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ゲル粒子の製造方法
説明

ゲル粒子の製造方法

【課題】ダブルネットワークゲル並の強度を有する球状のゲル粒子を、様々な大きさで調製することが可能となる製造方法を提供する。
【解決手段】下記工程1〜5を含むゲル粒子の製造方法。
(工程1)有機溶剤中で、少なくとも第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液滴を作製し、これを重合し架橋することにより形成されたゲル粒子(A)を得る。
(工程2)工程1で得られたゲル粒子(A)を回収・洗浄する。
(工程3)工程2で回収したゲル粒子(A)を、少なくとも第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液中に浸漬し、該ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含む、モノマー水溶液を導入して膨潤させる。
(工程4)工程3を経て膨潤したゲル粒子(A)(ゲル粒子(A’))を単離する。
(工程5)工程4で単離したゲル粒子(A’)中の第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを、有機溶剤中で重合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低摩擦、かつ高強度なゲル粒子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲル材料は、自重の数百、数千倍の溶媒を保持することができる材料として、従来から高吸水性樹脂、紙おむつや生理用品、ソフトコンタクトレンズ、屋内緑化用含水シート等に利用されている。また、薬物の徐放性も有し、ドラッグデリバリーシステムや創傷被覆材等の医療材料にも応用されている。また、衝撃吸収材料、制振・防音材料等への利用もされており、その用途は多岐に渡る。
しかしながら、ゲル材料は一般的に強度がなく、微小な応力で構造が破壊されてしまうため、用途が制限されていた。
近年、高強度ゲルとして、数種類のゲルが発表され、盛んに研究されている。
【0003】
このような高強度ゲルの中でも、2種類の網目構造が相互に侵入したダブルネットワークゲル(例えば特許文献1)は、高弾性率・高破断強度を有し、様々な応用・産業的利用が期待されている。しかしながら、ダブルネットワークゲルは、シート状のゲルや、大きな型で作製したものが殆どで、型を作製するのが困難な形状、特に、球状のものなどは作製するのが困難であった。
【0004】
ダブルネットワークゲルでも、第一のポリマーを含むゲルを粒子状に作製したもの(例えば特許文献2)や第一のゲルを粉砕したもの(例えば特許文献3)を用いて、任意の形状に成型する方法が発表されているが、この方法では、粒子状(特に小さいもの)のダブルネットワークゲルを大量に作成することは不可能であった。
【0005】
一方で、相互侵入網目を有するゲル粒子を作製する方法も発表されているが(例えば特許文献4、5)、製造工程において目的物であるゲル粒子以外の部分もゲル化するため、精製等が困難であり、均一な相互侵入網目を得ることが困難であった。また、一つ目の網目の特異的な刺激応答性を利用しなければ作製することができなかったため(例えば特許文献6)、通常のポリマーでは作製できなかった。またこの場合、一つ目の網目に対する二つ目の網目の量を充分に多くすることができなかったため、強度の高いゲル粒子を得ることができなかった。さらに、これらの方法では、第一のゲルを乳化重合や懸濁重合で得ているため、一定の範囲の粒子径でしか粒子を作製することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/093337号パンフレット
【特許文献2】特開2008−163055号
【特許文献3】特開2009−185156号
【特許文献4】特開2004−189963号
【特許文献5】特開2010−230846号
【特許文献6】特表2007−534644号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、ダブルネットワークゲル並の強度を有する球状のゲル粒子を製造する方法、特に、それらを特異的な刺激応答性を使用せず、かつ、様々な大きさで調製することが可能となる製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲル粒子の製造方法は、工程1〜5を含む。
(工程1)有機溶剤中で、少なくとも第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液滴を作製し、これを重合し架橋することにより形成されたゲル粒子(A)を得る。
(工程2)工程1で得られたゲル粒子(A)を回収・洗浄する。
(工程3)工程2で回収したゲル粒子(A)を、少なくとも第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液中に浸漬し、該ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液を導入して膨潤させる。
(工程4)工程3を経て膨潤したゲル粒子(A)(ゲル粒子(A’))を単離する。
(工程5)工程4で単離したゲル粒子(A’)中の第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを、有機溶剤中で重合する。
【0009】
また、本発明のゲル粒子の製造方法は、上記ゲル粒子の製造方法の工程1において、マイクロリアクターを用いてゲル粒子(A)を得ることを特徴とする、ゲル粒子の製造方法である。
【0010】
また、本発明のゲル粒子は、上記工程1〜5を含む製造方法によって作製されたゲル粒子であって、ゲル粒子(A)のポリマー分の質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分の質量yの比率y/xが2以上のゲル粒子である。
【0011】
また、本発明の他の態様は、上記製造方法により得られたゲル粒子を含む水処理剤である。
【0012】
また、本発明の更に他の態様は、上記製造方法により得られたゲル粒子を含む土壌改良剤である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、得られたゲル粒子は、従来のゲル粒子よりも壊れにくいため扱いやすく、高い強度を有する。また、本発明の製造方法によれば、従来の方法では容易に作製できなかった様々な大きさのゲル粒子を得ることができる。これにより、これまで強度が不足しがちであった水処理や土壌改良の用途にゲル粒子を好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例7及び比較例2のゲル粒子の強度測定結果を示す。
【図2】実施例7及び比較例2の強度測定にて得られたデータより算出した擬似応力と変形量の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<ゲル粒子>
本明細書において「ゲル粒子」とは、ポリマーで構成された網目構造中に水もしくは有機溶媒を溶媒として取り込んでいる粒子状ゲルを意味する。本発明のゲル粒子の形状は特に限定されないが、略球状、卵形状であることが好ましい。
本発明のゲル粒子の平均直径は、例えば、1nm〜1000μm、あるいは1μm〜100mmの大きさ、好ましくは10μm〜50mmの大きさ、より好ましくは10μm〜20mmの大きさである。
前記ゲル粒子は好ましくは水を溶媒として取り込んでいる。
本発明のゲル粒子に最終的に含まれる溶媒の量や種類、混合の有無、混合比率等は、特に限定されず、用いるモノマーや使用環境、用途に合わせて適宜選択することができる。溶媒は、1種の単独溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよく、水と有機溶媒を同時に用いてもよい。
【0016】
網目構造とは、不飽和モノマーを重合することにより形成されたポリマー同士を架橋することにより、三次元に張り巡らされた網の目のような構造を意味する。該構造は、直鎖状のポリマーとは異なり、網目内に各種溶媒を保持できる。
不飽和モノマーとは、芳香環上の炭素−炭素不飽和二重結合を除き、1分子中に1個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有するモノマーを意味する。
【0017】
(工程1)(ゲル粒子(A)の形成)
ゲル粒子(A)は、有機溶剤中で、少なくとも第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液滴を作製し、これを重合し架橋することにより形成されるものである。
【0018】
有機溶剤は、常温で液体状態の有機物であればよく、例えば、ヘキサデカン等のアルカン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミン類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、その他、ジメチルスルホキシドやテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、無水酢酸、常温で液体のパラフィン類、シクロアルカン、植物油、シリコーンオイルが挙げられる。これらの中でも、水との相溶性の低い溶媒、比重が1に近い溶媒が好ましい。水との相溶性が低いほど、液滴の安定性が高く、水と比重が近い溶媒の方が分散安定化しやすいためである。中でも、扱いやすさや安全性から、ヘキサデカン、シリコーンオイルが好ましい。
【0019】
第一の架橋性モノマー(a)は、1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有する多官能不飽和モノマー(a1)、側鎖に反応性官能基を有し、該官能基同士が直接反応しうる不飽和モノマー(a2)、側鎖の官能基同士をつなぐ橋かけ剤(a3)、イオン結合または配位結合によって架橋する多価金属イオン(銅イオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン等)を有する不飽和モノマー(a4)、等が挙げられるが、中でも1分子中に2個以上の炭素−炭素不飽和二重結合を有する多官能不飽和モノマー(a1)を、水溶性不飽和モノマー(c)とともに用いることが好ましい。これらを共に用いると、重合と同時に架橋が形成される。
【0020】
多官能不飽和モノマー(a1)としては、公知の水溶性の架橋剤を用いることができ、例えば、下記に示すようなものが挙げられる。
2官能不飽和モノマーとして、例えば、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。
その他3官能以上の不飽和モノマーを用いてもよく、これら多官能不飽和モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
不飽和モノマー(a2)としては、アクリル酸等の酸モノマーと、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するモノマーとの組み合わせが挙げられる。側鎖の官能基同士をつなぐ橋かけ剤(a3)としては、硫黄や、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどの無機イオンを含む化合物が挙げられる。
【0022】
水溶性不飽和モノマー(c)とは、公知の水溶性不飽和モノマーであり、例えば、アクリルアミド誘導体(アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等)、アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートエステル化物等)、アクリロニトリル、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニルが挙げられる。これら水溶性不飽和モノマー(c)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)中の水溶性不飽和モノマー(c)の含有量は、水溶液(α)100質量%のうち、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜35質量%であることが最も好ましい。水溶性不飽和モノマー(c)が10質量%以上であれば、安定的にゲル粒子を調製することが可能となる。また、水溶性不飽和モノマー(c)が50質量%以下であれば、該水溶性不飽和モノマー(c)を溶解しやすく、水溶液(α)の調製が容易である。
【0024】
なお、水溶液(α)に用いる水溶性不飽和モノマー(c)としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を単独で、または、N,N−ジメチルアクリルアミド等との組み合わせで用いることが好ましい。すなわち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を、水溶性不飽和モノマー(c)100質量%のうち5質量%以上用いることが好ましく、10質量%以上用いることがより好ましい。
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いると、水中でイオン反発によって網目が広がりやすく、(工程3)において、ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を充分に導入することが容易となる。「充分に」とは、本発明の最終的に得られるゲル粒子が強度を発現するために必要な量を示しており、ゲル粒子(A)のポリマー分質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分質量yの比率y/xが2以上になる量である。
【0025】
また、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いない場合、水溶液(α)中の水溶性不飽和モノマーとしては、ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートエステル化物を単独で、または組み合わせで用いることが好ましい。ポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートエステル化物としては、分子量が400以上のものを用いることが好ましい。これらを用いることで、架橋点間距離が長くなり、(工程3)において、ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を充分に導入することが容易となる。
【0026】
第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)中の多官能不飽和モノマー(a1)の添加量としては、水溶液(α)中のモノマー総量(a1を除く)100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、更に1〜10質量部が好ましい。ゲル粒子(A)を形成するモノマーの種類により最適値が異なるが、0.1質量部以上であれば、網目構造を形成し回収することが容易になる。また50質量部以下であれば、架橋剤が水溶液に溶解し易く、ゲルの架橋度・溶媒の保持量が適切な範囲となり、ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を充分に導入することが容易となる。尚、第一の架橋性モノマー(a)として多官能不飽和モノマー(a1)以外を用いる場合も、架橋を形成するモノマーの割合が同等になるようにするのが好ましい。
【0027】
球状のゲル粒子(A)を得るために、有機溶剤中で、上記水溶液(α)の水溶液滴を作製する。作製方法は、特に限定されず、用途に合わせて適宜選択できる。大きいものでは、シリンジやスポイドやピペットを用いて有機溶剤中に滴下し、液滴が有機溶剤中を沈降する間に重合する方法が簡便である。この方法によれば、直径1〜100mm程度の液滴を調製できる。この場合、重合途中に液滴が合一したり、容器の底に付着したりすることを防ぐために、有機溶剤の液面と底面が離れており、液滴が底面に到達するまでに重合に充分な時間を要する工夫が必要である。具体的には、シリンダー状や筒状の容器を使用することが好ましい。テフロン(登録商標)等の疎水性の容器を使用することや、容器の底面を疎水化処理することも効果的である。溶媒としては、シリコーンオイル等の比重が1に近く、水より粘度の高い有機溶媒を用いることが好ましい。
【0028】
また、小さいものでは、有機溶剤中に上記水溶液(α)を添加して、攪拌棒や攪拌翼、ミキサー等の機械的攪拌により微細な液滴を調製することで、直径1ナノメートル〜1000マイクロメートルの液滴を調製することが可能である。この時、有機溶剤または上記水溶液(α)に乳化剤や安定剤、分散剤等の界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては適宜使用することができるが、例えば、ソルビタンモノオレエート(Span80/Wako製)等の非イオン性界面活性剤、ポリエステルポリアミン(Solsperse19000/ルーブリゾール社製)等の高分子分散剤が挙げられる。特に、Span80は、小径の粒子を作製する際にも液滴が安定するため好ましい。界面活性剤等の添加量は、水溶性不飽和モノマー(c)100質量部に対し、10質量部以下、更に好ましくは0.001〜7質量部である。
【0029】
さらに、マイクロリアクターを用いて、有機溶剤中に上記水溶液(α)の液滴を作製することにより、直径数十〜数百マイクロメートルの液滴を調製することができる。この時、有機溶剤または上記水溶液(α)に乳化剤や安定剤、分散剤等の界面活性剤を添加することが好ましい。
マイクロリアクターとは、マイクロメートル幅の流路と送液ポンプを有する装置であり、溶媒と、水溶液(α)をポンプで流し込みながら液滴を調製するものである。流路の形状は特に限定しないが、T字型やY字型、もしくはキャピラリー型やフローフォカス型の流路が簡便である。また、マイクロリアクターを用いる方法では、単分散の液滴を作製することも可能となる。
例えば、第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)及び溶媒(例えば、溶媒のみ、あるいは溶媒に界面活性剤、乳化剤、安定剤、または分散剤等を溶解した溶液)を一定の流速で流し見込みながら単分散の液滴を作製することが可能である。マイクロリアクター内の各溶液の流速は、溶媒の種類、溶液の濃度(粘度)、マイクロリアクター(流路)の形状や大きさ、目的のゲル粒子の大きさ等により当業者が適宜設定することができる。
【0030】
ゲル粒子(A)の形成方法としては、公知のモノマーの重合方法が適用でき、重合方法としては、中でも熱重合開始剤によるラジカル重合法や、光重合開始剤による光重合法が好ましい。水溶液(α)に水溶性開始剤を溶解させておき、前述の方法により液滴を調製した後に重合を行うのが好ましいが、油溶性開始剤を有機溶剤中に溶解させておき、重合することも可能である。
熱重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化物、アゾ系開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系開始剤等の一般的な光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、使用する種類、モノマーの濃度、反応条件、目的の重合度など、様々な要因により当業者が適宜決定することができるが、通常、重合性モノマーの質量100質量部に対し、0.1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0031】
(工程2)
本発明のゲル粒子の製造方法は、ゲル粒子(A)を形成後、回収し、洗浄する工程を含む。回収方法は、特に限定しないが、ナイロンメッシュや金巾を用いて有機溶媒を除去する方法が簡便であり、好ましい。この場合、洗浄方法は、使用する有機溶媒と親和性の高い、揮発性の溶媒(例えばヘキサン、アセトン等)を用いて、メッシュや金巾上で有機溶媒を洗い流すとよい。有機溶剤から分離したゲル粒子(A)に、ヘキサンをかけた後、ヘキサン中に分散させて上澄みを除く。更にヘキサンを追加して数回洗浄を繰り返し、水で同様に数回洗浄する。
また、有機溶媒中に良好に分散しておりゲル粒子(A)の回収が困難な場合は、水不溶性の有機溶剤中に少しずつ滴下してゲル粒子(A)を析出させて回収する方法が好ましい。この場合、逆相乳化重合や逆相懸濁重合で作製された微粒子を回収・洗浄する一般的な方法を用いることが可能である。
尚、ゲル粒子(A)は回収・洗浄した後、多少乾燥させることが好ましい。乾燥させることで、工程3での膨潤の際に、モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を導入しやすくなる。
【0032】
(工程3)
本発明のゲル粒子の製造方法は、回収したゲル粒子(A)を、少なくとも第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液中に浸漬し、該ゲル粒子(A)中にこれらを導入して、ゲル粒子(A)を膨潤する工程を含む。ここで、ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を充分に導入することが重要となる。「充分に」とは、本発明の最終的に得られるゲル粒子が強度を発現するために必要な量を示しており、ゲル粒子(A)のポリマー分質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分質量yの比率y/xが2以上になる量である。ここで、ゲル粒子(A)のポリマー分質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー重合したポリマー分質量yの比率x:yは、1:2〜1:100が好ましく、1:3〜1:80がより好ましい。機械強度を重要視する場合は、1:10〜1:50が最も好ましい。
【0033】
第二の架橋性モノマー(b)は、工程1において、第一の架橋性モノマー(a)で例示したものと同様のモノマーを単独で、もしくは組み合わせて用いることができる。この場合も、多官能不飽和モノマー(a1)として例示したモノマーが多官能不飽和モノマー(b1)として好ましく用いられるが、同じものでもよく、異なるものでもよい。また、多官能不飽和モノマー(a1)以外のものを用いてもよい。
【0034】
第二の多官能不飽和モノマー(b1)は、水溶性不飽和モノマー(c)とともに用いることが好ましい。第二の多官能架橋性モノマー(b1)を含むモノマー水溶液(β)中の水溶性不飽和モノマー(c)の含有量は、水溶液(β)100質量%のうち、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましく、20〜35質量%であることが最も好ましい。水溶性不飽和モノマー(c)が10質量%以上であれば上述した高強度ゲルを得ることが容易となる。また、水溶性不飽和モノマー(c)が50質量%以下であれば、水溶液(β)を調製することが容易であり、粘度が高くなり取扱い性が悪くなることもない。なお、水溶液(β)に用いられる水溶性不飽和モノマー(c)としては、一般的な低分子量モノマーが好ましく、特にアクリル酸、アクリルアミドを単独で、若しくは他の水溶性モノマー(c)との組み合わせで用いることが好ましく、アクリルアミドを10質量%以上用いることが最も好ましい。低分子量モノマーを用いることで、ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を充分に導入することが容易となる。また、アクリル酸、アクリルアミドは、低分子量であり、重合しやすく、高分子量のポリマーを得易いことから、好ましく用いられる。
【0035】
第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)中の第二の多官能不飽和モノマー(b1)の含有量は、水溶液(β)中のモノマー総量(b1を除く)100質量部に対して0.001〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部である。0.001質量部以上であれば、ゲル粒子(A)内にポリマーを形成することが容易となる。また10質量部以下であれば、最終的に得られるゲルの柔軟性が得られ、かつ充分な破断強度が得られる。多官能不飽和モノマー(b1)以外の架橋性モノマー(b)を用いる場合も、架橋を形成するモノマーの割合がこれと同等となることが好ましい。
【0036】
また、本発明のゲル粒子においては、第二の架橋性モノマー(b)により実現する架橋度を、ゲル粒子(A)の架橋度よりも小さくすることが好ましい。そうすれば、ゲルの機械特性がよい、特に柔軟性に富むゲルが得易い。
架橋度とは、架橋を多官能不飽和モノマー(a1またはb1)と水溶性不飽和モノマー(c)を重合して形成する場合、水溶性不飽和モノマー(c)100質量%に対する多官能不飽和モノマー(a1またはb1)の添加量を意味する。
【0037】
(工程4)
本発明のゲル粒子の製造方法は、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)で膨潤したゲル粒子(A)(ゲル粒子(A’))を単離する工程を含む。この時、モノマー水溶液(β)で膨潤したゲル粒子(A’)を回収し、周囲のモノマー水溶液(β)を除く。遠心分離、ふき取り等各種の方法が用いられるが、金巾やメッシュを用い、水不溶性の有機溶媒、例えば、ヘキサデカン、シリコーンオイル等の有機溶媒で洗い流して水分と分離する方法が簡便である。この時、ゲル粒子(A’)の再分散に用いる有機溶媒を用いることが好ましい。この工程を実施した粒子を有機溶媒に分散した後に重合を行うことで、以降の工程で粒子同士が合一したり、ゲル粒子(A’)外部に第二のゲル粒子(B)が発生したり、付着したりすることを防ぐことが可能である。尚、第二のゲル粒子(B)とは、水溶液(β)中のモノマー分が重合して生成したゲル粒子である。
【0038】
(工程5)
本発明のゲル粒子の製造方法は、単離したゲル粒子(A’)中の第二の架橋性モノマーを含むモノマーを、再び有機溶剤中で重合する工程を含む。この重合方法としては、公知のモノマーの重合方法を適用でき、ゲル粒子(A)の形成方法と同様の方法を適用できる。ゲル粒子(A)の形成方法と、同じであってもよく、異なっていてもよい。熱重合開始剤によるラジカル重合法や、光重合開始剤による光重合法を用いて有機溶剤中で形成することが好適である。なお、使用する有機溶媒は、ゲル粒子(A)の形成時に使用するものと同じであってもよく、異なっていてもよい。また、必要であれば、乳化剤や安定剤、分散剤等の界面活性剤を使用してもよい。これらもゲル粒子(A)の形成について記載したものと同様のものを同様の量で使用することができる。
【0039】
重合開始剤は、油溶性でもよいが、水溶性開始剤をモノマー水溶液(β)に分散させておく方法が好ましい。水溶液(β)中の重合開始剤の使用量は、使用する種類、モノマーの濃度、反応条件、目的の重合度など、様々な要因により当業者が適宜決定することができるが、例えば、水溶液(β)中の重合性モノマーの質量100質量部に対し、0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
水溶性開始剤を用いる場合、モノマー水溶液(β)中のモノマー総量100質量部に対して1質量部以上添加すること、開始剤に応じ充分にラジカルの発生し易い温度で重合を行うことが好ましい。また、窒素バブリングでモノマー水溶液(β)内の溶存酸素を除くこと、窒素雰囲気下で重合することが好ましい。これらの工夫により重合速度が速いほど、形成した液滴の形状のまま硬化されるためである。なお、得られた粒子を回収・洗浄し、工程3〜5を繰り返してもよい。これらの工程を繰り返すことで、ゲル粒子(A)のポリマーの質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマーの質量yの質量比率y/xが2以上のゲル粒子を確実に作製できる。
【0040】
本発明のゲル粒子には、必要に応じて、公知の着色剤、可塑剤、安定剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、難燃剤等の添加剤を配合してもよい。その際、ゲル粒子(A)を形成する時に、水溶液(α)内に添加することが好ましい。第二のモノマー水溶液(β)をゲル粒子(A)内に導入する時(工程3)、または、第二のモノマー水溶液(β)を含むゲル粒子(A’)を重合する時(工程5)に添加するよりも、ゲル粒子内に添加剤を入れることが簡便である。
【0041】
以上説明した本発明のゲル粒子の製造方法により、膨潤したゲル粒子(A’)の周りの余分な第二のモノマー水溶液(β)を除去することで、簡便に、高強度を有するゲル粒子を、合一したり、余分なゲルが付着したりすることなく得られる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
(工程1)
第一の架橋性モノマー(a)として、N,N−メチレンビスアクリルアミド(MBA)、水溶性不飽和モノマー(c)として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を用い、AMPS100質量部に対して6質量部のMBAと、5質量部の熱重合開始剤(過硫酸カリウム;KPS)とを、300質量部の蒸留水に溶かし、第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)を調製した。
ついで、得られた水溶液(α)を窒素バブリングして溶存酸素を除き、70℃に熱したシリコーンオイル(KF‐54:信越化学工業株式会社製、以下同)にスポイドで滴下して液滴を調製し、オイル中で60分間重合し、重合を完結させ、ゲル粒子(A)を得た(製造方法(I))。
(工程2)
工程1で得たゲル粒子(A)をシリコーンオイルと分離し、ヘキサンで洗浄した。
(工程3)
第二の架橋性モノマー(b)として、MBA,水溶性不飽和モノマー(c)として、アクリルアミド(AAm)を用い、AAm100質量部に対して0.1質量部のMBAと、1質量部のKPSとを、200質量部の蒸留水に溶かし、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を調製した。これを、窒素バブリングして溶存酸素を除き、回収・洗浄したゲル粒子(A)を浸漬し、冷蔵庫内で2時間かけて充分に膨潤させた(ゲル粒子(A’))。
(工程4)
工程3で膨潤したゲル粒子(A’)をナイロンメッシュ上にとり、余分な水溶液(β)を除いた後、シリコーンオイルで洗浄した。
(工程5)
余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、膨潤した第一ゲル粒子(A’)を70℃のシリコーンオイル中に攪拌しながら添加し再分散させ120分間重合させた。
これを回収し、ヘキサン・水で洗浄して、直径約5mmのゲル粒子を得た。前記ゲル粒子は工程3で水中で膨潤しているため、水を溶媒として含んでいる。
【0044】
(実施例2)
(工程1)
第一の架橋性モノマー(a)として、MBA、水溶性不飽和モノマー(c)として、AMPSを用い、AMPS100質量部に対して6質量部のMBAと、5質量部のKPSとを、300質量部の蒸留水に溶かし、第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)を調製した。
ついで、得られた水溶液(α)を窒素バブリングして溶存酸素を除き、80℃に熱したシリコーンオイル(KF−968−100cs:信越化学工業株式会社製、以下同)中にらせん状に設置したテフロン(登録商標)チューブからなる流路にスポイドで滴下して液滴を調製し、オイル中で60分間重合し、重合を完結させ、ゲル粒子(A)を得た(製造方法(I))。
(工程2)
工程1で得たゲル粒子(A)をシリコーンオイルと分離し、ヘキサンで洗浄した。
(工程3)
第二の架橋性モノマー(b)として、MBA,水溶性不飽和モノマー(c)として、アクリルアミド(AAm)を用い、AAm100質量部に対して0.1質量部のMBAと、AAm100質量部に対して1質量部のKPSとを、AAm100質量部に対して200質量部の蒸留水に溶かし、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を調製した。これを、窒素バブリングして溶存酸素を除き、工程2で回収・洗浄したゲル粒子(A)を浸漬し、冷蔵庫内で2時間かけて充分に膨潤させた(ゲル粒子(A’))。
(工程4)
工程3で膨潤したゲル粒子(A’)をナイロンメッシュ上にとり、余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、シリコーンオイルで洗浄した。
(工程5)
余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、膨潤した第一ゲル粒子(A’)を80℃のシリコーンオイル中に攪拌しながら添加し再分散させ120分間重合させた。
これを回収し、ヘキサン・水で洗浄して、直径約5mmのゲル粒子を得た。
【0045】
(実施例3)
(工程1)
第一の架橋性モノマー(a)として、MBA、水溶性不飽和モノマー(c)として、AMPSを用い、AMPS100質量部に対して3質量部のMBAと、2質量部のKPSとを、300質量部の蒸留水に溶かし、第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)を調製した。
ついで、得られた水溶液(α)を窒素バブリングして溶存酸素を除き、80℃に熱したシリコーンオイル(KF−968−100cs、以下同)中にらせん状に設置したテフロン(登録商標)チューブからなる流路にスポイドで滴下して液滴を調製し、オイル中で60分間重合し、重合を完結させ、ゲル粒子(A)を得た(製造方法(I))。
(工程2)
工程1で得たゲル粒子(A)をシリコーンオイルと分離し、ヘキサンで洗浄した。
(工程3)
第二の架橋性モノマー(b)として、MBA,水溶性不飽和モノマー(c)として、アクリルアミド(AAm)を用い、AAm100質量部に対して0.1質量部のMBAと、1質量部のKPSとを、200質量部の蒸留水に溶かし、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を調製した。これを、窒素バブリングして溶存酸素を除き、工程2で回収・洗浄したゲル粒子(A)を浸漬し、冷蔵庫内で2時間かけて充分に膨潤させた(ゲル粒子(A’))。
(工程4)
工程3で膨潤したゲル粒子(A’)を金巾上にとり、余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、シリコーンオイルで洗浄した。
(工程5)
余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、膨潤した第一ゲル粒子(A’)を80℃のシリコーンオイル中に攪拌しながら添加し再分散させ120分間重合させた。
これを回収し、ヘキサン・水で洗浄して、直径約10mmのゲル粒子を得た。
【0046】
(実施例4)
(工程1)において、MBAをAMPS100質量部に対して6質量部用い、重合時間を2時間にし(製造方法(I))、(工程3)において、KPSをAAm100質量部に対して0.01質量部にした以外は、実施例2と同様にして直径約15mmのゲル粒子を得た。
【0047】
(実施例5)
(工程1)
第一の架橋性モノマー(a)として、MBA、水溶性不飽和モノマー(c)として、AMPSを用い、AMPS100質量部に対して3質量部のMBAと、5.4質量部の光重合開始剤(IRGACURE2959:チバカイギー社製)と、2.7質量部のn‐ビニルピロリドンを、300質量部の蒸留水に溶かし、第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液(α)を調製した。
ついで、得られた水溶液(α)(窒素バブリングして溶存酸素を除く)と、5質量部のSpan80:Wako製)を溶解したヘキサデカンをそれぞれシリンジに入れ、Y字流路を有するマイクロリアクター内で、水溶液(α)、ヘキサデカンの流速をそれぞれ5マイクロリットル/分、40マイクロリットル/分で単分散液滴を調製し、流路を流れる間に312nmの光を照射し(8000マイクロワット/平方cm)、流路外で粒子を回収してさらに照射して、計3時間重合して重合を完結させ、ゲル粒子(A)を得た(製造方法(II))。
(工程2)
工程1で得たゲル粒子(A)をヘキサデカンと分離し、ヘキサンで洗浄した。
(工程3)
第二の架橋性モノマー(b)として、MBA,水溶性不飽和モノマー(c)として、アクリルアミド(AAm)を用い、AAm100質量部に対して0.2質量部のMBAと、0.3質量部のIRGACURE2959とを、721質量部の蒸留水に溶かし、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)を調製した。これを、窒素バブリングして溶存酸素を除き、工程2で回収・洗浄したゲル粒子(A)を浸漬し、冷蔵庫内で2時間かけて充分に膨潤させた(ゲル粒子(A’))。
(工程4)
工程3で膨潤したゲル粒子(A’)を細孔膜(φ50マイクロメートル)上にとり、余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、0.01質量部のSpan80を溶解させたヘキサデカンで洗浄した。
(工程5)
余分なモノマー水溶液(β)を除いた後、膨潤した第一ゲル粒子(A’)を0.01質量部のSpan80を溶解させたヘキサデカン中に攪拌しながら添加し再分散させ120分間光重合させた。
これを回収し、ヘキサン・水で洗浄して、直径約400μmのゲル粒子を得た。
【0048】
(実施例6)
(工程1)において、Y字流路に送液する流速を水溶液(α)、ヘキサデカンの流速をそれぞれ4マイクロリットル/分、50マイクロリットル/分に変更した(製造方法(II))以外は実施例5と同様にして直径280μmのゲル粒子を得た。
【0049】
(実施例7)
(工程1)において、水溶液(α)中の界面活性剤を、3質量部の界面活性剤(Solsperse19000:ルーブリゾール社製)に、また、Y字流路に送液する流速を水溶液(α)、ヘキサデカンの流速をそれぞれ4マイクロリットル/分、80マイクロリットル/分に変更した(製造方法(II))以外は実施例5と同様にして直径200μmのゲル粒子を得た。
【0050】
(比較例1)
工程4を省いた以外は(実施例1)と同様にしてゲルを得た。
【0051】
(比較例2)
実施例7の工程1において、Y字流路に送液する流速を水溶液(α)、ヘキサデカンの流速をそれぞれ5マイクロリットル/分、40マイクロリットル/分に変更し、工程2を経て直径300μmのシングルネットワークゲルを得た。工程3以降は行わなかった。
【0052】

【0053】
表1に、実施例1〜5の実施形態と、得られたゲルの状態、評価結果を示した。
表1中の略号は、下記の通りである。
AMPS:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
AAm:アクリルアミド
MBA:N,N−メチレンビスアクリルアミド
IRG2959:IRGACURE2959
KPS:過硫酸カリウム
DW:脱イオン水
HD:ヘキサデカン
KF−54:信越化学工業株式会社製シリコーンオイルKF−54
KF−968−100CS:信越化学工業株式会社製シリコーンオイルKF−968−100CS
【0054】
(I)スポイドで水溶液(α)を滴下し、溶媒中を沈んでいく過程で重合させる方法によりゲル粒子(A)を得る製造方法
(II)マイクロリアクターを使用してゲル粒子(A)を得る製造方法
工程4:ゲル粒子(A)を第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液(β)中に浸漬後、ゲル粒子(A)の外部のモノマー水溶液(β)を除く工程
【0055】
(評価方法)
(強度)
強度測定はFISHERSCOPE((株)フィッシャーインストールメンツ)で行った。水環境中でゲル粒子一個を平面圧子(400μm×400μm)で押しつぶし、「押し込み深さ」と「試験力」を得た。結果より、以下の式で圧縮強度(Pa)を算出した。
圧縮強度(Pa)=30%変形時の擬似応力
変形量(%)=(押し込み深さ/粒子直径)×100
擬似応力(Pa)=試験力(N)/粒子の断面積(m2
また、装置限界以上の強度を有するもの(1000mNで破壊できなかったもの)を、◎と記載した。尚、実施例7については、装置限界以上の強度を有していたが、上式に従って圧縮強度を算出した。
強度測定にて得られたデータ(実施例7及び比較例2)を図1に示した。また、強度測定にて得られたデータより算出した擬似応力と変形量の関係を図2に示した。
【0056】
(ゲル粒子(A)のポリマー分質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分の質量yの比率y/x)
(工程1)で得られたゲル粒子をヘキサン・水で洗浄後、40℃で真空乾燥し、質量が変わらなくなったところで質量(ゲル粒子(A)の乾燥固形分質量)を計測し、1個あたりのゲル粒子(A)の質量(x)とした。
また、(工程5)で得られた最終のゲル粒子を、同様に洗浄・乾燥させ、1個あたりの質量を計測した。この最終のゲル粒子の質量から、ゲル粒子(A)の質量(x)を除いたもの(最終ゲル粒子の乾燥固形分質量からゲル粒子(A)の乾燥固形分質量を差し引いたもの)を、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分の質量(y)として算出した。上記xとyから、ゲル粒子(A)のポリマー分質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分質量yの比率y/xを算出した。
【0057】
実施例1〜4で得られたゲル粒子は、(工程4)を有するため、粒子同士の合一がなく(粒子同士の付着なし)、また、水溶液(β)中のモノマーだけが重合したゲル粒子の生成や、付着が抑えられ、直径数mm〜十数mmの大きさの強度を有するゲル粒子を得ることができた。
【0058】
また、実施例5〜7で得られたゲル粒子は、(工程4)を有するため、光学顕微鏡で確認すると、粒子同士の合一がなく(粒子同士の付着なし)、また、水溶液(β)中のモノマーだけが重合したゲル粒子(B)の生成や、付着が抑えられ、直径200〜400μmの単分散ゲル粒子を得ることができた。
【0059】
一方で、比較例1においては、工程4を省いたため、粒子同士が凝集しており(粒子同士の付着あり)、粒子でないものが含まれており、大きさは様々であった。
また、比較例2においては、シングルネットワークのゲルであったため、圧縮強度が低かった。
【0060】
以上のように、本発明の製造方法によれば、先行文献の方法では非常に手間のかかった精製工程がなくなるほか、これまで得ることのできなかった高強度でかつ粒子同士が付着していない球状のゲル粒子を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のゲル粒子は、高強度・高透明粒子であり、様々な大きさで調製できることから水処理材、土壌改良剤、充填剤、土嚢、クッション剤、摩擦軽減剤、玩具、カラムに充填して使用するろ過剤、機能性物質の担体等の様々な用途への利用が可能であり、工業的・産業的に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程1〜5を含むゲル粒子の製造方法。
(工程1)有機溶剤中で、少なくとも第一の架橋性モノマー(a)を含む水溶液滴を作製し、これを重合し架橋することにより形成されたゲル粒子(A)を得る。
(工程2)工程1で得られたゲル粒子(A)を回収・洗浄する。
(工程3)工程2で回収したゲル粒子(A)を、少なくとも第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液中に浸漬し、該ゲル粒子(A)中に第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマー水溶液を導入して膨潤させる。
(工程4)工程3を経て膨潤したゲル粒子(A)(ゲル粒子(A’))を単離する。
(工程5)工程4で単離したゲル粒子(A’)中の第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを、有機溶剤中で重合する。
【請求項2】
工程1において、マイクロリアクターを用いてゲル粒子(A)を得る、請求項1に記載のゲル粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の製造方法によって作製されたゲル粒子であって、ゲル粒子(A)のポリマー分の質量xに対する、第二の架橋性モノマー(b)を含むモノマーを重合したポリマー分の質量yの比率y/xが2以上であるゲル粒子。
【請求項4】
ゲル粒子の平均直径が、1μm〜100mmである、請求項3に記載のゲル粒子。
【請求項5】
請求項3または4に記載されたゲル粒子からなる水処理剤。
【請求項6】
請求項3または4に記載されたゲル粒子からなる土壌改良剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−100402(P2013−100402A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244696(P2011−244696)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】