説明

ゲル軟膏

【課題】水を含むゲル軟膏中に水難溶性有効成分を安定に保持するとともに、皮膚に対する刺激性がなく安全なゲル軟膏を提供することを課題とする。
【解決手段】水難溶性有効成分と水を含むゲル軟膏において、非イオン性界面活性剤とともに、グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の助剤を含むことによって、水難溶性有効成分の安定性に優れ、刺激性のない安全なゲル軟膏を作ることができることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が含まれており使用感や安全性の点で有用なゲル軟膏において、特定の水難溶性有効成分を含有したゲル軟膏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外用剤に用いられる水難溶性有効成分は、脂質である角質層で覆われた外皮に適用して効果を発現することが必要なため水難溶性を選択する場合が多い。そこで、水を比較的多く含む外用製剤において水難溶性有効成分を安定に保持するためには、水難溶性有効成分を十分に可溶化する製剤検討を行う必要がある。
ところで、外用に用いられる製剤形態の一つにゲル軟膏製剤がある。ゲル軟膏は、透明又は半透明の比較的多くの液体成分を多く含んだ半固形の軟膏であり、薬物の放出性や経皮吸収性に優れることが知られている。したがって、かかるゲル軟膏に水を含み、さらに水難溶性有効成分を配合する場合には、水難溶性有効成分を十分に可溶化する製剤検討が必要となる。
【0003】
含水性ゲル軟膏中に水難溶性有効成分を可溶化する方法として代表的には、エタノールを用いる方法が知られている。エタノールは水難溶性有効成分の溶解補助剤として有利に働き、また軟膏塗布時には、揮発蒸散による冷却効果やべたつきのないさらさらとした使用感などが与えられるので、含水性ゲル軟膏に多量に用いられている。反面、エタノールを多量に配合したゲル軟膏を外皮に適用すると、皮膚からの脱脂が起こったり、皮膚刺激性を有する。そのため、エタノールを多量に用いたゲル軟膏は、粘膜部位やドライスキンへの適用、アレルギー症状等の炎症を伴う皮膚への適用には適さず、水難溶性有効成分が製剤中で安定的に保持されているとともに、皮膚刺激性のない安全なゲル軟膏が求められていた。
その他の方法として界面活性剤を用いる方法も知られている。水−水難溶性有効成分−界面活性剤の比率・組成を限定して液晶構造を構成し、この液晶構造の中に難溶性有効成分を挟み込むことで比較的多量の水難溶性有効成分を可溶化することができる。しかし、安定に可溶化するためには限られた比率・組成において液晶構造を構成することが必須で、かつ大量の界面活性剤を配合する必要があるため、皮膚刺激性を有するうえにゲル軟膏からの薬物の放出性を阻害する傾向にあることが問題であった。そこで、界面活性剤とエタノールを併用する方法も知られているが、安定性と皮膚刺激性を十分に満足する方法ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水を含むゲル軟膏中に水難溶性有効成分を安定に保持するとともに、皮膚に対する刺激性がなく安全なゲル軟膏を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、ある種の水難溶性有効成分と水を含むゲル軟膏において、非イオン性界面活性剤とともに、グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の助剤を含むことによって、水難溶性有効成分の安定性に優れ、刺激性のない安全なゲル軟膏を作ることができることを見出した。
【0006】
本発明はかかる知見に基づいて開発されたものである。
すなわち本発明は、下記(1)〜(6)に掲げるゲル軟膏である:
(1)a)吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、イブプロフェンピコノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ブフェキサマク、ウフェナマート、クロタミトン、ジフェンヒドラミン、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、ジブカイン、ウンデシレン酸、ホモスルファミン、イソプロピルメチルフェノール、メチルパラベンおよびブチルパラベンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の水難溶性有効成分と、
b)非イオン性界面活性剤と、
c)グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の助剤と、
d)水とを含有するゲル軟膏、
(2)さらにゲル化剤を含有する(1)に記載のゲル軟膏、
(3)皮膚炎治療剤、鎮痒剤、損傷治癒剤、殺菌消毒剤、抗菌剤、細菌性皮膚疾患治療剤である(1)〜(2)に記載のゲル軟膏、
(4)水難溶性有効成分のゲル軟膏中の含有量が0.00001〜15重量%である(1)〜(3)に記載のゲル軟膏、
(5)非イオン性界面活性剤のゲル軟膏中の含有量が0.1〜15重量%である(1)〜(4)に記載のゲル軟膏、
(6)透明である(1)〜(5)に記載のゲル軟膏、
さらに本発明は、下記(7)に掲げる方法である:
(7)吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、イブプロフェンピコノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ブフェキサマク、ウフェナマート、クロタミトン、ジフェンヒドラミン、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、ジブカイン、ウンデシレン酸、ホモスルファミン、イソプロピルメチルフェノール、メチルパラベンおよびブチルパラベンからなる群から選択される少なくとも1種以上の水難溶性有効成分と水を含有するゲル軟膏において、非イオン性界面活性剤とともに、グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の助剤を配合することを特徴とする、水難溶性有効成分を安定化する方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明における水難溶性有効成分は、通常、医薬品、医薬部外品において外皮用剤に用いられる薬物である吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、イブプロフェンピコノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ブフェキサマク、ウフェナマート、クロタミトン、ジフェンヒドラミン、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、ジブカイン、ウンデシレン酸、ホモスルファミン、イソプロピルメチルフェノール、メチルパラベン、ブチルパラベンである。これらの有効成分は、本発明のゲル軟膏に1種または2種以上を含有することができる。
【0008】
本発明の水難溶性有効成分は、日本薬局方において「水にやや溶けにくい」、「水に溶けにくい」、「水に極めて溶けにくい」、「水にほとんど溶けない」とされている成分であるか、20℃において1g又は1mlを溶かすに必要な水の量が30ml以上である成分であるが、本発明のゲル軟膏では通常、ゲル軟膏全重量に対して、水難溶性有効成分を0.00001〜15重量%、好ましくは0.00001 〜10重量%、より好ましくは0.001〜10重量%、特に好ましくは0.00015〜8重量%の範囲で含有することができる。0.00001重量%以下では有効成分が本来有する効果を十分に発揮することができず、15重量%を超えるとゲル軟膏中での安定性が低下しやすい。
【0009】
本発明の非イオン性界面活剤は、通常医薬品、医薬部外品、化粧品において用いられる非イオン性界面活性剤を1種又は2種以上用いることができる。本発明の非イオン性界面活性剤は、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。
さらに具体的には、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリオキシエチレン(5)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(EOは、3,5,7,10,15,20,50)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン(以下POE)(1)ポリオキシプロピレン(以下POP)(4)セチルエーテル、POE(1)POP(1)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(120)POP(40)グリコール、POE(160)POP(30)グリコール、POE(196)POP(67)グリコール、POE(20)POP(20)グリコール、POE(42)POP(67)グリコール、POE(54)POP(39)グリコールなどが挙げられる。
好ましい非イオン性界面活性剤は、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである。
【0010】
本発明のゲル軟膏においては、非イオン性界面活性剤とともにある種の助剤を含有することによって、水難溶性有効成分が安定的に保持されるとともに安全性に優れたゲル軟膏を得ることができる。かかるゲル軟膏においては、非イオン性界面活性剤の含有量は特に限定されず用いることもできるが、0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは2〜8重量%の範囲で用いるとよい。非イオン性界面活性剤が15重量%を超えると刺激が強くなるため皮膚への適応ができなくなる上、皮膚適用時にベタツキ感が生じやすく使用感におとりやすく、0.1重量%よりも少ないと安定的に可溶化できにくくなる傾向にある。また、本発明において用いるこれらの非イオン性界面活性剤は、特に限定されないが、安定性の観点からHLBは6〜18が好ましい。
【0011】
本発明のゲル軟膏は、グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類、モノテルペン類からなる群から選ばれる1種又は2種以上の助剤を用いる。
【0012】
本発明において、グリチルリチン酸類とは、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の誘導体又はこれらの薬理学上許容される塩であり、具体的にはグリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル、グリチルリチン酸の硝酸若しくは酢酸エステル、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、またはグリチルリチン酸三カリウムなどのアルカリ金属塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム等のアンモニウム塩が例示できる。これらのグリチルリチン酸類は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも好ましくは、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ステアリルである。
本発明において用いることができる薬理学上許容される塩としては、例えば、有機酸塩(例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、アスパラギン酸塩、シュウ酸塩など)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)が挙げられる。
グリチルリチン酸類の含有量は、特に限定されることなく適宜選択することができるが、ゲル軟膏全重量に対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の範囲で用いることができる。0.01重量%以下では十分な安定性を得ることができず、また10重量%以上では刺激などの問題を起こしやすくなる。
【0013】
グリチルレチン酸類とは、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の誘導体又はこれらの薬理学上許容される塩である。具体的にはグリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸グリセリン、グリチルレチン酸の硝酸若しくは酢酸エステル、グリチルレチン酸二ナトリウム、グリチルレチン酸三ナトリウム、グリチルレチン酸二カリウム、グリチルレチン酸三カリウム、グリチルレチン酸モノアンモニウム等が例示できる。これらのグリチルレチン酸類類は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも好ましくはグリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸二カリウムを挙げることができる。
グリチルレチン酸類の含有量は、特に限定されることなく適宜選択することができるが、ゲル軟膏全重量に対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%の範囲で用いることができる。0.01重量%以下では十分な安定性を得ることができず、また10重量%以上では刺激などの問題を起こしやすくなる。
【0014】
ビタミンE類は、トコフェロール、トコフェロール誘導体又はこれらの薬理学上許容される塩があげられる。ビタミンE類は、天然品、合成品のいずれも利用することができ、具体的には、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ビタミンE酢酸エステル(酢酸トコフェロール)、ビタミンEニコチン酸エステル、ビタミンEコハク酸エステル、ビタミンEリノレン酸エステル、コハク酸トコフェロールカルシウム等が挙げられ、これらのビタミンE類は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。なかでも、酢酸トコフェロール(酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール等)またはその塩が好ましい。
ビタミンE類の含有量は、特に限定されることなく適宜選択することができるが、ゲル軟膏全重量に対して通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の範囲で用いることができる。0.01重量%以下では十分な安定性を得ることができず、また10重量%以上では刺激などの問題を起こしやすくなる。
【0015】
モノテルペン類は、通常医薬品、医薬部外品、化粧品において用いられるモノテルペンであれば特に制限されないが、例えば、カンフル、メントール、ボルネオール、オイゲノール、シネオール、チモール、ビサボロール、α−ピネン、またはリモネンを例示することができる。好ましくはカンフルまたはメントール、より好ましくはメントールである。これらのモノテルペン類は、天然品、合成品のいずれも利用することができ、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。なかでも、メントール、カンフルが好ましい。これらのモノテルペン類は、モノテルペン類を含有する精油としてゲル軟膏に使用することもでき、例えば、ユーカリ油、ハッカ油、チョウジ油、ケイヒ油、ペパーミント油、ミント油、ティーツリー油、カモミール油、ローズマリー油、レモン油、オレンジ油、タイム油、セージ油、クローブ油等を例示することができる。好ましくはユーカリ油、ハッカ油またはティーツリー油であり、より好ましくはユーカリ油またはハッカ油等として、ゲル軟膏に使用してもよい。これらのモノテルペン類は1種又は2種以上組合わせて用いることもできる。
モノテルペン類の含有量は、特に限定されることなく適宜選択することができるが、ゲル軟膏全重量に対して通常0.001〜10重量%、好ましくは0.001〜8重量%、特に好ましくは0.01〜8重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%の範囲で用いることができる。0.001重量%以下では十分な安定性を得ることができず、また20重量%以上では刺激などの問題を起こしやすくなる。
【0016】
本発明において、上記した助剤は、単独で使用しても、また任意に組み合わせて使用することもでき、組み合わせて使用する場合にはより可溶化又は安定性が高まることから好ましい。かかる組合せの態様としては、特に制限されないが、グリチルレチン類とモノテルペン類、グリチルレチン類とビタミンE類、グリチルリチン類とモノテルペン類、グリチルリチン類とビタミンE類、グリチルレチン類とモノテルペン類とビタミンE類、グリチルリチン類とモノテルペン類とビタミンE類の組み合わせが好ましい。
【0017】
本発明で用いられるゲル化剤は、医薬品、医薬部外品または化粧品分野において用いられる天然高分子、半合成高分子、合成高分子等のゲル化剤あれば特に限定されない。具体的には、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、珪酸、アクリル酸・メタクリル酸(C10〜C30)アルキルコポリマー又はこれらの塩、可溶性デンプン、アルギン酸プロピレングリコール、グアーガム、カラゲーナン、ゼラチン、ガラクタントラガント、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストリン、アラビアゴム、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等が挙げられる。これらのゲル化剤は、1種単独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
なかでも好ましくは、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸(C10〜C30)アルキルコポリマー又はこれらの塩であり、特に好ましくはカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはこれらの塩である。ここで、塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩やカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミンなどの有機アミン塩、アルギニンなどの塩基性アミノ酸である。
【0018】
本発明のゲル軟膏に配合するゲル化剤の配合量は、特に限定されず適宜選択することができるが、通常、ゲル軟膏全重量に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.01 〜10重量%、より好ましくは0.05〜7.5重量%、特に好ましくは0.1〜4重量%の範囲を挙げることができる。0.01重量%以下ではゲルの強度が弱くなりすぎる傾向があり、10重量%を超えるとゲル強度が強くなりすぎる傾向がある。また、使用感に劣りやすく、可溶化にも影響しやすい。
【0019】
本発明においては、さらに多価アルコールを配合すると水難溶性有効成分の可溶化を補助することができより安定的に保持できる点で好ましい。かかる多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジグリセリン、1,2-ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコールなどが例示できる。これらの多価アルコールは1種又は2種以上使用することができる。
【0020】
多価アルコールをゲル軟膏中に配合する場合の配合量は、特に限定されず適宜選択することができるが、通常ゲル軟膏全重量に対して0.01〜50重量%、好ましくは0.01 〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%の範囲を挙げることができる。0.01重量%以下では使用感上の効果を十分に発揮できず、50重量%を超えると刺激、べたつきを生じるといった使用感を損ないやすい。
【0021】
本発明のゲル軟膏は、医薬品又は医薬部外品として本発明に用いる水難溶性有効成分の本来有する薬理作用を利用したあらゆる用途に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明の水難溶性有効成分は、それぞれ外用剤において有用な薬理作用を発揮する成分であり、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酪酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、イブプロフェンピコノール、サリチル酸、サリチル酸メチル、ブフェキサマク、ウフェナマートは代表的には抗炎症薬として用いられており、クロタミトン、ジフェンヒドラミンは代表的には鎮痒薬として、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、ジブカインは代表的には局所麻酔薬として、ウンデシレン酸、ホモスルファミン、イソプロピルメチルフェノール、メチルパラベン、ブチルパラベンは代表的には抗菌又は殺菌薬としてそれぞれ用いられている。そして、本発明のゲル軟膏の用途としては、これらの水難溶性有効成分の代表的な薬理作用を好適に発揮することができる用途を例示することができる。例えば、湿疹,かぶれ,乾燥性そう痒症,乾皮症,じんましん,虫刺され,しもやけ,あせも等痒みや炎症を治療するための皮膚炎治療剤又は鎮痒剤、切傷,擦傷,靴擦れ,かき傷,さし傷,火傷,化膿性創傷等の治療や悪化を防止するための殺菌消毒剤や損傷治癒剤、水虫、ニキビ等を治療するための細菌性皮膚疾患治療剤又は抗菌剤等に用いることが好適な用途として例示できる。
【0022】
本発明のゲル軟膏は、刺激性がなく安全であることから、外皮においても特に刺激に対して過敏な粘膜部(直腸粘膜、肛門粘膜、外陰部や内陰部粘膜、口腔粘膜)や、刺激に対して過敏となる炎症を伴う皮膚へ適用されるゲル軟膏とするのが好適である。
【0023】
本発明のゲル軟膏は、通常pH2〜9の液性を備えていればよいが、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH3〜8、より好ましくはpH4〜8、特に好ましくはpH5〜8であることが望ましい。また、粘度はBH型粘度計、No.7ローターで20rpmで測定した場合に、10000〜200000mPaの粘度を備えていればよいが、指取り性や塗布しやすさなどの観点から、好ましくは30000〜150000mPa、さらに好ましくは、30000〜100000mPaが好ましい。
【0024】
本発明のゲル軟膏の調製方法は、特に制限されず、通常のゲル軟膏を調製するのに必要な各種成分などを適宜選択、配合して、常法により調製することができる。また、本発明のゲル軟膏の外皮への適用量や用法は特に制限されず、通常、一日数回、適量を皮膚等の外皮に塗布するなどして用いることができる。また、水難溶性有効成分を含有するゲル軟膏では不透明のゲル軟膏とすることが多いが、本発明のゲル軟膏は十分に可溶化することができ安定性が保持されているので透明なゲル軟膏とするが容易である。透明なゲル軟膏は、白残りなどを生じず肌の色を損なうことがないうえ、衣類への付着しても目立たない点で好ましい。
【0025】
本発明のゲル軟膏には、上記必須の水難溶性成分に加えて、医薬品、医薬部外品において使用される有効成分を1種または2種以上組み合わせて配合することができる。これらの各成分としては、外用剤に用いられる薬効成分であれば特に制限されず、例えば、上記必須の水難溶性成分以外の鎮痒薬、創傷治癒薬、消炎鎮痛薬、殺菌消毒薬、保湿薬、角質軟化薬、にきび治療薬、腋臭防止薬、水虫治療薬などを任意に使用することができる。
【0026】
本発明のゲル軟膏は、保存安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品または化粧品分野において一般的に用いられる各種の成分、例えば界面活性剤、安定化剤、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、着色剤、分散剤、pH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、または2種以上を任意に組み合わせて配合することができる。
【0027】
本発明は外用剤として用いられるある種の水難溶性有効成分と水とを含有するゲル軟膏において、非イオン性界面活性剤を単独で用いることなく、ともにグリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の助剤を配合することを特徴とする、水難溶性有効成分の安定化する方法をも包含する。なお、これらの方法についての水難溶性有効成分、非イオン界面活性剤、助剤の種類や含有量などについては、先に詳述したゲル軟膏と同じように用いることができる。
【実施例】
【0028】
以下に本発明を実施例及び試験例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。なお、下記の各処方において%とは、特に言及しない限り、重量(W/W)%を意味するものとする。
実施例 1 ゲル軟膏(粘膜用鎮痒剤)
イソプロピルメチルフェノール 0.1(%)
ジフェンヒドラミン 1.0
リドカイン 0.3
グリチルリチン酸ジカリウム 0.3
酢酸トコフェロール 0.1
dl−メントール 0.1
メチルパラベン 0.15
ブチルパラベン 0.05
ポリソルベート60 6.0
カルボキシビニルポリマー 0.8
ヒドロキシエチルセルロース 0.4
1,3−ブチレングリコール 10.0
濃グリセリン 5.0
トリエタノールアミン 0.2
精製水 適 量
合計 100.0g
【0029】
実施例 2 ゲル軟膏(粘膜用鎮痒剤)
イソプロピルメチルフェノール 0.1(%)
ジフェンヒドラミン 1.0
リドカイン 2.0
酢酸トコフェロール 0.5
グリチルリチン酸ジカリウム 1.0
dl−メントール 0.1
POE(40)硬化ヒマシ油 4.0
カルボキシビニルポリマー 0.8
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
1,3−ブチレングリコール 5.0
精製水 適 量
合計 100.0g
【0030】
実施例 3 ゲル軟膏(ニキビ治療薬)
サリチル酸 5.0(%)
イソプロピルメチルフェノール 0.3
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
トリエタノールアミン 0.5
エタノール 2.0
精製水 適 量
合計 100.0g
【0031】
実施例 4 ゲル軟膏(フケ・カユミ治療剤である頭皮用ゲル軟膏)
サリチル酸 2.0(%)
安息香酸エストラジオール 0.001
ヒドロコルチゾン 0.0016
ジフェンヒドラミン 0.2
l-メントール 0.3
パルミチン酸レチノール 2000万U/100g
ポリソルベート60 3.0
ヒノキチオール 0.01
ヒドロキシエチルセルロース 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.5
トリエタノールアミン 0.2
精製水 適 量
合計 100.0g
【0032】
実施例 5 ゲル軟膏(殺菌・消毒剤)
サリチル酸 4.0(%)
イソプロピルメチルフェノール 1.5
トリメチルセチルアンモニウムペンタクロロフェナート 3.0
メチルパラベン 0.2
ブチルパラベン 0.2
レシチン 0.1
l-メントール 0.2
カルボキシビニルポリマー 0.6
水酸化ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル 3.0
精製水 適 量
合計 100.0g
【0033】
実施例 6 ゲル軟膏(皮膚炎治療剤)
クロタミトン 5.0(%)
ジフェンヒドラミン 1.0
グリチルレチン酸 0.2
酢酸トコフェロール 5.0
レシチン 0.1
l-メントール 0.1
カンフル 0.1
モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 4.0
トリエタノールアミン 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.6
精製水 適 量
合計 100.0g
【0034】
実施例 7 ゲル軟膏(痒みを伴う乾燥皮膚湿疹用薬)
リドカイン 2.0(%)
サリチル酸 1.5
メントール 1.0
グリチルレチン酸 0.5
アラントイン 0.2
ポリソルベート80 2.5
カルボキシビニルポリマー 1.2
水酸化ナトリウム 0.3
グリセリン 10.0
精製水 適 量
合計 100.0g
【0035】
実施例 8 ゲル軟膏(皮膚湿疹薬)
ジフェンヒドラミン 2.0(%)
グリチルレチン酸 1.5
デキサメタゾン 0.025
l−メントール 0.3
サリチル酸 2.0
ポリオキシエチレン(30)ラウリルエーテル 5.0
エトキシジグリコール 5.0
エタノール 2.0
カルボキシビニルポリマー 0.8
トリエタノールアミン 0.4
精製水 適 量
合計 100.0g
【0036】
試験例1 保存安定性試験
水難溶性有効成分を含む表1〜表7に示す処方の比較例及び実施例のゲル軟膏を調製し、40℃で3ヶ月保存した後に、各ゲル軟膏の外観変化を目視で観察した。結果を表1〜表7に示した。
試験の結果、非イオン界面活性剤を単独で用いた比較例では、水難溶性有効成分をゲル軟膏中に十分に可溶化することができず、40℃で3ヶ月保存したゲル軟膏ではのゲル軟膏が分離したり、離奨したり、成分が析出するなどといった外観変化が認められた。一方、本発明のゲル軟膏では、非イオン界面活性剤とともに酢酸トコフェロール、またはグリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、l−メントールを配合することによってゲル軟膏中で水難溶性有効成分が十分に可溶化され、40℃で3ヶ月保存したゲル軟膏において外観に変化が認められなかった。従って、本発明のゲル軟膏では、水難溶性有効成分が安定に保持されることが確認された。
【0037】
試験例2 スティンギングテスト
社内モニター8名に、表1〜表7に示す実施例のゲル軟膏を目の下の頬に少量塗ってもらい、刺激の有無を確認した。評価基準としては、2点:刺激を感じない、1点:少し刺激を感じる、0点:刺激を感じると設定し各ゲル軟膏について8名の被験者の平均点を算出したうえで、平均点が0.5点以下の場合を○、平均点が0.5〜1点の場合を△、平均点が1点以上の場合を×とした。結果は表1〜表7の最下段に示す。
スティンギングテストの結果、非イオン界面活性剤と助剤の組み合わせによって可溶化された本発明のゲル軟膏は、いずれの実施例においても刺激性がなく安全であることが確認された。目の下という眼粘膜に強く作用する部位に適用してもなお刺激性がないことが確認されたことから、本発明のゲル軟膏は外皮の粘膜部や炎症部等のへ適用する軟膏として好適であるが示された。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
試験例3 放出性試験
本発明のゲル軟膏中からの水難溶性有効成分の放出性をジフェンヒドラミン、リドカイン、イソプロピルメチルフェノールについて試験した。
まず、Franz型膜透過セル(容量:8ml、有効面積:1.17cm、VIDREX社)にリン酸緩衝液(pH7.4、0.01M)を満たし、セルロース混合エステルメンブランフィルター(孔径0.2cm2、ADVANTEC社)をFranz型膜透過セル上部を覆うように装着した。Franz型膜透過セルのウォータージャケットから水を還流することでセル内を37℃一定にしたあと、表8に示す処方の実施例又は比較例を1.2gとり、セルロース混合エステルフィルターの上部に塗布した。
次に、実施例又は比較例のゲル軟膏を塗布してから、4時間後にFranz型膜透過セル内のリン酸緩衝液をサンプリングして、セル内のリン酸緩衝液中の薬物濃度をHPLCを用いて測定し、ゲル軟膏中からセルロース混合エステルメンブレンフィルターを経てリン酸緩衝液中に放出されたジフェンヒドラミン量を算出した。HPLCは、カラムにInertsil ODS−2を使用し、移動相は、l−ヘプタンスルホン酸ナトリウム2.02gに水1000mlを加え、酢酸(100)を加えてpH3.0に調製した液650mlにアセトニトリル350mlを加えたものを移動相とし、測定波長 220nmで測定した。ゲル軟膏中から放出された薬物量から放出率(%)(4時間後のリン酸緩衝液中の薬物量/当初ゲル軟膏中の薬物量 x 100)を算出して、結果を表8に示した。
【0046】
【表8】

【0047】
試験の結果、ジフェンヒドラミン、リドカイン、イソプロピルメチルフェノールをPOE(40)硬化ヒマシ油単独で可溶化した比較例に対して、POE(40)硬化ヒマシ油とともに助剤を含有し十分に可溶化された本発明の実施例では、ジフェンヒドラミンのゲル軟膏からの放出性が向上していることが確認された。従って、本発明の非イオン性界面活性剤と助剤の組み合わせによって水難溶性成分が可溶化されたゲル軟膏では、水難溶性有効成分のゲル軟膏からの放出性が阻害されることなく、速やかに放出されることが確認された。
【0048】
試験例5 薬効発現試験
ジフェンヒドラミンを配合した本発明のゲル軟膏実施例2について、経皮吸収性をジフェンヒドラミン薬効発現試験により確認した。
まず、雌性ラットSD系6週令(1群を6匹とする)の膣内に実施例2又は比較例10(実施例2に酢酸トコフェロール及びグリチルリチン酸カリウム及びdl−メントールを配合しないこと以外は同じとして調整した比較例)を0.1g投与した。投与30分後に3%ヒスタミン水溶液0.1mlを膣内に投与し腟内に炎症を惹起した。炎症惹起後直ちに1%エバンスブルー水溶液0.5mlを尾静脈より投与した。30分後ラットを致死させ、膣口より約1cm膣を摘出し、摘出組織からエバンスブルーを抽出し620nm吸光度からエバンスブルーを定量した。
【0049】
試験の結果、実施例2又は比較例10を投与することなくヒスタミンで炎症を惹起した無処置対照群におけるエバンスブルー漏出量を100とすると、実施例2投与におけるエバンスブルー漏出量は32、比較例10投与におけるエバンスブルー漏出量はは51であり、本発明の実施例2は助剤を含有しない比較例10に比べて、ヒスタミンに由来する色素(エバンスブルー)の溶出が抑制されジフェンヒドラミンの抗ヒスタミン作用が十分に発揮されていることが確認された。したがって、本発明の非イオン性界面活性剤と助剤の組み合わせによって水難溶性成分が可溶化されたゲル軟膏では、経皮吸収性が阻害されることなく水難溶性有効成分が適用部位において高い薬理作用を発現することが確認された。
【0050】
本発明は、水難溶性有効成分が十分に可溶化されゲル軟膏中で安定に保持された安全性の高いゲル軟膏を提供することができる。また、非イオン性界面活性剤と助剤によって水難溶性有効成分が可溶化された本発明のゲル軟膏は、皮膚に適用した際の放出性に優れ、経皮吸収性を損なうことなく水難溶性有効成分の本来有する高い薬理作用を発揮することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)ジフェンヒドラミンと、
B)POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンおよびモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、
C)グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の助剤と、
D)水と、
E)ゲル化剤とを含有するゲル軟膏。
【請求項2】
上記B)成分として、POE(40)硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン及びモノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載のゲル軟膏。
【請求項3】
上記C)成分として、グリチルレチン酸類とモノテルペン類、グリチルレチン酸類とビタミンE類、グリチルリチン酸類とモノテルペン類、グリチルリチン酸類とビタミンE類、グリチルレチン酸類とモノテルペン類とビタミンE類、グリチルリチン酸類とモノテルペン類とビタミンE類のいずれかの組み合わせを含む、請求項1または2に記載のゲル軟膏。
【請求項4】
鎮痒剤である請求項1〜3に記載のゲル軟膏。
【請求項5】
ジフェンヒドラミンのゲル軟膏中の含有量が0.00001〜15重量%である請求項1〜4に記載のゲル軟膏。
【請求項6】
非イオン性界面活性剤のゲル軟膏中の含有量が0.1〜15重量%である請求項1〜5に記載のゲル軟膏。
【請求項7】
透明である請求項1〜6に記載のゲル軟膏。
【請求項8】
ジフェンヒドラミンと水とゲル化剤を含有するゲル軟膏において、
POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンおよびモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン性界面活性剤とともに、グリチルレチン酸類、グリチルリチン酸類、ビタミンE類及びモノテルペン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の助剤を配合することを特徴とする、ジフェンヒドラミンを安定化する方法。


【公開番号】特開2009−149692(P2009−149692A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90697(P2009−90697)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【分割の表示】特願2002−131801(P2002−131801)の分割
【原出願日】平成14年5月7日(2002.5.7)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】