説明

ゲートウェイ装置およびカスタマコントロールサービスシステム

【課題】IP網において、既存電話網と同様なカスタマコントロールサービスを、PB契約加入者に加えてDP契約加入者にも提供するための標準的な仕組みを確立する。
【解決手段】DP契約加入者の電話端末4を接続するメタル線5を終端するAGW2にDP信号レシーバ23を備え、AGW2は、DP契約加入者の電話端末4から送出されDP信号レシーバ23にて受信したDP信号によって特定されるカスコン操作番号をPB信号に変換したのちに、また、PB契約加入者の電話端末4から送出されるPB信号はそのままの形で、いずれの場合もVoIP用プロトコルにより音声パケット化してメディアサーバ3に送信する。メディアサーバ3は、PB信号レシーバ32を備え、受信したPB信号によって特定されるカスコン操作番号を、カスタマコントロールサービスを提供する加入者サーバ1に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存電話網にて提供されている、加入者のダイヤル操作によって電話に関する各種サービスの設定内容を変更可能なカスタマコントロールサービスを、IP(Internet Protocol)網にて提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
既存電話網では、加入者のダイヤル操作によって電話に関する各種サービスの設定内容を変更可能なカスタマコントロールサービス(以降、適宜「カスコンサービス」と略記する。)が提供されている。
【0003】
カスコンサービスでは、加入者が電話端末から各サービスに接続するための所定の電話番号をダイヤルすると、ダイヤル操作の受付が可能であることを知らせる受付音または音声ガイダンスが送出され、以後、加入者は希望するサービスの設定内容に変更するための各種情報を電話端末のダイヤル操作によって入力する。
【0004】
例えば、営業時間外や留守中などにかかってきた電話に対して定型のメッセージを自動応答する「でんわばん」サービス(詳細はhttp://web116.jp/shop/manual/denwa_ai.pdfを参照。)では、接続先の電話番号として「141」をダイヤルすると、ダイヤル操作の受付が可能であることを知らせる受付音(当該サービスでは「プププ・・・」)が送出されたのち、加入者は、定型メッセージを選択する場合には「2」に続いてメッセージ番号を、自動応答を開始する場合には「1」を、自動応答を停止する場合には「0」をダイヤルする。
【0005】
既存電話網の加入者からのダイヤル信号の伝送方法には、DP(Dial Pulse:ダイヤルパルス)信号とPB(Push Button:プッシュボタン)信号との2種類があり、加入者毎にいずれの信号を用いるのかが契約によって規定される。全てのカスコンサービスではないが、前記の「でんわばん」サービスのように、ダイヤル方法の契約に合わせて、DP契約加入者向けとPB契約加入者向けとの2種類のカスコンサービスが提供される場合もある。
【0006】
図8は、既存電話網におけるカスコンサービスの動作概要を示した説明図である。交換機9が備え、カスコンサービス制御を司るサービス制御部91は、加入者の電話端末4の受話器が上がると、PB/DP契約情報データベース92を参照して当該加入者が契約しているダイヤル方法がPB信号かDP信号かを識別し、PB契約加入者にはPB信号レシーバを、DP契約加入者にはDP信号レシーバを割り当てる。
【0007】
その後、カスコンサービスのダイヤル番号が加入者の電話端末4から送出され、交換機9にてこれを受信すると、サービス制御部91は、ガイダンス送出部94に、ダイヤル操作の受付が可能であることを知らせる受付音あるいは音声ガイダンスの送出を指示する。その後、加入者のダイヤル操作によって加入者の電話端末4からダイヤル操作番号に対応するダイヤル信号が送出されると、PB信号レシーバまたはDP信号レシーバ93がこのダイヤル信号からダイヤル操作番号を特定し、特定したダイヤル操作番号をサービス制御部91に伝達する。サービス制御部91は、受け取ったダイヤル操作番号にしたがってサービス設定内容の変更を行う。以下、カスコンサービスの設定内容を変更するための加入者のダイヤル操作およびその番号をそれぞれ「カスコン操作」、「カスコン操作番号」と呼ぶ。
【0008】
このように、既存電話網では、サービス制御部91とPB信号レシーバまたはDP信号レシーバ93とは、同一の交換機9内に搭載されている(非特許文献1参照)。そのため、電圧のオン・オフによって信号が伝送され、メタル線5上でしか伝送できないDP信号の場合であっても、DP信号レシーバが特定したカスコン操作番号は、交換機9の内部でサービス制御部91に伝達することができる。なお、ガイダンス送出部94については交換機9の内/外のいずれに配備されていてもよい。
【0009】
次に、IP網にて、前記のような既存電話網と同様のカスコンサービスを提供しようとする場合の動作について説明する。既存電話サービスをIP網にて実現するモデルとして、IMS(IP Multimedia Subsystems)に基づく既存電話サービスを提供するためのアーキテクチャがあげられる(非特許文献2参照)。本モデルにしたがえば、図9に示すように、前記と同様なサービス制御部11は加入者サーバ1に配備され、前記と同様なガイダンス送出部31はメディアサーバ3に配備されることになる。また、加入者の電話端末4は、メタル線5を介して送受信されるアナログ音声信号とIP網で送受信される音声パケットとの間の相互変換を行うゲートウェイ装置であるAGW(Access Gateway)2に収容されることとなる。図9に示すように、加入者サーバ1、AGW2およびメディアサーバ3は、それぞれ別装置として構成されるのが一般的であり、それらの装置間はSIP(Session Initiation Protocol)などのIP網向けの呼制御プロトコルによって相互接続される。
【0010】
なお、IMSに基づくアーキテクチャでは、カスコン操作番号の信号レシーバの配備についての規定は無いが、以下の理由から、PB信号レシーバはメディアサーバ3に、DP信号レシーバはAGW2に配備するものとする。
【0011】
図9に示すように、カスコン操作番号がPB信号によって伝送される場合は、通常の音声信号と同様に、例えばITU−T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)勧告G.711に準拠するコーデック22でデジタル化したPB信号の音声パケットを、RTP(Realtime Transport Protocol)等のVoIP(Voice over Internet Protocol)用の標準プロトコルを用いて、メディアサーバ3まで伝送することができる。したがって、PB信号レシーバ32をメディアサーバ3に集約配備することができる。
【0012】
一方、カスコン操作番号がDP信号によって伝送される場合は、DP信号の伝送が可能な区間はメタル線5上に限られるので、PB信号のようにコーデック22でデジタル化してIP網内を伝送することはできない。そのため、DP信号レシーバは、メタル線5を終端するAGW2に配備せざるを得ない。
【0013】
なお、特許文献1には、DP信号およびPB信号を用いたIP網向けのカスコンサービスが提案されているが、DP信号レシーバとPB信号レシーバとの双方がメディアゲートウェイに配備される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−263309号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】千葉正人監修、「改訂ディジタル交換方式」、社団法人電子情報通信学会、平成3年6月
【非特許文献2】ETSI, TISPAN; PES; Functional Architecture, TS 182 012 V.2.1.4 (2008-03)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記のように、カスコン操作番号がPB信号によって伝送される場合は、受信したPB信号をAGW2にて音声パケット化してメディアサーバ3に届けることができるので、PB信号レシーバ32をメディアサーバ3に集約配備することができる。他方、DP信号レシーバはAGW2に配備せざるを得ないが、DP信号によって伝送されるカスコン操作番号を、AGW2からメディアサーバ3や加入者サーバ1に伝える標準的な仕組みが従来技術にはなかった。
【0017】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、IP網において、既存電話網で提供されているものと同様なカスタマコントロールサービスを、PB契約加入者に加えてDP契約加入者にも提供するための標準的な仕組みを確立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明は、IP網に接続される加入者サーバ、および、音声パケット化されたPB信号を受信してカスコン操作番号を特定するPB信号レシーバを備えるメディアサーバと連携して、メタル線によって接続されるPB契約加入者およびDP契約加入者の電話端末にIP電話サービスを提供するゲートウェイ装置(AGW)であって、前記DP契約加入者の電話端末から送出されるDP信号からカスコン操作番号を特定するDP信号レシーバを備え、前記加入者サーバが、加入者のカスコン操作によって電話に関する各種サービスの設定内容を変更可能なカスタマコントロールサービスを提供する場合に、前記加入者サーバの指示を受けて、前記メディアサーバから送出されるカスコン操作の受付が可能であることを伝える受付音または音声ガイダンスを前記電話端末に中継送信し、前記DP契約加入者の電話端末から送出され前記DP信号レシーバにて受信したDP信号から特定されるカスコン操作番号をPB信号に変換したのちに、また、前記PB契約加入者の電話端末から送出されるPB信号はそのままの形で、いずれの場合もVoIP用プロトコルにより音声パケット化して、前記音声パケット化されたPB信号を前記メディアサーバに送信することを特徴とする。
【0019】
こうすることにより、加入者がDP契約加入者であってもPB契約加入者であっても、メディアサーバには音声パケット化されたPB信号によってカスコン操作番号が伝送されることになり、以降のカスタマコントロールサービス処理の統一化を図ることができる。
【0020】
また、前記ゲートウェイ装置における前記DP信号レシーバの第1の配備方法では、前記ゲートウェイ装置は、自身が収容する各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かが登録されているPB/DP契約情報データベースを備え、自身が収容する全てのDP契約加入者に対して、前記DP信号レシーバを個別に配備するものとした。
【0021】
こうすることにより、加入者サーバがカスタマコントロールサービスを実行するときに、PB/DP契約情報データベースを参照したり、DP信号レシーバを動的に割り当てたりする必要がなくなるので、ゲートウェイ装置および加入者サーバの処理の簡易化を図ることができる。
【0022】
また、前記ゲートウェイ装置における前記DP信号レシーバの第2の配備方法では、前記ゲートウェイ装置は、各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かが登録されているPB/DP契約情報データベースを備えるとともに、複数の前記DP信号レシーバを共有配備し、前記加入者サーバからレシーバリソースの捕捉指示を受け取ったときに、前記データベースを参照して前記カスタマコントロールサービスの対象となる当該加入者がDP契約加入者であるか否かを判定し、当該加入者がDP契約加入者である場合に前記複数の前記DP信号レシーバのなかの1つを当該加入者に割り当てるものとした。
【0023】
こうすることにより、ゲートウェイ装置に配備するDP信号レシーバの集約が可能となり、ゲートウェイ装置の装置コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、IP網において、既存電話網で提供されているものと同様なカスタマコントロールサービスを、PB契約加入者に加えてDP契約加入者にも提供するための標準的な仕組みを確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の方式におけるカスコンサービス動作の説明図である。
【図2】第2の方式におけるカスコンサービス動作の説明図である。
【図3】第1の方式(A):DP契約加入者の場合のシーケンスチャートである。
【図4】第1の方式(B):PB契約加入者の場合のシーケンスチャートである。
【図5】第2の方式(A):DP契約加入者の場合のシーケンスチャートである。
【図6】第2の方式(B):PB契約加入者の場合のシーケンスチャートである。
【図7】カスコンサービス以外の場合のシーケンスチャートである。
【図8】既存電話網におけるカスコンサービス動作の説明図である。
【図9】従来のIP網におけるカスコンサービス動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態につき適宜図面を参照して詳細に説明する。前記のように、AGW2におけるDP信号レシーバの配備方法として、全てのDP契約加入者にDP信号レシーバを個別に配備する第1の方式と、共有配備した複数のDP信号レシーバを要求に応じて各加入者に割り当てる第2の方式とがある。
【0027】
[第1の方式]
図1は、第1の方式におけるカスコンサービス動作の説明図である。図1に示すように、本カスコンサービスシステムは、IP網に接続される加入者サーバ1と、AGW(Access Gateway)2と、メディアサーバ3とを備えて構成される。加入者サーバ1は、カスコンサービス制御を司るサービス制御部11を備える。AGW2は、PB/DP契約情報データベース21、コーデック22、DP信号レシーバ23、およびPB信号センダ24を備える。メディアサーバ3は、カスコンサービスの受付音または音声ガイダンスを送出するガイダンス送出部31と、PB信号レシーバ32とを備える。
【0028】
PB/DP契約情報データベース21には、AGW2が収容している全ての加入者について当該加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かを示す情報が登録される。また、AGW2が収容している全ての加入者に対して、アナログ音声信号とデジタルの音声パケットとの間の相互変換を行うコーデック22が配備され(PB契約加入者については図示を省略。)、さらに、DP契約加入者に対しては、DP信号レシーバ23とPB信号センダ24とが個別に配備される。
【0029】
DP契約加入者の電話端末4からカスコンサービスへの接続が行われると、DP信号レシーバ23は、DP契約加入者の電話端末4からのDP信号の送出を監視し、DP信号が送出された場合は検出したカスコン操作番号をPB信号センダ24に引き渡す。PB信号センダ24は、引き渡されたカスコン操作番号をPB信号に変換してコーデック22に引き渡す。コーデック22は、引き渡されたPB信号を電話端末4から送出されるアナログ音声信号に重畳してVoIP用のプロトコルによって音声パケット化し、メディアサーバ3に送信する。メディアサーバ3に配備されたPB信号レシーバ32は、この音声パケット化されたPB信号からカスコン操作番号を特定し、メディアサーバ3はこの特定したカスコン操作番号を加入者サーバ1に通知する。
【0030】
一方、PB契約加入者の電話端末4からカスコンサービスへの接続が行われた場合には、PB契約加入者の電話端末4から送出されるPB信号はそのままコーデック22により音声パケット化されてメディアサーバ3に送信され、メディアサーバ3に配備されたPB信号レシーバ32が、この音声パケット化されたPB信号からカスコン操作番号を特定して加入者サーバ1に通知する。
【0031】
このように、加入者がDP契約者の場合であってもPB契約者の場合であっても、メディアサーバ3は音声パケット化されたPB信号によってカスコン操作番号を受信することになるため、以降のカスコンサービス処理の統一化を図ることができる。
【0032】
この第1の方式では、予め全てのDP契約加入者に対してDP信号レシーバ23とPB信号センダ24とが個別に配備されるので、カスコンサービスの実行時に個別にPB/DP契約情報データベース21を参照したり、DP信号レシーバ23を動的に割り当てたりする必要がない。したがって、加入者サーバ1やAGW2の処理の簡素化を図ることができる。
【0033】
[第2の方式]
図2は、第2の方式におけるカスコンサービス動作の説明図である。図2に示すように、本カスコンサービスシステムの装置構成は、前記した第1の方式(図1)とほぼ同様である。第1の方式との装置構成上の違いは、DP信号レシーバ23とPB信号センダ24とが、全てのDP契約加入者に対して共有配備されていることにある。
【0034】
DP契約加入者の電話端末4からカスコンサービスへの接続が行われると、サービス制御部11からAGW2に対してレシーバリソースの捕捉指示が送信される。AGW2は、PB/DP契約情報データベース21を参照して当該加入者がDP契約加入者であると判定した場合には、当該加入者に対してDP信号レシーバ23とPB信号センダ24との組を割り当てる。以後、DP信号レシーバ23は、当該加入者の電話端末4からのDP信号の送出を監視し、DP信号が送出された場合は検出したカスコン操作番号をPB信号センダ24に引き渡す。PB信号センダ24は、引き渡されたカスコン操作番号をPB信号に変換してコーデック22に引き渡す。コーデック22は、引き渡されたPB信号を電話端末4から送出されるアナログ音声信号に重畳してVoIP用のプロトコルによって音声パケット化し、メディアサーバ3に送信する。メディアサーバ3に配備されたPB信号レシーバ32は、この音声パケット化されたPB信号からカスコン操作番号を特定し、メディアサーバ3はこの特定したカスコン操作番号を加入者サーバ1に通知する。
【0035】
一方、PB契約加入者の電話端末4からカスコンサービスへの接続が行われた場合には、PB契約加入者の電話端末4から送出されるPB信号はそのままコーデック22により音声パケット化されてメディアサーバ3に送信され、メディアサーバ3に配備されたPB信号レシーバ32が、この音声パケット化されたPB信号からカスコン操作番号を特定して加入者サーバ1に通知する。
【0036】
このように、加入者がDP契約者の場合であってもPB契約者の場合であっても、メディアサーバ3は音声パケット化されたPB信号によってカスコン操作番号を受信することになるため、以降のカスコンサービス処理の統一化を図ることができる。
【0037】
この第2の方式では、全てのDP契約加入者の数だけDP信号レシーバ23とPB信号センダ24との組を配備するのではなく、DP契約加入者の中で想定されるカスコンサービスの最大同時利用者数に相当する数に集約してリソースを共有配備すればよいので、AGW2の装置コストを低減することができる。
【0038】
以下、前記にて説明した第1の方式および第2の方式のそれぞれについて、
(A):DP契約加入者に対するカスコンサービスの場合
(B):PB契約加入者に対するカスコンサービスの場合
の2つのケースにおける動作内容を、図3から図6のシーケンスチャートを用いて詳しく説明する。なお、これらのシーケンスチャートでは、加入者サーバ1、AGW2、メディアサーバ3間の呼制御プロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を利用する例について説明するが、他の呼制御プロトコルを利用してもよい。
【0039】
[第1の方式](A):DP契約加入者に対するカスコンサービスの場合
図3は、第1の方式においてDP契約加入者に対してカスコンサービスを提供する場合のシーケンスチャートである。
【0040】
DP契約加入者の電話端末4からあるカスコンサービスのダイヤル番号(例えば、「141」)が送出されると(ステップS1)、AGW2は、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を加入者サーバ1に送信し、呼接続要求を行う(ステップS2)。加入者サーバ1は、受け取ったダイヤル番号がカスコンサービスの番号である場合は(ステップS3で「Yes」)、メディアサーバ3に対し、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を送信し(ステップS4)、その応答として200(OK)を受信すると(ステップS5)、AGW2に対して、呼出中を示す18x を送信する(ステップS61)。
【0041】
AGW2は、18xを受信すると、メディアサーバ3との間の通話路を確立し、加入者の電話端末4とメディアサーバ3との間のアナログ音声信号と音声パケットとの相互変換および中継転送を開始するとともに、カスコン操作番号の受信を待つ状態となる。その後、メディアサーバ3から加入者の電話端末4向けに音声ガイダンス(あるいは受付音)の音声パケットが送出されると、AGW2は、受信した音声パケットをアナログ音声信号に変換してメタル線5を介して電話端末4に送出する(ステップS7)。
【0042】
続いて、加入者の電話端末4から、DP信号によってカスコン操作番号が送出されると(ステップS81)、AGW2は、DP信号レシーバ23が受信したカスコン操作番号を、PB信号センダ24にて該当するPB信号に変換し(ステップS82)、コーデック22にて電話端末4から送出されるアナログ音声信号に当該PB信号を重畳して音声パケット化し、メディアサーバ3に送信する(ステップS9)。なお、ここでは、コーデック22によって電話端末4から送出されるアナログ音声信号に当該PB信号を重畳するものとしたが、PB信号センダ24にコーデック機能を具備し、音声パケット化したカスコン操作番号のPB信号を直接メディアサーバ3に送信するものとしてもよい。
【0043】
メディアサーバ3が備えるPB信号レシーバ32は、AGW2から送信された音声パケットを受信し、その中に含まれているPB信号を抽出してカスコン操作番号を特定し、メディアサーバ3はこの特定したカスコン操作番号をINFO信号等のSIPメソッドに含めて加入者サーバ1に送信する(ステップS10)。加入者サーバ1は、受信したカスコン操作番号にしたがってサービスの設定変更等を行う。
【0044】
[第1の方式](B):PB契約加入者に対するカスコンサービスの場合
図4は、第1の方式においてPB契約加入者に対してカスコンサービスを提供する場合のシーケンスチャートである。
【0045】
PB契約加入者の電話端末4からあるカスコンサービスのダイヤル番号(例えば、「141」)が送出されてから、メディアサーバ3からの音声ガイダンス(あるいは受付音)が電話端末4に送出されるまでの一連の処理の流れ(ステップS1〜ステップS7)は、前記の第1の方式(A)(図3)と同様である。
【0046】
続いて、加入者の電話端末4から、PB信号によってカスコン操作番号が送出されると(ステップS83)、AGW2は、電話端末4から送出されたPB信号を通常の音声と同様にコーデック22にて音声パケット化し、メディアサーバ3に送信する(ステップS9)。
【0047】
それ以降のメディアサーバ3および加入者サーバ1の動作は、前記の第1の方式(A)(図3)と同様である。
【0048】
[第2の方式](A):DP契約加入者に対するカスコンサービスの場合
図5は、第2の方式においてDP契約加入者に対してカスコンサービスを提供する場合のシーケンスチャートである。
【0049】
DP契約加入者の電話端末4からあるカスコンサービスのダイヤル番号(例えば、「141」)が送出されると(ステップS1)、AGW2は、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を加入者サーバ1に送信し、呼接続要求を行う(ステップS2)。加入者サーバ1は、受け取ったダイヤル番号がカスコンサービスの番号である場合は(ステップS3で「Yes」)、メディアサーバ3に対し、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を送信し(ステップS4)、その応答として200(OK)を受信すると(ステップS5)、AGW2に対して、カスコンサービスのためのレシーバリソースの捕捉を指示する18x(レシーバリソース捕捉指示)を送信する(ステップS62)。
【0050】
AGW2は、レシーバリソース捕捉指示を受け取ると、メディアサーバ3との間の通話路を確立し、加入者の電話端末4とメディアサーバ3との間のアナログ音声信号と音声パケットとの相互変換および中継転送を開始するとともに、PB/DP契約情報データベース(DB)21を参照して、当該加入者がDP契約加入者であることが確認できた場合は、共有配備しているDP信号レシーバ23およびPB信号センダ24をそれぞれ1つずつ当該加入者に対して割り当て、カスコン操作番号の受信を待つ状態となる(ステップS63)。その後、メディアサーバ3から加入者の電話端末4向けに音声ガイダンス(あるいは受付音)の音声パケットが送出されると、AGW2は、受信した音声パケットをアナログ音声信号に変換して電話端末4に送出する(ステップS7)。
【0051】
続いて、加入者の電話端末4から、DP信号によってカスコン操作番号が送出されると(ステップS81)、AGW2は、DP信号レシーバ23が受信したカスコン操作番号を、PB信号センダ24にて該当するPB信号に変換し(ステップS82)、コーデック22にて電話端末4から送出されるアナログ音声信号に当該PB信号を重畳して音声パケット化し、メディアサーバ3に送信する(ステップS9)。なお、ここでは、コーデック22によって電話端末4から送出されるアナログ音声信号に当該PB信号を重畳するものとしたが、PB信号センダ24にコーデック機能を具備し、音声パケット化したカスコン操作番号のPB信号を直接メディアサーバ3に送信するものとしてもよい。
【0052】
メディアサーバ3が備えるPB信号レシーバ32は、AGW2から送信された音声パケットを受信し、その中に含まれているPB信号を抽出してカスコン操作番号を特定し、メディアサーバ3はこの特定したカスコン操作番号をINFO信号等のSIPメソッドに含めて加入者サーバ1に送信する(ステップS10)。加入者サーバ1は、受信したカスコン操作番号にしたがってサービスの設定変更等を行う。
【0053】
[第2の方式](B):PB契約加入者に対するカスコンサービスの場合
図6は、第2の方式においてPB契約加入者に対してカスコンサービスを提供する場合のシーケンスチャートである。
【0054】
PB契約加入者の電話端末4からあるカスコンサービスのダイヤル番号(例えば、「141」)が送出されてから、加入者サーバ1がAGW2に対してレシーバリソースの捕捉を指示する18x(レシーバリソース捕捉指示)を送信するまでの一連の処理(ステップS1〜ステップS62)は、前記の第2の方式(A)(図5)と同様である。
【0055】
AGW2は、レシーバリソース捕捉指示を受け取ると、メディアサーバ3との間の通話路を確立し、加入者の電話端末4とメディアサーバ3との間のアナログ音声信号と音声パケットとの相互変換および中継転送を開始するとともに、PB/DP契約情報DB21を参照して、当該加入者がPB契約加入者であることが確認できた場合は、受け取ったレシーバリソース捕捉指示を破棄する(ステップS64)。
【0056】
それ以降のAGW2、メディアサーバ3および加入者サーバ1の動作は、前記の第1の方式(B)(図4)と同様である。
【0057】
[共通](C):カスコンサービス以外(ただし、音声ガイダンス提供あり)の場合
図7は、第1の方式と第2の方式との両者に共通する、カスコンサービス以外(ただし、音声ガイダンス提供あり)のサービスを提供する場合のシーケンスチャートである。この場合は、当該加入者がDP契約加入者であるかPB契約加入者であるかに関わらずカスコン操作番号の受信は行われないので、いずれの加入者であっても処理は共通となる。
【0058】
加入者の電話端末4からあるカスコンサービス以外のダイヤル番号が送出されると(ステップS1)、AGW2は、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を加入者サーバ1に送信し、呼接続要求を行う(ステップS2)。加入者サーバ1は、受け取ったダイヤル番号がカスコンサービスの番号ではないが音声ガイダンス提供が必要なサービスの番号である場合は(ステップS3で「No」)、メディアサーバ3に対し、当該ダイヤル番号を含むINVITE信号を送信し(ステップS4)、その応答として200(OK)を受信すると(ステップS5)、AGW2に対して、呼出中を示す18xを送信する(ステップS65)。
【0059】
AGW2は、18xを受信すると、メディアサーバ3との間の通話路を確立し、加入者の電話端末4とメディアサーバ3との間のアナログ音声信号と音声パケットとの相互変換および中継転送を開始する。その後、メディアサーバ3から加入者の電話端末4向けに音声ガイダンスの音声パケットが送出されると、AGW2は、受信した音声パケットをアナログ音声信号に変換してメタル線5を介して電話端末4に送出する(ステップS7)。
【0060】
以上説明したように、前記した第1の方式および第2の方式のいずれにおいても、メディアサーバ3は、加入者がDP契約加入者の場合であってもPB契約加入者の場合と同様に音声パケット化されたPB信号によってカスコン操作番号を受信するという標準的な仕組みが実現される。これにより、加入者がPB契約加入者である場合とDP契約加入者である場合との処理の統一化を図ったカスコンサービスを提供することができる。
【0061】
以上にて本発明を実施するための形態の説明を終えるが、本発明の実施の態様はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 加入者サーバ
11 サービス制御部
2 AGW(Access Gateway)(ゲートウェイ装置)
21 PB/DP契約情報データベース
22 コーデック
23 DP信号レシーバ
24 PB信号センダ
3 メディアサーバ
31 ガイダンス送出部
32 PB信号レシーバ
4 加入者の電話端末(電話端末)
5 メタル線
9 交換機
91 サービス制御部
92 PB/DP契約情報データベース
93 PB信号レシーバまたはDP信号レシーバ
94 ガイダンス送出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網に接続される加入者サーバ、および、音声パケット化されたPB信号を受信してカスコン操作番号を特定するPB信号レシーバを備えるメディアサーバと連携して、メタル線によって接続されるPB契約加入者およびDP契約加入者の電話端末にIP電話サービスを提供するゲートウェイ装置であって、
前記DP契約加入者の電話端末から送出されるDP信号からカスコン操作番号を特定するDP信号レシーバを備え、
前記加入者サーバが、加入者のカスコン操作によって電話に関する各種サービスの設定内容を変更可能なカスタマコントロールサービスを提供する場合に、
前記加入者サーバの指示を受けて、前記メディアサーバから送出されるカスコン操作の受付が可能であることを伝える受付音または音声ガイダンスを前記電話端末に中継送信し、
前記DP契約加入者の電話端末から送出され前記DP信号レシーバにて受信したDP信号から特定されるカスコン操作番号をPB信号に変換したのちに、また、前記PB契約加入者の電話端末から送出されるPB信号はそのままの形で、いずれの場合もVoIP用プロトコルにより音声パケット化して、前記音声パケット化されたPB信号を前記メディアサーバに送信する
ことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲートウェイ装置において、
自身が収容する各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かを示す情報が登録されているPB/DP契約情報データベースを備え、
自身が収容する全てのDP契約加入者に対して、前記DP信号レシーバを個別に配備する
ことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のゲートウェイ装置において、
自身が収容する各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かを示す情報が登録されているPB/DP契約情報データベースを備えるとともに、複数の前記DP信号レシーバを共有配備し、
前記加入者サーバからレシーバリソース捕捉指示を受け取ったときに、前記データベースを参照して前記カスタマコントロールサービスの対象となる当該加入者がDP契約加入者であるか否かを判定し、当該加入者がDP契約加入者である場合に前記複数の前記DP信号レシーバのなかの1つを当該加入者に割り当てる
ことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のゲートウェイ装置において、
前記PB信号の前記メディアサーバへの送信は、RTP(Realtime Transport Protocol)を用いて行われる
ことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項5】
IP網に接続される加入者サーバと、音声パケット化されたPB信号を受信してカスコン操作番号を特定するPB信号レシーバを備えるメディアサーバと、前記加入者サーバおよびメディアサーバと連携して、メタル線によって接続されるPB契約加入者およびDP契約加入者の電話端末にIP電話サービスを提供するゲートウェイ装置とを備え、
前記加入者サーバが、加入者のカスコン操作によって電話に関する各種サービスの設定内容を変更可能なカスタマコントロールサービスを提供するカスタマコントロールサービスシステムであって、
前記ゲートウェイ装置は、
前記加入者サーバの指示を受けて、前記メディアサーバから送出されるカスコン操作の受付が可能であることを伝える受付音または音声ガイダンスを前記電話端末に中継送信し、
前記DP契約加入者の電話端末から送出され前記DP信号レシーバにて受信したDP信号によって特定されるカスコン操作番号をPB信号に変換したのちに、また、前記PB契約加入者の電話端末から送出されるPB信号はそのままの形で、いずれの場合もVoIP用プロトコルにより音声パケット化して、前記音声パケット化されたPB信号を前記メディアサーバに送信し、
前記メディアサーバは、
前記音声パケット化されたPB信号からカスコン操作番号を特定し、特定した前記カスコン操作番号を前記加入者サーバに通知する
ことを特徴とするカスタマコントロールサービスシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のカスタマコントロールサービスシステムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
自身が収容する各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かを示す情報が登録されているPB/DP契約情報データベースを備え、
自身が収容する全てのDP契約加入者に対して、前記DP信号レシーバを個別に配備する
ことを特徴とするカスタマコントロールサービスシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のカスタマコントロールサービスシステムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
自身が収容する各加入者がPB契約加入者かDP契約加入者かを示す情報が登録されているPB/DP契約情報データベースを備えるとともに、複数の前記DP信号レシーバを共有配備し、
前記加入者サーバからレシーバリソース捕捉指示を受け取ったときに、前記データベースを参照して前記カスタマコントロールサービスの対象となる当該加入者がDP契約加入者であるか否かを判定し、当該加入者がDP契約加入者である場合に前記複数の前記DP信号レシーバのなかの1つを当該加入者に割り当てる
ことを特徴とするカスタマコントロールサービスシステム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のカスタマコントロールサービスシステムにおいて、
前記ゲートウェイ装置から前記メディアサーバへの前記PB信号の送信は、RTP(Realtime Transport Protocol)を用いて行われる
ことを特徴とするカスタマコントロールサービスシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−249033(P2012−249033A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118542(P2011−118542)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】