説明

ゲル状芳香・消臭剤組成物およびそれを用いたゲル状芳香・消臭剤

【課題】製造時に加熱の必要がなく、ゲル強度に優れたゲルを使用することにより、香料や消臭剤成分の変質、香調の変化を防止でき、香料や消臭剤成分による効果を長時間持続することができるとともに、輸送時の変形等を防止でき、造時のハンドリングが良好な、ゲル状芳香・消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分と、(B)成分および(C)成分の少なくとも一方と、(D)成分とを含有するゲル状芳香・消臭剤組成物により、上記課題を解決する。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.0mmol/gの範囲である、セルロース繊維。
(B)香料。
(C)消臭剤成分。
(D)水。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維を含有するゲル状芳香・消臭剤組成物およびそれを用いたゲル状芳香・消臭剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲル状芳香剤・消臭剤は、倒れてもこぼれない手軽さがあり、長期間、芳香・消臭効果が持続するため、広く芳香剤・消臭剤として使用されている。上記ゲル状芳香剤・消臭剤に使用されるゲル化剤としては、化学合成ゲル化剤や、天然系ゲル化剤が使用されている。
【0003】
従来のゲル状芳香・消臭剤組成物としては、例えば、化学合成ゲル化剤に分類される架橋型エチレン性不飽和カルボン酸重合体をゲル化剤として用いるもの(特許文献1)、天然系ゲル化剤に分類されるジェランガムをゲル化剤として用いるもの(特許文献2)、天然系ゲル化剤に分類されるザンサンガムをゲル化剤として用いるもの(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−290015号公報
【特許文献2】特開2007−29175号公報
【特許文献3】特開昭55−81655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のゲル状芳香・消臭剤組成物は、ゲル化剤が、化学合成ゲル化剤であるため、天然系ゲル化剤と比較すると、安全性や生分解性の点で劣り、また消費者に対する商品イメージも悪い。また、上記化学合成ゲル化剤は、石油原料から合成され、廃棄により炭酸ガスを発生するため、地球環境に対する負荷が大きいという問題もある。
【0006】
上記特許文献2に記載のゲル状芳香・消臭剤組成物は、ゲル化剤が、天然系ゲル化剤であるため、上記化学合成ゲル化剤使用時の問題点はないが、ゲル製造時に加熱溶解する必要がある。そのため、基材温度が高い状態で、香料や消臭剤成分を添加すると、香料や消臭剤成分が変質したり、香調が変化したり等の問題がある。また、製造後に製品を高温で保管すると、再溶解して流れ出してしまう等の問題もある。このような問題は、上記特許文献2に記載のジェランガム以外の、カラギーナン、寒天、ゼラチン等をゲル化剤に用いた場合にも同様に生じる。
【0007】
上記特許文献3に記載のゲル状芳香・消臭剤組成物は、ゲル化剤が、天然系ゲル化剤であるため、上記化学合成ゲル化剤使用時の問題点はなく、また、ゲル製造時に加熱溶解する必要ないため、上記特許文献2に記載の問題点も解決することができる。しかし、ゲル製造時に加熱溶解する必要のない、ザンサンガム等の天然系ゲル化剤は、ゲルの強度が弱く、輸送時の振動や衝撃でゲルが変形したり、崩壊したりする場合がある。ゲル強度を上げる目的で、ゲル化剤の添加量を増やすと、製造時のハンドリングが悪化し、ゲルを移送したり容器へ充填することが困難になる等の問題があった。このような問題は、特許文献3に記載のザンサンガム以外の、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等をゲル化剤に用いた場合にも同様に生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、製造時に加熱の必要がなく、ゲル強度に優れたゲルを使用することにより、香料や消臭剤成分の変質、香調の変化を防止でき、香料や消臭剤成分による効果を長時間持続することができるとともに、輸送時の変形等を防止でき、造時のハンドリングが良好な、ゲル状芳香・消臭剤組成物、およびそれを用いたゲル状芳香・消臭剤の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)成分と、(B)成分および(C)成分の少なくとも一方と、(D)成分とを含有するゲル状芳香・消臭剤組成物を第1の要旨とする。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.0mmol/gの範囲である、セルロース繊維。
(B)香料。
(C)消臭剤成分。
(D)水。
【0010】
また、本発明は、上記ゲル状芳香・消臭剤組成物を用いてなるゲル状芳香・消臭剤を第2の要旨とする。
【0011】
すなわち、本発明者らは、製造時に加熱の必要がなく、ゲル強度に優れたゲルを使用することにより、香料や消臭剤成分の変質、香調の変化を防止でき、香料や消臭剤成分による効果を長時間持続することができるとともに、輸送時の変形等を防止でき、製造時のハンドリングが良好な、ゲル状芳香・消臭剤組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.0mmol/gの範囲である、セルロース繊維を用いると、室温で分散処理して放置することでゲル化するため、従来の天然系ゲル化剤のように、ゲル製造時に加熱溶解する必要がなく、しかもゲル強度に優れることを突き止めた。そして、さらに研究を続けた結果、上記特定のセルロース繊維と、香料および消臭剤成分の少なくとも一方を組み合わせることにより、加熱による香料や消臭剤成分の変質、香調の変化を防止でき、香料や消臭剤成分による効果を長時間持続することができるとともに、輸送時の変形等を防止でき、製造時のハンドリングも良好なゲル状芳香・消臭剤組成物が得られることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物およびゲル状芳香・消臭剤は、ゲル化剤として特定のセルロース繊維(A成分)を用いるため、以下のような効果を得ることができる。
【0013】
(1)上記ゲル化剤である特定のセルロース繊維(A成分)は、室温で分散処理して放置することでゲル化するため、製造時に加熱の必要がない。そのため、上記特定のセルロース繊維(A成分)と、香料(B成分)および消臭剤成分(C成分)の少なくとも一方を組み合わせた、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、加熱による香料(B成分)や消臭剤成分(C成分)の変質、香調の変化を防止でき、香料(B成分)や消臭剤成分(C成分)による効果を長時間持続することができる。
【0014】
(2)上記ゲル化剤として使用する特定のセルロース繊維(A成分)は、加熱により再溶解することがないため、製造後に製品を高温で保管した場合でも、再溶解して流れ出す恐れがない。
【0015】
(3)上記特定のセルロース繊維(A成分)は、セルロースのシングルナノファイバー状態となってゲルを形成しているため、ゲルの強度が高く、輸送時の振動や衝撃でゲルが変形したり崩壊したりする恐れが少ない。
【0016】
(4)上記特定のセルロース繊維(A成分)は、チキソトロピーインデックスが非常に大きく、混合(分散)時または混合直後においては粘度が低く、混合(分散)後に放置することで粘度が増加してゲル化するという特性がある。そのため、製造工程中、すなわち、分散処理中および分散処理直後は組成物の粘度が低く、ハンドリングが容易であり、工程液の移送や、製品充填が容易である。製品充填後は、一定時間放置することでさらにゲル化が進行するという効果を発揮する。
【0017】
(5)上記特定のセルロース繊維(A成分)は、天然素材であるセルロースから得られる天然系ゲル化剤であるため、安全性や生分解性の点で優れ、消費者に対する商品イメージも良い。さらに、上記ゲル化剤である特定のセルロース繊維(A成分)は、循環再生可能なセルロース系素材であるため、地球環境に対する負荷も少ない。
【0018】
そして、上記特定のセルロース繊維(A成分)が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであると、共酸化剤の使用量および酸化時間を調整することにより、分散安定性がより良好となる。
【0019】
また、上記特定のセルロース繊維(A成分)の含有量が、ゲル状芳香・消臭剤組成物全体の0.2〜5.0重量%の範囲であると、ゲル化剤の特性が向上し、ハンドリングもさらに良好となり、経済性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、特定のセルロース繊維(A成分)と、香料(B成分)および消臭剤成分(C成分)の少なくとも一方と、水(D成分)とを用いて得ることができる。
【0022】
本発明においては、上記特定のセルロース繊維(A成分)として、最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.0mmol/gの範囲である、微細なセルロース繊維(A成分)を用いるものであり、これが最大の特徴である。この微細なセルロース繊維(A成分)は、I型結晶構造を有する天然物由来のセルロース固体原料を表面酸化し、ナノサイズにまで微細化した繊維である。原料となる、天然物由来のセルロースは、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーが多束化して高次構造を取っているため、そのままでは容易にはナノサイズにまで微細化して分散させることができない。本発明に用いる上記特定のセルロース繊維(A成分)は、その水酸基の一部を酸化してアルデヒド基およびカルボキシル基を導入し、ミクロフィブリル間の強い凝集力の原動となっている表面間の水素結合を弱めて、分散処理し、従来微細化することができなかったセルロース繊維をナノサイズにまで微細化したものである。
【0023】
上記特定のセルロース繊維(A成分)は、最大繊維径が1000nm以下で、かつ、数平均繊維径が2〜100nmであり、分散安定性の点から、好ましくは最大繊維径が500nm以下、かつ数平均繊維径が3〜80nmである。すなわち、上記A成分の数平均繊維径が2nm未満であると、本質的に分散媒体に溶解してしまい、逆に数平均繊維径が100nmを超えると、セルロース繊維が沈降してしまい、セルロース繊維を配合することによる機能性を発現することができないからである。
【0024】
上記特定のセルロース繊維(A成分)の最大繊維径および数平均繊維径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、セルロース繊維に水を加え希釈した試料を分散処理し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、得られた画像から、セルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径を測定し、算出することができる。
【0025】
上記特定のセルロース繊維(A成分)を構成するセルロースが、I型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
【0026】
また、上記特定のセルロース繊維(A成分)のカルボキシル基量は0.6〜2.0mmol/gであり、分散安定性の点から、0.75〜2.0mmol/gの範囲が好ましい。すなわち、上記セルロース繊維(A成分)のカルボキシル基量が0.6mmol/g未満であると、セルロース繊維(A成分)の分散安定性に乏しく、セルロース繊維(A成分)の沈澱を生じる場合があり、また疎水性固体の分散安定性が低下する。逆に、上記セルロース繊維(A成分)のカルボキシル基量が2.0mmol/gを超えると、セルロース繊維(A成分)の水溶性が強くなり、セルロース繊維(A成分)特有の効果の発現が減少するからである。
【0027】
上記特定のセルロース繊維(A成分)のカルボキシル基量の測定は、例えば電位差滴定により行うことができる。すなわち、乾燥させたセルロース繊維を水に分散させ、0.01規定の塩化ナトリウム水溶液を加えて、充分に撹拌してセルロース繊維を分散させる。つぎに、0.1規定の塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04規定の水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、セルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出することができる。
【0028】
なお、カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロース繊維の酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより、行うことができる。
【0029】
上記特定のセルロース繊維(A成分)を構成するグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にアルデヒド基およびカルボキシル基に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMR分析により確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れることから確認することができる。
【0030】
つぎに、上記特定のセルロース繊維(A成分)とともに用いられる香料(B成分)としては、例えば、炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エステル類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、カルボン酸類、ムスク類、精油等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0031】
上記香料(B成分)の含有量は、ゲル状芳香・消臭剤組成物全体の0.1〜20重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜15重量%の範囲である。
【0032】
<炭化水素類>
上記炭化水素類としては、例えば、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ミルセン、ジヒドロミルセン、リモネン、テルピノーレン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、ビサボレン、セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ロンギホレン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0033】
<アルコール類>
上記アルコール類としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ムゴール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、エチルリナロール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、l−メントール、カルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、シス−3−ヘキセノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、フェニルエチルアルコール、ヒドロトロパアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0034】
<アルデヒド類>
上記アルデヒド類としては、例えば、シトラール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、α−メチレンシトロネラール、ミルテナール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、3,7−ジメチルオクタナール、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、n−デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、テトラデカナール、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、シクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジエチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルヒドラトロパルアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジエチルアセタール、アミルシンナミックアルデヒドジエチルアセタール、ヘリオトロピンジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルアェニルエチルアセタール、アセトアルデヒド2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0035】
<ケトン類>
上記ケトン類としては、例えば、カンファー、メントン、ピペリテノン、ゲラニルアセトン、アセチルセドレン、ヌートカトン、ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、メチレンテトラメチルヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、マルトール、エチルマルトール、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0036】
<エステル類>
上記エステル類としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸3−ペンテニルテトラヒドロピラニル、酢酸ミラルディル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ吉草酸フェニルエチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸リナリル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸オイゲニル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸シトロネリル、フェニル酢酸メンチルサリチル酸アミル、ヘキサン酸リナリル、ヘキサン酸シトロネリル、オクタン酸リナリル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、ゲラン酸エチル、シクロゲラン酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0037】
<フェノール類>
上記フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルのフェノール類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0038】
<エーテル類>
上記エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン(IFF社商品名)、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス(Firmenich社商品名)、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0039】
<ラクトン類>
上記ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスミンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンのラクトン類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0040】
<カルボン酸類>
上記カルボン酸類としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、フタール酸、アビエチン酸、バニリン酸、ピロガロール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0041】
<ムスク類>
上記ムスク類としては、例えば、ムスコン、シクロペンタデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、ムスクアンブレット、6−アセチルヘキサメチルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0042】
<精油>
上記精油としては、例えば、アビエス、アンブレット・シード、アンジェリカ、アニス、アルモアゼ、ベージル、ベイ、ベルガモット、バーチ、ボア・ド・ローズ、カラムス、カンファー、カナンガ、キャラウェイ、カルダモン、カシア、シダーウッド、カモミル、シトロネラ、コスタス、クミン、ディル、エレミ、ユーカリ、ガルバナム、ゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、グアイアック、ガーデニア、ひのき、ホウショウ、ヒアシンス、ジャスミン、ジュニパ・ベリー、ラブダナム、ラバンジン、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、リナロエ、ミモザ、ミント、オークモス、オレンジフラワー、オリス、イリス、パチョリ、パルマローザ、ペパーミント、ローズ、クラリー・ゼージ、サンダル、チュベローズ、ベチバー、スミレ、イラン・イラン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0043】
つぎに、上記特定のセルロース繊維(A成分)とともに用いられる消臭剤成分(C成分)としては、例えば、活性炭類、シリカゲル類、酸化物類、無機塩素化合物類、アルミニウム・亜鉛化合物類、金属石鹸類、グリコール類、ホウ素化合物類、フェノール類、アミン類、サリチル酸類、エステル系界面活性剤、有機塩素化合物類、アルデヒド類、過酸化物類、メタアクリル酸エステル類、天然物抽出物類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0044】
上記消臭剤成分(C成分)の含有量は、ゲル状芳香・消臭剤組成物全体の0.1〜20重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜15重量%の範囲である。
【0045】
<活性炭類>
上記活性炭類としては、例えば、ヤシガラ炭等があげられる。
【0046】
<シリカゲル類>
上記シリカゲル類としては、例えば、シリカゲル、ソディウムテトラシリケート等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0047】
<酸化物類>
上記酸化物類としては、例えば、亜鉛華、カルシウムオキサイド、モリブデンオキサイド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0048】
<無機塩素化合物類>
上記無機塩素化合物類としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化カリウム、塩素化石灰、次亜塩素酸、アルミニウム・クロロハイドレート、塩化カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0049】
<アルミニウム・亜鉛化合物類>
上記アルミニウム・亜鉛化合物類としては、例えば、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、ミョウバン、硫酸アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムフェノールスルホネート、ジンクパーオキサイド、アルミニウムパルミネート、アルミニウム・アセトタートレート、アルミニウム・ホスフェート等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0050】
<金属石鹸類>
上記金属石鹸類としては、例えば、アルミニウムステアレート、ジンクステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクオレエート、ジンクフェノールスルホネート、アルミニウムパルミテート、アルミニウムアセトタートレート等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0051】
<グリコール類>
上記グリコール類としては、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジラウレート、グリセリンモノステアレート、ジグリコールラウレート、ポリグリコール、トリオキシメチレン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0052】
<ホウ素化合物類>
上記ホウ素化合物類としては、例えば、ホウ酸、ホウ砂、過ホウ酸ナトリウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0053】
<フェノール類>
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、ベンジルクレゾール、パラクロロメタクレゾール、クレゾール、ポリフェノール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0054】
<アミン類>
上記アミン類としては、例えば、ヘキサミン、尿素、クロラミン、カチオン界面活性剤、ヘキサメチレンテトラミン、トリエタノールアミン、メタンアミン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0055】
<サリチル酸類>
上記サリチル酸類としては、例えば、サリチル酸、メチルサリチル酸、フェニルサリチル酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0056】
<エステル系界面活性剤>
上記エステル系界面活性剤としては、例えば、グリセリンモノステアレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ジグリコールラウレート、イソプロピルミリステート、オキシフィノリンサンサルフェート、ベータナフトールベンゾエート、フェニルサリシレート、メチルフェニルアセテート、ソルビトールモノラウレート、ボルニルアセテート等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0057】
<有機塩素化合物類>
上記有機塩素化合物類としては、例えば、ヘキサクロロフェン、ヘキサクロロエタン、クロラミン、クロロフィル、ジクロロフィル等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0058】
<アルデヒド類>
上記アルデヒド類としては、例えば、グリオキザール、ベンズアルデヒド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0059】
<過酸化物類>
上記過酸化物類としては、例えば、過酸化亜鉛、クメンハイドロパーオキサイド、過マンガン酸カリウム、ベータナフトールベンゾエート等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0060】
<メタアクリル酸エステル類>
上記メタアクリル酸エステル類としては、例えば、ラウリルメタアクリレート等があげられる。
【0061】
<天然物抽出物類>
上記天然物抽出物類としては、例えば、ツルムラサキ乾留抽出物、イラクサ乾留抽出物、イカリ草乾留抽出物、緑茶抽出物、木酢、植物精油等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0062】
なお、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物には、上記A〜C成分に加えて、水(D成分)が用いられる。本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物においては、上記A〜C成分と、下記の任意成分の含有量を除いた残量が、水(C成分)の含有量となる。
【0063】
上記任意成分としては、例えば、界面活性剤、粉末成分、油脂類、溶剤類、消泡剤、水溶性高分子、防腐剤・殺菌剤、合成樹脂エマルション、酸化防止剤、ビタミン類、糖類・グリコール類、香料、酸、アルカリ、酵素、着色剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0064】
なお、上記任意成分は、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物のゲル状芳香剤・消臭剤の機能を損なわない範囲内で、使用することができる。
【0065】
<界面活性剤>
上記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0066】
<アニオン界面活性剤>
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(炭素数10〜15)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数6〜18)硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル硫酸エステル塩、脂肪酸(炭素数6〜18)塩、アルカン(炭素数6〜18)スルホン酸塩、オレフィン(炭素数8〜18)スルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩縮合物、アルキル(炭素数6〜18)スルホコハク酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテルスルホコハク酸塩 、アルキル(炭素数6〜18)リン酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜30モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル酢酸塩等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。上記の塩としては、ナトリウム、カリウムのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムのアルカリ土類金属、アンモニア、アルカノールアミンのアミン等があげられる。
【0067】
<非イオン界面活性剤>
上記非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)アルキル(炭素数6〜18)エーテル、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)アシル(炭素数6〜18)エステル、アルキル(炭素数6〜18)ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜100モル)トリグリセリド(脂肪酸炭素数6〜18)エーテル、ソルビタン脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、ショ糖脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、ポリオキシアルキレン(付加モル数1モル〜50モル)ソルビタン脂肪酸(炭素数6〜18)エステル、アルキル(炭素数6〜18)ポリグリコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0068】
<カチオン界面活性剤>
上記カチオン界面活性剤としては、例えば、モノアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、ジアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、トリアルキル(炭素数6〜18)アミン塩、アルキル(炭素数6〜18)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(炭素数6〜18)ジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(炭素数6〜18)ジメチルアミノプロピルアミド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。上記の塩としては、塩素、臭素等のハロゲンがあげられる。
【0069】
<両性界面活性剤>
上記両性界面活性剤としては、例えば、アルキル(炭素数6〜18)ベタイン、脂肪酸(炭素数6〜18)アミドプロピルベタイン、2−アルキル(炭素数6〜18)−N−カルボキシルメチル−N−ヒドロキシエチル−イミダゾリニウムベタイン、アルキル(炭素数6〜18)ジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキル(炭素数6〜18)ジエチレントリアミノ酢酸、アルキル(炭素数6〜18)アミンオキシド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0070】
<粉末成分>
上記粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、セリサイト、炭酸マグネシウム、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸ストロンチウム、タングステン酸塩、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼石膏、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、活性炭、金属石鹸類、窒化ホウ素、ポリアミド粉末、ポリエチレン粉末、アクリル樹脂粉末、ポリスチレン粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリ4フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0071】
<油脂類>
上記油脂類としては、例えば、サラダ油、菜種油、綿実油、アボカド油、ツバキ油、グレープシード油、タートル油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマワリ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリド、トリイソパルミチン酸グリセリド、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、モクロウ、ミツロウ、カルナバロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、炭素数6〜20の飽和および不飽和アルコール類、炭素数2〜20の飽和および不飽和エステル類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0072】
<溶剤類>
上記溶剤類としては、例えば、メタノール、エタノール、等の炭素数1〜8のアルコール類、エステル類、ケトン類、炭化水素類、エーテル類、グリコール類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0073】
<消泡剤>
上記消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、ポリオキシアルキレンエーテル類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0074】
<水溶性高分子>
上記水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、キサンタンガム、アルギン酸、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、アラビアガム、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これら水溶性高分子は、製造時のハンドリング性を損なわない範囲内で、配合することが好ましい。
【0075】
<防腐剤・殺菌剤>
上記防腐剤・殺菌剤としては、例えば、安息香酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル類、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、エタノール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0076】
<合成樹脂エマルション>
上記合成樹脂エマルションとしては、例えば、酢酸ビニルエマルション、ポリアクリル酸エステルエマルション、ポリウレタン樹脂エマルション、ポリ塩化ビニルエマルション等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0077】
<酸化防止剤>
上記酸化防止剤としては、例えば、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル、アスコルビン酸、フィチン酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0078】
<ビタミン類>
上記ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびその誘導体類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0079】
<糖類・グリコール類>
上記糖類・グリコール類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、水溶性デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0080】
<酸>
上記酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸類、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等の有機酸類があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0081】
<アルカリ>
上記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、等の無機アルカリ類、アンモニア、アルカノールアミン等の有機アルカリ類等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0082】
<酵素>
上記酵素としては、動植物由来または微生物由来の、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)、脂質分解酵素(リパーゼ)、デンプン分解酵素(アミラーゼ)、繊維素分解酵素(セルラーゼ)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0083】
<着色剤>
上記着色剤としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、インダストレンブルーRS、ウールグリーンBS、キノリンイエロー、パテントブルーV、等の色素類、塩素法酸化チタン顔料、オイルファーネスブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、カオリンクレー、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、蛍光顔料、黒色酸化鉄、極微細炭酸カルシウム、コバルト青、コバルト緑、コバルト紫、胡粉、紺青、サーマルブラック、酸化クロム、酸化チタン(アタナース)、酸化チタン(ルチル)、ジスアゾイエロー、赤色酸化鉄、茶色酸化鉄、チャンネルブラック、鉄黒、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、ドロマイト粉末、パーマネントレッド、微粒子酸化チタン、微粒子硫酸バリウム、ファストイエロー10G、ベンガラ、モリブデンレッド等の顔料類があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
【0084】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物に使用されるセルロース繊維(A成分)は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、木材パルプ等の天然セルロースを、水に分散させてスラリー状としたものに、臭化ナトリウム、N−オキシル化合物(例えば、N−オキシラジカル触媒)を加え、充分撹拌して分散・溶解させる。つぎに、次亜塩素酸水溶液等の共酸化剤を加え、pH10〜11を保持するように、0.5規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながらpH変化が見られなくなるまで反応を行う。上記反応により得られたスラリーは、未反応原料、触媒等を除去するために、水洗、濾過を行い精製することにより、繊維表面が酸化された特定のセルロース繊維(A成分)の水分散体を得ることができる。なお、化粧品組成物として高い透明性が求められる場合は、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の強力な分散力を有する分散装置を用いて分散処理することで、高い透明性をもつセルロース繊維(A成分)を得ることができる。
【0085】
上記N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)、4−アセトアミド−TEMPOのようなN−オキシラジカル触媒等があげられ、好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)である。上記N−オキシル化合物の添加量は、通常、0.1〜4mmol/l、好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲である。
【0086】
また、上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種類以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
【0087】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、上記のようにして得られたセルロース繊維(A成分)の水分散体に、香料(B成分)および消臭剤成分(C成分)の少なくとも一方と、水(D成分)と、その他の任意成分を適宜に混合し、分散することにより調製することができる。
【0088】
上記混合・分散処理には、例えば、真空乳化装置、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー、湿式粉砕機、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ビーズミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等を用いることができる。これらのなかでも、分散力の大きい高圧ホモジナイザーや、超高圧ホモジナイザーを用いて分散することにより、透明度の高いゲル状芳香・消臭剤組成物を得ることができる。なお、上記混合・分散装置の種類や操作条件を選択することにより、任意の添加剤の物理化学的性質に応じた、所望の性状のゲル状芳香・消臭剤組成物を調製することができる。
【0089】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物における上記特定のセルロース繊維(A成分)の含有量は、セルロース繊維固形分として、ゲル状芳香・消臭剤組成物全体の0.2〜5.0重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0重量%の範囲である。すなわち、上記セルロース繊維(A成分)の含有量が少なすぎると、組成物が流動状態でゲルを形成しない傾向がみられ、逆にセルロース繊維(A成分)の含有量が多すぎると、経済的でなく、また組成物のハンドリング性が悪化する傾向がみられるからである。
【0090】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物における香料(B成分)および消臭剤成分(C成分)が、水溶性の場合は、上述の方法で組成物を調製することができるが、上記香料(B成分)または消臭剤成分(C成分)が、油性で水に溶解しない場合は、必要に応じて、界面活性剤を添加して油性の香料(B成分)または消臭剤成分(C成分)をゲル中に乳化させることができる。なお、界面活性剤の添加量を増やして、油性の香料(B成分)または消臭剤成分(C成分)をゲル中に透明に可溶化させることもできる。
【0091】
また、上記香料(B成分)または消臭剤成分(C成分)が固体で、水に溶解しない場合は、必要に応じて界面活性剤を添加してゲル中に分散させることができる。
【0092】
また、必要に応じて、香料(B成分)および消臭剤成分(C成分)の少なくとも一方をマイクロカプセルとしたり、担体に吸着させたり、包接化合物に包接したりした状態で、本発明の組成物に配合することができる。
【0093】
なお、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物においては、厳寒時にゲルの凍結を防止する目的で、ゲル中にプロピレングリコールの多価アルコール類や、グリコールエーテル類を添加してもよく、また、香料(B成分)または消臭剤成分(C成分)の揮散を促進する目的で、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類を添加してもよく、揮散を抑制する目的で、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリオールを添加しても差し支えない。
【0094】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、ゲル自立型、ゲル非自立型、容器内部が分割されたもの等の充填容器に充填して、家庭用、業務用の芳香剤、消臭剤として使用することができる。なお、組成の異なる2種以上のゲル状芳香・消臭剤組成物を、容器内に積層して充填したり、分割充填してもよい。また、本発明の組成物を不定形または定形に切断したり、整粒したりしたものを、そのまま、または容器に充填してもよい。
【実施例】
【0095】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0096】
まず、実施例および比較例に先立ち、つぎのようにしてセルロース繊維を作製した。
【0097】
〔セルロース繊維T1(実施例用)の作製〕
針葉樹パルプ2g(乾燥重量)に水150g、臭化ナトリウム 0.025g、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)0.025gを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.4mmol/g−セルロースとなるように加え、pHを10〜11に保持するように0.5規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pH変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1規定塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維T1を得た。
【0098】
〔セルロース繊維T2,T3(実施例用)、セルロース繊維H1,H2(比較例用)の作製〕
添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液の量および反応時間を、下記の表1に示すように変更する以外は、セルロース繊維T1の作製に準じて、各セルロース繊維を作製した。
【0099】
【表1】

【0100】
このようにして得られたセルロース繊維T1〜T3(実施例用)、セルロース繊維H1,H2(比較例用)を用い、下記の基準に従って各項目の測定を行った。これらの結果を、上記の表1に併せて示した。
【0101】
<最大繊維径、数平均繊維径>
各セルロース繊維に水を加え希釈した試料を、ホモミキサーを用いて12000rpmで15分間処理し、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、これを透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)により得られた画像(倍率:10000倍または50000倍)から、数平均繊維径および最大繊維径を測定し、算出した。なお、本方法で測定される最大繊維径、数平均繊維径は、後述の実施例で得られる、本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物中のセルロース繊維の最大繊維径、数平均繊維径と一致することを確認している。
【0102】
<カルボキシル基量の測定>
セルロース繊維表面のカルボキシル基の定量は、電位差滴定により行った。すなわち、乾燥させた各セルロース繊維0.3gを水55mlに分散させ、0.01規定の塩化ナトリウム水溶液5mlを加えて、充分に撹拌してセルロース繊維を分散させた。つぎに、0.1規定の塩酸溶液をpH2.5〜3.0になるまで加え、0.04規定の水酸化ナトリウム水溶液を毎分0.1mlの速度で滴下し、得られたpH曲線から過剰の塩酸の中和点と、セルロース繊維由来のカルボキシル基の中和点との差から、カルボキシル基量を算出した。
【0103】
<アルデヒド基量の測定>
セルロース繊維(試料)表面のアルデヒド基量は、以下のようにして測定した。すなわち、試料を水に分散させ、酢酸酸性下で亜塩素酸ナトリウムを用いてアルデヒド基を全てカルボキシル基まで酸化させた試料のカルボキシル基量を測定し、酸化前のカルボキシル基量の差から、アルデヒド基量を算出した。
【0104】
<セルロースI型結晶構造の確認>
上記各セルロース繊維がI型結晶構造を有することを、つぎのようにして確認した。すなわち、広角X線回折像測定により得られた回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから、I型結晶構造を有することを確認した。その結果、上記セルロース繊維T1〜T3(実施例用)およびセルロース繊維H1,H2(比較例用)は、I型結晶構造を有することが確認された。
【0105】
<アルデヒド基およびカルボキシル基の確認>
各セルロース繊維を構成するグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にアルデヒド基およびカルボキシル基に酸化されているかどうか、つぎのようにして確認した。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認されたグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れたことにより確認した。その結果、上記セルロース繊維T1〜T3(実施例用)およびセルロース繊維H1,H2(比較例用)は、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が酸化されてなるカルボキシル基およびアルデヒド基も有することが確認された。
【0106】
つぎに、上記で得たセルロース繊維(T1〜T3、H1,H2)を用いて、以下のようにしてゲル状芳香・消臭剤組成物を調製した。
【0107】
〔実施例1〕
上記特定のセルロース繊維(A成分)であるセルロース繊維T1を固形分換算重量で1.50重量部(以下「部」と略す)、香料(B成分)としてシトラス香料0.30部を配合し、水を所定量加えて100部とした。つぎに、この配合物を25℃の温度下、真空乳化装置を用いて12000rpmで15分間処理して、ゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物を、移送ポンプを用いて、300ml容量の容器に充填して、25℃で一日放置して固化させた。
【0108】
〔実施例2,3、比較例1〜6〕
下記の表2および表3に示すように、各成分の種類および配合量を変更する以外は、実施例1に準じて、ゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物を、移送ポンプを用いて、300ml容量の容器に充填して、25℃で一日放置して固化させた。
【0109】
【表2】

【0110】
なお、表中のセルロース繊維の含有量は、固形分換算量を示す(以下、同様)。
【0111】
【表3】

【0112】
このようにして得られた各組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。これらの結果を、上記の表2および表3に併せて示した。
【0113】
<香り>
香り評価の標準液として、ゲル化剤を除いた、同じ濃度の香料または消臭剤を含む組成物を容器に準備した。この標準液と、得られたゲル状芳香・消臭剤の香りを官能評価で比較し、以下の判定基準に従って判定した。
○:標準液と同じ香りがする。
△:標準液より香りが少し悪い。
×:標準液より香りがかなり悪い。
【0114】
<ゲル強度>
容器に充填したゲル状芳香・消臭剤を横倒しにし、ゲルの崩壊の程度を、以下の判定基準に従って、目視判定した。
○:ゲルが崩壊しない。
△:ゲルが一部崩壊する。
×:ゲルが全部崩壊する、または流動する。
【0115】
<容器への充填>
移送ポンプで容器に充填する際の状態を、下記の判定基準に従い、目視判定した。
○:問題なく移送ポンプで移送・充填できる。
△:時間はかかるが、何とか移送ポンプで移送・充填できる。
×:移送ポンプで移送・充填できない。
【0116】
上記表2および表3の結果から明らかなように、実施例1〜3品は、いずれも製造時の香りの変化がなく、ゲル強度があり、容器への充填の評価も良好であることから、製造時のハンドリングと作業性に優れていた。なお、本発明者らは、上記セルロース繊維T1〜T3に代えて、カルボキシル基量が0.6mmol/g(下限)のセルロース繊維を用いた場合にも、セルロース繊維T1〜T3を用いた場合と同様の優れた効果が得られることを実験により確認した。また、特定のセルロース繊維の含有量(固形分重量)を、組成物全体の0.2重量%および5.0重量%に変更した場合でも、ゲル強度に多少の変化はあるが、実施例と同様の優れた効果が得られることを実験により確認した。
【0117】
これに対して、実施例品のセルロース繊維T1〜T3に代えて、ジェランガムを用いた比較例1品は、固化することなく、ゲル状とすることができなかった。これは、実施例品のセルロース繊維は、加熱することなく室温でゲル化させることが可能であるが、比較例1品に用いたジェランガムは、天然系のゲル化剤ではあるが、加熱しなければゲル化しないためである。
【0118】
ジェランガムと、実施例品のセルロース繊維とを比較するために、ジェランガムが固化する製造条件、すなわち、分散・充填温度を90℃にする以外は、比較例1に準じてゲル状芳香剤組成物を調製してなる比較例2品は、ゲル強度、容器への充填の評価は、実施例品と同様であるが、香りの評価が劣っていた。これは、ジェランガムを固化させる目的で、製造時に加熱したため、香料が変質したことによるものである。
【0119】
上記実施例1〜3品、比較例1,2品の結果から、ジェランガムをゲル化剤とした場合、製造時に加熱しなければゲルの調製は不可能であり、一方、ゲルを調製するために製造時に加熱すると、香料が変質して、香りのよいゲル状芳香・消臭剤が得られなかった。これに対し、実施例品のセルロース繊維をゲル化剤とする場合には、加熱することなくゲル化が可能であるため、香料の変質がなく、香りのよいゲル状芳香・消臭剤が得られた。
【0120】
実施例品のセルロース繊維T1〜T3に代えて、キサンタンガムを同じ濃度で添加した比較例3品は、ゲル強度および容器への充填の評価が劣っていた。また、比較例3品のゲル強度を改善する目的で、キサンタンガムの添加量を増量した比較例4品は、製造時のハンドリングが極端に悪く、容器への充填が不可能となった。
【0121】
上記実施例1〜3品、比較例3,4品の結果から、ゲル化剤として、天然系ゲル化剤であるキサンタンガムを用いた場合、製造時に加熱の必要がなく、香りの劣化は起こらないものの、添加量が少ないとゲル強度が不足し、ゲル強度を上げるために添加量を増やすと、製造が困難になった。これに対し、実施例品のセルロース繊維をゲル化剤とする場合には、ゲル強度があり、製造時のハンドリング性のよいゲル状芳香・消臭剤が得られた。
【0122】
実施例品のセルロース繊維T1〜T3に代えて、カルボキシル基量が下限未満のセルロース繊維H1を用いた比較例5品は、ゲル強度が劣っていた。一方、実施例品のセルロース繊維T1〜T3に代えて、カルボキシル基量が上限を超えるセルロース繊維H2を用いた比較例6品は、容器への充填性の評価が劣っていた。
【0123】
〔実施例4〕
下記の表4に示す各成分を同表に示す割合で配合し、水を所定量加えて100部とした。つぎに、この配合物を25℃の温度下、真空乳化装置を用いて12000rpmで15分間処理して、ゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物を、移送ポンプを用いて、300ml容量の容器に充填して、25℃で一日放置して固化させ、ラベンダーの香りのゲル状芳香・消臭剤を得た。
【0124】
〔実施例5〕
消臭剤成分(C成分)として油性のヒノキオイルを、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテルで乳化させたタイプのゲル状芳香・消臭剤を調整した。すなわち、下記の表4に示す各成分を同表に示す割合で配合し、水を所定量加えて100部とした。つぎに、この配合物を25℃の温度下、真空乳化装置を用いて12000rpmで15分間処理して、ゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物を、移送ポンプを用いて、300ml容量の容器に充填して、25℃で一日放置して固化させ、ヒノキの香りのゲル状芳香・消臭剤を得た。
【0125】
〔実施例6〕
消臭剤成分(C成分)として緑茶抽出物を、香料(B成分)としてグリーン香料を用い、グリーンの香りのゲル状芳香・消臭剤を得た。すなわち、下記の表4に示す各成分を同表に示す割合で配合し、水を所定量加えて100部とした。つぎに、この配合物を25℃の温度下、真空乳化装置を用いて12000rpmで15分間処理して、ゲル状芳香剤組成物を得た。得られたゲル状芳香剤組成物を、移送ポンプを用いて、300ml容量の容器に充填して、25℃で一日放置して固化させ、グリーンの香りのゲル状芳香・消臭剤を得た。
【0126】
〔実施例7〕
実施例6と同様の組成物を、真空乳化装置に代えて、超高圧ホモジナイザーを用いて分散する以外は、実施例6と同様にして、グリーンの香りのゲル状芳香・消臭剤を得た。
【0127】
【表4】

【0128】
このようにして得られた各組成物を用い、前記の基準に従って、香り、ゲル強度および容器への充填の評価を行った。これらの結果を、上記の表4に併せて示した。
【0129】
上記表4の結果から明らかなように、実施例4〜7品は、いずれも製造時の香りの変化がなく、ゲル強度があり、容器への充填の評価も良好であることから、製造時のハンドリングと作業性に優れていた。実施例6のゲル状芳香・消臭剤は、半透明であるのに対し、実施例7のゲル状芳香・消臭剤は、透明であった。すなわち、より強力な超高圧ホモジナイザーを用いて分散することにより、透明なゲル状芳香・消臭剤が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、任意の容器に充填して、家庭用、業務用、産業用の芳香剤、消臭剤として使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)成分と、(B)成分および(C)成分の少なくとも一方と、(D)成分とを含有することを特徴とするゲル状芳香・消臭剤組成物。
(A)最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜100nmのセルロース繊維であって、そのセルロースが、I型結晶構造を有するとともに、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてアルデヒド基およびカルボキシル基に変性されており、上記カルボキシル基量が0.6〜2.0mmol/gの範囲である、セルロース繊維。
(B)香料。
(C)消臭剤成分。
(D)水。
【請求項2】
上記(A)成分のセルロース繊維が、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものである請求項1記載のゲル状芳香・消臭剤組成物。
【請求項3】
上記(A)成分の含有量(固形分重量)が、ゲル状芳香・消臭剤組成物全体の0.2〜5.0重量%の範囲である請求項1または2記載のゲル状芳香・消臭剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状芳香・消臭剤組成物を用いてなることを特徴とするゲル状芳香・消臭剤。

【公開番号】特開2011−55884(P2011−55884A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205810(P2009−205810)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】