説明

ゲートバルブ

【課題】汚水に含まれる土砂等が内部に滞留してしまうことを有効に防止可能なゲートバルブを提供すること。
【解決手段】長尺状の一対のバルブスペーサー3の上部を挿通孔5を有する取付板4で連通し、挿通孔5にスクリューナット6を装着し、上方部分に流路8を有するとともに流路8の周辺に取り付け用カラー9を有する固定プレート7を、バルブスペーサー3の長手方向中央部近傍から下端近傍にかけてバルブスペーサー3を連通しつつバルブスペーサー3の表裏面に装着して弁箱2を構成し、貫通孔11を有するスライド板10を前記一対のバルブスペーサー3間に上下動自在に挿装するとともに、前記スクリューナット6に螺合させたスクリューネジ12の下端部分をスライド板10に回動自在に連結し、スクリューネジ12を回動することでスライド板10を上下動させて前記流路8を開閉自在とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、特に汚水管等の配管ラインに使用されるゲートバルブに係り、より詳しくは、汚水に含まれる土砂等がバルブ内に滞留してしまうことを有効に防止可能なゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水道等の配管ラインの開閉のためにゲートバルブを用いることが行われており、このゲートバルブによって上下水道等の流量等の調節を可能としている。
【0003】
ここで、図6は、従来のゲートバルブ31を説明するための図であり、一部を切り欠いた斜視図としている。そして、この従来のゲートバルブ31では、弁箱32内にプレート33が上下動自在に挿装されており、プレート33の上部にはスクリューネジ34が連結され、更に、スクリューネジ34の上部にはハンドル35が螺合されている。また、弁箱32の下方側には貫通孔とした流路36が形成され、この流路36の周囲には、配管を装着するためのフランジ37が装着されている。そして、この構成において、前記ハンドル35を回すことによりプレート33を上下動させ、これにより、プレート33によって前記流路36を開閉することとしている。
【0004】
従って、このゲートバルブ31を配管ラインに使用することにより、ハンドル35の操作で流路36の開閉をすることで、配管ラインを流れる上下水等の水量を容易に調整することが可能となる。
【特許文献1】2002−115774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したようなゲートバルブでは、流路36の全閉状態を確実にするために、前記流路36の周囲には溝状とした弁座38が形成されている。そして、前記流路36の全閉状態では、前記プレート33の先端部が弁座38内に挿入されることとしている。
【0006】
そのために、特に土砂等を含む汚水のラインにこのようなゲートバルブ31を用いた場合には、汚水に含まれる土砂等が弁座38内に入り込んでしまい、それにより配管ラインのシールが不完全になってしまうという問題点がある。
【0007】
また、弁座38内に入り込んでしまった土砂等によってプレート等が破損してしまうおそれも十分に考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、汚水に含まれる土砂等が内部に滞留してしまうことを有効に防止可能なゲートバルブを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のゲートバルブは、長尺状の一対のバルブスペーサーの上部を挿通孔を有する取付板で連通し、前記挿通孔にスクリューナットを装着し、上方部分に流路を有するとともに前記流路の周辺に取り付け用カラーを装着した固定プレートを、前記バルブスペーサーの長手方向中央部近傍から下端近傍にかけて前記一対のバルブスペーサーを連通しつつバルブスペーサーの表裏面に装着して弁箱を構成し、貫通孔を有するスライド板を前記一対のバルブスペーサー間に上下動自在に挿装するとともに、前記スクリューナットに螺合させたスクリューネジの下端部分を前記スライド板に回動自在に連結し、前記スクリューネジを回動することで前記スライド板を上下動させて前記流路を開閉自在とした、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲートバルブでは、一対のバルブスペーサーの上部を取付板で連通するとともに流路を有する固定プレートを前記一対のバルブスペーサーを連通しつつバルブスペーサーの表裏面に装着して弁箱を構成し、この弁箱における一対のバルブスペーサー間にスライド板を上下動自在に挿装し、スライド板に形成した貫通孔の位置が固定プレートに形成した流路の位置と一致したときに流路を開放し、スライド板に形成した貫通孔の位置が固定プレートに形成した流路の位置と不一致のときに流路を閉鎖する構成としている。
【0011】
従って、本発明のゲートバルブでは、前述した従来のゲートバルブと異なり弁座を不要としており、そのために、汚水に含まれる土砂等がバルブ内に留まることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のゲートバルブでは、間隔を置いて配置された長尺平板状の一対のバルブスペーサーを有しており、この一対のバルブスペーサーは、その上部において取付板によって連通されている。
【0013】
また、取付板には挿通孔が形成されるとともに、この挿通孔にはスクリューナットが装着されている。
【0014】
更に、前記バルブスペーサーの長手方向中央部近傍から下端近傍にかけては、前記一対のバルブスペーサーを連通する配置でバルブスペーサーの表裏面に固定プレートが装着されており、この固定プレートは、その上方部分に貫通孔とした流路を有するとともに、流路の周辺には、配管を取付けるための取り付け用カラーを有している。
【0015】
そして、この、バルブスペーサー、スクリューナットを備えた取付板、及び固定プレートによって弁箱が構成されている。
【0016】
更に、弁箱における一対のバルブスペーサー間には、貫通孔を有するスライド板が上下動自在に挿装されているとともに、このスライド板の上部には、上方部分を前記スクリューナットに螺合させたスクリューネジの下端部分が回動自在に連結され、これにより、前記スクリューネジを回動することで、前記スライド板を上下動させ、スライド板の貫通孔が固定プレートの流路の位置と一致したときに流路を開放し、スライド板の貫通孔が固定プレートの流路の位置と不一致のときに流路を閉鎖することとしている。
【0017】
ここで、前記スライド板にベアリングを内蔵したベアリングケースを装着するとともに、このベアリングケースに前記スクリューネジを係止するとよく、これにより、スクリューネジの回動をよりスムーズにしてスライド板の上下動を容易にすることが可能である。
【実施例1】
【0018】
本考案のゲートバルブの実施例について図面を参照にして説明すると、図1は、本実施例のゲートバルブの正面図であり、また、図2は本実施例のゲートバルブの平面図、図3は本実施例のゲートバルブの側面図、図5は本実施例のゲートバルブの縦断正面構造を示す一部断面図、更に図4は図1におけるA−A線断面図であり、図において1が本実施例のゲートバルブである。
【0019】
そして、本実施例のゲートバルブ1は、弁箱と、この弁箱内に上下動自在に挿装されたスライド板とを有している。
【0020】
ここで、前記弁箱について説明すると、図1において2が弁箱であり、この弁箱2は、間隔を置いて配置された一対のバルブスペーサーと、このバルブスペーサー3を上部で連通した取付板と、この取付板に形成した挿通孔に装着されたスクリューナットと、前記一対のバルブスペーサーの表裏面において一対のバルブスペーサーを連通するように装着された固定プレートを具備している。
【0021】
即ち、図1において3がバルブスペーサーであり、本実施例においてこのバルブスペーサー3は、金属製の長尺の平板状とし、間隔を置いて配置されているとともに、上部において、ボルト21によって、金属製の取付板4で連通されている。
【0022】
また、前記取付板4には、図5に示されるように、中央部分に挿通孔5が形成されており、この挿通孔5には、ボルト21を介してスクリューナット6が装着されている。
【0023】
次に、図1において7は固定プレートである。即ち、前記バルブスペーサー3の長手方向に見た中央部近傍から下端近傍にかけては、前記一対のバルブスペーサー3を連通する配置で、前記バルブスペーサー3の表裏面に固定プレート7が装着されている。従って、前記弁箱2は、左右側及び上部側が閉鎖されており、下方側は開放とされている。
【0024】
そして、この固定プレート7はそれぞれ、金属製の平板状としており、上方部分には固定プレート7を貫通した流路8が形成されており、この流路8の周辺には、配管等を装着するためのカラー9が装着されている。
【0025】
なお、図1において、一方側のカラー9には、シール用のOリング22が備えられるとともに、図3にも示されるように配管連結用の凸部23が形成され、更に、他方側のカラー9には、配管連結用の連結用凹部24(図3参照)が形成されている。
【0026】
次に、前記スライド板について説明すると、図1において10がスライド板であり、本実施例において前記スライド板10は、正面視野を縦長の長方形状とした金属製の平板状としており、前記一対のバルブスペーサー3間に上下動自在に挿装している。
【0027】
そして、前記スライド板10は、前記一対のバルブスペーサー3間と同程度の幅寸法としており、上下動することで前記一対のバルブスペーサー3の内側面に摺動することとしている。
【0028】
また、前記スライド板10は、長手方向の中央部分近傍に貫通孔11を有しており、スライド板10を所定距離だけ上昇させて貫通孔11が前記流路8と重なり合ったときに前記固定プレート7の流路8が開放となり、一方、この状態でスライド板10を下降させることで、スライド板10における貫通孔11以外の部分で前記固定プレート7の流路8を閉鎖することとしている。従って、前記貫通孔11は、スライド板10を所定距離だけ上昇させたときに前記流路8と重なり合う位置に形成されている。
【0029】
なお、本実施例において前記スライド板10は、前記流路8と貫通孔11が重なり合う位置まで上昇させた際に、下端部分がわずかに前記弁箱2の下方側の開放部分より下方に突出する程度の長さ寸法としている。
【0030】
そして、このように構成されるスライド板10には、前記スクリューナット6に螺合されたスクリューネジが回動自在に連結されている。
【0031】
即ち、図において12がスクリューネジであり、本実施例においてこのスクリューネジ12は、図5にも示されるように、前記スクリューナット6に螺合されつつスクリューナット6を貫通しており、その先端には、スクリューネジ6を回動させるときに用いるソケット13が形成されている。
【0032】
一方、前記スライド板10の上部には、図5に示されるように、ベアリングを内蔵したベアリングケースが装着され、このベアリングケース内に前記スクリューネジ12の先端部が回動自在に係止されている。
【0033】
即ち、図において14がベアリングケースであり、このベアリングケース14内にはボールベアリング17が内蔵されている。そして、ベアリングケース14は、押さえプレート15によって前記スライド板10の上部に連結されている。
【0034】
また、前記ベアリングケース14内には前記スクリューネジ12の先端部分が貫通され、更に、ベアリングケース14を貫通したスクリューネジ12の先端には抜け防止用の六角ナット16が装着されており、これにより、前記スライド板10に、前記スクリューネジが回動自在に連結されている。
【0035】
なお、図において17はボールベアリング、18は玉軸受け、19はスペーサー、20は前記ベアリングケース14の上方部分を覆った袋ナット、及び21は前記押さえプレート15をスライド板10に固着するためのボルトである。
【0036】
次に、このように構成される本実施例のバルブスペーサー1の作用について説明すると、前記スクリューネジ12を、スクリューナット6に対してスクリューネジ12が上昇する方向に回動すると、スクリューネジ12の上昇とともにスライド板10が上昇していく。そして、スライド板10における貫通孔11の位置が流路8の位置に至るまでスクリューネジ12を回動していくことで、流路8を開放させていくことができる。
【0037】
一方、流路8が全開放あるいは半開放されている状態で、スクリューネジ12を前記と反対方向に回動することで、スクリューナット6に対してスクリューネジ12が下降するとともにスライド板10が下降し、これにより、スライド板10における貫通孔11の位置が流路8の位置とずれていき、スライド板10における貫通孔11の部分以外の部分で流路8が閉鎖されていく。そして、この状態においては、スライド板10の下方部分は弁箱2より下方に突出している。
【0038】
そしてこのとき、本実施例のバルブスペーサー1では、スライド板10を上昇及び下降させてスライド板10に形成した貫通孔11の位置と流路8の位置を一致させあるいは不一致にすることで流路8の開閉を行なうため、従来のゲートバルブと異なり弁座を有していないため、汚水に含まれる土砂等がバルブ内に留まることがない。
【0039】
このように、本実施例のバルブスペーサーでは、スライド板10を弁箱2の下方側へ突出させることで流路を閉鎖する構成としており、従って弁座を有していないために、汚水に含まれる土砂等が内部に滞留してしまうことを有効に防止することが可能である。
【0040】
また、スクリューネジ12をスライド板10に回動自在に連結するに際して、ベアリング17を内蔵したベアリングケース14にスクリューネジ12を係止する構成としているために、スクリューネジ12を容易かつスムーズに回動させることができ、これによりスライド板10の上昇及び下降を容易に行なうことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のゲートバルブでは、内部に土砂等が残ってしまうことを防止可能としているとともに流路の開閉を容易にしているために、配管用のゲートバルブの全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のゲートバルブの実施例の正面図である。
【図2】本発明のゲートバルブの実施例の平面図である。
【図3】本発明のゲートバルブの実施例の側面図である。
【図4】図1におけるA−A線断面を示す図である。
【図5】本発明のゲートバルブの実施例の縦断正面構造を示す一部断面図である。
【図6】従来のゲートバルブを説明するための一部断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ゲートバルブ
2 弁箱
3 バルブスペーサー
4 取付板
5 挿通孔
6 スクリューナット
7 固定プレート
8 流路
9 カラー
10 スライド板
11 貫通孔
12 スクリューネジ
13 ソケット
14 ベアリングケース
15 押さえプレート
16 六角ナット
17 ボールベアリング
18 玉軸受け
19 スペーサー
20 袋ナット
21 ボルト
22 Oリング
23 連結用凸部
24 連結用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の一対のバルブスペーサー(3)の上部を挿通孔(5)を有する取付板(4)で連通し、前記挿通孔(5)にスクリューナット(6)を装着し、上方部分に流路(8)を有するとともに前記流路(8)の周辺に取り付け用カラー(9)を装着した固定プレート(7)を、前記バルブスペーサー(3)の長手方向中央部近傍から下端近傍にかけて前記一対のバルブスペーサー(3)を連通しつつバルブスペーサー(3)の表裏面に装着して弁箱(2)を構成し、
貫通孔(11)を有するスライド板(10)を前記一対のバルブスペーサー(3)間に上下動自在に挿装するとともに、前記スクリューナット(6)に螺合させたスクリューネジ(12)の下端部分を前記スライド板(10)に回動自在に連結し、前記スクリューネジ(12)を回動することで前記スライド板(10)を上下動させて前記流路(8)を開閉自在とした、ことを特徴とするゲートバルブ。
【請求項2】
前記スライド板(10)にベアリング(17)を内蔵したベアリングケース(14)を装着するとともに、該ベアリングケース(14)に前記スクリューネジ(12)を係止したことを特徴とする請求項1に記載のゲートバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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