説明

ゲート装置

【課題】情報表示領域について大きな面積を実現でき、移動体の位置に連動させて情報表示領域を変化させ、移動体に対して視認性を高め、情報伝達可能時間を長くし、移動体ごとに必要な固有の情報を提供できる情報表示装置を備えたゲート装置を提供する。
【解決手段】このゲート装置は、旅客が移動する改札通路11と旅客に対して必要な情報を提供する情報表示装置16とを有し、さらに情報表示装置は、改札通路に沿って設けられ旅客に対して必要な情報を表示する表示画面16Aと、旅客を特定しかつその移動位置を検出する移動検知手段(赤外線センサ14等)と、移動検知手段が検知した旅客に係る移動位置に基づいて、表示画面での旅客に連動する情報表示領域41,42を決定する情報表示領域決定手段32と、情報表示領域決定手段で決定された情報表示領域に必要な情報を表示させる情報表示実行手段33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲート装置に関し、特に、自動改札機等を通行する旅客等の移動位置に連動させて当該旅客等に対する広い表示領域を決定して表示する情報表示装置を備えたゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば駅の改札口に設置された従来の自動改札機では、改札行為を行って改札通路を通行しようとする旅客に対して所要の情報を提示する場合に、改札機本体の上面に設けられた表示装置の画面に情報表示を行っている。表示装置の画面は、改札機本体の筐体幅の制約を受けるため、その表示面積が制限され、小面積の画面となっている。また表示装置の画面は通常的に改札通路の出口側に設置され、改札通路に進入した旅客が通路上の特定位置に到達したことを条件に表示装置の画面に情報表示を行うようにしていた。
【0003】
情報表示装置の従来技術として特許文献1に記載された情報表示装置が知られている。有料道路等の入口ゲートや出口ゲートでは、料金徴収のため、路上通信機と車載通信機との間で電波通信を行って情報送受を行うようにしている。この際に、入口ゲート等の路上側には車両搭乗者へ情報提供するため標識としての情報表示装置を備えている。特許文献1に記載された情報表示装置によれば、走行する車両の当該走行状態(車速)に応じて最適な視認領域で情報を提供する構成を有している。具体的には、表示装置には分類された車速に応じた少なくとも1つの視認領域が設定されており、車速検出装置で車両の車速を検出しかつラインセンサで車両の到着を検出し、検出した車速に応じた視認領域に対して情報を提供するようにしている。これにより、車両の走行速度に関係なく走行する車両の各々に対して最適な視認領域で情報を提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−172094号公報(図1、図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動改札機で旅客に情報を提供するための情報表示装置は、改札機本体の筐体幅の制限を受けるため、表示面積が小さくなって視認性が低いという問題があり、また設置位置の関係上、旅客の移動位置が特定位置になったときに情報表示を行うため、1人の旅客に対する情報伝達可能時間が短くなるという問題があった。このため、従来の自動改札機の情報表示装置によれば、改札通路を通行する旅客の1人1人に対して必要な固有の情報を十分な時間で視認性高く提供することができなかった。
【0006】
上記の例では自動改札機を通過する旅客について説明したが、移動する者に対する情報表示装置に関する上記の問題は、一般的に、ゲート装置に進入し移動路を移動する移動体(例えば駐車場等の移動する自動車等)でも同様に起き得る問題である。
また特許文献1に記載された有料道路の入口ゲート等に設置される情報表示装置によれば、車両の搭乗者は、入口ゲート等で前方かつ上方に設置された表示装置の矩形表示画面において、自車の車速に応じた視認領域に表示された情報を視認することになる。通常的な表示装置の表示画面で、車速に応じて視認領域を変えるという技術的アイデアではあるが、自動改札機の情報表示装置のような表示面積の制約はない。また移動通路を車両が移動するにつれ、移動通路上の移動位置に連動させて移動位置との関係で表示領域を変化させるという技術的発想は存在しない。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、情報表示領域について大きな面積を実現することができ、移動路を移動する移動体の移動位置に応じて当該移動位置に連動させて情報表示領域を変化させ、これにより移動体に対して視認性を高め、情報伝達可能時間を長くし、移動体ごとに対して必要な固有の情報を提供することができる情報表示装置を備えたゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るゲート装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0009】
第1のゲート装置(請求項1に対応)は、移動体が移動する移動通路とこの移動体に対して必要な情報を提供する情報表示装置とを有し、さらに情報表示装置は、移動通路に沿って設けられ移動体に対して必要な情報を表示する表示画面と、移動体を特定しかつその移動位置を検出する移動検知手段と、移動検知手段が検知した移動体に係る移動位置に基づいて、表示画面での移動体に連動する情報表示領域を決定する情報表示領域決定手段と、情報表示領域決定手段で決定された情報表示領域に必要な情報を表示させる情報表示実行手段とを備えるように構成される。
【0010】
上記のゲート装置では、組み込まれた情報表示装置の表示画面が移動通路に沿って相対的に大きな面積を有するように構成され、かつ移動体ごとに表示領域が決定され、移動体の移動位置に応じて連動させて表示領域を変化させ、当該表示領域に移動体に対して固有の情報を表示するようにした。これにより、視認性を高め、情報伝達可能時間を長くし、情報伝達のフレキシビリティーを高めることが可能となる。
【0011】
第2のゲート装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、表示画面は移動通路の通路面に一致させて設けられることを特徴する。通路面そのものを表示画面にすることができるため、大きな面積の表示領域を実現することができる。
【0012】
第3のゲート装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、表示画面は、移動通路の通路面とその入口および出口につながる外側通路面とに一致させて設けられることを特徴とする。この構成によれば、例えば改札通路等の移動通路に入ろうとする人に対して入る前に必要な情報を提供することが可能となる。
【0013】
第4のゲート装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、情報表示領域決定手段によって決定される情報表示領域は、移動体に係る移動位置を基準にして、移動体の前側位置であって先行移動体の後側位置の間に設定される領域であることを特徴とする。この情報表示装置の表示画面によれば、移動する人等に応じて当該人等の前側の位置に常に表示領域を設定することができるために効果的に情報を提供することが可能となる。
【0014】
第5のゲート装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、移動検知手段は移動通路に沿って配置された複数の移動体検知センサであり、複数の移動体検知センサの各々が移動路を移動する移動体の移動位置を順次に検知することを特徴とする。
【0015】
第6のゲート装置(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、表示画面を備えた情報表示装置は移動通路の通路面に配備され、かつ情報表示装置の表示画面に移動検知手段の機能を有する触感パネル構造部が付加され、表示画面は、この表示画面に接触する移動体の接触部の位置を触感パネル構造部により検出して移動位置の情報として出力することを特徴とする。この構成によれば、情報表示装置の表示画面と、移動体の移動位置を検知する移動検知手段を一体的に構成し、かつより正確な移動位置情報を取得することができるため、精度の高い表示領域の決定と斬新な情報提供装置を実現することができる。
【0016】
第7のゲート装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、移動路は改札通路であり、移動体は旅客であり、表示画面は移動通路の床面に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、次の効果を奏する。
ゲート装置に組み込まれた情報表示装置で、その表示画面を移動通路に沿って設けると共に、移動体(旅客等)ごとに表示領域を決定し、移動通路における旅客等の移動位置に連動させて当該表示領域を表示させ、旅客ごとの情報を表示させるようにしたため、情報表示領域について大きな面積を実現することができ、旅客等に対して視認性を高め、情報伝達可能時間を長くし、旅客等ごとに対して必要な固有の情報を提供することができるという効果が発揮される。
またゲート装置として自動改札機を構成し、その改札通路の床面を情報表示装置の表示画面としたたため、自動改札機で大きな表示部を実現することができ、視認性の高い表示部を備えた自動改札機を実現することができる。
また旅客等の移動位置を検出する移動検出手段として触感パネル構造部を利用し、情報表示装置の表示画面の部分に付設し、一体的に構成するようにしたため、旅客等の移動位置の検出精度を高め、より高い精度で表示領域を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るゲート装置の代表的な実施形態である自動改札機を示し、改札通路側から見た一方の改札機本体の正面図である。
【図2】本実施形態に係る自動改札機で、制御装置および情報表示装置の内部構成および周辺部の構成に関するブロック図である。
【図3】情報表示装置の表示動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】表示領域決定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】情報表示装置による情報表示の状態の第1の例を示し、改札通路を1人の旅客が通行するときの表示状態の例を示す説明図である。
【図6】情報表示装置による情報表示の状態の第2の例を示し、改札通路を2人の旅客が通行するときの表示状態の例を示す説明図である。
【図7】本発明に係るゲート装置の他の実施形態である自動改札機を示し、特に情報表示装置の表示画面の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
本発明に係るゲート装置の代表的な実施形態を説明する。この実施形態では駅の改札口に設置された自動改札機の例で説明する。この自動改札機では、代表的な例として改札通路の床面(通路面)に情報表示装置の表示画面を備え、この表示画面において、旅客(または乗降客。移動体の一例)が改札通路を移動するとき当該旅客の移動位置と連動して所要の表示領域を決定し、当該表示領域に当該旅客に必要な情報を表示させるという構成を有している。旅客の位置が変化すると、表示領域の位置および面積も変化する。図1および図2を参照して、自動改札機に備えられた情報表示装置に関する装置の構成を説明する。
【0021】
図1は、自動改札機10について、改札通路11側からみた一方の改札機本体10Aの正面図を示す。図1において、例えば、11Aは通路入口であり、11Bは通路出口である。改札通路11を通行しようとする旅客は矢印D1で示す方向に移動するものとする。
なおこの自動改札機10は双方向に移動することができるので、移動方向が反対になる場合には通路入口と通路出口は反対になる。
【0022】
改札機本体10Aにおいて、通路入口11AにはICカードタッチ部(ICカード読取り装置)12と磁気券投入部(磁気券読取り装置)13が設けられている。また改札機本体10Aの内面の所定の高さには改札通路11を移動する旅客等の存在位置を検知する複数の赤外線センサ14が備えられている。複数の赤外線センサ14は、例えば、上段の位置には3個、中段の位置には10個、下段の位置には4個、それぞれ所要の間隔で配置されており、全部で17個の赤外線センサが設けられている。複数の赤外線センサ14は、改札通路11に進入して通行する旅客を特定しかつその移動位置を検出する移動検知手段である。通路入口11Aから進入し、改札通路11を通行している旅客は、それぞれの位置で、対応する赤外線センサ14によって検知され、その移動の変化状態が検出される。改札機本体10Aの内面側において、通路入口11Aおよび通路出口11Bの各々に通行阻止用の開閉ドア15が備えられる。開閉ドア15はドア駆動装置15Aにより駆動される。
【0023】
上記の自動改札機10では、さらに、改札通路11を通行する個々の旅客に対して必要な情報を提供するための情報表示装置16が設けられる。この情報表示装置16は、その表示画面が改札通路11の床面を形成するよう、当該床面と一致して設けられている。すなわち、情報表示装置16の表示画面の部分が改札通路11に設置される。図1において、改札通路11で斜線で示した領域16Aが情報表示装置16の表示画面の部分(表示部)を示している。このように情報表示装置16の表示画面16Aが改札通路11の床面となるように構成されている。
【0024】
情報表示装置16の表示画面16Aの部分は、好ましくは、その表示画面16Aが改札通路11の床面(通路面)になっており、その上を少なくとも1人の旅客が通ることになるので、かかる荷重に耐える構造および強度を有する。すなわち、情報表示装置16の表示画面16Aの部分は、例えば、改札通路11の床面と例えばほぼ同一の面積を有するプレート状の形態を有し、最上位の面には透光性の強化ガラスを備えかつその下側に液晶等の情報表示画面を有した構造となっている。また情報表示装置16の表示画面16Aの広さは、改札通路11の床面とほぼ一致するような面積で作ることもできるし、または改札通路11の通路入口11Aおよび通路出口11Bの各々の外側に必要なだけ拡大させ、より大きな面積で作ることもできる。
【0025】
情報表示装置16は、上記の表示画面16Aの部分の他、後述するように、当該表示画面16Aにおいて旅客に連動する情報表示領域を決定する情報表示領域決定手段と、この情報表示領域決定手段で決定された情報表示領域に旅客にとって必要な固有な情報等を表示させる情報表示実行手段とを備えている。これらの情報表示領域決定手段と情報表示実行手段は、コンピュータで構成される後述の制御装置によりソフトウェアに基づき機能手段として実現される。
【0026】
改札機本体10Aの内部には制御装置17が設けられている。制御装置17はコンピュータ(演算処理部(CPU)、メモリ等)で構成されている。制御装置17は、ICカードタッチ部12、磁気券投入部13、複数の赤外線センサ14等の各々からの乗車券情報、人間検知情報等を入力して読込み、改札通路11を移動する旅客(物体)の移動位置を検出し、乗車券処理を行うと共に、情報表示装置16の表示動作および表示内容、開閉ドア15の動作等を制御する。また図1で符号18は警告灯を示している。さらに警告音発生器(図1中図示せず)も設けられている。
【0027】
有償の旅客は、改札通路11に進入する時に、改札行為として、ICカードタッチ部12に対して非接触ICカードをタッチするか、または磁気券を磁気券投入部13に投入する。非接触ICカードおよび磁気券は乗車券として機能する。改札行為が行われると、制御装置17は乗車券処理、改札制御等を実行する。
【0028】
図2は、自動改札機10における制御装置17、その入力側の各種の装置、および出力側の各種の装置の具体的な構成を示す。図2において、上記の制御装置17は、情報処理を行い、各種の制御信号を生成する演算処理部21と、この演算処理部21において検知情報処理手段31、情報表示領域決定手段32、情報表示実行手段33、乗車券処理手段34、改札制御手段35等の機能手段を実現するプログラムやデータを記憶するメモリ22を有している。演算処理部21は、検知情報処理手段31による検知情報処理機能、情報表示領域決定手32および情報表示実行手段33による情報表示制御機能、乗車券処理手段34による乗車券処理機能、改札制御手段35による改札制御機能等を有している。
【0029】
上記の検知情報処理手段31は、複数の赤外線センサ14からの検知信号に基づいて、各赤外線センサ14で検出された旅客(物体)の位置情報を取得し、かつ、各旅客を特定すると共に、各旅客ごとの順次の位置変化の情報を管理する。また検知情報処理手段31は、ICカードタッチ部12および磁気券投入部13での改札行為(ICカードのタッチ、磁気券の投入)に基づく検知情報を読込み、処理・管理する。
情報表示領域決定手段32は、ICカードタッチ部12等での改札行為を行った少なくとも1人の旅客について、情報表示装置16の表示画面16Aにおいて各旅客ごとに対して提示される情報表示領域を決定する。また演算処理部21の情報表示実行手段33は、各旅客ごとに決定された情報表示領域において当該旅客ごとの情報の表示を実行する。
乗車券処理手段34は、ICカードタッチ部12等での改札行為を行った旅客についてICカードの有効性、乗車料金が正当に支払われているか否か等を判断・処理する。
改札制御手段35は、乗車券処理手段34で得られた情報に基づいて開閉ドア15の開閉動作、警告灯18の点灯動作、および警告音発生器の発音動作等を制御する。
【0030】
次に図3〜図6を参照して自動改札機10における情報表示装置16に基づく情報表示動作の制御の流れを説明する。この例では、自動改札機10の改札通路11に1人または2人の旅客が進入した場合を説明する。
【0031】
図3は、情報表示装置16の情報表示領域決定手段32等に基づく表示画面16Aでの表示動作の流れを示す。
【0032】
最初の処理ステップS11では旅客位置情報と乗車券情報が取得される。旅客位置情報の取得は複数の赤外線センサ14のいずれかおよび検知情報処理手段31により行われる。乗車券情報の取得はICカードタッチ部12等および検知情報処理手段31により行われる。次の判断ステップS12では旅客の有無が判断される。判断ステップS12で旅客なし(NO)と判断された場合には、情報表示装置16の表示画面16Aにおいてはその全面にわたって一般的な情報の表示が行われ(処理ステップS13)、処理の流れを終了する。処理ステップS13での一般的な情報の表示は、特定な旅客に対する情報ではなく、通行旅客がいない場合の情報であり、自動改札機10の通行可否案内や広告を表示するものである。
【0033】
判断ステップS12で旅客有り(YES)と判断された場合には、表示領域決定のルーチン処理が実行される(処理ステップS14、情報表示領域決定手段32)。処理ステップS14の具体的な処理内容は図4に示される。処理ステップS14で、表示画面16Aにおいて旅客に対する表示領域が決定されると、決定された当該表示領域に当該旅客に応じた固有のまたは一般的な情報が表示される(処理ステップS15、情報表示実行手段33)。決定された表示領域において表示される情報としては、例えば、当該旅客に関する旅客通行可否案内情報および乗車券情報、広告情報である。
【0034】
図4を参照して表示領域決定の処理内容を説明する。図4のフローチャートは、前述した処理ステップS14の内容を示している。
【0035】
先の処理ステップS11で得られた旅客の情報に基づき、最初の処理ステップ21では当該旅客が改札通路11における通路内先頭旅客であると設定する。変数「旅客R」には、通路内先頭旅客が代入される。次の判断ステップS22では、通路内先頭旅客として設定した旅客Rに対して、改札通路11内において先行する旅客が有るか否かが判断される。判断ステップS22でNOである場合には、旅客Rの前方の改札通路11内には誰もいないので、表示画面16Aにおける旅客Rのための表示領域は旅客Rの前方の例えば全領域が決定される(処理ステップS23)。他方、判断ステップS22でYESである場合には、旅客Rの前方の改札通路11内に先行旅客がいることになるので、表示画面16Aにおける旅客Rのための表示領域は、当該先行旅客の後方であって旅客Rの前方である領域に決定される(処理ステップS24)。このようにして、情報表示装置16の表示画面16Aにおける旅客Rための情報表示の表示領域は決定される。処理ステップS14内の処理ステップS23またはS24において旅客Rに関して決定される表示領域は、その後において旅客Rの移動位置が変化するたびに、処理ステップS11で取得される旅客位置情報に基づいて旅客Rの移動位置に応じて自動的に変化するように処理される。すなわち、情報表示装置16の表示画面16Aでの旅客R(通路内先頭旅客)のための表示領域は、旅客Rの前側位置に表示されるという条件を満たしながら、旅客Rの移動位置に連動して移動する。
【0036】
図4のフローチャートにおいて、その後の判断ステップS25では、改札通路11において通路内の次客が有るか否かが判断される。判断ステップS25で通路内次客がいないときには(NOの場合)表示領域決定処理を終了する。判断ステップS25で通路内次客がいるときには(YESの場合)、旅客Rを通路内次客に設定して(処理ステップS26)、判断ステップS22に戻る。その後において、通路内次客である旅客Rに関して、処理ステップS23,S24等を繰り返す。この場合には、上記の通路内先頭旅客が存在するために、通路内先頭旅客の後方であって旅客R(通路内次客)の前方に旅客R(通路内次客)のための表示領域が決定され、表示される。通路内次客が存在する場合には、同様にして、情報表示装置16の表示画面16Aにおける旅客R(通路内次客)ための情報の表示領域が決定され、旅客R(通路内次客)に関して決定される表示領域は、その後において旅客Rの移動位置が変化するたびに、処理ステップS11で取得される旅客位置情報に基づいて旅客Rの移動位置に応じて自動的に変化するように処理される。
【0037】
上記の情報表示装置16による情報表示の状態の第1の例を図5に示す。この例では、改札通路11を通行する旅客が1人の場合を示している。なお図5において、「旅客」の絵は、説明の便宜を考慮して、頭部と胴体部の2つの部分により簡略化して図示されており、胴体部の下端が足下になっている。図5の(A)では、旅客Aが自動改札機10で改札行為を行って改札通路11の通路入口11Aに入った状態を示し、所定の赤外線センサ14で旅客Aの存在と位置を検知すると、情報表示装置16の上記の処理機能に基づいてその表示画面16Aに表示領域41が表示されている。この場合には、旅客Aの前に先行旅客が存在しないので、表示画面16Aのほぼ全面が表示領域41となっている。その後、図5の(B)と(C)に示されるように、旅客Aが改札通路11を移動すると、旅客Aの移動位置に連動して表示領域41もその位置および面積が変化する。また旅客Aの後方の表示画面16Aの部分は次客が存在しない場合には特別な表示領域は消えることになる。図5の(B)は旅客Aが改札通路11のほぼ中央位置まで移動した状態、図5の(C)は旅客Aが改札通路11の通路出口11Bから出た状態をそれぞれ示している。
【0038】
上記の情報表示の状態の第2の例を図6に示す。この例では、改札通路11を通行する旅客が2人の場合を示している。図6では、例えば旅客Aが上記のごとく自動改札機10で改札行為を行ってその通路入口11Aに入りかつほぼ中央位置まで移動した状態において、その後、旅客Bが通路内次客として改札通路11内に入ってきた状態を示している。この場合には、通路内次客である旅客Bについても、同様にして表示画面16Aにおいて表示領域42が決定され、表示される。この結果、情報表示装置16の表示画面16Aでは、旅客Aのための表示領域41と、旅客Bのための表示領域42とが形成される。2つの表示領域41,42のそれぞれでは旅客A,Bに応じた固有の情報の表示が行われる。旅客の数が2人よりも多くなった場合にも、同様にして、情報表示装置16の表示画面16Aは旅客数に応じてさらに分割され、旅客ごとの表示領域が表示されることになる。
【0039】
上記の通り、本実施形態に係る自動改札機10に組み込まれた情報表示装置16の表示画面16Aに基づく情報表示によれば、自動改札機10の改札通路11に進入した旅客に応じて旅客ごとに適切な情報表示を行うことができ、表示画面を大きくすることができ、視認性を高め、情報伝達時間を長くすることができる。
【0040】
上記の実施形態に係る自動改札機10の情報表示装置16では、その構成要素を次のように変形することができる。
旅客を特定しかつ旅客の移動位置を検知する検知手段として、上記の複数の赤外線センサ14の代わりに、撮像装置(カメラ等)、測距センサ(レーザ距離センサ等)、マットセンサ等を用いることができる。
また情報表示装置16の表示画面16Aを改札通路11の床面(通路面)としたが、これに限定されない。例えば、改札機本体10Aの内壁面、改札通路11の沿ってその側方または上方等に設けられた表示プレート部材であってもよい。
さらに表示画面を形成する構造の表示部の代わりに、プロジェクタ等により所定の面に情報を投影して表示させるように構成することもできる。
また上記の実施形態では、駅の改札口に設置された自動改札機の例で説明したが、本発明に係るゲート装置は自動改札機には限定されない。ゲート装置一般に適用することができる。例えば、駐車場等に設置されたゲート装置において、当該ゲート装置を通行しようとする自動車等の移動体に対して個々に案内情報を提供する情報表示装置として利用することもできる。また有料道路(高速道路等)、エスカレータ、動く歩道等における出入り口ゲート、中間路等での情報表示装置として利用することも可能である。
【0041】
次に図7を参照して本発明に係るゲート装置の他の実施形態を説明する。この実施形態では、上記の自動改札機10における情報表示装置16において、旅客(移動体)を特定しかつその移動位置を検出する手段として、上記の複数の赤外線センサ14の代わりに、よく知られた触感パネル構造部51が用いられる。触感パネル構造部51は板状の形態を有する。改札通路11の床面(図7中、斜線断面で示す。)には、前述した通り、情報表示装置16の表示画面16Aが設置されているが、当該表示画面16Aの上側に触感パネル構造部51を配置している。触感パネル構造51は、その表面にマトリックス状の配置で多数の触感センサが配置されており、旅客がこの触感パネル構造51の上を歩くときに、旅客の足の接触に基づくその体重荷重により当該旅客の移動位置を正確に検出することができる。こうして表示画面16Aすなわち触感パネル構造部51に接触した旅客の接触部の位置を当該触感パネル構造部51により検出してその移動位置の情報として出力する。触感パネル構造部51から出力される旅客の移動位置の情報を用いて上記の通り表示画面16Aに旅客ごとの表示領域を決定して情報表示を行うことができる。
【0042】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係るゲート装置は、旅客が通行する自動改札機等に利用され、旅客が通行する改札通路等を利用して大きな面積を有する情報表示装置の表示画面を設け、旅客等ごとの表示領域を決定して当該旅客等に対して視認性の高いかつ情報伝達時間の長い情報表示を行うことに利用される。
【符号の説明】
【0044】
10 自動改札機
10A 改札機本体
11 改札通路
11A 通路入口
11B 通路出口
12 IDカードタッチ部
13 磁気券投入部
14 赤外線センサ
15 開閉ドア
15A ドア駆動装置
16 情報表示装置
16A 表示画面
17 制御装置
18 警告灯
21 演算処理部
22 メモリ
31 検知情報処理手段
32 情報表示領域決定手段
33 情報表示実行手段
34 乗車券処理手段
35 改札制御手段
41 表示領域
42 表示領域
51 触感パネル構造部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が移動する移動通路と前記移動体に対して必要な情報を提供する情報表示装置とを有するゲート装置であり、
前記情報表示装置は、
前記移動通路に沿って設けられ前記移動体に対して前記必要な情報を表示する表示画面と、
前記移動体を特定しかつその移動位置を検出する移動検知手段と、
前記移動検知手段が検知した前記移動体に係る前記移動位置に基づいて、前記表示画面での前記移動体に連動する情報表示領域を決定する情報表示領域決定手段と、
前記情報表示領域決定手段で決定された前記情報表示領域に前記必要な情報を表示させる情報表示実行手段とを備える、
ことを特徴とするゲート装置。
【請求項2】
前記表示画面は前記移動通路の通路面に一致させて設けられることを特徴する請求項1記載のゲート装置。
【請求項3】
前記表示画面は、前記移動通路の通路面とその入口および出口につながる外側通路面とに一致させて設けられることを特徴とする請求項1記載のゲート装置。
【請求項4】
前記情報表示領域決定手段によって決定される前記情報表示領域は、前記移動体に係る前記移動位置を基準にして、前記移動体の前側位置であって先行移動体の後側位置の間に設定される領域であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記移動検知手段は前記移動通路に沿って配置された複数の移動体検知センサであり、前記複数の移動体検知センサの各々が前記移動路を移動する前記移動体の移動位置を順次に検知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記表示画面を備えた情報表示装置は前記移動通路の通路面に配備され、かつ前記情報表示装置の表示画面に前記移動検知手段の機能を有する触感パネル構造部が付加され、前記表示画面は、この表示画面に接触する前記移動体の接触部の位置を前記触感パネル構造部により検出して前記移動位置の情報として出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記移動路は改札通路であり、前記移動体は旅客であり、前記表示画面は前記移動通路の床面に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3998(P2013−3998A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137082(P2011−137082)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】