果を表2に示す。表2に詳説したように、本発明のポリマー生成物は、比較バッチ法ポリマー生成物よりも類似のエポキシ当量および類似の平均分子量を有する。
【表2】

【0103】
実施例3−粉体コーティングへの応用
実施例1および2で調製した各エポキシ化ポリマー生成物からグリシジルメタクリレート粉体透明コートを、グリシジルメタクリレートからのエポキシ官能性およびドデシルジカルボン酸(DDDA)架橋剤からの酸官能性の間に化学量論的な等価性があるように調製した。
【0104】
粉体透明コートを、以下の配合成分を一緒にヘンシェル予備ミキサーで予備混合し、次に60〜90℃、回転数238rpmでBuss押出機で押出し、そして最後に窒素で冷却しながらバンタムミルで0.2インチのスクリーンを用いて粉砕することにより製造した。粉砕された粉体を様々な基材に静電塗装する前に200メッシュのふるいにかけた。透明コートの配合成分を以下の表3に示す。
【表3】

【0105】
ACT Laboratories,Inc.(Hillsdale、ミシガン州)が市販する3つの異なる基材を粉体透明コートの色を調べるために用いた。それらは全て自動車基材に通常必要とされる以下の3層、すなわちE−コート、プライマ、および白色ベースコートからなる。
【0106】
「基材52」は、E−コートED5250、PPGプライマFCP6842、およびPPGベースコートODCT6466オックスフォードホワイトを有するACT−APR−36752である。
【0107】
「基材54」は、E−コートCORMAX EP、デュポンプライマ768DM730、およびPPGベースコート692DM640オックスフォードホワイトを有するACT−APR−36754である。
【0108】
「基材55」は、E−コートU32AD250、PPGプライマFCP614、およびBASFベースコートE86WE640Wブライトホワイトを有するACT−APR−36755である。
【0109】
各粉体コーティングを3つの異なるフィルム厚、すなわち2.0、2.5、および3.0ミルで各基材に塗布した。電気オーブン中140℃で30分硬化させた後、各パネルをMacbeth Color Eye 7000(GretagMacbeth、New Windsor、ニューヨーク州)を用いてデルタbの黄色度で色を調べた。平均値を得るためにデルタbを3つの別の光の条件、すなわちD−65、A、およびCWF(2)のもとで測定した。各基材に対する3つの異なるフィルム厚の各ポリマー生成物に対するデルタb値の黄色度の間のプロットを図3〜5に示す。図3〜5が示すように、本発明により製造したポリマー生成物で製造した粉体透明コートは、比較バッチ法ポリマー生成物で製造した粉体透明コートに比べより小さいデルタb値により示されるようにかなり黄色度が小さく、そのため色に優位性があった。
【0110】
実施例4 液体コーティングへの応用
液体コーティングへの応用のための透明フィルム形成組成物を以下の表4に示すように米国特許第5256452号により調製した。
【表4】

【0111】
全ての原材料をチヌビン328が全て溶解するまで低速で混合した。混合物を塗工する前に30分間養生させた。
【0112】
粉体コーティングへの応用の評価に使用されたものと同じ3種の基材を液体での処理に用いた。各透明フィルム形成組成物を、所望のフィルム厚が得られるまで、ウェットで1.5ミルのフィルム厚の単層を多層に重ね塗りした。次にパネルを75℃で15分間フラッシュし、135℃で30分間焼付けた。3つの異なる乾燥フィルム厚、すなわち1.60、2.00、および2.50ミルでの液体コーティングを調べた。
【0113】
各焼付けパネルの色を、粉体コーティングへの応用で記載したようにMacbeth 7000 Color Eyeを用いてデルタb値で検査した。結果を図6〜8に示す。粉体透明コーティングへの応用で見出されたのと同じ色の優位性が液体コーティングへの応用においてもまた認められた。しかし、より小さいデルタb値により立証される色が少ないという優位性は液体コーティングへの応用でより顕著であった。
【0114】
実施例5−連続方法によるエポキシ化ポリマー生成物の調製および比較バッチ法ポリマー生成物との比較
36%のグリシジルメタクリレート、15.3%のスチレン、18%のメチルメタクリレート、11.7%のブチルアクリレート、9%のブチルメタクリレート、ならびに全体で100%とするように構成される9.7から9.0%の範囲のキシレンおよび0.3から1.0%の範囲のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=40%グリシジルメタクリレート、17%スチレン、20%メチルメタクリレート、13%ブチルアクリレート、および10%ブチルメタクリレート)の反応混合物を、実施例1で記載したものに類似のCSTRに連続的に供給した。CSTR平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに12分となるように制御した。CSTRの温度を、用いたジ−tertブチルパーオキサイドのパーセンテージに応じて188℃から218℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取しそして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0115】
比較の目的で、同じモノマー比(40%のグリシジルメタクリレート、17%のスチレン、20%のメチルメタクリレート、13%のブチルアクリレート、および10%のブチルメタクリレート)の反応混合物を、米国特許第5256452号に記載されるものに類似のセミバッチ法に従って、同じ攪拌反応器ゾーンで重合した。実施例1に記載したように、反応生成物を揮発分除去し、採取し、そして分析した。
【0116】
比較合成の結果を以下の表5に示す。
【表5】

【0117】
実施例6−連続方法によるエポキシ化ポリマー生成物の調製および比較バッチ法ポリマー生成物との比較
27%のグリシジルメタクリレート、18%のスチレン、40.5%のメチルメタクリレート、4.5%のブチルアクリレート、ならびに全体で100%とするように構成される9.7から9.0%の範囲のキシレンおよび0.3から1.0%の範囲のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=30%グリシジルメタクリレート、20%スチレン、45%メチルメタクリレートおよび5%ブチルアクリレート)の反応混合物を、実施例1で記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに12分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を、用いたジ−tertブチルパーオキサイドのパーセンテージに応じて198℃から218℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取しそして分析した。得られるポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0118】
比較の目的で、同じモノマー比(30%グリシジルメタクリレート、20%スチレン、45%メチルメタクリレート、および5%ブチルアクリレート)の反応混合物を、米国特許第5256452号に記載されるものに類似のセミバッチ法に従って、同じ攪拌反応器ゾーンで重合した。実施例1に記載したように、反応生成物を揮発分除去し、採取し、そして分析した。
【0119】
その結果を以下の表6に記載する。
【表6】

【0120】
実施例7−処理能力(プロセスキャパシティー)へのシクロヘキシルアクリレートの効果
本発明の処理能力の向上に非官能性アクリレートモノマーを含めることがプラスの効果をもつことを示すために、表7に示す反応混合物の各々を、図2および実施例1に記載されたものに類似の方法を各々含む異なる容積のCSTRに連続的に供給した。500mlのCSTRでは可使用容積の100%を用い(液体充満反応器)、また10ガロンのCSTRでは100%に満たない可使用容積を用いた(非液体充満反応器)。用いた攪拌反応ゾーンの容積によらず、反応ゾーン平均滞留時間を12分に制御した。CSTRの温度を、193℃から232℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、対応する反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。結果を以下の表7に示す。液体充満反応器では頭隙にいかなるゲル状異物の形成も見られなかった。
【表7】

【0121】
図9は適当なアクリレートモノマー、この場合はシクロヘキシルアクリレート(CHA)を用いることが、方法における全モノマー混合物のコポリマー生成物への転化率として測定される方法の生産性において効果を示す。示されるように、配合にわずか5%のCHAを導入することで、生産性の大きな増加が広く拡大された方法範囲に渡って達成される。約10%以上のCHAの導入は本発明の全温度範囲に渡る生産性の高い操業を可能にする。実線は対応する実験値に最もよく合致する対数曲線である。
【0122】
図10は、CHAを用いることがエポキシ官能性メタクリレートモノマー転化率および生成物の官能性(グリシジルメタクリレートの転化率として測定される)に及ぼす効果を示す。示されるように、配合にわずか5%のCHAを導入することで、メタクリレート転化率の大きな増加が広く拡大された方法範囲に渡って達成される。約10%より多くCHAを導入することにより本発明の全温度範囲に渡りメタクリレート転化率を大きくすることができる。実線は対応する実験値に最もよく合致する対数曲線である。
【0123】
図11はCHAを用いる非官能性メタクリレートモノマー転化率に及ぼす効果を示す。示されるように、配合にわずか5%のCHAを導入することで、メタクリレート転化率の大きな増加が広く拡大された方法範囲に渡って達成される。約10%より多いCHAを導入することにより本発明の全温度範囲に渡りメタクリレート転化率を大きくすることができる。実線は対応する実験値に最もよく合致する対数曲線である。
【0124】
図12は、式1に従う適切なアクリレートモノマー(この場合メチルメタクリレートを置き換えるCHA)の適当な選択により観察される様々な生成物の無補正MwとTの挙動を示す。30℃の線はそれ以下ではコポリマー生成物のTが粉体コーティングへの応用には低すぎるが液体コーティングへの応用には適する任意的な分岐点を表す。示されるように、式1に従って配合に20%までのCHAを導入しても所定のMwでの生成物のTには影響せず、またTの分子量依存性にも影響しない。実線はCHAが15%に等しい対応する実験値に最もよく合致する対数曲線である。
【0125】
実施例8−連続方法による高エポキシ含量および高スチレン含量を有するエポキシ化ポリマー生成物の調製。
45%のグリシジルメタクリレート、45%のスチレン、9%のキシレンおよび1%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=50%グリシジルメタクリレートおよび50%スチレン)の反応混合物を、実施例1で記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに18分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を182℃から227℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0126】
結果を表8に記載する。
【表8】

【0127】
実施例9−連続方法による高エポキシ含量および高アクリレート含量を有するエポキシ化ポリマー生成物の比較調製。
45%のグリシジルメタクリレート、45%のブチルアクリレート、7%のキシレンおよび3%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=50%グリシジルメタクリレートおよび50%ブチルアクリレート)の反応混合物を、実施例1で記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに24分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を241℃で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0128】
方法特性の比較のために、41%のグリシジルメタクリレート、49%のシクロヘキシルアクリレート、7%のキシレンおよび3%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=45%グリシジルメタクリレートおよび55%シクロヘキシルアクリレート)の反応混合物を、実施例1で記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに24分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を241℃で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0129】
結果を表9に記載する。
【表9】

【0130】
実施例10−連続方法による高エポキシ含量のエポキシ化ポリマー生成物の調製。粉体樹脂の処理能力および耐候性の改善のためのイソボルニルアクリレートの使用。ジ−tertブチルパーオキサイドおよびジ−tertアミルパーオキサイドの比較使用。
44%のグリシジルメタクリレート、13%のスチレン、18%のメチルメタクリレート、13%のイソボルニルアクリレート(IBA)、10%のキシレンおよび2%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=50%グリシジルメタクリレート、14.8%スチレン、20.4%メチルメタクリレート、および14.8%イソボルニルアクリレート)の反応混合物を、2ガロンのCSTRを含む反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに18分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を171℃から182℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0131】
比較のために、44%のグリシジルメタクリレート、13%のスチレン、18%のメチルメタクリレート、13%のイソボルニルアクリレート、9.6%のキシレンおよび2.4%のジ−tertアミルパーオキサイド(モノマー比=50%グリシジルメタクリレート、14.8%スチレン、20.4%メチルメタクリレート、および14.8%イソボルニルアクリレート)の反応混合物を、同じ2ガロンのCSTRを含む反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに18分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度をここでも171℃から182℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0132】
比較結果を表10に記載する。
【表10】

【0133】
実施例11−連続方法による高エポキシ含量を有するエポキシ化ポリマー生成物の調製。液体樹脂の処理能力を改善するための高スチレンおよびアクリレート含量の使用。
45%のグリシジルメタクリレート、27%のスチレン、18%の2−エチルヘキシルアクリレート、9%のキシレンおよび1%のジ−tertブチルパーオキサイド(モノマー比=50%グリシジルメタクリレート、30%スチレン、20%2−エチルヘキシルアクリレート)の反応混合物を、実施例1に記載したものに類似の反応器処理に連続的に供給した。反応ゾーン平均滞留時間を攪拌反応ゾーンに12分となるように制御した。攪拌反応ゾーンの温度を204℃から232℃の範囲内の異なる設定で一定に保持した。実施例1に記載したように、反応生成物を連続的に揮発分除去し、採取し、そして分析した。得られたポリマー生成物は実質的にゲル粒子を含んでいなかった。
【0134】
結果を表11に記載する。
【表11】

【0135】
実施例12−液体充満反応器を用いる連続方法による高エポキシ含量でゲルを含まないエポキシ化ポリマー生成物の調製。
高エポキシ含量のポリマーを図13に例示しまた以下に記載したような液体充満反応器スキームの連続反応運転で調製した。供給溶液は以下の表12に列挙した材料を含み、供給槽30からポンプ32を通して反応器34(500ml)へ供給した。反応器34はGMAのラジカル共重合のために液体充満方式で、すなわちその可使用容積の100%を用いる。反応器34の温度をオイルジャケット36により維持した。反応器34内のこの適切な圧力は圧力ゲージ38でモニターされまた制御バルブ40および制御装置により維持される。反応器34内の材料は窒素ガスでシールされた攪拌機42により混合した。供給溶液は供給ライン48により反応器34に供給した。ポリマー生成物を、オイルジャケットにより加熱し生成物ライン46により反応器34から取除いた。次にポリマー生成物を集めた。
【0136】
この方法は以下のように実施した。攪拌機42をシールする窒素ガスの圧力は2.0MPaに調節した。EEP(溶剤)を反応器34に供給し反応器34を満たした。次に供給溶液を調製しそして供給槽30に添加した。制御装置の設定値を2.0MPaに設定した。オイルジャケット36の温度を約170℃に上げた。反応器温度は150℃に上昇した。次に供給溶液を41.0g/分の割合で反応器34に供給した。反応器34内の圧力を設定値の2.0MPaにした。反応器34内の圧力はポンプ輸送のため変動しやすかった。攪拌機をシールするための窒素ガスを反応器34に作用させ、そして反応器34内の圧力は2.0MPAで安定した。次にオイルジャケットの温度を約245℃〜250℃に上げて反応器温度を235℃に保った。攪拌機の速さは1160rpmであった。滞留時間は12分であった。反応温度を235℃に保った。この方法を1時間定常状態に保ちそれから試料採取をおこなった。重合混合物を生成物ライン46を通してエバポレータ44に連続的に供給して残留モノマーおよび溶剤を除去した。揮発成分のないポリマー生成物を連続的に採取した。260分後、エバポレータ44と供給および生成物ライン46および48を洗浄するために、溶剤を少なくとも1時間この処理に供給した。重合の後、反応器34を開けて検査した。反応器34の内側は非常に清浄であった。反応器34内にゲルの証拠となるものは何もなかった。重合の転化率は85.3%であった。GPC測定によるMwおよびMNは2940および1380であった。結果を以下の表13に実施例12−1および12−2として示す。
【0137】
さらなる試験を、同じ液体充満系を用いて実施し、温度および供給溶液の組成を変化させた。これらのさらなる試験の結果を以下の表13に実施例12−3から12−5として示す。
【表12】

【表13】

【0138】
実施例13−液体充満反応器を用いる連続方法による高アクリル酸含量でゲルを含まないアクリル酸ポリマー生成物の調製。
ゲルを含まず高アクリル酸モノマー含量ポリマーの連続製造を示すために、図13に示し実施例12に記載した反応器スキームを用いた。この方法は、以下の表14に記載した材料を含む供給溶液を用いて実施例12に記載したように実施した。表14に示すように、液体充満反応器を用いた場合、得られたポリマー生成物のアクリル酸モノマー転化率は高く反応器内で生成するゲルはなかった。
【表14】

【0139】
本発明は本明細書で例示し、記載した特定の配合組成および配分に限定されず、特許請求の範囲の範囲内であるとしてこれらのすべての修正形態を包含するということが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーラジカル重合ポリマー生成物を調製する連続高温重合方法であって、
(a)反応器に、実質的に
(i)少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー;および
(ii)スチレンおよびα−メチルスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の非官能性スチレンからなるモノマー類を、その可使用容積の100%まで満たされるように連続的に充填すること、ならびに
(b)モノマー類を重合してポリマー生成物を生成すること、
を含み、反応器はモノマー類の重合中その可使用容積の100%まで満たされており、そのためポリマー生成物は実質的にゲル粒子なしで生成する連続高温重合方法。
【請求項2】
非官能性スチレンモノマーがスチレンである請求項1の連続高温重合方法。
【請求項3】
エポキシ官能性アクリルモノマーがグリシジルメタクリレートである請求項1の連続高温重合方法。
【請求項4】
反応器内の温度が160℃から270℃であり、モノマー類の反応器内の滞留時間が60分より短い請求項1の連続高温重合方法。
【請求項5】
(a)が溶剤、フリーラジカル重合開始剤およびそれらの組合せからなる群より選択される1種または複数種のさらなる化合物を反応器に連続的に充填することをさらに含む請求項1の連続高温重合方法。
【請求項6】
(a)がモノマー類の全重量の40重量%までの量で1種または複数種の溶剤を反応器に連続的に充填することをさらに含む請求項5の連続高温重合方法。
【請求項7】
フリーラジカル重合開始剤がジ−t−アミルパーオキサイドである請求項5の連続高温重合方法。
【請求項8】
反応器内を、大気圧を超える一定圧力に保つことをさらに含む請求項1の連続高温重合方法。
【請求項9】
不活性ガスの添加により反応器内を一定圧力に保つ請求項8の連続高温重合方法。
【請求項10】
フリーラジカル重合ポリマー生成物を調製する連続高温重合方法であって、
(a)反応器に、
(i)少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー;および
(ii)非官能性メタクリレートモノマー、非官能性アクリレートモノマー、非官能性スチレンモノマーおよびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1種の非官能性フリーラジカル重合性モノマーを含むモノマー類を、反応器内にはエポキシ官能性アクリルモノマー以外には官能基を有するモノマーが含まれず、かつ反応器の可使用容積の100%まで満たされるように連続的に充填すること、ならびに
(b)モノマー類を重合してポリマー生成物を生成すること、
を含み、反応器はモノマー類の重合中その可使用容積の100%まで満たされており、そのためポリマー生成物は実質的にゲル粒子なしで生成する連続高温重合方法。
【請求項11】
ポリマー生成物が付加ポリマーである請求項10の連続高温重合方法。
【請求項12】
反応器内の温度が160℃から270℃であり、モノマー類の反応器内の滞留時間が60分より短い請求項10の連続高温重合方法。
【請求項13】
(a)が溶剤、フリーラジカル重合開始剤およびそれらの組合せからなる群より選択される1種または複数種のさらなる化合物を反応器に連続的に充填することをさらに含む請求項10の連続高温重合方法。
【請求項14】
(a)がモノマー類の全重量の40重量%までの量で1種または複数種の溶剤を反応器に連続的に充填することをさらに含む請求項13の連続高温重合方法。
【請求項15】
フリーラジカル重合開始剤がジ−t−アミルパーオキサイドである請求項13の連続高温重合方法。
【請求項16】
反応器内を、大気圧を超える一定圧力に保つことをさらに含む請求項10の連続高温重合方法。
【請求項17】
不活性ガスの添加により反応器内を一定圧力に保つ請求項16の連続高温重合方法。
【請求項18】
エポキシ官能性アクリルモノマーがグリシジルメタクリレートである請求項10の連続高温重合方法。
【請求項19】
(a)が少なくとも1種の非官能性メタクリレートモノマーおよび少なくとも1種の非官能性アクリレートモノマーを反応器に連続的に充填することをさらに含む請求項10の連続高温重合方法。
【請求項20】
非官能性フリーラジカル重合性モノマーが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、i−アミルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、メチルシクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、i−アミルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、メチルシクロヘキシルメタクリレート、シンナミルメタクリレート、クロチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、およびイソボルニルメタクリレートからなる群より選択される請求項10の連続高温重合方法。
【請求項21】
反応器内の温度が170℃から232℃である請求項10の連続高温重合方法。
【請求項22】
溶剤が、エポキシ官能性モノマーと反応する官能基を含んでいない請求項13の連続高温重合方法。
【請求項23】
非官能性フリーラジカル重合性モノマーが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される請求項10の連続高温重合方法。
【請求項24】
フリーラジカル重合ポリマー生成物を調製する連続高温重合方法であって、
(a)反応器に、
(i)少なくとも1種のエポキシ官能性アクリルモノマー;
(ii)少なくとも1種の非官能性メタクリレートモノマー;および
(iii)シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートおよびそれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1種の非官能性アクリレートモノマーを含むモノマー類を連続的に充填すること、ならびに
(b)モノマー類を重合してポリマー生成物を生成すること、
を含み、反応器はモノマー類の重合中その可使用容積の100%まで満たされており、そのためポリマー生成物は実質的にゲル粒子なしで生成する連続高温重合方法。
【請求項25】
(a)請求項24の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに粉体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む粉体コーティング組成物。
【請求項26】
(a)請求項24の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに液体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む液体コーティング組成物。
【請求項27】
(a)請求項1の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに粉体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む粉体コーティング組成物。
【請求項28】
(a)請求項1の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに液体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む液体コーティング組成物。
【請求項29】
(a)請求項10の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに粉体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む粉体コーティング組成物。
【請求項30】
(a)請求項10の方法により製造されたポリマー生成物、および
(b)ポリマー生成物と合わせたときに液体コーティング組成物を形成するのに十分な他の材料、
を含む液体コーティング組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−43284(P2010−43284A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261845(P2009−261845)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【分割の表示】特願2001−511497(P2001−511497)の分割
【原出願日】平成12年7月12日(2000.7.12)
【出願人】(303068925)ジョンソン ポリマー エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】