説明

ゲート管理装置及び移動方向判定装置

【課題】電極の敷設面積が狭く、移動方向を正確に判定できるゲート管理装置及び移動方向判定装置を提供する。
【解決手段】ゲート管理装置は、路面に配置され、移動体を介して通信装置から前記移動体の識別情報を含む信号を受信する複数の電極、及び各電極における信号の受信強度及び前記識別情報を検出する複数の検出器備える。また、ゲート管理装置は、各電極における受信強度が最大となる時刻及び電極の位置に基づいて移動体の移動方向を判定する判定部と、少なくとも3つの検出器が所定の識別情報を検出し、かつ、この識別情報を受信した前記電極を信号受信時刻順に並べた方向がゲートに向かう場合にゲートを解錠すると決定し、前記移動方向に基づいて移動体のゲート入退出情報をデータベースに保存する管理部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ゲート管理装置及び移動方向判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床(路面)に敷き詰められた複数の電極のうち、歩行者の左右の足で同時に踏まれている2つの電極間で人体通信を行うことで歩行者の位置を検出し、位置検出の履歴に基づいて歩行者の進行方向を判定するシステムが知られている。
【0003】
このような従来のシステムは、左足と右足のそれぞれが踏んでいる電極間で人体通信を行って歩行者の位置を検出するため、歩行者の進行方向を判定するためには、少なくとも人の歩幅の3歩分の範囲に電極を設置する必要がある。従って、電極の敷設面積が広くなるという問題があった。また、隣接する複数の電極に跨って異なる歩行者が存在すると、各歩行者の位置を正しく検出できず、進行方向を正確に判定できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−355343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電極の敷設面積が狭く、移動方向を正確に判定できるゲート管理装置及び移動方向判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、ゲート管理装置は、路面に配置され、移動体を介して通信装置から前記移動体の識別情報を含む信号を受信する複数の電極、及び各電極における信号の受信強度及び前記識別情報を検出する複数の検出器備える。また、ゲート管理装置は、各電極における受信強度が最大となる時刻及び電極の位置に基づいて移動体の移動方向を判定する判定部と、少なくとも3つの検出器が所定の識別情報を検出し、かつ、この識別情報を受信した前記電極を信号受信時刻順に並べた方向がゲートに向かう場合にゲートを解錠すると決定し、前記移動方向に基づいて移動体のゲート入退出情報をデータベースに保存する管理部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゲート管理装置の概略構成図である。
【図2】各電極における信号の受信強度の時間変化の一例を示すグラフである。
【図3】同第1の実施形態に係る移動方向判定装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】同第1の実施形態に係る管理部の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る管理部の処理を示すフローチャートである。
【図6】受信部の構成の一例を示す図である。
【図7】受信部の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係るゲート管理装置の概略構成を示す。ゲート管理装置は、歩行者Pの移動方向(歩行方向)を判定する移動方向判定装置100と、歩行者Pの入退出を管理する管理部114と、ゲート120の入退出管理データベースを記憶する記憶装置115と、ゲート120の開閉を制御する制御部116と、を備える。
【0010】
歩行者Pは、歩行者PのID情報(識別情報)を含む信号Sを送信する通信装置130を所持しており、通信装置130から送信された信号Sは、歩行者Pの身体を介して移動方向判定装置100に受信される。すなわち、通信装置130と移動方向判定装置100は人体通信を行う。通信装置130は、ID情報を記憶する記憶部(図示せず)、ID情報を送信する送信部(図示せず)、送信部に接続された電極(図示せず)を有する。通信装置130は、例えば、歩行者Pの衣服内に入れられていたり、ストラップで首から下げられていたり、腕や手首に巻き付けられた状態で、歩行者Pに所持されている。
【0011】
移動方向判定装置100は、通信装置130から信号Sを受信する受信部103と、受信部103における信号Sの受信強度及び信号Sに含まれる歩行者PのID情報を検出する検出部105と、信号Sの受信強度、時刻、及び信号Sに含まれているID情報を記録する記録部107と、歩行者Pの移動方向を判定する判定部108と、受信した信号Sに含まれるID情報を管理部114へ送信する第1送信部110と、判定部108の判定結果を管理部114へ送信する第2送信部112とを備える。
【0012】
受信部103は、床下(路面)に配置された複数の(本実施形態では5個とする)電極102a〜102eを有する。電極102a〜102eは所定間隔を空けて敷設されており、敷設面積は歩行者Pの足のサイズと同等、又はやや大きい程度である。電極102a〜102eは、それぞれ、歩行者Pに踏まれると、通信装置130(通信装置130の電極)から送信された信号Sを、歩行者Pの人体を介して受信することができる。
【0013】
検出部105は、受信部103における受信信号の信号レベルから受信信号の有無を確認する。検出部105は、受信信号がある場合、受信信号にID情報が含まれているか否かを確認し、ID情報を検出する。
【0014】
検出部105は、受信部103の電極102a〜102eと同数の検出器104a〜104eを有する。検出器104a〜104eは、それぞれ電極102a〜102eに接続されている。例えば、検出器104aは電極102aに接続されている。検出器104aは、電極102aにおける受信信号の信号レベル、すなわち信号Sの受信強度を検出し、信号Sの受信の有無を確認する。また、検出器104aは、電極102aが受信した信号Sに歩行者PのID情報が含まれているか否か確認し、含まれる場合は、ID情報を検出する。
【0015】
同様に、検出器104bは、電極102bにおける信号Sの受信強度、及び信号Sに含まれる歩行者PのID情報を検出する。また、検出器104cは、電極102cにおける信号Sの受信強度、及び信号Sに含まれる歩行者PのID情報を検出する。また、検出器104dは、電極102dにおける信号Sの受信強度、及び信号Sに含まれる歩行者PのID情報を検出する。また、検出器104eは、電極102eにおける信号Sの受信強度、及び信号Sに含まれる歩行者PのID情報を検出する。
【0016】
記録部107は、検出部105の検出器104a〜104eと同数の記録領域106a〜106eを有する。記録領域106a〜106eは、それぞれ検出器104a〜104eが検出した受信強度、ID情報、及び時刻を記録する。ここで、時刻は、検出器104a〜104eによる検出時刻であり、これは、電極102a〜102eによる信号Sの受信時刻とほぼ同時刻である。
【0017】
例えば、記録領域106aは、検出器104aにより検出された、電極102aにおける信号Sの受信強度、信号Sに含まれる歩行者PのID情報、及び時刻を記録する。記録領域106aは、電極102aが信号Sを受信している間、すなわち検出器104aが信号Sの受信強度及びID情報を検出している間は、受信強度、ID情報、及び時刻を記録する。従って、記録領域106aは、電極102aにおける信号Sの受信強度の時系列変化及びID情報を記録する。
【0018】
同様に、記録領域106bは、検出器104bにより検出された、電極102bにおける信号Sの受信強度の時系列変化及び信号Sに含まれるID情報を記録する。また、記録領域106cは、検出器104cにより検出された、電極102cにおける信号Sの受信強度の時系列変化及び信号Sに含まれるID情報を記録する。また、記録領域106dは、検出器104dにより検出された、電極102dにおける信号Sの受信強度の時系列変化及び信号Sに含まれるID情報を記録する。また、記録領域106eは、検出器104eにより検出された、電極102eにおける信号Sの受信強度の時系列変化及び信号Sに含まれるID情報を記録する。
【0019】
第1送信部110は、検出部105の検出器104a〜104eにより検出されたID情報、このID情報を含む信号Sを受信した電極102a〜102eの位置情報、及び信号Sの検出時刻(又は受信時刻)を、管理部114へ送信する。例えば、検出器104bがID情報を検出した場合、第1送信部110は、検出されたID情報と、電極102bの位置情報、及び検出器104bにおけるID情報の検出時刻(又は電極102bによる信号Sの受信時刻)を管理部114へ送信する。
【0020】
なお、管理部114が、電極102a〜102eの位置関係を把握している場合、第1送信部110は、信号Sを受信した電極102a〜102eの位置情報を送信する必要はなく、信号Sを受信した電極が電極102a〜102eのうちのいずれであるかを管理部114へ通知すればよい。
【0021】
判定部108は、受信部103における受信信号がないときに、記録部107にデータ(電極102a〜102eにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報)が記録されているか否かを確認する。記録部107にデータが記録されている場合、判定部108は、このデータを用いて歩行者Pの移動方向を判定する。
【0022】
判定部108は、記録領域106aから、電極102aにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報を取り出す。そして、判定部108は、電極102aにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。
【0023】
同様に、判定部108は、記録領域106bから、電極102bにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報を取り出し、電極102bにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。また、判定部108は、記録領域106cから、電極102cにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報を取り出し、電極102cにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。また、判定部108は、記録領域106dから、電極102dにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報を取り出し、電極102dにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。判定部108は、記録領域106eから、電極102eにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報を取り出し、電極102eにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。
【0024】
判定部108は、信号Sの受信強度が最大となる時刻の順番と、電極102a〜102eの位置から、歩行者Pの移動方向を判定する。一般に、歩行者Pは、歩行の際、足の踵からつま先の順で床に接触し、また、足の踵からつま先の順で床から離れる。これにより、図2に示すように、接触の順番に応じて、各電極で信号Sの受信強度が最大となる時刻は異なる。信号Sの受信強度が最大となる時刻の順番に電極102a〜102eを並べた方向が、歩行者Pの移動方向と考えられる。例えば、図2に示す例では、歩行者Pは、電極102bから102eの方向へ移動したと判定することができる。
【0025】
必ずしも、踵からつま先の順で床に接触しなくても、床から足が離れるときは、進む方向に重心が移動し、足は進む方向が最後に離れるため、信号Sの受信強度が最大となる時刻をもとに、歩行者Pの移動方向を判定することが可能となる。
【0026】
なお、判定部108は、記録領域106a〜106eから取り出した信号Sの受信強度の時系列変化のうち、ID情報が同一であるものについて、受信強度が最大となる時刻を求め、歩行者Pの移動方向を判定する。このようにすることで、別の歩行者が電極102a〜102eを踏んだ場合に、歩行者Pの移動方向の判定に与える影響を除くことができる。
【0027】
第2送信部112は、判定部108が判定した歩行者Pの移動方向と、歩行者PのID情報を管理部114へ送信する。
【0028】
記憶装置115は、ゲート120の通過を許可されている人のID情報を記憶する。また、記憶装置115に記憶されている入退出管理データベースには、ゲート120を通って入出、退出した人の記録が保存されている。
【0029】
管理部114は、第1送信部110から、検出部105の検出器104a〜104eにより検出されたID情報、このID情報を含む信号Sを受信した電極102a〜102eの位置情報、及び信号Sの検出時刻(又は受信時刻)を受け取る。管理部114は、受け取ったID情報が記憶装置115に記憶されているID情報と一致するか否か確認する。ID情報が一致する場合、管理部114は、同一のID情報が、電極102a〜102eのうち3つ以上の異なる電極で受信されていたか否か確認する。同一のID情報が、3つ以上の異なる電極で受信されていた場合、管理部114は、このID情報を受信した電極を、受信時刻に基づいて時系列化する。そして、管理部114は、電極の並びがゲート120に向かう方向であれば、ゲート120を解錠すると決定し、制御部116にその旨を通知する。なお、同一のID情報が、3つ以上の異なる電極で受信されていることを条件としたのは、2つだけでは方向を正しく判定できないためである。
【0030】
また、管理部114は、第2送信部112から、判定部108が判定した歩行者Pの移動方向と、歩行者PのID情報を受信する。管理部114は、判定部108が判定した歩行者Pの移動方向から、歩行者Pがゲート120を通って入退出したか否かを検出し、入退出状況を記憶装置115の入退出管理データベースに保存する。そして、管理部114は、ゲート120を施錠すると決定し、制御部116にその旨を通知する。
【0031】
制御部116は、管理部114からの通知に基づいて、ゲート120の開閉を制御する。例えば、制御部116は、管理部114からゲート120の解錠を通知されると、ゲート120を解錠して開く。また、制御部116は、管理部114からゲート120の施錠を通知されると、ゲート120を施錠して閉じる。
【0032】
このように、本実施形態によれば、ゲート管理装置は、電極102a〜102eで受信されたID情報が記憶装置115に記憶されているID情報と一致し、かつ、同一のID情報が異なる3つ以上の電極で受信され、かつ、ID情報の受信時刻で時系列化した電極の並びがゲート120に向かう方向であることを確認した場合に、ゲート120を解錠する。そのため、ゲート管理装置は、ゲート120を通過する意思のある歩行者のみに対してゲート120を開け、ゲート120の前を横切るだけといったゲート120を通過する意思のない歩行者にはゲート120を閉じたままにしておくことができる。また、判定部108が歩行者Pの移動方向を判定するため、管理部114は、歩行者Pの入退出状況を管理することができる。
【0033】
また、判定部108は、人間が歩行する際は足の踵からつま先の順で床から離れ、かつ、進む方向に重心が移動し、進む方向が最後に離れるという特徴を利用して、電極102a〜102eにおける、信号Sの受信強度が最大となる時刻の順番と、電極の位置から、歩行者Pの移動方向を正確に判定する。すなわち、判定部108は、歩行者Pの片足が電極102a〜102eに接触してから離れるまでの受信信号で、移動方向を正確に判定できる。電極102a〜102eは、歩行者Pの足のサイズと同等、又はやや大きい程度に配置されていればよく、敷設面積を狭くすることができる。
【0034】
上述した本実施形態に係るゲート管理装置を用いたゲート管理方法を図3及び図4のフローチャートを用いて説明する。図3は、移動方向判定装置100における処理を示す。
【0035】
(ステップS101)検出器104a〜104eが、電極102a〜102eにおける信号の受信強度を検出し、受信信号の有無を判定する。受信信号がある場合はステップS102へ進み、ない場合はステップS105へ進む。
【0036】
(ステップS102)検出器104a〜104eが、電極102a〜102eにおける受信信号からID情報を検出する。ID情報が含まれている場合はステップS103へ進み、含まれていない場合は、ステップS105へ進む。
【0037】
(ステップS103)記録部107の記録領域106a〜106eが、それぞれ検出器104a〜104eが検出した受信強度、ID情報、及び時刻を記録する。
【0038】
(ステップS104)第1送信部110が、検出器104a〜104eにより検出されたID情報、このID情報を含む信号Sを受信した電極102a〜102eの位置情報、及び信号Sの検出時刻(又は受信時刻)を、管理部114へ送信する。
【0039】
(ステップS105)記録部107にデータ(電極102a〜102eにおける信号Sの受信強度の時系列変化、及び信号Sに含まれるID情報)が記録されている場合はステップS106へ進み、記録されていない場合はステップS101に戻る。
【0040】
(ステップS106)判定部108が、記録部107の記録データを取り出す。
【0041】
(ステップS107)判定部108が、電極102a〜102eの各々について、信号Sの受信強度が最大となる時刻を求める。
【0042】
(ステップS108)判定部108が、信号Sの受信強度が最大となる時刻の順に、電極102a〜102eを並べたときの方向から、歩行者Pの移動方向を判定する。
【0043】
(ステップS109)第2送信部112が、ステップS108において判定部108が判定した歩行者Pの移動方向と、歩行者PのID情報を管理部114へ送信する。
【0044】
続いて、図4を用いて、管理部114、記憶装置115、及び制御部116における処理を説明する。
【0045】
(ステップS201)管理部114が、(図3のステップS104において)第1送信部110から送信されたID情報、ID情報を受信した電極102a〜102eの位置情報、及び時刻を受信する。
【0046】
(ステップS202)ステップS201で受信したID情報が、記憶装置115に記憶されているID情報と一致するか否か判定される。一致する場合はステップS203へ進み、一致しない場合は処理を終了する。
【0047】
(ステップS203)同一のID情報が、電極102a〜102eのうち、異なる3つ以上の電極で受信されていたか否か判定される。異なる3つ以上の電極で受信されていた場合はステップS204へ進み、2つ以下の電極で受信されていた場合は処理を終了する。
【0048】
(ステップS204)ID情報を受信した電極102a〜102eを、その受信時刻で時系列化して並べる。
【0049】
(ステップS205)ステップS204における電極の並びが、ゲート120に向かう方向であるか否かが判定される。ゲート120に向かう方向であればステップS206へ進み、ゲート120に向かう方向でなければ処理を終了する。
【0050】
(ステップS206)管理部114がゲート120の解錠を決定し、制御部116に通知する。制御部116がゲート120を解錠する。
【0051】
(ステップS207)管理部114が、(図3のステップS109において)第2送信部112から送信された歩行者Pの移動方向及びID情報を受信する。
【0052】
(ステップS208)管理部114が、歩行者Pの移動方向から入退出状況を確認し、記憶装置115の入退出管理データベースに保存する。
【0053】
(ステップS209)管理部114がゲート120の施錠を決定し、制御部116に通知する。制御部116がゲート120を施錠する。
【0054】
本実施形態によれば、歩行者Pの足のサイズと同等、又はやや大きい程度に配置された敷設面積の小さい電極102a〜102eが、通信装置130から信号を受信する。電極102a〜102eで受信されたID情報が記憶装置115に記憶されているID情報と一致し、かつ、同一のID情報が異なる3つ以上の電極で受信され、かつ、ID情報の受信時刻で時系列化した電極の並びがゲート120に向かう方向であることを確認した場合に、ゲート120を解錠する。そのため、ゲート管理装置は、ゲート120を通過する意思のある歩行者のみに対してゲート120を開けることができる。また、電極102a〜102eにおける信号Sの受信強度が最大となる時刻の順番と、電極の位置から、歩行者Pの移動方向を正確に判定し、入退出状況を管理することができる。
【0055】
このように、本実施形態に係るゲート管理装置及び移動方向判定装置は、電極の敷設面積を小さくし、かつ、歩行者の移動方向を正確に判定することができる。
【0056】
(第2の実施形態)上記第1の実施形態では、記憶装置115に登録されているID情報の中に、第1送信部110から送られてきたID情報と一致するものがあっても、同一ID情報が3つ以上の異なる電極で受信されていること、及び、ID情報の受信時刻で時系列化した電極の並びがゲート120に向かう方向であることが確認されない場合、管理部114は、ゲート120の解錠を行わなかった。しかし、歩行者Pが、踵からつま先の順番で足が床に着地しないような歩き方をする場合、ゲート120が常に解錠されない事態が発生する。
【0057】
そこで、本実施形態では、同一のID情報が3つ以上の異なる電極で受信されていない場合、又は、ID情報の受信時刻で時系列化した電極の並びがゲート120に向かう方向でない場合でも、管理部114が、電極102a〜102eにおいてID情報の受信が所定時間以上続いているか(検出器104a〜104eにおいてID情報の検出が所定時間以上続いているか)を確認し、ゲート120の解錠を行う。
【0058】
図5に本実施形態における管理部114、記憶装置115、及び制御部116の処理を説明する。
【0059】
(ステップS301)管理部114が、(図3のステップS104において)第1送信部110から送信されたID情報、ID情報を受信した電極102a〜102eの位置情報、及び時刻を受信する。
【0060】
(ステップS302)ステップS301で受信したID情報が、記憶装置115に記憶されているID情報と一致するか否か判定される。一致する場合はステップS303へ進み、一致しない場合は処理を終了する。
【0061】
(ステップS303)同一のID情報が、電極102a〜102eのうち、異なる3つ以上の電極で受信されていたか否か判定される。異なる3つ以上の電極で受信されていた場合はステップS304へ進み、2つ以下の電極で受信されていた場合はステップS306へ進む。
【0062】
(ステップS304)ID情報を受信した電極102a〜102eを、その受信時刻で時系列化して並べる。
【0063】
(ステップS305)ステップS304における電極の並びが、ゲート120に向かう方向であるか否かが判定される。ゲート120に向かう方向であればステップS307へ進み、ゲート120に向かう方向でなければステップS306へ進む。
【0064】
(ステップS306)電極102a〜102eによるID情報の受信が所定時間(例えば5秒)以上続いている場合はステップS307へ進み、続いていない場合は処理を終了する。
【0065】
(ステップS307)管理部114がゲート120の解錠を決定し、制御部116に通知する。制御部116がゲート120を解錠する。
【0066】
(ステップS308)管理部114が、(図3のステップS109において)第2送信部112から送信された歩行者Pの移動方向及びID情報を受信する。
【0067】
(ステップS309)管理部114が、歩行者Pの移動方向から入退出状況を確認し、記憶装置115の入退出管理データベースに保存する。
【0068】
(ステップS310)管理部114がゲート120の施錠を決定し、制御部116に通知する。制御部116がゲート120を施錠する。
【0069】
これによって、床への足の着地が踵からつま先の順番とならないような歩き方をする歩行者でも、所定時間ゲート120前の受信部103上に立つことで、ゲート120を開くことが可能になる。
【0070】
上記第1及び第2の実施形態において、移動方向判定装置100は、受信部103が床下(路面)に配置されていればよく、検出部105、記録部107、判定部108、第1送信部110、及び第2送信部112は任意の場所に配置し得る。
【0071】
図6は、電極102a〜102eの設置方法の一例を示す縦断面図である。図6に示すように、床(路面)を凹凸形状にして、床(路面)の凸部に電極102a〜102eを設置することが好適である。このように電極102a〜102eを設置することで、電極102a〜102eと足との接触面積が拡大し、受信感度を向上させることができる。
【0072】
また、図7に示すように、電極102a〜102eの間に、両端が、抵抗値の高い抵抗702を介してグランド703に接続された導体701を設けてもよい。このような構成にすることで、歩行者は、複数の電極102a〜102eと同時に導体701を踏むことになる。導体701が存在しない場合、隣接する電極102a〜102e間での結合により、実際には足で踏んでいない電極が信号を受信する可能性がある。これに対し、電極102a〜102eの間に導体701を設けることで、電極102a〜102e間での結合を低減し、アイソレーションを高くすることができる。これにより、歩行者によって実際に踏まれている電極102a〜102eを正確に判別することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 移動方向判定装置
102a〜102e 電極
103 受信部
104a〜104e 検出器
105 検出部
106a〜106e 記録領域
107 記録部
108 判定部
110 第1送信部
112 第2送信部
114 管理部
115 記憶装置
116 制御部
120 ゲート
130 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートを入退出する移動体を管理するゲート管理装置であって、
路面に互いに所定間隔を空けて配置され、前記移動体を介して通信装置から前記移動体の識別情報を含む信号を受信することができる複数の電極と、
前記複数の電極の各々に接続され、各電極における前記信号の受信強度及び前記識別情報を検出する複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について前記受信強度が最大となる時刻を求め、この時刻と、対応する前記電極の位置とに基づいて前記移動体の移動方向を判定する判定部と、
少なくとも3つの前記検出器により検出された前記識別情報が所定の識別情報と一致し、かつ、この識別情報を受信した前記電極を前記信号の受信時刻に基づいて時系列化して並べた方向が前記ゲートに向かう方向である場合に前記ゲートを解錠すると決定し、前記判定部により判定された前記移動方向に基づいて前記移動体が前記ゲートを入退出した情報をデータベースに保存し、前記ゲートを施錠すると決定する管理部と、
前記管理部による決定に基づいて前記ゲートの解錠及び施錠を行う制御部と、
を備えるゲート管理装置。
【請求項2】
前記管理部は、前記電極が前記所定の識別情報と一致する識別情報を含む信号を所定時間以上連続して受信している場合に、前記ゲートを解錠すると決定することを特徴とする請求項1に記載のゲート管理装置。
【請求項3】
前記複数の電極は、凹凸形状の路面の凸部に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲート管理装置。
【請求項4】
互いに隣接する前記電極の間に、一端が第1抵抗を介して接地され、他端が第2抵抗を介して接地された導体が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲート管理装置。
【請求項5】
移動体の移動方向を判定する移動方向判定装置であって、
路面に互いに所定間隔を空けて配置され、前記移動体を介して通信装置から信号を受信することができる複数の電極と、
前記複数の電極の各々に接続され、各電極における前記信号の受信強度を検出する複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について前記受信強度が最大となる時刻を求め、この時刻と、対応する前記電極の位置とに基づいて前記移動方向を判定する判定部と、
を備える移動方向判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−53730(P2012−53730A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196504(P2010−196504)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】