説明

ゲル化したきめのネイルワニス

【課題】粒子、特に顔料の良好な分散を有し、かくして経時的に色合いの良好な安定性及び良好な均一性を有し、更に爪に適用された際に満足な被覆力を有する皮膜を有するネイルワニスを得ることが求められている。
【解決手段】本発明の一つの主題は、化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化したきめの高粘度ネイルワニス、及び爪のコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着色したまたは透明のネイルワニス組成物は、ワニスベースまたは「ベースコート」、爪のメイクアップ製品、爪のメイクアップ製品に重ねて適用するための「トップコート」としても既知の仕上げ組成物、または別法として美容ネイルケア製品として使用されても良い。
【0003】
従来のネイルワニスは、液体または流動形態で存在し、一般的にビンに調製されている。それらは一般的に、顔料、真珠光沢剤、またはフィラーのような固体粒子を含み、それらは組成物の連続水性媒体または有機溶媒媒体中に分散している。
【0004】
この流動形態は、液体ワニスまたは爪に一度適用されるワニスの皮膜の着色の均一性を保存するために、含量の良好な分散物を強いる。
【0005】
しかしながらこれらの粒子は、それらが分散している連続媒体のものより高い密度のため、経時的に堆積する傾向を有する。この体積は、組成物の微視的な外観の変化を引き起こし、特に着色ネイルワニスの場合では、ワニスの色合いの均一性の変化を引き起こす。
【特許文献1】特許出願EP-A-0 295 886
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくして、粒子、特に顔料の良好な分散を有し、かくして経時的に色合いの良好な安定性及び良好な均一性を有し、更に爪に適用された際に満足な被覆力を有する皮膜を有するネイルワニスを得ることが求められている。
【0007】
更に、実際的な観点から、扱いが容易である(流動性または剥離性の問題がない)新規なきめを有する利用可能なワニスを有することは有利であろう。
【0008】
本出願人は、これらの利点が、非液体形態でゲル化したきめの高粘度ネイルワニス組成物を使用することによって得ることができることを見出し、それは含量の均一な分散を可能にし、前記組成物は揺変性の挙動を有する。
【0009】
さらに、このゲル化したきめは、爪に適用される際及びワニスの皮膜の乾燥の間で、組成物中に着色粒子(特に真珠光沢剤)のより良好な組織化と配向を可能にし、かくして着色粒子が好ましい配向に従っていない従来の流動ネイルワニスから由来する皮膜のものより優れた着色効果と光沢を得ることを可能にする。
【0010】
更に、従来のネイルワニスとは対照的に、本発明の組成物は流動せず、剥離せず、爪への適用後に迅速に乾き、同時に均一で滑らかで、且つ良好な維持力と光沢特性を有する皮膜を得ることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かくして本発明の一つの主題は、化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物である。
【0012】
特に、前記増粘剤の性質及び/または量は、非化学的な作用、特に機械的な作用に応答して、爪への前記組成物の適用の前または適当と同時に、組成物の粘度が0.4Pa.sを超えない値、好ましくは0.3Pa.sを超えない値に可逆的に低下しても良いようなものである。
【0013】
粘度の測定
組成物の粘度は、組成物の粘稠度の関数として選択されるMS−R1、MS−R2、MS−R3、MS−R4、またはMS−R5スピンドルを備えたRheomat 180粘度計(Lamy社製)を使用して、200rpmのスピン速度で回転させて25℃で測定する。測定は回転の10分後に実施する。粘度の測定は、製造後一週間以内で実施する。
【0014】
本発明のネイルワニスは、0.6から20Pa.s、好ましくは0.7から15Pa.s、より好適には0.75から10Pa.sの範囲の粘度を有して良い。
【0015】
本発明の主題はまた、化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、揺変性の挙動を有するネイルワニス組成物である。
【0016】
本発明の主題はまた、化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、流動化の挙動を有するネイルワニス組成物である。
【0017】
本発明の主題はまた、爪への適用の際に良好な光沢特性及び/または良好な被覆力を有するワニスの皮膜を得るための上記組成物の使用である。
【0018】
本発明の主題はまた、爪への適用の際に迅速に乾くワニスの皮膜を得るための上記組成物の使用である。
【0019】
本発明に主題はまた、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物の粘度を、前記組成物の爪への適用と同時または前に、非化学的な作用、特に機械的な作用により低下することから成る美容的ネイルメイクアップ方法である。
【0020】
最後に本発明の主題は、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有する安定なネイルワニス組成物を得るための、十分量の少なくとも一つの揺変性の増粘剤の使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
用語「化粧品的に許容可能な媒体」は、ヒトのケラチン物質、特に爪に対して適用しても良い非毒性の媒体を意味する。
【0022】
本発明に係る組成物は、好ましくは揺変性の性質を有する。
【0023】
本発明の目的のため、用語「揺変性の性質または揺変性の挙動を有する組成物」、あるいは揺変性の組成物は、そこに非化学的な作用、特に機械的な作用を適用すると流動(特にその粘度が減少)し、室温で多かれ少なかれ長くても良い十分な放置時間の後、初期の粘度を全部または一部回復する構造化組成物を意味する。
【0024】
特に前記組成物は以下の特性を有する:
−前記組成物は流動化特性を有し、つまりそこに剪断力が次第に適用されると、組成物の粘度が減少する;
−強い剪断力に適用後に、前記組成物は流動する(特に粘度が減少する)。組成物の粘度、稠性、及び弾性は、その脱構造化の後、特に剪断力が適用された一分後の滞留時間の後、強い剪断力の適用前の組成物のものより小さくなる;
−前記組成物は、十分な滞留時間の後、初期の構造を部分的または完全に取り戻し、組成物の再構造化は時間的に遅れる。それ故組成物の再構造化は、瞬間的にではなく、経時的に遅延した態様で生ずる。特に前記組成物は、1分間に1000S−1の一定の剪断力に供された際に、より長くても短くても良い十分な滞留時間の後、初期の粘度に部分的または完全に回復する。揺変性の組成物の定義は、文献"Comprendre la rheologie - De la circulation du sang a la prise du beton", P. Coussot及びJ.L. Grossiord著, EDP Science, 2002, 16〜17頁に特に示されている。
【0025】
組成物の揺変性の挙動は、以下に記載されるような低ストレス及び高ストレスの下で、組成物の粘度を測定することによって評価されて良い。
【0026】
測定は、恒温的に維持されたバス、及び35mmの直径、2°の角度、0.104mmのギャップを有するコーン/プレート形状のステンレスースチールスピンドルを備えた、ThermoRheo社製の制御ストレスレオメーターHaake RheoStress RS 600で実施された。二つの表面は、プレートの壁ですべり減少を制限するように溝が施されている。抗蒸発装置(溶媒ベル)が使用される。測定は20℃±1℃で実施される。
【0027】
第一にサンプルを、300秒間20℃±1℃で維持する(剪断なし)。
【0028】
a)0Paに等しい初期ストレスから開始して、500Paに等しい最終ストレスに達するように(10−1−1から400s−1へ向かう剪断速度に対応する)、サンプルに増加していくストレスを一回のみ適用する。測定は40箇所の対数的に分布する地点で実施する。各ストレスの間で安定な値が得られるように時間を供し、各ストレスの間の待機時間は30秒である。次いで、γとして表される剪断速度の関数として、ηとして表される粘度の変化のグラフでの表記をトレースする。
【0029】
b)次いで、300秒間400s−1(500Paのストレスに対応する)の連続的剪断速度γを適用することによって、組成物を脱構造化する。
【0030】
c)次いで、500Paに等しい初期ストレスから開始して、0Paに等しい最終ストレスに達するように(400s−1から10−3−1へ向かう剪断速度に対応する)、サンプルに減少していくストレスを一回のみ適用する。考慮される範囲において、400s−1の最大値は、±10s−1の測定不確定性を考慮しなければならない。
【0031】
測定は40箇所の対数的に分布する地点で実施する。各ストレスの間で安定な値が得られるように時間を供し、各ストレスの間の待機時間は30秒である。次いで、γとして表される剪断速度の関数として、ηとして表される粘度の変化のグラフでの表記をトレースする。
【0032】
d)次に、組成物に1000秒間10Paのストレスを供し、時間の関数としての粘度の変化を測定する。
【0033】
e)再び、0Paに等しい初期ストレスから開始して、500Paに等しい最終ストレスに達するように(10−2−1から300s−1へ向かう剪断速度に対応する)、サンプルに増加していくストレスを一回のみ適用する。次いで、γとして表される剪断速度の関数として、ηとして表される粘度の変化のグラフでの表記をトレースする。測定は40箇所の対数的に分布する地点で実施する。各ストレスの間で安定な値が得られるように時間を供し、各ストレスの間の待機時間は30秒である。
【0034】
結果は、γとして表される剪断速度の関数として、ηとして表される粘度の変化のグラフでの表記によって分析される。ストレスτ、粘度η、剪断速度γは、以下の関係式:γ=τ/ηによって関連している。
【0035】
本発明の組成物は、4・10−2−1の剪断速度で、工程e)で測定した粘度が、10から10Pa.s、好適には5・10から5・10Pa.s、より好適には600から4000Pa.sの範囲であるようなものである。
【0036】
前記組成物の流動化の特徴は、10から10Pa.s、好適には10から10Pa.sの範囲の差異(100s−1の剪断速度での工程e)で測定した粘度−4・10−2−1の剪断速度での工程e)で測定した粘度)によって特に特徴づけされる。
【0037】
前記組成物の揺変性の特徴は、1Pa.s以上、好ましくは10Pa.s以上、好適には20Pa.s以上、更に好適には30Pa.s以上、より更に好適には40Pa.s以上の差異(1s−1の剪断速度での工程c)で測定した粘度−1s−1の剪断速度での工程e)で測定した粘度)によって特に特徴づけされる。
【0038】
特に前記差異(1s−1の剪断速度での工程c)で測定した粘度−1s−1の剪断速度での工程e)で測定した粘度)は、1から1000Pa.s、好ましくは20から500Pa.s、好適には40から200Pa.sの範囲である。
【0039】
粘弾性の特性
本発明に係る組成物は、粘弾性の挙動、特に弾性の挙動を有利には示す。一般的に、剪断力の効果の下で、弾性材料の特徴、即ちエネルギーを貯蔵する能力と、粘性材料の特徴、即ちエネルギーを浪費する能力の両者を有する場合、当該材料は粘弾性であると称される。とりわけ、本発明に係る組成物の粘弾性の挙動は、弾性のモジュラスG、弾性δ、及び降伏点τによって特徴づけされて良い。これらのパラメーターは、文献"Initiation a la rheologie [Introduction to Rheology]", G. Couarraze及びJ.L. Grossiord, 第2版, 1991, Lavoisier-Tec 1 Doc出版に特に定義されている。
【0040】
測定は、恒温的に維持されたバス、及び20mmと1mmのギャップ(組成物が沈着するスタータープレートとして既知であるボトムプレートと、ロータープレートとして既知であるトッププレートの間の距離)を有するプレートを備えた、ThermoRheo社製の制御ストレスレオメーターHaake RheoStress 600(登録商標)で実施された。二つのプレートは、プレートの壁ですべり減少を制限するように溝が施されている。抗蒸発装置(溶媒ベル)が使用される。測定は20℃±1℃で実施される。
【0041】
脈動ω(ω=2ΠN、Nは適用される剪断力の周波数である)に従って正弦曲線で変化するストレスτ(t)の下での連続ストレスに組成物を供する。
【0042】
ストレスτ(t)及び変形γ(t)は、以下の関係式によってそれぞれ定義される:
τ(t)=τcosωt γ(t)=γcos(ωt−δ)
[τはストレスの最大振幅であり、γは変形の最大振幅である]。
【0043】
測定を1Hz(N=1Hz)の周波数で実施する。
【0044】
第一に、サンプルを300秒間20℃±1℃で維持する(剪断なし)。
【0045】
0.01Paに等しい初期ストレスから開始して、1000Paに等しい最終ストレスに達するように、サンプルの脱構造化まで、サンプルに増加していくストレスを一回のみ適用する。弾性のモジュラスG、(τ/γの比に対応)と弾性δ(測定されるひずみに対する適用ストレスの移相角度に対応)の変化を、適用ストレスτ(t)の関数として測定する。弾性のモジュラスGと弾性δの変化が7%未満であるストレス領域(微小ひずみ領域)についての組成物のひずみを特に測定し、「プラトー」パラメータG及びδをかくして測定する。
【0046】
ひずみストレスτ(組成物はそれ自体の重量下で流動せず、ひずみストレスは組成物を流動させるように組成物に適用される最小強度に対応する)を、グラフでの表記G=f(τ)から測定する。それは低い値のτおよび高い値のτについて、曲線G=f(τ)に対する二つの接線の交差点でのτの値に対応する。
【0047】
本発明に係る組成物の粘弾性の挙動は、100Paより大きい、好適には500Paより大きい弾性のプラトーモジュラスGpによって特に特徴づけされる。かくして、本発明の別の目的は、化粧品的に許容可能な媒体を少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、100Paより大きい剪断のプラトーモジュラスGpを有する組成物である。
特に本発明に係る組成物は、100から2・10Pa.s、好ましくは5・10から10Pa.s、好適には800から4000Pa.s、とりわけ1000から3000Pa.sの範囲の剪断のプラトーモジュラスGpを提供する。
【0048】
本発明に係る組成物は、2°から30°、特に15°から25°の範囲の弾性δ、10Paから30000Pa、好適には30Paから500Pa、更に好適には50から200Paの範囲のひずみストレスτを提供できる。
【0049】
増粘剤
本発明に係る組成物は、組成物にきめを与えるのに十分な静止時の粘度、及び揺変性の挙動を組成物に与えるのに十分である量で、揺変性の増粘剤を含む。
【0050】
特に、前記増粘剤の性質及び/または量は、非化学的な作用、特に機械的な作用に応答して、爪への組成物の適用の前または同時に、組成物の粘度が0.4Pa.sを超えない値、好ましくは0.3Pa.sを超えない値に可逆的に低下しても良いものである。
【0051】
揺変性の増粘剤は、組成物の全重量に対して1.7重量%以上、例えば1.7から15重量%の範囲、好ましくは2重量%以上、例えば2から10重量%の範囲、より好ましくは2から7.5重量%の範囲の含量で存在して良い。
【0052】
前記増粘剤は、親水性または親油性クレー、親水性または疎水性フュームドシリカ、及びエラストマー性オルガノポリシロキサン、並びにそれらの混合物から選択されて良い。
【0053】
クレーは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、及びリチウムカチオン、並びにそれらの混合物から選択されて良いカチオンを含むシリケートである。用語「親水性クレー」は、水中で膨潤可能であるクレーを意味する;このクレーは水中で膨潤し、水和の後にコロイド状分散物を形成する。
【0054】
そのような製品の例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ベイデライト、及びサポナイトのようなスメクタイトのファミリー、並びにバーミキュライト、スチーブンサイト、及びクロライトのファミリーのクレーが挙げられる。
【0055】
これらのクレーは、天然起源または合成起源を有しても良い。
【0056】
親水性クレーとしては、スメクタイト、例えばサポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、またはベイデライト、特に合成ヘクトライト(ラポナイトとしても既知である)、例えばLaponite XLG、Laponite RD、及びLaponite RDSの名称でLaporte社により市販されている製品(これらの製品はケイ皮酸ナトリウムマグネシウム、特にケイ酸ナトリウムリチウムマグネシウムである);ベントナイト、例えばRheox社によりBentone HCの名称で市販されている製品;ケイ皮酸マグネシウムアルミニウム、特に水和されているもの、例えばVeegum Ultra、Veegum HS、及びVeegum DGTの名称でVanderbilt Company社により市販されている製品、または別法としてケイ酸カルシウム、特にMicro-cel Cの名称で会社により市販されている合成形態の製品が挙げられる。
【0057】
親油性クレーは、クレーを溶媒媒体中で膨潤可能とする化合物で変性されたクレーである。
【0058】
前記クレーは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタプルガイト,及びセピオライト、並びにそれらの混合物から選択されて良い。前記クレーは好ましくはベントナイトまたはヘクトライトである。
【0059】
親油性クレーは、第四級アミン、第三級アミン、酢酸アミン、イミダゾリン、アミン石鹸、脂肪スルフェート、アルキルアリールスルホネート、及びアミンオキシド、並びにそれらの混合物から選択される化合物で変性されたクレーである。
【0060】
親油性クレーは、クオタニウム−18ベントナイト、例えばElementis社によりBentone 3、Bentone 38、及びBentone 38Vの名称で、United Catalyst社によりTixogel VPの名称で、Southern Clay社によりClaytone 34、Claytone 40、及びClaytone XLの名称で市販されている製品;ステアラルコニウムベントナイト、例えばElementis社によりBentone 27Vの名称で、United Catalyst社によりTixogel LGの名称で、Southern Clay社によりClaytone AF及びClaytone APAの名称で市販されている製品;クオタニウム−18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばSouthern Clay社によりClaytone HT及びClaytone PSの名称で市販されている製品が挙げられる。
【0061】
親水性フュームドシリカは、酸水素炎での揮発性ケイ素化合物の高温加水分解により細かく分割されたシリカを生産することによって得られても良い。親水性シリカは、その表面に大量のシラノール基を有している。そのような親水性シリカは、Degussa社によりAerosil(登録商標)130、Aerosil(登録商標)200、Aerosil(登録商標)255、Aerosil(登録商標)300、及びAerosil(登録商標)380の名称で、Cabot社によりCab-O-Sil(登録商標)HS-5、Cab-O-Sil(登録商標)EH-5、Cab-O-Sil(登録商標)LM-130、Cab-O-Sil(登録商標)MS-55、及びCab-O-Sil(登録商標)M-5の名称で市販されている。
【0062】
疎水性フュームドシリカは、シラノール基の数の減少を生ずる化学反応を解してシリカの表面の変性によって得られてもよく、シラノール基は特に疎水性基で置換することができる。
【0063】
疎水性基は以下のものであって良い:
−トリメチルシロキシル基、特にヘキサメチルジシラザンの存在下でフュームドシリカを処理することによって得られるもの。かくして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)に従って「シリカシリレート」として既知である。それらは、Degussa社によりAerosil(登録商標)R812の名称で、及びCabot社によりCab-O-Sil(登録商標)TS-530の名称で市販されている。
−ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基、特にポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することによって得られるもの。かくして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)に従って「シリカジメチルシリレート」として既知である。それらは例えば、Degussa社によりAerosil(登録商標)R972及びAerosil(登録商標)R974の名称で、並びにCabot社によりCab-O-Sil(登録商標)TS-610及びCab-O-Sil(登録商標)TS-720の名称で市販されている。
【0064】
エラストマー性ポリオルガノシロキサンは、一般的に部分的または全体的に架橋されており、三次元構造を有していても良い。
【0065】
脂肪相と組み合わせたエラストマー性ポリオルガノシロキサンは一般的に、少なくとも一つの炭化水素ベースのオイル及び/または少なくとも一つのシリコーンオイルを含む脂肪相と組み合わせたエラストマー性ポリオルガノシロキサンからなるゲルの形態で存在する。それらは、特許出願EP-A-0 295 886に記載された架橋化ポリマーから特に選択されて良い。
【0066】
前記特許出願によれば、エラストマー性オルガノポリシロキサンは、以下のものの付加反応及び架橋化によって得られる:
(a)分子当たり少なくとも二つの低級アルケニル基を含む少なくとも一つのオルガノポリシロキサン;
(b)分子当たりケイ素原子に結合した少なくとも二つの水素原子を含む少なくとも一つのオルガノポリシロキサン;
(c)白金タイプの触媒。
【0067】
脂肪相と組み合わせたエラストマー性オルガノポリシロキサンは、特許US-A-5 266 321に記載されたもの、特にRSiO及びRSiO1.5単位、並びにできればRSiO0.5及び/またはSiO単位を含むポリオルガノポリシロキサンから選択されても良い[式中、R基は互いに独立に、水素、メチル、エチル、またはプロピルのようなアルキル、フェニルまたはトリルのようなアリール基、ビニルのような不飽和脂肪族基を表し、RSiO:単位:RSiO1.5単位の重量比は1/1から30/1の範囲である]。
【0068】
一つの好ましい実施態様によれば、揺変性の増粘剤は、ベンジルジメチルアンモニウムステアレートで変性されたヘクトライトのような親油性変性クレーから選択される。
【0069】
更なる増粘剤
本発明に係る組成物はまた、上述の揺変性の増粘剤以外の更なる増粘剤を含んでも良い。
【0070】
この更なる増粘剤は、それ自体では揺変性の性質を組成物に与えることはできない(非揺変性の増粘剤);それは特に、均一な流動を得るために組成物の粘度を調節することが可能である。
【0071】
更なる増粘剤は、組成物の化粧品的に許容可能な媒体に従って、以下のものから選択されて良い:
−親水性増粘剤、例えば
−グアゴム、第四級グアゴム、非イオン性グアゴム、キサンタンゴム、カロブゴム、スクレログルカンゴム、ゲランゴム、ラムサンゴム、カラヤゴム、アルギネート、マルトデキストリン、デンプン及びその誘導体、並びにヒアルロン酸及びその塩;
−ポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー;
−ポリビニルピロリドン;
−ポリビニルアルコール;
−架橋化アクリルアミドポリマー及びコポリマー;
−会合ポリマー、特に会合ポリウレタン;
−親油性増粘剤、例えば
−アルキルグアゴム(C−Cアルキル基を有する)、例えばEP-A-708 114に記載されたもの;
−オイルゲル化ポリマー、例えばエチレン性基を含む少なくとも一つのモノマーの重合または共重合から由来するトリブロックまたはスターポリマー、例えばKratonの名称で市販されているポリマー;
−12から22の炭素原子を含むアルキル基を含むポリアミド樹脂、例えばUS-A-5 783 657に記載されたもの;
−疎水性増粘剤、例えばポリサッカリドアルキルエーテル(特にアルキル基が1から24、好ましくは1から10、好適には1から6、とりわけ1から3の炭素原子を含むもの)、例えば文献EP-A-898 958に記載されたもの。
【0072】
更なる増粘剤は、組成物の全重量に対して0.1から20重量%の範囲、好ましくは0.1から10重量%の範囲の含量で存在して良い。
【0073】
有機溶媒媒体
本発明に係る組成物は、以下のものから選択される少なくとも一つの有機溶媒を含む有機溶媒媒体を含んでも良い:
−室温で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、またはアセトン;
−室温で液体であるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2−ブトキシエタノール、またはシクロヘキサノール;
−室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジプロピレングリコールn−ブチルエーテル;
−環状エーテル、例えばγ−ブチロラクトン;
−短鎖エステル(全部で3から8の炭素原子を含む)、例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、メチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソペンチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、またはブチルラクテート;
−室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル、またはジクロロジエチルエーテル;
−室温で液体であるアルカン、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、及びシクロヘキサン;
−アルキルスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド;
−室温で液体であるアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、またはアセトアルデヒド;
−エチル3−エトキシプロピオネート;
−カルボネート、例えばプロピレンカルボネート、またはジメチルカルボネート;
−アセタール、例えばメチラール;
−並びにそれらの混合物。
【0074】
有機溶媒媒体は、組成物の全重量に対して30から97重量%、特に50から95重量%を占めても良い。
【0075】
本発明に係る組成物は、水性媒体を含んでも良い。
【0076】
組成物の水性媒体の含量は、組成物の全重量に対して5から95重量%、好ましくは50から70重量%の範囲であって良い。
【0077】
皮膜形成性ポリマー
前記組成物は有利には、少なくとも一つの皮膜形成性ポリマーを含む。
【0078】
本発明によれば、用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体でまたは皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に接着する連続皮膜を形成可能なポリマーを意味する。
【0079】
本発明の組成物で使用して良い皮膜形成性ポリマーとしては、フリーラジカルタイプまたは重縮合タイプの合成ポリマー、及び天然起源のポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0080】
皮膜形成性ポリマーは、特にセルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、及びエチルセルロース、または別法としてポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチレート、アルキド樹脂、アルデヒド縮合生成物から由来する樹脂、例えばアリールスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、例えばトルエンスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、アリールスルホアミド−エポキシ樹脂、またはエチルトシルアミド樹脂から選択されて良い。
【0081】
特に使用されて良い皮膜形成性ポリマーは、ニトロセルロース、特にHercules社により市販されているRS1/8sec.;RS1/4sec.;RS1/2sec.;RS5sec.;RS15sec.;RS35sec.;RS75sec.;RS150sec.;AS1/4sec.;AS1/2sec.;SS1/4sec.;SS1/2sec.;SS5sec.;トルエンスルホアミド−ホルムアミド樹脂、Akzo社製のKetjenflex MS80、Faconnier社製のSantolite MHPまたはSantolite MS 80、またはPan Americana社製のResimpol 80、アルキド樹脂、Dainippon社製のBeckosol ODE 230-70-E、アクリル樹脂、Rphm & Haas社製のAcryloid B66、並びにポリウレタン樹脂、Baxenden社製のTrixene PR 4127を含む。
【0082】
本発明の一つの実施態様によれば、皮膜形成性ポリマーは、少なくとも一つの第一のブロックと、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つの第二のブロックとを好ましくは含む、皮膜形成性直鎖状ブロックエチレン性ポリマーであって、前記第一及び第二のブロックが、第一のブロックの少なくとも一つの構成モノマーと、第二のブロックの少なくとも一つの構成モノマーとを含む中間ブロックにより共に結合しているポリマーである。
【0083】
有利には、ブロックポリマーの第一及び第二のブロックは、互いに不適合性である。
【0084】
そのようなポリマーは、例えば文献EP 1 411 069またはWO 04/028 488に記載されている。
【0085】
皮膜形成性ポリマーは、組成物の全重量に対して0.1から60重量%の範囲、好ましくは2から40重量%の範囲、好適には5から25重量%の範囲の乾物含量で、本発明に係る組成物中に存在して良い。
【0086】
皮膜形成助剤
ネイルワニス組成物の皮膜形成特性を改良するために、皮膜形成助剤が提供されても良い。
【0087】
そのような皮膜形成助剤は、所望の機能を満足することができるように、当業者に既知のいずれかの化合物から選択してよく、特に皮膜形成性ポリマーのための可塑剤及び合着剤から選択されて良い。
【0088】
かくして、前記組成物は、少なくとも一つの可塑剤及び/または一つの合着剤を含んでも良い。特に、単独または混合物として、以下のもののような一般的な可塑剤及び合着剤が挙げられる:
−グリコール及びその誘導体、例えばジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、またはジエチレングリコールヘキシルエーテル、及びエチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、またはエチレングリコールヘキシルエーテル;
−グリコールエステル;
−プロピレングリコール誘導体、特にプロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールブチルエーテル;
−酸エステル、特にカルボン酸エステル、例えばクエン酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、炭酸エステル、酒石酸エステル、リン酸エステル、及びセバシン酸エステル;
−オキシエチレン化誘導体、例えばオキシエチレン化オイル、特にヒマシ油のような植物オイル;並びに
−それらの混合物。
【0089】
可塑剤及び/または合着剤のタイプ及び量は、当業者によりその一般的な知見に基づいて選択されて良い。
【0090】
例えば、可塑剤及び/または合着剤の含量は、組成物の全重量に対して0.01から20重量%、特に0.5から10重量%の範囲であって良い。
【0091】
拡散剤
一つの実施態様によれば、本発明に係る組成物は、爪への組成物の適用を促進することを企図した拡散剤を含む。それは直鎖状または環状シリコーンオイル、特に粘度=6センチストーク(6×10−6/s)を有し、特に3から6のケイ素原子を含むものから選択されてよく、これらのシリコーンは任意に1または2の炭素原子を含む一つ以上のアルキルまたはアルコキシ基を含む。本発明で使用されて良いシリコーンオイルとして、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルトリシロキサン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0092】
拡散剤は、組成物の全重量に対して0.1から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、好適には1から5重量%を占めても良い。
【0093】
染料
本発明に係る組成物はまた、水溶性色素及び粉体染料、例えば当業者に周知の顔料、真珠光沢剤、及びフレークから選択される一つ以上の染料を含んでも良い。染料は、組成物の全重量に対して0.01から60重量%、好ましくは1から40重量%の範囲の含量で、組成物中に存在して良い。
【0094】
用語「顔料」は、白色または着色の、いずれかの形態の鉱物または有機粒子であって、生理学的な媒体中に不溶性であり、組成物を着色することを企図したものを意味するように解されるべきである。
【0095】
用語「真珠光沢剤」は、いずれかの形態の玉虫色の粒子であって、特定の軟体動物によりその殻において生産されるもの、または合成されたものを意味するように解されるべきである。
【0096】
顔料は、白色または着色の、鉱物及び/または有機のものであって良い。鉱物顔料としては、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、または酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色、または赤色)、または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、及びフェリックブルー、並びに金属パウダー、例えばアルミニウムパウダー、及び銅パウダーが挙げられる。
【0097】
有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコチニールカルミン、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、若しくはアルミニウムに基づくレーキが挙げられる。
【0098】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特にフェリックブルーまたは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択されて良い。
【0099】
水溶性染料は、例えばビートルートジュースまたはメチレンブルーである。
【0100】
本発明に係る組成物は更に、特に組成物の全重量に対して0.01から50重量%の範囲、好ましくは0.01から30重量%の範囲の含量で、一つ以上のフィラーを含んでも良い。用語「フィラー」は、無色または白色の、いずれかの形態の鉱物または合性粒子であって、組成物が製造される温度とは無関係に組成物の媒体に不溶性であるものを意味するように解されるべきである。これらのフィラーは、組成物の流動性またはきめを改変するために特に機能する。
【0101】
フィラーは鉱物または有機であってよく、いずれかの形態、結晶形態(例えばラメラ、立方晶、六方晶、斜方晶等)に関わらず、平板形状、球状、または楕円状を有しても良い。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー(Atochem社製のOrgasol(登録商標))、ポリ−β−アラニンパウダー及びポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマー(テフロン(登録商標))パウダー、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)、アクリル酸コポリマーミクロスフェア(Dow Corning社製のPolytrap(登録商標))、及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えばToshiba社製のTospearls)、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、沈降化炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilica Beads(登録商標))、ガラス若しくはセラミックマイクロカプセル、並びに8から22の炭素原子、好ましくは12から18の炭素原子を含む有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0102】
他の添加剤
前記組成物はまた、化粧品組成物で一般的に使用される他の成分を含んでも良い。そのような成分は、拡散剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、UVスクリーニング剤、活性剤、界面活性剤、保湿剤、香料、中和剤、安定化剤、及び抗酸化剤から選択されて良い。
【0103】
言うまでもなく、当業者はこのまたはこれらの任意の添加化合物及び/またはその量を選択するのに注意を払い、本発明に係る使用のための組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0104】
方法
別の特徴点によれば、本発明の主題は、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物の粘度を、非化学的な作用によって、爪への前記組成物の適用と同時にまたは適用前に低下することよりなる美容的ネイルメイクアップ方法である。
【0105】
一つの実施態様によれば、前記方法は、容器に調整されたゲルの形態の揺変性の組成物に対して、非化学的な作用、特に機械的な作用を適用し、流動化して前記組成物の粘度を低減し、その爪への適用を可能にすることよりなる。適用される作用が停止した際に、残留時間後にその調整状態の組成物は、初期のゲルのきめを取り戻す。
【0106】
別の実施態様によれば、前記方法は、その調整状態の揺変性の組成物のサンプルへの採取、次いで前記サンプルに対して非化学的な作用を適用し、爪への適用と同時に前記組成物を流動化することからなる。
【0107】
非化学的な作用は、熱的な作用、例えば熱源、機械的な作用、例えば機械的なストレスまたは剪断力を組成物に適用することを介する対象、並びにそれらの組合せから選択されて良い。
【0108】
特にこの対象は、細かいブラシ、へら、またはキャップの形態のアプリケーターであって良い。
【0109】
好ましくは非化学的な作用は機械的な作用である。
【0110】
本発明のネイルワニス組成物は、少なくとも一つの区画を定めた容器に調整されてよく、前記容器は密封部材によって密封されていても良い。
【0111】
前記容器はいずれかの適切な形態で存在して良く、ガラスのような材料から少なくても部分的に形成されても良い。しかしながらガラス以外の材料、例えばPP若しくはPEのような熱可塑性材料、または金属が使用されても良い。
【0112】
密封部材は、密封された位置で容器をねじることによって前記区画を結合しても良い。別法として密封部材と容器の間の結合は、ねじること以外の態様、特にカチッと固定することによって生じても良い。
【0113】
前記容器は、少なくとも一つの粗毛のタフトからなる細かいブラシの形態で存在して良いアプリケーターと組み合わせても良い。別法として前記アプリケーターは、細かいブラシ以外の形態、例えばへらまたはフォームキャップの形態で存在する。
【0114】
以下の実施例は、非制限的な態様で本発明を説明する。他に記載がなければ、示された量は重量パーセンテージである。
【0115】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。他に記載がなければ、量は組成物の全重量に対する重量パーセンテージとして与えられている。
【実施例】
【0116】
実施例1:着色ネイルワニス
以下の組成(重量%)を有するネイルワニスを調製する:
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 5.55
(粘度:E22−1/2S)
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 12.12
(Bergerac社製のIdyl E27)
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 0.08
(Bergerac社製のAzur E80)
酢酸エチル中に70%で分枝した脂肪酸でエステル化された 15.50
グリセロフタル酸アルキド樹脂
(Dainippon Ink and Chemicals社製のBeckosol ODE 230 70E)
イソプロピルアルコール 1.14
シクロペンタジメチルシロキサン 2
(Dow Corning社製のDC245 Fluid)
ポリジメチルシロキサン5cSt 0.44
(Dow Corning社製のDC200 Fluid)
ステアリルベンジルジメチルアンモニウム変性ヘクトライト 2.56
(Elementis社製のBentone 27 V)
親水性フュームドシリカ 0.46
(Degussa社製のAerosil 200)
Red7レーキ 0.02
酸化チタンマイカ 0.55
(Merck社製のTimiron Super Silk MP 1005)
酸化チタンマイカ 0.2
(Engelhard社製のFlamenco Red 420 C)
オキシ塩化ビスマス 0.78
酢酸エチル 19.27
アセチルトリブチルシトレート 7.54
ブチルアセテート 100とする残部
クエン酸一水和物 0.1
【0117】
前記組成物は、25℃で0.820Pa.sの粘度を有し、ジャーに調整される。
【0118】
アプリケーターを使用して、機械的攪拌を組成物に適用する。組成物は流動し、次いでアプリケーターを使用して流動した組成物を爪に適用する。爪を被覆する光沢のある皮膜が得られる。
【0119】
数秒後、ネイルワニスをその初期のきめを取り戻す(初期の粘度に近い粘度)。
【0120】
実施例2:ネイルワニス
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 5.2
(粘度:E22−1/2S)
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 13.70
(Bergerac社製のIdyl E27)
酢酸エチル中に70%で分枝した脂肪酸でエステル化された 16.19
グリセロフタル酸アルキド樹脂
(Dainippon Ink and Chemicals社製のBeckosol ODE 230 70E)
イソプロピルアルコール 0.99
ポリジメチルシロキサン5cSt 0.5
(Dow Corning社製のDC200 Fluid)
ステアリルベンジルジメチルアンモニウム変性ヘクトライト 2.8
(Elementis社製のBentone 27 V)
親水性フュームドシリカ 0.526
(Degussa社製のAerosil 200)
酢酸エチル 19.94
アセチルトリブチルシトレート 7.96
ブチルアセテート 100とする残部
クエン酸一水和物 0.1
【0121】
実施例3:ネイルワニス
a)ペンタエリトリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート重縮合物の調製
227.5gの安息香酸、72.8gのイソステアリン酸、及び118.3gのペンタエリトリトールを反応器に導入し、機械的攪拌、アルゴン流入、及び蒸留システムを与え、アルゴン流下で温度を110−130℃に上昇させ、均一な溶液を得る。
次いで温度を段階的に約180℃に上昇させ、2時間維持する。温度を220℃に上昇させ、酸価が1以下になるまで維持し、それは約18時間掛かる。
混合物を100から130℃の間の温度に冷却し、次いで91gのイソフタル酸を導入し、約11時間掛けて温度を220℃にゆっくりと上昇させる。
室温で固化する増粘オイルの形態で、430gのペンタエリトリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート重縮合物を得る。
【0122】
前記重縮合物は、以下の特徴を提供する:
−酸価=12.7
−ヒドロキシル価=49
−η110℃=25.4ポアズ(2540mPa.s)
−芳香族モノカルボン酸モル数と非芳香族モノカルボン酸モル数の間の比:7.28。
420gの上述の重縮合物を100−120℃に供し、180gのブチルアセテートを攪拌下でゆっくりと添加し、次いで全体を焼結ガラスフィルターn°2での濾過に分類する。
室温で冷却後、酢酸エチル中に70%の重縮合物活性材料を有する600gの重縮合物溶液が得られ、25℃で約800センチストーク(mPa.s)の粘度を有する淡黄色の粘性液体の形態で存在する。
【0123】
b)以下のネイルワニスを調製する:
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 4.84
(粘度:E22−1/2S)
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 12
(Bergerac社製のIdyl E27)
30%イソプロピルアルコールを含むニトロセルロース 0.08
(Bergerac社製のAzur E80)
酢酸エチル中に70%で分枝した脂肪酸でエステル化された 2.45
グリセロフタル酸アルキド樹脂
(Dainippon Ink and Chemicals社製のBeckosol ODE 230 70E)
a)で調製された酢酸エチル中に70%重縮合物活性材料 11.49
を有する溶液
イソプロピルアルコール 1.4
シクロペンタジメチルシロキサン 2
(Dow Corning社製のDC245 Fluid)
ポリジメチルシロキサン5cSt 0.44
(Dow Corning社製のDC200 Fluid)
ステアリルベンジルジメチルアンモニウム変性ヘクトライト 3.19
(Elementis社製のBentone 27 V)
親水性フュームドシリカ 0.37
(Degussa社製のAerosil 200)
Red7レーキ 0.02
酸化チタンマイカ 0.55
(Merck社製のTimiron Super Silk MP 1005)
酸化チタンマイカ 0.2
(Engelhard社製のFlamenco Red 420 C)
オキシ塩化ビスマス 0.78
酢酸エチル 15
アセチルトリブチルシトレート 7.37
ブチルアセテート 100とする残部
クエン酸一水和物 0.13
【0124】
Rheomat 180で測定すると、組成物は25℃で0.820Pa.sの粘度を有する。
【0125】
アプリケーターを使用して、機械的攪拌を組成物に適用する。組成物は流動し、次いでアプリケーターを使用して流動した組成物を爪に適用する。爪を被覆する光沢のある皮膜が得られる。数秒後、ネイルワニスをその初期のきめを取り戻す(初期の粘度に近い粘度)。
【0126】
組成物の揺変性の挙動を、上述のプロトコールに従って粘度を測定することによって評価する。組成物は工程e)で測定すると45Pa.sの粘度を有する。
【0127】
組成物は、約100Pa.sの粘度の差異(1S−1の剪断速度で工程c)で測定した粘度−1S−1の剪断速度で工程e)で測定した粘度)によって特徴づけされる揺変性の挙動を有する。
【0128】
組成物は、1000から3000Paの間に含まれる、約2000Paの硬度のプラトーモジュラスGp、20°の弾性δ、及び100Paのひずみストレスτを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物。
【請求項2】
0.6から20Pa.s、好ましくは0.7から15Pa.s、より好適には0.75から10Pa.sの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、本明細書に従って測定された粘度の差異:(1S−1の剪断速度で工程c)で測定した粘度−1S−1の剪断速度で工程e)で測定した粘度)が1Pa.s以上である揺変性の挙動を有する組成物。
【請求項4】
前記差異(1S−1の剪断速度で工程c)で測定した粘度−1S−1の剪断速度で工程e)で測定した粘度)が10Pa.s以上、20Pa.s以上、好適には30Pa.s以上、より好適には40Pa.s以上であることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記差異(1S−1の剪断速度で工程c)で測定した粘度−1S−1の剪断速度で工程e)で測定した粘度)が1から1000Pa.s、好ましくは20から500Pa.s、好適には40から200Pa.sの範囲であることを特徴とする、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
化粧品的に許容可能な媒体と少なくとも一つの揺変性の増粘剤とを含み、100Paより大きい硬度のプラトーモジュラスGpを有する組成物。
【請求項7】
前記硬度のプラトーモジュラスGpが100から2・10Pa.s、好ましくは5・10から10Pa.s、好適には800から4000Pa.s、特に1000から3000Pa.sの範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記揺変性の増粘剤が、親水性または親油性クレー、親水性または疎水性フュームドシリカ、及びエラストマー性オルガノポリシロキサン、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記揺変性の増粘剤が、ベンジルジメチルアンモニウムステアレートで変性されたヘクトライトのような親油性変性クレーから選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記揺変性の増粘剤が、疎水性フュームドシリカを更に含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記揺変性の増粘剤が、組成物の全重量に対して1.7から15重量%の範囲、好ましくは2から10重量%の範囲、より好ましくは2から7.5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの皮膜形成性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記皮膜形成性ポリマーが、組成物の全重量に対して0.1から60重量%の範囲、好ましくは2から40重量%の範囲、好適には5から25重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも一つの有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記有機溶媒が、組成物の全重量に対して30から97重量%、特に50から95重量%を占めることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
粘度=6センチストーク(6×10−6/s)を有する直鎖状または環状シリコーンオイルから選択される少なくとも一つの拡散剤を含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記拡散剤が、組成物の全重量に対して0.1から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、好適には1から5重量%を占めることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
水溶性色素、顔料、真珠光沢剤、及びフレーク、並びにそれらの混合物から選択される一つ以上の染料を含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記染料が、組成物の全重量に対して0.01から60重量%、好ましくは1から40重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
爪への適用の際に良好な光沢特性及び/または良好な被覆力を有するワニスの皮膜を得るための、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
爪への適用の際に迅速に乾くワニスの皮膜を得るための、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項22】
25℃で少なくとも0.6Pa.sの粘度を有するネイルワニス組成物の粘度を、組成物の爪への適用と同時または前に、非化学的な作用により低下することから成る美容的ネイルメイクアップ方法。
【請求項23】
前記非化学的な作用が、熱的な作用、及び機械的な作用、並びにそれらの組合せから選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記非化学的な作用が機械的な作用であることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記機械的な作用がアプリケーターを介して適用されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ワニスが、0.6から20Pa.s、好ましくは0.7から15Pa.s、より好適には0.75から10Pa.sの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項22から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ワニス組成物が少なくとも一つの揺変性の増粘剤を含むことを特徴とする、請求項22から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記揺変性の増粘剤が、親水性または親油性クレー、親水性または疎水性フュームドシリカ、及びエラストマー性オルガノポリシロキサン、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項22から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記増粘剤が、ベンジルジメチルアンモニウムステアレートで変性されたヘクトライトのような親油性変性クレーから選択されることを特徴とする、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記揺変性の増粘剤が、疎水性フュームドシリカを更に含むことを特徴とする、請求項23から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記揺変性の増粘剤が、組成物の全重量に対して1.7から15重量%の範囲、好ましくは2から10重量%の範囲、より好ましくは2から7.5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項23から30のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2007−217411(P2007−217411A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−30807(P2007−30807)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】