説明

ゲル状の化粧料

【課題】 優れた角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性の低い角栓除去用の化粧料を提供する。
【解決手段】 1)炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルと、2)球状ポリエチレン粉末とを、ゲル状の化粧料に含有させる。前記炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルは、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及びセバシン酸ジイソプロピルから選択されるものが好ましく、前記球状ポリエチレン粉末として、少なくとも2種の平均粒径のものが含有されていることが好ましく、更に、トリグルコ多糖を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、角栓除去用として好適なゲル状の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活が西欧化し、脂質摂取量が著しく増大した今日において、毛穴に蓄積される、特に小鼻の毛穴に蓄積される、脂質代謝産物と、角層離脱物の複合化物である、角栓の問題は一昔前に比して重大な問題となりつつある。過剰に蓄積された角栓は、そこに巣くった微生物などにより、ニキビなどの症状の原因となると言われている。又、この様な症状を呈さなくとも、黒ずんだ毛穴の存在は、その人の外観美を損なうものであるし、他人における印象形成に悪い影響を与えたりもする。この様な背景から、毛穴、特に小鼻の毛穴に形成される角栓の除去を効率的に、且つ、安全に行うための手段の開発が種々為されている。この様な手段としては、例えば、粘着性を有するシートに角栓を粘着させ、これを引きはがすことにより、除去する方法(例えば、特許文献1を参照)、ラウロイルサルコシンのエステルを利用して角栓の脂質を溶解させ吸引などの処置により除去する方法(例えば、特許文献2を参照)、塩基性の物質で擦過することにより、角層とともに角栓を溶解せしめ除去する方法(例えば、特許文献3を参照)、粘着性を有する泡沫で擦過しながら除去する方法(例えば、特許文献4を参照)、尿素やα−ヒドロキシ酸などのような角質溶解成分を含むスクラブ化粧料で、角質を溶解させながらスクラブ剤により掻き取る方法(例えば、特許文献5を参照)等が存する。特にこれらの中では、特許文献1に記載の方法が安全性高く、除去効果も高いが、吸引装置による吸引を要する。又、除去効果としては、特許文献5に記載の方法が最も高いが、擦過による刺激の発現を抑制されているとはいえ、前記4種の他の方法に比して、角栓除去に伴う刺激発現する可能性は高い。従って、特許文献5に記載の方法と同程度の角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性のさらに低い角栓除去用の化粧料の開発が望まれていた。
【0003】
一方、1)炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルと、2)球状ポリエチレン粉末とを含有する構成の、ゲル状の化粧料は全く知られていないし、この様な構成を取ることにより、特許文献5に記載の方法と同程度以上の角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性の低い角栓除去用の化粧料となることは、全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2005−336124号公報
【特許文献2】特開2005−97147号公報
【特許文献3】特開2004−75575号公報
【特許文献4】特開2001−139426号公報
【特許文献5】特開2003−292411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、優れた角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性の低い角栓除去用の化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、優れた角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性の低い角栓除去用の化粧料を求めて鋭意研究を重ねた結果、1)炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルと、2)球状ポリエチレン粉末とを含有する構成の、ゲル状の化粧料がその様な特性を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。
(1)1)炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルと、2)球状ポリエチレン粉末とを含有することを特徴とする、ゲル状の化粧料。
(2)前記炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルは、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及びセバシン酸ジイソプロピルから選択されるものであることを特徴とする、(1)に記載のゲル状の化粧料。
(3)前記球状ポリエチレン粉末として、少なくとも2種の平均粒径のものが含有されていることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のゲル状の化粧料。
(4)更に、トリグルコ多糖を含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載のゲル状の化粧料。
(5)アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載のゲル状の化粧料。
(6)角栓除去のために使用される化粧料であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載のゲル状の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた角栓除去効果を有しながら、刺激発現可能性の低い角栓除去用の化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の化粧料の必須成分である二塩基酸のジエステル
本発明の化粧料は、炭素数6〜20二塩基酸のジエステルを必須成分として含有することを特徴とする。即ち、炭素数2〜10の二塩基酸と炭素数2〜6のアルキルジエステルを必須成分として含有する。ジエステルを構成するアルキル基は、それぞれ異なっても良く、同じでも良いが、同じであることがより好ましい。この様なジエステルの好ましいものとしては、例えば、酒石酸ジエチル、酒石酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなどが例示でき、セバシン酸ジイソプロピルが特に好ましく例示できる。これらは唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。又、かかる成分は、化粧料の汎用原料であり、その入手はたやすい。かかる成分は、本発明のゲル状の化粧料において、角栓の周囲及び角栓上部の強固な構造を脂質を溶解することにより、毛穴より離脱させやすくする作用を有する。特に、角栓上部の脂質の構造をゆるめることにより、後記のポリエチレン粉末との吸着性を高め、この様な作用を発現するためには、総量で、化粧料全量に対して、0.01〜10質量%含有することが好ましく、より好ましく、0.05〜1質量%である。これは少なすぎると前記の効果を奏さない場合が存し、多すぎると、製剤のゲル構造を損なう場合が存するためである。
【0009】
(2)本発明のゲル状の化粧料の必須成分であるポリエチレン粉末
本発明のゲル状の化粧料は、ポリエチレン粉末を含有することを特徴とする。前記ポリエチレン粉末の粒径としては、1〜1000μmが好ましく、5〜600μmがより好ましい。又、その形状は球状であることが好ましく、該球状とは、外接する真球よりプラスマイナス10%の最大歪みを許容する。この様なポリエチレン粉末としては、大小2種の粒度分布のものを組み合わせることが好ましく、該大の粒度分布としては、200〜600μmのものが好ましく例示でき、該小の粒度分布のものとしては、5〜15μmのものが好ましく例示できる。これらはこの大きさに分級したり、篩過して使用することもできるし、既にこのような粒度分布に揃えた市販品を購入して使用することもできる。この様な市販品としては、例えば、粒径が250〜500μmの「フロービーズ CL5007」(住友精化株式会社製)、粒径が5μmの「フロービーズ CL20200」(住友精化株式会社製)等が好ましく例示できる。この大小のポリエチレン粉末の質量比としては、25:1〜25:4が好ましい。かかる成分は、角栓を掻き出す作用と、角栓が毛穴より抜けるのを補助する作用を有すると思われる。この様な作用を発揮するためには、かかるポリエチレン粉末は、総量で、化粧料全量に対して、1〜5質量%含有することが好ましく、1.5〜3質量%含有することがより好ましい。これは少なすぎると、前記効果を発揮しない場合が存し、多すぎても前記効果が頭打ちになり、前記二塩基酸のジエステルの効果を損なう場合が存するためである。この様に、前記二塩基酸のジエステルで角栓の固着構造をゆるめ、ポリエチレン粉末で掻き出すことにより、皮膚の角層を溶解することなく角栓が除去できる。この為、角層バリア機能に与える影響がより少なく、より皮膚生理に影響少なく、角栓を除去することができる。
【0010】
(3)本発明のゲル状の化粧料
本発明の化粧料は、ゲル状の化粧料であって、前記必須成分を含有することを特徴とする。ゲルとしては、水性のゲルが好ましく、該水性のゲルを形成するゲル化剤としては、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を用いることが好ましい。これはかかるゲル化剤を使用することにより、中性付近でゲル化ができ、皮膚への刺激を非常に小さく抑えることができ、且つ、水性ゲル剤形を採用することにより、水性ゲルに角栓が形を維持して分散し、容易に除去できるためである。前記アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、市販されているものとしては、「ペムレンTR−1」、「ペムレンTR−2」或いは「カーボポール1382」(何れも、グッドリッチ社製)が存し、何れもが使用可能であるが、最もpHの低いところで増粘作用が現れる「カーボポール1382」が特に好ましい。かかる成分の塩としては、通常化粧料で使用されているものであれば特段の限定なく適用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して、0.1〜1質量%であり、より好ましくは0.2〜0.5質量%である。更に、かかる成分に加えて、かかる成分の10〜60質量%のカルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を補助ゲル化剤として使用することができ、この様なアルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩と、カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩の併用が好ましい形態である。これは好ましいpH域で、好ましい粘度が得られるためである。
【0011】
本発明の化粧料としては、ゲル状の形状を維持する限りにおいて、少量の油性成分をエマルションの形で含有することもできるが、好ましくは、この様な油性成分を含有しないゲル状の形態がより好ましい。又、適用できる化粧料としては、剤形として水性ゲル状剤形が使用できるものであれば特段の限定はないが、その機能の点より、角栓除去用の化粧料として使用することが特に好ましい。勿論、本発明の化粧料自体が優れた保湿性を有するので、専らこの目的で使用することもできる。
【0012】
本発明のゲル状の化粧料においては、かかる成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;トリグルコ多糖;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの中で特に好ましいものは、角栓除去を阻害せず、且つ、角栓を除去することによって生じる皮膚保水性の低下を抑制できる成分であり、この様な成分としてはトリグルコ多糖が好ましく例示できる。かかるトリグルコ多糖としては、化粧料用として市販されているものが存し、かかる市販品を利用することができる。かかる市販品としては、例えば、林原研究所株式会社から販売されている「プルラン」が好ましく例示できる。前記の作用を発揮するためには、トリグルコ多糖は化粧料全量に対して、1〜10質量%含有することが好ましく、2〜6質量%がより好ましい。又、角栓のとれた後に残る脂質の酸化による炎症の発生を防ぐ意味で、ツバキ科チャの葉部を1,3−ブタンジオールで抽出して得られるチャエキスを0.00005〜0.0002質量%含有させることも好ましい。
【0013】
本発明のゲル状の化粧料は、この様な必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造できる。
【0014】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
以下に、示す処方に従って、本発明の化粧料であるゲル状の化粧料1を製造した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イにハの成分を分散させた後、攪拌下ロを加え中和し、ゲル化させ、これを攪拌冷却し、ゲル状の化粧料1を得た。
【0016】
【表1】

【0017】
<試験例1>
ゲル状の化粧料1の角栓除去効果について、パネラー1群5名、4群20名を使用し、角栓の除去効果と、角栓除去後の角層バリア機能の変化を調べた。サンプルとしては、ゲル状の化粧料1、ゲル状の化粧料1のセバシン酸ジイソプロピルを水に置換した比較例1、「フロービーズCL5007」と「フロービーズCL20200」とを水に置換した比較例2及び下記の表2に処方を示す比較例3を用いた。即ち、パネラーは洗顔した後、「テヴァメーター」(インテグラル社製)で経皮的散逸水分量(TEWL)を計測し、しかる後ビデオマイクロスコープ(モリテック株式会社製)で小鼻の拡大写真を撮影し、1視野あたりの角栓の蓄積数を計数した。しかる後にサンプルを用いて、スクラブ手技を行い、化粧料を拭き取った後に、水性洗顔し、試験前と同様に、TEWLと1視野あたりの角栓数を計数した。角栓残存率は、試験後の角栓数を試験前の角栓数で除し、100を乗じて求めた。TEWL上昇率は、試験後のTEWLから試験前のTEWLを減じ、これを試験前のTEWLで除し、100を乗じて求めた。結果を表3に示す。これより本発明の化粧料は、尿素、α−ヒドロキシ酸、造粒顆粒を含有する化粧料と同程度の角栓除去効果を奏しながら、TEWLは著しくは上昇させない特性を有していることがわかる。
【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【実施例2】
【0020】
実施例1と同様に、ゲル状の化粧料2を製造した。試験例1の方法による、このものの角栓残存率は9.1±5.1%であり、TEWL上昇率は9.2±4.8%であった。
【0021】
【表4】

【実施例3】
【0022】
実施例1と同様に、ゲル状の化粧料3を製造した。試験例1の方法による、このものの角栓残存率は8.2±3.7%であり、TEWL上昇率は11.4±3.9%であった。
【0023】
【表5】

【実施例4】
【0024】
実施例1と同様に、ゲル状の化粧料4を製造した。試験例1の方法による、このものの角栓残存率は7.1±3.3%であり、TEWL上昇率は7.5±2.8%であった。
【0025】
【表6】

【実施例5】
【0026】
実施例1と同様に、ゲル状の化粧料5を製造した。試験例1の方法による、このものの角栓残存率は8.8±5.6%であり、TEWL上昇率は10.1±5.8%であった。
【0027】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、角栓除去用の化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルと、2)球状ポリエチレン粉末とを含有することを特徴とする、ゲル状の化粧料。
【請求項2】
前記炭素数6〜20の二塩基酸ジエステルは、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル及びセバシン酸ジイソプロピルから選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載のゲル状の化粧料。
【請求項3】
前記球状ポリエチレン粉末として、少なくとも2種の平均粒径のものが含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のゲル状の化粧料。
【請求項4】
更に、トリグルコ多糖を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載のゲル状の化粧料。
【請求項5】
アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び/又はその塩を含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載のゲル状の化粧料。
【請求項6】
角栓除去のために使用される化粧料であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載のゲル状の化粧料。

【公開番号】特開2007−230928(P2007−230928A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55721(P2006−55721)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】