説明

ゲル状メーキャップ化粧料

【課題】ペクチンを多価陽イオンでゲル化したゲルを含有するゲル状メーキャップ化粧料について、酸化鉄粒子のゲル状メーキャップ化粧料中での分散性を向上させることによって、均一に着色した、使用時に指などへのトレが良く、肌上の伸び広がりが良く、更にメーキャップ効果、化粧持続性、保存安定性を改善したゲル状メーキャップ化粧料の提供。
【解決手段】(A)メチルエステル化率5〜50%のペクチン0.2〜3質量%、(B)水溶液中で多価陽イオンを生成する塩0.0025〜0.75質量%,及び(C)水50〜97質量%を含有し、且つ酸化鉄粒子を2質量%以上含有するゲル状メーキャップ化粧料あって、該酸化鉄粒子がシリカで被覆されているゲル状メーキャップ化粧料である。また、該酸化鉄粒子が板状粒子に坦持され、更に該酸化鉄坦持板状粒子がシリカで被覆されているゲル状メーキャップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペクチンを多価陽イオンでゲル化させたゲルに、酸化鉄粒子又は酸化鉄坦持板状粒子をシリカで被覆して含有させたゲル状メーキャップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、みずみずしい使用感触を有する化粧料として、水のゲル化剤にカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、寒天等の水溶性高分子を含有する化粧料が提供されている。また、ペクチンを多価陽イオンと反応させて得たゲルも化粧料に使用されている。このペクチンを多価陽イオンと反応させて得たゲルは、上記の水溶性高分子のゲルに比し、耐塩性に優れ、チキソトロピー性が大きく、弾力性が高く、ゲルを崩した後の回復性が非常に早く、また熱可逆性であるなどの特殊なゲル特性を有する。そのため、化粧料の用途に有用であるが、このゲルを含有する化粧料は、使用時に指などへのトレが悪く、また肌上の伸び広がりが悪いなどの欠点を有していた。そこで、この欠点を改善すべく、ペクチンと、水溶液中で多価陽イオンを生成する塩と、粉体と、場合により油分とを含有するゲル状化粧料が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、従来、化粧料に酸化鉄系顔料、コバルト系顔料、マンガン系顔料、酸化クロム系顔料などの着色顔料を配合しているが、これらの着色顔料の熱や光りや化学剤に対する安定性を良くするために、粒子表面に微細な不定形シリカ皮膜を形成したシリカ被覆着色顔料が提案され、このシリカ被覆着色顔料を配合した化粧料は肌に対しさっぱり感、マイルドな感触があり、またローリング効果により顔料の分散性が改善されるとされている(特許文献2)。また、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、油剤、粉体及び水を含有する水中油型化粧料において、粉体としてシリカ被覆粉体を用いて、粉体の分散性を向上させることが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−47128号公報
【特許文献2】特開昭60−226805号公報
【特許文献3】特開平7−187950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペクチンを多価陽イオンと反応させて得たゲルを配合したゲル状化粧料が有する欠点、すなわち使用時の指等へのトレが悪い、肌上の伸び広がりが悪いなどの欠点は、前述のとおり、粉体を配合することにより改善できる。一方、メーキャップ化粧料では、酸化鉄粒子を着色顔料として配合することが行われている。そして、ペクチンを多価陽イオンと反応させて得たゲルを配合したゲル状化粧料に着色顔料として酸化鉄粒子を配合したときは、この酸化鉄粒子は、着色剤になると共に前述の特許文献1の粉体の作用もする。ところが、酸化鉄粒子を化粧料全体の2質量%以上と多量に配合した場合は、酸化鉄粒子が上記のゲル状化粧料中で凝集を起し、均一に分散できない。そのため、着色剤としての効果、また粉体としての効果を十分に発揮できない。
【0005】
本発明は、ペクチンを多価陽イオンと反応させて得たゲルを配合したゲル状化粧料に、酸化鉄粒子を化粧料全体の2質量%以上と多量に配合したときにも、酸化鉄粒子のゲル状化粧料中での分散性がよく、そのために均一に着色した、使用時に指などへのトレが良く、肌上の伸び広がりが良く、更にメーキャップ効果、化粧持続性、保存安定性が改善されたゲル状メーキャップ化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、(A)メチルエステル化率5〜50%のペクチン0.2〜3質量%、(B)水溶液中で多価陽イオンを生成する塩0.0025〜0.75質量%、及び(C)水50〜97質量%を含有し、且つ酸化鉄粒子を2質量%以上含有するゲル状メーキャップ化粧料であって、該酸化鉄粒子がシリカで被覆されていることを特徴とするゲル状メーキャップ化粧料である。また、本発明は、(A)メチルエステル化率5〜50%のペクチン0.2〜3質量%、(B)水溶液中で多価陽イオンを生成する塩0.0025〜0.75質量%、及び(C)水50〜97質量%を含有し、且つ酸化鉄粒子を2質量%以上含有するゲル状メーキャップ化粧料であって、該酸化鉄粒子が板状粒子に坦持され、更に該酸化鉄坦持板状粒子がシリカで被覆されていることを特徴とするゲル状メーキャップ化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ペクチンと多価陽イオンとを反応させて得たゲルに酸化鉄粒子を配合するにあたり、酸化鉄粒子をシリカで被覆してシリカ被覆酸化鉄粒子の形態にして配合することによって、或は酸化鉄粒子を板状粒子に坦持させ更にシリカで被覆した形態にして配合することによって、該ゲル中での酸化鉄粒子の凝集をなくして、分散性を向上させたものである。そして、酸化鉄粒子の分散性の向上によって、本発明のゲル状化粧料は、耐塩性に優れ、チキソトロピー性が大きく、弾力性が高く、ゲルを崩した後の回復性が非常に早いという上記のゲルの特性を維持していて、使用時に指やマット等の小道具へのトレが良好で、塗布時にみずみずしく、滑らかな伸び等の優れた使用感を有しており、メーキャップ効果が優れ、化粧持続性が良好で、且つ保存安定性に優れている。更に上記のゲルは熱可逆性であることから、本発明のゲル状化粧料は、高温で容器への充填が容易にできるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いられる成分(A)のメチルエステル化率5〜50%のペクチンは、成分(C)の水をゲル化させる成分であり、柑橘類やリンゴ等から抽出して得られる高分子多糖類であり、そのカルボキシル基の5〜50%がメチルエステル化されたポリガラクツロン酸を主体としたものである。ここでメチルエステル化率とは、ポリガラクツロン酸の全カルボキシル基に対するメチルエステル化率である。溶解性やゲルの安定性の面から、メチルエステル化率が5〜50%のペクチンを用いる。成分(A)のメチルエステル化率5〜50%のペクチンは、市販品として、ネオソフト P−3(太陽化学社製)、GENU PECTIN LM−101AS(コペンハーゲン ペクチンファクトリー社製)等が挙げられる。
【0009】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料における成分(A)の含有量は、ゲル特性及び保存安定性、べたつきのなさ等の使用感の観点より、0.2〜3質量%(以下、単に「%」と略す。)である。好ましく0.5〜2%である。この成分(A)を配合することにより、化粧料を塗布したときにみずみずしい感触が得られる。
【0010】
本発明に用いられる成分(B)の水溶液中で多価陽イオンを生成する塩は、上記ペクチンのゲルを架橋させ、弾力性が高く、チキソトロピー性が大きく、ゲルを崩壊させた時の回復性が非常に早いゲルを形成させるものであり、具体的には、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩、及びこれらの混合物より成る群から選択される塩である。本発明のゲル状メーキャップ化粧料においては、ゲル化力の観点より、カルシウム、鉄、マグネシウム、亜鉛及びそれらの混合物より成る群より選択される塩が好ましく、特にカルシウム塩が好ましい。
【0011】
成分(B)の水溶液中で多価陽イオンを生成する塩は、例えば、酢酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ギ酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、グリセリン酸カルシウム、グリセロン酸カルシウム、カルシウムグリシネート、リン酸一水素カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ化カルシウム、乳酸カルシウム、カルシウムラクトホスフェート、炭酸カルシウムマグネシウム、イノシトールヘキサリン酸カルシウムマグネシウム、リン酸カルシウム三塩基、カルシウム−o−ホスフェート、プロピオン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、コハク酸カルシウム、カルシウムサックレート、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、四リン酸カルシウム、酸化カルシウム、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、鉄(III)アセテートヒドロオキサイド、鉄(III)塩化アンモニウム、鉄(III)クエン酸アンモニウム、鉄(II)硫酸アンモニウム、炭酸鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、鉄コリンシトレート、クエン酸鉄(II)、鉄デキストラン、ギ酸鉄(II)、ギ酸鉄(III)、次亜リン酸鉄(III)、乳酸鉄(II)、リン酸鉄(II)、鉄(III)シュウ酸カリウム、ピロリン酸鉄(III)、鉄(III)クエン酸ナトリウム、鉄(III)ピロリン酸ナトリウム、硫酸鉄(III)などである。
【0012】
更に、リン酸マグネシウムアンモニウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、ギ酸マグネシウム、リン酸一水素マグネシウム、マグネシウム−o−ホスフェート、水酸化マグネシウム、マグネシウムヒドロオキサイドカーボネート、乳酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硫酸アンモニウム亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、ギ酸亜鉛、リン酸一水素亜鉛、水酸化亜鉛、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸亜鉛一塩基、リン酸亜鉛三塩基、亜鉛−o−ホスフェート、プロピオン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、吉草酸亜鉛及びイソ吉草酸亜鉛などが挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。この中でも、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム及びピロリン酸カルシウム等のカルシウム塩が、ゲル化力の観点より特に好ましい。
【0013】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料における成分(B)の含有量は、ペクチンのメチルエステル化率、アミド化率、塩の種類等に影響されるが、ゲル化力や経時安定性の観点から、0.0025%〜0.75%であり、好ましくは0.0125%〜0.5%である。
【0014】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料は、成分(C)の水を必須に含有するものである。水の含有量は50〜97%である。
【0015】
本発明に用いられる酸化鉄は、黒酸化鉄、ベンガラ、黄酸化鉄である。これらの酸化鉄の粒子の大きさは10nm〜10μmであり、好ましくは10nm〜2μmである。これらの酸化鉄粒子は、ペクチンを多価陽イオンで架橋して得られるゲルを含有するゲル状メーキャップ化粧料において、着色剤(着色顔料)であると共に、指や小道具等でのトレを良好にし、肌上での滑らかさや伸び広がりを向上させるものである。しかし、この場合、酸化鉄粒子を多量に、すなわち化粧料全量の2質量%以上配合して、その効果をより発揮させようとすると、酸化鉄粒子は凝集を起し、均一に分散しなく、そのため効果が十分に発揮されない。そこで、本発明では、酸化鉄粒子をシリカで被覆して配合するか、或は酸化鉄粒子を板状粒子に坦持させ、更に該酸化鉄坦持板状粒子をシリカで被覆して配合する。酸化鉄粒子をこれらの形態にして配合すると、凝集しなくなり、均一な分散が行える。
【0016】
酸化鉄粒子をシリカで被覆する方法には、酸化鉄粒子の水性懸濁液に活性なシリカゾルを添加または生成させる方法、酸化鉄粒子を芯剤として無水ケイ酸と湿式または乾式にて混合粉砕処理するメカノケミカル反応による方法等が挙げられる。これらの酸化鉄粒子には、シリカ被覆の前に、例えばアルミナ、酸化ジルコニウム等であらかじめ表面処理したものを使用してもよい。被覆処理に用いるシリカは、結晶性でも非結晶性でも良い。また、シリカ被覆酸化鉄粒子は、更にシリコーン、フッ素化合物などで表面処理して、化粧持続性を良くしてもよい。
【0017】
また、酸化鉄粒子を板状粒子に坦持させ、更に該酸化鉄坦持板状粒子をシリカで被覆する場合において、酸化鉄粒子の板状粒子への坦持は通常の方法で行う。この板状粒子としてはマイカ、合成マイカ、セリサイト、シリカ、ガラス、アルミニウムなどの板状粒子が用いられる。板状粒子の大きさは3〜100μmが好ましい。また、酸化鉄粒子と板状粒子との質量比は、酸化鉄粒子:板状粒子=5:95〜80:20が好ましい。酸化鉄坦持板状粒子をシリカで被覆するには、前述の酸化鉄粒子をシリカで被覆する方法と同様にして行なう。また、このシリカ被覆前処理や被覆後の処理も上記の酸化鉄粒子のシリカ被覆の場合と同様に行なえる。
【0018】
シリカの被覆量は、粉体の分散安定性の点から、酸化鉄粒子或は酸化鉄坦持板状粒子の質量に対して5〜20%が好ましく、7〜15%がより好ましい。この範囲であると、使用感が良好で、保存安定性が良好な化粧料が得られる。酸化鉄粒子の化粧料への配合量は2%以上である。化粧料の着色の濃淡、ゲルの状態などによって適宜に決めるが、通常2〜40%である。
【0019】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料には、上記成分に加えて油分を配合してもよい。油分を含有させることによって、エモリエント感の付与や、伸び広がりを向上させることができる。ここで用いられる油分としては、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類が用いられる。
【0020】
更に、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシクロテトラシロキサン、トリフルオロプロピルメチルシクロペンタシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これら油分の含有量は、使用感の観点より、0.1〜30%が好ましい。
【0021】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料には、更に必要に応じて、上記の油分を乳化、または可溶化するために界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、通常化粧料に用いられている界面活性剤であれば何れでもよく、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。なお、本発明のゲル状メーキャップ化粧料においては、ペクチンにより形成させるゲルの安定性がアルカリ性より酸性の方が優れることより、乳化剤として用いる前記界面活性剤は、酸性〜中性領域で安定な乳化性を示すものが特に好ましい。また、本発明ゲル状メーキャップ化粧料に用いられる界面活性剤の含有量としては、界面活性剤の含有目的により異なるが、0.01〜10%が好ましい。
【0022】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料には、上記必須成分の他に、通常化粧料に用いられる成分として、例えば、エタノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、L−メントール、カンファ等の清涼剤、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、アクリル酸等の水溶性高分子、メタクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体等のエマルションポリマー、油ゲル化剤、タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン等の保湿剤、α−トコフェロール、アスコルビン酸等の酸化防止剤、ビタミン類、消炎剤、生薬等の美容成分、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等の防腐剤、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル変性シリコーン等の被膜形成剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲にて配合することができる。
【0023】
本発明のゲル状メーキャップ化粧料は、ファンデーション、白粉、頬紅、コンシーラー、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、口紅等のメーキャップ化粧料である。なお、本発明のゲル状メーキャップ化粧料は、ゲルの強度、経時安定性の観点より、pHは4.0以上、8.0以下の領域であることが好ましい。
【実施例】
【0024】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明する。
実施例1〜4及び比較例1〜5
表1に示す組成の水中油型ゲル状アイシャドウを、下記製造方法により調製し、(1)使用感(伸び広がりのよさ、化粧膜の均一性)、(2)酸化鉄粒子の分散性、(3)保存安定性について以下に示す方法により評価・判定した。その結果を併せて表1に示した。
【0025】
【表1】

【0026】
注1:GENU PECTIN LM-101AS(コペンハーゲンペクチンファクトリー社製)
注2:タロックスレッド R516L(チタン工業社製)をシリカで10%被覆したもの
注3:タロックスイエロー LLXLO(チタン工業社製)をシリカで10%被覆したもの
注4:クロイゾネルージュフランベ(エンゲルハード社製、酸化鉄45%:雲母チタン55%)をシリカ5%で被覆したもの
注5:タロックスレッド R516L
注6:タロックスイエロー LLXLO
注7:タロックスレッド R516Lをメチルハイドロジェンポリシロキサン1.5%で被覆したもの
注8:タロックスイエロー LLXLOをメチルハイドロジェンポリシロキサン1.5%で被覆したもの
注9:クロイゾネルージュフランベ
【0027】
(製造方法)
A:成分(1)〜(3)を室温にて均一に溶解する。
B:成分(4)〜(14)を(2)の一部にロールミルで室温にて分散する。
C:成分(15)を(3)の一部に室温にて均一に溶解する。
D:ホモミキサーでAにBを室温にて分散する。
E:ホモミキサーでDにCを室温にて少しずつ加えゲル化させる。
F:Eを容器に充填して、水中油型ゲル状アイシャドウを得た。
【0028】
(評価方法)
(1)使用感(伸び広がりのよさ、化粧膜の均一性)
化粧歴10年以上の女性20名をパネルに、前記実施例及び比較例のサンプルを使用してもらい、肌に塗布時の伸び広がりのよさ、塗布した後の化粧膜の均一性について、以下の(イ)5段階絶対評価基準に基づいて評点を付し、全パネルの評点の平均値を求め、以下の(ロ)4段階判定基準により判定した。
(イ)5段階絶対評価基準
(評価結果): (評点)
5点 : 非常に良好
4点 : 良好
3点 : 普通
2点 : 不良
1点 : 非常に不良
(ロ)4段階判定基準
(評点の平均値) :(判定)
平均点4.5以上 : ◎
平均点3.5以上4.5未満: ○
平均点2.5以上3.5未満: △
平均点2.5未満 : ×
【0029】
(2)酸化鉄粒子の分散性
製造直後の前記実施例及び比較例のサンプルを光学顕微鏡(400倍)にて観察し、以下の(ハ)判定基準により判定した。
(ハ)判定基準
(観察結果) :(判定)
酸化鉄粒子の凝集が全く無い : ◎
酸化鉄粒子の凝集がほとんど無い : 〇
小さな凝集が有る : △
大きな凝集が有る : ×
【0030】
(3)保存安定性
前記実施例及び比較例のサンプルを40℃、5℃で3ヶ月間保存し、保管品の外観状態を製造直後と比較して、以下の(ニ)判定基準により判定した。
(ニ)4段階判定基準
(観察結果) :(判定)
全く変化なし : ◎
軽微な変化があるが、特に使用性に問題ない : ○
ややゲル化、排液がみられる : △
かなりゲル化、排液がみられる : ×
【0031】
実施例5〜8
表2に示す組成の水中油型ゲル状アイシャドウを、下記製造方法により調製し、(1)使用感(伸び広がりのよさ、化粧膜の均一性)(2)酸化鉄粒子の分散性、(3)保存安定性について、実施例1〜4と同じ方法により評価・判定した。その結果を併せて表2に示した。
【0032】
【表2】

【0033】
(製造方法)
A:成分(1)〜(3)を室温にて均一に溶解する。
B:成分(4)〜(7)を(2)の一部にロールミルで室温にて分散する。
C:成分(8)を(3)の一部に室温にて均一に溶解する。
D:ホモミキサーでAにBを室温にて分散する。
E:ホモミキサーでDにCを室温にて少しずつ加えゲル化させる。
F:Eを容器に充填して、水中油型ゲル状アイシャドウを得た。
【0034】
表1と表2とから、本発明の実施例品は、比較例品に較べて、いづれも、伸びの良さ、化粧膜の均一性、酸化鉄粒子の分散性、保存安定性に優れていることが分かる。
【0035】
実施例9:ゲル状ファンデーション
(成分) (質量%)
1.モノステアリン酸グリセリン 1.0
2.モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40) 1.0
3.セタノール 1.5
4.スクワラン 3.0
5.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
6.ラウロイルグルタミン酸
ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 1.0
7.ステアロイルジメチコン・ステアロイル変性
ジメチルポリシロキサン(注10) 1.0
8.ジメチルポリシロキサン 0.5
9.1,3−ブチレングリコール 10.0
10.グリセリン 3.0
11.精製水 残量
12.防腐剤 適量
13.フッ素化合物処理酸化チタン(注11) 12.0
14.シリコーン処理シリカ被覆ベンガラ(注12) 0.4
15.シリコーン処理シリカ被覆黄酸化鉄(注13) 2.0
16.シリコーン処理シリカ被覆黒酸化鉄(注14) 0.1
17.合成金雲母 1.0
18.窒化ホウ素 0.3
19.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.3
20.モノイソステアリン酸
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.3
21.ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム 0.3
22.ペクチン(注1) 1.0
23.キサンタンガム 0.2
24.塩化カルシウム 0.03
25.香料 適量
【0036】
注10:DC2503(東レ・ダウコーニング社製)
注11:PF−5 チタンCR−50(大東化成工業社製)
注12:注2の顔料にメチルハイドロジェンポリシロキサンを1.5%処理した顔料
注13:注3の顔料にメチルハイドロジェンポリシロキサンを1.5%処理した顔料
注14:タロックスブラックBL−100(チタン工業社製)をシリカで10%被覆した顔料にメチルハイドロジェンポリシロキサンを1.5%処理した顔料
【0037】
(製造方法)
A:1〜8を75℃で均一に溶解する。
B:9〜12を75℃で均一に溶解する。
C:BにAを加え、ホモミキサーにて乳化する。
D:Cを室温に冷却する。
E:13〜21を9の一部に室温でロールミルにて分散する。
F:22,23を11の一部に室温で均一に溶解する。
G:24を11の一部に室温で均一に溶解する。
H:FにDを加え、ホモミキサーにて混合する。
I:HにEを加え、ホモミキサーにて混合する。
J:IにG,25を加え、ホモミキサーにて混合し、ファンデーションを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)メチルエステル化率5〜50%のペクチン0.2〜3質量%、(B)水溶液中で多価陽イオンを生成する塩0.0025〜0.75質量%、及び(C)水50〜97質量%を含有し、且つ酸化鉄粒子を2質量%以上含有するゲル状メーキャップ化粧料であって、該酸化鉄粒子がシリカで被覆されていることを特徴とするゲル状メーキャップ化粧料。
【請求項2】
(A)メチルエステル化率5〜50%のペクチン0.2〜3質量%、(B)水溶液中で多価陽イオンを生成する塩0.0025〜0.75質量%、及び(C)水50〜97質量%を含有し、且つ酸化鉄粒子を2質量%以上含有するゲル状メーキャップ化粧料であって、該酸化鉄粒子が板状粒子に坦持され、更に該酸化鉄坦持板状粒子がシリカで被覆されていることを特徴とするゲル状メーキャップ化粧料。
【請求項3】
酸化鉄粒子の含有量が2〜40質量%である請求項1又は2記載のゲル状メーキャップ化粧料。
【請求項4】
シリカの被覆量が、酸化鉄粒子又は酸化鉄坦持板状粒子の質量の5〜20%である請求項1〜3のいずれかに記載のゲル状メーキャップ化粧料。

【公開番号】特開2006−241061(P2006−241061A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58513(P2005−58513)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】