説明

ゲル網状組織を含有するシャンプー

シャンプー組成物であって、a)シャンプー組成物の約5重量%〜約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤と、b)分散固体結晶性ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪酸を含む第1構成成分と、ii)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の更なる脂肪族両親媒性物質を含む第2構成成分と、iii)水と、を含む、分散固体結晶性ゲル網状組織相と、c)シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含み、第1構成成分が、10:1〜約1:5の比で第2構成成分と組み合わされて、固体結晶性ゲル網状組織相を形成する、シャンプー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸を含むゲル網状組織を含有する毛髪洗浄及びコンディショニングシャンプーに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、周囲の環境との接触や頭皮から分泌される皮脂のために汚れてくる。毛髪が汚れると、毛髪は不潔な感触や魅力のない外観を呈するようになる。毛髪が汚れると頻繁に定期的にシャンプーする必要がある。
【0003】
シャンプーは、過剰な汚れや皮脂を除去することによって毛髪を清潔にするものである。しかしながら、シャンプーは、毛髪を濡れた、もつれた、一般には扱いにくい状態にすることがある。毛髪がいったん乾燥すると、毛髪の天然油分、並びに他の天然コンディショニング構成成分及び潤いを与える構成成分が除去されるため、毛髪は、乾燥し、荒れて、光沢のない、又は縮れた状態になることが多い。更に毛髪は、乾燥に際し静電気が増えた状態のままであり得、このために櫛通りが悪くなり、一般に「まとまりのない髪(fly-away hair)」と呼ばれる状態を起こす。
【0004】
これらのシャンプー後の問題を緩和するために多様な試みが展開されてきた。これらの試みは、シャンプー後にリーブオン製品やリンスオフ製品のようなヘアコンディショナーを適用することから、単一製品で毛髪の洗浄とコンディショニングの両方を行おうとするヘアコンディショニングシャンプーにまで及んでいる。
【0005】
洗浄シャンプー基剤にヘアコンディショニング効果を与えるため、多種多様なコンディショニング活性物質が提案されてきた。しかし、これらの活性物質の多くは、汚れた又はコーティングされた毛髪の感触を残す、及びシャンプーの洗浄効能を妨げるという短所を有する。
【0006】
シャンプー組成物中でコアセルベートを形成すると、毛髪へのコンディショニング効果の提供に対して有利であることが知られている。しかし、これらのシャンプー組成物は、濡れた毛髪のコンディショニングには適しているが、乾燥した毛髪に満足できる滑らかな感覚を与えることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述に基づき、乾燥した毛髪に改善されたコンディショニング効果を提供でき、同時に洗浄効能を妨げない又は毛髪が乾燥しても毛髪に嫌な感覚を与えないコンディショニングシャンプーが必要である。具体的には、毛髪を乾燥したとき、毛髪に長時間持続する潤いの感触、滑らかな感触、及び整え易さを与え、油っぽい感じを残さないこと、並びに毛髪が濡れているときに柔軟性及び櫛通りよさを与えることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シャンプー組成物であって、a)シャンプー組成物の約5重量%〜約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤と、b)分散固体結晶性ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪酸を含む第1構成成分と、ii)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の更なる脂肪族両親媒性物質を含む第2構成成分と、iii)水と、を含む、分散固体結晶性ゲル網状組織相と、c)シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含み、第1構成成分が、10:1〜約1:5の比で第2構成成分と組み合わされて、固体結晶性ゲル網状組織相を形成する、シャンプー組成物を対象とする。
【0009】
本発明はまた、シャンプー組成物であって、a)シャンプー組成物の約5重量%〜約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤と、b)分散固体結晶性ゲル網状組織相であって、i)シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪酸を含む第1構成成分と、ii)シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の第2の界面活性剤を含む第2構成成分と、iii)水と、を含む、分散固体結晶性ゲル網状組織相と、c)シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含み、第1構成成分が、約1:1〜約40:1の比で第2構成成分と組み合わされて、固体結晶性ゲル網状組織相を形成する、シャンプー組成物を対象とする。
【0010】
また本発明は、上記のシャンプー組成物の製造方法を対象とする。
【0011】
本開示を読むことで、本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点が、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
明細書の各請求項から、その請求範囲は特定され明確にされているが、本発明は、下記記載により、より明確に理解されるであろう。
【0013】
特に指定しない限り、百分率、部、及び比率は全て、本発明の組成物の総重量に基づく。このような全ての重量は、記載した成分に関する限り現実の濃度に基づくものであり、そのため、特に指定されない限り市販材料に包含される可能性のある溶媒若しくは副産物を包含しない。用語「重量百分率」は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。
【0014】
特に指定されない限り、本明細書で使用される分子量は全て、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「電荷密度」は、ポリマー上の正電荷の数と前記ポリマーの分子量との比を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、1種類のモノマーの重合によって作られるか、又は2種類以上のモノマーによって作られる(すなわち、コポリマー)物質が含まれるものとする。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「シャンプー」とは、毛髪、又は頭皮、顔、及び体を含む皮膚を洗浄及びコンディショニングするための組成物を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「ヒトの毛髪への適用に好適」とは、そのように記載された組成物又はその構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトの毛髪及び頭皮及び皮膚と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性」は、物質が本組成物中で水に可溶性であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒に対して0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶であるべきである。
【0020】
本発明のシャンプー組成物は、1以上の洗浄性界面活性剤、分散ゲル網状組織相、及び水性キャリアを含む。これらの各構成成分、及び好ましい構成成分又は任意の構成成分については、以下で詳細に説明される。
【0021】
洗浄性界面活性剤
シャンプー組成物は、1つ以上の洗浄性界面活性剤を含む。洗浄性界面活性剤構成成分は、本発明のシャンプー組成物に包含されて、洗浄性能を提供する。洗浄性界面活性剤は、アニオン性洗浄性界面活性剤、双極イオン性又は両性洗浄性界面活性剤、あるいはこれらの組合せから選択されてよい。このような界面活性剤は、本明細書に記載される必須成分と物理的及び化学的に適合すべきであるか、又はさもなければ過度に製品の安定性、審美性、若しくは性能を損なうべきではない。
【0022】
好適なアニオン性洗浄性界面活性剤成分には、ヘアケア又はその他パーソナルケア用クレンジング組成物に用いるために既知のものが挙げられる。組成物中のアニオン性界面活性剤構成成分の濃度は、所望の洗浄性及び泡立ち性能を提供するのに十分であるべきであり、通常、組成物の約5重量%〜約50重量%、望ましくは約8重量%〜約30重量%、更に好ましくは約10重量%〜約25重量%、なお更に好ましくは約12重量%〜約22重量%の範囲である。
【0023】
本組成物に用いるのに好ましいアニオン性洗浄性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル(lauric)モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
本明細書の組成物に用いるのに好適な双極イオン性又は両性の洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルクレンジング組成物での使用が既知の界面活性剤が挙げられる。こうした両性の洗浄性界面活性剤の濃度は、好ましくは、約0.5%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%の範囲である。好適な双極イオン性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号(共にボリッチ・ジュニア(Bolich Jr.)ら)に記載されている。
【0025】
本組成物に用いるのに好適な両性洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができる脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられるが、その際、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する。好ましい両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホ酢酸塩、ココアンホ二酢酸塩、ラウロアンホ酢酸塩、ラウロアンホ二酢酸塩及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
好適な双極イオン性洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述される界面活性剤が挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つは、約8〜約18個の炭素原子を含有し、1つはカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性基を含有する。ベタインなどの双極イオン性物質が好ましい。
【0027】
本明細書の組成物は、上述のアニオン性洗浄性界面活性剤成分と組み合わせて用いるための追加の界面活性剤を更に含んでよい。好適な追加の界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0028】
好適なカチオン性界面活性剤としては、少なくとも約8個の炭素原子を含有する脂肪鎖を少なくとも1つ有する四級アンモニウム塩又はアミドアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
こうした好適なカチオン性界面活性剤の非限定例としては、塩化セトリモニウム、塩化ステアリモニウム、塩化ベヘントリモニウム、ベヘナミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、塩化ステアラミドプロピルトリモニウム、塩化アラキドトリモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
好適な非イオン性界面活性剤としては、7以上のHLBを有し、1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤が挙げられ、各ポリエチレンオキシド鎖は、平均で少なくとも約5エチレンオキシド単位を含有する。
【0031】
ここで、各ポリエチレンオキシド鎖は、平均で少なくとも約5個のエチレンオキシド単位を含有する1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド並びにそれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、並びに少なくとも約50個の多数のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化脂肪族アミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む好ましい非イオン性界面活性剤の中には、少なくとも約5、好ましくは約10〜20のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが含まれる。こうした非イオン性界面活性剤の例は、ステアレス−10及びステアレス−15である。
【0033】
追加の界面活性剤がまた組成物の必須構成成分に化学的及び物理的に適合性があるか、そうでなければ、製品性能、審美性、又は安定性を過度に損なわないならば、ヘアケア又はパーソナルケア製品に用いるための、当該技術分野において既知のいかなるこうした界面活性剤を用いてもよい。本組成物における追加の界面活性剤の濃度は、所望の洗浄又は起泡性能、選択した任意の界面活性剤、所望の製品濃度、組成物中の他の構成成分の存在、及び当該技術分野において周知の他の要因によって変化する可能性がある。
【0034】
本組成物に用いるのに好適なその他のアニオン性、双極イオン性、両性、カチオン性、非イオン性又は任意の更なる界面活性剤の非限定的な例は、M.C.Publishing Co.により発行されたMcCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annaual、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、及び同第2,528,378号に記載されている。
【0035】
分散ゲル網状組織相
シャンプー組成物は、少なくとも1つの脂肪酸を含む分散ゲル網状組織相も含む。ゲル網状組織相は、本シャンプー組成物に含まれて、コンディショニング効果をもたらす。本明細書で使用されるとき、用語「ゲル網状組織」とは、層状又は小胞性の固体結晶性相を指し、これは、以下に指定されているような少なくとも1つの脂肪酸、及び以下に指定されているような少なくとも1つの第2の界面活性剤又は追加の脂肪族両親媒性物質から選択される少なくとも1つの第2の構成成分、並びに水又はその他の好適な溶媒とを含む。層状相又は小胞性相は、脂肪酸及び第2の界面活性剤及び/又は脂肪族両親媒性物質を含む第一層と、交互の、水又は他の好適な溶媒を含む第二層とから構成される2層からなる。本明細書で使用されるとき、用語「固体結晶性」とは、1つ以上の脂肪酸を含むゲル網状組織の層の鎖溶融温度未満の温度において形成される層状相又は小胞性相の構造を指し、このゲル網状組織相の鎖溶融温度は少なくとも約27℃である。好ましくは、鎖溶融温度は少なくとも30℃であるべきであり、更により好ましくは34℃以上であるべきである。鎖融解温度は、示差走査熱量計により測定されることができ、その方法は下記の実施例に記載される。
【0036】
例えば、脂肪族アルコールを含むゲル網状組織は、化粧用クリーム及びヘアコンディショナーにおいて長年使用されてきた。しかし、こうした化粧用クリーム及びヘアコンディショナーは、もしあれば、典型的に非常に低量の洗浄性界面活性剤を含有する。したがって、こうした既知の製品は、洗浄及びコンディショニングの組み合わせを毛髪又は皮膚に提供しない。
【0037】
ゲル網状組織は概して、G.M.Eccleston,「Functions of Mixed Emulsifiers and Emulsifying Waxes in Dermatological Lotions and Creams」,Colloids and Surfaces A:Physiochem.and Eng.Aspects 123〜124(1997)169〜182、及びG.M Eccleston,「The Microstructure of Semisolid Creams」,Pharmacy International,Vol.7,63〜70(1986)に更に記載されている。
【0038】
一実施形態では、分散ゲル網状組織相は事前形成される。本明細書で使用されるとき、用語「事前形成」とは、シャンプー組成物の他の構成成分に加えられるときに、脂肪酸と、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質、並びに水又は他の好適な溶媒との混合物が、実質的に固体結晶性相であることを意味する。
【0039】
続いて、冷却して事前形成したゲル網状組織構成成分を、洗浄性界面活性剤成分を含むシャンプー組成物の他の構成成分に加える。理論に束縛されることを意図しないが、シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤及び他の構成成分に冷却して事前形成したゲル網状組織構成成分を組み込むと、最終シャンプー組成物において実質的に平衡な層状分散物(「ELD」)が形成されると考えられる。ELDは、シャンプー組成物内に存在する可能性がある洗浄性界面活性剤、水、及び塩のような他の任意構成成分と、実質的に平衡化し、事前形成したゲル網状組織構成成分から得られる、分散層状相又は小胞性相である。この平衡は、事前形成したゲル網状組織構成成分と、シャンプー組成物の他の構成成分の組み込みに際して起こり、製造後、約24時間以内に効果的に完結する。ELDが形成されているシャンプー組成物は、改善された乾湿コンディショニング効果を毛髪に提供する。更に、ゲル網状組織構成成分(すなわち、水と組み合わせられた、脂肪酸、第2の界面活性剤、及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質)を含む構成成分が、1つの混合工程において、シャンプー組成物の他の構成成分と共に個々の構成成分として加えられ、冷却され事前形成された別個のゲル網状組織構成成分として加えられないならば、ELDは形成されない。
【0040】
プレミックス及び最終シャンプー組成物内の、ELDの形態のゲル網状組織の存在は、X線分析、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、及び示差走査熱量計のような当業者に既知の手段により、確認することができる。X線分析方法及び示差走査熱量計は、以下の実施例に記載される。
【0041】
前述の分散ゲル網状組織相は、1つ以上の第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質を有する1つ以上の脂肪酸を、水又は好適な溶媒と組み合わせることによって形成され得る相であるとして記載されている。水以外の好適な溶媒には、グリセリン又はその他の親水性溶媒が上げられる。したがって、一実施形態では、分散ゲル網状組織相は、1つ以上の脂肪酸を、1つ以上の第2の界面活性剤及び水又は好適な溶媒と組み合わせることによって形成され得る。別の実施形態では、分散ゲル網状組織相は、1つ以上の脂肪酸を、1つ以上の追加の脂肪族両親媒性物質及び水又は好適な溶媒と組み合わせることによって形成され得る。本明細書で使用されるとき、用語「追加の脂肪族両親媒性物質」とは、脂肪酸以外の任意の両親媒性物質を意味する。
【0042】
一実施形態では、分散ゲル網状組織構成成分中の脂肪酸と第2の界面活性剤との重量比は、約1:9超、好ましくは約1:5超〜約100:1、より好ましくは約1:1超〜約40:1、更により好ましくは約2:1超〜約10:1である。
【0043】
別の実施形態では、脂肪酸と追加の脂肪族両親媒性物質との重量比は、約10:1〜約1:5、より好ましくは約8:1〜約1:4、最も好ましくは約6:1〜約1:4である。
【0044】
前述の比率は、ゲル網状組織相の適切な及び更に最適な形成に重要である。
【0045】
更に別の実施形態では、脂肪酸は、前述のゲル網状組織を形成するために、第2の界面活性剤及び追加の脂肪族両親媒性物質の両方と組み合わせてもよい。その場合、前述の脂肪酸と追加の脂肪族両親媒性物質との比率、及び脂肪酸と第2の界面活性剤との比率は、一般に、脂肪酸、追加の脂肪族両親媒性物質、及び第2の界面活性剤のそれぞれの存在によって形成されたゲル網状組織に適用される。
【0046】
本発明のシャンプー組成物は、シャンプー組成物の約0.1重量%超、好ましくは約1重量%〜約60重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%の量のゲル網状組織を含む。
【0047】
脂肪酸/アルコキシル化脂肪酸
上で説明したように、ゲル網状組織相を形成するのに使用される主要成分は、脂肪酸である。好適な脂肪酸は、脂肪酸又はアルコキシル化脂肪酸化合物として広く定義される。より具体的には、脂肪酸又はアルコキシル化脂肪酸化合物は、一般に以下の式に従うべきである。
【0048】
【化1】

式中、R1は上述のとおりであり、R2は分枝状又はヒドロキシ置換であり得るC1〜C5炭素鎖であり、kは、約0〜約5の範囲の数である。
【0049】
好適な脂肪酸及びアルコキシル化脂肪酸の非限定例としては、ベヘン酸、ステアリン酸、C10〜40ヒドロキシアルキル酸、C32〜36イソアルキル酸ココヤシ酸、エルカ酸、ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、リノール酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、PEG−8ベヘネート、PEG−5ココエート、PEG−10ココエート、PEG−2ラウレート、PEG−4ラウレート、PEG−6ラウレート、PEG−8ラウレート、PEG−9ラウレート、PEG−10ラウレート、PEG−7オレエート、PEG−2ステアレート、PEG−3ステアレート、PEG−4ステアレート、PEG−5ステアレート、PEG−6ステアレート、PEG−7ステアレート、PEG−8ステアレート、PEG−9ステアレート、PEG−10ステアレート、ポリグリセリル−2−PEG−4ステアレート、PPG−2イソステアレート、及びPPG−9ラウレートが挙げられる。
【0050】
追加の脂肪族両親媒性物質
本発明のゲル網状組織構成成分は、少なくとも1つの追加の脂肪族両親媒性物質を含んでもよい。本明細書にて使用するとき、「脂肪族両親媒性物質」とは、以下に定義される疎水性末端基R1及び化合物を水溶性にしない、親水性先端基を有する化合物を指し、化合物はまた、シャンプー組成物のpHにおいて、正味の中性電荷を有する。本明細書にて使用するとき、用語「水溶性」とは、物質が本組成物中の水に可溶であることを意味する。一般に、物質は25℃にて、水溶媒に対して0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、より好ましくは15重量%の濃度で可溶であるべきである。
【0051】
脂肪族両親媒性物質は、6以下の親水性−親油性バランス(「HLB」)を有する化合物として特徴付けられ得る。本明細書で使用されるとき、HLBは、Griffin,J.Soc.Cosm.Chem.,vol.5,249(1954)による標準HLBである。
【0052】
シャンプー組成物は、事前形成された分散ゲル網状組織相の一部として、追加の脂肪族両親媒性物質をシャンプー組成物の約0.05重量%〜約14重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約8重量%の量で含むことができる。
【0053】
好適な脂肪族両親媒性物質又は2つ以上の脂肪族両親媒性物質の好適な混合物は、少なくとも約27℃の融点を有する。本明細書で使用されるとき、融点を、U.S.Pharmacopeia,USP−NF General Chapter<741>「Melting range or temperature」に記載される標準融点法で測定することができる。2つ以上の物質の混合物の融点は、その2つ以上の物質をそれぞれの融点を超える温度で混合し、その混合物を冷却させることによって測定される。得られた複合物が、約27℃未満で均質固体であるとき、混合物は本発明において使用するために好適な融点を有する。混合物が個々の融点が約27℃未満である少なくとも1つの脂肪族両親媒性物質を含む、2つ以上の脂肪族両親媒性物質の混合物であっても、混合物の複合融点が、少なくとも約27℃であるという条件で、本発明において使用するのに好適である。
【0054】
好適な脂肪族両親媒性物質は、疎水性末端基、R1、を有する。本明細書にて使用するとき、R1は、アルキル、アルケニル(3個までの二重結合を含有する)、アルキル芳香族、又はC12〜C70長の分枝状アルキル基である。本発明の脂肪族両親媒性物質に好適なアルキル、アルケニル、又は分枝状アルキル基の非限定例としては、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、アラキジル、ベヘニル、ウンデシレニル、パルミトレイル、オレイル、パルモレイル、リノレイル、リノレニル、アラキドニル、エライジル、エレオステアリル、エルカイル、イソラウリル、イソトリデシル、イソミリスタル、イソペンタデシル、ペトロセリニル、イソセチル、イソヘプタデシル、イソステアリル、イソアラキジル、イソベヘニル、ガドレイル、ブラシジル、及びこれらの工業銘柄混合物が挙げられる。
【0055】
本明細書にて使用するとき、R1はまた、より高い分子量の分枝状イソアルコールを生じさせるために、アルコールのアルカリ縮合により調製される分枝状アルキル基であってもよい。当該技術分野において、これらの分枝状イソアルコールは、ゲルベアルコールと呼ばれる。
【0056】
1は、小麦胚、ヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、ヒマシ、アボカド、オリーブ、大豆、スイートアーモンド、パーム、菜種、綿実、へーゼルナッツ、マカデミア、カリテ(karite)、ホホバ、アルファルファ、ケシ、カボチャ種子、ゴマ、キュウリ、クロスグリ、マツヨイグサ、キビ、大麦、キヌア、ライ麦、ベニバナ、キャンドルナッツ、トケイソウ又はムスクローズ油、及びカリテ(karite)バターのような野菜由来のアルキル、アルケニル又は分枝状炭素鎖であってもよい。
【0057】
また好適な追加の脂肪族両親媒性物質は、例えば、6以下のHLBを有する化合物でのように、化合物を水溶性にしない親水性の先端基を有する。こうした親水性先端基を有する化合物の部類の非限定例としては、脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪族フェノール、アルコキシル化脂肪族フェノール、脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸アミド、脂肪族アミン、脂肪族アルキルアミドアルキルアミン、脂肪族アルコキシル化アミン、脂肪族カルバメート、脂肪族アミンオキシド、脂肪族ジエステル、脂肪族ソルビタンエステル、脂肪族糖エステル、メチルグルコシドエステル、脂肪族グリコールエステル、モノ、ジ、及びトリグリセリド、ポリグリセリン脂肪族エステル、アルキルグリセリルエーテル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、コレステロール、セラミド、脂肪族シリコーンワックス、脂肪族グルコースアミド、並びにリン脂質が挙げられる。
【0058】
上で説明したように、本発明の「追加の脂肪族両親媒性物質」は、脂肪酸又はアルコキシル化脂肪酸ではない脂肪族両親媒性物質の中から選択される脂肪族両親媒性物質である。したがって、ゲル網状組織相を形成するのに使用される「追加の脂肪族両親媒性物質」は、脂肪酸でもアルコキシル化脂肪酸でもない。
【0059】
本発明のゲル網状組織構成成分を形成するために、個々の脂肪族両親媒性化合物、又は2つ以上の異なる脂肪族両親媒性化合物の組み合わせを選択してもよい。
【0060】
第2の界面活性剤
また本発明のゲル網状組織構成成分は、第2の界面活性剤も含む。本明細書にて使用するとき、「第2の界面活性剤」とは、脂肪族両親媒性物質及び水と組み合わせられ、シャンプー組成物の他の構成成分と区別したプレミックスとしての本発明のゲル網状組織を形成する1以上の界面活性剤を指す。第2の界面活性剤は、シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤構成成分から区別され、シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤構成成分に加えられる。しかし、第2の界面活性剤は、上記の洗浄性界面活性剤構成成分のために選択されるものと同一又は異なる種類の界面活性剤(単数又は複数)であってよい。
【0061】
好適な様々な第2の界面活性剤が以下に挙げられるが、非イオン性及びアニオン性の第2の界面活性剤は、脂肪酸ゲル網状組織の形成に特に望ましいというわけではない。したがって、ゲル網状組織相の形成において第2の界面活性剤が存在する場合は、カチオン性界面活性剤が好ましい。ゲル網状組織相が、追加の脂肪族両親媒性物質なしに形成される場合は、カチオン性界面活性剤は、更に好ましい。以下に挙げられる他のタイプの第2の界面活性剤は、そのほかの点では、本発明の他のタイプの脂肪族両親媒性物質を含むゲル網状組織に好適である。
【0062】
第2の界面活性剤構成成分は、事前形成された分散ゲル網状組織相の一部として、シャンプー組成物の約0.01重量%〜約15重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.3重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0063】
本発明の第2の界面活性剤として使用するのに好適なカチオン性界面活性剤としては、少なくとも約8の炭素原子を含有する少なくとも1つの脂肪鎖を有する第四級アンモニウム塩又はアミドアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0064】
好適な第四級アンモニウム塩は、以下の一般式を有する:
+(R1234)X-
式中、R1は、約8〜約12個の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカルから選択され、R2は、約8〜12個の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカル、あるいはラジカルR3及びR4と同一の基から選択され、R3及びR4は、独立して約1〜約4個の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状脂肪族ラジカル、並びにアリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ、及びアルキルアミドラジカルから選択され、X−は、塩化物、臭化物、及びヨウ化物のようなハロゲン化物、硫酸メチルのような(C2〜C6)アルキルスルフェート、ホスフェート、アルキル、及びアルキルアリールスルホネート、並びに酢酸塩及び乳酸塩のような有機酸から誘導されるアニオンから選択されるアニオンである。
【0065】
こうした好適なカチオン性界面活性剤の非限定例としては、塩化セトリモニウム、塩化ステアリモニウム、塩化ベヘントリモニウム、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベヘンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、塩化ステアラアミドプロピルトリモニウム、塩化アラキドトリモニウム、塩化ジステアリルジモニウム、塩化ジセチルジモニウム、塩化トリセチルジモニウム、オレアミドプロピルジメチルアミン、リノレアミドプロピルジメチルアミン、イソステアルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0066】
好適なアミドアミンカチオン性界面活性剤は、以下の一般式を有する:
R’1−CONH(CH2)nNR’2R’3
式中、R’1は、約8〜約12個の炭素原子を含む直鎖状及び分枝状ラジカルから選択され、R’2及びR’3は、独立して水素、約1〜約4個の炭素原子を含む直鎖状及び分岐状脂肪族ラジカル、アリール及びアルキルアリールのような芳香族ラジカルから選択され、脂肪族ラジカルは、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲンのような少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、脂肪族ラジカルは、例えば、アルキル、アルコキシ及びアルキルアミドラジカルから選択され、nは約1〜約4の整数である。
【0067】
こうした好適なアミドアミンの非限定例としては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、ベヘンアミドプロピルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジエチルアミン、ベヘンアミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピル(propyi)ジエチルアミン、アラキドアミドエチル(ethyi)ジエチルアミン、アラキドアミドエチル(ethyi)ジメチルアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0068】
その他の様々な第2の界面活性剤としては、概して上述したようなアニオン性、双極イオン性、両性、カチオン性、及び非イオン性の界面活性剤が挙げられる。
【0069】
本発明の第2の界面活性剤として使用するのに好ましいアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル(lauric)モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0070】
好適な非イオン性界面活性剤としては、7以上のHLBを有し、1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤が挙げられ、各ポリエチレンオキシド鎖は、平均で少なくとも約5エチレンオキシド単位を含有する。
【0071】
各ポリエチレンオキシド鎖が、平均で少なくとも約5個のエチレンオキシド単位を含有する、1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド及びこれらのモノエタノールアミン及びジエタノールアミン誘導体、並びに少なくとも約5個の多数のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化脂肪族アミン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0072】
1以上のポリエチレンオキシド鎖を含む好ましい非イオン性界面活性剤の中には、少なくとも約5、好ましくは約10〜20のエチレンオキシド単位を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが含まれる。こうした非イオン性界面活性剤の例は、ステアレス−10及びステアレス−15である。
【0073】
同様に、7以上のHLBを有し、ポリエチレンオキシド鎖を有さない非イオン性界面活性剤も、非イオン性界面活性剤として使用するのに好適である。ポリエチレンオキシド鎖を含まない非イオン性界面活性剤としては、ポリグリセロール化脂肪酸、ポリグリセロール化脂肪族アミド、ポリグリセロール化アルキルフェノール、ポリグリセロール化α−ジオール、ポリグリセロール化アルコール、アルキルポリグルコシド及び糖エステルが挙げられる。ポリエチレンオキシド鎖を有さない好適な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシド、糖エステル、ポリグリセリル脂肪酸エステル、アルキルポリグリセリルエーテル、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0074】
他の好適な第2の界面活性剤としては、いわゆるジェミニ界面活性剤も挙げられる。ジェミニ界面活性剤は概して、F.M.Menger and C.A.Littau,「Gemini Surfactants:A New Class of Self−Assembling Molecules」,J.Am.Chem.Soc.1993,115,10083〜10090、及びB.S.Sekon,「Gemini(dimeric)Surfactants:The Two Faced Molecules」,Resonance,42〜49(March 2004)に記載されている。好適なジェミニ界面活性剤の例は、米国特許第5,922,671号、同第6,204,297号、同第6,358,914号、同第6,710,022号、同第6,777,384号、同第6,794,345号、及び同第6,797,687号に記載されている。
【0075】
上で指定した種類の1超の界面活性剤を、本発明の第2の界面活性剤として使用してよい。
【0076】

ゲル網状組織構成成分はまた、水又は好適な溶媒を含む。水及び第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質は共に、脂肪酸の膨張を助ける。言い換えると、これは、ゲル網状組織の形成及び安定性を導く。シャンプー組成物は、脂肪酸、追加の脂肪族両親媒性物質及び/又は第2の界面活性剤と組み合わせたときに、ゲル網状組織を得るのに好適な量で、事前形成された分散ゲル網状組織相の一部として、水を含む。
【0077】
好ましい実施形態では、シャンプー組成物は、事前形成された分散ゲル網状組織相の一部として、シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の水を含む。
【0078】
本発明の別の実施形態では、シャンプー組成物は、事前形成された分散ゲル網状組織相の一部としての水を、脂肪酸の量と比較して、少なくとも約1:1の重量比の量で含む。
【0079】
水性キャリア
本発明のシャンプー組成物は、水性キャリアを含む。典型的に、本発明の組成物は、流動可能な液体の形態である(周囲条件下で)。そのため組成物は、組成物の約20重量%〜約95重量%、好ましくは約60重量%〜約85重量%の濃度で水性キャリアを含む。水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、好ましくは、他の必須成分又は任意成分の微量成分として組成物中に付随的に組み込まれる場合を除いて、最小限の有機溶媒を含むか又は有意の濃度の有機溶媒を含まない水を含む。
【0080】
追加成分
本発明の組成物は、任意構成成分が本明細書に記載の必須構成成分と物理的及び化学的に適合性がある、又は製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なわないという条件で、ヘアケア製品又はパーソナルケア製品で使用する既知の1つ以上の任意構成成分を更に含んでもよい。このような任意構成成分の個々の濃度は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。
【0081】
組成物に用いられる任意構成成分の非限定例としては、カチオン性ポリマー、コンディショニング剤(炭化水素油、脂肪族エステル、シリコーン)、抗ふけ剤、懸濁剤、粘度変性剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び不溶性)、真珠光沢助剤、起泡増進剤、追加の界面活性剤又は非イオン性共界面活性剤、pH調整剤、香料、防腐剤、キレート剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、及びビタミンが挙げられる。
【0082】
付着助剤
シャンプー組成物は、付着助剤を含んでもよい。付着助剤は、ゲル網状組織構成成分の付着を有効に増強させるために含まれる。付着助剤は、シャンプーから毛髪及び/又は頭皮へのゲル網状組織の付着を増強するいかなる物質も含むことができる。
【0083】
シャンプー組成物中の付着助剤の濃度は、ゲル網状組織構成成分の付着を有効に増強させるために十分であるべきであり、シャンプー組成物の約0.05重量%〜約5重量%、好ましくは約0.075重量%〜約2.5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約1.0重量%の範囲である。
【0084】
本発明の一実施形態では、付着助剤はカチオン性ポリマーである。好ましいカチオン性ポリマーのカチオン電荷密度は、組成物の意図された用途のpHにおいて、少なくとも約0.6meq/g、好ましくは少なくとも約1.2meq/g、より好ましくは少なくとも約1.5meq/gであるが、また好ましくは約7meq/g未満、より好ましくは約5meq/g未満であろう。pHは、一般に、約pH3〜約pH9、好ましくは約pH4〜約pH8の範囲であろう。ポリマーの「カチオン電荷密度」とは、この用語が本明細書中で使用されるとき、ポリマーの分子量に対する、ポリマー上の正電荷数の比率をいう。このような好適なカチオン性ポリマーの平均分子量は一般に約10,000〜10,000,000、好ましくは約50,000〜約5,000,000、より好ましくは約100,000〜約3,000,000である。
【0085】
本発明の組成物に用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウムのようなカチオン性窒素含有部分又はカチオン性プロトン化アミノ部分を含有する。カチオン性プロトン化アミンは、組成物の特定の化学種及び選択されたpHに依存して、第一級、第二級又は第三級アミン(好ましくは第二級又は第三級)であることができる。カチオン性ポリマーに関連して、いかなるアニオン性対イオンも使用することができるが、当該ポリマーが、水、組成物、又は組成物のコアセルベート相に可溶性であり、また、当該対イオンが、組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合性があり、さもなければ製品の性能、安定性、又は審美性を過度に損なわないことを条件とする。このような対イオンの非限定例としては、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、サルフェート及びメチルサルフェートが挙げられる。
【0086】
このようなポリマーの非限定例は、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary,3rd edition,Estrin,Crosley,and Haynes編(米国化粧品工業協会(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association, Inc., Washington, D. C.(1982))に記載されている。
【0087】
好適なカチオン性ポリマーの非限定例としては、カチオン性プロトン化アミン又は第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、又はビニルピロリドンのような水溶性のスペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0088】
本明細書の組成物のカチオン性ポリマーに含めるための好適なカチオン性プロトン化アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、並びに、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩などの、ピリジニウム、イミダゾリウム、及び第四級ピロリドンのような環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマーが挙げられる。
【0089】
組成物中に用いられるのに好適な他のカチオン性ポリマーとしては、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩とのコポリマー(例えば、塩化物)(化粧品香料工業協会(Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association)「CTFA」により当業界ではポリクオタニウム−16と呼ばれる)、1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー(CTFAにより当業界ではポリクオタニウム−11と呼ばれる)、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含むカチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー(CTFAにより当業界では、それぞれポリクオタニウム6及びポリクオタニウム7と呼ばれる)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含するアクリル酸の両性コポリマー(当業界で、CTFAにより、ポリクオタニウム22と呼ばれる)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びアクリルアミドとのターポリマー(CTFAにより当業界ではポリクオタニウム39と呼ばれる)、並びにアクリル酸とメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメチルアクリレートとのターポリマー(CTFAにより当業界ではポリクオタニウム47と呼ばれる)が挙げられる。好ましいカチオン性置換モノマーは、カチオン性置換ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、及びこれらの組み合わせである。これらの好ましいモノマーは、以下の式に従う。
【0090】
【化2】

式中、R1は水素、メチル又はエチルであり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素又は約1〜約8個の炭素原子、好ましくは約1〜約5個の炭素原子、より好ましくは約1〜約2個の炭素原子を有する短鎖アルキルであり、nは約1〜約8、好ましくは約1〜約4の値を有する整数であり、Xは対イオンである。R2、R3及びR4に付着した窒素は、プロトン化アミン(一級、二級、又は三級)であってもよいが、好ましくはR2、R3及びR4のそれぞれがアルキル基である四級アンモニウムであり、その非限定例は、ポリメチルアクリルアミドプロピル(polymethyacrylamidopropyl)トリモニウムクロリドであり、ローヌ・プーラン(Rhone-Poulenc)(米国ニュージャージー州クランベリー)から商品名ポリケア(Polycare)133で入手可能である。上記のカチオン性モノマーと非イオン性モノマーとのコポリマーも好ましく、その場合の総コポリマーの電荷密度は、約2.0meq/g〜約4.5meq/gである。
【0091】
本組成物に用いるのに好適な他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体のような多糖類ポリマーが挙げられる。好適なカチオン性多糖類ポリマーには、以下の式に合致するものが挙げられる。
【0092】
【化3】

式中、Aは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基のような無水グルコース残基であり、Rは、アルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基、あるいはその組み合わせであり、R1、R2、及びR3は、独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基が約18個までの炭素原子を含有しており、各カチオン性部分の炭素原子の総数(即ち、R1、R2、及びR3の炭素原子の合計)は、好ましくは約20以下であり、Xは本明細書において上記したようなアニオン性対イオンである。
【0093】
好ましいカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム(Polyquaternium)10と呼ばれ、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国ニュージャージー州エジソン(Edison))よりポリマーの、ポリマー(Polymer)LR、JR及びKGシリーズとして入手可能である。カチオン性セルロースの他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれている、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、アマコール社(Amerchol Corp.)より、ポリマー(Polymer)LM−200の商品名で入手可能である。
【0094】
その他の好適なカチオン性ポリマーには、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムのようなカチオン性グアーガム誘導体が挙げられ、その具体例としては、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc Incorporated)より市販されているジャガー(Jaguar)シリーズ、及びハーキュレス社(Hercules, Inc.)のアクアロン部門(Aqualon Division)より市販されているN−ハンス(N-Hance)シリーズが挙げられる。その他の好適なカチオン性ポリマーには、第四級窒素含有セルロースエーテルが挙げられ、そのいくつかの例は米国特許第3,962,418号に記載されている。他の好適なカチオン性ポリマーとしては、エーテル化セルロース、グアー、及びデンプンのコポリマーが挙げられ、その幾つかの例が、米国特許第3,958,581号に記載されている。本明細書のカチオン性ポリマーは、用いられる場合、本組成物に可溶性であるか、又はカチオン性ポリマーと上述のアニオン性、両性及び/若しくは双極イオン性の洗浄性界面活性剤成分とによって形成された組成物中の複合コアセルベート相に可溶性であるか、のいずれかである。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートはまた、組成物中の他の荷電物質で形成させることもできる。
【0095】
複合コアセルベートの形成の分析技術は、当該技術分野において既知である。例えば、希釈のいずれかの選択された段階における組成物の顕微鏡分析を、コアセルベート相が形成されたか否かを確認するために使用できる。このようなコアセルベート相は、組成物における追加の乳化相として確認できる。染料を使用することで、コアセルベート相をシャンプー組成物中に分散するその他の不溶性の相と区別するのを補助することができる。
【0096】
その他の任意構成成分
その他の任意の構成成分の非限定例としては、分散粒子、非イオン性ポリマー、コンディショニング剤、例えば、不揮発性シリコーン油、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、高屈折率シリコーン、シリコーン樹脂、有機コンディショニング油、炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪族エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0097】
意図されるその他の任意の構成成分としては、抗ふけ剤、保湿剤、懸濁剤、例えば、硬化ヒマシ油、キサンタンガム、及び架橋されたアクリル酸ポリマーが挙げられる。
【0098】
シャンプー組成物の製造方法
本発明の一態様は、分散固体結晶性ゲル網状組織相を含むシャンプー組成物の製造方法に関する。シャンプー組成物の製造方法は、(a)第2の界面活性剤及び水を脂肪酸に分割させるのに十分な温度(プレミックスの鎖溶融温度を超える)にて、1つ以上の脂肪酸、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質並びに水を組み合わせて、プレミックスを形成する工程と、(b)プレミックスを脂肪酸の鎖融解温度未満に冷却して、ゲル網状組織を形成する工程と、(c)ゲル網状組織を1つ以上の洗浄性界面活性剤及び水性キャリアに加えて、シャンプー組成物を形成する工程と、を含む。
【0099】
上述のように、一つの実施形態では、ゲル網状組織構成成分は、別個のプレミックスとして調製され、これは冷却後、続いてシャンプー組成物の他の構成成分に組み込まれる。より具体的には、本発明のゲル網状組織構成成分は、脂肪酸、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質、並びに水を、約75℃〜約90℃の範囲のレベルまで加熱し混合することによって、調製され得る。この混合物を、例えば、混合物を熱交換器に通過することにより、約27℃〜約35℃の範囲のレベルまで冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪酸、第2の界面活性剤、及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質は結晶化して、結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0100】
ゲル網状組織構成成分を調製する代わりの方法としては、脂肪酸、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質、並びに水を音波処理及び/又はミル加工すると同時に、融解した脂肪酸相の粒径を縮小するためにこれらの構成成分を加熱することが挙げられる。これは、脂肪酸相の表面積の増大をもたらし、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪酸、並びに水は脂肪酸相を膨張させる。ゲル網状組織の調製における別の好適な変化形としては、初めに脂肪酸、第2の界面活性剤、及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質を加熱及び混合し、その後、この混合物を水に加えることが挙げられる。
【0101】
非限定的な実施例
次の実施例に示されたシャンプー組成物は、本発明のシャンプー組成物の具体的な実施形態を説明するものであるが、これらに限定することを意図するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者は、他の修正を実行することができる。本発明のシャンプー組成物のこれらの例示された実施形態は、毛髪に増強されたコンディショニング効果をもたらす。
【0102】
次の実施例に示されたシャンプー組成物は、従来の配合及び混合方法により調製され、その実施例は本明細書において以下に記載される。特に規定のない限り、例示した全ての量は、重量パーセントで列記され、希釈剤、防腐剤、着色剤溶液、イメージ成分、植物等の微量物質は除外する。特に規定のない限り、全ての%は重量基準である。
【0103】
ゲル網状組織プレミックスの調製
ゲル網状組織プレミックスを調製するために、約20%の水を約80℃に加熱し、脂肪酸、他の追加の脂肪族両親媒性物質及び/又は第2の界面活性剤(例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(バリソフト(Varisoft)BT−85)をこれに加える。組み込んだ後、4〜8の目標pHとなるように、この混合物のpHをNaOHで必要に応じて調節し、この混合物をミル及び熱交換器に通して、そこで約35℃に冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪酸、第2の界面活性剤及び/又は追加の脂肪族両親媒性物質、並びに水は、結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0104】
少なくとも1つの脂肪酸及び少なくとも1つの追加の脂肪族両親媒性物質を第2の界面活性剤なしに利用して、ゲル網状組織プレミックスを調製するために、約20%の水を約80℃まで加熱し、脂肪酸及び追加の脂肪族両親媒性物質をそれに加える。組み込んだ後、6〜8の目標pHとなるように、この混合物のpHをNaOHで必要に応じて調節し、この混合物をミル及び熱交換器に通して、そこで約35℃に冷却する。この冷却工程の結果として、脂肪酸、追加の脂肪族両親媒性物質、及び水は、結晶性ゲル網状組織を形成する。
【0105】
異なる脂肪酸と他の脂肪族両親媒性物質との混合物に関しては、水に組み込む前に脂肪酸及び他の脂肪族両親媒性物質をプレミックスするのが有益であり得る。これは、異なる脂肪酸及び脂肪族両親媒性物質を共融解し、この融解物を利用するか又は固相へと冷却し、これを第2の界面活性剤と共に、加熱された水に組み込むことにより、行われることができる。別の変化形は、水に組み込む前に、1つ以上の脂肪酸及び脂肪族両親媒性物質及び第2の界面活性剤を共融解することであり得る。層状相構造を確実に凍結するために、鎖融解温度が約27℃〜約35℃であるいくつかのゲル網状組織組成物を、27℃未満に冷却する必要があるであろう。
【0106】
ゲル網状組織プレミックスの実施例
以下の実施例は、本発明の最終シャンプー組成物の洗浄性界面活性剤及び他の構成成分にそれを組み込む前の、ゲル網状組織プレミックスの特定の実施形態を説明する。以下のゲル網状組織プレミックスの各実施例は、分散相として、本発明によるシャンプー組成物へ組み込むことができることが意図される。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

(1)コグニス・ケミカルズ(Cognis Chemicals)からラネットE(Lanette E)として入手可能。
(2)クローダ・ケミカルズ(Croda Chemicals)から入手可能。
(3)P&Gケミカルズ(P&G Chemicals)から入手可能。
(4)ゴールドシュミット・ケミカルズ(Goldschmidt Chemical)から入手可能。
【0109】
最終シャンプー組成物の調製
最終シャンプー組成物を調製するために、初めに、界面活性剤溶液プレミックスを形成する。この界面活性剤溶液プレミックスを調製するために、約6%〜約9%のラウレス−3硫酸ナトリウム又はアンモニウム、カチオン性ポリマー、及び約0%〜約5%の水を、ジャケット付き混合タンクに加え、攪拌しながら約74℃に加熱する。この溶液に、クエン酸、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びEDTA二ナトリウムをタンクに加え、分散させる。次いで、ジステアリン酸エチレングリコール(EGDS)を混合容器に加え、融解させる。EGDSをよく分散させた後(例えば、約10分後)、防腐剤を加え、界面活性剤溶液中に混合する。この混合物を、ミル及び熱交換器に通し、約35℃に冷却し、最終タンクに集める。この冷却工程の結果、EGDSは、結晶化し、ワックス様結晶性懸濁液を形成する。これらの構成成分の混合物は、界面活性剤溶液プレミックスである。
【0110】
次に、上記のように調製された界面活性剤溶液プレミックス及びゲル網状組織プレミックスを、共に混合する。残りの界面活性剤、香料、ジメチコン、粘度調節のための塩化ナトリウム又はキシレンスルホン酸アンモニウム、及び残りの水を十分に攪拌しながら加え、確実に均質に混合する。この混合物は、分散相としてゲル網状組織プレミックスを含む最終シャンプー組成物である。
【0111】
本発明による最終的なシャンプー組成物の好ましい粘度は、2/秒、3分間で、CP−41円錐及び平板を使用するウェルズ−ブルックフィールド(Wells-Brookfield)モデルRVTDCP粘度計により測定して、27℃において約5000〜約15,000センチポアズの範囲である。
【0112】
ヒトの毛髪への適用に好適な本発明のシャンプー組成物を提供するために、必要に応じて、pHを調整してよく、pHは、特定の洗浄性界面活性剤、脂肪酸、及び/又は他の構成成分の選択に基づいて異なってもよい。
【0113】
シャンプー実施例
次の実施例は、本発明の最終シャンプー組成物の特定の実施形態を例示し、これらはそれぞれ、分散相として、上に例示された選択されたゲル網状組織プレミックスを含む。
【0114】
【表3】

【0115】
【表4】

(1)ジャガー(Jaguar)C17、ローディア(Rhodia)より入手可能。
(2)N−ハンス(N-Hance)3269(500,000までの分子量及び0.8meq/g)、アクアロン/ハーキュレス(Aqulaon/Hercules)より入手可能。
(3)ADPP−5043 HMW(1,200,000までの分子量及び2.0meq/gの電荷密度)、アクアロン/ハーキュレス(Aqulaon/Hercules)より入手可能。
(4)ポリマーJR30M、アマコール(Amerchol)/ダウケミカル(Dow Chemical)より入手可能。
(5)ポリマーLR30Mアメリコール(Amerchol)/ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手可能。
(6)ビスカシル330Mゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)から入手可能。
(7)DC1664、ダウ・コーニング・シリコーンズ(Dow Corning Silicones)から入手可能。
【0116】
これらの製品の脂肪酸の付着は、毛髪のヘアピースを、シャンプーで3サイクル(1サイクルにつき2回の泡立て/すすぎ工程、各泡立て/すすぎ工程で毛髪1g当たりシャンプー0.1g)処置することによって測定される。各シャンプーで4つのヘアピースを処置する。次に、ヘアピースを溶媒で抽出し、吸着された脂肪酸のレベルを抽出物のガスクロマトグラフ−質量分光分析によって測定する。
【0117】
分析方法及び実施例
以下に、上に例示された組成物のいくつかの実施例のX線分析データ及び実施例の示差走査熱量計(「DSC」)データを提供する。
【0118】
【表5】

*試料調製及び分析技術については、示差走査熱量計方法を参照のこと。
**試料調製及び分析技術については、X線方法を参照のこと。
【0119】
【表6】

【0120】
ゲル網状組織プレミックスの実施例番号8は、104Åのd−間隔を有する層状構造の存在を示すXRDパターンを有し、これは、シャンプー(シャンプー実施例番号1)に組み込まれると、その構造が88Åのd−間隔で保持されていることを示す。一方、それぞれがアニオン性及び非イオン性の第2の界面活性剤で作製された、ゲル網状組織プレミックスの実施例番号9及び12の場合は、はっきりとした層状構造は見られないか、又はあまりはっきりとしない層状構造が見られ、シャンプー実施例番号2及び4と共にシャンプーに組み込まれると、はっきりとした層状構造は観察されなかった。
【0121】
示差走査熱量計方法
1以上の脂肪酸を含むゲル網状組織中の層の鎖融解温度(すなわち、ゲル網状組織の融解転移温度)は、次の方法に従い、示差走査熱量計を使用して得ることができる。TAインストルメント(Instruments)社製Q100DSCを利用して、およそ50mgのゲル網状組織プレミックス、又はゲル網状組織を含有する最終シャンプー組成物を、ステンレス鋼高容量DSCパン中に入れる。空の参照パンと共に、試料を機器に入れる。試料は、以下の条件/温度プログラムを用いて分析される:窒素パージ、温度を等温が2分間得られるまで5.00℃で均衡化する。3.00℃/分の速度で90.00℃まで温度を上昇させる。各試料を、二重に分析する。TA機器一般分析ソフトウェア(TA Instruments Universal Analysis Software)を使用して、得られたDSCデータを分析する。
【0122】
ゲル網状組織の融解転移温度を測定するためのDSCの使用は、T.de Vringer et al.,Colloid and Polymer Science,vol.265,448〜457(1987)、及びH.M.Ribeiro et al.,Intl.J.of Cosmetic Science,vol.26,47〜59(2004)に更に記載されている。
【0123】
X線分析方法
中間相における周期構造を決定するために使用される小角X線散乱(「SAXS」)は、本質的にX線回折技術である。これは、ミセル、ゲル網状組織、層状、六方及び立方液晶のような凝集構造を特徴付けるために、従来の広角X線回折(「WXRD」)と連動して使用される。周期構造を示す異なる中間相は、ブラッグ方程式(d=λ/2Sinθ)(式中、dは面間間隔を表し、λは放射波長を表し、及びθは散乱(回折)角を表す)に由来する、それらの反射の相対位置(d−間隔)によって特徴付けることができる。
【0124】
1次元の層状ゲル網状組織相は、SAXS領域(長距離秩序)において値1:2:3:4:5等を有する面間間隔の比d1/d1、d1/d2、d1/d3、d1/d4、d1/d5、及び広範のハロバックグラウンドにわたる3.5及び4.5Åを中心とするWXRD領域(短距離)における1又は2の不変反射(単数又は複数)により、特徴付けられる。他の中間相(例えば、六方又は立方)は、特徴的に異なるd−間隔比を有するであろう。
【0125】
WXRDデータは、イメージプレート位置敏感型検出器を備えるストエ(Stoe)STADI−P回折装置にて、透過モード(transmission mode)で収集される。被検査物をサンプルホルダー内の2つのマイラーフィルム(milar films)間に置き、X線ビームの通路に置く。IP検出器は、約120゜2θの立体角を有し、同時に、回折X線ビームを記録する。データを収集し、XPOWソフトウェアを使用して分析する。
【0126】
SAXSデータは、ブルカー(Bruker)−AXSからのHI−STAR2次元領域検出器を備える高精度焦点フィラメントを有する理学(Rigaku)回転アノード発生器上で収集される。設備は、被検査物を収容し、空気散乱を減らすために検出器に通じる真空管と結合する空のチャンバーを有する。被検査物試料ホルダーは、流体様物質を保持し、X線ビームを透過するために、小さな長方形の空洞を有する銅板からなる。空洞への開口部は、真空下で漏電フリーの環境を提供するために、カプトン(kapton)ウインドウで封止される。2−Dデータは、方位角的に集積され、イゴール(Igor)プラットホーム上でGADDSソフトウェア及び既知の技術を実行する内蔵ソフトウェアモジュールの組み合わせにより、強度−対−散乱ベクトル(q)又はそのd相当物に分析される。
【0127】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0128】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0129】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプー組成物であって、
a)該シャンプー組成物の約5重量%〜約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤と、
b)分散固体結晶性ゲル網状組織相であって、
i)該シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪酸を含む第1構成成分と、
ii)該シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の更なる脂肪族両親媒性物質を含む第2構成成分と、
iii)水と、を含む、分散固体結晶性ゲル網状組織相と、
c)該シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含み、
該第1構成成分が、10:1〜約1:5の比で該第2構成成分と組み合わされて、該固体結晶性ゲル網状組織相を形成する、シャンプー組成物。
【請求項2】
付着助剤を更に含み、好ましくは該付着助剤がカチオン性ポリマーである、請求項1に記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーが、約10,000〜約10,000,000の分子量及び約0.6meq/g〜約7.0meq/gの電荷密度を有する、請求項2に記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
前記固体結晶性ゲル網状組織相が、第2の界面活性剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシャンプー組成物。
【請求項5】
前記第2の界面活性剤がカチオン性界面活性剤であり、好ましくは該カチオン性界面活性剤が、クオタニウム−8、クオタニウム−14、クオタニウム−18、クオタニウム−18メトサルフェート、クオタニウム−24、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のシャンプー組成物。
【請求項6】
シャンプー組成物であって、
a)該シャンプー組成物の約5重量%〜約50重量%の1つ以上の洗浄性界面活性剤と、
b)分散固体結晶性ゲル網状組織相であって、
i)該シャンプー組成物の少なくとも約0.05重量%の1つ以上の脂肪酸を含む第1構成成分と、
ii)該シャンプー組成物の少なくとも約0.01重量%の1つ以上の第2の界面活性剤を含む第2構成成分と、
iii)水と、を含む、分散固体結晶性ゲル網状組織相と、
c)該シャンプー組成物の少なくとも約20重量%の水性キャリアと、を含み、
該第1構成成分が、約1:1〜約40:1の比で該第2構成成分と組み合わされて、該固体結晶性ゲル網状組織相を形成する、シャンプー組成物。
【請求項7】
付着助剤を更に含み、好ましくは該付着助剤がカチオン性ポリマーである、請求項6に記載のシャンプー組成物。
【請求項8】
前記カチオン性ポリマーが、約10,000〜約10,000,000の分子量及び約0.6meq/g〜約7.0meq/gの電荷密度を有する、請求項7に記載のシャンプー組成物。
【請求項9】
前記第2の界面活性剤がカチオン性界面活性剤であり、好ましくは該カチオン性界面活性剤が、クオタニウム−8、クオタニウム−14、クオタニウム−18、クオタニウム−18メトサルフェート、クオタニウム−24、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシャンプー組成物。
【請求項10】
シャンプー組成物であって、
a)プレミックスを形成する工程であって、該プレミックスが、所定の鎖融解温度を有し、該プレミックスが、該プレミックスの該鎖融解温度を超える温度において、脂肪酸を、第2の界面活性剤及び脂肪族両親媒性物質からなる群から選択される二次構成成分と組み合わせることによって形成されている、工程と、
b)該混合物を、該プレミックスの鎖融解温度未満に冷却して、固体結晶性ゲル網状組織を形成する工程と、
c)該固体結晶性ゲル網状組織を洗浄性界面活性剤及び水性キャリアに加えて、洗浄組成物を形成する工程と、により形成される、シャンプー組成物。
【請求項11】
前記第2の界面活性剤がカチオン性界面活性剤である、請求項10に記載のシャンプー組成物。
【請求項12】
前記カチオン性界面活性剤が、クオタニウム−8、クオタニウム−14、クオタニウム−18、クオタニウム−18メトサルフェート、クオタニウム−24、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10又は11に記載のシャンプー組成物。

【公表番号】特表2011−518763(P2011−518763A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535488(P2010−535488)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054906
【国際公開番号】WO2009/072027
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】