ゲル粒子の形状保持凝集塊の形成の方法とその使用
本発明は、凝集塊が、限定されないが例えば疎水性親水性相互作用及び水素結合のような、非共有結合性の物理的な力により共に保持されている、ゲル粒子の形状保持凝集塊を形成する方法に関する。この方法は、ゲル粒子がある絶対ゼータ電位を有している、極性液体中のゲル粒子の懸濁液を選択された濃度において、ゲル粒子の絶対ゼータ電位が低下している媒体中に導入することにより、請求項記載の形状保持凝集塊内でゲル粒子を癒着させることを含む。本発明は又、ゲル粒子の形状保持凝集塊の形成方法の使用にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は有機化学、物理化学、重合体化学、薬化学、医薬品及び材料科学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
以下の考察は、読者が本発明を理解しやすいように背景として提示するものであり、本発明の従来技術として意図するわけではなく、又そのように解釈されるべきものでもない。
【0003】
ゲルは、液体を吸収した後に、ノンゼロの剪断弾性率を有する、安定した通常は軟質で柔軟な組成物を形成する、三次元の重合体ネットワークである。ゲルにより吸収される液体が水である場合は、ゲルはヒドロゲルと呼ばれる。水はヒドロゲルのかなりの重量パーセントを構成する場合がある。このこと、及び、多くのヒドロゲル形成重合体が生物学的に不活性であるという事実のために、ヒドロゲルは種々のバイオメディカル用途において特に有用となっている。
【0004】
例えば、ヒドロゲルはソフトコンタクトレンズにおいて広範に使用されている。これらは又、治癒過程を支援するためのゲルマトリックスから放出されることができる薬剤を配合した、又は配合しない熱傷及び創傷の包帯剤として使用されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。ヒドロゲルは血液フィルターのような医療装置の表面の濡れ性を向上させるためのコーティングとして使用されている(特許文献3)。それらは又生物学的活性物質の持続放出のための装置としても有用性を有する。例えば特許文献4は親水性リザーバの薬物送達装置の製造方法を開示している。特許文献4はヒドロゲル皮下インプラントの透過性係数に直接影響する、その含水量を変化させることにより薬剤放出速度が制御できることを開示している。
【0005】
上記した用途のすべてにおいて、ゲル又はヒドロゲルは嵩高な形態であり、即ち、識別可能な規則的な内部構造を有さない材料の不定形の塊である。嵩高なヒドロゲルは水が吸収される際に通過しなければならない表面の面積に対して相対的に内部の容量が大きいため、緩徐な膨潤速度を有する。更に又、吸収された水中に溶解又は懸濁している物質はゲルの表面に到達するまでにそれが移動しなければならない距離に応じた速度でゲル外に分散する。即ち、ヒドロゲルの表面近傍の分子は迅速に離脱するのに対し、マトリックス内のより深部にある分子はゲルの外面に到達するまでに遥かに長時間を要する。この状況は特定のゲルを使用することによりある程度までは軽減することができる。各粒子が充分に小さい場合は、粒子内に分散している物質はほぼ同時に表面まで拡散して放出される。
【0006】
粒状のゲルは直接又は逆相の乳化重合のような多くの操作法により形成(非特許文献1)するか、又は、ゲルを乾燥し、そして次に得られる乾燥ゲルを所望のサイズの粒子に粉砕することにより嵩高ゲルから形成することができる。次に粒子を再溶媒和することにより粒状ゲルを形成できる。マイクロ(10−6メートル(m))〜ナノ(10−9m)の直径範囲のサイズを有する粒子はこの手段により製造できる。これらのサイズの範囲にある粒子により封鎖される物質の分子は全て、粒子の外表面に到達するまでの移動はほぼ同じ距離であり、ほぼゼロ次の放出動態を示すことになる。しかしながら、特定のゲルは自身に問題を含んでいる。例えば、選択された標的部位に向かうように粒子の播種を制御してそこに局在化させることは困難である。更に又、嵩高のヒドロゲルは形状保持可能で、種々の医療上の用途においてバイオ材料として有用となっている一方で、現在使用可能な粒状ゲルは形状保持不可能である。
【0007】
同時係属中の米国特許出願10/289,756はヒドロゲル粒子から形成された形状保持凝集塊を開示しており、即ち粒状ゲルの物質放出制御に嵩高ヒドロゲルの形状保持性を組合わせている。’756出願は水中のヒドロゲル粒子の懸濁液を調製すること、及び、粒子が癒着して疎水性/親水性相互作用及び水素結合を包含するがこれらに限定されない非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となるまで懸濁液を濃縮することを含む形状保持凝集塊の形成方法を開示している。
【特許文献1】米国特許3,063,685号
【特許文献2】米国特許4,272,518号
【特許文献3】米国特許5,582,794号
【特許文献4】米国特許5,292,515号
【非特許文献1】Landfesterら,Macromolecules,2000年,第33巻,p.2370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
凝集塊の形状が適用部位の形状により支配されるように、インサイチュで形状保持ゲル凝集塊を形成する方法を保有することは有用である。これは適用部位がインビボである場合、例えば関節再構築、創傷修復、薬物送達及び美容手術のようなバイオメディカル用途の場合に特に有用となる。本発明はそのような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
即ち、1つの態様において、本発明はゲル粒子の形状保持凝集塊を形成するための方法であって、以下の工程:極性液体又は少なくとも1つが極性である混和性液体2つ以上の混合物に分散された複数のゲル粒子を含む懸濁系を準備すること、ここでゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位を有すること;及び、受容媒体中に選択された導入速度でオリフィスを通過させて懸濁系を導入すること、ここでゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位より低値(よりゼロ値に接近した)の第2の絶対ゼータ電位を獲得し、これにより、ゲル粒子は癒着して、疎水性−親水性相互作用及び水素結合を含む非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となることを含む上記方法を提供する。
【0010】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は懸濁系中約1〜約500mg湿潤重量/mLの濃度である。
【0011】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は懸濁系中約25〜約250mg湿潤重量/mLの濃度である。
【0012】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が1サイズ、化学的組成物1つ以上、及び、狭い多分散性のものである。
【0013】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が2つ以上の異なるサイズのものであり、異なるサイズの各々の組成は他の異なるサイズの各々組成と同じかまたは異なっており、全てのサイズは狭い多分散性のものである。
【0014】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が1つ以上の化学組成及び広範な多分散性を含む。
【0015】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子がクラスター形成をもたらすような懸濁系中の濃度である。
【0016】
本発明の1つの態様において、懸濁系中のゲル粒子の濃度は約300mg湿潤重量/mL〜約500湿潤重量/mLである。
【0017】
本発明の1つの態様において、懸濁系を提供することは、下記工程:
極性液体又は極性液体の混合物中に、単量体又は2つ以上の異なる単量体を含む重合系を準備すること、ここで単量体又は2つ以上の単量体の少なくとも1つがヒドロキシ1つ以上及び/又はエーテル基1つ以上を含み、そしてここで極性液体又は極性液体2つ以上の少なくとも1つがヒドロキシ基1つ以上を含むこと;
重合系に界面活性剤0.01〜10モルパーセントを添加すること;及び、
単量体を重合して複数のゲル粒子を形成すること、ここで各粒子は重合体鎖複数を含むこと;
を含む。
【0018】
本発明の1つの態様において、懸濁系を準備することは、予備形成された乾燥ゲル粒子、液体及び界面活性剤を混合することを含む。
【0019】
本発明の1つの態様において、オリフィスは中空針を含む。
【0020】
本発明の1つの態様において、中空針は10ゲージ〜30ゲージの針よりなる群から選択される。
【0021】
本発明の1つの態様において、中空針は15ゲージ〜27ゲージの針よりなる群から選択される。
【0022】
本発明の1つの態様において、選択される導入速度は約0.05ml/分〜約15ml/分である。
【0023】
本発明の1つの態様において、選択される導入速度は約0.25ml/分〜約10ml/分である。
【0024】
本発明の1つの態様において、受容媒体はインビボ媒体である。
【0025】
本発明の1つの態様において、インビボ媒体は身体組織である。
【0026】
本発明の1つの態様において、身体組織は上皮、結合組織、筋肉及び神経よりなる群から選択される。
【0027】
本発明の1つの態様において、結合組織は血液、骨及び軟骨よりなる群から選択される。
【0028】
本発明の1つの態様において、単量体は2−アルケン酸、ヒドロキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、ヒドロキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート及びビシニルエポキシ(1C−4C)アルキル2−アルケノエート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0029】
本発明の1つの態様において、単量体はアクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0030】
本発明の1つの態様において、単量体は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0031】
本発明の1つの態様において、液体は水、(1C−10C)アルコール、(2C−8C)ポリオール、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)アルキルエーテル、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)酸エステル;ヒドロキシ末端ポリエチレンオキシド、ポリアルキレングリコール及びモノ、ジ又はトリカルボン酸のヒドロキシ(2C−4C)アルキルエステルよりなる群から選択される。
【0032】
本発明の1つの態様において、液体は水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、グリセロールモノアセテート、トリ(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、グリセリン、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノブチレート及びソルビトールよりなる群から選択される。
【0033】
本発明の1つの態様において、液体は水である。
【0034】
本発明の1つの態様において、方法は重合体鎖の交差結合をもたらす交差結合剤約0.1〜約15モル%を重合体系に添加することを含む。
【0035】
本発明の1つの態様において、交差結合剤はエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ジヒドロキシブタンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルタータレート、ジアリルマレエート、ジビニルタータレート、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、1,3−ジアリル2−(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジアリルイタコネート、ジ(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、トリアリルアコニテート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートよりなる群から選択される。
【0036】
本発明の1つの態様において、交差結合剤はα−ヒドロキシ酸エステルよりなる群から選択される。
【0037】
本発明の1つの態様において、交差結合重合体鎖は約3,000〜約2,000,000の平均分子量を有する。
【0038】
本発明の1つの態様において、方法は更に、重合の前に重合系の極性液体にワーキング物質1つ以上を添加することを含み、ここで重合の後、ワーキング物質含有液体の一部分がゲル粒子に封鎖されることによりワーキング物質含有ゲル粒子を形成する。
【0039】
本発明の1つの態様において、ワーキング物質含有ゲル粒子はワーキング物質含有液体約0.1〜約90重量パーセントを封鎖する。
【0040】
本発明の1つの態様において、方法は更に懸濁系にワーキング物質1つ以上を添加することを含む。
【0041】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊の形成時に、ワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントが形状保持凝集塊内に捕獲される。
【0042】
本発明の1つの態様において、方法は更に下記工程:
第1のワーキング物質1つ以上を重合系に添加することにより第1のワーキング物質含有液体を形成すること、ここで、重合後には第1のワーキング物質含有液体はゲル粒子により封鎖されること;
第2のワーキング物質1つ以上を懸濁系に添加することにより第2のワーキング物質含有液体を形成すること、ここで、形状保持凝集塊形成後に、第2のワーキング物質含有液体の一部分を形状保持凝集塊内に捕獲すること、ここで、第1のワーキング物質は第2のワーキング物質と同じかまたは異なっていてよく、そして第1のワーキング物質含有液体の液体は第2のワーキング物質含有液体の液体と同じかまたは異なっていてよいこと、
を含む。
【0043】
本発明の1つの態様において、第1のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが複数のヒドロゲル粒子に封鎖され;そして、第2のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが形状保持凝集塊内に捕獲される。
【0044】
本発明の1つの態様において、ワーキング物質は同じかまたは異なる生物医学的薬剤1つ以上を含む。
【0045】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤1つ以上は医薬品1つ以上を含む。
【0046】
本発明の1つの態様において、医薬品は更に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤を含む。
【0047】
本発明の1つの態様において、医薬品はペプチド又はタンパク質を含む。
【0048】
本発明の1つの態様において、医薬品は癌の治療のために有用である。
【0049】
本発明の1つの態様において、医薬品は冠動脈疾患の治療のために有用である。
【0050】
本発明の1つの態様において、医薬品は呼吸器疾患の治療のために有用である。
【0051】
本発明の1つの態様において、医薬品は感染性疾患の治療のために有用である。
【0052】
本発明の1つの態様において、医薬品は眼病の治療のために有用である。
【0053】
本発明の1つの態様において、医薬品は成長因子である。
【0054】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤は組織成長スカホールド(scaffold)物質1つ以上を含む。
【0055】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤は美容用の組織増強物質を含む。
【0056】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子のサイズは直径で約10〜約75000ナノメートルである。
【0057】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子のサイズは直径で約10〜約800ナノメートルである。
【0058】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は分解可能である。
【0059】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊は分解可能である。
【0060】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は分解可能であり、そして形状保持凝集塊が分解可能である。
【0061】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊は弾性を有する。
【0062】
(発明の詳細な説明)
(表の簡単な説明)
表1は粒径及び多分散性に対する試薬濃度の影響を示す。
【0063】
表2は凝集塊形成に対する導入速度、オリフィスサイズ及び粒子濃度の影響を示す。
【0064】
表3は45μ〜150μのサイズの範囲のpHEMA粒子の懸濁物を用いた凝集に対する粒径の影響を示す。
【0065】
表4はHEMAのMAAに対する種々の比を用いて形成したヒドロゲル粒子よりなる凝集塊の浸食速度に対する重合体の型の影響を示す。
【0066】
表5は粒子クラスターの形成に対する粒子濃度の影響を示す。
【0067】
表6は種々のサイズのゲル粒子に関するゼータ電位を示す。
【0068】
表7はpHEMAヒドロゲル粒子のゼータ電位及び給水サイズに対するイオン強度の影響を示す。
【0069】
表8は粒子のサイズに対するpHEMA粒子の水性分散体へのアセトンの添加の影響を示す。
【0070】
表9は粒子のサイズに対するpHEMA粒子の水性分散体へのエタノールの添加の影響を示す。
【0071】
表10はpHEMA粒子の水性分散体におけるゼータ電位及び粒径に対する粒子濃度の影響を示す。
【0072】
表11は懸濁系が水のみ及び水+5%ゼラチンを含む場合の種々の粒径の粒子分散体から作成した凝集塊におけるFITC−BSA及びFITC−デキストランの負荷効率及びそこからのバースト放出を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書においては、「ゲル」という用語は特定の液体中ではそれ自体不溶性であるが液体大量を吸収して保持することにより安定な、そして頻繁には軟質で柔軟ではあるが、常時ある程度の形状保持性の構造を形成することができる三次元の重合体構造を指す。液体が水である場合は、ゲルはヒドロゲルと称する。特段の記載が無い限り、「ゲル」という用語は明細書全体を通じて水以外の液体を吸収している重合体構造、及び、吸収された水を有する重合体構造の両方を指すものとし、重合体構造が単に「ゲル」であるか「ヒドロゲル」であるかは、文脈から当業者には明らかな通りである。
【0074】
「極性液体」という用語は本明細書においては、化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。慨すれば、極性液体は、電子がその分子の原子の間で不均一に分散しているため、電気的な双極が生じているものである。極性である為には、分子は分子内の他の原子よりもより電気陰性度が高い原子少なくとも1つを含有しなければならない。極性液体の例は、限定しないが、酸素原子が部分的に負電荷を担持し、水素原子が部分的に正電荷を担持している水、及び、O−H部分が同様に分極しているアルコールを包含する。
【0075】
本明細書においては、「ゲル粒子」とは異なる形状の、通常、しかし必ずしもではない、球状又は実質的にそのような形状であるゲルの顕微鏡レベル又はそれ以下の量を指す。本明細書においては、「ゲル粒子」とは疎水性/親水性相互作用及び水素結合のような非共有結合性の物理的な力により共に保持されている個々の粒子の小型クラスターを包含し、その場合、クラスターは、それらを含有するゲル粒子懸濁液(懸濁系)の安定性、又は、本発明の方法における懸濁系の性能に悪影響を与えないものである。クラスターは懸濁液中のゲル粒子の濃度の変化により生じる。即ち、より高濃度においては、個々の粒子が非共有結合的な力のために充分相互に接近する可能性が高くなり、これが最終的に、本発明の形状保持凝集塊を共に保持し、それらの癒着を誘発する。
【0076】
本明細書においては、「懸濁液」とは固体が不溶である液体中の固体の均一に分布した安定な分散体を指す。界面活性剤は分散体の安定化を支援するために液体に添加してよい。本明細書においては、「懸濁系」とは、本発明のゲル粒子が分散した固体であるような懸濁液を指す。「安定な」とは、例えば遠心分離や濾過のような攪乱的外力に付されない限り、固体が少なくとも24時間均一に分散し続けることを意味する。
【0077】
本明細書においては、「界面活性剤」とは化学分野の当業者が一般的に理解する意味を有する。即ち、界面活性剤は、電荷においてアニオン性、カチオン性、両性イオン性、両向性又は中性であり、そして、それが溶解している液体の表面張力を低減するか、又は、2液間又は液体と固体の間の界面張力を低減する、可溶性の化合物である。
【0078】
本明細書においては、「形状保持凝集塊」という用語は、例えば、限定しないが、疎水性/親水性相互作用及び水素結合のような粒子間及び粒子−液体の力により、共に保持されている多数のゲル粒子よりなる構造を指し、ここで、その構造は、それを含む凝集塊又は粒子が分解可能であるように意図的に構築されない限り、それがどのような形状に切り出され、成型され、或いは、本発明の好ましい実施形態においてはインビボ注入時に整合するかに関わらず、無限に維持されるものである。
【0079】
本明細書においては、「分解可能である」形状保持凝集塊とは選択された物理的又は化学的な条件、例えば、温度、摩擦、pH、イオン強度、電圧及び/又は電流、酸度、アルカリ度、溶媒作用等への接触時に崩壊して個々のゲル粒子(又は粒子のクラスター)となる凝集塊を指す。
【0080】
本明細書においては、「分解可能な」ゲル粒子とは、崩壊して個別の重合体鎖又は部分的な鎖にまでなり、選択された物理的又は化学的な条件、例えば、温度、摩擦、pH、イオン強度、電圧及び/又は電流、酸度、アルカリ度、溶媒作用等への接触時に自身の球状又は他の個別の形状を失うゲル粒子を指す。
【0081】
本明細書においては、「受容媒体」とは本発明の懸濁系が導入され、そして本発明の形状保持凝集塊が形成する何れかの媒体を指す。本発明の目的のためには、受容媒体は個々のゲル粒子の絶対ゼータ電位が粒子の癒着をもたらし、最終的には本発明の形状保持凝集塊の形成をもたらすような水準まで低下するようなものである。
【0082】
本明細書においては、「エラストマー性の」、「弾性」及び「弾性の」という用語は、何れかの方向にその元の寸法の少なくとも150%まで外力により変形することができ、そして、力が除去されれば、即座にその概ね元の寸法を回復する形状保持凝集塊を指す。
【0083】
本明細書においては、「単量体」という用語は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。即ち、単量体は自身の反復単位の巨大分子、即ち重合体を形成することができる小型の化学物質である。2つ以上の異なる単量体が反応して重合体を形成してよく、その場合、単量体の各々は多数回反復され、重合体は共重合体と称され、それが1つ以上の単量体から形成されているという事実を反映するものとなる。
【0084】
本明細書においては、「サイズ」という用語は、本発明のゲル粒子を説明するために使用する場合は、当然ながらその体積に直接関わるその直径により表される本質的に球状の粒子の体積を指す。複数のゲル粒子に言及する場合は、サイズはその平均の直径により表される複数の粒子の平均の体積に関する。
【0085】
本明細書においては、「多分散性」という用語は懸濁系における粒子のサイズの範囲を指す。「狭小な多分散性」とは個々の粒子をその直径で表した場合のサイズが系の粒子の平均の直径からの偏差が10%以下である懸濁系を指す。懸濁系における粒子の2つ以上の複数体が共に狭小な多分散性と記述される場合は、その意味は、2つの異なるセットの粒子が存在し、そこにおいて、各セットの粒子がそのセットの粒子の平均の直径から10%以下だけ直径において変動しており、そして2つの平均が明確に異なっているということである。このような懸濁系の非限定的な例は、各粒子が20nm±10%の直径を有する粒子の第1のセット及び各粒子が40nm±10%の直径を有する粒子の第2のセットを含むものである。
【0086】
本明細書においては、「広範な多分散性」という用語は粒子のセットの個々の粒子のサイズがセットの粒子の平均のサイズからの偏差が10%以上である懸濁系を指す。
【0087】
本明細書においては、「複数」という用語は単に1つより多い、即ち2つ以上を指す。
【0088】
本明細書においては、本発明のゲル粒子に関するものとしての「化学組成」とは、粒子の重合体鎖を与える重合された単量体の化学組成、2つ以上の単量体を用いて粒子の重合体鎖を製造する場合は異なる単量体の化学組成及び比、及び/又は、粒子鎖を相互連結するために使用される何れかの交差結合剤の化学組成及び量を指す。
【0089】
本明細書においては、「粒子鎖」とは、単一の重合体分子、又は、鎖が存在する系が交差結合剤を含有する場合は、2つ以上の相互に連結された重合体分子を指す。特定のゲル粒子中において、交差結合される重合体鎖の平均数及び何れかの2つの重合体鎖の間の交差結合の数は系内の交差結合体の数及び重合体鎖の濃度により変動する。
【0090】
本明細書においては、「湿潤重量」とはゲル粒子が吸収可能な最大量の液体を吸収した後のその重量を指す。粒子がワーキング物質含有液体の約0.1〜約99重量パーセントを封鎖したと記述される場合、その意味は、ワーキング物質含有液体が、物質含有液体の封鎖後に粒子の重量の約0.1〜約99%を構成するということである。
【0091】
本明細書においては、「ワーキング物質」とはゲル粒子により封鎖されているか、本発明の形状保持凝集塊内に捕獲されている何れかの物質を指す。ワーキング物質の例は、生物医学的薬剤;生物学的活性物質、例えば医薬品、遺伝子、タンパク質、成長因子、モノクローナル抗体、フラグメント化抗体、抗原、ポリペプチド、DNA、RNA及びリボザイム;農薬(除草剤、殺カビ剤、殺虫剤、植物成長ホルモン等);放射線非透過性物質;放射性物質、顔料;染料;金属;半導体;ドーパント;化学的中間体;酸;及び塩基を包含するがこれらに限定されない。
【0092】
本明細書においては、「医薬品」という用語は、薬剤として使用される小型分子及び巨大分子の化合物の両方を指す。前者に属するものは、限定しないが、抗生物質、化学療法剤(特に白金化合物及びタキソール及びその誘導体)、鎮痛剤、抗欝剤、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗炎症化合物、CNS刺激剤、鎮静剤、抗コリン作用剤、抗アテローム性動脈硬化症剤等が挙げられる。巨大分子化合物は、限定しないが、モノクローナル抗体(mAb)、Fab類、タンパク質、ペプチド、細胞、抗原、核酸、酵素、成長因子等を包含する。医薬品は局所用又は全身投与による使用を意図してよい。
【0093】
本明細書においては、「金属」とは、その光沢、可鍛性、伝導性及び陽イオン形成能により識別される元素周期律表中の元素を指す。特に本発明の目的のための金属は、遷移元素と称され、即ち、周期律表の第IB族、第IIB族、第IIIB族(希土類及びアクチニド金属を含む)、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族及び第VIII族を指す。
【0094】
本明細書においては、「貴金属」という用語は金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムを指す。
【0095】
本明細書においては、「合金」とは金属の特性を保有し、そして少なくとも1つが金属で無ければならない2つ以上の元素よりなる物質を指す。合金の例は、限定しないが青銅、真鍮及びステンレス鋼を包含する。
【0096】
本明細書においては、「酸化状態」という用語は金属イオン上の電荷を指し、その電荷は元素の原子による電子の損失の結果である。「ゼロ酸化状態」又は「基底状態」とは、金属がその完全な電子状態にあるものを指す。「酸化状態1」即ちMを金属としたとき通常はM+1と記載されるものは、プロトン上の電荷に等しい単一の正電荷を意味し、そして電子1つの損失の結果生じるものであり、「酸化状態2」即ち「M+2」とは、プロトン2つに等しい正電荷を意味し、そして電子2つの損失の結果生じるものである。
【0097】
本明細書においては、「半導体」とは電気抵抗値が絶縁物質の値と金属(導体)の値の中間、即ち約10−2〜109オーム−cmである結晶性の元素又は化学物質を指す。半導体はある条件下では電気を伝導するが別の条件ではしない。もっともよく知られている半導体元素にはシリコンがある。半導体元素の他の例は、限定しないが、アンチモン、砒素、ホウ素、炭素、ゲルマニウム、セレン、イオウ及びテルルを包含する。半導体化合物の例は、限定しないが、ガリウム砒素、インジウムアンチモン及び大部分の金属の酸化物を包含する。
【0098】
本明細書においては、「ヒドロキシ」とは−OH基を指す。
【0099】
本明細書においては、「エーテル」とは少なくとも1つ−C−O−C−構造の特徴を含有する化学物質を指す。
【0100】
本明細書においては、「アルキル」という用語は直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素、即ち炭素及び水素のみよりなる化合物を指す。含有する炭素原子の数によるアルキルのサイズは式(aC−bC)アルキルで示され、ここでa及びbは整数である。例えば、(1C−4C)アルキルとは炭素原子1、2、3又は4個よりなる直鎖又は分枝鎖のアルキルを指す。アルキル基は置換又は未置換であってよい。
【0101】
本明細書においては、「ヒドロゲル粒子間の空隙」という表現は、本質的に球状のゲル粒子が本発明の形状保持凝集塊を形成する際にその円周において接する開放空間を指す。空隙の体積は球の平均半径の0.414倍として近似できる。
【0102】
本明細書においては、「交差結合剤」とは重合体鎖上の官能基と共有結合を形成することにより三次元構造をもたらすことができる2、3又は4官能性の化学的実体を指す。
【0103】
「水素結合」とは高度に電気陰性の原子に共有結合した水素原子と少なくとも1つの孤立電子対を有する別の電気陰性原子の間の電子求引を指す。水素結合の強度約23kj(キロジュール)モル−1は、共有結合約500kJモル−1とファンデルワールス求引約1.3kJモル−1の間である。水素結合はそれを形成できる組成物の物理的特性に顕著な影響を与える。例えばエタノールは非共有の電子の対(即ち「孤立電子対」)をやはり有している酸素原子に共有結合した水素原子を有し、従って、エタノールは自身と水素結合することができる。エタノールは78℃の沸点を有する。一般的に、同様の分子量の化合物は同様の沸点を有することが期待される。しかしながら、エタノールと全く同じ分子量を有するがその分子の間で水素結合できないジメチルエーテルは、エタノールよりほぼ100℃低値の沸点−24℃を有する。エタノール分子間の水素結合は、それが実質的にはより高値の分子量を有するがごとくエタノールを機能させている。
【0104】
本明細書においては、「荷電した」ゲル粒子とは、粒子の重合体鎖を形成している単量体のイオン含有量、及びこれらの粒子の存在する環境に起因する、局在した正又は負の電荷を有する粒子を指す。例えば、限定しないが、コモノマーとしてアクリル酸を含むヒドロゲル粒子は、塩基性条件下において、酸基の一部又は全てがイオン化される、即ち−COOHが−COO−となる状況において存在することになる。別の例はアミノ(−NH2)基であり、これは酸性環境においては、アンモニウム(−NH3+)イオンを形成することになる。
【0105】
本明細書においては、「ゼータ電位」とは本明細書において使用する場合は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。慨すれば、荷電した粒子を電気分解溶液に懸濁する場合、対イオン(粒子とは逆の電荷のイオン)の層が粒子の表面に形成される。この粒子層は粒子の表面に強力に付着しており、Stern層と称する。第2に、粒子と同じ電荷(そしてStern層を形成する対イオンの電荷と逆、しばしばコイオンと称される)のイオンの拡散層が後に強力に吸収されている内部の層の周囲に形成される。Stern層の付着した対イオン及び拡散層内の荷電した雰囲気は「二重層」と称され、その厚みは溶液中のイオンの種類及び濃度により変動する。二重層が形成されると粒子の電荷が中和される。これにより粒子表面と懸濁液の何れかの地点との間の動電的電位が生じる。ミリボルト(mV)レベルの電圧の差は表面電位と称される。電位はStern層では本質的に直線的、そして次に拡散層では指数的に低下する。
【0106】
荷電粒子は電圧場において固定された速度で移動し、これは電気泳動と称される現象である。その運動性は移動粒子と周囲の液体の間の境界における電気的電位に比例する。Stern層は粒子に堅固に結合しており、拡散層はそうではないため、先行する境界は通常はStern層と拡散層の間の境界として定義され、スリップ面と称される場合が多い。Stern層と拡散層の接合部における電気的電位は粒子の運動性に関連する。スリップ面における電位が中間的な値である場合、例えば電気泳動による測定のしやすさ及び安定性との直接の関係により、懸濁液中の分散粒子の理想的な特徴がもたらされる。この電位がゼータ電位である。ゼータ電位は粒子上の初期電荷に応じて正又は負であることができる。「絶対ゼータ電位」という用語は電荷符号を有さない粒子のゼータ電位を指す。即ち例えば+20mV及び−20mVの実際のゼータ電位は共に絶対データ電位20を有することになる。
【0107】
液体中に懸濁した荷電粒子は2つの逆の力、即ち安定な分散体に寄与する静電的反発力、及び、粒子の癒着、又は粒子が最初に集合する際に言及される「凝集(フロキュレーション)」に寄与するファンデルワールス力の間の均衡に主に依存しながら安定な分散状態を続けるか凝塊形成する傾向を示す。分散した粒子のゼータ電位は静電的反発力の強度に関連し、このため大きい絶対ゼータ電位は安定な懸濁に寄与する。即ち、約30mV以上の絶対ゼータ電位を有する粒子は、このレベルにおいては静電的反発力が粒子を隔離しておくために充分であることから、安定な分散を形成する傾向を有する。一方、ゼータ電位の絶対値が約30未満である場合は、ファンデルワールス力は静電的反発力を克服するのに充分強力であり、粒子は凝集する傾向を示す。
【0108】
特定の溶媒中の特定の組成の粒子のゼータ電位は、例えば液体のpH、液体の温度、液体のイオン強度、液体中の溶液中のイオンの種類、及び液体中の界面活性剤の存在、及び存在する場合はその種類及び濃度を変更することにより操作してよい。
【0109】
本明細書においては、「賦形剤」とは医薬組成物に対してその投与を容易にするために添加される不活性の物質をさす。賦形剤の例は、限定しないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類及び澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールを包含する。「製薬上許容しうる賦形剤」とは生物に対して多大な刺激を誘発せず、そして投与される化合物の生物学的活性及び特性を無効としない賦形剤を指す。
【0110】
本明細書においては、「治療において有用な」という表現は薬剤が直接的又は間接的に、指定された疾患を抑制、好ましくは破壊又は脱活性化するか、又は疾患の症状を少なくとも軽減、好ましくは除去することを意味する。癌に関しては、薬剤は罹患した個体の平均寿命を少なくとも増大させることがわかっている。
【0111】
本明細書においては、「癌」という用語は悪性の新生物を指し、これは更に、潜在的に分裂している細胞よりなる実質的に如何なる組織においても生じえる疾患の大きいグループに関するものである。癌の基本的特徴は侵襲性の成長及び転移を介して宿主に対して重篤で致命的な影響をもたらすような、成長及び機能の制御不良により顕在化する細胞の伝播性の異常である。
【0112】
本明細書においては、「冠動脈疾患」とはアテローム性動脈硬化症により生じる冠動脈の狭窄を指し、これは、充分重度である場合は、心筋(心臓の筋肉)への血流を制限、又は最も重篤な形態においては完全に封鎖する。
【0113】
本明細書においては、「呼吸器疾患」とは肺が適切に機能しないために呼吸に障害が生じる疾患を指す。呼吸器疾患の例は、限定しないが、喘息、結核、嚢胞性線維症及び肺炎を包含する。呼吸器疾患の治療において有用な医薬品の例は、限定されない。
【0114】
本明細書においては、「眼病」とは眼が適切に機能しないため視野に障害が生じる疾患を指す。眼病の例は、限定しないが、緑内障、黄斑変性、糖尿病性網膜症及び白内障を包含する。眼病の治療に有用な医薬品の例は、限定されない。
【0115】
本明細書においては、「感染性疾患」とは、微生物、例えば限定しないが、細菌、ウィルス、プリオン、カビ、アメーバ又は原虫により伝播される何れかの疾患を指す。一般的に感染性疾患は伝染性の性質を有しており、1個体から別の個体に伝播し、そして他の個体において重篤な疾病を生じさせることができる。感染性疾患の治療において有用な医薬品の例は限定されない。
【0116】
本発明の形状保持凝集塊は本明細書の開示を用いて操作してよく、これにより、上記した疾患の何れかの治療及び/又は予防において有用であるとして当業者に現在知られているか今後知られることになる実質的に如何なる医薬品も封鎖及び/又は捕獲することができ、そして、そのような医薬品は全ての本発明の範囲に包含される。
【0117】
本明細書においては、「約」という用語はその±15%の数値の変動の意味を有する。
【0118】
本明細書においては、「エキソビボ」という用語は生命体の外部、例えば限定しないが、ペトリ皿中、土壌中、表面水中、液体の有機媒体中等で実施される何れかの方法又は操作を指す。
【0119】
本明細書においては、「インビボ」という用語は植物又は動物であってよい生命体内部、特に人間において実施される何れかの方法又は操作を指す。
【0120】
本明細書においては、「親水性/疎水性相互作用」という用語は物理的な力を介した化学的実体の分子間又は分子内の会合を指し、これにより親水性の化合物又は化合物の親水性の領域が他の親水性化合物又は化合物の親水性の領域と会合する傾向を示し、そして、疎水性の化合物又は化合物の疎水性の領域が他の疎水性化合物又は化合物の疎水性の領域と会合する傾向を示す。
【0121】
本明細書においては、「オリフィス」とは当該分野の当業者により一般的に理解される意味を有し、即ち、開口部、特に本発明に関しては本発明の懸濁液を通過させることにより別の媒体へのその導入速度を制御する開口部である。
【0122】
本明細書においては、「ゲージ」という用語は医療分野の当業者により一般的に理解される意味を有し;即ち、中空針の外径を指し、この場合、外径は針の管腔の直径に直接関係してくる。ゲージが高値であるほど、即ち例えば「38ゲージ」のように数字が大きいほど、針の外径は小さくなり、従って管腔は小さくなる。
【0123】
本明細書においては、「封鎖する」という用語は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有し、即ち、ある時間、物質を吸収して保持することを指す。本発明に関しては、物質は本発明のゲル粒子により、その形成の間、吸収され、そしてその中に保持、即ち封鎖されてよい。
【0124】
本明細書においては、「捕獲された」という用語は、本発明の形状保持凝集塊を含むゲル粒子の間の空隙内に物質をある時間保持することを指す。
【0125】
本明細書においては、「平均分子量」という用語は本発明の個々の重合体鎖又は交差結合重合体鎖の重量を指す。本発明の目的のためには、レーザー光散乱検出を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより平均分子量を測定する。
【0126】
本明細書においては、「成長因子」とは細胞表面上の成長因子受容体により結合された場合に、細胞のサイズが成長して分裂することを刺激する特定のポリペプチドを指す。成長因子受容体は、特定の成長因子に対する厳密な受容体を発現する細胞のみがその成長因子により刺激されるように、各成長因子に対して特異的である。成長因子の例は、限定しないが、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)及び血小板由来成長因子(PDGF)を包含する。
【0127】
本明細書においては、「組織スカホールド(tissue scaffold)」とは傷害又は疾患を介して損失した組織を再生するために細胞が結合して成育するフレームワークとしてインビボで使用される高度に多孔性の人工の三次元の細胞外マトリックスを指す。
【0128】
本明細書においては、「美容用の組織増強」とは、何れかの身体の特徴の再構築又は増強、例えば限定しないが、乳房再構築又は増強、口唇増強、皺除去、顔面組織再構築等を包含する。
【0129】
(考察)
本発明の形状保持凝集塊は、粒子が絶対ゼータ電位を有するような液体又は混和性液体の混合物中に分散された個々のゲル粒子を含む懸濁系を調製すること、そして次に、懸濁液中の粒子の分散が脱安定化されて粒子が凝塊形成して粒子の凝集塊となるような点まで粒子の絶対ゼータ電位が低下するような受容媒体中に懸濁系を導入することにより形成する。凝集が起こる点までのゼータ電位の低下を達成するためには、受容媒体は懸濁系とは異なるイオン強度又は異なるpHにあってよく、及び/又はそれは懸濁系に添加される界面活性剤の作用を希釈することにより懸濁液の安定化を支援してよい。ゼータ電位の変化が本発明のゲル粒子の初期癒着をもたらすが、形状保持凝集塊においてそれらが共に保持されるように誘導することはそれらの独特の物理的及び化学的特徴である。即ち、本発明の粒子は、一端癒着すれば、強力な粒子間及び粒子−液体の相互作用、例えば限定しないが、疎水性−親水性相互作用及び水素結合により共に保持され、そして後者は本発明のゲル粒子を構成する重合体鎖を生じさせるために使用される単量体の少なくとも1つがヒドロキシ基1つ以上及び/又はエーテル基1つ以上を含まなければならず、そして、懸濁系において使用される液体少なくとも1つがヒドロキシ基少なくとも1つを含まなければならないという側面によるものである。
【0130】
個々のゲル粒子を構成する重合体の化学組成は、得られる凝集塊が安定であり、広範な環境又は生理学的条件の下に容易に分解しないように、操作することができる。一方、粒子の化学組成又は凝集塊の化学的環境は粒子又は凝集塊又は両方が予測可能で制御可能な態様において選択された条件下に分解するものであることができる。例えば限定しないが、適切なゲル粒子組成を選択することにより、特定の温度、pH、イオン強度、電流等において分解する凝集塊を構築できる。又は、添加剤を凝集塊マトリックス形成時にその内部に捕獲させることができ、これにより、得られた凝集塊は、種々の環境及び/又は生理学的条件への曝露時の構造、組成及び/又は反応性の添加剤による変化に応じて、分解することになる。
【0131】
ゲル粒子は、重合時に水素結合可能な重合体を与えるような単量体から一般的には選択される単量体1つ以上よりなる重合系において製造する。この能力を有する単量体の一般的なクラスは、限定しないが、ヒドロキシアルキル2−アルケノエート、例えばヒドロキシ(2C−4C)アルキルメタクリレート及びヒドロキシ(2C−4C)アルキルアクリレート;ヒドロキシ((2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル)アルカノエート、例えば2−ヒドロキシエトキシエチルアクリレート及びメタクリレート;(1C−4C)アルコキシ(1C−4C)アルキルメタクリレート、例えばエトキシエチルメタクリレート;2−アルカン酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸;(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル)アルカノエート、例えばエトキシエトキシエチルアクリレート及びメタクリレート;N−ビニルピロリドン、例えばN−モノ及びジ−(1C−4C)アルキルビニルピロリドン;2−アルケンアミド、例えばN−(1C−4C)アルキル−2−アルケンアミド及びN,N−ジ−(1C−4C)アルキル−2−アルケンアミド、例えばN−(1C−4C)アルキルアクリルアミド、N−(1C−4C)アルキルメタクリルアミド、N,N−ジ−(1C−4C)アルキルアクリルアミド及びN,N−ジ−(1C−4C)アルキルメタクリルアミド;ジアルキルアミノアルキル2−アルケノエート、例えばジエチルアミノエチルアクリレート及びメタクリレート;ビニルピリジン;ビシナル−エポキシアルキル2−アルケノエート、例えばビシナルエポキシ(1C−4C)アルキル)メタクリレート及びビシナルエポキシ(1C−4C)アルキル)アクリレート、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0132】
現時点で好ましい単量体は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びこれらの混合物を包含する。現時点で特に好ましい単量体は2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)である。
【0133】
水素結合できないコモノマーを重合系に添加することにより得られるゲル粒子の物理的及び化学的特性を改変してよい。上記単量体と共に使用してよいコモノマーの例は、限定しないが、アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメタクリルアミド、メチルビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリル酸及びメタクリル酸である。
【0134】
更に又、非重合性添加剤、例えば限定しないがアルキルアルカノエート、例えばメチルブチレート、ブチルアセテート等を重合反応に添加することにより、得られるゲル粒子の物理的及び化学的特性を更に改変してよい。
【0135】
交差結合剤もまた重合系に添加することにより得られるゲル粒子の三次元構造を強化してよい。交差結合剤は非分解性であることができ、例えば限定しないが、エチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、ジアリルモノエチレングリコールシトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、無水マレイン酸とトリエチレングリコールのポリエステル、ジアリルアコニトレート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートが挙げられる。他の非分解性の交差結合剤は本明細書の開示に基づけば当業者には明らかになるものである。
【0136】
一方、交差結合剤は選択された条件下に分解するように選択することにより、分解可能なゲル粒子を製造する手段を提供してよく;即ち、交差結合剤が分解するに従って、ゲルマトリックスを構成している重合体鎖の安定性が相応に低減して粒子が単に離れる点にまでいたる。分解可能な交差結合剤の例は限定しないが、ジアリルタータレート、アリルピルベート、アリルマレエート、ジビニルタータレート、ジアリルイタコネート及びイタコン酸のエチレングリコールジエステルを包含する。
【0137】
現時点で好ましい分解可能な交差結合剤は同時係争中の米国特許出願09/338,404に記載されており、これは本明細書に全体が記載されているがごとく図面も含めて参照により本明細書に組み込まれる。これらの交差結合剤はカルボキシル基少なくとも2つ及び交差結合官能基少なくとも2つを有する分子よりなる単量体又はオリゴマーである。交差結合官能基少なくとも1つとカルボキシル基少なくとも1つの間は1−6反復の生体分解性のポリ(ヒドロキシアルキル酸エステル)配列となる。
【0138】
本発明の別の実施形態においては、本発明のゲル粒子を始めから、即ち適切な条件下に単量体を重合することにより製造するのではなく、むしろ、形状保持凝集塊は塊状の重合体から製造してよい。塊状の重合体は市販の重合体であってよく、或いは、それらは従来の重合手法、例えば限定しないが溶液、懸濁又は水性重合により製造してよい。後者の場合は、次に重合体を処理して残留する単量体及び何れかのその他の望ましくない物質を除去した後に乾燥する。製造された、又は市販の乾燥した脆弱な塊状の重合体を次に粉砕、微粉末化等により破砕し、破砕片を当該分野で知られた手法を用いて分篩し、異なるサイズの別個の粒子とする。所望のサイズの範囲の粒子を選択された液体又は液体の組み合わせの中において、それらが可能な限り大量の液体を吸収するまで、すなわちそれらがその湿潤重量に到達するまで、界面活性剤を添加するかすることなく攪拌する。この後、粒子は本発明の形状保持凝集塊を形成するための受容媒体への導入に付すことができる。
【0139】
本発明の重合系及び懸濁系の両方において使用するための現時点で好ましい液体は水であり、その場合、粒子はヒドロゲル粒子となる。
【0140】
特定の有機性の液体もまた本発明の方法において使用してよい。一般的に、それらは約60℃超、好ましくは約200℃超の沸点を有する。これらの液体の使用は、絡合した堅固な凝集塊の形成をもたらす。本発明の凝集塊を形成する場合に特に有用な有機性の液体は、水混和性のオキシアルキレン重合体、例えばポリアルキレングリコール、特に分篩内の複数のオキシエチレン(−OCH2CH2−)単位及び約200℃超の沸点を特徴とするものである。
【0141】
本発明の方法において使用してよい現時点で好ましい有機性の液体は生物学的に不活性で非毒性の極性の水混和性の有機性の液体、例えば限定しないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−2,5.2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ヘプタンジオール−2,4、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びより高級なポリエチレングリコール及び約2000まで、好ましくは約1600までの分子量を有する他の水溶性のオキシアルキレン単独重合体及び共重合体である。例えば限定しないが、平均分子量200〜1000を有するエチレンオキシドのヒドロキシ末端重合体、約1500まで、好ましくは約1000までの分子量を有する水溶性オキシエチレンオキシプロピレンポリオール(特にグリコール)重合体、プロピレングリコールモノエチルエーテル、モノアセチン、グリセリン、トリ(ヒドロキシエチル)シトレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、ヒドロキシプロピルアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、液体ソルビトールエチレンオキシド付加物、液体グリセリンエチレンオキシド付加物、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールジアセテートを使用してよい。
【0142】
本発明の別の実施形態においては、10−9メートル〜10−6メートルの名目サイズを有するヒドロゲル粒子を酸化還元、フリーラジカル又は光開始による重合により、界面活性剤を含有する水において製造する。この態様に置いては、比較的狭小な多分散性の粒子を製造できる。特定の用途のため、例えば限定しないが生物学的活性物質の長期間にわたる放出が望まれる場合は、広範な多分散性の粒子を形成してよい。
【0143】
一方、薬剤の逐次的放出又は異なる時点におけるバースト放出が連続放出よりもむしろ目的である場合は、異なるサイズであるが各サイズ内において狭小な多分散性のグループ2つ以上を使用してよい。例えば限定しないが、異なるサイズであるが狭小な多分散性のゲル粒子は、特定の生物学的活性物質を含有する別個の重合系において本発明に記載した手法を用いて形成してよい。次に物質含有粒子を単一の懸濁系内で組合わせてよい。粒子のサイズの相違により、生物学的活性物質は異なる種々の時点においてバースト放出されることになる。同じ手法を用いるが第1の生物学的活性物質を重合系の1つに添加し、そして別の生物学的活性物質を第2の重合系に添加すれば、異なる種々の時点においてその特定の活性物質を放出する、即ち逐次的放出の粒子を含有する懸濁系が形成される。
【0144】
懸濁系を受容媒体に導入する前に、懸濁系を処理して未反応の単量体、界面活性剤及び非封鎖の生物学的活性物質を懸濁系の液体から除去及び/又は未反応の単量体及び界面活性剤を粒子に吸収された水から除去することが望ましい場合がある。限定しないが透析、抽出又は旋回流濾過のような手法を用いて粒子及び懸濁系を浄化してよい。次に所望により凝集塊形成の前に懸濁系を濃縮してよい。受容系への導入に付してよい懸濁系における粒子の濃度は約1〜約500mg/ml、より好ましくは約25〜150mg/mlの範囲であることが現時点では好ましい。懸濁系から界面活性剤を除去するよりはむしろ、それを重合及び初期懸濁系の形成の際に使用したものよりも更に製薬上許容しうるものと交換することが望ましい場合もある。
【0145】
次に、生物学的活性物質を含有する精製された粒子の懸濁液は、粒子の絶対ゼータ電位が低下する結果として粒子が癒着して本発明の形状保持凝集塊を形成して懸濁系が導入される媒体が存在する位置の形状に凝集塊の形状が適合するような媒体中に導入する。
【0146】
一般的に、インビボ用途、例えば薬物送達の場合には、懸濁系が導入される位置は体液、例えば限定しないが、血漿、細胞外、血管外、象牙質、間質、眼内、細胞間及び滑膜の液体、血液、血清等を含んでいる身体組織となる。特定の適用の部位に由来する体液の代表的試料中のその適用のために意図される粒子のゼータ電位を測定することにより粒子が凝塊形成して形状保持凝集塊となることを確実なものとすることは可能であるが、そのようなことは一般的に必要ではない。即ち、本発明の懸濁系は一般的には選択された保存条件下では安定であるが、イオン、pH等のような生理学的条件に付されればゼータ電位の低下及びその後の癒着及び凝集を起こすように製造される。
【0147】
多くの要因が本発明の凝集塊の化学的及び物理的な特徴に影響する。その1つは個々のヒドロゲル粒子を形成するために使用される重合体の分子量である。低分子量の重合体よりなるヒドロゲル粒子は一般的に安定で強力な凝集塊を形成しないことがわかっている。即ち、より高分子量の重合体が現時点では好ましい。交差結合剤の使用は低分子量重合体に関わる問題点の一部を軽減できるが、大量すぎる交差結合剤は有害である。ヒドロゲル粒子が大量の交差結合剤を含有する場合、及び/又は、交差結合剤が高度に疎水性である場合は、得られる重合体ネットワークは液体の最適な吸収を可能とせず、これにより好適度の低下した凝集塊しか得られなくなる。本発明のゲル粒子を含む重合体は約3,000〜約2,000,000Daの範囲の分子量を有することが現時点では好ましい。これは、適切な市販の重合体を選択することにより、所望の分子量範囲の重合体を与える重合系を使用することにより、又は、短い重合体鎖を連結するために重合系に交差結合を含有させることにより所望の分子量範囲に到達することにより、達成してよい。
【0148】
粒径も又凝集塊の特性に影響する。より小さいゲル粒子は一般的により容易に液体を吸収し、より弾力性のあるマトリックスを与えることが測定されている。やはり平均粒径により特徴付けられる通り、約10〜約75,000nm、より好ましくは約10〜約800nmの範囲のサイズを有するゲル粒子が現時点では好ましい。
【0149】
交差結合剤を使用する場合は、その化学組成及び使用量、即ち生じる交差結合の密度は前記した粒子の特性に影響し、又これにより形成される凝集塊の特性に影響することになる。本発明のゲル粒子の製造において使用される交差結合剤の量は好ましくは単量体の約0.001〜約10、好ましくは約0.1〜約2モルパーセントの範囲である。
【0150】
分子量および使用する懸濁液の化学組成もまた、一部の液体は粒子により封鎖され、一部は凝集塊に捕獲されることから、得られる凝集塊に影響してくる。例えば、前記した通り、水は現時点では重合系及び懸濁系の両方にとって好ましい液体である。5%グリセリン又は20%ポリエチレングリコールを水に添加した場合、封鎖又は捕獲されたFITC−BSA及びFITC−Dexの放出速度は後述する実施例に記載するとおり実質的に改変される。
【0151】
懸濁系におけるゲル粒子の濃度は得られる凝集塊の特性に影響するが、その主な理由は高濃度ではゲル粒子は癒着して粒子クラスターとなり、次にこれが凝集して形状保持凝集塊になるという事実である。上記した通り、懸濁液媒体中のゲル粒子の現時点で好ましい濃度は約1〜約500mg/ml、より好ましくは25〜150mg/mlである。
【0152】
使用する界面活性剤の化学組成及び量は本発明の凝集塊の物理的及び化学的な特性に影響する。例えば図8は界面活性剤の選択が凝集速度に影響し、そしてこれが次にワーキング物質の凝集塊への取り込み及びその後の取り込まれた物質のバースト放出の規模に影響することを示している。
【0153】
オリフィスのサイズ及びそれを経由する懸濁系の受容系への導入の速度もまた得られる凝集塊の物理的特性に影響する。一般的に、緩徐な導入速度及び大型の孔径を用いることは、フロキュレーションを殆ど伴うことのない緊密で柔軟な凝集塊の迅速な形成をもたらす。受容媒体への懸濁系の導入のための現時点で好ましい手段は、孔径として10〜30ゲージ、好ましくは15〜27ゲージの中空針を使用すること、及び約0.05〜約15ml/分、現時点で好ましくは約0.25〜約10ml/分の速度で受容媒体中に懸濁系を導入することである。
【0154】
上記した種々のパラメーターは当然ながら相互に依存している。例えば、限定しないが凝集塊の物理的特性は所定の導入速度及び孔径における懸濁液中のヒドロゲル粒子の濃度に直接比例する。より高濃度のヒドロゲル粒子は、凝集塊媒体中への導入時により緻密で迅速な凝集塊を形成するのに対し、懸濁液中のヒドロゲル粒子がより低濃度であればフロキュレーションを伴いながらより拡散した凝集塊を形成する。しかしながら、濃度が高すぎると粒子がもはや均一に懸濁しなくなるため生産性に逆行する場合がある。更に又懸濁系中のヒドロゲル粒子の濃度及びサイズ、導入速度及び孔径を一定に維持すれば、使用する界面活性剤の種類及び量が凝集時間及び得られる凝集塊の品質に影響してくる。
【0155】
本発明の現時点で好ましい実施形態においては、ヒドロゲル粒子は界面活性剤を含有する水中の非イオン性単量体を重合することにより形成する。ヒドロゲル粒子の懸濁液を処理して単量体及び他の不純物を除去する。次に、粒子の絶対ゼータ電位を低下させて粒子が自己組み立てを起こしてコンパクトな弾性を有する形状保持凝集塊となるように、懸濁液をより高いイオン強度の受容媒体、例えばPBS、血清又は他の体液に注入することにより凝集塊を形成する。媒体がインビボである場合、即ちそれが身体組織である場合は、形状保持凝集塊はそれが注入される身体の領域の形状を推定してそれを維持する。受容媒体がエキソビボである場合は、それは、限定しないが、更に加圧形状化、押し出し又は成型に付されて所望の形状となり、これをそれは凝集塊が水和状態に維持される限り保持することになる。
【0156】
本発明の別の実施形態においては、種々の程度のイオン特性を有する単量体をノニオン系単量体と共重合させることにより上記した通り後に癒着して凝集塊となるヒドロゲル粒子を形成する。これらの凝集塊は適切な環境条件下に分解し、特定の用途、例えば分解して腎を経由して浄化されるインビボの薬剤放出系のための望ましい特徴を示す。即ち個々のヒドロゲル粒子のイオン特性は、その直ぐ周囲の環境のpH、温度、イオン強度、電流等に応じてそれらを分解し易くするのである。個々の粒子の分解は崩壊、又は少なくとも凝集塊の構造的一体性の損失をもたらす。
【0157】
個々のゲル粒子の分解及びそれによる凝集塊の分解もまた、ゲル粒子の形成において分解可能な交差結合剤を使用することにより達成してよい。得られる凝集塊は交差結合剤の分解を誘発する環境条件下において分散することになる。交差結合剤は例えば、限定しないが、pH、温度、イオン強度、電流、電磁波、放射能のような選択された条件下において、そして体液中において分解するように製造できる。
【0158】
本発明の凝集塊は、例えば限定しないが、生物学的活性物質の所定位置への送達を包含する多くの用途を有する。用途は農業、例えば限定しないが殺カビ剤、殺虫剤又は除草剤の商業用作物、例えばトウモロコシ、メンカ、ダイズ、コムギ等への送達であってよい。或いは、標的は作物を成長させる成長媒体、例えば土壌であってよく、栄養物質等の送達を包含してよい。標的は土壌中の環境汚染物質であってよく、その汚染物質は本発明の凝集塊を用いて制御可能に分解してよい。標的は獣医分野であってよく、例えば爬虫類、哺乳類及び鳥類のような動物への医薬の送達を包含してよい。特に標的は患者への医薬品の制御された指向性の送達を行う場合のヒトであってよい。
【0159】
本発明の1つの実施形態において、生物学的活性剤は水和したヒドロゲル粒子の水性懸濁液中に溶解又は懸濁し、次にこれをより高いイオン強度の受容媒体に導入することによりゼータ電位を低下させ、凝集塊を生じさせる。注射前の瞬時注射用液体の均質性を確保するためには水溶性の物質が現時点で好ましいが、常時それが必要となるわけではない。界面活性剤のようなアジュバントを添加することにより、限定された溶解度の生物学的活性物質の懸濁液を比較的均質にすることができる。懸濁液が受容媒体に導入され、凝集塊が形成されるのに従い、生物学的活性物質は凝集塊の粒子の間の空隙を充填している液体中に捕獲される。a)エキソビボで形成する場合は、形成される弾力性を有する形状保持凝集塊を洗浄することによりその表面に緩やかに接着していた生物学的活性物質を除去することができる。次に凝集塊は所望により意図する用途のために更に形状付与することができる。例えば、限定しないが意図する用途が感染症の治療である場合は、凝集塊を創傷に直接フィットするように形状化し、その内部に含まれる抗生物質を放出させるようにできる。同様に、用途が癌患者の標的臓器への化学療法剤、例えば限定しないがパクリタキセル又はシスプラチンの送達である場合は、凝集塊が罹患部位における移植を容易にするために形状化できる。
【0160】
凝集塊をインビボで製造する場合は、特定の量の生物学的活性物質を、生物学的活性物質の種類及びサイズ及び凝集塊形成の速度に応じて、捕獲させる。凝集塊形成の速度は懸濁系の粒径及び濃度、懸濁系中及び受容媒体内への導入後の粒子の絶対ゼータ電位、使用される界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせの種類及び量、受容媒体、受容系の温度、受容媒体への懸濁系の導入速度、及び、受容媒体に懸濁系を導入する際に通過する装置の孔径の関数である。
【0161】
インビボ用途がヒト又は動物の患者に対する医薬品の送達である場合は、受容媒体、即ち体液を含む身体組織への懸濁系の導入の現時点で好ましい方法は皮下注射針を用いた注射である。針の孔径は変動してよく注射速度に関連する。現時点で好ましい皮下注射針のサイズは10〜30ゲージ、より好ましくは15〜27ゲージであり、そして、注射速度は約0.05〜約15ミリリットル(mL)/分(min)、より好ましくは約0.25〜約10ml/分である。
【0162】
上記操作法は注射部位における形状保持凝集塊の形成をもたらし、形状保持凝集塊はそれが形成される際に医薬品を捕獲し、そしてその後はそれを凝集塊および活性化合物の特性に応じて経時的に放出する。
【0163】
本発明の別の実施形態においては、重合の前に重合系に生物学的活性剤を溶解又は懸濁する。重合反応が進行し、ヒドロゲル粒子が形成されるのに従って、生物学的活性物質を含有する液体は形成される粒子により封鎖される。次に封鎖されなかった生物学的活性剤を粒子処理時に除去し、過剰な単量体及び界面活性剤を除去する。次に生物学的活性物質含有粒子の懸濁液をエキソビボ又はインビボのいずれかで導入し、後者の場合は導入は好ましくは注射により行い、受容媒体内に入った時点で粒子は癒着して形状保持凝集塊となる。
【0164】
上記手法の組み合わせは本発明の実施形態である。即ち、受容媒体内への導入前に過剰な単量体及び界面活性剤とともに生物学的活性物質を除去するのではなく、生物学的活性剤を懸濁液の液体内に残存させるか、又は単量体及び界面活性剤が除去された後に懸濁系内に再導入することにより、受容媒体内への導入時に、追加的な活性剤が形状保持凝集塊を形成する粒子の間の空隙内に捕獲されるようにすることができる。
【0165】
過剰な単量体及び界面活性剤とともに懸濁系から非封鎖生物学的活性剤を除去し、そして次にまったく異なる生物学的活性物質を懸濁媒体に添加した後に凝集塊形成を行うことにより凝集塊形成の間に後者を捕獲することも本発明の実施形態である。凝集塊内の空隙に捕獲された物質は通常は粒子により封鎖された物質とは極めて異なる速度で放出されることになる。この態様においては、広範な送達速度が達成できる。送達プロファイルの多様性はまた凝集塊の個々のヒドロゲル粒子の化学組成を変化させることによっても達成できる。
【0166】
分解誘導性の化学修飾が個々のゲル粒子に組み込まれず、そして環境的に活性化されるアジュバントが凝集塊内に捕獲されない場合は、形成された凝集塊は本質的には正常な環境条件に対しては非透過性となる。この種の凝集塊は一般的にモノリシックなマトリックス装置と同様の放出速度、即ち、薬剤の初期バーストとその後の経時的な指数的低下を示す。しかしながら、ゲル粒子が送達部位において遭遇する環境条件下に分解するように設計されている場合、及び、生物学的活性剤が粒子の崩壊時のみに凝集塊から放出される場合は、送達速度の非常に精密な制御が可能になる。ゲル粒子の崩壊時のみの活性剤の放出は、捕獲された活性剤にとって凝集塊未損傷時に通過するには小さすぎる細孔を有する凝集塊をもたらすことになるサイズの粒子を使用することにより達成できる。同様に、個々の粒子は、それらにより捕獲されている活性物質が粒子崩壊なくしては脱出できないように形成することができる。
【0167】
上記の外、他の水溶性物質を本発明のヒドロゲル粒子の懸濁液に添加することにより受容媒体中への導入時に形成される形状保持凝集塊の凝集及び崩壊の速度を改変してよく、そしてこれにより、活性剤の量及びその後の放出速度を更に制御できる。カチオン及び/又はアニオンの電荷を含む粒子をノニオン系のヒドロゲル粒子と混合することにより環境のイオン特性又は外的電荷の存在を含む種々の条件下における凝集塊の崩壊を制御することができる。荷電した物質種が内在することはまた、静電的電荷相互作用により凝集効率を上昇させる場合がある。
【0168】
上記した操作法の1個以上を用いながら、ゼロ次又は少なくとも擬似ゼロ次の放出速度が広範な生物学的活性剤に対して達成可能となるはずである。
【0169】
ゲル粒子により封鎖されるか、又は本発明の形状保持凝集塊内に捕獲されることができる薬剤の種類及び量は種々の要因に応じて変化する。まず第1に、薬剤はそのサイズ、表面電荷、極性、立体的相互作用等のために、何れも本発明の目的の妨害となる、個別のゲル粒子の形成又は受容媒体内への導入後の形状保持凝集塊内へのゲル粒子の癒着の妨害は不可能である。上記が問題とならないことが判明すれば、ヒドロゲル粒子のサイズが配合される物質の品質に最も直接影響する。粒子自体のサイズは封鎖できる薬剤の最大量を支配し、懸濁液溶液中の粒子の多分散性は凝集塊の細孔のサイズに影響する。比較的小型の薬剤、例えば個々の抗生物質分子は小型ゲル粒子から形成された凝集塊内で捕獲してよいのに対し、比較的大型の薬剤、例えばモノクローナル抗体、タンパク質、ペプチド及び他の巨大分子はより大きい粒子から形成した凝集塊を必要とすることになる。
【0170】
本明細書に記載した方法を用いながら、送達の動態の厳密な制御が達成できる。即ち、異なるサイズ及び化学組成のゲル粒子を特定の薬剤とともに負荷させることができ、そして種々の粒子の分解特性に応じて、実質的に如何なる所望の時間枠に渡っても薬剤を放出することができる。更に又、物質の一部はゲル粒子に封鎖し、別の一部は形状保持凝集塊の粒子の間の空隙内に捕獲させることにより、より高度な送達の柔軟性を得ることができる。
【0171】
上記方法を用いることにより、種々の薬剤を、それが通常では適合しない薬剤であっても、本発明のゲル粒子内に負荷させ、逐次的又は同時に放出させることができる。逐次的放出は適合しない薬剤が相互に遭遇することを防止する。同時放出は組み合わせられれば強力な薬剤を形成する2種以上の非生物学的活性又は弱生物学的活性の薬剤の送達を可能にする。このような態様とすることにより、前駆体を含有する凝集塊が意図する薬剤活性部位において形成されるまで活性物質種の形成を延期することができ、これにより副作用を最小限にできる。
【0172】
本発明の別の特徴において、2種以上の異なるサイズ及び各種に関して狭小な多分散性であるゲル粒子を400mg湿潤重量/mlの近傍の懸濁系濃度において使用することにより本発明の形状保持凝集塊を形成する。物質の捕獲効率及びそれの後の放出速度は単一のサイズの狭小な多分散性の粒子を用いて形成した凝集塊のものとは実質的に異なる。如何なる特定の理論にも制約されないが、ゲル粒子分散体が約300〜約500mg湿潤重量/ml、好ましくは約400〜約500mg湿潤重量/mLまで濃縮された時点で、粒子は分散に好都合な力を克服して癒着に好都合な力となるために十分相互接近する傾向を有する。粒子のクラスターは相対的にはなお安定な分散液である二次構造として形成される。第1のサイズの粒子のクラスターの二次構造を含む第1の懸濁系を異なるサイズの粒子から形成された別の二次構造の懸濁系と混合し、混合物を受容媒体に導入した場合、巧妙で複雑な形状保持凝集塊が形成される。このようにして形成された形状保持凝集塊は単一のサイズのゲル粒子から製造された凝集塊よりも効率的に物質を捕らえることができると考えられる。如何なる特定の理論にも制約されないが、これは、捕獲されるべき物質の存在下の凝集の間に、凝集塊を構成する粒子の間の空隙がより効率的に混合多分散性粒子により充填され、早期の溢出を防止しているという可能性に起因すると考えられる。後述する実施例は、所定のサイズの特定の薬剤に関して、凝集塊を構成する粒子のサイズ及びサイズの比が薬剤を捕らえる際の凝集塊形成の効率及びそれの後の放出速度に大きく影響することを示している。この方策を用いながら、特定の物質の放出速度を、適切な粒径及びサイズ比を用いて、擬似ゼロ次の動態に接近させるために調整することができる。
【0173】
即ち、本発明は、特に生物学的活性薬剤送達に関して、そしてとりわけ医薬品送達に関して、非常に汎用的な物質送達プラットホームを与える。医薬品又は薬剤の組み合わせは2種以上の薬剤が所望の標的部位へのそれらを含有する凝集塊の定置の後にのみ相乗的に相互作用するように、延長された期間に渡り連続して、特定の時間間隔でバーストにより、所定の遅れ時間の後に同時に、又は1剤が標的部位において作用した後に次の薬剤が放出されるように、又は、2種以上の薬剤が相乗的に相互作用するように逐次的に、送達してよい。
【0174】
本発明の別の実施形態は組織スカホールドのような整形外科的用途における本発明の形状保持凝集塊の適用である。本発明の形状保持凝集塊の大型細孔構造は典型的な細孔嵩高ヒドロゲルにおいては観察されなかった特徴であるかなりの内生を可能にするはずである組成物を提供する。更に又、本発明の凝集塊は従来の嵩高ヒドロゲルのものよりも有意に向上した、そして場合によっては間接の軟骨の特性に近似した、弾性、剪断力及び体積弾性率のような物理的特性を示す。本発明の凝集塊を成型して積層する能力は組織スカホールド内の特定の位置における成長因子の放出を最適化するために使用される。本発明の方法の考えられる整形外科的用途は、限定しないが、軟骨及び骨の修復、半月板の修復/置き換え、人工脊髄板、人工腱及び靭帯及び骨欠陥部充填剤を包含する。
【0175】
本発明の凝集塊の形状保持特性及び水中に形成されそれを保持するその能力は多くの他のインビボ用途を示唆している。例えば、医薬添加又は無添加の凝集塊はソフトコンタクトレンズに鋳造される。重篤な眼病を治療するための軟質の柔軟な生体適合性の薬物送達装置は、眼病用薬剤が封鎖されたヒドロゲル粒子の懸濁系を眼の後方に注射することにより形成される。抗生物質又は他の薬剤を配合するか配合しない創傷包帯剤又は皮膚ドナー部位包帯剤は、本発明の形状保持凝集塊及び方法を用いながら、エキソビボで作成するか又は創傷に注射することにより直接インビボで製造される。形状保持凝集塊は、骨成長因子が粒子により封鎖されるか、又は形成されている凝集塊により捕獲されているヒドロゲル粒子の懸濁系の注射により歯周ポケット内に形成される。凝集塊は又抗生物質の持続放出により感染症を制御するための封鎖又は捕獲された抗生物質をその内部に有し、骨再生は骨成長因子の制御放出を介して刺激される。追加的利点として、軟質の生体適合性の形状保持凝集塊は、その固有の軟質性と快適性のために、患部を快適にする。凝集塊は包埋した医薬品添加又は無添加のカテーテル又はステントに形成される。
【0176】
本発明の方法により製造される形状保持凝集塊の別の用途は、時間により材料の形状を変化させる必要のある用途において、一部が所定の時間間隔に渡って分解する粒子の混合物を使用することを包含する。更に又、ゲル粒子と他の種の粒子、例えば金属、半導体、非ゲル形成重合体、セラミックス、糖類、澱粉、セルロース等との混合物よりなる凝集塊もまた本発明の方法に従って製造できる。
【0177】
本明細の方法により製造された本発明の凝集塊は生物医学的薬剤以外の物質の宿主のための担体として使用してよい。例えば限定しないが、金属はゲル粒子内に封鎖するか、凝集塊に捕獲させるか、又は両方とすることができる。金属は多くの用途を有する凝集塊に対し種々の程度の伝導性を付与する。金属は又、イオン、即ち、ゼロ以外の酸化状態における金属として配合してもよい。これらのイオンは又凝集塊に種々の程度の伝導性を付与する。本発明のゲル粒子又は凝集塊は半導体金属又は化合物を注入してもよい。半導体形状保持凝集塊、また更には一部半導体のゲル粒子及び一部導体の粒子よりなる凝集塊はMEMS(マイクロエレクトロ−メカニカル系)及びNEMS(ナノエレクトロメカニカル系)の装置としての用途を有する。磁性体物質、例えば磁性体重合体又は磁性体金属粒子の封鎖及び/又は捕獲により三次元のコンピューターメモリデバイスが得られる。封鎖及び/又は捕獲された金属物質又は金属イオンを含有する凝集塊はバイオテクノロジー産業における使用のための三次元アレイ分析用ツールを提供する。本発明の形状保持凝集塊の上記及び他の使用は本明細書の開示に基づいて当業者には明らかとなる。このような使用は本発明の範囲に包含される。
【実施例】
【0178】
(実施例1:TWEEN80界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
Milli−Q H2O 100g中にTWEEN(80)27gを溶解することによりMilli−QH2O中のTWEEN80の保存溶液を調製した。過硫酸カリウムの保存溶液はMilli−QH2O 30ml中に2gを溶解することにより調製した。1L容メディアボトルに攪拌バーを装着し、そしてエチレングリコールジメタクリレート3.6mgを含有するHEMA1.74g、Tween80保存溶液1.07g、N2パージMilli−QH2O 571ml及び過硫酸カリウム保存溶液0.952mlを充填した。溶液を固体が溶解するまで攪拌した。ボトルをホイルで被覆し、16時間65℃のバスに浸積した。得られたヒドロゲル粒子懸濁液は乳白色〜不透明青色オパール色調を有しており、粒子は動的光分散によれば466nmの平均直径を有していることがわかった。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、70mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0179】
(実施例2:ジオクチルナトリウムスクシネート界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
攪拌バーを装着した500mL容のメディアボトルにエチレングリコールジメタクリレート8.8mgを含有するHEMA単量体4.25g、ジオクチルナトリウムスクシネート(DSS)290.18mg、過硫酸カリウム135mg及びN2パージMilli−QH2O 500mlを充填した。ボトルをキャップし、溶液を室温で3時間攪拌した。ボトルを50℃のウォーターバスに移し、12時間インキュベートした。得られたヒドロゲル粒子懸濁液はオパール色調青色を有していた。粒子を動的光分散により分析したところ、241nmの平均直径を有していることがわかった。粒子の懸濁液は溶液ml当たり水和した重合体25mgを含有していた。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、150mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0180】
(実施例3:ドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
攪拌バーを装着した100mL容のメディアボトルにエチレングリコールジメタクリレート8.8mgを含有するHEMA4.25g、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)267.91mg、過硫酸カリウム135mg及びN2パージMilli−QH2O500mlを充填した。ボトルをキャップし、溶液を室温で3時間攪拌した。ボトルを50℃のウォーターバスに移し、12時間インキュベートした。得られたヒドロゲル粒子懸濁液はオパール色調青色を有していた。粒子を動的光分散により分析したところ、110nmの平均直径を有していることがわかった。粒子の懸濁液は溶液ml当たり水和した重合体78mgを含有していた。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、200mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0181】
(実施例4:単量体濃度の変化に伴う粒径の変化)
溶液中の試薬の濃度の変化は粒径及び多分散性に影響する。実施例2の操作法に従って合成された粒子について、粒径及び多分散性は、表1に示す通り重合中の溶液容量を変化させることにより変動した。
【0182】
【表1】
上記の傾向は、粒子合成の間のHEMA単量体のDSS界面活性剤に対する所定の比において、粒径及び分散性は共に、溶液の容量が増大するに従って減少することを示している。
【0183】
(実施例5:界面活性剤及び濃度の交換)
湿潤重量33mg/ml及びSDS濃度0.535mg/mlの平均直径110nmの個別の粒子の懸濁液を300,000ダルトンカットオフのMillipore Pellicon(登録商標)Biomax旋回流濾過膜を用いた旋回流濾過に付した。濾過はメイクアップとしてMilli−QH2O中の5%(w/v)Tween80溶液を用いて一定容量において実施した。合計6x500mLの透過容量を濾過中に採取し、SDS界面活性剤とTween80の交換に付した。粒子の懸濁液は界面活性剤交換後には318nmの平均直径を有しており、6ヶ月の期間に渡り、最低限の沈降及び凝集の証拠を示した。粒子は粒子を保持しつつ特定の透過容量を除去することにより旋回流濾過を用いて濃縮した。
【0184】
(実施例6:粒径の関数としての安定な分散体を与える粒子の最大濃度の決定)
粒子の2シリーズ、即ち1)それぞれ100、265及び500nmの直径を有する実施例3に従って形成したSDS安定化粒子、及び2)それぞれ125、300、475及び550nmの直径を有する実施例2に従って形成したDSS安定化粒子を形成した。各試料の出発水和重合体の質量は遠心分離後に試料を計量することにより測定した。各分散体6mlを15ml容の目盛付遠沈管に入れた。分析用エバポレーターを用いながら、アルゴンガス流を各遠沈管内の分散体の表面上に通過させ、その間、ウォーターバスを用いて温度を37℃に維持した。試料はその濃度の上昇に応じた分散粒子の凝集の開始について調べた。凝集開始時の試料容量の変化を記録し、新しい濃度を計算した。SDS及びDSS界面活性剤を用いた場合の種々のサイズの粒子について、各分散体が凝集を開始する濃度に対する粒径の影響を図1にグラフで示す。
【0185】
(実施例7:凝集塊形成に対する注入速度、針ゲージ及び粒子濃度の影響)
実施例1〜3に従って合成し、実施例3に従って109mg/mlの湿潤重量濃度まで濃縮したゲル粒子の保存分散体の一部を20個の別個の3ml使い捨てシリンジに投入した。均等な数のシリンジに27、26、23及び18ゲージの針を取り付けた。各シリンジから1ミリリットルをリン酸塩緩衝食塩水10mlに注入した。流量0.1ml/分〜2ml/分はHarvard Apparatus(4400型)シリンジポンプにより制御した。定性的な観察は各注射の後に行い、得られた凝集塊は表2に示す4型に分類した。上記保存分散体の数回希釈分を低濃度で調製し、同じ操作法で試験した。
【0186】
【表2】
a.緊密で柔軟な物質の即時形成
b.中等度の随伴フロキュレーションを伴った緊密で柔軟な物質の即時形成
c.フロキュレーションとその後15分までの緊密で柔軟な物質の形成
d.フロキュレーションとその後15分より遅い緊密で柔軟な物質の形成
(実施例8:より大型の粒子を用いた凝集塊の型)
嵩高の乾燥したpHEMAを粉砕し、3段階の異なる粒径範囲、即ち45μm未満、45μm超75μm未満、及び75μm超150μm未満に分篩した。各粒子の型の懸濁液を懸濁媒体として0.015重量%DSS含有MilliQ水を用いて調製した。各懸濁液は粒子の湿潤重量が150mg/mlとなるように調製した。各懸濁液1ミリリットルを18ゲージ針を装着した3ml容の使い捨てシリンジ15ml内に注入した。各注入の流量は約1ml/分であった。定性的な観察を各注入について行い、凝集塊を表3に示す種々の型に分類した。
【0187】
【表3】
a.緊密で柔軟な物質の即時形成
b.中等度の随伴フロキュレーションを伴った緊密で柔軟な物質の即時形成
c.フロキュレーションとその後15分までの緊密で柔軟な物質の形成
d.フロキュレーションとその後15分より遅い緊密で柔軟な物質の形成
(実施例9:インビボの形状保持凝集塊の形成)
ヒドロゲル粒子を等張性グルコース溶液中に懸濁した。懸濁液は水和重合体110mg/mlを含有していた。1つの懸濁液(A)は純粋なpHEMA粒子を含有していた。第2の懸濁液(B)は重量で50:50pHEMA:(95:5pHEMA:MAA)の混合物を含有していた。水和重合体100mgを含有する注入をマウスの背筋膜上に皮下投与した。動物は24時間及び7日に屠殺した。インプラントを摘出して観察した。両方のインプラントとも移植後1及び7日には注射部位の下部に存在していた。両方のインプラントとも弾性ヒドロゲル物質の円板を形成しており、局所刺激の兆候は示していなかった。インプラントの重量は重合体の遠心分離水和重量より僅かに高値であり;この高値の重量はおそらくは凝集塊本体内への組織の浸潤によると考えられる。pHEMA及び95:5pHEMA:MAA粒子の混合物を含有するインプラントは純粋なpHEMAインプラントよりも不透明性が高く、7日後には広範な組織浸潤を示していた。図2はこの態様においてインビボ形成された凝集塊を示す。Tween80界面活性剤及びジオクチルナトリウムスルフェート(DSS)界面活性剤の溶液中に分散されたpHEMA粒子を用いてインビボ形成されたインプラントは14日間に渡り刺激又は糜爛の兆候は示さなかった。
【0188】
(実施例10:種々の粒径に関する凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子がより低い膨潤速度を有する溶液、例えばより高いイオン強度の溶液への粒子の注入はヒドロゲル粒子凝集塊を形成する。凝集塊形成の速度は注入後に経時的に凝集塊に関する水の質量の損失を測定することにより定量できる。ある濃度におけるある界面活性剤に関し、ある濃度で水中に分散しているpHEMA粒子は、室温において生理学的なpH及びイオン強度においてリン酸塩緩衝食塩水中に注入された場合、凝集塊形成の種々の速度を示す。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの遠心分離湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径680nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlをPBS100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図3は定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示すプロットである。プロットによれば、より大型の粒子は凝集速度のより急速な初期変化を示すが、両方のサイズとも、150〜200分の間に平衡水和含有量に到達する。より小型の粒子と同じ表面電荷を有するより大型の粒子は異なるガウス電荷と表面積の比を有し、これにより全体的な電荷が同一であってもより小さい安定性が付与される。粒子は同一のゼータ電位を有していても安定性が僅かに低いため、それらは相当するより小型の粒子よりも速く定常状態の凝集塊状態に到達する。これは、均一な界面活性剤及び粒子濃度における粒径の変動は凝集塊形成の速度の相違をもたらすことを示している。
【0189】
(実施例11:種々の温度における凝集の間の吸収水重量の損失)
温度はある懸濁液に関して凝集塊形成の速度に影響する。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径735nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlを37℃でPBS100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。25℃及び37℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度はより高い温度においてより急速であった。図4は2段階の異なる温度におけるPBS中において平衡重量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、より高い温度において初期により高速となっている。
【0190】
(実施例12:血清中の凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子の凝集塊をウシ血清中に形成させた。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中のヒドロゲル粒子の分散体2mlを25℃のウシ血清100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の液体の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図5は血清中で定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入後の経時的な凝集の速度を示す。ここでも又、より小型の粒子と同じ表面電荷を有するより大型の粒子は異なるガウス電荷vs表面積を有し、これにより全体的な電荷が同一であってもより小さい安定性が付与される。粒子は同一のゼータ電位を有していても安定性が僅かに低いため、それらは相当するより小型の粒子よりも速く定常状態の凝集塊状態に到達する。
【0191】
(実施例13:高張食塩水中の凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子凝集塊を高張食塩水の溶液中に形成させた。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径680nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlを塩化ナトリウム飽和溶液100mlに注入した。その結果凝集塊が即座に溶液表面に形成され、そしてPBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図6は定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示すプロットである。プロットによれば、より大型の粒子は凝集速度のより急速な初期変化を示すが、種々の粒径よりなる凝集塊は150〜200分の間に定常状態に到達している。このことは、溶液のイオン強度を変化させることは凝集速度に影響し、そしてゼータ電位の変化が種々のイオン強度の溶液において観察できることを示している。
【0192】
(実施例14:種々の化学組成のヒドロゲル粒子の凝集の間の吸収水重量の損失)
ヒドロゲル粒子の重合体組成はある溶液における凝集塊の形成の速度に影響する。典型的な実験においては、それぞれ480又は465nmの平均直径を有するポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)の何れかの組成物を有する、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有するヒドロゲル粒子の分散体2mlを室温でリン酸塩緩衝食塩水100mlに注入した。その結果生じた凝集塊をp(HPMA)の場合は2分間、又はp(HEMA)の場合は10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体重量のパーセントとして示す。25℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度は所定のサイズのpHPMA粒子についてより急速であった。このことは、同一の界面活性剤及び表面電荷の場合においても、異なるイオン強度への異なる化学組成の粒子を投入すれば、やはりゼータ電位の安定性の間接的な尺度である凝集速度が異なってくることを意味している。図7は2段階の異なる温度におけるPBS中において定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な水の重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、pHPMAのほうがpHEMAよりも初期により高速となっている。
【0193】
(実施例15:種々の界面活性剤を用いた場合のヒドロゲル粒子の凝集の間の吸収水重量の損失)
ヒドロゲル粒子を安定化させるために使用される界面活性剤はある溶液における凝集塊の形成の速度に影響する。典型的な実験においては、175nmの平均直径を有し、そして0.5w/v%のSDS又はDSS界面活性剤のいずれかで安定化された、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有するpHEMA粒子の分散体2mlを室温又は37℃でPBS25mlに注入した。その結果生じた凝集塊を2分間、10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。25℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度はDSS安定化粒子のほうがより急速であった。図8は2段階の異なる温度におけるPBS中において定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入後の経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な水重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、DSS安定化粒子のほうがSDS安定化のものよりも初期においてより高速となっている。
【0194】
(実施例16:腐食又は部分的腐食を起こす粒子凝集塊の形成)
生理学的なpH及びイオン強度の溶液中のHEMA及びメタクリル酸(MAA)よりなる粒子の注入は緩徐に腐食するか全く形成されない凝集塊の形成の何れかをもたらす。典型的な実験において、水和重合体110mg/mlを含有する直径155nmの95:5pHEMA:MAA粒子の懸濁液2mlをリン酸塩緩衝食塩水に注入した。凝集塊は実施例12の凝集塊と同様の水重量の初期損失を示した。初期凝集の後、粒子共重合体のメタクリル酸部分がイオン化されるに従って凝集塊は緩徐に腐食した。表4はHEMA:MAA共重合体中のMAAの種々の量を有する粒子に関する初期凝集の後の腐食に関わる時間を示している。
【0195】
【表4】
(実施例17:凝集塊クラスタリング)
50mg/mlより高値の湿潤重量濃度において、個別のpHEMA粒子は凝塊形成してより大型化する傾向を有するが、なお分散可能なクラスターである。クラスター化の過程はTFF精製の間に少量を採取すること、及び、粒径と多分散性をモニタリングすること、一方で36.2mg/mlの湿潤重量濃度を有する53nm(PDI0.098)のpHEMA粒子の2L分散体を235mLの容量及び424mg/mlの最終湿潤重量濃度にまで濃縮することにより明らかにされている。結果を表5に示す。
【0196】
【表5】
上記傾向は平均のpHEMA粒子ピークサイズは重合体湿潤重量濃度が50mg/mlを超過した後に増大することを示している。同様に、分散体の粘度の増大も観察されている(凝集して固体塊にならない真のゾルのものに近似)。平均ピーク値に関するピークの形状又は粒径分布の変化並びにピーク平均に関するピークの様相及び分布のベースライン幅の変化もまた観察されている。個別のpHEMA粒子からpHEMAクラスター分布への変化を図9に示す。
【0197】
(実施例18:界面活性剤の除去によるゼータ電位の変化による粒子凝集の誘導)
粒子分散体を実施例3に記載の通り調製し、直径60nmの粒子とした。分散体100mlを旋回流濾過に付してSDS界面活性剤を除去した。濾過はメイクアップとしてMilli−QH2Oを用いて一定容量で行った。ゼータ電位の測定及びサイズ分析は100mL、150mL及び200mLの浸透液が収集された後に試料に対して行った。界面活性剤が除去されるに従い、粒子のゼータ電位の規模が低下し、粒子のクラスター化を誘発した。これを表6に示す。250mLの浸透液が収集された後、粒子の凝集が試料内で起こった。
【0198】
【表6】
(実施例19:SDS安定化pHEMA粒子のサイズに対する分散媒体のイオン強度(塩濃度)を変化させることの影響)
約92nmの直径を有するpHEMA粒子を実施例1に記載の通り界面活性剤SDSを使用しながら調製した。分散体の湿潤重量濃度は約30mg/mlであった。pHEMA粒子分散体5滴(105uL)をMilliQ水3ml中、及び、1、2、3、4、5、6、7及び10mMのNaCl塩溶液3ml中に入れた。懸濁した粒子のサイズ及びゼータ電位をMalvern Instrument,Nano ZS Zetasizerを用いて測定した。結果によれば、懸濁媒体のイオン強度が増大するに従って、粒子のゼータ電位は粒径の同時減少を伴いながら低下している。塩濃度が2mMNaCl未満である場合は、絶対表面電荷がなお顕著であり、そして粒子が相互に反発しあっていることから、粒子はなお比較的安定である。しかしながら、イオン強度が増大するに従って、絶対表面電荷は低下し始め、粒子はクラスターを形成して懸濁液体に曝露された表面積を低下させる傾向を有し、そして、フロキュレーションにより更に大型の粒子凝塊となり最終的には固体凝集塊内に沈着するまで、クラスター化を継続することになる。
【0199】
(実施例20:個々のSDS安定化pHEMA粒子のサイズに対する分散媒体のイオン強度を変化させることの影響)
pHEMA粒子(直径約60、92、250nm)を前記したとおり界面活性剤SDSを用いて調製した。各分散体の湿潤重量濃度は約30mg/mlであった。92及び250nmのpHEMA粒子分散体5滴(105uL)を2mMのNaCl溶液各々3m中に入れた。懸濁した粒子のサイズ及びゼータ電位を測定した。これらの測定の後、媒体をMilliQ水1等容量で希釈し、2、1、0.5、0.25、0.125mM NaCl溶液中のゼータ電位及びサイズに関する読み取り値が得られるように連続希釈が行われるような態様において50%まで塩含有量を低下させた。結果を以下の表7に示す。
【0200】
【表7】
表7は各pHEMA粒子サイズ(それぞれ約250、100及び60nm)の各々につき、塩含有量が低下(即ち懸濁媒体のイオン強度が低下する)に従って、相当する粒子の直径が増大することを示している。懸濁媒体のイオン強度が低下するに従って、粒子上のゼータ電位の絶対値が増大する。結果は図10にも示す。
【0201】
(実施例21:混和性同時分散剤を用いた分散媒体の希釈による粒径の変化)
適当な水性分散体中の個々のpHEMA粒子はサイズの変化を起こすことができ、そして、水溶液が非水性の混和性の同時分散媒体で希釈されれば凝集することができる。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体をアセトンを用いて希釈する。最終溶液中のMilli−Qのアセトンに対する比は100%から5%に変化させた。粒径は当初は同時分散媒体の添加と共に減少したが、後には凝集が起こるに従って増大し、複数の粒径のピークが形成された。結果を表8に示す。
【0202】
【表8】
同様の実験を同じシリーズの粒子に対し同時分散剤としてエタノールを用いながら実施した。エタノールはpHEMAに対してある程度の溶解度を与える溶媒である。同時分散実験の結果を表9に示す。
【0203】
【表9】
上記結果は、同時分散媒体の性質は、ここでもまた、粒子上のゼータ電位の規模を変化させることにより、粒子の分散の安定性及び凝集の開始に影響できることを示している。
【0204】
(実施例22:粒子分散体への疎水性溶媒の導入によるゼラチン状凝集塊の形成)
個々の粒子の安定な水性分散体は非混和性溶媒を分散媒体に混合した場合には独特の性質を示す。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体を等容量のヘキサンと組合わせる。透明なヘキサン層は室温で5日間に渡りオパール色調の粒子分散体との混合の兆候を示さなかった。溶液を激しく混合したところ、水性粒子分散体の上方に浮遊したゼラチン状の塊が形成した。その後ヘキサンを真空蒸発させながら水性粒子分散体の疎水性の層から水溶液を分離したところ安定な粒子凝集塊が形成された。
【0205】
(実施例23:pHEMA粒子分散体の希釈)
安定な水性分散体中の個々のpHEMAは分散媒体で希釈しても極めて限定されたサイズ及びゼータ電位の変化しか起こさず、凝集しない。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体を連続希釈においてMilli−QH2Oで希釈した。粒径及びゼータ電位に対する希釈の影響を表10に示す。
【0206】
【表10】
極めて低い粒子濃度(≦2mg/ml)においては、粒子のゼータ電位は機器の検出限界未満であった。
【0207】
(実施例24:粒子凝集塊の小分子の捕獲及び放出)
懸濁媒体中に溶解した小分子を有する粒子の分散体の注入は小分子の一部を捕らえている凝集塊を形成する。典型的な実験において、ブロモクレゾール緑色染料1mgを水和重合体質量36mg/mlを有するTween80安定化pHEMA粒子(直径725nm)の懸濁液2mlに溶解した。分散した粒子及び染料をリン酸塩緩衝食塩水の溶液に注入した。凝集10分間の後、溶液を10サイクル/秒で振とうすることにより充分な混合を確保した。上澄み試料2mlを採取し、UV可視光吸収スペクトル分析により特性を調べた。図11は個々の粒子から形成された凝集塊から経時的に溶液中に放出されたブロモクレゾールのパーセントを示す。図12は2種の異なる粒径の質量比50:50混合物から経時的に溶液中に放出されたブロモクレゾールのパーセントを示す。両方の場合において小分子の大部分は最初の3〜5時間以内に放出されたが、バースト作用は混合凝集塊系においてはより小さくなっている。
【0208】
(実施例25:凝集塊形成の同時分散剤加速)
同時分散剤としてのポリ(エチレングリコール)(Mw=400g/モル)50mgを115ng/mlの300nmHEMA粒子分散体1mlに添加した。分散体を充分混合して1mLシリンジに入れた。分散体を27ゲージ針を用いながら分あたり約4mlの速度でPBS15ml中に注入した。注入された物質は急速に破壊されて極めて僅かなフロキュレーションを伴った凝集塊となった。
【0209】
ポリ(エチレングリコール)を添加しない115mg/mlの300nmHEMA粒子分散体1mlを27ゲージ針を用いながら分あたり約4mlの速度でPBS15ml中に注入したところ、フロキュレーションが起こった。しかしながら、凝集塊は約30分後に形成された。両方の凝集塊とも24時間PBS中に放置した。PEG同時分散剤系から形成された凝集塊は、同時分散剤を用いずに形成された凝集塊よりも、更に緻密で機械的に頑健であるように観察された。
【0210】
(実施例26:異なる粒径及び標識化合物量よりなるpHEMA粒子凝集塊におけるFITC標識BSA及びFITC標識デキストランの負荷効率及びそれからの放出)
475、300、200及び175nmの直径を有するpHEMA粒子を用いてpHEMA粒子凝集塊を形成した。2つの異なるサイズの巨大分子、即ちFITC−BSA(72kDa)及びFITC−Dextran(2000kDa)の負荷及び放出に対する影響を粒径の関数として試験した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、16ゲージ針、注入速度2ml/分を用いながら、10、7、5、3、2、1、0.5及び0mgのFITC−BSA(標準物質セット1)及び20、15、10、6、4、2、1及び0mgのFITC−Dex(標準物質セット2)を含有する2セットの8〜500mgのpHEMA粒子凝集塊標準物質を調製した。475nmのpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。PBS注入時に、個別の粒子分散体は凝集し、そして巨大分子を捕獲した。上澄みを除去したところ、FITC標識は種々の濃度において2つの巨大分子を含有する凝集塊の各々につき、段階的な黄色の色合いをもたらし、標準物質によりもたらされた観察された色合いを同一の態様で調製した試料のものと対照させることが可能であった。
【0211】
500ミリグラムの試料凝集塊を、37.4℃においてPBS中FITC−BSA5又は10mg又はFITC−Dex10又は20mgの何れかを含有する上記した粒子分散体の各々の5ml分量(100mg/ml)を注入することにより調製した。巨大分子の負荷及び放出のプロファイルは、所定の時間において観察された色合いを凝集塊の標準物質のセットのものと比較することにより調べた。これらの結果を図13〜26に示す。
【0212】
両方の巨大分子の負荷は極めて効率的であった(即ち>95%)。10mgのFITC−BSA(概ね2重量%の凝集塊)において、大量のバースト放出(概ね40%)が特により小型の粒子よりなる凝集塊において最初の5時間以内に観察された。これは低値の負荷(5mgFITC−BSA)においては同じ程度まで観察されなかった。2種のより小さい粒径(200及び175nm)において構築された凝集塊は最初の20時間はほぼゼロ次の放出を示した。
【0213】
即ち、より大型の巨大分子は、2つの巨大分子の放出プロファイルにおいて示されたとおり、より緩徐な速度で凝集塊から拡散する。更に又、漸増量の小型粒子を用いて調製した凝集塊からの放出のプロファイルは大型の粒子から形成した凝集塊からよりも緩徐な放出を示した。
【0214】
(実施例27:SDSを用いて作成した175及び475nmの粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
巨大分子のサイズの関数としてpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出を追跡するために詳細な試験を実施した。pHEMA粒子(直径475nm及び175nm)を前述の通り界面活性剤SDSを用いて製造した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有するpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(475nm又は175nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析(FITC−BSAλmax486nm、FITC−Dexλmax492nm)を用いて測定し;FITC濃度はFITC−BSAおよびFITC−Dexに関する標準Beers Law検量線と相対比較して求めた。結果を図18及び19に示す。
【0215】
FITC−BSAは475及び175nmのpHEMA粒子よりなる凝集塊から30%及び40%のバースト放出を示している。初期バースト放出の後、475nm及び175nm粒子よりなる両方の凝集塊ともFITC−BSAの約50%が放出された後に巨大分子の緩徐な放出を示している。
【0216】
より大型の2つの巨大分子は遥かに小さいバースト放出を示している。更に又、より小型の粒子よりなる凝集塊はより大型の粒子から形成されたものよりも捕獲と延長放出においてより効果的であることがわかった。175nm凝集塊からのバースト放出は5時間後に<25%であったのに対し、475nm粒子で構築された凝集塊は同じ時間に渡り負荷されたFITC−Dexの35%のバースト放出を示していた。このことは、凝集塊の構築に使用した粒径は後に放出される巨大分子のサイズと相関することを示している。
【0217】
(実施例28:DSSを用いた265及び500nm粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
pHEMA粒子(直径500nm及び265nm)を前述の通り界面活性剤DSSを用いて製造した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有するpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(500nm又は265nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析を用いて測定し、そして濃度は上記した通り求めた。結果を図19及び20に示す。より大型の巨大分子はより緩徐な速度で放出され、そして、265nm粒子を用いて製造した凝集塊は前記した175nm粒子よりなる凝集塊に関して観察されたものよりも僅かに大きいバーストを伴って擬似ゼロ次の放出を示した。FITC−BSAは最初の5時間内に何れの系からもほぼ40%のバーストを示している。このことはこの特定の巨大分子が凝集塊において使用される粒子のサイズに極めて影響されやすく、従って、遥かに小さい粒子の直径が必要とされることを示している。
【0218】
(実施例29:SDSを使用して作成した175及び475nmの粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
475nm及び175nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の475nm及び175nmのpHEMA粒子(それぞれ)のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/mlのpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図21及び22に示す。
【0219】
FITC−Dexはヒドロゲル凝集塊の形成に使用した粒子の3種の混合物と相対比較して放出プロファイルの相違を示している。この巨大分子に関する相対的放出速度は60/40>40/60>20/80の順に漸減していた。pHEMA粒子の20/80混合物よりなる凝集塊からのFITC−Dexの放出速度は、図23及び25に示すとおり、1サイズの粒子を用いて形成されたpHEMA粒子凝集塊で観察されたものよりも緩徐である。図22に示す粒子混合物を用いて形成された凝集塊の各々はより小型のFITC−BSAよりもFITC−Dexのほうがより緩徐な放出プロファイルを示している。図21は凝集塊作成に使用した粒子混合物に関わらずFITC−BSAの大量バースト放出を示しており、使用した3種の混合物の間には放出プロファイルの差は殆どなく、凝集塊の作成に使用する粒子のサイズはこの特定の巨大分子に対しては過大であったことを示している。
【0220】
(実施例30:DSSを使用して作成した265及び500nmの粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
500nm及び265nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤DSSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の500nm及び265nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(500nm又は265nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図23及び24に示す。
【0221】
FITC−BSAに関する放出プロファイルは凝集塊間で殆ど差がない。凝集塊に使用した3種の混合物全てが最初の5〜6時間以内にFITC−BSAの40%のバースト放出を与え、そしてその後は20〜60時間に渡り擬似ゼロ次放出を示している。ここでも又、FITC−DexはFITC−BSAよりも緩徐な速度で放出された。
【0222】
(実施例31:SDSを使用して作成した170及び75nmpHEMA粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
170nm及び75nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度0.5ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の170nm及び75nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。74mg/ml(170nm又は75nm)のpHEMA粒子分散体68/10ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析を用いて測定し、そして濃度は上記した通り求めた。結果を図27及び28に示す。
【0223】
FITC−BSAは凝集塊の形成に使用した粒子の3種の混合物と相対比較して放出プロファイルの相違を示している。この巨大分子に関する相対的放出速度は20/80>40/60>60/40の順に漸減していた。170nm及び75nmのpHEMA粒子の60/40混合物よりなる凝集塊からのFITC−BSAの放出速度は、図14に示す通り、1サイズの粒子(即ち175nm粒子)を用いて形成されたpHEMA粒子凝集塊で観察されたものよりも緩徐である。更に又、それぞれ図19及び20に示す通り、475及び175nmの粒子の混合物及び500及び265nmの粒子の混合物を用いて形成した凝集塊からのバースト放出及び放出特性と比較して、170nm及び75nmの粒子の混合物よりなる凝集塊からのほうが、最初の6時間に渡るバースト放出は低値であり、そして放出プロファイルは緩徐であった。同様に、FITC−Dexはより大型の粒子の混合物を用いて形成した凝集塊と比較して相対的に小さいサイズの粒子の混合物よりなる凝集塊からのほうが、低値のバースト放出(表11)及びより緩徐な放出プロファイルを示している。しかしながら、放出速度は以前よりも注射された分散体の製造において使用された関連するサイズの重量比組成物に関しては異なる傾向に従っている(実施例29)。
【0224】
(実施例32:ポリエチレングリコール400を含有するpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
注入の前に粒子分散体中20重量%ポリエチレングリコール400を用いてpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、16ゲージ針、注入速度0.5ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れか及び100mgのポリエチレングリコール400を含有する組成20/80、40/60及び60/40の170nm及び75nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。74mg/ml(170nm又は75nm)のpHEMA粒子分散体68/10ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子及びポリエチレングリコール400と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−VIS分析を用いて測定し、そして、濃度は上記した通り求めた。結果を図27及び28に示す。
【0225】
ポリエチレングリコールを含有する凝集塊は以下の実施例に示す水溶性アジュバントを含有する他の凝集塊と比較して、最初の6時間におけるFITC−BSA及びFITC−Dexの遥かに低値のバースト放出(<12%)を示した。FITC−DexはFITC−BSAよりも緩徐な速度で放出された。しかしながら、2種の粒径の異なる比よりなる凝集塊の各セットについては、FITC−BSA及びFITC−Dexの両方の放出速度の差は殆ど観察されなかった。
【0226】
(実施例33:SDSを使用しながら作成した5%ゼラチン及び175及び475nm粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
懸濁系中ゼラチン5重量%を用いながらpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて製造した。100mg/ml(475nm及び175nm)pHEMA粒子分散体混合物5ミリリットル及び25mgの5重量%ゼラチンを予め計量された分量のFITC標識巨大分子と混合し、分散体を固定された速度で室温においてPBS内に注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図30及び31に示す。
【0227】
水溶性ゼラチンを含有する凝集塊は最初の5時間にFITC−BSAの大量のバースト放出(>45%)をもたらした。FITC−DexはFITC−BSAより緩徐な速度で放出されたが、FITC−Dexの放出速度は水溶性添加剤を含有しなかった凝集塊で観察されたものよりも遥かに急速であった。
【0228】
(実施例34:SDSを使用しながら作成した175及び475nm粒子よりなる部分腐食性凝集塊からの巨大分子の放出)
95%pHEMAおよび5%pHEMA/pMAA粒子の混合物よりなる凝集塊を調製した。MAAは生理学的pHでイオン化し、そして荷電した粒子が相互に反発し、経時的に凝集塊から脱落してゆく。部分的腐食の速度は凝集塊に存在するイオン化基の数の関数である。部分的腐食の間、凝集塊はより多孔性となり、捕獲された巨大分子の放出速度が影響を受ける。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。100mg/mlのpHEMA粒子分散体混合物5ミリリットルを予め計量された分量のFITC標識巨大分子と混合し、分散体を固定された速度で室温においてPBS内に注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図32及び33に示す。
【0229】
FITC−BSA及びFITC−Dexは両方とも非腐食性凝集塊よりも部分腐食性凝集塊からより急速な放出プロファイルを示している。ここでも又、そのサイズのためにより緩徐な速度で放出されている。FITC−BSA及びFITC−Dexの両方について全ての放出プロファイルは擬似ゼロ次放出の動態を示している。
【0230】
(実施例35:凝集塊組成の関数としての粒子凝集塊内に取り込まれた巨大分子の負荷効率及びそれからのバースト放出)
粒子分散体の組成の変化は後に形成された凝集塊からどのように巨大分子が後に放出されるかに影響する。粒子凝集塊からの巨大分子の放出速度は巨大分子のサイズ、凝集塊の形成の前の粒子のサイズ、凝集塊作成に使用する粒子のサイズ、凝集塊の多孔性を変化させる添加剤の存在、凝集塊形成速度に影響することから注入前の分散体中に存在する界面活性剤、及び、凝集塊が腐食性であるかどうかに依存していることがわかっている。上記したパラメーターの各々及びそれらの組み合わせがこれらの物質の放出に対して多大な影響を有する。表11は前述の実施例の結果を総括したものである。
【0231】
(表11)
(前述の実施例に記載したpHEMA粒子凝集塊における巨大分子の負荷効率及びそれからのバースト放出の比較)
【0232】
【表11−1】
【0233】
【表11−2】
(1)本データは25℃における上澄み(PBS)への凝集塊からのFITC−BSAの規格化された放出(負荷FITC−BSAの放出)を示す。
(2)本データは25℃における上澄み(PBS)への凝集塊からのFITC−Dexの規格化された放出(負荷FITC−Dexの放出)を示す。
(3)pHEMA粒子は界面活性剤としてSDSを使用しながら合成した。
(4)pHEMA粒子は界面活性剤としてDSSを使用しながら合成した。
【0234】
表11は種々のpHEMA粒子凝集塊で観察された相対的負荷効率並びに最初の6時間以内に観察された初期バースト放出を比較したものである。一般的に、より大きい巨大分子は試験に使用される粒径に関連して所定の系に対してそのサイズ及び放出プロファイルの間に相関を示す。FITC−BSAは使用した種々の粒径により製造された凝集塊からより高速で放出されることがわかり、そしてこれは、より小さい分子量の化合物については長期の放出プロファイルを達成するためにはより小型の粒子を使用しなければならないことを示していると考えられる。
【0235】
(結論)
当業者の知るとおり、特定の実施形態及び実施例を説明したが、種々の改変及び変更を本発明の精神から離れることなく行ってよい。
【0236】
例えば本発明は形状保持凝集塊の形成方法、及び、そのようにして形成された凝集塊の使用に関するものとする。方法には形成された形状保持凝集塊の化学的及び物理的な特性に影響する広範な要因の複雑な相互作用が関わっている。本明細書に説明的に考察した要因に加えて、他のそのような要因は本明細書の開示内容に基づいて当業者には明らかになるものである。要因における変更のこのような追加的要因、及び要因の組み合わせの適用は全て、本発明の範囲に包含される。
【0237】
同様に本発明の方法は広範な範囲の用途を有する。このような用途の多数は上記したものであるが、他の用途は本明細書の開示内容に基づいて当業者には明らかになるものである。形状保持ゲル凝集塊を形成するための本発明の方法が関与するこれらの用途の全ては本発明の範囲内のものである。
【0238】
他の実施形態は添付する請求項内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】図1は凝集塊形成の開始前の懸濁液における粒子の最大湿潤重量濃度に対する分散体中の粒子の直径の関係を示すプロットである。図の凡例:SDS粒子は−■−として示す。DDS粒子は−●−として示す。
【図2】図2は本発明の方法を用いながらインビボで形成されたpHEMA粒子凝集塊の写真である。pHEMA粒子凝集塊は注入後7日の観察である。写真中のインプラントはマウスの開放組織の上方中心部にある白色半月型のディスクである。
【図3】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図3は室温におけるリン酸塩緩衝食塩水中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温PBS中ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm粒子%/時間を示し;−■−は600nm粒子%/時間を示し;そして−◆−は480nm粒子%/時間を示す。
【図4】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図4は室温及び37℃におけるリン酸塩緩衝食塩水中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;37℃及び室温におけるPBS中ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm37℃PBSを示し;−■−は600nm37℃PBSを示し;−○−は735nm25℃PBSを示し;そして−□−は600nm25℃PBSを示す。
【図5】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図5は室温におけるウシ血清中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温ウシ血清ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm粒子を示し;−■−は600nm粒子を示し;そして−◆−は480nm粒子を示す。
【図6】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図6は室温における高張食塩水及びPBS中に注入された粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;高張食塩水及びPBSツイーン(80)。図の凡例:−●−はPBS中735nm粒子を示し;そして−■−は高張食塩水中の735nm粒子を示す。
【図7】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図7は室温におけるPBS中に注入された粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温pHEMAbsPBS中pHEMA。図の凡例:−●−は465nmpHEMAナノ粒子を示し;−■−は480nmpHEMAナノ粒子を示す。
【図8】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図8は室温及び37℃におけるSDS又はDSS界面活性剤の何れかを用いた場合のpHEMA凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;界面活性剤の影響。図の凡例:−●−は25℃DSSを示し;−■−は37℃DSSを示し;−○−は25℃SDSを示し;そして−□−は37℃SDSを示す。
【図9】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図9は粒子クラスター形成と懸濁液中の重合体の湿潤重量との間の関係を示すプロットである。これは[36mg/ml]i〜[424mg/ml]fの湿潤重量の粒子のTFF濃縮の間のLLSにより測定されたpHEMAナノ粒子の粒径分布をグラフで示す。図の凡例:−◆−は36mg/mlの湿潤重量濃度を示し;−○−241mg/mlの湿潤重量濃度を示し;そして−■−は424mg/mlの湿潤重量濃度を示す。
【図10】図10はSDS安定化pHEMA粒子のゼータ電位に対するイオン強度の影響を示すプロットである。これはSDS安定化pHEMAナノ粒子のゼータ電位に対するイオン強度の影響をグラフで示している。図の凡例:−■−はpHEMAナノ粒子のゼータ電位を示す。
【図11】図11は室温でPBSに注入された狭小な多分散性を有するpHEMA粒子よりなる凝集塊からのブロモクレゾール緑色染料の放出を示すプロットである。これはツイーン(80)安定化ナノ粒子から放出されたブロモクレゾール緑色染料をグラフで示している。図の凡例:−●−は725nmを示し;−■−は600nmを示し;そして−○−は480nmを示す。
【図12】図12は室温でPBSに注入された広範な多分散性を有するpHEMA粒子よりなる凝集塊からのブロモクレゾール緑色染料の放出を示すプロットである。これはツイーン(80)安定化ナノ粒子から放出されたブロモクレゾール緑色染料をグラフで示している。図の凡例:−●−は725nm:600nmにおける50:50混合物を示し;−■−は725nm:480nmにおける50:50混合物を示し;そして−○−は600nm:480nmにおける50:50混合物を示す。
【図13】図13は種々の直径のpHEMA粒子から作成された500mg凝集塊のシリーズからの10mgFITC−BSA(72kDA)の放出を示すプロットである。これは37℃の温度におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの10mgFITC−BSA(72kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−◆−は10mgFITC−BSA_475nm pHEMAを示し;−▲−は10mgFITC−BSA_300nm pHEMAを示し;−*−は10mgFITC−BSA_200nm pHEMAを示し;そして−|−は10mgFITC−BSA_175nm pHEMAを示す。
【図14】図14は室温におけるPBS中に注入された種々の直径のpHEMA粒子から作成した500mg凝集塊のシリーズからの5mgFITC−BSA(72kDA)の放出を示すプロットである。これは37℃の温度におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの5mgFITC−BSA(72kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−■−は5mgFITC−BSA_475nm pHEMAを示し;−○−は5mgFITC−BSA_300nm pHEMAを示し;−●−は5mgFITC−BSA_200nm pHEMAを示し;そして−◇−は5mgFITC−BSA_175nm pHEMAを示す。
【図15】図15は37℃におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの10mgFITC−デキストラン(2000kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−◆−は10mgFITC−Dex_475nm pHEMAを示し;−△−は10mgFITC−Dex_300nm pHEMAを示し;−*−は10mgFITC−Dex_200nm pHEMAを示し;そして−○−は10mgFITC−Dex_175nm pHEMAを示す。
【図16】図16は37℃におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの20mgFITC−デキストラン(2000kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−□−は20mgFITC−Dex_475nm pHEMAを示し;−■−は20mgFITC−Dex_300nm pHEMAを示し;−○−は20mgFITC−Dex_200nm pHEMAを示し;そして−●−は20mgFITC−Dex_175nm pHEMAを示す。
【図17】図17は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は175nm pHEMAnpsを示し;そして−●−は475nm pHEMAnpsを示す。
【図18】図18は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は175nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は475nm pHEMAnpsを示す。
【図19】図19は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は265nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は500nm pHEMAnpsを示す。
【図20】図20は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は265nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は500nm pHEMAnpsを示す。
【図21】図21は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:475nm/175nm pHEMAnpsを示す。
【図22】図22は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:475nm/175nm pHEMAnpsを示す。
【図23】図21は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:500nm/265nm pHEMAnpsを示す。
【図24】図24は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;そして−▲−は60/40:500nm/265nm pHEMAnpsを示す。
【図25】図25は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−▲−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図26】図26は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図27】図27は23℃においてPBSに注入された20重量%ポリエチレングリコール400を含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図28】図28は23℃においてPBSに注入された20重量%ポリエチレングリコール400を含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図29】図29は23℃においてPBSに注入された5重量%ゼラチンを含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は95%175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示し;そして−◆−は95%475nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示す。
【図30】図30は23℃においてPBSに注入された5重量%ゼラチンを含有するpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−◆−は95%175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示し;そして−■−は95%60/40:475nm/175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示す。
【図31】図31は23℃においてPBSに注入された腐食性pHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は95%175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;−◆−は95%475nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;そして−■−は95%60/40 475nm/175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示す。
【図32】図32は23℃においてPBSに注入された腐食性pHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−◆−は95%175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;−■−は95%475nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;そして−▲−は95%60/40 475nm/175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示す。
【図33】図33はヒドロゲル粒子凝集塊形成を示す模式図である。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は有機化学、物理化学、重合体化学、薬化学、医薬品及び材料科学の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
以下の考察は、読者が本発明を理解しやすいように背景として提示するものであり、本発明の従来技術として意図するわけではなく、又そのように解釈されるべきものでもない。
【0003】
ゲルは、液体を吸収した後に、ノンゼロの剪断弾性率を有する、安定した通常は軟質で柔軟な組成物を形成する、三次元の重合体ネットワークである。ゲルにより吸収される液体が水である場合は、ゲルはヒドロゲルと呼ばれる。水はヒドロゲルのかなりの重量パーセントを構成する場合がある。このこと、及び、多くのヒドロゲル形成重合体が生物学的に不活性であるという事実のために、ヒドロゲルは種々のバイオメディカル用途において特に有用となっている。
【0004】
例えば、ヒドロゲルはソフトコンタクトレンズにおいて広範に使用されている。これらは又、治癒過程を支援するためのゲルマトリックスから放出されることができる薬剤を配合した、又は配合しない熱傷及び創傷の包帯剤として使用されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。ヒドロゲルは血液フィルターのような医療装置の表面の濡れ性を向上させるためのコーティングとして使用されている(特許文献3)。それらは又生物学的活性物質の持続放出のための装置としても有用性を有する。例えば特許文献4は親水性リザーバの薬物送達装置の製造方法を開示している。特許文献4はヒドロゲル皮下インプラントの透過性係数に直接影響する、その含水量を変化させることにより薬剤放出速度が制御できることを開示している。
【0005】
上記した用途のすべてにおいて、ゲル又はヒドロゲルは嵩高な形態であり、即ち、識別可能な規則的な内部構造を有さない材料の不定形の塊である。嵩高なヒドロゲルは水が吸収される際に通過しなければならない表面の面積に対して相対的に内部の容量が大きいため、緩徐な膨潤速度を有する。更に又、吸収された水中に溶解又は懸濁している物質はゲルの表面に到達するまでにそれが移動しなければならない距離に応じた速度でゲル外に分散する。即ち、ヒドロゲルの表面近傍の分子は迅速に離脱するのに対し、マトリックス内のより深部にある分子はゲルの外面に到達するまでに遥かに長時間を要する。この状況は特定のゲルを使用することによりある程度までは軽減することができる。各粒子が充分に小さい場合は、粒子内に分散している物質はほぼ同時に表面まで拡散して放出される。
【0006】
粒状のゲルは直接又は逆相の乳化重合のような多くの操作法により形成(非特許文献1)するか、又は、ゲルを乾燥し、そして次に得られる乾燥ゲルを所望のサイズの粒子に粉砕することにより嵩高ゲルから形成することができる。次に粒子を再溶媒和することにより粒状ゲルを形成できる。マイクロ(10−6メートル(m))〜ナノ(10−9m)の直径範囲のサイズを有する粒子はこの手段により製造できる。これらのサイズの範囲にある粒子により封鎖される物質の分子は全て、粒子の外表面に到達するまでの移動はほぼ同じ距離であり、ほぼゼロ次の放出動態を示すことになる。しかしながら、特定のゲルは自身に問題を含んでいる。例えば、選択された標的部位に向かうように粒子の播種を制御してそこに局在化させることは困難である。更に又、嵩高のヒドロゲルは形状保持可能で、種々の医療上の用途においてバイオ材料として有用となっている一方で、現在使用可能な粒状ゲルは形状保持不可能である。
【0007】
同時係属中の米国特許出願10/289,756はヒドロゲル粒子から形成された形状保持凝集塊を開示しており、即ち粒状ゲルの物質放出制御に嵩高ヒドロゲルの形状保持性を組合わせている。’756出願は水中のヒドロゲル粒子の懸濁液を調製すること、及び、粒子が癒着して疎水性/親水性相互作用及び水素結合を包含するがこれらに限定されない非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となるまで懸濁液を濃縮することを含む形状保持凝集塊の形成方法を開示している。
【特許文献1】米国特許3,063,685号
【特許文献2】米国特許4,272,518号
【特許文献3】米国特許5,582,794号
【特許文献4】米国特許5,292,515号
【非特許文献1】Landfesterら,Macromolecules,2000年,第33巻,p.2370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
凝集塊の形状が適用部位の形状により支配されるように、インサイチュで形状保持ゲル凝集塊を形成する方法を保有することは有用である。これは適用部位がインビボである場合、例えば関節再構築、創傷修復、薬物送達及び美容手術のようなバイオメディカル用途の場合に特に有用となる。本発明はそのような方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
即ち、1つの態様において、本発明はゲル粒子の形状保持凝集塊を形成するための方法であって、以下の工程:極性液体又は少なくとも1つが極性である混和性液体2つ以上の混合物に分散された複数のゲル粒子を含む懸濁系を準備すること、ここでゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位を有すること;及び、受容媒体中に選択された導入速度でオリフィスを通過させて懸濁系を導入すること、ここでゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位より低値(よりゼロ値に接近した)の第2の絶対ゼータ電位を獲得し、これにより、ゲル粒子は癒着して、疎水性−親水性相互作用及び水素結合を含む非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となることを含む上記方法を提供する。
【0010】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は懸濁系中約1〜約500mg湿潤重量/mLの濃度である。
【0011】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は懸濁系中約25〜約250mg湿潤重量/mLの濃度である。
【0012】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が1サイズ、化学的組成物1つ以上、及び、狭い多分散性のものである。
【0013】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が2つ以上の異なるサイズのものであり、異なるサイズの各々の組成は他の異なるサイズの各々組成と同じかまたは異なっており、全てのサイズは狭い多分散性のものである。
【0014】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子が1つ以上の化学組成及び広範な多分散性を含む。
【0015】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子がクラスター形成をもたらすような懸濁系中の濃度である。
【0016】
本発明の1つの態様において、懸濁系中のゲル粒子の濃度は約300mg湿潤重量/mL〜約500湿潤重量/mLである。
【0017】
本発明の1つの態様において、懸濁系を提供することは、下記工程:
極性液体又は極性液体の混合物中に、単量体又は2つ以上の異なる単量体を含む重合系を準備すること、ここで単量体又は2つ以上の単量体の少なくとも1つがヒドロキシ1つ以上及び/又はエーテル基1つ以上を含み、そしてここで極性液体又は極性液体2つ以上の少なくとも1つがヒドロキシ基1つ以上を含むこと;
重合系に界面活性剤0.01〜10モルパーセントを添加すること;及び、
単量体を重合して複数のゲル粒子を形成すること、ここで各粒子は重合体鎖複数を含むこと;
を含む。
【0018】
本発明の1つの態様において、懸濁系を準備することは、予備形成された乾燥ゲル粒子、液体及び界面活性剤を混合することを含む。
【0019】
本発明の1つの態様において、オリフィスは中空針を含む。
【0020】
本発明の1つの態様において、中空針は10ゲージ〜30ゲージの針よりなる群から選択される。
【0021】
本発明の1つの態様において、中空針は15ゲージ〜27ゲージの針よりなる群から選択される。
【0022】
本発明の1つの態様において、選択される導入速度は約0.05ml/分〜約15ml/分である。
【0023】
本発明の1つの態様において、選択される導入速度は約0.25ml/分〜約10ml/分である。
【0024】
本発明の1つの態様において、受容媒体はインビボ媒体である。
【0025】
本発明の1つの態様において、インビボ媒体は身体組織である。
【0026】
本発明の1つの態様において、身体組織は上皮、結合組織、筋肉及び神経よりなる群から選択される。
【0027】
本発明の1つの態様において、結合組織は血液、骨及び軟骨よりなる群から選択される。
【0028】
本発明の1つの態様において、単量体は2−アルケン酸、ヒドロキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、ヒドロキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート及びビシニルエポキシ(1C−4C)アルキル2−アルケノエート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0029】
本発明の1つの態様において、単量体はアクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0030】
本発明の1つの態様において、単量体は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される。
【0031】
本発明の1つの態様において、液体は水、(1C−10C)アルコール、(2C−8C)ポリオール、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)アルキルエーテル、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)酸エステル;ヒドロキシ末端ポリエチレンオキシド、ポリアルキレングリコール及びモノ、ジ又はトリカルボン酸のヒドロキシ(2C−4C)アルキルエステルよりなる群から選択される。
【0032】
本発明の1つの態様において、液体は水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、グリセロールモノアセテート、トリ(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、グリセリン、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノブチレート及びソルビトールよりなる群から選択される。
【0033】
本発明の1つの態様において、液体は水である。
【0034】
本発明の1つの態様において、方法は重合体鎖の交差結合をもたらす交差結合剤約0.1〜約15モル%を重合体系に添加することを含む。
【0035】
本発明の1つの態様において、交差結合剤はエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ジヒドロキシブタンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルタータレート、ジアリルマレエート、ジビニルタータレート、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、1,3−ジアリル2−(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジアリルイタコネート、ジ(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、トリアリルアコニテート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートよりなる群から選択される。
【0036】
本発明の1つの態様において、交差結合剤はα−ヒドロキシ酸エステルよりなる群から選択される。
【0037】
本発明の1つの態様において、交差結合重合体鎖は約3,000〜約2,000,000の平均分子量を有する。
【0038】
本発明の1つの態様において、方法は更に、重合の前に重合系の極性液体にワーキング物質1つ以上を添加することを含み、ここで重合の後、ワーキング物質含有液体の一部分がゲル粒子に封鎖されることによりワーキング物質含有ゲル粒子を形成する。
【0039】
本発明の1つの態様において、ワーキング物質含有ゲル粒子はワーキング物質含有液体約0.1〜約90重量パーセントを封鎖する。
【0040】
本発明の1つの態様において、方法は更に懸濁系にワーキング物質1つ以上を添加することを含む。
【0041】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊の形成時に、ワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントが形状保持凝集塊内に捕獲される。
【0042】
本発明の1つの態様において、方法は更に下記工程:
第1のワーキング物質1つ以上を重合系に添加することにより第1のワーキング物質含有液体を形成すること、ここで、重合後には第1のワーキング物質含有液体はゲル粒子により封鎖されること;
第2のワーキング物質1つ以上を懸濁系に添加することにより第2のワーキング物質含有液体を形成すること、ここで、形状保持凝集塊形成後に、第2のワーキング物質含有液体の一部分を形状保持凝集塊内に捕獲すること、ここで、第1のワーキング物質は第2のワーキング物質と同じかまたは異なっていてよく、そして第1のワーキング物質含有液体の液体は第2のワーキング物質含有液体の液体と同じかまたは異なっていてよいこと、
を含む。
【0043】
本発明の1つの態様において、第1のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが複数のヒドロゲル粒子に封鎖され;そして、第2のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが形状保持凝集塊内に捕獲される。
【0044】
本発明の1つの態様において、ワーキング物質は同じかまたは異なる生物医学的薬剤1つ以上を含む。
【0045】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤1つ以上は医薬品1つ以上を含む。
【0046】
本発明の1つの態様において、医薬品は更に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤を含む。
【0047】
本発明の1つの態様において、医薬品はペプチド又はタンパク質を含む。
【0048】
本発明の1つの態様において、医薬品は癌の治療のために有用である。
【0049】
本発明の1つの態様において、医薬品は冠動脈疾患の治療のために有用である。
【0050】
本発明の1つの態様において、医薬品は呼吸器疾患の治療のために有用である。
【0051】
本発明の1つの態様において、医薬品は感染性疾患の治療のために有用である。
【0052】
本発明の1つの態様において、医薬品は眼病の治療のために有用である。
【0053】
本発明の1つの態様において、医薬品は成長因子である。
【0054】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤は組織成長スカホールド(scaffold)物質1つ以上を含む。
【0055】
本発明の1つの態様において、生物医学的薬剤は美容用の組織増強物質を含む。
【0056】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子のサイズは直径で約10〜約75000ナノメートルである。
【0057】
本発明の1つの態様において、複数のゲル粒子のサイズは直径で約10〜約800ナノメートルである。
【0058】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は分解可能である。
【0059】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊は分解可能である。
【0060】
本発明の1つの態様において、ゲル粒子は分解可能であり、そして形状保持凝集塊が分解可能である。
【0061】
本発明の1つの態様において、形状保持凝集塊は弾性を有する。
【0062】
(発明の詳細な説明)
(表の簡単な説明)
表1は粒径及び多分散性に対する試薬濃度の影響を示す。
【0063】
表2は凝集塊形成に対する導入速度、オリフィスサイズ及び粒子濃度の影響を示す。
【0064】
表3は45μ〜150μのサイズの範囲のpHEMA粒子の懸濁物を用いた凝集に対する粒径の影響を示す。
【0065】
表4はHEMAのMAAに対する種々の比を用いて形成したヒドロゲル粒子よりなる凝集塊の浸食速度に対する重合体の型の影響を示す。
【0066】
表5は粒子クラスターの形成に対する粒子濃度の影響を示す。
【0067】
表6は種々のサイズのゲル粒子に関するゼータ電位を示す。
【0068】
表7はpHEMAヒドロゲル粒子のゼータ電位及び給水サイズに対するイオン強度の影響を示す。
【0069】
表8は粒子のサイズに対するpHEMA粒子の水性分散体へのアセトンの添加の影響を示す。
【0070】
表9は粒子のサイズに対するpHEMA粒子の水性分散体へのエタノールの添加の影響を示す。
【0071】
表10はpHEMA粒子の水性分散体におけるゼータ電位及び粒径に対する粒子濃度の影響を示す。
【0072】
表11は懸濁系が水のみ及び水+5%ゼラチンを含む場合の種々の粒径の粒子分散体から作成した凝集塊におけるFITC−BSA及びFITC−デキストランの負荷効率及びそこからのバースト放出を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書においては、「ゲル」という用語は特定の液体中ではそれ自体不溶性であるが液体大量を吸収して保持することにより安定な、そして頻繁には軟質で柔軟ではあるが、常時ある程度の形状保持性の構造を形成することができる三次元の重合体構造を指す。液体が水である場合は、ゲルはヒドロゲルと称する。特段の記載が無い限り、「ゲル」という用語は明細書全体を通じて水以外の液体を吸収している重合体構造、及び、吸収された水を有する重合体構造の両方を指すものとし、重合体構造が単に「ゲル」であるか「ヒドロゲル」であるかは、文脈から当業者には明らかな通りである。
【0074】
「極性液体」という用語は本明細書においては、化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。慨すれば、極性液体は、電子がその分子の原子の間で不均一に分散しているため、電気的な双極が生じているものである。極性である為には、分子は分子内の他の原子よりもより電気陰性度が高い原子少なくとも1つを含有しなければならない。極性液体の例は、限定しないが、酸素原子が部分的に負電荷を担持し、水素原子が部分的に正電荷を担持している水、及び、O−H部分が同様に分極しているアルコールを包含する。
【0075】
本明細書においては、「ゲル粒子」とは異なる形状の、通常、しかし必ずしもではない、球状又は実質的にそのような形状であるゲルの顕微鏡レベル又はそれ以下の量を指す。本明細書においては、「ゲル粒子」とは疎水性/親水性相互作用及び水素結合のような非共有結合性の物理的な力により共に保持されている個々の粒子の小型クラスターを包含し、その場合、クラスターは、それらを含有するゲル粒子懸濁液(懸濁系)の安定性、又は、本発明の方法における懸濁系の性能に悪影響を与えないものである。クラスターは懸濁液中のゲル粒子の濃度の変化により生じる。即ち、より高濃度においては、個々の粒子が非共有結合的な力のために充分相互に接近する可能性が高くなり、これが最終的に、本発明の形状保持凝集塊を共に保持し、それらの癒着を誘発する。
【0076】
本明細書においては、「懸濁液」とは固体が不溶である液体中の固体の均一に分布した安定な分散体を指す。界面活性剤は分散体の安定化を支援するために液体に添加してよい。本明細書においては、「懸濁系」とは、本発明のゲル粒子が分散した固体であるような懸濁液を指す。「安定な」とは、例えば遠心分離や濾過のような攪乱的外力に付されない限り、固体が少なくとも24時間均一に分散し続けることを意味する。
【0077】
本明細書においては、「界面活性剤」とは化学分野の当業者が一般的に理解する意味を有する。即ち、界面活性剤は、電荷においてアニオン性、カチオン性、両性イオン性、両向性又は中性であり、そして、それが溶解している液体の表面張力を低減するか、又は、2液間又は液体と固体の間の界面張力を低減する、可溶性の化合物である。
【0078】
本明細書においては、「形状保持凝集塊」という用語は、例えば、限定しないが、疎水性/親水性相互作用及び水素結合のような粒子間及び粒子−液体の力により、共に保持されている多数のゲル粒子よりなる構造を指し、ここで、その構造は、それを含む凝集塊又は粒子が分解可能であるように意図的に構築されない限り、それがどのような形状に切り出され、成型され、或いは、本発明の好ましい実施形態においてはインビボ注入時に整合するかに関わらず、無限に維持されるものである。
【0079】
本明細書においては、「分解可能である」形状保持凝集塊とは選択された物理的又は化学的な条件、例えば、温度、摩擦、pH、イオン強度、電圧及び/又は電流、酸度、アルカリ度、溶媒作用等への接触時に崩壊して個々のゲル粒子(又は粒子のクラスター)となる凝集塊を指す。
【0080】
本明細書においては、「分解可能な」ゲル粒子とは、崩壊して個別の重合体鎖又は部分的な鎖にまでなり、選択された物理的又は化学的な条件、例えば、温度、摩擦、pH、イオン強度、電圧及び/又は電流、酸度、アルカリ度、溶媒作用等への接触時に自身の球状又は他の個別の形状を失うゲル粒子を指す。
【0081】
本明細書においては、「受容媒体」とは本発明の懸濁系が導入され、そして本発明の形状保持凝集塊が形成する何れかの媒体を指す。本発明の目的のためには、受容媒体は個々のゲル粒子の絶対ゼータ電位が粒子の癒着をもたらし、最終的には本発明の形状保持凝集塊の形成をもたらすような水準まで低下するようなものである。
【0082】
本明細書においては、「エラストマー性の」、「弾性」及び「弾性の」という用語は、何れかの方向にその元の寸法の少なくとも150%まで外力により変形することができ、そして、力が除去されれば、即座にその概ね元の寸法を回復する形状保持凝集塊を指す。
【0083】
本明細書においては、「単量体」という用語は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。即ち、単量体は自身の反復単位の巨大分子、即ち重合体を形成することができる小型の化学物質である。2つ以上の異なる単量体が反応して重合体を形成してよく、その場合、単量体の各々は多数回反復され、重合体は共重合体と称され、それが1つ以上の単量体から形成されているという事実を反映するものとなる。
【0084】
本明細書においては、「サイズ」という用語は、本発明のゲル粒子を説明するために使用する場合は、当然ながらその体積に直接関わるその直径により表される本質的に球状の粒子の体積を指す。複数のゲル粒子に言及する場合は、サイズはその平均の直径により表される複数の粒子の平均の体積に関する。
【0085】
本明細書においては、「多分散性」という用語は懸濁系における粒子のサイズの範囲を指す。「狭小な多分散性」とは個々の粒子をその直径で表した場合のサイズが系の粒子の平均の直径からの偏差が10%以下である懸濁系を指す。懸濁系における粒子の2つ以上の複数体が共に狭小な多分散性と記述される場合は、その意味は、2つの異なるセットの粒子が存在し、そこにおいて、各セットの粒子がそのセットの粒子の平均の直径から10%以下だけ直径において変動しており、そして2つの平均が明確に異なっているということである。このような懸濁系の非限定的な例は、各粒子が20nm±10%の直径を有する粒子の第1のセット及び各粒子が40nm±10%の直径を有する粒子の第2のセットを含むものである。
【0086】
本明細書においては、「広範な多分散性」という用語は粒子のセットの個々の粒子のサイズがセットの粒子の平均のサイズからの偏差が10%以上である懸濁系を指す。
【0087】
本明細書においては、「複数」という用語は単に1つより多い、即ち2つ以上を指す。
【0088】
本明細書においては、本発明のゲル粒子に関するものとしての「化学組成」とは、粒子の重合体鎖を与える重合された単量体の化学組成、2つ以上の単量体を用いて粒子の重合体鎖を製造する場合は異なる単量体の化学組成及び比、及び/又は、粒子鎖を相互連結するために使用される何れかの交差結合剤の化学組成及び量を指す。
【0089】
本明細書においては、「粒子鎖」とは、単一の重合体分子、又は、鎖が存在する系が交差結合剤を含有する場合は、2つ以上の相互に連結された重合体分子を指す。特定のゲル粒子中において、交差結合される重合体鎖の平均数及び何れかの2つの重合体鎖の間の交差結合の数は系内の交差結合体の数及び重合体鎖の濃度により変動する。
【0090】
本明細書においては、「湿潤重量」とはゲル粒子が吸収可能な最大量の液体を吸収した後のその重量を指す。粒子がワーキング物質含有液体の約0.1〜約99重量パーセントを封鎖したと記述される場合、その意味は、ワーキング物質含有液体が、物質含有液体の封鎖後に粒子の重量の約0.1〜約99%を構成するということである。
【0091】
本明細書においては、「ワーキング物質」とはゲル粒子により封鎖されているか、本発明の形状保持凝集塊内に捕獲されている何れかの物質を指す。ワーキング物質の例は、生物医学的薬剤;生物学的活性物質、例えば医薬品、遺伝子、タンパク質、成長因子、モノクローナル抗体、フラグメント化抗体、抗原、ポリペプチド、DNA、RNA及びリボザイム;農薬(除草剤、殺カビ剤、殺虫剤、植物成長ホルモン等);放射線非透過性物質;放射性物質、顔料;染料;金属;半導体;ドーパント;化学的中間体;酸;及び塩基を包含するがこれらに限定されない。
【0092】
本明細書においては、「医薬品」という用語は、薬剤として使用される小型分子及び巨大分子の化合物の両方を指す。前者に属するものは、限定しないが、抗生物質、化学療法剤(特に白金化合物及びタキソール及びその誘導体)、鎮痛剤、抗欝剤、抗アレルギー剤、抗不整脈剤、抗炎症化合物、CNS刺激剤、鎮静剤、抗コリン作用剤、抗アテローム性動脈硬化症剤等が挙げられる。巨大分子化合物は、限定しないが、モノクローナル抗体(mAb)、Fab類、タンパク質、ペプチド、細胞、抗原、核酸、酵素、成長因子等を包含する。医薬品は局所用又は全身投与による使用を意図してよい。
【0093】
本明細書においては、「金属」とは、その光沢、可鍛性、伝導性及び陽イオン形成能により識別される元素周期律表中の元素を指す。特に本発明の目的のための金属は、遷移元素と称され、即ち、周期律表の第IB族、第IIB族、第IIIB族(希土類及びアクチニド金属を含む)、第IVB族、第VB族、第VIB族、第VIIB族及び第VIII族を指す。
【0094】
本明細書においては、「貴金属」という用語は金、銀、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムを指す。
【0095】
本明細書においては、「合金」とは金属の特性を保有し、そして少なくとも1つが金属で無ければならない2つ以上の元素よりなる物質を指す。合金の例は、限定しないが青銅、真鍮及びステンレス鋼を包含する。
【0096】
本明細書においては、「酸化状態」という用語は金属イオン上の電荷を指し、その電荷は元素の原子による電子の損失の結果である。「ゼロ酸化状態」又は「基底状態」とは、金属がその完全な電子状態にあるものを指す。「酸化状態1」即ちMを金属としたとき通常はM+1と記載されるものは、プロトン上の電荷に等しい単一の正電荷を意味し、そして電子1つの損失の結果生じるものであり、「酸化状態2」即ち「M+2」とは、プロトン2つに等しい正電荷を意味し、そして電子2つの損失の結果生じるものである。
【0097】
本明細書においては、「半導体」とは電気抵抗値が絶縁物質の値と金属(導体)の値の中間、即ち約10−2〜109オーム−cmである結晶性の元素又は化学物質を指す。半導体はある条件下では電気を伝導するが別の条件ではしない。もっともよく知られている半導体元素にはシリコンがある。半導体元素の他の例は、限定しないが、アンチモン、砒素、ホウ素、炭素、ゲルマニウム、セレン、イオウ及びテルルを包含する。半導体化合物の例は、限定しないが、ガリウム砒素、インジウムアンチモン及び大部分の金属の酸化物を包含する。
【0098】
本明細書においては、「ヒドロキシ」とは−OH基を指す。
【0099】
本明細書においては、「エーテル」とは少なくとも1つ−C−O−C−構造の特徴を含有する化学物質を指す。
【0100】
本明細書においては、「アルキル」という用語は直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素、即ち炭素及び水素のみよりなる化合物を指す。含有する炭素原子の数によるアルキルのサイズは式(aC−bC)アルキルで示され、ここでa及びbは整数である。例えば、(1C−4C)アルキルとは炭素原子1、2、3又は4個よりなる直鎖又は分枝鎖のアルキルを指す。アルキル基は置換又は未置換であってよい。
【0101】
本明細書においては、「ヒドロゲル粒子間の空隙」という表現は、本質的に球状のゲル粒子が本発明の形状保持凝集塊を形成する際にその円周において接する開放空間を指す。空隙の体積は球の平均半径の0.414倍として近似できる。
【0102】
本明細書においては、「交差結合剤」とは重合体鎖上の官能基と共有結合を形成することにより三次元構造をもたらすことができる2、3又は4官能性の化学的実体を指す。
【0103】
「水素結合」とは高度に電気陰性の原子に共有結合した水素原子と少なくとも1つの孤立電子対を有する別の電気陰性原子の間の電子求引を指す。水素結合の強度約23kj(キロジュール)モル−1は、共有結合約500kJモル−1とファンデルワールス求引約1.3kJモル−1の間である。水素結合はそれを形成できる組成物の物理的特性に顕著な影響を与える。例えばエタノールは非共有の電子の対(即ち「孤立電子対」)をやはり有している酸素原子に共有結合した水素原子を有し、従って、エタノールは自身と水素結合することができる。エタノールは78℃の沸点を有する。一般的に、同様の分子量の化合物は同様の沸点を有することが期待される。しかしながら、エタノールと全く同じ分子量を有するがその分子の間で水素結合できないジメチルエーテルは、エタノールよりほぼ100℃低値の沸点−24℃を有する。エタノール分子間の水素結合は、それが実質的にはより高値の分子量を有するがごとくエタノールを機能させている。
【0104】
本明細書においては、「荷電した」ゲル粒子とは、粒子の重合体鎖を形成している単量体のイオン含有量、及びこれらの粒子の存在する環境に起因する、局在した正又は負の電荷を有する粒子を指す。例えば、限定しないが、コモノマーとしてアクリル酸を含むヒドロゲル粒子は、塩基性条件下において、酸基の一部又は全てがイオン化される、即ち−COOHが−COO−となる状況において存在することになる。別の例はアミノ(−NH2)基であり、これは酸性環境においては、アンモニウム(−NH3+)イオンを形成することになる。
【0105】
本明細書においては、「ゼータ電位」とは本明細書において使用する場合は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。慨すれば、荷電した粒子を電気分解溶液に懸濁する場合、対イオン(粒子とは逆の電荷のイオン)の層が粒子の表面に形成される。この粒子層は粒子の表面に強力に付着しており、Stern層と称する。第2に、粒子と同じ電荷(そしてStern層を形成する対イオンの電荷と逆、しばしばコイオンと称される)のイオンの拡散層が後に強力に吸収されている内部の層の周囲に形成される。Stern層の付着した対イオン及び拡散層内の荷電した雰囲気は「二重層」と称され、その厚みは溶液中のイオンの種類及び濃度により変動する。二重層が形成されると粒子の電荷が中和される。これにより粒子表面と懸濁液の何れかの地点との間の動電的電位が生じる。ミリボルト(mV)レベルの電圧の差は表面電位と称される。電位はStern層では本質的に直線的、そして次に拡散層では指数的に低下する。
【0106】
荷電粒子は電圧場において固定された速度で移動し、これは電気泳動と称される現象である。その運動性は移動粒子と周囲の液体の間の境界における電気的電位に比例する。Stern層は粒子に堅固に結合しており、拡散層はそうではないため、先行する境界は通常はStern層と拡散層の間の境界として定義され、スリップ面と称される場合が多い。Stern層と拡散層の接合部における電気的電位は粒子の運動性に関連する。スリップ面における電位が中間的な値である場合、例えば電気泳動による測定のしやすさ及び安定性との直接の関係により、懸濁液中の分散粒子の理想的な特徴がもたらされる。この電位がゼータ電位である。ゼータ電位は粒子上の初期電荷に応じて正又は負であることができる。「絶対ゼータ電位」という用語は電荷符号を有さない粒子のゼータ電位を指す。即ち例えば+20mV及び−20mVの実際のゼータ電位は共に絶対データ電位20を有することになる。
【0107】
液体中に懸濁した荷電粒子は2つの逆の力、即ち安定な分散体に寄与する静電的反発力、及び、粒子の癒着、又は粒子が最初に集合する際に言及される「凝集(フロキュレーション)」に寄与するファンデルワールス力の間の均衡に主に依存しながら安定な分散状態を続けるか凝塊形成する傾向を示す。分散した粒子のゼータ電位は静電的反発力の強度に関連し、このため大きい絶対ゼータ電位は安定な懸濁に寄与する。即ち、約30mV以上の絶対ゼータ電位を有する粒子は、このレベルにおいては静電的反発力が粒子を隔離しておくために充分であることから、安定な分散を形成する傾向を有する。一方、ゼータ電位の絶対値が約30未満である場合は、ファンデルワールス力は静電的反発力を克服するのに充分強力であり、粒子は凝集する傾向を示す。
【0108】
特定の溶媒中の特定の組成の粒子のゼータ電位は、例えば液体のpH、液体の温度、液体のイオン強度、液体中の溶液中のイオンの種類、及び液体中の界面活性剤の存在、及び存在する場合はその種類及び濃度を変更することにより操作してよい。
【0109】
本明細書においては、「賦形剤」とは医薬組成物に対してその投与を容易にするために添加される不活性の物質をさす。賦形剤の例は、限定しないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類及び澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールを包含する。「製薬上許容しうる賦形剤」とは生物に対して多大な刺激を誘発せず、そして投与される化合物の生物学的活性及び特性を無効としない賦形剤を指す。
【0110】
本明細書においては、「治療において有用な」という表現は薬剤が直接的又は間接的に、指定された疾患を抑制、好ましくは破壊又は脱活性化するか、又は疾患の症状を少なくとも軽減、好ましくは除去することを意味する。癌に関しては、薬剤は罹患した個体の平均寿命を少なくとも増大させることがわかっている。
【0111】
本明細書においては、「癌」という用語は悪性の新生物を指し、これは更に、潜在的に分裂している細胞よりなる実質的に如何なる組織においても生じえる疾患の大きいグループに関するものである。癌の基本的特徴は侵襲性の成長及び転移を介して宿主に対して重篤で致命的な影響をもたらすような、成長及び機能の制御不良により顕在化する細胞の伝播性の異常である。
【0112】
本明細書においては、「冠動脈疾患」とはアテローム性動脈硬化症により生じる冠動脈の狭窄を指し、これは、充分重度である場合は、心筋(心臓の筋肉)への血流を制限、又は最も重篤な形態においては完全に封鎖する。
【0113】
本明細書においては、「呼吸器疾患」とは肺が適切に機能しないために呼吸に障害が生じる疾患を指す。呼吸器疾患の例は、限定しないが、喘息、結核、嚢胞性線維症及び肺炎を包含する。呼吸器疾患の治療において有用な医薬品の例は、限定されない。
【0114】
本明細書においては、「眼病」とは眼が適切に機能しないため視野に障害が生じる疾患を指す。眼病の例は、限定しないが、緑内障、黄斑変性、糖尿病性網膜症及び白内障を包含する。眼病の治療に有用な医薬品の例は、限定されない。
【0115】
本明細書においては、「感染性疾患」とは、微生物、例えば限定しないが、細菌、ウィルス、プリオン、カビ、アメーバ又は原虫により伝播される何れかの疾患を指す。一般的に感染性疾患は伝染性の性質を有しており、1個体から別の個体に伝播し、そして他の個体において重篤な疾病を生じさせることができる。感染性疾患の治療において有用な医薬品の例は限定されない。
【0116】
本発明の形状保持凝集塊は本明細書の開示を用いて操作してよく、これにより、上記した疾患の何れかの治療及び/又は予防において有用であるとして当業者に現在知られているか今後知られることになる実質的に如何なる医薬品も封鎖及び/又は捕獲することができ、そして、そのような医薬品は全ての本発明の範囲に包含される。
【0117】
本明細書においては、「約」という用語はその±15%の数値の変動の意味を有する。
【0118】
本明細書においては、「エキソビボ」という用語は生命体の外部、例えば限定しないが、ペトリ皿中、土壌中、表面水中、液体の有機媒体中等で実施される何れかの方法又は操作を指す。
【0119】
本明細書においては、「インビボ」という用語は植物又は動物であってよい生命体内部、特に人間において実施される何れかの方法又は操作を指す。
【0120】
本明細書においては、「親水性/疎水性相互作用」という用語は物理的な力を介した化学的実体の分子間又は分子内の会合を指し、これにより親水性の化合物又は化合物の親水性の領域が他の親水性化合物又は化合物の親水性の領域と会合する傾向を示し、そして、疎水性の化合物又は化合物の疎水性の領域が他の疎水性化合物又は化合物の疎水性の領域と会合する傾向を示す。
【0121】
本明細書においては、「オリフィス」とは当該分野の当業者により一般的に理解される意味を有し、即ち、開口部、特に本発明に関しては本発明の懸濁液を通過させることにより別の媒体へのその導入速度を制御する開口部である。
【0122】
本明細書においては、「ゲージ」という用語は医療分野の当業者により一般的に理解される意味を有し;即ち、中空針の外径を指し、この場合、外径は針の管腔の直径に直接関係してくる。ゲージが高値であるほど、即ち例えば「38ゲージ」のように数字が大きいほど、針の外径は小さくなり、従って管腔は小さくなる。
【0123】
本明細書においては、「封鎖する」という用語は化学分野の当業者により一般的に理解される意味を有し、即ち、ある時間、物質を吸収して保持することを指す。本発明に関しては、物質は本発明のゲル粒子により、その形成の間、吸収され、そしてその中に保持、即ち封鎖されてよい。
【0124】
本明細書においては、「捕獲された」という用語は、本発明の形状保持凝集塊を含むゲル粒子の間の空隙内に物質をある時間保持することを指す。
【0125】
本明細書においては、「平均分子量」という用語は本発明の個々の重合体鎖又は交差結合重合体鎖の重量を指す。本発明の目的のためには、レーザー光散乱検出を用いたゲル透過クロマトグラフィーにより平均分子量を測定する。
【0126】
本明細書においては、「成長因子」とは細胞表面上の成長因子受容体により結合された場合に、細胞のサイズが成長して分裂することを刺激する特定のポリペプチドを指す。成長因子受容体は、特定の成長因子に対する厳密な受容体を発現する細胞のみがその成長因子により刺激されるように、各成長因子に対して特異的である。成長因子の例は、限定しないが、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子(IGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)及び血小板由来成長因子(PDGF)を包含する。
【0127】
本明細書においては、「組織スカホールド(tissue scaffold)」とは傷害又は疾患を介して損失した組織を再生するために細胞が結合して成育するフレームワークとしてインビボで使用される高度に多孔性の人工の三次元の細胞外マトリックスを指す。
【0128】
本明細書においては、「美容用の組織増強」とは、何れかの身体の特徴の再構築又は増強、例えば限定しないが、乳房再構築又は増強、口唇増強、皺除去、顔面組織再構築等を包含する。
【0129】
(考察)
本発明の形状保持凝集塊は、粒子が絶対ゼータ電位を有するような液体又は混和性液体の混合物中に分散された個々のゲル粒子を含む懸濁系を調製すること、そして次に、懸濁液中の粒子の分散が脱安定化されて粒子が凝塊形成して粒子の凝集塊となるような点まで粒子の絶対ゼータ電位が低下するような受容媒体中に懸濁系を導入することにより形成する。凝集が起こる点までのゼータ電位の低下を達成するためには、受容媒体は懸濁系とは異なるイオン強度又は異なるpHにあってよく、及び/又はそれは懸濁系に添加される界面活性剤の作用を希釈することにより懸濁液の安定化を支援してよい。ゼータ電位の変化が本発明のゲル粒子の初期癒着をもたらすが、形状保持凝集塊においてそれらが共に保持されるように誘導することはそれらの独特の物理的及び化学的特徴である。即ち、本発明の粒子は、一端癒着すれば、強力な粒子間及び粒子−液体の相互作用、例えば限定しないが、疎水性−親水性相互作用及び水素結合により共に保持され、そして後者は本発明のゲル粒子を構成する重合体鎖を生じさせるために使用される単量体の少なくとも1つがヒドロキシ基1つ以上及び/又はエーテル基1つ以上を含まなければならず、そして、懸濁系において使用される液体少なくとも1つがヒドロキシ基少なくとも1つを含まなければならないという側面によるものである。
【0130】
個々のゲル粒子を構成する重合体の化学組成は、得られる凝集塊が安定であり、広範な環境又は生理学的条件の下に容易に分解しないように、操作することができる。一方、粒子の化学組成又は凝集塊の化学的環境は粒子又は凝集塊又は両方が予測可能で制御可能な態様において選択された条件下に分解するものであることができる。例えば限定しないが、適切なゲル粒子組成を選択することにより、特定の温度、pH、イオン強度、電流等において分解する凝集塊を構築できる。又は、添加剤を凝集塊マトリックス形成時にその内部に捕獲させることができ、これにより、得られた凝集塊は、種々の環境及び/又は生理学的条件への曝露時の構造、組成及び/又は反応性の添加剤による変化に応じて、分解することになる。
【0131】
ゲル粒子は、重合時に水素結合可能な重合体を与えるような単量体から一般的には選択される単量体1つ以上よりなる重合系において製造する。この能力を有する単量体の一般的なクラスは、限定しないが、ヒドロキシアルキル2−アルケノエート、例えばヒドロキシ(2C−4C)アルキルメタクリレート及びヒドロキシ(2C−4C)アルキルアクリレート;ヒドロキシ((2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル)アルカノエート、例えば2−ヒドロキシエトキシエチルアクリレート及びメタクリレート;(1C−4C)アルコキシ(1C−4C)アルキルメタクリレート、例えばエトキシエチルメタクリレート;2−アルカン酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸;(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル)アルカノエート、例えばエトキシエトキシエチルアクリレート及びメタクリレート;N−ビニルピロリドン、例えばN−モノ及びジ−(1C−4C)アルキルビニルピロリドン;2−アルケンアミド、例えばN−(1C−4C)アルキル−2−アルケンアミド及びN,N−ジ−(1C−4C)アルキル−2−アルケンアミド、例えばN−(1C−4C)アルキルアクリルアミド、N−(1C−4C)アルキルメタクリルアミド、N,N−ジ−(1C−4C)アルキルアクリルアミド及びN,N−ジ−(1C−4C)アルキルメタクリルアミド;ジアルキルアミノアルキル2−アルケノエート、例えばジエチルアミノエチルアクリレート及びメタクリレート;ビニルピリジン;ビシナル−エポキシアルキル2−アルケノエート、例えばビシナルエポキシ(1C−4C)アルキル)メタクリレート及びビシナルエポキシ(1C−4C)アルキル)アクリレート、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0132】
現時点で好ましい単量体は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、及びこれらの混合物を包含する。現時点で特に好ましい単量体は2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)である。
【0133】
水素結合できないコモノマーを重合系に添加することにより得られるゲル粒子の物理的及び化学的特性を改変してよい。上記単量体と共に使用してよいコモノマーの例は、限定しないが、アクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメタクリルアミド、メチルビニルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリル酸及びメタクリル酸である。
【0134】
更に又、非重合性添加剤、例えば限定しないがアルキルアルカノエート、例えばメチルブチレート、ブチルアセテート等を重合反応に添加することにより、得られるゲル粒子の物理的及び化学的特性を更に改変してよい。
【0135】
交差結合剤もまた重合系に添加することにより得られるゲル粒子の三次元構造を強化してよい。交差結合剤は非分解性であることができ、例えば限定しないが、エチレングリコールジアクリレート又はジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、ジアリルモノエチレングリコールシトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、無水マレイン酸とトリエチレングリコールのポリエステル、ジアリルアコニトレート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートが挙げられる。他の非分解性の交差結合剤は本明細書の開示に基づけば当業者には明らかになるものである。
【0136】
一方、交差結合剤は選択された条件下に分解するように選択することにより、分解可能なゲル粒子を製造する手段を提供してよく;即ち、交差結合剤が分解するに従って、ゲルマトリックスを構成している重合体鎖の安定性が相応に低減して粒子が単に離れる点にまでいたる。分解可能な交差結合剤の例は限定しないが、ジアリルタータレート、アリルピルベート、アリルマレエート、ジビニルタータレート、ジアリルイタコネート及びイタコン酸のエチレングリコールジエステルを包含する。
【0137】
現時点で好ましい分解可能な交差結合剤は同時係争中の米国特許出願09/338,404に記載されており、これは本明細書に全体が記載されているがごとく図面も含めて参照により本明細書に組み込まれる。これらの交差結合剤はカルボキシル基少なくとも2つ及び交差結合官能基少なくとも2つを有する分子よりなる単量体又はオリゴマーである。交差結合官能基少なくとも1つとカルボキシル基少なくとも1つの間は1−6反復の生体分解性のポリ(ヒドロキシアルキル酸エステル)配列となる。
【0138】
本発明の別の実施形態においては、本発明のゲル粒子を始めから、即ち適切な条件下に単量体を重合することにより製造するのではなく、むしろ、形状保持凝集塊は塊状の重合体から製造してよい。塊状の重合体は市販の重合体であってよく、或いは、それらは従来の重合手法、例えば限定しないが溶液、懸濁又は水性重合により製造してよい。後者の場合は、次に重合体を処理して残留する単量体及び何れかのその他の望ましくない物質を除去した後に乾燥する。製造された、又は市販の乾燥した脆弱な塊状の重合体を次に粉砕、微粉末化等により破砕し、破砕片を当該分野で知られた手法を用いて分篩し、異なるサイズの別個の粒子とする。所望のサイズの範囲の粒子を選択された液体又は液体の組み合わせの中において、それらが可能な限り大量の液体を吸収するまで、すなわちそれらがその湿潤重量に到達するまで、界面活性剤を添加するかすることなく攪拌する。この後、粒子は本発明の形状保持凝集塊を形成するための受容媒体への導入に付すことができる。
【0139】
本発明の重合系及び懸濁系の両方において使用するための現時点で好ましい液体は水であり、その場合、粒子はヒドロゲル粒子となる。
【0140】
特定の有機性の液体もまた本発明の方法において使用してよい。一般的に、それらは約60℃超、好ましくは約200℃超の沸点を有する。これらの液体の使用は、絡合した堅固な凝集塊の形成をもたらす。本発明の凝集塊を形成する場合に特に有用な有機性の液体は、水混和性のオキシアルキレン重合体、例えばポリアルキレングリコール、特に分篩内の複数のオキシエチレン(−OCH2CH2−)単位及び約200℃超の沸点を特徴とするものである。
【0141】
本発明の方法において使用してよい現時点で好ましい有機性の液体は生物学的に不活性で非毒性の極性の水混和性の有機性の液体、例えば限定しないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール−1,3、ブタンジオール−1,4、ヘキサンジオール−2,5.2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ヘプタンジオール−2,4、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びより高級なポリエチレングリコール及び約2000まで、好ましくは約1600までの分子量を有する他の水溶性のオキシアルキレン単独重合体及び共重合体である。例えば限定しないが、平均分子量200〜1000を有するエチレンオキシドのヒドロキシ末端重合体、約1500まで、好ましくは約1000までの分子量を有する水溶性オキシエチレンオキシプロピレンポリオール(特にグリコール)重合体、プロピレングリコールモノエチルエーテル、モノアセチン、グリセリン、トリ(ヒドロキシエチル)シトレート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、ヒドロキシプロピルアセテート、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、液体ソルビトールエチレンオキシド付加物、液体グリセリンエチレンオキシド付加物、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールジアセテートを使用してよい。
【0142】
本発明の別の実施形態においては、10−9メートル〜10−6メートルの名目サイズを有するヒドロゲル粒子を酸化還元、フリーラジカル又は光開始による重合により、界面活性剤を含有する水において製造する。この態様に置いては、比較的狭小な多分散性の粒子を製造できる。特定の用途のため、例えば限定しないが生物学的活性物質の長期間にわたる放出が望まれる場合は、広範な多分散性の粒子を形成してよい。
【0143】
一方、薬剤の逐次的放出又は異なる時点におけるバースト放出が連続放出よりもむしろ目的である場合は、異なるサイズであるが各サイズ内において狭小な多分散性のグループ2つ以上を使用してよい。例えば限定しないが、異なるサイズであるが狭小な多分散性のゲル粒子は、特定の生物学的活性物質を含有する別個の重合系において本発明に記載した手法を用いて形成してよい。次に物質含有粒子を単一の懸濁系内で組合わせてよい。粒子のサイズの相違により、生物学的活性物質は異なる種々の時点においてバースト放出されることになる。同じ手法を用いるが第1の生物学的活性物質を重合系の1つに添加し、そして別の生物学的活性物質を第2の重合系に添加すれば、異なる種々の時点においてその特定の活性物質を放出する、即ち逐次的放出の粒子を含有する懸濁系が形成される。
【0144】
懸濁系を受容媒体に導入する前に、懸濁系を処理して未反応の単量体、界面活性剤及び非封鎖の生物学的活性物質を懸濁系の液体から除去及び/又は未反応の単量体及び界面活性剤を粒子に吸収された水から除去することが望ましい場合がある。限定しないが透析、抽出又は旋回流濾過のような手法を用いて粒子及び懸濁系を浄化してよい。次に所望により凝集塊形成の前に懸濁系を濃縮してよい。受容系への導入に付してよい懸濁系における粒子の濃度は約1〜約500mg/ml、より好ましくは約25〜150mg/mlの範囲であることが現時点では好ましい。懸濁系から界面活性剤を除去するよりはむしろ、それを重合及び初期懸濁系の形成の際に使用したものよりも更に製薬上許容しうるものと交換することが望ましい場合もある。
【0145】
次に、生物学的活性物質を含有する精製された粒子の懸濁液は、粒子の絶対ゼータ電位が低下する結果として粒子が癒着して本発明の形状保持凝集塊を形成して懸濁系が導入される媒体が存在する位置の形状に凝集塊の形状が適合するような媒体中に導入する。
【0146】
一般的に、インビボ用途、例えば薬物送達の場合には、懸濁系が導入される位置は体液、例えば限定しないが、血漿、細胞外、血管外、象牙質、間質、眼内、細胞間及び滑膜の液体、血液、血清等を含んでいる身体組織となる。特定の適用の部位に由来する体液の代表的試料中のその適用のために意図される粒子のゼータ電位を測定することにより粒子が凝塊形成して形状保持凝集塊となることを確実なものとすることは可能であるが、そのようなことは一般的に必要ではない。即ち、本発明の懸濁系は一般的には選択された保存条件下では安定であるが、イオン、pH等のような生理学的条件に付されればゼータ電位の低下及びその後の癒着及び凝集を起こすように製造される。
【0147】
多くの要因が本発明の凝集塊の化学的及び物理的な特徴に影響する。その1つは個々のヒドロゲル粒子を形成するために使用される重合体の分子量である。低分子量の重合体よりなるヒドロゲル粒子は一般的に安定で強力な凝集塊を形成しないことがわかっている。即ち、より高分子量の重合体が現時点では好ましい。交差結合剤の使用は低分子量重合体に関わる問題点の一部を軽減できるが、大量すぎる交差結合剤は有害である。ヒドロゲル粒子が大量の交差結合剤を含有する場合、及び/又は、交差結合剤が高度に疎水性である場合は、得られる重合体ネットワークは液体の最適な吸収を可能とせず、これにより好適度の低下した凝集塊しか得られなくなる。本発明のゲル粒子を含む重合体は約3,000〜約2,000,000Daの範囲の分子量を有することが現時点では好ましい。これは、適切な市販の重合体を選択することにより、所望の分子量範囲の重合体を与える重合系を使用することにより、又は、短い重合体鎖を連結するために重合系に交差結合を含有させることにより所望の分子量範囲に到達することにより、達成してよい。
【0148】
粒径も又凝集塊の特性に影響する。より小さいゲル粒子は一般的により容易に液体を吸収し、より弾力性のあるマトリックスを与えることが測定されている。やはり平均粒径により特徴付けられる通り、約10〜約75,000nm、より好ましくは約10〜約800nmの範囲のサイズを有するゲル粒子が現時点では好ましい。
【0149】
交差結合剤を使用する場合は、その化学組成及び使用量、即ち生じる交差結合の密度は前記した粒子の特性に影響し、又これにより形成される凝集塊の特性に影響することになる。本発明のゲル粒子の製造において使用される交差結合剤の量は好ましくは単量体の約0.001〜約10、好ましくは約0.1〜約2モルパーセントの範囲である。
【0150】
分子量および使用する懸濁液の化学組成もまた、一部の液体は粒子により封鎖され、一部は凝集塊に捕獲されることから、得られる凝集塊に影響してくる。例えば、前記した通り、水は現時点では重合系及び懸濁系の両方にとって好ましい液体である。5%グリセリン又は20%ポリエチレングリコールを水に添加した場合、封鎖又は捕獲されたFITC−BSA及びFITC−Dexの放出速度は後述する実施例に記載するとおり実質的に改変される。
【0151】
懸濁系におけるゲル粒子の濃度は得られる凝集塊の特性に影響するが、その主な理由は高濃度ではゲル粒子は癒着して粒子クラスターとなり、次にこれが凝集して形状保持凝集塊になるという事実である。上記した通り、懸濁液媒体中のゲル粒子の現時点で好ましい濃度は約1〜約500mg/ml、より好ましくは25〜150mg/mlである。
【0152】
使用する界面活性剤の化学組成及び量は本発明の凝集塊の物理的及び化学的な特性に影響する。例えば図8は界面活性剤の選択が凝集速度に影響し、そしてこれが次にワーキング物質の凝集塊への取り込み及びその後の取り込まれた物質のバースト放出の規模に影響することを示している。
【0153】
オリフィスのサイズ及びそれを経由する懸濁系の受容系への導入の速度もまた得られる凝集塊の物理的特性に影響する。一般的に、緩徐な導入速度及び大型の孔径を用いることは、フロキュレーションを殆ど伴うことのない緊密で柔軟な凝集塊の迅速な形成をもたらす。受容媒体への懸濁系の導入のための現時点で好ましい手段は、孔径として10〜30ゲージ、好ましくは15〜27ゲージの中空針を使用すること、及び約0.05〜約15ml/分、現時点で好ましくは約0.25〜約10ml/分の速度で受容媒体中に懸濁系を導入することである。
【0154】
上記した種々のパラメーターは当然ながら相互に依存している。例えば、限定しないが凝集塊の物理的特性は所定の導入速度及び孔径における懸濁液中のヒドロゲル粒子の濃度に直接比例する。より高濃度のヒドロゲル粒子は、凝集塊媒体中への導入時により緻密で迅速な凝集塊を形成するのに対し、懸濁液中のヒドロゲル粒子がより低濃度であればフロキュレーションを伴いながらより拡散した凝集塊を形成する。しかしながら、濃度が高すぎると粒子がもはや均一に懸濁しなくなるため生産性に逆行する場合がある。更に又懸濁系中のヒドロゲル粒子の濃度及びサイズ、導入速度及び孔径を一定に維持すれば、使用する界面活性剤の種類及び量が凝集時間及び得られる凝集塊の品質に影響してくる。
【0155】
本発明の現時点で好ましい実施形態においては、ヒドロゲル粒子は界面活性剤を含有する水中の非イオン性単量体を重合することにより形成する。ヒドロゲル粒子の懸濁液を処理して単量体及び他の不純物を除去する。次に、粒子の絶対ゼータ電位を低下させて粒子が自己組み立てを起こしてコンパクトな弾性を有する形状保持凝集塊となるように、懸濁液をより高いイオン強度の受容媒体、例えばPBS、血清又は他の体液に注入することにより凝集塊を形成する。媒体がインビボである場合、即ちそれが身体組織である場合は、形状保持凝集塊はそれが注入される身体の領域の形状を推定してそれを維持する。受容媒体がエキソビボである場合は、それは、限定しないが、更に加圧形状化、押し出し又は成型に付されて所望の形状となり、これをそれは凝集塊が水和状態に維持される限り保持することになる。
【0156】
本発明の別の実施形態においては、種々の程度のイオン特性を有する単量体をノニオン系単量体と共重合させることにより上記した通り後に癒着して凝集塊となるヒドロゲル粒子を形成する。これらの凝集塊は適切な環境条件下に分解し、特定の用途、例えば分解して腎を経由して浄化されるインビボの薬剤放出系のための望ましい特徴を示す。即ち個々のヒドロゲル粒子のイオン特性は、その直ぐ周囲の環境のpH、温度、イオン強度、電流等に応じてそれらを分解し易くするのである。個々の粒子の分解は崩壊、又は少なくとも凝集塊の構造的一体性の損失をもたらす。
【0157】
個々のゲル粒子の分解及びそれによる凝集塊の分解もまた、ゲル粒子の形成において分解可能な交差結合剤を使用することにより達成してよい。得られる凝集塊は交差結合剤の分解を誘発する環境条件下において分散することになる。交差結合剤は例えば、限定しないが、pH、温度、イオン強度、電流、電磁波、放射能のような選択された条件下において、そして体液中において分解するように製造できる。
【0158】
本発明の凝集塊は、例えば限定しないが、生物学的活性物質の所定位置への送達を包含する多くの用途を有する。用途は農業、例えば限定しないが殺カビ剤、殺虫剤又は除草剤の商業用作物、例えばトウモロコシ、メンカ、ダイズ、コムギ等への送達であってよい。或いは、標的は作物を成長させる成長媒体、例えば土壌であってよく、栄養物質等の送達を包含してよい。標的は土壌中の環境汚染物質であってよく、その汚染物質は本発明の凝集塊を用いて制御可能に分解してよい。標的は獣医分野であってよく、例えば爬虫類、哺乳類及び鳥類のような動物への医薬の送達を包含してよい。特に標的は患者への医薬品の制御された指向性の送達を行う場合のヒトであってよい。
【0159】
本発明の1つの実施形態において、生物学的活性剤は水和したヒドロゲル粒子の水性懸濁液中に溶解又は懸濁し、次にこれをより高いイオン強度の受容媒体に導入することによりゼータ電位を低下させ、凝集塊を生じさせる。注射前の瞬時注射用液体の均質性を確保するためには水溶性の物質が現時点で好ましいが、常時それが必要となるわけではない。界面活性剤のようなアジュバントを添加することにより、限定された溶解度の生物学的活性物質の懸濁液を比較的均質にすることができる。懸濁液が受容媒体に導入され、凝集塊が形成されるのに従い、生物学的活性物質は凝集塊の粒子の間の空隙を充填している液体中に捕獲される。a)エキソビボで形成する場合は、形成される弾力性を有する形状保持凝集塊を洗浄することによりその表面に緩やかに接着していた生物学的活性物質を除去することができる。次に凝集塊は所望により意図する用途のために更に形状付与することができる。例えば、限定しないが意図する用途が感染症の治療である場合は、凝集塊を創傷に直接フィットするように形状化し、その内部に含まれる抗生物質を放出させるようにできる。同様に、用途が癌患者の標的臓器への化学療法剤、例えば限定しないがパクリタキセル又はシスプラチンの送達である場合は、凝集塊が罹患部位における移植を容易にするために形状化できる。
【0160】
凝集塊をインビボで製造する場合は、特定の量の生物学的活性物質を、生物学的活性物質の種類及びサイズ及び凝集塊形成の速度に応じて、捕獲させる。凝集塊形成の速度は懸濁系の粒径及び濃度、懸濁系中及び受容媒体内への導入後の粒子の絶対ゼータ電位、使用される界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせの種類及び量、受容媒体、受容系の温度、受容媒体への懸濁系の導入速度、及び、受容媒体に懸濁系を導入する際に通過する装置の孔径の関数である。
【0161】
インビボ用途がヒト又は動物の患者に対する医薬品の送達である場合は、受容媒体、即ち体液を含む身体組織への懸濁系の導入の現時点で好ましい方法は皮下注射針を用いた注射である。針の孔径は変動してよく注射速度に関連する。現時点で好ましい皮下注射針のサイズは10〜30ゲージ、より好ましくは15〜27ゲージであり、そして、注射速度は約0.05〜約15ミリリットル(mL)/分(min)、より好ましくは約0.25〜約10ml/分である。
【0162】
上記操作法は注射部位における形状保持凝集塊の形成をもたらし、形状保持凝集塊はそれが形成される際に医薬品を捕獲し、そしてその後はそれを凝集塊および活性化合物の特性に応じて経時的に放出する。
【0163】
本発明の別の実施形態においては、重合の前に重合系に生物学的活性剤を溶解又は懸濁する。重合反応が進行し、ヒドロゲル粒子が形成されるのに従って、生物学的活性物質を含有する液体は形成される粒子により封鎖される。次に封鎖されなかった生物学的活性剤を粒子処理時に除去し、過剰な単量体及び界面活性剤を除去する。次に生物学的活性物質含有粒子の懸濁液をエキソビボ又はインビボのいずれかで導入し、後者の場合は導入は好ましくは注射により行い、受容媒体内に入った時点で粒子は癒着して形状保持凝集塊となる。
【0164】
上記手法の組み合わせは本発明の実施形態である。即ち、受容媒体内への導入前に過剰な単量体及び界面活性剤とともに生物学的活性物質を除去するのではなく、生物学的活性剤を懸濁液の液体内に残存させるか、又は単量体及び界面活性剤が除去された後に懸濁系内に再導入することにより、受容媒体内への導入時に、追加的な活性剤が形状保持凝集塊を形成する粒子の間の空隙内に捕獲されるようにすることができる。
【0165】
過剰な単量体及び界面活性剤とともに懸濁系から非封鎖生物学的活性剤を除去し、そして次にまったく異なる生物学的活性物質を懸濁媒体に添加した後に凝集塊形成を行うことにより凝集塊形成の間に後者を捕獲することも本発明の実施形態である。凝集塊内の空隙に捕獲された物質は通常は粒子により封鎖された物質とは極めて異なる速度で放出されることになる。この態様においては、広範な送達速度が達成できる。送達プロファイルの多様性はまた凝集塊の個々のヒドロゲル粒子の化学組成を変化させることによっても達成できる。
【0166】
分解誘導性の化学修飾が個々のゲル粒子に組み込まれず、そして環境的に活性化されるアジュバントが凝集塊内に捕獲されない場合は、形成された凝集塊は本質的には正常な環境条件に対しては非透過性となる。この種の凝集塊は一般的にモノリシックなマトリックス装置と同様の放出速度、即ち、薬剤の初期バーストとその後の経時的な指数的低下を示す。しかしながら、ゲル粒子が送達部位において遭遇する環境条件下に分解するように設計されている場合、及び、生物学的活性剤が粒子の崩壊時のみに凝集塊から放出される場合は、送達速度の非常に精密な制御が可能になる。ゲル粒子の崩壊時のみの活性剤の放出は、捕獲された活性剤にとって凝集塊未損傷時に通過するには小さすぎる細孔を有する凝集塊をもたらすことになるサイズの粒子を使用することにより達成できる。同様に、個々の粒子は、それらにより捕獲されている活性物質が粒子崩壊なくしては脱出できないように形成することができる。
【0167】
上記の外、他の水溶性物質を本発明のヒドロゲル粒子の懸濁液に添加することにより受容媒体中への導入時に形成される形状保持凝集塊の凝集及び崩壊の速度を改変してよく、そしてこれにより、活性剤の量及びその後の放出速度を更に制御できる。カチオン及び/又はアニオンの電荷を含む粒子をノニオン系のヒドロゲル粒子と混合することにより環境のイオン特性又は外的電荷の存在を含む種々の条件下における凝集塊の崩壊を制御することができる。荷電した物質種が内在することはまた、静電的電荷相互作用により凝集効率を上昇させる場合がある。
【0168】
上記した操作法の1個以上を用いながら、ゼロ次又は少なくとも擬似ゼロ次の放出速度が広範な生物学的活性剤に対して達成可能となるはずである。
【0169】
ゲル粒子により封鎖されるか、又は本発明の形状保持凝集塊内に捕獲されることができる薬剤の種類及び量は種々の要因に応じて変化する。まず第1に、薬剤はそのサイズ、表面電荷、極性、立体的相互作用等のために、何れも本発明の目的の妨害となる、個別のゲル粒子の形成又は受容媒体内への導入後の形状保持凝集塊内へのゲル粒子の癒着の妨害は不可能である。上記が問題とならないことが判明すれば、ヒドロゲル粒子のサイズが配合される物質の品質に最も直接影響する。粒子自体のサイズは封鎖できる薬剤の最大量を支配し、懸濁液溶液中の粒子の多分散性は凝集塊の細孔のサイズに影響する。比較的小型の薬剤、例えば個々の抗生物質分子は小型ゲル粒子から形成された凝集塊内で捕獲してよいのに対し、比較的大型の薬剤、例えばモノクローナル抗体、タンパク質、ペプチド及び他の巨大分子はより大きい粒子から形成した凝集塊を必要とすることになる。
【0170】
本明細書に記載した方法を用いながら、送達の動態の厳密な制御が達成できる。即ち、異なるサイズ及び化学組成のゲル粒子を特定の薬剤とともに負荷させることができ、そして種々の粒子の分解特性に応じて、実質的に如何なる所望の時間枠に渡っても薬剤を放出することができる。更に又、物質の一部はゲル粒子に封鎖し、別の一部は形状保持凝集塊の粒子の間の空隙内に捕獲させることにより、より高度な送達の柔軟性を得ることができる。
【0171】
上記方法を用いることにより、種々の薬剤を、それが通常では適合しない薬剤であっても、本発明のゲル粒子内に負荷させ、逐次的又は同時に放出させることができる。逐次的放出は適合しない薬剤が相互に遭遇することを防止する。同時放出は組み合わせられれば強力な薬剤を形成する2種以上の非生物学的活性又は弱生物学的活性の薬剤の送達を可能にする。このような態様とすることにより、前駆体を含有する凝集塊が意図する薬剤活性部位において形成されるまで活性物質種の形成を延期することができ、これにより副作用を最小限にできる。
【0172】
本発明の別の特徴において、2種以上の異なるサイズ及び各種に関して狭小な多分散性であるゲル粒子を400mg湿潤重量/mlの近傍の懸濁系濃度において使用することにより本発明の形状保持凝集塊を形成する。物質の捕獲効率及びそれの後の放出速度は単一のサイズの狭小な多分散性の粒子を用いて形成した凝集塊のものとは実質的に異なる。如何なる特定の理論にも制約されないが、ゲル粒子分散体が約300〜約500mg湿潤重量/ml、好ましくは約400〜約500mg湿潤重量/mLまで濃縮された時点で、粒子は分散に好都合な力を克服して癒着に好都合な力となるために十分相互接近する傾向を有する。粒子のクラスターは相対的にはなお安定な分散液である二次構造として形成される。第1のサイズの粒子のクラスターの二次構造を含む第1の懸濁系を異なるサイズの粒子から形成された別の二次構造の懸濁系と混合し、混合物を受容媒体に導入した場合、巧妙で複雑な形状保持凝集塊が形成される。このようにして形成された形状保持凝集塊は単一のサイズのゲル粒子から製造された凝集塊よりも効率的に物質を捕らえることができると考えられる。如何なる特定の理論にも制約されないが、これは、捕獲されるべき物質の存在下の凝集の間に、凝集塊を構成する粒子の間の空隙がより効率的に混合多分散性粒子により充填され、早期の溢出を防止しているという可能性に起因すると考えられる。後述する実施例は、所定のサイズの特定の薬剤に関して、凝集塊を構成する粒子のサイズ及びサイズの比が薬剤を捕らえる際の凝集塊形成の効率及びそれの後の放出速度に大きく影響することを示している。この方策を用いながら、特定の物質の放出速度を、適切な粒径及びサイズ比を用いて、擬似ゼロ次の動態に接近させるために調整することができる。
【0173】
即ち、本発明は、特に生物学的活性薬剤送達に関して、そしてとりわけ医薬品送達に関して、非常に汎用的な物質送達プラットホームを与える。医薬品又は薬剤の組み合わせは2種以上の薬剤が所望の標的部位へのそれらを含有する凝集塊の定置の後にのみ相乗的に相互作用するように、延長された期間に渡り連続して、特定の時間間隔でバーストにより、所定の遅れ時間の後に同時に、又は1剤が標的部位において作用した後に次の薬剤が放出されるように、又は、2種以上の薬剤が相乗的に相互作用するように逐次的に、送達してよい。
【0174】
本発明の別の実施形態は組織スカホールドのような整形外科的用途における本発明の形状保持凝集塊の適用である。本発明の形状保持凝集塊の大型細孔構造は典型的な細孔嵩高ヒドロゲルにおいては観察されなかった特徴であるかなりの内生を可能にするはずである組成物を提供する。更に又、本発明の凝集塊は従来の嵩高ヒドロゲルのものよりも有意に向上した、そして場合によっては間接の軟骨の特性に近似した、弾性、剪断力及び体積弾性率のような物理的特性を示す。本発明の凝集塊を成型して積層する能力は組織スカホールド内の特定の位置における成長因子の放出を最適化するために使用される。本発明の方法の考えられる整形外科的用途は、限定しないが、軟骨及び骨の修復、半月板の修復/置き換え、人工脊髄板、人工腱及び靭帯及び骨欠陥部充填剤を包含する。
【0175】
本発明の凝集塊の形状保持特性及び水中に形成されそれを保持するその能力は多くの他のインビボ用途を示唆している。例えば、医薬添加又は無添加の凝集塊はソフトコンタクトレンズに鋳造される。重篤な眼病を治療するための軟質の柔軟な生体適合性の薬物送達装置は、眼病用薬剤が封鎖されたヒドロゲル粒子の懸濁系を眼の後方に注射することにより形成される。抗生物質又は他の薬剤を配合するか配合しない創傷包帯剤又は皮膚ドナー部位包帯剤は、本発明の形状保持凝集塊及び方法を用いながら、エキソビボで作成するか又は創傷に注射することにより直接インビボで製造される。形状保持凝集塊は、骨成長因子が粒子により封鎖されるか、又は形成されている凝集塊により捕獲されているヒドロゲル粒子の懸濁系の注射により歯周ポケット内に形成される。凝集塊は又抗生物質の持続放出により感染症を制御するための封鎖又は捕獲された抗生物質をその内部に有し、骨再生は骨成長因子の制御放出を介して刺激される。追加的利点として、軟質の生体適合性の形状保持凝集塊は、その固有の軟質性と快適性のために、患部を快適にする。凝集塊は包埋した医薬品添加又は無添加のカテーテル又はステントに形成される。
【0176】
本発明の方法により製造される形状保持凝集塊の別の用途は、時間により材料の形状を変化させる必要のある用途において、一部が所定の時間間隔に渡って分解する粒子の混合物を使用することを包含する。更に又、ゲル粒子と他の種の粒子、例えば金属、半導体、非ゲル形成重合体、セラミックス、糖類、澱粉、セルロース等との混合物よりなる凝集塊もまた本発明の方法に従って製造できる。
【0177】
本明細の方法により製造された本発明の凝集塊は生物医学的薬剤以外の物質の宿主のための担体として使用してよい。例えば限定しないが、金属はゲル粒子内に封鎖するか、凝集塊に捕獲させるか、又は両方とすることができる。金属は多くの用途を有する凝集塊に対し種々の程度の伝導性を付与する。金属は又、イオン、即ち、ゼロ以外の酸化状態における金属として配合してもよい。これらのイオンは又凝集塊に種々の程度の伝導性を付与する。本発明のゲル粒子又は凝集塊は半導体金属又は化合物を注入してもよい。半導体形状保持凝集塊、また更には一部半導体のゲル粒子及び一部導体の粒子よりなる凝集塊はMEMS(マイクロエレクトロ−メカニカル系)及びNEMS(ナノエレクトロメカニカル系)の装置としての用途を有する。磁性体物質、例えば磁性体重合体又は磁性体金属粒子の封鎖及び/又は捕獲により三次元のコンピューターメモリデバイスが得られる。封鎖及び/又は捕獲された金属物質又は金属イオンを含有する凝集塊はバイオテクノロジー産業における使用のための三次元アレイ分析用ツールを提供する。本発明の形状保持凝集塊の上記及び他の使用は本明細書の開示に基づいて当業者には明らかとなる。このような使用は本発明の範囲に包含される。
【実施例】
【0178】
(実施例1:TWEEN80界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
Milli−Q H2O 100g中にTWEEN(80)27gを溶解することによりMilli−QH2O中のTWEEN80の保存溶液を調製した。過硫酸カリウムの保存溶液はMilli−QH2O 30ml中に2gを溶解することにより調製した。1L容メディアボトルに攪拌バーを装着し、そしてエチレングリコールジメタクリレート3.6mgを含有するHEMA1.74g、Tween80保存溶液1.07g、N2パージMilli−QH2O 571ml及び過硫酸カリウム保存溶液0.952mlを充填した。溶液を固体が溶解するまで攪拌した。ボトルをホイルで被覆し、16時間65℃のバスに浸積した。得られたヒドロゲル粒子懸濁液は乳白色〜不透明青色オパール色調を有しており、粒子は動的光分散によれば466nmの平均直径を有していることがわかった。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、70mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0179】
(実施例2:ジオクチルナトリウムスクシネート界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
攪拌バーを装着した500mL容のメディアボトルにエチレングリコールジメタクリレート8.8mgを含有するHEMA単量体4.25g、ジオクチルナトリウムスクシネート(DSS)290.18mg、過硫酸カリウム135mg及びN2パージMilli−QH2O 500mlを充填した。ボトルをキャップし、溶液を室温で3時間攪拌した。ボトルを50℃のウォーターバスに移し、12時間インキュベートした。得られたヒドロゲル粒子懸濁液はオパール色調青色を有していた。粒子を動的光分散により分析したところ、241nmの平均直径を有していることがわかった。粒子の懸濁液は溶液ml当たり水和した重合体25mgを含有していた。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、150mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0180】
(実施例3:ドデシル硫酸ナトリウム界面活性剤を用いたヒドロゲル粒子の製造)
攪拌バーを装着した100mL容のメディアボトルにエチレングリコールジメタクリレート8.8mgを含有するHEMA4.25g、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)267.91mg、過硫酸カリウム135mg及びN2パージMilli−QH2O500mlを充填した。ボトルをキャップし、溶液を室温で3時間攪拌した。ボトルを50℃のウォーターバスに移し、12時間インキュベートした。得られたヒドロゲル粒子懸濁液はオパール色調青色を有していた。粒子を動的光分散により分析したところ、110nmの平均直径を有していることがわかった。粒子の懸濁液は溶液ml当たり水和した重合体78mgを含有していた。懸濁液を濃縮し、旋回流濾過により精製したところ、200mg/mlの湿潤重量濃度においてフロキュレーションに対抗して安定であることがわかった。
【0181】
(実施例4:単量体濃度の変化に伴う粒径の変化)
溶液中の試薬の濃度の変化は粒径及び多分散性に影響する。実施例2の操作法に従って合成された粒子について、粒径及び多分散性は、表1に示す通り重合中の溶液容量を変化させることにより変動した。
【0182】
【表1】
上記の傾向は、粒子合成の間のHEMA単量体のDSS界面活性剤に対する所定の比において、粒径及び分散性は共に、溶液の容量が増大するに従って減少することを示している。
【0183】
(実施例5:界面活性剤及び濃度の交換)
湿潤重量33mg/ml及びSDS濃度0.535mg/mlの平均直径110nmの個別の粒子の懸濁液を300,000ダルトンカットオフのMillipore Pellicon(登録商標)Biomax旋回流濾過膜を用いた旋回流濾過に付した。濾過はメイクアップとしてMilli−QH2O中の5%(w/v)Tween80溶液を用いて一定容量において実施した。合計6x500mLの透過容量を濾過中に採取し、SDS界面活性剤とTween80の交換に付した。粒子の懸濁液は界面活性剤交換後には318nmの平均直径を有しており、6ヶ月の期間に渡り、最低限の沈降及び凝集の証拠を示した。粒子は粒子を保持しつつ特定の透過容量を除去することにより旋回流濾過を用いて濃縮した。
【0184】
(実施例6:粒径の関数としての安定な分散体を与える粒子の最大濃度の決定)
粒子の2シリーズ、即ち1)それぞれ100、265及び500nmの直径を有する実施例3に従って形成したSDS安定化粒子、及び2)それぞれ125、300、475及び550nmの直径を有する実施例2に従って形成したDSS安定化粒子を形成した。各試料の出発水和重合体の質量は遠心分離後に試料を計量することにより測定した。各分散体6mlを15ml容の目盛付遠沈管に入れた。分析用エバポレーターを用いながら、アルゴンガス流を各遠沈管内の分散体の表面上に通過させ、その間、ウォーターバスを用いて温度を37℃に維持した。試料はその濃度の上昇に応じた分散粒子の凝集の開始について調べた。凝集開始時の試料容量の変化を記録し、新しい濃度を計算した。SDS及びDSS界面活性剤を用いた場合の種々のサイズの粒子について、各分散体が凝集を開始する濃度に対する粒径の影響を図1にグラフで示す。
【0185】
(実施例7:凝集塊形成に対する注入速度、針ゲージ及び粒子濃度の影響)
実施例1〜3に従って合成し、実施例3に従って109mg/mlの湿潤重量濃度まで濃縮したゲル粒子の保存分散体の一部を20個の別個の3ml使い捨てシリンジに投入した。均等な数のシリンジに27、26、23及び18ゲージの針を取り付けた。各シリンジから1ミリリットルをリン酸塩緩衝食塩水10mlに注入した。流量0.1ml/分〜2ml/分はHarvard Apparatus(4400型)シリンジポンプにより制御した。定性的な観察は各注射の後に行い、得られた凝集塊は表2に示す4型に分類した。上記保存分散体の数回希釈分を低濃度で調製し、同じ操作法で試験した。
【0186】
【表2】
a.緊密で柔軟な物質の即時形成
b.中等度の随伴フロキュレーションを伴った緊密で柔軟な物質の即時形成
c.フロキュレーションとその後15分までの緊密で柔軟な物質の形成
d.フロキュレーションとその後15分より遅い緊密で柔軟な物質の形成
(実施例8:より大型の粒子を用いた凝集塊の型)
嵩高の乾燥したpHEMAを粉砕し、3段階の異なる粒径範囲、即ち45μm未満、45μm超75μm未満、及び75μm超150μm未満に分篩した。各粒子の型の懸濁液を懸濁媒体として0.015重量%DSS含有MilliQ水を用いて調製した。各懸濁液は粒子の湿潤重量が150mg/mlとなるように調製した。各懸濁液1ミリリットルを18ゲージ針を装着した3ml容の使い捨てシリンジ15ml内に注入した。各注入の流量は約1ml/分であった。定性的な観察を各注入について行い、凝集塊を表3に示す種々の型に分類した。
【0187】
【表3】
a.緊密で柔軟な物質の即時形成
b.中等度の随伴フロキュレーションを伴った緊密で柔軟な物質の即時形成
c.フロキュレーションとその後15分までの緊密で柔軟な物質の形成
d.フロキュレーションとその後15分より遅い緊密で柔軟な物質の形成
(実施例9:インビボの形状保持凝集塊の形成)
ヒドロゲル粒子を等張性グルコース溶液中に懸濁した。懸濁液は水和重合体110mg/mlを含有していた。1つの懸濁液(A)は純粋なpHEMA粒子を含有していた。第2の懸濁液(B)は重量で50:50pHEMA:(95:5pHEMA:MAA)の混合物を含有していた。水和重合体100mgを含有する注入をマウスの背筋膜上に皮下投与した。動物は24時間及び7日に屠殺した。インプラントを摘出して観察した。両方のインプラントとも移植後1及び7日には注射部位の下部に存在していた。両方のインプラントとも弾性ヒドロゲル物質の円板を形成しており、局所刺激の兆候は示していなかった。インプラントの重量は重合体の遠心分離水和重量より僅かに高値であり;この高値の重量はおそらくは凝集塊本体内への組織の浸潤によると考えられる。pHEMA及び95:5pHEMA:MAA粒子の混合物を含有するインプラントは純粋なpHEMAインプラントよりも不透明性が高く、7日後には広範な組織浸潤を示していた。図2はこの態様においてインビボ形成された凝集塊を示す。Tween80界面活性剤及びジオクチルナトリウムスルフェート(DSS)界面活性剤の溶液中に分散されたpHEMA粒子を用いてインビボ形成されたインプラントは14日間に渡り刺激又は糜爛の兆候は示さなかった。
【0188】
(実施例10:種々の粒径に関する凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子がより低い膨潤速度を有する溶液、例えばより高いイオン強度の溶液への粒子の注入はヒドロゲル粒子凝集塊を形成する。凝集塊形成の速度は注入後に経時的に凝集塊に関する水の質量の損失を測定することにより定量できる。ある濃度におけるある界面活性剤に関し、ある濃度で水中に分散しているpHEMA粒子は、室温において生理学的なpH及びイオン強度においてリン酸塩緩衝食塩水中に注入された場合、凝集塊形成の種々の速度を示す。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの遠心分離湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径680nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlをPBS100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図3は定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示すプロットである。プロットによれば、より大型の粒子は凝集速度のより急速な初期変化を示すが、両方のサイズとも、150〜200分の間に平衡水和含有量に到達する。より小型の粒子と同じ表面電荷を有するより大型の粒子は異なるガウス電荷と表面積の比を有し、これにより全体的な電荷が同一であってもより小さい安定性が付与される。粒子は同一のゼータ電位を有していても安定性が僅かに低いため、それらは相当するより小型の粒子よりも速く定常状態の凝集塊状態に到達する。これは、均一な界面活性剤及び粒子濃度における粒径の変動は凝集塊形成の速度の相違をもたらすことを示している。
【0189】
(実施例11:種々の温度における凝集の間の吸収水重量の損失)
温度はある懸濁液に関して凝集塊形成の速度に影響する。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径735nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlを37℃でPBS100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。25℃及び37℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度はより高い温度においてより急速であった。図4は2段階の異なる温度におけるPBS中において平衡重量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、より高い温度において初期により高速となっている。
【0190】
(実施例12:血清中の凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子の凝集塊をウシ血清中に形成させた。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中のヒドロゲル粒子の分散体2mlを25℃のウシ血清100mlに注入した。その結果生じた凝集塊を10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の液体の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図5は血清中で定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入後の経時的な凝集の速度を示す。ここでも又、より小型の粒子と同じ表面電荷を有するより大型の粒子は異なるガウス電荷vs表面積を有し、これにより全体的な電荷が同一であってもより小さい安定性が付与される。粒子は同一のゼータ電位を有していても安定性が僅かに低いため、それらは相当するより小型の粒子よりも速く定常状態の凝集塊状態に到達する。
【0191】
(実施例13:高張食塩水中の凝集の間の吸収水重量の損失)
粒子凝集塊を高張食塩水の溶液中に形成させた。典型的な実験においては、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有する0.5重量%Tween80界面活性剤の水溶液中の直径680nmのヒドロゲル粒子の分散体2mlを塩化ナトリウム飽和溶液100mlに注入した。その結果凝集塊が即座に溶液表面に形成され、そしてPBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。図6は定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示すプロットである。プロットによれば、より大型の粒子は凝集速度のより急速な初期変化を示すが、種々の粒径よりなる凝集塊は150〜200分の間に定常状態に到達している。このことは、溶液のイオン強度を変化させることは凝集速度に影響し、そしてゼータ電位の変化が種々のイオン強度の溶液において観察できることを示している。
【0192】
(実施例14:種々の化学組成のヒドロゲル粒子の凝集の間の吸収水重量の損失)
ヒドロゲル粒子の重合体組成はある溶液における凝集塊の形成の速度に影響する。典型的な実験においては、それぞれ480又は465nmの平均直径を有するポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)の何れかの組成物を有する、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有するヒドロゲル粒子の分散体2mlを室温でリン酸塩緩衝食塩水100mlに注入した。その結果生じた凝集塊をp(HPMA)の場合は2分間、又はp(HEMA)の場合は10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体重量のパーセントとして示す。25℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度は所定のサイズのpHPMA粒子についてより急速であった。このことは、同一の界面活性剤及び表面電荷の場合においても、異なるイオン強度への異なる化学組成の粒子を投入すれば、やはりゼータ電位の安定性の間接的な尺度である凝集速度が異なってくることを意味している。図7は2段階の異なる温度におけるPBS中において定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入時からの経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な水の重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、pHPMAのほうがpHEMAよりも初期により高速となっている。
【0193】
(実施例15:種々の界面活性剤を用いた場合のヒドロゲル粒子の凝集の間の吸収水重量の損失)
ヒドロゲル粒子を安定化させるために使用される界面活性剤はある溶液における凝集塊の形成の速度に影響する。典型的な実験においては、175nmの平均直径を有し、そして0.5w/v%のSDS又はDSS界面活性剤のいずれかで安定化された、遠心分離により測定された場合に37mg/mlの湿潤重合体重量を有するpHEMA粒子の分散体2mlを室温又は37℃でPBS25mlに注入した。その結果生じた凝集塊を2分間、10〜15分間妨害することなく形成させ、そしてその後スクリーンを通して濾過し、計量し、PBS溶液中に戻した。質量は崩壊時の凝集塊を含む粒子内及び粒子間の両方の水の量を示す遠心分離湿潤重合体質量のパーセントとして示す。25℃においてPBSに注入した粒子分散体に関する経時的な凝集塊質量損失の速度の比較によれば、凝集塊形成の速度はDSS安定化粒子のほうがより急速であった。図8は2段階の異なる温度におけるPBS中において定常状態の質量に凝集塊が到達した時点までの初回注入後の経時的な凝集の速度を示す。データによれば、所定の粒径において、経時的な水重量の損失により示される凝集塊の形成の速度は、DSS安定化粒子のほうがSDS安定化のものよりも初期においてより高速となっている。
【0194】
(実施例16:腐食又は部分的腐食を起こす粒子凝集塊の形成)
生理学的なpH及びイオン強度の溶液中のHEMA及びメタクリル酸(MAA)よりなる粒子の注入は緩徐に腐食するか全く形成されない凝集塊の形成の何れかをもたらす。典型的な実験において、水和重合体110mg/mlを含有する直径155nmの95:5pHEMA:MAA粒子の懸濁液2mlをリン酸塩緩衝食塩水に注入した。凝集塊は実施例12の凝集塊と同様の水重量の初期損失を示した。初期凝集の後、粒子共重合体のメタクリル酸部分がイオン化されるに従って凝集塊は緩徐に腐食した。表4はHEMA:MAA共重合体中のMAAの種々の量を有する粒子に関する初期凝集の後の腐食に関わる時間を示している。
【0195】
【表4】
(実施例17:凝集塊クラスタリング)
50mg/mlより高値の湿潤重量濃度において、個別のpHEMA粒子は凝塊形成してより大型化する傾向を有するが、なお分散可能なクラスターである。クラスター化の過程はTFF精製の間に少量を採取すること、及び、粒径と多分散性をモニタリングすること、一方で36.2mg/mlの湿潤重量濃度を有する53nm(PDI0.098)のpHEMA粒子の2L分散体を235mLの容量及び424mg/mlの最終湿潤重量濃度にまで濃縮することにより明らかにされている。結果を表5に示す。
【0196】
【表5】
上記傾向は平均のpHEMA粒子ピークサイズは重合体湿潤重量濃度が50mg/mlを超過した後に増大することを示している。同様に、分散体の粘度の増大も観察されている(凝集して固体塊にならない真のゾルのものに近似)。平均ピーク値に関するピークの形状又は粒径分布の変化並びにピーク平均に関するピークの様相及び分布のベースライン幅の変化もまた観察されている。個別のpHEMA粒子からpHEMAクラスター分布への変化を図9に示す。
【0197】
(実施例18:界面活性剤の除去によるゼータ電位の変化による粒子凝集の誘導)
粒子分散体を実施例3に記載の通り調製し、直径60nmの粒子とした。分散体100mlを旋回流濾過に付してSDS界面活性剤を除去した。濾過はメイクアップとしてMilli−QH2Oを用いて一定容量で行った。ゼータ電位の測定及びサイズ分析は100mL、150mL及び200mLの浸透液が収集された後に試料に対して行った。界面活性剤が除去されるに従い、粒子のゼータ電位の規模が低下し、粒子のクラスター化を誘発した。これを表6に示す。250mLの浸透液が収集された後、粒子の凝集が試料内で起こった。
【0198】
【表6】
(実施例19:SDS安定化pHEMA粒子のサイズに対する分散媒体のイオン強度(塩濃度)を変化させることの影響)
約92nmの直径を有するpHEMA粒子を実施例1に記載の通り界面活性剤SDSを使用しながら調製した。分散体の湿潤重量濃度は約30mg/mlであった。pHEMA粒子分散体5滴(105uL)をMilliQ水3ml中、及び、1、2、3、4、5、6、7及び10mMのNaCl塩溶液3ml中に入れた。懸濁した粒子のサイズ及びゼータ電位をMalvern Instrument,Nano ZS Zetasizerを用いて測定した。結果によれば、懸濁媒体のイオン強度が増大するに従って、粒子のゼータ電位は粒径の同時減少を伴いながら低下している。塩濃度が2mMNaCl未満である場合は、絶対表面電荷がなお顕著であり、そして粒子が相互に反発しあっていることから、粒子はなお比較的安定である。しかしながら、イオン強度が増大するに従って、絶対表面電荷は低下し始め、粒子はクラスターを形成して懸濁液体に曝露された表面積を低下させる傾向を有し、そして、フロキュレーションにより更に大型の粒子凝塊となり最終的には固体凝集塊内に沈着するまで、クラスター化を継続することになる。
【0199】
(実施例20:個々のSDS安定化pHEMA粒子のサイズに対する分散媒体のイオン強度を変化させることの影響)
pHEMA粒子(直径約60、92、250nm)を前記したとおり界面活性剤SDSを用いて調製した。各分散体の湿潤重量濃度は約30mg/mlであった。92及び250nmのpHEMA粒子分散体5滴(105uL)を2mMのNaCl溶液各々3m中に入れた。懸濁した粒子のサイズ及びゼータ電位を測定した。これらの測定の後、媒体をMilliQ水1等容量で希釈し、2、1、0.5、0.25、0.125mM NaCl溶液中のゼータ電位及びサイズに関する読み取り値が得られるように連続希釈が行われるような態様において50%まで塩含有量を低下させた。結果を以下の表7に示す。
【0200】
【表7】
表7は各pHEMA粒子サイズ(それぞれ約250、100及び60nm)の各々につき、塩含有量が低下(即ち懸濁媒体のイオン強度が低下する)に従って、相当する粒子の直径が増大することを示している。懸濁媒体のイオン強度が低下するに従って、粒子上のゼータ電位の絶対値が増大する。結果は図10にも示す。
【0201】
(実施例21:混和性同時分散剤を用いた分散媒体の希釈による粒径の変化)
適当な水性分散体中の個々のpHEMA粒子はサイズの変化を起こすことができ、そして、水溶液が非水性の混和性の同時分散媒体で希釈されれば凝集することができる。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体をアセトンを用いて希釈する。最終溶液中のMilli−Qのアセトンに対する比は100%から5%に変化させた。粒径は当初は同時分散媒体の添加と共に減少したが、後には凝集が起こるに従って増大し、複数の粒径のピークが形成された。結果を表8に示す。
【0202】
【表8】
同様の実験を同じシリーズの粒子に対し同時分散剤としてエタノールを用いながら実施した。エタノールはpHEMAに対してある程度の溶解度を与える溶媒である。同時分散実験の結果を表9に示す。
【0203】
【表9】
上記結果は、同時分散媒体の性質は、ここでもまた、粒子上のゼータ電位の規模を変化させることにより、粒子の分散の安定性及び凝集の開始に影響できることを示している。
【0204】
(実施例22:粒子分散体への疎水性溶媒の導入によるゼラチン状凝集塊の形成)
個々の粒子の安定な水性分散体は非混和性溶媒を分散媒体に混合した場合には独特の性質を示す。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体を等容量のヘキサンと組合わせる。透明なヘキサン層は室温で5日間に渡りオパール色調の粒子分散体との混合の兆候を示さなかった。溶液を激しく混合したところ、水性粒子分散体の上方に浮遊したゼラチン状の塊が形成した。その後ヘキサンを真空蒸発させながら水性粒子分散体の疎水性の層から水溶液を分離したところ安定な粒子凝集塊が形成された。
【0205】
(実施例23:pHEMA粒子分散体の希釈)
安定な水性分散体中の個々のpHEMAは分散媒体で希釈しても極めて限定されたサイズ及びゼータ電位の変化しか起こさず、凝集しない。典型的な例においては、63mg/mlの湿潤重量濃度及び68nmの直径を有するpHEMA粒子の分散体を連続希釈においてMilli−QH2Oで希釈した。粒径及びゼータ電位に対する希釈の影響を表10に示す。
【0206】
【表10】
極めて低い粒子濃度(≦2mg/ml)においては、粒子のゼータ電位は機器の検出限界未満であった。
【0207】
(実施例24:粒子凝集塊の小分子の捕獲及び放出)
懸濁媒体中に溶解した小分子を有する粒子の分散体の注入は小分子の一部を捕らえている凝集塊を形成する。典型的な実験において、ブロモクレゾール緑色染料1mgを水和重合体質量36mg/mlを有するTween80安定化pHEMA粒子(直径725nm)の懸濁液2mlに溶解した。分散した粒子及び染料をリン酸塩緩衝食塩水の溶液に注入した。凝集10分間の後、溶液を10サイクル/秒で振とうすることにより充分な混合を確保した。上澄み試料2mlを採取し、UV可視光吸収スペクトル分析により特性を調べた。図11は個々の粒子から形成された凝集塊から経時的に溶液中に放出されたブロモクレゾールのパーセントを示す。図12は2種の異なる粒径の質量比50:50混合物から経時的に溶液中に放出されたブロモクレゾールのパーセントを示す。両方の場合において小分子の大部分は最初の3〜5時間以内に放出されたが、バースト作用は混合凝集塊系においてはより小さくなっている。
【0208】
(実施例25:凝集塊形成の同時分散剤加速)
同時分散剤としてのポリ(エチレングリコール)(Mw=400g/モル)50mgを115ng/mlの300nmHEMA粒子分散体1mlに添加した。分散体を充分混合して1mLシリンジに入れた。分散体を27ゲージ針を用いながら分あたり約4mlの速度でPBS15ml中に注入した。注入された物質は急速に破壊されて極めて僅かなフロキュレーションを伴った凝集塊となった。
【0209】
ポリ(エチレングリコール)を添加しない115mg/mlの300nmHEMA粒子分散体1mlを27ゲージ針を用いながら分あたり約4mlの速度でPBS15ml中に注入したところ、フロキュレーションが起こった。しかしながら、凝集塊は約30分後に形成された。両方の凝集塊とも24時間PBS中に放置した。PEG同時分散剤系から形成された凝集塊は、同時分散剤を用いずに形成された凝集塊よりも、更に緻密で機械的に頑健であるように観察された。
【0210】
(実施例26:異なる粒径及び標識化合物量よりなるpHEMA粒子凝集塊におけるFITC標識BSA及びFITC標識デキストランの負荷効率及びそれからの放出)
475、300、200及び175nmの直径を有するpHEMA粒子を用いてpHEMA粒子凝集塊を形成した。2つの異なるサイズの巨大分子、即ちFITC−BSA(72kDa)及びFITC−Dextran(2000kDa)の負荷及び放出に対する影響を粒径の関数として試験した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、16ゲージ針、注入速度2ml/分を用いながら、10、7、5、3、2、1、0.5及び0mgのFITC−BSA(標準物質セット1)及び20、15、10、6、4、2、1及び0mgのFITC−Dex(標準物質セット2)を含有する2セットの8〜500mgのpHEMA粒子凝集塊標準物質を調製した。475nmのpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。PBS注入時に、個別の粒子分散体は凝集し、そして巨大分子を捕獲した。上澄みを除去したところ、FITC標識は種々の濃度において2つの巨大分子を含有する凝集塊の各々につき、段階的な黄色の色合いをもたらし、標準物質によりもたらされた観察された色合いを同一の態様で調製した試料のものと対照させることが可能であった。
【0211】
500ミリグラムの試料凝集塊を、37.4℃においてPBS中FITC−BSA5又は10mg又はFITC−Dex10又は20mgの何れかを含有する上記した粒子分散体の各々の5ml分量(100mg/ml)を注入することにより調製した。巨大分子の負荷及び放出のプロファイルは、所定の時間において観察された色合いを凝集塊の標準物質のセットのものと比較することにより調べた。これらの結果を図13〜26に示す。
【0212】
両方の巨大分子の負荷は極めて効率的であった(即ち>95%)。10mgのFITC−BSA(概ね2重量%の凝集塊)において、大量のバースト放出(概ね40%)が特により小型の粒子よりなる凝集塊において最初の5時間以内に観察された。これは低値の負荷(5mgFITC−BSA)においては同じ程度まで観察されなかった。2種のより小さい粒径(200及び175nm)において構築された凝集塊は最初の20時間はほぼゼロ次の放出を示した。
【0213】
即ち、より大型の巨大分子は、2つの巨大分子の放出プロファイルにおいて示されたとおり、より緩徐な速度で凝集塊から拡散する。更に又、漸増量の小型粒子を用いて調製した凝集塊からの放出のプロファイルは大型の粒子から形成した凝集塊からよりも緩徐な放出を示した。
【0214】
(実施例27:SDSを用いて作成した175及び475nmの粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
巨大分子のサイズの関数としてpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出を追跡するために詳細な試験を実施した。pHEMA粒子(直径475nm及び175nm)を前述の通り界面活性剤SDSを用いて製造した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有するpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(475nm又は175nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析(FITC−BSAλmax486nm、FITC−Dexλmax492nm)を用いて測定し;FITC濃度はFITC−BSAおよびFITC−Dexに関する標準Beers Law検量線と相対比較して求めた。結果を図18及び19に示す。
【0215】
FITC−BSAは475及び175nmのpHEMA粒子よりなる凝集塊から30%及び40%のバースト放出を示している。初期バースト放出の後、475nm及び175nm粒子よりなる両方の凝集塊ともFITC−BSAの約50%が放出された後に巨大分子の緩徐な放出を示している。
【0216】
より大型の2つの巨大分子は遥かに小さいバースト放出を示している。更に又、より小型の粒子よりなる凝集塊はより大型の粒子から形成されたものよりも捕獲と延長放出においてより効果的であることがわかった。175nm凝集塊からのバースト放出は5時間後に<25%であったのに対し、475nm粒子で構築された凝集塊は同じ時間に渡り負荷されたFITC−Dexの35%のバースト放出を示していた。このことは、凝集塊の構築に使用した粒径は後に放出される巨大分子のサイズと相関することを示している。
【0217】
(実施例28:DSSを用いた265及び500nm粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
pHEMA粒子(直径500nm及び265nm)を前述の通り界面活性剤DSSを用いて製造した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有するpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(500nm又は265nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析を用いて測定し、そして濃度は上記した通り求めた。結果を図19及び20に示す。より大型の巨大分子はより緩徐な速度で放出され、そして、265nm粒子を用いて製造した凝集塊は前記した175nm粒子よりなる凝集塊に関して観察されたものよりも僅かに大きいバーストを伴って擬似ゼロ次の放出を示した。FITC−BSAは最初の5時間内に何れの系からもほぼ40%のバーストを示している。このことはこの特定の巨大分子が凝集塊において使用される粒子のサイズに極めて影響されやすく、従って、遥かに小さい粒子の直径が必要とされることを示している。
【0218】
(実施例29:SDSを使用して作成した175及び475nmの粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
475nm及び175nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の475nm及び175nmのpHEMA粒子(それぞれ)のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/mlのpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図21及び22に示す。
【0219】
FITC−Dexはヒドロゲル凝集塊の形成に使用した粒子の3種の混合物と相対比較して放出プロファイルの相違を示している。この巨大分子に関する相対的放出速度は60/40>40/60>20/80の順に漸減していた。pHEMA粒子の20/80混合物よりなる凝集塊からのFITC−Dexの放出速度は、図23及び25に示すとおり、1サイズの粒子を用いて形成されたpHEMA粒子凝集塊で観察されたものよりも緩徐である。図22に示す粒子混合物を用いて形成された凝集塊の各々はより小型のFITC−BSAよりもFITC−Dexのほうがより緩徐な放出プロファイルを示している。図21は凝集塊作成に使用した粒子混合物に関わらずFITC−BSAの大量バースト放出を示しており、使用した3種の混合物の間には放出プロファイルの差は殆どなく、凝集塊の作成に使用する粒子のサイズはこの特定の巨大分子に対しては過大であったことを示している。
【0220】
(実施例30:DSSを使用して作成した265及び500nmの粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
500nm及び265nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤DSSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度1ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の500nm及び265nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。100mg/ml(500nm又は265nm)のpHEMA粒子分散体5ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図23及び24に示す。
【0221】
FITC−BSAに関する放出プロファイルは凝集塊間で殆ど差がない。凝集塊に使用した3種の混合物全てが最初の5〜6時間以内にFITC−BSAの40%のバースト放出を与え、そしてその後は20〜60時間に渡り擬似ゼロ次放出を示している。ここでも又、FITC−DexはFITC−BSAよりも緩徐な速度で放出された。
【0222】
(実施例31:SDSを使用して作成した170及び75nmpHEMA粒子の混合物よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
170nm及び75nmのpHEMA粒子の混合物からpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、22ゲージ針、注入速度0.5ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れかを含有する組成20/80、40/60及び60/40の170nm及び75nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。74mg/ml(170nm又は75nm)のpHEMA粒子分散体68/10ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−Vis分析を用いて測定し、そして濃度は上記した通り求めた。結果を図27及び28に示す。
【0223】
FITC−BSAは凝集塊の形成に使用した粒子の3種の混合物と相対比較して放出プロファイルの相違を示している。この巨大分子に関する相対的放出速度は20/80>40/60>60/40の順に漸減していた。170nm及び75nmのpHEMA粒子の60/40混合物よりなる凝集塊からのFITC−BSAの放出速度は、図14に示す通り、1サイズの粒子(即ち175nm粒子)を用いて形成されたpHEMA粒子凝集塊で観察されたものよりも緩徐である。更に又、それぞれ図19及び20に示す通り、475及び175nmの粒子の混合物及び500及び265nmの粒子の混合物を用いて形成した凝集塊からのバースト放出及び放出特性と比較して、170nm及び75nmの粒子の混合物よりなる凝集塊からのほうが、最初の6時間に渡るバースト放出は低値であり、そして放出プロファイルは緩徐であった。同様に、FITC−Dexはより大型の粒子の混合物を用いて形成した凝集塊と比較して相対的に小さいサイズの粒子の混合物よりなる凝集塊からのほうが、低値のバースト放出(表11)及びより緩徐な放出プロファイルを示している。しかしながら、放出速度は以前よりも注射された分散体の製造において使用された関連するサイズの重量比組成物に関しては異なる傾向に従っている(実施例29)。
【0224】
(実施例32:ポリエチレングリコール400を含有するpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
注入の前に粒子分散体中20重量%ポリエチレングリコール400を用いてpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。Harvard4400型シリンジポンプ、10mLシリンジ、16ゲージ針、注入速度0.5ml/分を用いながら、10mgのFITC−BSA又は10mgのFITC−Dexの何れか及び100mgのポリエチレングリコール400を含有する組成20/80、40/60及び60/40の170nm及び75nmのpHEMA粒子のpHEMA粒子凝集塊500mgを調製した。74mg/ml(170nm又は75nm)のpHEMA粒子分散体68/10ミリリットルを予め計量した分量のFITC標識巨大分子及びポリエチレングリコール400と混合し、そして分散体を室温でPBSに注入した。FITC標識巨大分子の放出速度はUV−VIS分析を用いて測定し、そして、濃度は上記した通り求めた。結果を図27及び28に示す。
【0225】
ポリエチレングリコールを含有する凝集塊は以下の実施例に示す水溶性アジュバントを含有する他の凝集塊と比較して、最初の6時間におけるFITC−BSA及びFITC−Dexの遥かに低値のバースト放出(<12%)を示した。FITC−DexはFITC−BSAよりも緩徐な速度で放出された。しかしながら、2種の粒径の異なる比よりなる凝集塊の各セットについては、FITC−BSA及びFITC−Dexの両方の放出速度の差は殆ど観察されなかった。
【0226】
(実施例33:SDSを使用しながら作成した5%ゼラチン及び175及び475nm粒子よりなるpHEMA粒子凝集塊からの巨大分子の放出)
懸濁系中ゼラチン5重量%を用いながらpHEMA粒子凝集塊を調製した。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて製造した。100mg/ml(475nm及び175nm)pHEMA粒子分散体混合物5ミリリットル及び25mgの5重量%ゼラチンを予め計量された分量のFITC標識巨大分子と混合し、分散体を固定された速度で室温においてPBS内に注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図30及び31に示す。
【0227】
水溶性ゼラチンを含有する凝集塊は最初の5時間にFITC−BSAの大量のバースト放出(>45%)をもたらした。FITC−DexはFITC−BSAより緩徐な速度で放出されたが、FITC−Dexの放出速度は水溶性添加剤を含有しなかった凝集塊で観察されたものよりも遥かに急速であった。
【0228】
(実施例34:SDSを使用しながら作成した175及び475nm粒子よりなる部分腐食性凝集塊からの巨大分子の放出)
95%pHEMAおよび5%pHEMA/pMAA粒子の混合物よりなる凝集塊を調製した。MAAは生理学的pHでイオン化し、そして荷電した粒子が相互に反発し、経時的に凝集塊から脱落してゆく。部分的腐食の速度は凝集塊に存在するイオン化基の数の関数である。部分的腐食の間、凝集塊はより多孔性となり、捕獲された巨大分子の放出速度が影響を受ける。粒子は前述の通り界面活性剤SDSを用いて調製した。100mg/mlのpHEMA粒子分散体混合物5ミリリットルを予め計量された分量のFITC標識巨大分子と混合し、分散体を固定された速度で室温においてPBS内に注入した。FITC標識巨大分子の放出速度及び濃度は上記した通り測定した。結果を図32及び33に示す。
【0229】
FITC−BSA及びFITC−Dexは両方とも非腐食性凝集塊よりも部分腐食性凝集塊からより急速な放出プロファイルを示している。ここでも又、そのサイズのためにより緩徐な速度で放出されている。FITC−BSA及びFITC−Dexの両方について全ての放出プロファイルは擬似ゼロ次放出の動態を示している。
【0230】
(実施例35:凝集塊組成の関数としての粒子凝集塊内に取り込まれた巨大分子の負荷効率及びそれからのバースト放出)
粒子分散体の組成の変化は後に形成された凝集塊からどのように巨大分子が後に放出されるかに影響する。粒子凝集塊からの巨大分子の放出速度は巨大分子のサイズ、凝集塊の形成の前の粒子のサイズ、凝集塊作成に使用する粒子のサイズ、凝集塊の多孔性を変化させる添加剤の存在、凝集塊形成速度に影響することから注入前の分散体中に存在する界面活性剤、及び、凝集塊が腐食性であるかどうかに依存していることがわかっている。上記したパラメーターの各々及びそれらの組み合わせがこれらの物質の放出に対して多大な影響を有する。表11は前述の実施例の結果を総括したものである。
【0231】
(表11)
(前述の実施例に記載したpHEMA粒子凝集塊における巨大分子の負荷効率及びそれからのバースト放出の比較)
【0232】
【表11−1】
【0233】
【表11−2】
(1)本データは25℃における上澄み(PBS)への凝集塊からのFITC−BSAの規格化された放出(負荷FITC−BSAの放出)を示す。
(2)本データは25℃における上澄み(PBS)への凝集塊からのFITC−Dexの規格化された放出(負荷FITC−Dexの放出)を示す。
(3)pHEMA粒子は界面活性剤としてSDSを使用しながら合成した。
(4)pHEMA粒子は界面活性剤としてDSSを使用しながら合成した。
【0234】
表11は種々のpHEMA粒子凝集塊で観察された相対的負荷効率並びに最初の6時間以内に観察された初期バースト放出を比較したものである。一般的に、より大きい巨大分子は試験に使用される粒径に関連して所定の系に対してそのサイズ及び放出プロファイルの間に相関を示す。FITC−BSAは使用した種々の粒径により製造された凝集塊からより高速で放出されることがわかり、そしてこれは、より小さい分子量の化合物については長期の放出プロファイルを達成するためにはより小型の粒子を使用しなければならないことを示していると考えられる。
【0235】
(結論)
当業者の知るとおり、特定の実施形態及び実施例を説明したが、種々の改変及び変更を本発明の精神から離れることなく行ってよい。
【0236】
例えば本発明は形状保持凝集塊の形成方法、及び、そのようにして形成された凝集塊の使用に関するものとする。方法には形成された形状保持凝集塊の化学的及び物理的な特性に影響する広範な要因の複雑な相互作用が関わっている。本明細書に説明的に考察した要因に加えて、他のそのような要因は本明細書の開示内容に基づいて当業者には明らかになるものである。要因における変更のこのような追加的要因、及び要因の組み合わせの適用は全て、本発明の範囲に包含される。
【0237】
同様に本発明の方法は広範な範囲の用途を有する。このような用途の多数は上記したものであるが、他の用途は本明細書の開示内容に基づいて当業者には明らかになるものである。形状保持ゲル凝集塊を形成するための本発明の方法が関与するこれらの用途の全ては本発明の範囲内のものである。
【0238】
他の実施形態は添付する請求項内に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0239】
【図1】図1は凝集塊形成の開始前の懸濁液における粒子の最大湿潤重量濃度に対する分散体中の粒子の直径の関係を示すプロットである。図の凡例:SDS粒子は−■−として示す。DDS粒子は−●−として示す。
【図2】図2は本発明の方法を用いながらインビボで形成されたpHEMA粒子凝集塊の写真である。pHEMA粒子凝集塊は注入後7日の観察である。写真中のインプラントはマウスの開放組織の上方中心部にある白色半月型のディスクである。
【図3】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図3は室温におけるリン酸塩緩衝食塩水中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温PBS中ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm粒子%/時間を示し;−■−は600nm粒子%/時間を示し;そして−◆−は480nm粒子%/時間を示す。
【図4】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図4は室温及び37℃におけるリン酸塩緩衝食塩水中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;37℃及び室温におけるPBS中ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm37℃PBSを示し;−■−は600nm37℃PBSを示し;−○−は735nm25℃PBSを示し;そして−□−は600nm25℃PBSを示す。
【図5】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図5は室温におけるウシ血清中に注入された種々のサイズの粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温ウシ血清ツイーン(80)。図の凡例:−●−は735nm粒子を示し;−■−は600nm粒子を示し;そして−◆−は480nm粒子を示す。
【図6】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図6は室温における高張食塩水及びPBS中に注入された粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;高張食塩水及びPBSツイーン(80)。図の凡例:−●−はPBS中735nm粒子を示し;そして−■−は高張食塩水中の735nm粒子を示す。
【図7】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図7は室温におけるPBS中に注入された粒子よりなる凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;室温pHEMAbsPBS中pHEMA。図の凡例:−●−は465nmpHEMAナノ粒子を示し;−■−は480nmpHEMAナノ粒子を示す。
【図8】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図8は室温及び37℃におけるSDS又はDSS界面活性剤の何れかを用いた場合のpHEMA凝集塊に関する上記プロットを示す。これは注入された凝集塊からの水分損失の第1導関数をグラフで示す;界面活性剤の影響。図の凡例:−●−は25℃DSSを示し;−■−は37℃DSSを示し;−○−は25℃SDSを示し;そして−□−は37℃SDSを示す。
【図9】図3〜9はゲル粒子凝集塊が初期癒着からそれらの最終形状保持型に進行するに従ってそれらによる経時的な水分損失を測定することにより作成した曲線の種々の時点における傾きから計算した第1導関数のプロットである。第1導関数は測定点における単位時間当たりの水分損失の速度を与える。図9は粒子クラスター形成と懸濁液中の重合体の湿潤重量との間の関係を示すプロットである。これは[36mg/ml]i〜[424mg/ml]fの湿潤重量の粒子のTFF濃縮の間のLLSにより測定されたpHEMAナノ粒子の粒径分布をグラフで示す。図の凡例:−◆−は36mg/mlの湿潤重量濃度を示し;−○−241mg/mlの湿潤重量濃度を示し;そして−■−は424mg/mlの湿潤重量濃度を示す。
【図10】図10はSDS安定化pHEMA粒子のゼータ電位に対するイオン強度の影響を示すプロットである。これはSDS安定化pHEMAナノ粒子のゼータ電位に対するイオン強度の影響をグラフで示している。図の凡例:−■−はpHEMAナノ粒子のゼータ電位を示す。
【図11】図11は室温でPBSに注入された狭小な多分散性を有するpHEMA粒子よりなる凝集塊からのブロモクレゾール緑色染料の放出を示すプロットである。これはツイーン(80)安定化ナノ粒子から放出されたブロモクレゾール緑色染料をグラフで示している。図の凡例:−●−は725nmを示し;−■−は600nmを示し;そして−○−は480nmを示す。
【図12】図12は室温でPBSに注入された広範な多分散性を有するpHEMA粒子よりなる凝集塊からのブロモクレゾール緑色染料の放出を示すプロットである。これはツイーン(80)安定化ナノ粒子から放出されたブロモクレゾール緑色染料をグラフで示している。図の凡例:−●−は725nm:600nmにおける50:50混合物を示し;−■−は725nm:480nmにおける50:50混合物を示し;そして−○−は600nm:480nmにおける50:50混合物を示す。
【図13】図13は種々の直径のpHEMA粒子から作成された500mg凝集塊のシリーズからの10mgFITC−BSA(72kDA)の放出を示すプロットである。これは37℃の温度におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの10mgFITC−BSA(72kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−◆−は10mgFITC−BSA_475nm pHEMAを示し;−▲−は10mgFITC−BSA_300nm pHEMAを示し;−*−は10mgFITC−BSA_200nm pHEMAを示し;そして−|−は10mgFITC−BSA_175nm pHEMAを示す。
【図14】図14は室温におけるPBS中に注入された種々の直径のpHEMA粒子から作成した500mg凝集塊のシリーズからの5mgFITC−BSA(72kDA)の放出を示すプロットである。これは37℃の温度におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの5mgFITC−BSA(72kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−■−は5mgFITC−BSA_475nm pHEMAを示し;−○−は5mgFITC−BSA_300nm pHEMAを示し;−●−は5mgFITC−BSA_200nm pHEMAを示し;そして−◇−は5mgFITC−BSA_175nm pHEMAを示す。
【図15】図15は37℃におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの10mgFITC−デキストラン(2000kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−◆−は10mgFITC−Dex_475nm pHEMAを示し;−△−は10mgFITC−Dex_300nm pHEMAを示し;−*−は10mgFITC−Dex_200nm pHEMAを示し;そして−○−は10mgFITC−Dex_175nm pHEMAを示す。
【図16】図16は37℃におけるPBS中への注入により形成された500mg pHEMAナノ粒子凝集塊貯留物からの20mgFITC−デキストラン(2000kDA)に関する放出特性をグラフで示している。図の凡例:−□−は20mgFITC−Dex_475nm pHEMAを示し;−■−は20mgFITC−Dex_300nm pHEMAを示し;−○−は20mgFITC−Dex_200nm pHEMAを示し;そして−●−は20mgFITC−Dex_175nm pHEMAを示す。
【図17】図17は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は175nm pHEMAnpsを示し;そして−●−は475nm pHEMAnpsを示す。
【図18】図18は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は175nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は475nm pHEMAnpsを示す。
【図19】図19は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は265nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は500nm pHEMAnpsを示す。
【図20】図20は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は265nm pHEMAnpsを示し;そして−◆−は500nm pHEMAnpsを示す。
【図21】図21は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:475nm/175nm pHEMAnpsを示す。
【図22】図22は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:475nm/175nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:475nm/175nm pHEMAnpsを示す。
【図23】図21は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は20/80:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:500nm/265nm pHEMAnpsを示す。
【図24】図24は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのDSS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:500nm/265nm pHEMAnpsを示し;そして−▲−は60/40:500nm/265nm pHEMAnpsを示す。
【図25】図25は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−▲−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図26】図26は23℃においてPBSに注入された種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図27】図27は23℃においてPBSに注入された20重量%ポリエチレングリコール400を含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図28】図28は23℃においてPBSに注入された20重量%ポリエチレングリコール400を含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mg(混合粒径)からのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は20/80:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;−◆−は40/60:170nm/75nm pHEMAnpsを示し;そして−■−は60/40:170nm/75nm pHEMAnpsを示す。
【図29】図29は23℃においてPBSに注入された5重量%ゼラチンを含有する種々のサイズのSDS安定化pHEMA粒子の分散体から形成されたpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−■−は95%175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示し;そして−◆−は95%475nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示す。
【図30】図30は23℃においてPBSに注入された5重量%ゼラチンを含有するpHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−◆−は95%175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示し;そして−■−は95%60/40:475nm/175nm pHEMAnps:5%ゼラチンを示す。
【図31】図31は23℃においてPBSに注入された腐食性pHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−BSA(72kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−▲−は95%175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;−◆−は95%475nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;そして−■−は95%60/40 475nm/175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示す。
【図32】図32は23℃においてPBSに注入された腐食性pHEMAナノ粒子凝集塊500mgからのFITC−デキストラン(2000kDa)の放出を示すプロットである。図の凡例:−◆−は95%175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;−■−は95%475nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示し;そして−▲−は95%60/40 475nm/175nm pHEMAnps:5%100nM(95:5)pHEMA:pMAAを示す。
【図33】図33はヒドロゲル粒子凝集塊形成を示す模式図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル粒子の形状保持凝集塊を形成するための方法であって、下記工程:
極性液体又は少なくとも1つが極性である混和性液体2つ以上の混合物に分散された複数のゲル粒子を含む懸濁系を提供することであって、ここで該ゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位を有すること;及び、
受容媒体中に選択された導入速度でオリフィスを通過させて懸濁系を導入することであって、ここで該ゲル粒子は該第1の絶対ゼータ電位より低値(よりゼロ値に接近した)の第2の絶対ゼータ電位を獲得し、これにより、該ゲル粒子は癒着して、疎水性−親水性相互作用及び水素結合を含む非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となること、
を含む方法。
【請求項2】
前記ゲル粒子が懸濁系中約1〜約500mg湿潤重量/mLの濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲル粒子が懸濁系中約25〜約250mg湿潤重量/mLの濃度である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のゲル粒子が1サイズ、1つ以上の化学組成、及び、狭い多分散性のものである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のゲル粒子が2つ以上の異なるサイズのものであり、異なるサイズの各々の組成は他の異なるサイズの各々の組成と同じかまたは異なっており、全てのサイズは狭い多分散性のものである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のゲル粒子が1つ以上の化学組成及び広範な多分散性を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のゲル粒子が前記懸濁系中でクラスター形成をもたらすような濃度である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁系中の前記ゲル粒子の濃度が約300mg湿潤重量/mL〜約500湿潤重量/mLである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
懸濁系を提供することが、下記工程:
極性液体又は極性液体の混合物中に、単量体又は2つ以上の異なる単量体を含む重合系を提供することであって、ここで該単量体又は該2つ以上の単量体の少なくとも1つが1つ以上のヒドロキシ及び/又は1つ以上のエーテル基を含み、そしてここで該極性液体又は2つ以上の極性液体の少なくとも1つが1つ以上のヒドロキシ基を含むこと;
該重合系に0.01〜10モルパーセントの界面活性剤を添加すること;及び、
該単量体を重合して複数のゲル粒子を形成することであって、ここで各粒子は複数の重合体鎖を含むこと;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
懸濁系を提供することが、予備形成された乾燥ゲル粒子、前記液体及び前記界面活性剤を混合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記オリフィスが中空針を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記中空針が10ゲージ〜30ゲージの針よりなる群から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中空針が15ゲージ〜27ゲージの針よりなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択される導入速度が約0.05ml/分〜約15ml/分である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記選択される導入速度が約0.25ml/分〜約10ml/分である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記受容媒体がインビボ媒体である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記インビボ媒体が身体組織を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記身体組織が上皮、結合組織、筋肉及び神経よりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記結合組織が血液、骨及び軟骨よりなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単量体が2−アルケン酸、ヒドロキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、ヒドロキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート及びビシニルエポキシ(1C−4C)アルキル2−アルケノエート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートならびにこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記単量体が2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体が水、(1C−10C)アルコール、(2C−8C)ポリオール、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)アルキルエーテル、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)酸エステル;ヒドロキシ末端ポリエチレンオキシド、ポリアルキレングリコール及びモノ、ジ又はトリカルボン酸のヒドロキシ(2C−4C)アルキルエステルよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記液体が水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、グリセロールモノアセテート、トリ(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、グリセリン、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノブチレート及びソルビトールよりなる群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体が水である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
重合体鎖の交差結合をもたらす約0.1〜約15モル%の交差結合剤を前記重合系に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記交差結合剤がエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ジヒドロキシブタンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルタータレート、ジアリルマレエート、ジビニルタータレート、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、1,3−ジアリル2−(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジアリルイタコネート、ジ(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、トリアリルアコニテート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートよりなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記交差結合剤がα−ヒドロキシ酸エステルよりなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記交差結合重合体鎖が約3,000〜約2,000,000の平均分子量を有する請求項26に記載の方法。
【請求項30】
重合の前に前記重合系の前記極性液体に1つ以上のワーキング物質を添加することを更に含み、ここで重合の後、該ワーキング物質含有液体の一部分が前記ゲル粒子に封鎖されることによりワーキング物質含有ゲル粒子を形成する請求項9に記載の方法。
【請求項31】
前記ワーキング物質含有ゲル粒子がワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントを封鎖する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記懸濁系に1つ以上のワーキング物質を添加することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記形状保持凝集塊の形成時に、前記ワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントが該形状保持凝集塊内に捕獲される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
下記工程:
1つ以上の第1のワーキング物質を前記重合系に添加することにより第1のワーキング物質含有液体を形成することであって、ここで、
重合後には該第1のワーキング物質含有液体は前記ゲル粒子により封鎖されること;
1つ以上の第2のワーキング物質を該懸濁系に添加することにより第2のワーキング物質含有液体を形成することであって、ここで、
前記形状保持凝集塊形成後に、該第2のワーキング物質含有液体の一部分を該形状保持凝集塊内に捕獲することであって、ここで、
該第1のワーキング物質は該第2のワーキング物質と同じかまたは異なっていてよく、そして該第1のワーキング物質含有液体の液体は該第2のワーキング物質含有液体の液体と同じかまたは異なっていてよいこと、
を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが前記複数のヒドロゲル粒子に封鎖され;そして、
前記第2のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが前記形状保持凝集塊内に捕獲される、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ワーキング物質が同じかまたは異なっていてもよい1つ以上の生物医学的薬剤を含む請求項30〜35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の前記生物医学的薬剤が1つ以上の医薬品を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬品が更に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬品がペプチド又はタンパク質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬品が癌の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記医薬品が冠動脈疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬品が呼吸器疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬品が感染性疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬品が眼病の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬品が成長因子である請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記生物医学的薬剤が1つ以上の組織成長スカホールド物質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記生物医学的薬剤が美容用の組織増強物質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のゲル粒子のサイズが直径で約10〜約75000ナノメートルである請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記複数のゲル粒子のサイズが直径で約10〜約800ナノメートルである請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ゲル粒子が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記形状保持凝集塊が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記ゲル粒子が分解可能であり、そして前記形状保持凝集塊が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記形状保持凝集塊が弾性を有する請求項1に記載の方法。
【請求項1】
ゲル粒子の形状保持凝集塊を形成するための方法であって、下記工程:
極性液体又は少なくとも1つが極性である混和性液体2つ以上の混合物に分散された複数のゲル粒子を含む懸濁系を提供することであって、ここで該ゲル粒子は第1の絶対ゼータ電位を有すること;及び、
受容媒体中に選択された導入速度でオリフィスを通過させて懸濁系を導入することであって、ここで該ゲル粒子は該第1の絶対ゼータ電位より低値(よりゼロ値に接近した)の第2の絶対ゼータ電位を獲得し、これにより、該ゲル粒子は癒着して、疎水性−親水性相互作用及び水素結合を含む非共有結合性の物理的な力により共に保持された形状保持凝集塊となること、
を含む方法。
【請求項2】
前記ゲル粒子が懸濁系中約1〜約500mg湿潤重量/mLの濃度である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲル粒子が懸濁系中約25〜約250mg湿潤重量/mLの濃度である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のゲル粒子が1サイズ、1つ以上の化学組成、及び、狭い多分散性のものである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のゲル粒子が2つ以上の異なるサイズのものであり、異なるサイズの各々の組成は他の異なるサイズの各々の組成と同じかまたは異なっており、全てのサイズは狭い多分散性のものである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のゲル粒子が1つ以上の化学組成及び広範な多分散性を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のゲル粒子が前記懸濁系中でクラスター形成をもたらすような濃度である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記懸濁系中の前記ゲル粒子の濃度が約300mg湿潤重量/mL〜約500湿潤重量/mLである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
懸濁系を提供することが、下記工程:
極性液体又は極性液体の混合物中に、単量体又は2つ以上の異なる単量体を含む重合系を提供することであって、ここで該単量体又は該2つ以上の単量体の少なくとも1つが1つ以上のヒドロキシ及び/又は1つ以上のエーテル基を含み、そしてここで該極性液体又は2つ以上の極性液体の少なくとも1つが1つ以上のヒドロキシ基を含むこと;
該重合系に0.01〜10モルパーセントの界面活性剤を添加すること;及び、
該単量体を重合して複数のゲル粒子を形成することであって、ここで各粒子は複数の重合体鎖を含むこと;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
懸濁系を提供することが、予備形成された乾燥ゲル粒子、前記液体及び前記界面活性剤を混合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記オリフィスが中空針を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記中空針が10ゲージ〜30ゲージの針よりなる群から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中空針が15ゲージ〜27ゲージの針よりなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択される導入速度が約0.05ml/分〜約15ml/分である請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記選択される導入速度が約0.25ml/分〜約10ml/分である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記受容媒体がインビボ媒体である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記インビボ媒体が身体組織を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記身体組織が上皮、結合組織、筋肉及び神経よりなる群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記結合組織が血液、骨及び軟骨よりなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単量体が2−アルケン酸、ヒドロキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、ヒドロキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート、(1C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルコキシ(2C−4C)アルキル2−アルケノエート及びビシニルエポキシ(1C−4C)アルキル2−アルケノエート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記単量体がアクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートならびにこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記単量体が2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びこれらの2つ以上の組み合わせよりなる群から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記液体が水、(1C−10C)アルコール、(2C−8C)ポリオール、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)アルキルエーテル、(2C−8C)ポリオールの(1C−4C)酸エステル;ヒドロキシ末端ポリエチレンオキシド、ポリアルキレングリコール及びモノ、ジ又はトリカルボン酸のヒドロキシ(2C−4C)アルキルエステルよりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記液体が水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブエーテル、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、グリセロールモノアセテート、トリ(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ジ(ヒドロキシプロピル)オキサレート、グリセリン、グリセリルモノアセテート、グリセリルジアセテート、グリセリルモノブチレート及びソルビトールよりなる群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体が水である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
重合体鎖の交差結合をもたらす約0.1〜約15モル%の交差結合剤を前記重合系に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記交差結合剤がエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ジヒドロキシブタンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルタータレート、ジアリルマレエート、ジビニルタータレート、トリアリルメラミン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ジアリルマレエート、ジビニルエーテル、1,3−ジアリル2−(2−ヒドロキシエチル)シトレート、ビニルアリルシトレート、アリルビニルマレエート、ジアリルイタコネート、ジ(2−ヒドロキシエチル)イタコネート、ジビニルスルホン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアリルトリアジン、トリアリルホスファイト、ジアリルベンゼンホスホネート、トリアリルアコニテート、ジビニルシトラコネート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びジアリルフマレートよりなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記交差結合剤がα−ヒドロキシ酸エステルよりなる群から選択される請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記交差結合重合体鎖が約3,000〜約2,000,000の平均分子量を有する請求項26に記載の方法。
【請求項30】
重合の前に前記重合系の前記極性液体に1つ以上のワーキング物質を添加することを更に含み、ここで重合の後、該ワーキング物質含有液体の一部分が前記ゲル粒子に封鎖されることによりワーキング物質含有ゲル粒子を形成する請求項9に記載の方法。
【請求項31】
前記ワーキング物質含有ゲル粒子がワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントを封鎖する請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記懸濁系に1つ以上のワーキング物質を添加することを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記形状保持凝集塊の形成時に、前記ワーキング物質含有液体の約0.1〜約90重量パーセントが該形状保持凝集塊内に捕獲される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
下記工程:
1つ以上の第1のワーキング物質を前記重合系に添加することにより第1のワーキング物質含有液体を形成することであって、ここで、
重合後には該第1のワーキング物質含有液体は前記ゲル粒子により封鎖されること;
1つ以上の第2のワーキング物質を該懸濁系に添加することにより第2のワーキング物質含有液体を形成することであって、ここで、
前記形状保持凝集塊形成後に、該第2のワーキング物質含有液体の一部分を該形状保持凝集塊内に捕獲することであって、ここで、
該第1のワーキング物質は該第2のワーキング物質と同じかまたは異なっていてよく、そして該第1のワーキング物質含有液体の液体は該第2のワーキング物質含有液体の液体と同じかまたは異なっていてよいこと、
を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが前記複数のヒドロゲル粒子に封鎖され;そして、
前記第2のワーキング物質含有液体の0.1〜90重量パーセントが前記形状保持凝集塊内に捕獲される、
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ワーキング物質が同じかまたは異なっていてもよい1つ以上の生物医学的薬剤を含む請求項30〜35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の前記生物医学的薬剤が1つ以上の医薬品を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬品が更に1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬品がペプチド又はタンパク質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬品が癌の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記医薬品が冠動脈疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬品が呼吸器疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬品が感染性疾患の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬品が眼病の治療のために有用である請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬品が成長因子である請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記生物医学的薬剤が1つ以上の組織成長スカホールド物質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記生物医学的薬剤が美容用の組織増強物質を含む請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のゲル粒子のサイズが直径で約10〜約75000ナノメートルである請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記複数のゲル粒子のサイズが直径で約10〜約800ナノメートルである請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ゲル粒子が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記形状保持凝集塊が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記ゲル粒子が分解可能であり、そして前記形状保持凝集塊が分解可能である請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記形状保持凝集塊が弾性を有する請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公表番号】特表2008−517878(P2008−517878A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535791(P2007−535791)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035905
【国際公開番号】WO2006/041967
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507112996)ウルル インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035905
【国際公開番号】WO2006/041967
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(507112996)ウルル インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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