説明

ゲート装置

【課題】非提示媒体及び提示媒体が使用でき、通行者と媒体を正しく関連付けることができるゲート装置を提供する。
【解決手段】自動改札機1は、改札通路12の入口側から奥側に順に、磁気券投入口3A、アンテナ4A、第1通過検出センサ9A、人体通信媒体15との人体通信用の人体通信パッド5A、及び第2通過検出センサ9Bを備える。制御部10は、磁気券投入口3Aから投入された磁気券、またはアンテナ4Aで通信したICカードから媒体情報を取得すると、人体通信パッド5Aを一時的に停止状態にして、通行者と、この通行者が所持する磁気券またはICカードとを関連付ける。磁気券またはICカードから媒体情報を取得していない状態で、第1通過検出センサ9Aが通行者を検出すると、磁気券またはICカードからの媒体情報取得を停止し、人体通信媒体と通信して媒体情報を取得し、通行者と、この通行者が所持する人体通信媒体とを関連付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通行者の通行を制御するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気券や非接触ICカード(RFIDタグ)を通行券として使用して、この通行券の有無により通路の通行を制御するゲート装置が普及している。このようなゲート装置には、例えば、駅の改札に設置された自動改札機や、会社などの出入り口に設置されたセキュリティゲートがある。通行者は、ゲート装置が設置された通路を通行するときに、ゲート装置の入口側に設置された投入口に磁気券を投入したり、ゲート装置の入口側に設置されたアンテナに非接触ICカードをかざしたりするなど、ゲート装置に通行券を能動的に提示して読み取らせる動作が必要である。以下、磁気券や非接触ICカードのようにゲート装置に対して提示が必要な通行券を、提示媒体とも称する。
【0003】
近時、通行者が通行券を能動的に提示する動作が不要なゲート装置が提案されている(特許文献1参照)。このゲート装置では、通路に電極を設置し、通行券である人体通信媒体(ユーザデバイス)を所持する通行者の人体を、人体通信媒体と電極との間を接続するキャパシタの誘電体として機能させる。つまり、ゲート装置は、通行者の人体を介して、電極と人体通信媒体との間で人体通信を行う。通行者は、ゲート装置が設置された通路を通行するときに電極を通過するので、人体通信媒体を所持しているだけで能動的に提示しなくても、ゲート装置に通行券の情報を読み取らせることができる。以下、人体通信媒体のようにゲート装置に対して提示が不要な通行券を、非提示媒体とも称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−172103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非提示媒体と提示媒体の両方を使用できるゲート装置は従来なかったが、今後開発されることが考えられる。このようなゲート装置が開発されると、通行者が非提示媒体と提示媒体の両方を所持することが有り得る。通行者が非提示媒体と提示媒体の両方を所持している場合、各媒体の読取位置や読取タイミングの設定が悪いと、ゲート装置は、非提示媒体と提示媒体の両方とも読み取ってしまう。このとき、ゲート装置は、提示媒体を所持者のものとして認識し、非提示媒体を別の通行者のものと認識してしまうと、通行者と媒体を正しく関連付けることができなくなる。
【0006】
また、通行者が非提示媒体と提示媒体の一方のみを所持していても、各媒体の読取位置や読取タイミングの設定が悪いと、後に通行する通行者の媒体を、先に通路を通過する通行者の媒体よりも先に読み取ってしまう。このとき、ゲート装置は、後に通路を通行する通行者の媒体を、先に通路を通行する通行者のものとして認識してしまうと、通行者と媒体を正しく関連付けることができなくなる。
【0007】
このように、通行者と媒体とを正しく関連付けできないと、媒体を所持する通行者が通路を通行できなかったり、媒体を所持していない通行者が通路を通行できたりするといった問題が発生する。
【0008】
そこで、この発明は、非提示媒体及び提示媒体が使用でき、通行者と、その通行者が通路を通行する際に使用する提示媒体または非提示媒体と、を正しく関連付けることができるゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のゲート装置は、上記目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
ゲート装置は、媒体情報取得部により、通路の入口側で、通行者から提示された提示媒体から媒体情報を取得する。提示媒体とは、例えば、磁気券や非接触ICカードのように、通行者がゲート装置に対して能動的に提示して記録情報を読み取らせる記録媒体である。人体通信アンテナが、媒体情報取得部よりも通路の奥側に設置され、通行者の人体を介して、この通行者が所持する非提示媒体と通信して媒体情報を取得する。非提示媒体とは、例えば、人体通信媒体のように、通行者がゲート装置に対して能動的に提示しなくても、所持しているだけで記録情報を読み取らせることができる記録媒体である。媒体情報取得部が提示媒体から媒体情報を取得すると、人体通信アンテナによる通信を一時的に停止状態にする
この構成では、提示媒体を能動的に提示した通行者が、さらに非提示媒体も所持していたとしても、この非提示媒体がゲート装置と通信するのを防止できる。したがって、通行者と、その通行者が通路を通行する際に提示した提示媒体と、を正しく関連付けることができる。
【0011】
また、この発明のゲート装置は、第1通過検出部により、媒体情報取得部と人体通信アンテナの間に位置する第1通過検出位置で通行者を検出する。制御部は、第1通過検出位置で通行者を検出したときに、提示媒体から媒体情報を取得していなければ、媒体情報取得部を一時的に停止状態にする。
【0012】
この構成では、人体通信アンテナが非提示媒体と通信する前に、別の通行者の提示媒体の媒体情報を媒体情報取得部で取得してしまうことがない。したがって、通行者と、その通行者が通路の通行に使用する非提示媒体と、を正しく関連付けることができる。
【0013】
また、この発明のゲート装置は、媒体情報取得部が提示媒体から取得した媒体情報が不適正であれば、人体通信アンテナを一時的に停止させずに動作状態を継続する。
【0014】
この構成では、通行者が提示媒体と非提示媒体を所持しており、提示媒体の媒体情報が不適正であっても、非提示媒体の媒体情報が適正であれば、通行者を通行させることに問題はないので、人体通信アンテナにより提示媒体から媒体情報を取得する。したがって、提示媒体の媒体情報が不適正であっても、通行者が非提示媒体を所持している場合には、この通行者と、この通行者が所持する非提示媒体と、を正しく関連付けることが可能となる。
【0015】
また、この発明のゲート装置は、媒体情報取得部が取得した提示媒体の媒体情報が適正であるかどうかを判定し、媒体情報が不適正であり、かつ媒体情報に含まれる前回の利用情報が不適正でなければ、人体通信アンテナによる通信を一時的に停止する。
【0016】
通行者が提示した提示媒体の媒体情報が不適正で、かつ前回の利用情報が不適正でなければ、乗車区間や利用可能な期間が不適正であったり、運賃が不足していたりする可能性がある。この構成では、上記のような場合には、人体通信媒体との通信を停止するので、この通行者が非提示媒体により通行者を通行させてしまうことがなく、提示媒体の媒体情報が適正になるように通行者に対処させることができる。
【0017】
また、この発明のゲート装置では、第2通過検出位置で通行者を検出したときに、人体通信アンテナによる通信が停止状態か、または媒体情報取得部が停止状態であれば、動作状態に復帰させる。したがって、次の通行者の媒体から直ちに媒体情報を取得することができ、次の通行者が通路を通行する際に使用する提示媒体または非提示媒体と、その通行者と、を正しく関連付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、非提示媒体及び提示媒体が使用でき、通行者が通路を通行する際に使用する提示媒体または非提示媒体と、その通行者と、を正しく関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(A)は、本実施形態に係る自動改札機を改札通路の入口側から見た正面図である。図1(B)は、本実施形態に係る自動改札機の側面図である。
【図2】人体通信パッドと人体通信媒体との信号の伝搬経路を示す図である。
【図3】自動改札機の制御系を示すブロック図である。
【図4】自動改札機の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明のゲート装置の一実施形態である自動改札機について説明する。
【0021】
図1(A)は、本実施形態に係る自動改札機を改札通路の入口側から見た正面図である。図1(B)は、本実施形態に係る自動改札機の側面図である。図2は、人体通信パッドと人体通信媒体との信号の伝搬経路を示す図である。なお、図2には、人体通信媒体と人体通信パッドの間の信号の伝搬経路のみを表示している。
【0022】
図1(A)に示すように、自動改札機1は、対になる自動改札機11と改札通路12を挟んで対向して設置されている。図1(B)においては、自動改札機1の右側が改札通路の入口、自動改札機1の左側が改札通路の出口である。自動改札機1は、磁気券、非接触ICカード(RFIDタグ)、及び人体通信媒体の3種類の乗車券(検札対象媒体)を使用できるものとする。
【0023】
磁気券は、乗車券情報が磁気データで記録されている乗車券である。非接触ICカードは、近距離無線通信用のアンテナを介して通信する機能を有し、乗車券情報が内蔵メモリに記録されている乗車券である。人体通信媒体は、人体通信パッドを通過する人体を介して人体通信する機能を有し、乗車券情報が内蔵メモリに記録されている乗車券である。人体通信パッドは、本発明の人体通信アンテナに相当する。
【0024】
以下の説明では、磁気券や非接触ICカードのようにゲート装置に対して提示が必要な通行券を、提示媒体と称する場合がある。また、人体通信媒体のようにゲート装置に対して提示が不要な通行券を、非提示媒体と称する場合がある。
【0025】
自動改札機1は、筐体1Aの上面に、磁気券投入口3A、非接触ICカードとの通信用のアンテナ4A、液晶モニタ8A、及び磁気券排出口3Bを備えている。また、筐体1Aの改札通路12側の側面に、スピーカ2A、複数の光電センサ9、及び扉7Aを備えている。また、改札通路12の路面には、人体通信パッド5Aが設置されている。
【0026】
人体通信パッド5Aは、改札通路12の中央部の路面に設けられている。人体通信パッド5Aは、人体通信媒体15と通信するための電極(人体通信アンテナに相当)を内蔵している。図2に示すように、人体通信媒体15を所持する通行者Pが人体通信パッド5Aの上を通過すると、人体通信パッド5Aと人体通信媒体15との間に、通行者Pの人体を介して信号の伝搬経路ができる。これにより、自動改札機1は、人体通信パッド5Aにより、通行者Pの人体を介して人体通信媒体15と通信する。
【0027】
磁気券投入口3Aは、改札通路12の入口側に設けられている。磁気券投入口3Aには、通行者が所持する磁気券が投入される。磁気券は、筐体1Aの内部に設けられた磁気券搬送路を介して磁気券排出口3Bに搬送される。
【0028】
磁気券排出口3Bは、改札通路12の出口側に設けられている。磁気券排出口3Bは、磁気券を排出して、改札通路12を通過する通行者に磁気改札券を返却する。
【0029】
アンテナ4Aは、改札通路12の入口側に設けられている。アンテナ4Aは、通行者によりかざされた非接触ICカードと短距離の通信を行う。
【0030】
扉7Aは、改札通路12の出口に設けられている。扉7Aは、後述の扉駆動処理部7により開状態または閉状態に切り替えられる。
【0031】
複数の光電センサ9は、改札通路12に沿って一定間隔で配列されている。各光電センサ9は、対となる自動改札機の一方に発光部を設け、他方に受光部を設けた透過型の構成であり、赤外光を改札通路12に照射して通行者の人体に遮蔽されるか否かを検出する。自動改札機1では後述の制御部10が、複数の光電センサ9の出力がオフになる領域に、改札通路12に進入した通行者が位置すると推定し、通行者の位置を追跡する。そして、通行者に対して、追跡した位置に応じた適切な制御タイミングで、その位置に応じた処理を行う。
【0032】
複数の光電センサ9のうち、改札通路12において、磁気券投入口3A及びアンテナ4Aと、人体通信パッド5Aと、の間に位置する第1通過検出位置に設けられた光電センサ9を、特に第1通過検出センサ9Aと称する。第1通過検出センサ9Aは、第1通過検出部に相当し、第1通過検出位置の通行者、すなわち、磁気券投入口3A及びアンテナ4Aを通過して、人体通信パッド5Aに到達する前の通行者を検出する。
【0033】
複数の光電センサ9のうち、人体通信パッド5Aよりも改札通路12の奥側で、扉7Aよりも改札通路12の入口側に位置する第2通過検出位置に設けられた光電センサ9を、特に第2通過検出センサ9Bと称する。第2通過検出センサ9Bは、第2通過検出部に相当し、第2通過検出位置の通行者、すなわち、人体通信パッド5Aを通過して、扉7Aに到達する前の通行者を検出する。
【0034】
スピーカ2Aは、改札通路12の入口側に設けられている。自動改札機1は、各種の案内音や警告音をスピーカ2Aから利用者に報知する。
【0035】
液晶モニタ8Aは、改札通路12の出口側(磁気券排出口3Bより改札通路12の入口側)に設けられている。自動改札機1は、液晶モニタ8Aに案内表示や警告表示を表示して、利用者に対して案内や警告を報知する。
【0036】
図3は、自動改札機の制御系を示すブロック図である。自動改札機1は、制御部10、放音処理部2、磁気券処理部3、RFID通信部4、人体通信部5、扉駆動処理部7、表示処理部8、及び上述の光電センサ9(9A,9B)を備えている。
【0037】
制御部10は、自動改札機1における各部の動作を制御する。
【0038】
放音処理部2は、制御部10が出力する制御信号に基づいて不図示のメモリから音声信号を読み出して再生し、スピーカ2Aから通行者に対して各種音声情報を報知する。例えば、放音処理部2は、扉7Aを閉じて通行を禁止した際に音声で報知する。
【0039】
磁気券処理部3は、媒体情報取得部に相当し、磁気券を磁気券投入口3Aから磁気券排出口3Bへ搬送したり、磁気券からの媒体情報の取得や磁気券に対する今回の利用情報の記録などを行ったりする。
【0040】
RFID通信部4は、媒体情報取得部に相当し、アンテナ4Aを介して非接触ICカードの内蔵メモリから媒体情報を取得したり、非接触ICカードの内蔵メモリに対して今回の利用情報を記録したりする。
【0041】
人体通信部5は、一例として電界方式で人体通信を行う。人体通信部5は、人体通信パッド5Aから人体通信媒体15へ、人体通信パッド5Aを通過する通行者Pの人体表面の電界に変動を与えて信号を送信する。また、人体通信部5は、人体通信媒体15による電界の変動を信号として検出する。これにより、人体通信部5は、人体通信媒体15の内蔵メモリから媒体情報を取得したり、人体通信媒体15のメモリに対して今回の利用情報を記録したりする。人体通信部5は、特許文献1に記載されたような周知の構成により人体通信を行うように構成するとよい。
【0042】
扉駆動処理部7は、制御部10が出力する制御信号に基づいて、改札通路12における通行者の通行を制限するときには扉7Aを閉状態にし、改札通路12における通行者の通行を許可するときには、扉7Aを開状態にする。
【0043】
表示処理部8は、制御部10が出力する制御信号に基づいてメモリから画像信号を読み出して、液晶モニタ8Aに各種画像情報を表示させて、通行者に情報を報知する。
【0044】
次に、自動改札機1の動作について説明する。図4は、自動改札機の処理を説明するためのフローチャートである。
【0045】
自動改札機1の制御部10は、磁気券が磁気券投入口3Aに磁気券が投入されるか、または、アンテナ4Aに非接触ICカード(以下、単にICカードと称する。)がかざされるのを待ち受けている。制御部10は、磁気券が磁気券投入口3Aに磁気券が投入されるか、または、アンテナ4Aに非接触ICカード(以下、単にICカードと称する。)がかざされて、磁気券処理部3またはRFID通信部4が提示媒体に記録されている乗車券情報を取得すると(S1:Y)、この乗車券情報が適正かどうかを確認する(S2)。制御部10は、通行者の入場改札処理を行う場合には、提示媒体に前回の利用情報として出場記録が記録されているか、乗車区間や利用可能な期間が正しいかなどの判定を行う。制御部10は、通行者の出場改札処理を行う場合には、提示媒体に前回の利用情報として入場情報が記録されているか、乗車区間や利用可能な期間が正しいか、運賃不足は無いかなどの判定を行う。
【0046】
制御部10は、提示媒体に記録されている乗車券情報が適正と判定すれば(S2:Y)、人体通信部5を一時的に停止状態にする(S3)。これにより、この通行者が磁気券またはICカードの他に、人体通信媒体を所持していたとしても、誤って人体通信媒体についても処理を行うのを防止でき、通行者と、通行者が所持する提示媒体と、を関連付けることができる。
【0047】
制御部10は、続いて、提示媒体に対して今回の利用情報などを記録する(S4)。制御部10は、通行者の入場処理を行う場合には、提示媒体に今回の利用情報として入場情報を記録させる。制御部10は、通行者の出場処理を行う場合には、提示媒体に今回の利用情報である出場情報の記録や、運賃の精算処理などを行う。
【0048】
制御部10は、ステップS4の処理が終了すると、この通行者の通行を許可し、扉駆動処理部7に出口側に設置された扉7Aを開にさせる(S5)。
【0049】
制御部10は、第2通過検出センサ9Bで第2通過検出位置まで進んだ通行者を検出すると(S6:Y)、ステップS3において一時的に停止状態にした人体通信部5を動作状態に復帰させる(S7)。これにより、次に通路を通行する通行者の人体通信媒体から速やかに媒体情報を取得することができる。
【0050】
そして、制御部10は、ステップS1以降の処理を再度行う。
【0051】
一方、制御部10は、ステップS2において、提示媒体に記録されている情報が不適正であると判定した場合(S2:N)、提示媒体に前回の利用情報が不適正でなければ(S8:N)、それ以外の情報が不適正である。例えば、乗車区間や利用可能な期間などの情報が正しくなかったり、運賃不足が発生していたりする。この場合、通行者が人体通信媒体を所持していたとしても、通過させるのは問題である。そのため、人体通信部5を一時的に停止状態にして(S9)、この通行者が磁気券またはICカードの他に、人体通信媒体を所持していた場合に、この通行者が人体通信媒体を使用して通路を通過してしまうのを防止する。
【0052】
続いて、制御部10は、この通行者の通行を禁止し、扉駆動処理部7に扉7Aを閉状態にさせる(S10)。そして、制御部10は、放音処理部2及び表示処理部8に指示して、通行を禁止した理由や対処の方法などを、スピーカ2Aや液晶モニタ8Aから報知させ、改札処理を停止する(S11)。
【0053】
制御部10は、ステップS8において、提示媒体に前回の利用情報が不適正であれば(S8:Y)、入場時であれば、前回の出場時に提示媒体に情報が正しく記録されていなかったことが考えられる。また、出場時であれば、通行者が人体通信媒体を所持しているのに、誤って提示媒体を提示したと考えられる。この場合、通行者が人体通信媒体を所持していれば、人体通信媒体により、入場処理や出場処理を行っても問題は発生しない。そのため、制御部10は、通行者の通行を禁止せずに、人体通信部5を一時的に停止状態にせずに動作状態を継続させ、第1通過検出センサ9Aで通行者の検出を待ち受ける(S12:N)。そして、制御部10は、第1通過検出センサ9Aで通過者を検出すると(S12:Y)、磁気券処理部3及びRFID通信部4を一時的に停止状態にして、提示媒体(磁気券及びICカード)から媒体情報を取得しないようにする(S13)。また、制御部10は、ステップS1において、提示媒体から媒体情報を取得していない状態で(S1:N)、第1通過検出センサ9Aで通過者を検出すると(S12:Y)、ステップS13の処理を行う。これにより、人体通信パッド5Aを通行者Aが通過する前に、次の通行者Bから磁気券やICカードから媒体情報を取得して、通行者Bの乗車券を通行者Aの乗車券と誤認識するのを防止できる。したがって、通行者Aと、この通行者が所持する人体通信端末と、を正しく関連付けることができる。
【0054】
制御部10は、ステップS13の処理に続いて、第2通過検出センサ9Bが通行者を検出するまでの間に、人体通信部5に人体通信媒体(非提示媒体)と通信できるかを確認させる(S14:N、S15:N)。
【0055】
制御部10は、通行者の人体を介して人体通信媒体と通信できた場合には(S14:Y)、人体通信媒体(非提示媒体)に記録されている情報が適正かどうかを確認する(S16)。制御部10は、通行者の入場処理を行う場合には、提示媒体に前回の利用情報として出場記録が記録されているか、乗車区間や利用可能な期間が正しいか、などの判定を行う。制御部10は、通行者の出場処理を行う場合には、提示媒体に前回の利用情報として入場情報が記録されているか、乗車区間や利用可能な期間が正しいか、運賃不足は無いかなどの判定を行う。
【0056】
制御部10は、人体通信媒体に記録されている情報が適正であると判定した場合には(S16:Y)、この通行者の通行を許可し、前述のステップS4以降の処理を行う。
【0057】
一方、制御部10は、ステップS16において、人体通信媒体に記録されている情報が不適正である場合には、この通行者の通行を禁止し、前述のステップS10以降の処理を行う。
【0058】
また、制御部10は、ステップS14において、人体通信媒体と通信できず(S14:N)、第2通過検出センサ9Bが通行者を検出した場合には(S15:Y)、通行者は、人体通信媒体を所持していないと判断する。そして、制御部10は、この通行者の通行を禁止し、前述のステップS10以降の処理を行う。
【0059】
このように、本実施形態の自動改札機1は、上述の処理を実行するので、提示媒体である磁気券及びICカードと、非提示媒体である人体通信媒体と、の両方を使用できる。また、通行者と、この通行者が通路を通行する際に使用する提示媒体または非提示媒体と、を正しく関連付けることができる。
【0060】
なお、上述の説明では、本願発明を駅などでの改札業務に使用する自動改札機を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、人体通信を利用した入退室管理など、本願発明は様々なゲート装置に適用できる。
【0061】
また、自動改札機1は、磁気券、ICカード、及び人体通信媒体の3種類の乗車券を使用できるものとして説明したが、これに限るものではなく、磁気券と人体通信媒体、またはICカードと人体通信媒体の2種類の乗車券を使用できるように構成しても、当然よい。
【0062】
また、人体通信パッド5Aが電極を内蔵し、電界方式により人体を介して人体通信媒体と通信させる例を挙げて説明したが、これに限るものではなく、人体通信パッドに対向している通行者の人体を介して、この通行者が所持する人体通信媒体(非提示媒体)と通信する他の方式でもよい。例えば、電流方式、UHF帯電磁波方式、弾性波方式(超音波方式)、エバネセント通信方式など、他の方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,11−自動改札機 2−放音処理部 2A−スピーカ 3−磁気券処理部 3A−磁気券投入口 3B−磁気券排出口 4−RFID通信部 4A−アンテナ 5−人体通信部 5A−人体通信パッド 7−扉駆動処理部 7A−扉 8−表示処理部 8A−液晶モニタ 9−光電センサ 9A−第1通過検出センサ 9B−第2通過検出センサ 10−制御部 15−人体通信媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路の入口側で、通行者から提示された提示媒体から媒体情報を取得する媒体情報取得部と、
前記通路の前記媒体情報取得部よりも奥側に設置され、通行者の人体を介して、該通行者が所持する非提示媒体と通信して媒体情報を取得する人体通信アンテナと、
前記媒体情報取得部が提示媒体から媒体情報を取得すると、前記人体通信アンテナによる通信を一時的に停止状態にする制御部と、
を備えたゲート装置。
【請求項2】
前記媒体情報取得部と前記人体通信アンテナの間に位置する第1通過検出位置で通行者を検出する第1通過検出部を備え、
前記制御部は、前記第1通過検出部が前記第1通過検出位置で通行者を検出したときに、前記媒体情報取得部が提示媒体から媒体情報を取得していなければ、前記媒体情報取得部を一時的に停止状態にする、請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記媒体情報取得部が提示媒体から取得した媒体情報が適正であるかどうかを判定し、該媒体情報が不適正であれば、前記人体通信アンテナによる通信を一時的に停止状態にせずに動作状態を継続する、請求項1または2に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記媒体情報取得部が提示媒体から取得した媒体情報が適正であるかどうかを判定し、該媒体情報が不適正であり、かつ該媒体情報に含まれる前回の利用情報が不適正でなければ、前記人体通信アンテナによる通信を一時的に停止状態にする、請求項1または2に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記人体通信アンテナよりも前記通路の奥側に位置する第2通過検出位置で通行者を検出する第2通過検出部を備え、
前記制御部は、前記第2通過検出部が前記第2通過検出位置で通行者を検出したときに、前記人体通信アンテナによる通信が停止状態であれば、動作状態に復帰させる、請求項1乃至4のいずれかに記載のゲート装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2通過検出部が前記第2通過検出位置で通行者を検出したときに、前記媒体情報取得部が停止状態であれば、動作状態に復帰させる、請求項5に記載のゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−194719(P2012−194719A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57422(P2011−57422)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】