説明

ゲル状電解質二次電池

【課題】ゲル状の非水電解質と負極との親和性を保ち、高容量であり、負荷特性やサイクル特性が良好なゲル状電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極と結着剤を含む負極合剤を含有する負極とゲル状の非水電解質とを備えたゲル状電解質電池であって、負極活物質は天然黒鉛を含み、結着剤は、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルを負極合剤の全含有量を基準として2.0〜6.5%含み、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルは、重量比で5〜50:95〜50である。ゲル状の非水電解質は、マトリクス高分子を含有し、マトリクス高分子は、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとの共重合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状電解質二次電池に係り、更に詳細には、負極の結着剤としてポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリル又はスチレンブタジエンゴムとを含むゲル状電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ)、デジタルカメラ、携帯電話、携帯情報端末、ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そして、これらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。
【0003】
中でも、負極活物質に炭素、正極活物質にリチウム−遷移金属複合酸化物、電解液に炭酸エステル混合物を使用するリチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池や、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている(特許文献1参照。)。
【0004】
そして、特に、外装にラミネートフィルムを使用するラミネート型二次電池は軽量であるためエネルギー密度が大きい(特許文献2参照。)。
【0005】
かかるラミネート型二次電池においては、電解液で膨潤させたポリマーを用いると、電極と電解質の界面が固定され、電池素子自体に自己支持性があるため、電池の変形を抑制することができる(特許文献3参照)。
【0006】
一方、負極の結着剤としてスチレンブタジエンゴムを用いることが提案されており(特許文献4参照。)、更に、負極の結着剤としてポリアクリロニトリルを用いることが提案されている(特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−332479号公報
【特許文献2】特許第3482591号公報
【特許文献3】特開2001−167797号公報
【特許文献4】特開2000−285925号公報
【特許文献5】特開2005−327630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、負極の結着剤としてスチレンブタジエンゴムのみやポリアクリロニトリルのみを用いた場合には、ゲル状の非水電解質に適用したときに、ゲル状の非水電解質と負極との親和性が低くなり、負荷特性やサイクル特性が低下してしまうことがあるという問題点があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ゲル状の非水電解質と負極との親和性を保ち、高容量であり、負荷特性やサイクル特性が良好なゲル状電解質二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねたところ、負極の結着剤としてポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリル又はスチレンブタジエンゴムとを含ませることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の第1のゲル状電解質二次電池は、正極と、負極活物質と結着剤とを含む負極合剤を含有する負極と、ゲル状の非水電解質と、を備えたゲル状電解質二次電池であって、負極活物質が天然黒鉛を含み、結着剤が、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとを含み、ポリフッ化ビニリデン及び上記ポリアクリロニトリルの合計含有量が、負極合剤の全含有量を基準として2.0〜6.5%であり、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとの比が、重量比で5〜50:95〜50であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、負極の結着剤としてポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとを含ませることなどとしたため、ゲル状の非水電解質と負極との親和性を保ち、高容量であり、負荷特性やサイクル特性が良好なゲル状電解質二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のゲル状電解質二次電池について説明する。本明細書及び特許請求の範囲において、濃度や含有量などについての「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0014】
上述の如く、本発明のゲル状電解質二次電池は、正極と結着剤を含む負極合剤を含有する負極とゲル状の非水電解質とを備えたゲル状電解質二次電池であって、結着剤が、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリル又はスチレンブタジエンゴムとを含むものである。
【0015】
また、本発明のゲル状電解質二次電池の第1の好適形態は、ゲル状の非水電解質が、マトリクス高分子を含有し、マトリクス高分子が、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、又はポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとの共重合体、及びこれらの任意の組合せに係る混合物を含むものである。
【0016】
更に、本発明のゲル状電解質二次電池の第2の好適形態は、結着剤が、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとを含み、ポリフッ化ビニリデン及びポリアクリロニトリルの合計含有量が、負極合剤の全含有量を基準として2.0〜6.5%であり、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとの比が、重量比で5〜95:95〜5であるものである。
【0017】
更にまた、本発明のゲル状電解質二次電池の第3の好適形態は、結着剤が、ポリフッ化ビニリデンとスチレンブタジエンゴムとを含み、ポリフッ化ビニリデン及びスチレンブタジエンゴムの合計含有量が、負極合剤の全含有量を基準として2.5〜6.5%であり、ポリフッ化ビニリデンとスチレンブタジエンゴムとの比が、重量比で90〜30:10〜70であるものである。
【0018】
以下、本発明のゲル状電解質二次電池の若干の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明のゲル状電解質二次電池の一実施形態であって、ラミネート型二次電池の一例を示す分解斜視図である。
同図に示すように、この二次電池は、負極端子11と正極端子12が取り付けられた電池素子20をフィルム状の外装部材30の内部に封入して構成されている。負極端子11及び正極端子12は、外装部材30の内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。負極端子11及び正極端子12は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はステンレス(SUS)などの金属材料によりそれぞれ構成される。
【0019】
外装部材30は、例えばナイロンフィルム、アルミニウム箔及びポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルムにより構成されている。外装部材30は、例えばポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着又は接着剤により互いに接合されている。
外装部材30と負極端子11及び正極端子12との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム31が挿入されている。密着フィルム31は、負極端子11及び正極端子12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば負極端子11及び正極端子12が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
【0020】
なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造、例えば金属材料を有さないラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム又は金属フィルムなどにより構成してもよい。
ここで、外装部材の一般的な構成は、外装層/金属箔/シーラント層の積層構造で表すことができ(但し、外装層及びシーラント層は複数層で構成されることがある。)、上記の例では、ナイロンフィルムが外装層、アルミニウム箔が金属箔、ポリエチレンフィルムがシーラント層に相当する。
なお、金属箔としては、耐透湿性のバリア膜として機能すれば十分であり、アルミニウム箔のみならず、ステンレス箔、ニッケル箔及びメッキを施した鉄箔などを使用することができるが、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることができる。
【0021】
外装部材として、使用可能な構成を(外装層/金属箔/シーラント層)の形式で列挙すると、Ny(ナイロン)/Al(アルミニウム)/CPP(無延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/Al/CPP、PET/Al/PET/CPP、PET/Ny/Al/CPP、PET/Ny/Al/Ny/CPP、PET/Ny/Al/Ny/PE(ポリエチレン)、Ny/PE/Al/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET/PE/Al/PET/LDPE(低密度ポリエチレン)、及びPET/Ny/Al/LDPE/CPPなどがある。
【0022】
図2は、図1に示した電池素子20のII−II線に沿った模式的な断面図である。同図において、電池素子20は、負極21と正極22とがゲル状の非水電解質から成るゲル状非水電解質層23及びセパレータ24を介して対向して位置し、巻回されているものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。
【0023】
[負極]
ここで、負極21は、例えば対向する一対の面を有する負極集電体21Aの両面又は片面に負極合剤層21Bが設けられた構造を有している。負極集電体21Aには、長手方向における一方の端部に負極合剤層21Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極端子11が取り付けられている。
負極集電体21Aは、例えば銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
【0024】
負極合剤層21Bは、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、金属リチウムのいずれか1種又は2種以上を含んでおり、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンと、ポリアクリロニトリル又はスチレンブタジエンゴムとを含んでおり、必要に応じて導電剤を含んでいてもよい。
【0025】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、天然若しくは人造黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維又は活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス又は石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレン又はポリピロールなどがある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
【0026】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵及び放出することが可能であり、金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素又は半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0027】
この負極材料を構成する金属元素又は半金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)又は白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0028】
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素又は半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素(Si)及びスズ(Sn)の少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素(Si)及びスズ(Sn)は、リチウム(Li)を吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
【0029】
スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、及びクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)及びクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0030】
スズ(Sn)の化合物又はケイ素(Si)の化合物としては、例えば、酸素(O)又は炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)又はケイ素(Si)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0031】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、更に、他の金属化合物又は高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO2、V2O5、V6O13などの酸化物、NiS、MoSなどの硫化物、又はLiN3などのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレン、ポリアニリン又はポリピロールなどが挙げられる。
【0032】
また、リチウムを合金可能な材料としては、多様な種類の金属等が使用可能であるが、スズ(Sn)、コバルト(Co)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)及びこれらの合金がよく用いられる。金属リチウムを使用する場合は、粉体を結着剤で塗布膜にすればよい。
【0033】
また、結着剤としては、上述したように、例えばポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルを少なくとも含むものや、ポリフッ化ビニリデンとスチレンブタジエンゴムを少なくとも含むもの等が用いられる。
上述のポリフッ化ビニリデンとしては、例えば固有粘度が1.5〜10.0dl/gのものなどを使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。また、上述のポリアクリロニトリルとしては、例えば分子内にアルコール性水酸基、カルボキシル基、またはニトリル基などの官能基を有するポリアクリロニトリルが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0034】
上記ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルの合計含有量は、特に限定されるものではないが、負極合剤の全含有量を基準として好ましくは2.0〜6.5%、より好ましくは2.5〜5.0%であり、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとの比(ポリフッ化ビニリデン:ポリアクリロニトリル)は、特に限定されるものではないが、重量比で、好ましくは5〜95:95〜5であり、より好ましくは、15〜85:85〜15である。
【0035】
一方、ポリフッ化ビニリデンとスチレンブタジエンゴムの合計含有量は、特に限定されるものではないが、負極合剤の全含有量を基準として好ましくは2.5〜6.5%、より好ましくは2.5〜5.0%であり、ポリフッ化ビニリデンとスチレンブタジエンゴムとの比(ポリフッ化ビニリデン:スチレンブタジエンゴム)は、特に限定されるものではないが、重量比で、好ましくは90〜30:10〜70である。
なお、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデントリフルオライド等を混合して用いてもよい。
【0036】
更に、導電剤としては、例えばカーボンブラック又はグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。
【0037】
[正極]
一方、正極22は、負極21と同様に、例えば対向する一対の面を有する正極集電体22Aの両面又は片面に正極合剤層22Bが被覆された構造を有している。正極集電体22Aには、長手方向における一方の端部に正極合剤層22Bが被覆されずに露出している部分があり、この露出部分に正極端子12が取り付けられている。
正極集電体22Aは、例えばアルミニウム箔などの金属箔により構成される。
【0038】
正極合剤層22Bは、例えば正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料を含んでおり、必要に応じて導電剤と結着剤を含んでいてもよい。
ここで、正極活物質、導電剤及び結着剤は均一に分散していればよく、その混合比は問わない。
【0039】
正極活物質として用いられるリチウムを吸蔵及び放出可能な正極材料としては、目的とする電池の種類に応じて、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物又はリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましく、中でも、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及び鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、(1)〜(3)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、(4)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、又は(5)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.302、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c22(c1≒1,0<c2<1)、LidMn24(d≒1)又はLieFePO4(e≒1)などがある。
【0040】
LifMn(1-g-h)NigM1h(2-j)k・・・(1)
(式中、M1は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、j及びkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、−0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
【0041】
LimNi(1-n)M2n(2-p)q・・・(2)
(式中、M2は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、p及びqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
【0042】
LirCo(1-s)M3s(2-t)u・・・(3)
(式中、M3は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、t及びuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
【0043】
LivMn2-wM4wxy・・・(4)
(式中、M4は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
【0044】
LizM5PO4・・・(5)
(式中、M5は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)及びジルコニウム(Zr)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
【0045】
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、これらの他にも、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
【0046】
また、導電剤としては、例えばカーボンブラック又はグラファイトなどの炭素材料等が用いられる。更に、結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデントリフルオライド等が用いられる。
【0047】
[ゲル状非水電解質層]
ゲル状非水電解質層23を形成するゲル状の非水電解質は、非水電解液をマトリクス高分子でゲル化して成る。
ゲル状の非水電解質は、非水電解液が、マトリクス高分子に含浸ないしは保持されるようになっている。かかるマトリクス高分子の膨潤やゲル化ないしは非流動化により、得られる電池で非水電解質の漏液が起こるのを効果的に抑制することができる。
非水電解液としてはリチウムイオン二次電池に一般的に使用されるものを用いることができる。このような非水電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させたものを用いることができる。
【0048】
非水溶媒としては、具体的には、炭酸エチレン又は炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレン及び炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
【0049】
非水溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル又は炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
【0050】
非水溶媒としては、更にまた、2,4−ジフルオロアニソール又は炭酸ビニレンを含むことが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量及びサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0051】
これらの他にも、非水溶媒としては、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド又はリン酸トリメチルなどが挙げれる。
【0052】
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素等のハロゲンで置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
【0053】
電解質塩としては、例えばリチウム塩を挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO3、LiClO4、LiNO3、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、ジフルオロ[オキソラト−O,O´]ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、又はLiBr、LiCl、LiIなどが挙げられる。
リチウム塩を溶解する濃度として、上記非水溶媒に対して0.4mol/kg以上、2.0mol/kg以下の範囲であることが好ましい。
酸化安定性の観点からLiPF6、LiBF4を用いることが望ましい。中でも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができると共に、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0054】
ゲル状非水電解質は、上述の非水電解液をマトリクス高分子でゲル化して用いる。マトリクス高分子は、上記非水溶媒に上記電解質塩が溶解されて成る非水電解液に相溶可能であり、ゲル化できるものであればよい。このようなマトリクス高分子としては、ポリフッ化ビニリデン又はビニリデンフルオライドとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイド又はポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルを繰り返し単位に含むポリマーが挙げられる。
具体的には、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体や、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとの共重合体などを挙げることができる。
このようなポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0055】
その中でも、酸化還元安定性の観点から、フッ素系高分子化合物が特に望ましい。例えば、ポリフッ化ビニリデン又はビニリデンフルオライドにヘキサフルオロプロピレンが75%以下の割合で導入された共重合体を用いることができる。このようなポリマーは、数平均分子量が5.0×105〜7.0×105(50万〜70万)の範囲であるか、又は重量平均分子量が2.1×105〜3.1×105(21万〜31万)の範囲であり、固有粘度が1.7(dl/g)〜2.1(dl/g)の範囲とされている。
【0056】
[セパレータ]
また、セパレータ24は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン系の有機樹脂から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜など、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の薄膜から構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。特に、ポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、負極21と正極22との分離性に優れ、内部短絡や開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。
【0057】
次に、上述したゲル状電解質二次電池の製造方法の一例につき説明する。
上記ラミネート型二次電池は、以下のようにして製造することができる。
まず、負極21を作製する。例えば粒子状の負極活物質を用いる場合には、負極活物質と上述した結着剤と必要に応じて導電剤を混合して負極合剤を調製し、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを作製する。
次いで、この負極合剤スラリーを負極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極合剤層21Bを形成する。
【0058】
また、正極22を作製する。例えば粒子状の正極活物質を用いる場合には、正極活物質と必要に応じて導電剤及び結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。この後、この正極合剤スラリーを正極集電体22Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極合剤層22Bを形成する。
【0059】
次いで、負極21に負極端子11を取り付けるとともに、正極22に正極端子12を取り付ける。このとき、負極端子11や正極端子12の溶接部及びその裏面、又は合剤塗布部分と集電体露出部分の境界部分の集電体上には保護テープ25を貼ってもよい。
【0060】
次いで、得られた負極21の片面又は両面にゲル状非水電解質層23を形成する。例えば六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶媒と、ポリフッ化ビニリデンなどのマトリクス高分子とをジメチルカーボネーと(DMC)などの希釈溶剤と混合溶解し、ゾル状の非水電解質を作製する。このゾル状の非水電解質を負極21に塗布し希釈溶剤を揮発させてゲル状の非水電解質から成るゲル状非水電解質層23を形成する。
【0061】
更に、得られた正極22の片面又は両面にゲル状非水電解質層23を形成する。例えば上述した六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶媒と、ポリフッ化ビニリデンなどのマトリクス高分子とをジメチルカーボネーと(DMC)などの希釈溶剤と混合溶解し、ゾル状の非水電解質を作製する。このゾル状の非水電解質を正極22に塗布し希釈溶剤を揮発させてゲル状の非水電解質から成るゲル状非水電解質層23を形成する。
【0062】
しかる後、セパレータ24、ゲル状非水電解質層23を形成した正極22、セパレータ24及びゲル状非水電解質層23を形成した負極21を順次積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して電池素子20を形成する。更に、この電池素子20を外装部材30で包装して、図1及び図2に示したラミネート型二次電池が完成する。
【0063】
なお、このゲル状電解質二次電池は次のようにして製造してもよい。
例えば、完成された電池素子を外装部材で包装するのではなく、負極21及び正極22の上、又はセパレータ24に上述したポリフッ化ビニリデン等のマトリクス高分子のモノマー又はポリマーを塗布して巻回して巻回電極体を作製し、外装部材30の内部に収納した後に上述した非水電解液を注入するようにしてゲル状非水電解質層23を形成してもよい。但し、外装部材30の内部でモノマーを重合させるようにした方がゲル状非水電解質層23とセパレータ24との接合性が向上し、内部抵抗を低くすることができるので好ましい。また、外装部材30の内部に非水電解液を注入してゲル状の非水電解質を形成するようにした方が、少ない工程で簡単に製造することができるので好ましい。
【0064】
以上に説明した二次電池では、充電を行うと、正極合剤層22Bからリチウムイオンが放出され、ゲル状非水電解質層23を介して負極合剤層21Bに吸蔵される。放電を行うと、負極合剤層21Bからリチウムイオンが放出され、ゲル状非水電解質層23を介して正極合剤層22Bに吸蔵される。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明する。具体的には、以下の各例に記載したような操作を行い、図1及び図2に示したようなラミネート型二次電池を作製し、その性能を評価した。
【0066】
(参考例1−1)
<負極の作製>
まず、負極活物質として天然黒鉛99.0重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(固有粘度:約2dl/g)を0.050重量部、及びポリアクリロニトリル(PAN)(カルボキシル基を含むPAN系樹脂)を0.950重量部とを均質に混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加して、負極合剤スラリーを得た。
次いで、得られた負極合剤スラリーを、厚み12μmの銅箔より成る負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥し、ロールプレスにより圧縮成形して、負極合剤層(厚み:100μm、結着剤含有量:1%)を形成し、幅44mmに切り出して、負極を作製した。その後、負極にニッケルより成る負極端子を取り付けた。
【0067】
<正極の作製>
次に、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を90重量部と、導電剤としてカーボンブラックを4重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)(固有粘度:約2dl/g)を6重量部とを均質に混合し、NMPを添加して、正極合剤スラリーを得た。次いで、得られた正極合剤スラリーを、厚み15μmのアルミニウム箔より成る正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形して、正極合剤層(厚み:105μm)を形成し、幅42.5mmに切り出して、正極を作製した。その後、正極にアルミニウムより成る正極端子を取り付けた。
【0068】
<ゲル状の非水電解質の作製>
エチレンカーボネート(EC):プロピレンカーボネート(PC)=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としての六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製した。
マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてジメチルカーボネート(DMC)を用いてゾル状の非水電解質を作製した。
得られたゾル状の非水電解質を、得られた負極及び正極の両面に均一に塗布し、溶剤を揮発させて、負極及び正極にゲル状の非水電解質層(厚み:5μm)を形成した。
【0069】
<ゲル状電解質電池の作製>
このゲル状の非水電解質層を形成した負極及び正極を、厚み12μmの多孔質ポリエチレンから成るセパレータを介して積層し、巻回して電池素子を作製し、外装部材であるアルミニウムラミネートフィルムによってこれを包装して、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
なお、一対の正極及び負極当たりの完全充填状態(標準の充電器で充電して使用する際の満充電状態)における開回路電圧が4.20Vになるように調整した。また、標準充電とは、23℃において、所定の電圧、電流1Cで充電時間の総計が2.5時間に達するまでの定電流定電圧充電のことを言う。更に、1Cとは、電池の定格容量を1時間で放電させる電流値のことであり、0.2C、0.5C、2Cとは電池の定格容量をそれぞれ5時間、2時間、30分間で放電させる電流値のことである。
【0070】
(参考例1−2〜参考例1−11、比較例1−1及び比較例1−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表1に示すように変えたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
(実施例2−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.100重量部、及びPANを1.900重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0073】
(実施例2−2〜実施例2−11、比較例2−1及び比較例2−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表2に示すように変えたこと以外は、実施例2−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表2に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
(実施例3−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛96.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.175重量部、及びPANを3.325重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0076】
(実施例3−2〜実施例3−11、比較例3−1及び比較例3−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表3に示すように変えたこと以外は、実施例3−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表3に示す。
【0077】
【表3】

【0078】
(実施例4−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛95.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.250重量部、及びPANを4.750重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0079】
(実施例4−2〜実施例4−11、比較例4−1及び比較例4−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表4に示すように変えたこと以外は、実施例4−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表4に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
(実施例5−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛93.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.325重量部、及びPANを6.175重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0082】
(実施例5−2〜実施例5−11、比較例5−1及び比較例5−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表5に示すように変えたこと以外は、実施例5−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表5に示す。
【0083】
【表5】

【0084】
(参考例6−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.400重量部、及びPANを7.600重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0085】
(参考例6−2〜参考例6−11、比較例6−1及び比較例6−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表6に示すように変えたこと以外は、参考例6−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表6に示す。
【0086】
【表6】

【0087】
(参考例7−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛99.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.050重量部、及びPANを0.950重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0088】
(参考例7−2〜参考例7−11、比較例7−1及び比較例7−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表7に示すように変えたこと以外は、参考例7−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表7に示す。
【0089】
【表7】

【0090】
(実施例8−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.100重量部、及びPANを1.900重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0091】
(実施例8−2〜実施例8−11、比較例8−1及び比較例8−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表8に示すように変えたこと以外は、実施例8−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表8に示す。
【0092】
【表8】

【0093】
(実施例9−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛97.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.125重量部、及びPANを2.375重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0094】
(実施例9−2〜実施例9−11、比較例9−1及び比較例9−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表9に示すように変えたこと以外は、実施例9−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表9に示す。
【0095】
【表9】

【0096】
(実施例10−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛96.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.200重量部、及びPANを3.800重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0097】
(実施例10−2〜実施例10−11、比較例10−1及び比較例10−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表10に示すように変えたこと以外は、実施例10−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表10に示す。
【0098】
【表10】

【0099】
(実施例11−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛94.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.275重量部、及びPANを5.225重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0100】
(実施例11−2〜実施例11−11、比較例11−1及び比較例11−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表11に示すように変えたこと以外は、実施例11−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表11に示す。
【0101】
【表11】

【0102】
(参考例12−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.400重量部、及びPANを7.600重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0103】
(参考例12−2〜参考例12−11、比較例12−1及び比較例12−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表12に示すように変えたこと以外は、参考例12−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表12に示す。
【0104】
【表12】

【0105】
(参考例13−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛99.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.200重量部、及びPANを0.800重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用い、更に、ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノクロロトリフルオロエチレン合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0106】
(参考例13−2、参考例13−3、比較例13−1及び比較例13−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表13に示すように変えたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表13に示す。
【0107】
【表13】

【0108】
(実施例14−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.400重量部、及びPANを1.600重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0109】
(実施例14−2、実施例14−3、比較例14−1及び比較例14−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表14に示すように変えたこと以外は、実施例14−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表14に示す。
【0110】
【表14】

【0111】
(実施例15−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛96.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.700重量部、及びPANを2.800重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0112】
(実施例15−2、実施例15−3、比較例15−1及び比較例15−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表15に示すように変えたこと以外は、実施例15−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表15に示す。
【0113】
【表15】

【0114】
(実施例16−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛95.0重量部と、結着剤としてPVdFを1.000重量部、及びPANを4.000重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0115】
(実施例16−2、実施例16−3、比較例16−1及び比較例16−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表16に示すように変えたこと以外は、実施例16−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表16に示す。
【0116】
【表16】

【0117】
(実施例17−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛93.5重量部と、結着剤としてPVdFを1.300重量部、及びPANを5.200重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0118】
(実施例17−2、実施例17−3、比較例17−1及び比較例17−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表17に示すように変えたこと以外は、実施例17−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表17に示す。
【0119】
【表17】

【0120】
(参考例18−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを1.600重量部、及びPANを6.400重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0121】
(参考例18−2、参考例18−3、比較例18−1及び比較例18−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表18に示すように変えたこと以外は、参考例18−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表18に示す。
【0122】
【表18】

【0123】
(参考例19−1〜参考例19−3、比較例19−1及び比較例19−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例13−1〜参考例13−3、比較例13−1及び比較例13−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表19に示す。
【0124】
【表19】

【0125】
(実施例20−1〜実施例20−3、比較例20−1及び比較例20−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例14−1〜実施例14−3、比較例14−1及び比較例14−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表20に示す。
【0126】
【表20】

【0127】
(実施例21−1〜実施例21−3、比較例21−1及び比較例21−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例15−1〜実施例15−3、比較例15−1及び比較例15−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表21に示す。
【0128】
【表21】

【0129】
(実施例22−1〜実施例22−3、比較例22−1及び比較例22−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例16−1〜実施例16−3、比較例16−1及び比較例16−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表22に示す。
【0130】
【表22】

【0131】
(実施例23−1〜実施例23−3、比較例23−1及び比較例23−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例17−1〜実施例17−3、比較例17−1及び比較例17−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表23に示す。
【0132】
【表23】

【0133】
(参考例24−1〜参考例24−3、比較例24−1及び比較例24−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例18−1〜参考例18−3、比較例18−1及び比較例18−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表24に示す。
【0134】
【表24】

【0135】
(参考例25−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛99.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.200重量部、及びPANを0.800重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用い、更に、ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノクロロトリフルオロエチレン合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例13−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0136】
(参考例25−2、参考例25−3、比較例25−1及び比較例25−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表25に示すように変えたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表25に示す。
【0137】
【表25】

【0138】
(実施例26−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.400重量部、及びPANを1.600重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0139】
(実施例26−2、実施例26−3、比較例26−1及び比較例26−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表26に示すように変えたこと以外は、実施例26−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表26に示す。
【0140】
【表26】

【0141】
(実施例27−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛97.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.500重量部、及びPANを2.000重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0142】
(実施例27−2、実施例27−3、比較例27−1及び比較例27−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表27に示すように変えたこと以外は、実施例27−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表27に示す。
【0143】
【表27】

【0144】
(実施例28−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛96.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.800重量部、及びPANを3.200重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0145】
(実施例28−2、実施例28−3、比較例28−1及び比較例28−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表28に示すように変えたこと以外は、実施例28−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表28に示す。
【0146】
【表28】

【0147】
(実施例29−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛94.5重量部と、結着剤としてPVdFを1.100重量部、及びPANを4.400重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0148】
(実施例29−2、実施例29−3、比較例29−1及び比較例29−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表29に示すように変えたこと以外は、実施例29−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表29に示す。
【0149】
【表29】

【0150】
(参考例30−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを1.600重量部、及びPANを6.400重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例25−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を作製した。
【0151】
(参考例30−2、参考例30−3、比較例30−1及び比較例30−2)
負極の結着剤におけるPVdFとPANの配合割合を表30に示すように変えたこと以外は、参考例30−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表30に示す。
【0152】
【表30】

【0153】
(参考例31−1〜参考例31−3、比較例31−1及び比較例31−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例25−1〜参考例25−3、比較例25−1及び比較例25−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表31に示す。
【0154】
【表31】

【0155】
(実施例32−1〜実施例32−3、比較例32−1及び比較例32−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例26−1〜実施例26−3、比較例26−1及び比較例26−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表32に示す。
【0156】
【表32】

【0157】
(実施例33−1〜実施例33−3、比較例33−1及び比較例33−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例27−1〜実施例27−3、比較例27−1及び比較例27−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表33に示す。
【0158】
【表33】

【0159】
(実施例34−1〜実施例34−3、比較例34−1及び比較例34−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例28−1〜実施例28−3、比較例28−1及び比較例28−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表34に示す。
【0160】
【表34】

【0161】
(実施例35−1〜実施例35−3、比較例35−1及び比較例35−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、実施例29−1〜実施例29−3、比較例29−1及び比較例29−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表35に示す。
【0162】
【表35】

【0163】
(参考例36−1〜参考例36−3、比較例36−1及び比較例36−2)
ゲル状の非水電解質の作製に当たり、EC:PC=4:6(重量比)の割合で混合して得られた非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/kgとなるように溶解させて、電解液を作製し、マトリクス高分子としてヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとポリフッ化ビニリデンの共重合体(ヘキサフルオロプロピレン及びモノメチルマレイン酸エステル合計含有量:7%)を用い、マトリクス高分子:電解液=1:6(重量比)の割合で混合し、溶剤としてDMCを用いて得られたゾル状の非水電解質を用いたこと以外は、参考例30−1〜参考例30−3、比較例30−1及び比較例30−2のそれぞれと同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を作製した。上記各例の仕様を表36に示す。
【0164】
【表36】

【0165】
(参考例37−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛99.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.10重量部、及びスチレンブタジエンゴム(SBR)を0.90重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例1−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0166】
(参考例37−2〜参考例37−5、比較例37−1及び比較例37−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表37に示すように変えたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表37に示す。
【0167】
【表37】

【0168】
(参考例38−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.20重量部、及びSRBを1.80重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0169】
(参考例38−2〜参考例38−5、比較例38−1及び比較例38−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表38に示すように変えたこと以外は、参考例38−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表38に示す。
【0170】
【表38】

【0171】
(参考例39−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛96.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.35重量部、及びSRBを3.15重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0172】
(実施例39−2〜実施例39−5、比較例39−1及び比較例39−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表39に示すように変えたこと以外は、参考例39−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表39に示す。
【0173】
【表39】

【0174】
(参考例40−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛95.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.50重量部、及びSBRを4.50重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0175】
(実施例40−2〜実施例40−5、比較例40−1及び比較例40−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表40に示すように変えたこと以外は、参考例40−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表40に示す。
【0176】
【表40】

【0177】
(参考例41−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛93.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.65重量部、及びSBRを5.85重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0178】
(実施例41−2〜実施例41−5、比較例41−1及び比較例41−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表41に示すように変えたこと以外は、参考例41−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表41に示す。
【0179】
【表41】

【0180】
(参考例42−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として天然黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.80重量部、及びSBRを7.20重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0181】
(参考例42−2〜参考例42−5、比較例42−1及び比較例42−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表42に示すように変えたこと以外は、参考例42−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表42に示す。
【0182】
【表42】

【0183】
(参考例43−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛99.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.10重量部、及びSBRを0.90重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0184】
(参考例43−2〜参考例43−5、比較例43−1及び比較例43−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表43に示すように変えたこと以外は、参考例43−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表43に示す。
【0185】
【表43】

【0186】
(参考例44−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛98.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.20重量部、及びSBRを1.80重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0187】
(参考例44−2〜参考例44−5、比較例44−1及び比較例44−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表44に示すように変えたこと以外は、参考例44−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表44に示す。
【0188】
【表44】

【0189】
(参考例45−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛97.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.25重量部、及びSBRを2.25重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0190】
(実施例45−2〜実施例45−5、比較例45−1及び比較例45−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表45に示すように変えたこと以外は、参考例45−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表45に示す。
【0191】
【表45】

【0192】
(参考例46−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛96.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.40重量部、及びSBRを3.60重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0193】
(実施例46−2〜実施例46−5、比較例46−1及び比較例46−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表46に示すように変えたこと以外は、参考例46−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表46に示す。
【0194】
【表46】

【0195】
(参考例47−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛94.5重量部と、結着剤としてPVdFを0.55重量部、及びSBRを4.95重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0196】
(実施例47−2〜実施例47−5、比較例47−1及び比較例47−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表47に示すように変えたこと以外は、参考例47−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表47に示す。
【0197】
【表47】

【0198】
(参考例48−1)
負極の作製に当たり、負極活物質として人造黒鉛92.0重量部と、結着剤としてPVdFを0.80重量部、及びSBRを7.20重量部とを均質に混合し、NMPを添加して得られた負極合剤スラリーを用いたこと以外は、参考例37−1と同様の操作を繰り返し、本例のゲル状電解質二次電池を得た。
【0199】
(参考例48−2〜参考例48−5、比較例48−1及び比較例48−2)
負極の結着剤におけるPVdFとSBRの配合割合を表48に示すように変えたこと以外は、参考例48−1と同様の操作を繰り返し、各例のゲル状電解質二次電池を得た。上記各例の仕様を表48に示す。
【0200】
【表48】

【0201】
[性能評価]
上記各例のゲル状電解質二次電池のサンプルを以下の測定法で評価した。なお、サンプルは各試験、各水準において5個ずつ測定を行い、その平均をとって評価した。また、各例のゲル状電解質二次電池のサンプルの実測容量は785〜841mAhであったので、定格容量を800mAhとした。定格容量が800mAhの場合、0.2C=160mA、1C=800mA、2C=1.6Aとなる。
【0202】
<容量評価>
組立直後の初回充電は、0.15C(=120mA)、4.2Vの所定の満充電電圧まで定電流定電圧充電を行った。充電終了は12時間又は電流値が0.002C(=1.6mA)まで減衰するかのいずれか早い方とし、その電気量を充電容量とした。初回放電は0.2Cで3Vまで定電流放電を行い、その電気量を電池容量として評価した。得られた結果を表1〜48に併記する。
【0203】
<負荷特性評価>
室温での2Cの放電容量と、0.2Cの放電容量とを測定し、次の式[1]から負荷特性値を算出した。得られた結果を表1〜48に併記する。
負荷特性(%)=(2C放電容量)/(0.2C放電容量)×100(%)・・・[1]
【0204】
<サイクル特性評価>
所定の電圧4.2Vで、1Cの定電流定電圧充電を行うとともに、1Cの定電流条件で放電を行い、放電カットオフ2.5Vで充放電試験を繰り返した。
このサイクル毎に得られた放電容量の経時変化を測定し、次の式[2]からサイクル特性値を算出した。得られた結果を表1〜48に併記する。この値が90%以上である場合を良品とした。
サイクル特性(%)=(200サイクル目の放電容量)/(5サイクル目の放電容量)×100(%)・・・[2]
【0205】
<サイクル後の電池厚み増加量評価>
200サイクル後の電池を所定の標準充電でその電池の設計仕様の電圧(4.20V)まで満充電し、200サイクル後の電池厚み増加量を測定した。得られた結果を表1〜36に併記する。
【0206】
表1〜36より、本発明の範囲に含まれる実施例2−1〜実施例35−3においては、負極とゲル状の非水電解質との親和性が保たれているため、本発明外の比較例1−1〜比較例36−2と比較して、電池容量が高く、負荷特性及びサイクル特性、特にサイクル特性が優れていることが分かる。
電池容量が高く、負荷特性及びサイクル特性に優れるという観点からは、PVdFとPANの合計含有量が2.0〜6.5%であることが好ましく、PVdF:PAN=5〜95:95〜5(重量比)であることが好ましい。
例えば、負極結着剤量が1.0%未満の場合、負極合剤層強度が弱く、サイクル中に合剤層が剥がれ、サイクル劣化を引き起こしてしまうことがある。一方、負極結着剤量が8.0%を超える場合、容量低下や負荷特性の劣化、サイクル劣化を引き起こしてしまうことがある。
また、サイクル後の厚み増加量の低減という観点からは、PVdFとPANの合計含有量が2.0〜6.5%であることが好ましく、PVdF:PAN=5〜50:95〜50(重量比)であることが好ましい。
PANのみの場合には、負極とゲル状の非水電解質との親和性が低下したため、サイクル特性が低下した。また、リチウムの析出により、サイクル後の厚み増加量も増加した。
PVdFのみの場合には、サイクル中に電極の膨潤が起こり、サイクル特性が低下した。また、サイクル後の厚み増加量も大きく増加した。
【0207】
表37〜48より、本発明の範囲に含まれる実施例39−2〜実施例47−5においては、負極とゲル状の非水電解質との親和性が保たれているため、本発明外の比較例37−1〜比較例48−2と比較して、電池容量が高く、負荷特性及びサイクル特性、特にサイクル特性が優れていることが分かる。
電池容量が高く、負荷特性及びサイクル特性に優れるという観点からは、PVdFとSBRの合計含有量が2.5〜6.5%であることが好ましく、PVdF:SBR=90〜30:10〜70(重量比)であることが好ましい。
例えば、負極結着剤量が1.0%未満の場合、負極合剤層強度が弱く、サイクル中に合剤層が剥がれ、サイクル劣化を引き起こしてしまうことがある。一方、負極結着剤量が8.0%を超える場合、電池反応に必要な活性種が結着剤によって、反応面積を低下させるため、容量低下や負荷特性の劣化、サイクル劣化を引き起こしてしまうことがある。
SBRのみの場合には、負極とゲル状の非水電解質との親和性が低下したため、サイクル特性が低下した。また、リチウムの析出により、サイクル後の厚み増加量も大きく増加した。
PVdFのみの場合には、サイクル中に電極の膨潤が起こり、サイクル特性が低下した。
【0208】
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、負極21及び正極22を積層して巻回した電池素子20を備える場合について説明したが、一対の正極と負極とを積層した平板状の電池素子、又は複数の正極と負極とを積層した積層型の電池素子を備える場合についても、本発明を適用することができる。
また、上記の実施形態では、フィルム状の外装部材30を用いる場合について説明したが、外装部材に缶を用いたいわゆる円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの他の形状を有する電池についても同様に本発明を適用することができる。更に、二次電池に限らず一次電池についても適用可能である。
【0209】
更に、本発明は、上述の如く、電極反応物質としてリチウムを用いる電池に関するものであるが、本発明の技術的思想は、ナトリウム(Na)若しくはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)若しくはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】本発明の非水電解質二次電池の一実施形態であって、ラミネート型電池の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示した電池素子のII−II線に沿った模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0211】
11・・・負極端子、12・・・正極端子、20・・・電池素子、21・・・負極、21A・・・負極集電体、21B・・・負極合剤層、22・・・正極、22A・・・正極集電体、22B・・・正極合剤層、23・・・ゲル状非水電解質層、24・・・セパレータ、25・・・保護テープ、30・・・外装部材、31・・・密着フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極活物質と結着剤とを含む負極合剤を含有する負極と、ゲル状の非水電解質と、を備えたゲル状電解質二次電池であって、
上記負極活物質が天然黒鉛を含み、
上記結着剤が、ポリフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとを含み、
上記ポリフッ化ビニリデン及び上記ポリアクリロニトリルの合計含有量が、上記負極合剤の全含有量を基準として2.0〜6.5%であり、
上記ポリフッ化ビニリデンと上記ポリアクリロニトリルとの比が、重量比で5〜50:95〜50であるゲル状電解質二次電池。
【請求項2】
上記ゲル状の非水電解質が、マトリクス高分子を含有し、
上記マトリクス高分子が、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノクロロトリフルオロエチレンとの共重合体、及びポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとモノメチルマレイン酸エステルとの共重合体から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含む、請求項1に記載のゲル状電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−147031(P2010−147031A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23627(P2010−23627)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【分割の表示】特願2007−136090(P2007−136090)の分割
【原出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】