説明

ゲート装置

【課題】複数人の利用者が通路を通行している場合であっても、撮像画像から検知した顔から推定した属性を、各利用者に精度よく対応づけることができるゲート装置を提供する。
【解決手段】制御部2が、利用者検知部4が検知した通路内における利用者の位置と、その検知時刻と、を対応づけた第1の位置テーブルを作成する。画像処理部8が、撮像部9が繰り返し撮像している通路の入口側の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知したときに、その利用者の属性を推定するとともに、当該利用者の位置を検知する。制御部2が、画像処理部8が推定した利用者の属性、検知した利用者の位置、および撮像画像の撮像時刻、を対応づけた第2の位置テーブルを作成する。制御部2が、第1の位置テーブルと、第2の位置テーブルと、を用いて、通路を通行している利用者に、画像処理部8が推定した属性を対応付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通路における利用者の通行を制御するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道の駅の改札口では、駅構内に入場する利用者や、駅構内から出場する利用者に対する改札処理を自動改札機で行っている。自動改札機は、利用者が所持しているキップ、定期券、プリペイド券等の乗車券を受け付け、この乗車券に記録されている乗車券情報を読み取り、読み取った乗車券情報に基づいて、その利用者に対する改札通路の通行可否を判定する。自動改札機は、利用者に対して改札通路の通行を許可すると判定すると、改札通路の出口側に設けた扉を開し、反対に、利用者に対して改札通路の通行を許可しないと判定すると、改札通路の出口側に設けた扉を閉する。
【0003】
また、一般的な鉄道会社では、利用者を年齢で幼児(6歳未満)、小児(6歳以上12歳未満)、または大人(12歳以上)に分類し、鉄道の利用にかかる乗車券の価値(乗車料金)を定めている。通常、幼児は、鉄道の利用に際して乗車券を必要としない。小児、および大人は、鉄道の利用に際して乗車券を必要とするが、小児用の乗車券の価値は、通常、大人用の乗車券の半分である。乗車券に記録されている乗車券情報には、小児用であるか、大人用であるかを示す情報が含まれている。
【0004】
また、特許文献1は、改札通路を通行している利用者を撮像した撮像画像から利用者の年齢を推定し、この利用者が幼児、小児、または大人のいずれであるかを判定する自動改札機を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−205495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、複数人の利用者が改札通路を通行している場合、改札通路を通行している利用者に対して、撮像画像から検知した顔(属性)を誤って対応づけることがあった。例えば、改札通路を通行している2人の利用者が接近している場合、一方の利用者の顔が撮像されず、他方の利用者の顔が撮像されることがある。この場合、前の人の影になって、後の人の顔が撮像されなかったのか、前の人が撮像エリアから外れたために、後の人の顔が撮像されたのかを正確に判断することができなかった。したがって、撮像画像から検知した顔から推定した属性を誤って利用者に対応づけることがあった。
【0007】
なお、自動改札機は、改札通路に沿って利用者を検知するセンサを複数配置しており、改札通路を通行している利用者が接触していなければ、利用者を区別して検知することができる。
【0008】
この発明の目的は、複数人の利用者が通路を通行している場合であっても、撮像画像から検知した顔から推定した属性を、各利用者に精度よく対応づけることができるゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のゲート装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
位置検知部が、通路内における利用者の位置を検知する。位置検知部は、例えば通路に沿って配置した複数のセンサにより、通路内における利用者の位置を検知する。また、画像処理部が、通路の入口側を撮像している撮像部の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知したときに、その利用者の属性を推定するとともに、当該利用者の通路内における位置を検知する。画像処理部は、利用者の年齢、性別等を属性として推定する。また、利用者の位置については、撮像画像上の顔の大きさから、撮像部からの距離を推定する構成であってもよいが、撮像エリアを同時に異なる方向から撮像した複数の撮像画像が得られるステレオカメラを利用し、距離画像を生成して検知する構成としたほうが精度がよく、好ましい。対応付部が、以下に示す第1の情報と、第2の情報とを用いて利用者に属性を対応付ける。
【0011】
第1の情報は、通路内における利用者の位置と、検知時刻と、を対応づけた情報である。第2の情報は、画像処理部が処理した撮像画像の撮像時刻、この撮像画像から推定した利用者の属性、および通路内における当該利用者の位置、を対応づけた情報である。
【0012】
対応付部は、具体的には、第1の情報、および第2の情報の時刻と位置とにより、利用者と、その利用者の属性とを対応づける。したがって、複数人の利用者が通路を通行している場合であっても、撮像画像から検知した顔から推定した属性を、各利用者に精度よく対応づけることができる。例えば、通路を通行している2人の利用者が接近し、一方の利用者の顔が撮像されず、他方の利用者の顔が撮像された場合であっても、この顔から推定した属性の利用者への対応付が精度よく行える。
【0013】
通行制御部が、対応付部が利用者に対応づけた属性を用いて、その利用者に対する通路の通行制御を行う。
【0014】
これにより、利用者に対する、通路の通行制御が適正に行える。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、複数人の利用者が通路を通行している場合であっても、撮像画像から検知した顔から推定した属性を、各利用者に精度よく対応づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】自動改札機の外観を示す概略図である。
【図3】自動改札機の通路側の平面図である。
【図4】自動改札機における属性推定処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の位置テーブルを示す図である。
【図6】自動改札機における改札処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の位置テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態である自動改札機について説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施形態である自動改札機の主要部の構成を示すブロック図である。また、図2は、この発明の実施形態である自動改札機の外観を示す概略図である。図3は、この自動改札機の通路側の平面図である。この自動改札機1は、駅の改札口に設置され、適正な乗車券(キップ、定期券、プリペイドカード等)を所持していない利用者が改札通路を通行して、駅構内に入場したり、駅構内から出場したりするのを制限する。この自動改札機1は、制御部2と、乗車券処理部3と、利用者検知部4と、表示部5と、扉開閉部6と、報知部7と、画像処理部8と、撮像部9と、通信部10と、を備えている。図2は、2台の自動改札機1を対向して配置することにより、これらの自動改札機1の間に形成された改札通路における利用者の通行方向を双方向にしている。
【0019】
制御部2は、自動改札機1本体各部の動作を制御する。また、制御部2は、この発明で言う第1の位置テーブルを作成する第1の位置テーブル作成部、および第2の位置テーブルを作成する第2の位置テーブル作成部に相当する機能を有している。また、制御部2は、第1の位置テーブル、および第2の位置テーブルを記憶するメモリ(記憶部)を有している。
【0020】
乗車券処理部3は、改札通路を通行する利用者が所持している乗車券を受け付け、受け付けた乗車券に記録されている乗車券情報の読み取りや、書き込みを行う。この乗車券処理部3は、非接触ICカードとの間で無線通信を行う無線通信部等を有している。改札通路の入口側には、非接触ICカードとの無線通信を行うためのアンテナ3aが設けられている。非接触ICカードは、無線通信機能を有し、乗車券情報を内蔵メモリに記録している乗車券である。乗車券処理部3は、非接触ICカードとの無線通信により、その非接触ICカードに記録されている乗車券情報の読み取りや、当該非接触ICカードに対する乗車券情報の書き込みを行う。
【0021】
乗車券が、この発明で言う媒体に相当し、乗車券情報が、この発明で言う媒体情報に相当する。
【0022】
なお、乗車券には、乗車券情報を磁気データで記録している磁気券もある。図2では、この磁気券を処理する構成を備えていない自動改札機1を例示しているが、乗車券処理部3が磁気券を処理する機能を有する構成であってもよい。この磁気券を処理する機能は、公知のように、入口側に設けた投入口と、出口側に設けた放出口との間で、磁気券を搬送する搬送路を形成し、この搬送路を搬送されている磁気券に記録されている磁気データの読み取りや、磁気データの書き込みを行う構成である。
【0023】
利用者検知部4は、適当な間隔で改札通路に沿って設けた複数のセンサにより、改札通路における利用者の位置を検知する。すなわち、利用者検知部4は、利用者が改札通路に進入してから、退出するまでの間、改札通路における利用者の位置を追跡することができる。具体的には、センサは、透過型の光センサであり、発光素子4aと受光素子4bとが通路を挟んで対向するように配置している。改札改札機1は、通路に沿って、発光素子4aと受光素子4bとを交互に配置している。利用者検知部4が、この発明で言う位置検知部に相当する。
【0024】
また、複数のセンサは、反射型の光センサで構成してもよい。
【0025】
表示部5は、改札通路の中央付近に設けた表示器5aに、改札通路を通行している利用者に対する案内メッセージ等を表示する。また、扉開閉部6は、改札通路の出口側に設けた扉6aを開閉することにより、改札通路における利用者の通行を制限する。
【0026】
なお、自動改札機1は、改札通路の入口側にも扉6aを有している。この入口側の扉6aは、出口側から通路に進入した利用者の通行を制限するために、扉開閉部6が開閉する。
【0027】
報知部7は、改札通路に進入した利用者が適正な乗車券を所持していなければ、警告音等による報知を行う。
【0028】
また、画像処理部8は、撮像部9で撮像された利用者の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の年齢や性別等の属性を推定する。撮像部9は、改札通路の略中央部に取り付けたステレオカメラ9aを有する。ステレオカメラ9aは、視野を改札通路の入口側にして取り付けており、アンテナ3aよりも少し改札機入口側に撮像領域を合わせている。このステレオカメラ9aは、視差のある2つの撮像画像を得るために、2つの撮像ユニットを改札通路に沿って並べている。ステレオカメラ9aは、一定時間(例えば100〜200ms)間隔で、改札通路入口側を同時に撮像し、その撮像画像を画像処理部8に出力する。
【0029】
画像処理部8は、ステレオカメラ9aの一方の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知し、顔部品(目、鼻、口、眉、顎、額等)の特徴量を抽出する。そして、ここで抽出した特徴量に基づいて利用者の年齢や性別等の属性を推定する。画像処理部8は、抽出した特徴量から、年齢を推定するのに用いるパラメータ等を図示していないメモリに記憶している。年齢を推定するのに用いるパラメータとは、例えば、年齢による顔部品の特徴量に対する統計データである。
【0030】
また、画像処理部8は、ステレオカメラ9aの両方の撮像画像を処理し、距離画像を生成する。画像処理部8は、この距離画像により、改札通路における属性を推定した利用者の位置を検知する。具体的には、ステレオカメラ9aの設置位置を基準にして定めたカメラ位置と、属性を推定した利用者と、の改札通路に沿う方向の距離を利用者の位置として検知する。
【0031】
なお、画像処理部8の構成をステレオカメラ9aではなく、単眼のカメラとした構成であれば、撮像画像上における顔の大きさと、推定した属性とを用いて、カメラから属性を推定した利用者までの距離を推定し、改札通路における利用者の位置を検知すればよい。
【0032】
通信部10は、対向配置されている自動改札機1や、駅務室に設置されている駅サーバ(不図示)等の上位装置との間における通信を行う。
【0033】
この自動改札機1は、利用者を、幼児(6歳未満)、小児(6歳以上12歳未満)、大人(12歳以上)のいずれかの属性に区分し、区分した属性に応じて改札通路の通行可否を判定する。具体的には、幼児については、乗車券を所持していなくても改札通路の通行を許可する。また、小児と大人については、適正な乗車券を所持していれば改札通路の通行を許可するが、乗車券を所持していなかったり、所持している乗車券が適正でなかったりした場合に、改札通路の通行を許可しない。乗車券には、小児用の乗車券と、大人用の乗車券とがある。
【0034】
以下、この実施形態の自動改札機の動作について説明する。
【0035】
自動改札機1は、以下に示す属性推定処理と、改札処理を並行して行う。
【0036】
属性推定処理は、制御部2が、画像処理部8の処理結果に基づき、この発明で言う第2の位置テーブルを作成する処理である。具体的には、画像処理部8が、一定時間(例えば100〜200ms)毎に、撮像部9が撮像した撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知すると、属性(年齢や性別)を推定するとともに、属性を推定した利用者の位置を検知する。また、制御部2が、画像処理部8の処理結果に基づき、第2の位置テーブルを作成する。
【0037】
改札処理は、改札通路に進入した利用者毎に行う処理であり、改札通路における利用者の通行を制御する処理である。この改札処理では、属性推定処理により得られた利用者の属性を用いて、改札通路における利用者の通行可否を判定する。
【0038】
図4は、この自動改札機における属性推定処理を示すフローチャートである。画像処理部8は、撮像部9が撮像した撮像画像が入力されると(s1)、ステレオカメラ9aの一方の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知する(s2)。画像処理部8は、s2で利用者の顔が検知できると(s3)、検知した顔毎に、年齢や性別等の属性を推定する(s4)。
【0039】
なお、画像処理部8は、s2で利用者の顔が検知できなければ、s1に戻る。
【0040】
画像処理部8は、ステレオカメラ9aの両方の撮像画像を処理し、距離画像を生成する(s5)。画像処理部8は、この距離画像により、今回属性を推定した利用者毎に、改札通路における位置を検知する(s6)。s6では、ステレオカメラ9aの設置位置を基準にして定めたカメラ位置と、属性を推定した利用者と、の改札通路に沿う方向の距離を利用者の位置として検知する。制御部2は、画像処理部8の処理結果に基づき、図5に示す第2の位置テーブルを作成し(s7)、s1に戻る。この第2の位置テーブルが、この発明で言う第2の情報に相当する。
【0041】
図5は、s7で作成される第2の位置テーブルの一例を示す図である。図5は、s4で、2人の利用者について属性が推定された場合を示している。この第2の位置テーブルにおける、IDは利用者に割り当てたユニークな番号である。検知時刻は、ステレオカメラ9aでの撮像時刻である。検知位置は、ステレオカメラ9aの設置位置を基準にして定めたカメラ位置と、属性を推定した利用者と、の改札通路に沿う方向の距離である。属性は、s4で推定した利用者の属性である。
【0042】
作成した第2の位置テーブルは、蓄積的に記憶する構成としてもよいが、後述する改札処理で使用した後、削除する構成としてもよい。また、s7で作成される第2の位置テーブルは、s3で検知できた顔の個数と、テーブル登録者の人数が一致する。
【0043】
図6は、改札処理を示すフローチャートである。この改札処理は、上述したように、1人の利用者に対して行われる処理である。
【0044】
自動改札機1は、改札通路への利用者の進入を検知するのを待っている(s11)。自動改札機1は、改札通路への利用者の進入を検知すると、改札通路における、この利用者の通行(移動)を追跡する追跡処理を開始する(s12)。s12にかかる追跡処理は、利用者検知部4が利用者の位置を検知している発光素子4a、および受光素子4bのセンサ状態が変化する毎に、改札通路における利用者の位置を検知する処理である。利用者の位置は、この利用者を検知している両端(前端、および後端)のセンサを判定する処理である。改札通路に沿って並べている複数のセンサ4aは、S1〜Snの識別番号を付与している。
【0045】
制御部2は、この利用者に対する第1の位置テーブルを作成、更新する(s13)。この第1の位置テーブルが、この発明で言う第1の情報に相当する。s13では、この利用者に対して、第1の位置テーブルが作成されていなければ、今回利用者検知部4で改札通路における利用者の位置を検知した時刻と、改札通路における利用者の位置(前端、および後端のセンサ4aのセンサ番号)と、を対応づけたレコードを登録した第1の位置テーブルを作成する。また、すでに、この利用者に対して、第1の位置テーブルが作成されていれば、今回利用者検知部4で改札通路における利用者の位置を検知した時刻と、改札通路における利用者の位置(前端、および後端のセンサ4aのセンサ番号)と、を対応づけたレコードを第1の位置テーブルに追加登録する。
【0046】
図7は、この第1の位置テーブルを示す図である。この、第1の位置テーブルは、改札通路に進入した利用者毎に作成され、この利用者が改札通路から退出するまで、上述した処理で更新される。図7は、IDが100Aである利用者の第1の位置テーブルを示している。また、図7は、利用者検知部4が、この利用者に対して改札通路の位置を2回検出したときの例(レコードが2つ登録されている例)である。第1の位置テーブルに登録されているレコードは、検知時刻と、利用者を検知した前端、および後端のセンサ4aのセンサ番号である。
【0047】
制御部2は、第1の位置テーブルと、第2の位置テーブルと、を突き合わせ、利用者の位置とその検知時刻に基づき、本処理で追跡している利用者に属性を対応づける(s14)。s14では、第1の位置テーブルにおいて、検知時刻が第2の位置テーブルの撮像時刻にほぼ一致するレコードを検索する。そして、第2の位置テーブルに登録されている検知位置が、該当するレコードにおける、利用者を検知した前端、および後端のセンサ4a間に位置しているかどうかを判定する。制御部2は、各センサ4aの検知位置と、ステレオカメラ9aの設置位置を基準にして定めたカメラ位置から改札通路に沿う方向の距離と、を対応づけるパラメータを記憶している。第2の位置テーブルに登録されている検知位置が、該当するレコードにおける、利用者を検知した前端、および後端のセンサ4a間に位置していると判定した場合、この利用者に属性を対応づける。言い換えれば、第2の位置テーブルに登録されている検知位置が、該当するレコードにおける、利用者を検知した前端、および後端のセンサ4a間に位置していないと判定した場合、この利用者に属性を対応づけない。
【0048】
自動改札機1は、利用者が無札検知位置に達したかどうかを判定する(s15)。この無札検知位置は、改札通路の入口に設けたアンテナ3aよりも、少し通路内に入った位置である。自動改札機1は、s15で利用者が無札検知位置に達していないと判定すると、その利用者が改札通路から退出したかどうかを判定する(s16)。自動改札機1は、s16で、利用者が改札通路から退出していないと判定すると、s12に戻り、上述した処理を繰り返す。これにより、ほぼ確実に、利用者が無札検知位置に達するまえに、この利用者に属性を対応づけることができる。また、上述したs14にかかる処理で、改札通路を通行している2人の利用者が接近し、一方の利用者の顔が撮像されず、他方の利用者の顔が撮像された場合であっても、この顔から推定した属性の利用者への対応付が精度よく行える。
【0049】
自動改札機1は、利用者が無札検知位置に達すると、乗車券処理部3において乗車券を受け付けたかどうかを判定する(s17)。s17では、s11で利用者の進入を検知する直前、または直後に、乗車券処理部3において受け付けた乗車券を、この利用者が提示した乗車券と判定し、読み取った乗車券情報を利用者に対応づけている。すなわち、s17では、利用者に乗車券情報が対応づけられているかどうかを判定している。
【0050】
自動改札機1は、乗車券を受け付けた利用者であれば、その乗車券から読み取った乗車券情報と、この利用者に対応づけられている属性と、を用いて、改札通路における通行可否を判定する(s18)。自動改札機1は、この利用者に対して、通行可と判定すると、扉開閉部6により、改札通路の出口側に位置する扉6aを開し(s19)、この利用者が改札通路から退出するまで、上述したs13と同様の第1の位置テーブルの更新を行う(s20、s21)。
【0051】
また、自動改札機1は、乗車券を受け付けていない利用者であれば、対応づけられている属性(年齢)が6歳未満(乗車券を必要としない幼児)であるかどうかを判定する(s22)。自動改札機1は、s22で6歳未満の幼児であると判定すると、上述したs19以降の処理を実行する。
【0052】
自動改札機1は、s18で通行不可と判定した利用者、または、s22で6歳未満の幼児でないと判定した利用者であれば、表示部5が表示器5aに通行不可を示す警告メッセージを表示するととともに、報知部7が警告音による報知を行う(s23)。また、自動改札機1は、s18で通行不可と判定した利用者、または、s22で6歳未満の幼児でないと判定した利用者に対応づけられている年齢が60歳以上(高齢者)であるかどうかを判定する(s24)。自動改札機1は、s24で高齢者であると判定すると、上述したs19以降の処理を実行する。すなわち、通行不可とした利用者が高齢者であれば、扉6aを閉めない。これにより、高齢者が扉6aに衝突するのを防止している。
【0053】
また、自動改札機1は、s24で高齢者でないと判定すると、扉開閉部6により、改札通路の出口側に位置する扉6aを閉し(s25)、上述したs20、s21にかかる処理を行う。
【0054】
このように、この自動改札機1は、利用者検知部4が検知している利用者の位置に基づいて作成、更新した第1の位置テーブルと、画像処理部8の処理結果に基づいて作成した第2の位置テーブルと、を突き合わせ、同じ時刻に同じ位置で検知された利用者に属性を対応づける。したがって、複数人の利用者が通路を通行している場合であっても、撮像画像から検知した顔から推定した属性を、各利用者に精度よく対応づけることができる。
【0055】
また、上記説明では、本願発明を駅の改札口に設置される自動改札機1に適用した場合を例にしたが、本願発明は、遊園地やテーマパーク等の施設の出入口に設置されるゲート装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0056】
1…自動改札機
2…制御部
3…乗車券処理部
4…利用者検知部
4a…センサ
5…表示部
6…扉開閉部
6a…扉
7…報知部
8…画像処理部
9…撮像部
9a…ステレオカメラ
10…通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路内における利用者の位置を検知する位置検知部と、
前記通路の入口側を撮像している撮像部の撮像画像を処理し、撮像されている利用者の顔を検知したときに、その利用者の属性を推定するとともに、前記通路内における当該利用者の位置を検知する画像処理部と、
前記位置検知部が検知した前記通路内における利用者の位置と、その検知時刻と、を対応づけた第1の情報と、前記画像処理部が処理した撮像画像の撮像時刻、この撮像画像から推定した利用者の属性、および前記通路内における当該利用者の位置、を対応づけた第2の情報と、を用いて利用者に属性を対応付ける対応付部と、
前記対応付部が利用者に対応づけた属性を用いて、その利用者に対する当該通路の通行制御を行う通行制御部と、を備えたゲート装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記撮像部が前記撮像エリアを同時に異なる方向から撮像した複数の撮像画像を用いて、属性を推定した利用者の位置を検知する、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
通路の入口側で、利用者が提示した媒体を受け付け、当該媒体に記録されている媒体情報を読み取る媒体情報読取部を備え、
前記対応付部は、前記媒体情報読取部が媒体を受け付けた時刻に基づいて、前記通路を通行している利用者に媒体情報を対応づけ、
前記通行制御部は、前記対応付部が利用者に対応づけた属性、および媒体情報を用いて、その利用者に対する当該通路の通行制御を行う、請求項1、または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記通行制御部は、前記通路の出口側に設けた扉の開閉を指示する、請求項1〜3のいずれかに記載のゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−194652(P2012−194652A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56633(P2011−56633)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】