説明

ゲーブルトップ型紙容器

【課題】食品が収納された密封容器を易開封し、水を食品に注いで、電子レンジで食品を茹で上げ、その後熱水を湯きりする機能を有した紙容器を提供するものである。
【解決手段】頂部が切妻型屋根状に形成されているゲーブルトップ型紙容器において、対向する一対の前記外側リブパネルの上辺に、指で摘んでトップシール部を開封して頂部を全面開口するための開封片と、対向する一対の側パネルの上部に、それぞれ前記基材層のみが切り欠かれた切欠部と、少なくとも四角柱状の胴部の一角を形成し、折れ線を介して連接する側パネルの下部に、該折れ線に沿ってそれぞれ前記積層体を貫通する複数の孔と、前記孔を前記基材層側からシールするシールラベルと、を備えていることを特徴とするゲーブルトップ型紙容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子レンジで加熱調理する内容物を収納した紙製の密封容器に関するものである。特に密封容器を易開封し、その開封した部分から内容物にお湯を注いで、電子レンジで加熱調理し、その後熱水を湯きりするゲーブルトップ型紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、即席ラーメン、スープを代表として、発泡ポリスチレン、紙などのカップ容器に密封包装された内容物に、熱湯を注ぎ、一定時間放置した後、そのまま内容物を食することができる食品、また即席焼きそばを代表として、発泡ポリスチレン、紙などのトレー容器に密封包装された内容物に、熱湯を注ぎ、一定時間放置した後、熱湯を湯きりして、そのまま内容物を食することができる食品などが、種々市販されている。
【0003】
一方、予め調理された食品を密封包装した電子レンジ加熱用の食品が種々販売されている。単に電子レンジで加熱して、そのままの容器で食することができ、消費者にとっても便利性のよい食品になっている。これらに用いられる容器は、トレー形状、カップ形状が主体であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの耐熱プラスチックを用いた容器、また板紙と耐熱フィルムとのラミネート材を用いた容器などがある。また袋形状の容器に密封包装された食品は、電子レンジで加熱する前、または後に別な容器に移し替える必要があり、便利性に欠ける面がある。
【0004】
また、家庭においても電子レンジを用いて食品を加熱調理することが多くなっている。個人の好みに応じて食品を色々調理することができ、各種レシピを紹介する本なども売られている。
【0005】
このような状況から、予め電子レンジ対応容器に密封包装された電子レンジ調理用食品を購入し、電子レンジで加熱調理でき、かつ別な容器に移さず、そのままの容器で食することができる容器、即ち調理機能を備えた容器の要望が多くなってきている。
【0006】
電子レンジで食品を調理する方法として、調理食品に部分的に焦げ目をつけるシートを部分的に用いた包装容器が提案されている(特許文献1)。
【0007】
食品に調味料や水分付与するシートを用い味付けを行う包装容器が提案されている(特許文献2)。
【0008】
両面が他の部材で覆われた紙からなる支持体層を有し、その内の一方の部材に鉄分を含有させた液体食品用容器で、電磁誘導加熱調理器にて加熱調理する提案がある(特許文献3)。
【0009】
紙からなる支持体層とガスバリア性を有するアルミニウム箔を積層した液体紙容器で、アルミニウム箔を塩化ビニリデンフィルムに置き換えることにより、電子レンジで加熱調理する提案がある(特許文献4)。
【0010】
最近では健康志向もあり、個人で調理する志向が一層高まっている。電子レンジ対応容器も環境面でプラスチック成形容器から紙容器への移行もあり、密封包装した食品を電子レンジを用いて調理できる機能を有した紙容器が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−218728号公報
【特許文献2】特開昭60−49750号公報
【特許文献3】特開平11−70993号公報
【特許文献4】実開昭62−19235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
電子レンジで加熱調理する食品を収納する密封容器で、密封容器を開封後、電子レンジで食品を茹で上げることができる機能を有し、特に密封容器を易開封し、水を食品に注いで、電子レンジで食品を茹で上げ、その後熱水を湯きりする機能を有したゲーブルトップ型紙容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0014】
本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも紙層からなる基材層、ガスバリア性を有する中間層、内層とから構成されている積層体を用いて、四枚の側パネルが折れ線を介して連接してなる四角柱状の胴部の側パネルの上辺に連接された対向する一対の妻パネルが、それぞれ斜め折れ線によって内側に折り込まれ、同時に該妻パネルの上辺に連接された内側リブパネルが中央の折れ線によって二つに折られ、それに連動して、対向するもう一対の屋根パネルが内側に倒れこみ、該屋根パネルの上辺に連接された外側リブパネルも同時に内側に倒れこみ、該外側リブパネルが二つに折り畳まれた前記内側リブパネルを間に挟み込んで合掌シールされることにより、トップシール部が形成され、頂部が切妻型屋根状に形成されているゲーブルトップ型紙容器において、
対向する一対の前記外側リブパネルの上辺に、指で摘んでトップシール部を開封して頂部を全面開口するための開封片と、
対向する一対の側パネルの上部に、それぞれ前記基材層のみが切り欠かれた切欠部と、
少なくとも四角柱状の胴部の一角を形成し、折れ線を介して連接する側パネルの下部に、該折れ線に沿ってそれぞれ前記積層体を貫通する複数の孔と、
前記孔を前記基材層側からシールするシールラベルと、
を備えていることを特徴とするゲーブルトップ型紙容器である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1記載のゲーブルトップ型紙容器である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、前記シールラベルが、少なくとも酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムと熱融着樹脂層からなることを特徴とする請求項1または2記載のゲーブルトップ型紙容器である。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明は、前記屋根パネルの内面に、熱融着性樹脂からなる不織布またはシートに吸水性樹脂を塗布した鮮度保持材を備えていることを特徴とする請求項1記載のゲーブルトップ型紙容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、電子レンジで加熱調理する食品を収納し密封された四角柱状の紙容器で、紙容器のトップシール部を全面開封し、容器内の食品に水を注ぎ、電子レンジで加熱し、食品を茹で上げ、その後熱水を湯きりすることにより、茹で上げた食品を食することを可能にしたゲーブルトップ型紙容器である。
【0019】
本発明の請求項1によれば、少なくとも紙層からなる基材層、ガスバリア性を有する中間層、内層とから構成されている積層体を用いて、頂部が切妻型屋根状に形成さているゲーブルトップ型紙容器であり、対向する一対の屋根パネルに連接された外側リブパネルの上辺に開封片を備えたことにより、指で摘んでトップシール部を開封して頂部を全面開口することができる。これにより、紙容器内の食品に水を注ぐことが容易にできる。
【0020】
対向する一対の側パネルの上部に、それぞれ少なくとも紙層からなる基材層のみが切り欠かれた切欠部を備えたものである。この切欠部は、紙容器内を観る窓部である。特に食品に注ぐ水を適正な量まで入れるのを確認する為に備えたものである。
【0021】
少なくとも四角柱状の胴部の一角を形成し、折れ線を介して連接する側パネルの下部に、該折れ線に沿ってそれぞれ前記積層体を貫通する複数の孔を備えたことにより、食品を電子レンジで茹で上げた後、この複数の孔から熱水を湯切りすることができる。
【0022】
複数の孔を基材層側よりシールするシールラベルを備えている。これは食品を密封するのと同時に、電子レンジで食品を茹でる際に水や熱水の漏れを防ぐものである。食品を茹で上げた後は、シールラベルを剥がし、紙容器内の熱水を湯切りして調理が出来上がるのである。
【0023】
上記のように、密封されていた食品を他の容器に移し換えたりすることがなく、紙容器に収納した状態で茹で上げることができる紙容器である。またその状態で調味料を用いて味付けし食することもできる。
【0024】
本発明の請求項2によれば、中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。特に食品の酸化を防ぐためには、ガスバリア性が必要である。酸素、水蒸気のガスバリア性を有するために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素の金属酸化物をポリエチレンテレフタレートフィルムに蒸着したものを用いる。また他の金属酸化物としては、酸化マグネシウムやこれらの混合物などを用いることができる。透明性とガスバリア性を有する層であればよい。また金属酸化物の蒸着層の厚みは5〜300nmの範囲が好ましく、その値は適宜選択すればよい。またアルミニウム箔をガスバリア層として使用することも可能であるが、使用後の紙容器の廃棄性で再資源化が出来ない問題がある。
【0025】
本発明の請求項3によれば、シールラベルが、少なくとも酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムと熱融着樹脂層からなることを特徴とする。湯きり部からのガスバリアの低下を防ぐのと、食品を茹でるときの熱水の漏れを防止するのである。熱融着樹脂層は、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂からなる。該熱融着樹脂層を酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムに積層し、紙容器の外層のポリエチレン層と熱融着してシールラベルを貼着する。尚、熱融着樹脂層を積層する面は、金属酸化物の蒸着面でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム面でもよく限定されない。
【0026】
本発明の請求項4によれば、前記屋根パネルの内面に、鮮度保持材を備えていることを特徴とする。紙容器内の食品の品質を長く保つために、紙容器内の空気を窒素ガスに置換する。更に鮮度保持材も併用して用いることにより、食品の品質を長く保つことができる。また妻パネルの内面にも備えることは可能である。
【0027】
鮮度保持材は、吸水性樹脂を用いることにより、紙容器の内面に付着した水分や、食品からの余剰水分を吸水して品質を保つことができる。
【0028】
本発明の紙容器は、紙容器内に密封された食品を、茹で上げることができる調理機能を有したゲーブルトップ型紙容器である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のゲーブルトップ型紙容器の表面の状態の一例を示すブランクシートの説明図である。
【図2】本発明のゲーブルトップ型紙容器の裏面の状態の一例を示すブランクシートの説明図である。
【図3】本発明のゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図4】本発明のゲーブルトップ型紙容器の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明のゲーブルトップ型紙容器の切欠部の一例を示す説明図である。
【図6】本発明のゲーブルトップ型紙容器の複数の孔の一例を示す説明図である。
【図7】本発明のゲーブルトップ型紙容器の平面図である。
【図8】本発明のゲーブルトップ型紙容器のトップシール部を開口した一例を示す説明図である。
【図9】本発明のゲーブルトップ型紙容器の湯きりの状態の一例を示す説明図である。
【図10】本発明のゲーブルトップ型紙容器の湯きりの状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
【0031】
図1は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の表面の状態の一例を示すブランクシート1の説明図である。ブランクシート1は、背シールパネル110と胴部を形成する四枚の側パネル、120、130、140、150からなり、側パネルの上辺に連接された対向する一対の妻パネル160、180が、それぞれの斜め折れ線20によって内側に折り込まれるようにしている。また妻パネルの上辺には、内側リブパネルがそれぞれ200、210に連接されている。対向するもう一対の屋根パネル170、190にも上辺にそれぞれ外側リブパネル220.230が連接されている。また外側リブパネル220、230の上辺にはそれぞれ開封片240、250が連接されている。ブランクシート1は、開封部E、トップシール部A、頂部B、胴部C、底部Dからなっている。
【0032】
食品を茹でるために注ぐ水量を確認する切欠部300を一対の側パネルに設けている。一対の屋根パネルに連接している側パネル、または一対の妻パネルに連接している側パネルどちらに設けてもよく限定されない。また電子レンジで食品を茹で上げた後の熱水を湯きりする複数の孔310を折れ線21を介して隣接する側パネル130、140の下部にそれぞれ折れ線21に沿って設けている。また湯きりする複数の孔をシールするシールラベル320を備えている。
【0033】
図2は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の裏面の状態の一例を示すブランクの説明図である。図2に示すように、屋根パネルの内面に鮮度保持材330を熱融着して固着している。鮮度保持材は、熱融着樹脂であるポリオレフィン系樹脂からなる不織布またはシートに吸水性樹脂を塗布、含浸したものを用いる。該熱融着樹脂層と屋根パネルの内層のポリエチレン層9とを熱融着し固定する。特に固定する場所は、屋根パネルの内面に限定することはなく、妻パネルの内面でもよい。また紙容器の内面に、食品に対する水の適正量の示す入水確認線22を形成しておくことにより、適正な水量を確保するができる。この入水確認線は、ブランクシートを作成するときに、罫線を入れて設けることができる。
【0034】
図3は、本発明のゲーブルトップ型紙容器Fの一例を示す説明図である。トップシール部Aの上部には開封片が連接されつまみ部Eが形成されている。また屋根パネルの内面に
吸水性樹脂を塗布した不織布からなる鮮度保持材330を備えている。これは食品を本発明の紙容器に収納する際に、長く品質保持をする必要性から容器内の環境を窒素ガスにて置換する。鮮度保持材は、紙容器の内面に付着した水分、食品自体から発生する余剰な水分を吸収して、食品の品質を長く保つことができる。また妻パネルの内面にも備えることは可能である。図3に示す側パネルの点線は、水を適正量入れる入水確認線を示している。また妻パネルに連接された側パネルの左の下部には、折れ線21に沿って複数の孔310をシールするシールラベル320が貼着されている。
【0035】
図4は、本発明のゲーブルトップ型紙容器Fの一例を示す斜視図である。屋根パネルに連接された側パネルには、入水確認線22より上部の位置に切欠部300を設けている。この切欠部300は、紙の基材層を削除していることから容器内部を観ることができ、適正量の入水の確認することができる。また食品の茹で上がり状態も確認することができる。この側パネルの右の下部にも折れ線21に沿って複数の孔310をシールするシールラベル320が貼着されている。この複数の孔310は、妻パネルに連接された側パネルと屋根パネルに連接された側パネルが折れ線21を挟んでそれぞれの下部に折れ線21に沿って設けられている。茹で上げた熱水の湯きりをするために設けたものである。またシールラベルは、基材層側から貼着され、ラベルのポリエチレン層10と紙容器の外層のポリエチレン層3とをヒートシールし貼着する。
【0036】
図5は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の切欠部の一例を示す説明図である。本発明の紙容器に用いられる積層体2は、基材層であるポリエチレン層3/紙層4、中間層である金属酸化物蒸着層6を有したポリエチレンテレフタレートフィルム7、内層であるポリエチレンフィルム9を図5に示すように接着層5、8を介して積層したものである。接着層5,8は、ポリエチレン樹脂の押出し加工により作成される。
【0037】
切欠部300は、積層体2の基材層側から打抜き加工を行い、基材層のみをハーフカットし、切り取り、切欠部を形成することができる。積層体2の巻取りから所定の位置に合わせ、ハーフカットを行い、切欠部300を形成し、その後ブランクシートに打抜き加工して形成することができる。またブランクシートにしてから所定の位置にハーフカットを行い形成することもできる。
【0038】
図6は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の複数の孔310の一例を示す説明図である。熱水を湯きりする孔310を示している。積層体2を打抜き加工により孔を作成する。この孔は湯きりをスムーズに行うためにも複数設ける方が好ましい。孔のサイズは入れる食品の形状により適宜決めればよい。また複数の孔をシールするシールラベル320を設けている。
【0039】
複数の孔310は、積層体2の内層であるポリエチレン層から打抜き加工を行い、積層体を貫通させて形成させることができる。積層体2の巻取りから所定の位置に合わせ、抜き加工を行い、複数の孔310を形成し、その後ブランクシートに打抜き加工して形成することができる。またブランクシートにしてから所定の位置に抜き加工を行い形成することもできる。
【0040】
また複数の孔をシールするシールラベル320を設けている。シールラベル320は、金属酸化物蒸着層6を有したポリエチレンテレフタレートフィルム7と熱融着樹脂層からなっている。熱融着樹脂層はポリエチレン層10である。該ポリエチレン層10を金属酸化物蒸着層6の面に積層し、該ポリエチレン層10と紙容器の外層であるポリエチレン層3をヒートシールして貼着することができる。またシールラベルを剥がすときには、ラベルの端部を未シール(図には示していない)にすることにより、その未シール部を指で摘んでシールラベルを剥がすことができる。剥がす面は紙の層間から剥離する。
【0041】
シールラベル320を基材層側から貼着する方法は、ブランクシートの複数の孔の位置に対して、予め所定の寸法に作成されたシールラベルを、シールラベルのポリエチレン層10と紙容器の紙容器の外層であるポリエチレン層3をヒートシールして貼着する。またブランクシートを容器に組み立てる過程で貼着することもできる。
【0042】
図7は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の平面図である。トップシール部の上部に連接した開封片、つまみ部Eを示している。二枚の屋根パネルの外側リブパネル220、230の上部に連接した開封片240、250をそれぞれ指で掴み、左右に引っ張ることでトップシール部を容易に剥がし全面開口することができる。
【0043】
図8は、本発明のゲーブルトップ型紙容器のトップ部を開口した一例を示す説明図である。開封片240、250をそれぞれ指で掴み、左右に引っ張ることで、妻パネルの内側パネル200、210、屋根パネルの外側リブパネル220,230のそれぞれの合掌シールされたトップシール部Aを容易に開口することができる。
【0044】
図9は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の湯きりの状態の一例を示す説明図である。電子レンジで食品を茹で上げたあとに、シールラベルを剥がし、熱水を湯きりする状態を示している。複数の孔310から熱水が湯きりされる。
【0045】
図10は、本発明のゲーブルトップ型紙容器の湯きりの状態の一例を示す説明図である。熱水を十分に湯きりするようにするには、図10のように紙容器を傾けることにより紙容器内の熱水を湯きりできる。茹でた食品は、別な容器に移し換えず、調味料を加え食することができる。
【0046】
以下、本発明を実施するための形態を更に詳細に説明する。
【0047】
図1、2のブランクシート1を構成する積層体2は、通常坪量が200〜500g/m、密度0.6〜1.1g/cmとし、表面(外層)には15〜30μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせる、ポリエチレンフィルムの貼り合わせは、ポリエチレン樹脂を押出し機にて押出し、ラミネートすることで可能である。
【0048】
基材層の裏面と、接着層としてポリエチレン層5を介して中間層である金属酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム7の蒸着面とを貼り合わせる。またポリエチレンテレフタレートフィルム7面に接着層としてポリエチレン層8を介し内層である30〜100μmのポリエチレン層9を積層する。また逆に金属酸化物蒸着面と内層である30〜100μmのポリエチレン層とを貼り合せてもよい。
【0049】
積層体2は、表面から順にポリエチレン層(外層)3/紙層4/ポリエチレン層5/金属酸化物蒸着層6/ポリエチレンテレフタレートフィルム7/ポリエチレン層8/ポリエチレン層(内層)9である。この積層体2を、容器形状に合わせ、ブランクシート1を作成する。
【0050】
このブランクシート1の所定の位置に、切欠部を設けるためのハーフカット加工、複数の孔を設けるための打抜き加工を行う。尚、このハーフカットおよび打抜き加工は、予め積層体の巻取りにて加工して、その後ブランクシート1を形成する。またブランクシートに加工する時に同時に形成してもよい。またブランクシートにしてから、後加工で形成してもよい。
【0051】
また複数の孔310をシールするシールラベル320は、基材層側から複数の孔をシー
ルし貼着する。シールラベル320のポリエチレン層10と紙容器の外層であるポリエチレン層3をヒートシールする。またシールラベル320を剥がすときには、ラベルの端部を未シールにすることにより、未シール部(図には示していない)を指で摘んで剥がすことができる。剥離面は紙の層間から剥離する。またシールラベルのポリエチレン層10が、感圧粘着タイプの粘着剤でも可能である。この場合は、食品衛生面、耐熱性などから選択することができる。
【0052】
このブランクシート1を図3、図4のようにゲーブルトップ型紙容器に組み立てる。対向する一対の屋根パネルに連接された外側リブパネルの上辺に開封片、屋根パネルの内面には鮮度保持剤を備え、また入水確認線より上部に切欠部を備え、容器内を観ることができるようにし、また茹でた後の熱水を湯きりする複数の孔とそれら孔をシールするシールラベルを備えた電子レンジで調理できる紙容器である。
【0053】
図3、図4に示すゲーブルトップ型紙容器の開封片を摘んで左右に引っ張るようにすれば、図7、図8に示すようにトップシール部を開封して頂部を全面開口する。これにより、紙容器内の食品に、予め適正な水量の入水確認線まで注ぐことが容易にできる。
【0054】
紙容器内の食品に水を注いだ後、電子レンジで加熱調理することにより食品を茹で上げることができる。所定の時間茹でた後、複数の孔をシールしているシールラベルを剥がし、図9、図10に示すように湯きりして食品は出来上がる。
【0055】
本発明に用いる鮮度保持材は、ポリアクリル酸ナトリウム塩やその架橋体、デン粉アクリル酸グラフト共重合体などの吸水性樹脂をポリエチレンの不織布またはシートに塗布もしくは含浸して得ることができる。またポリエチレンの不織布を用いた袋に吸水性樹脂を収納したものでもよい。紙容器の屋根パネルの内層のポリエチレン層に熱融着して貼着することができる。
【0056】
紙容器の表面(外層)には、通常印刷される。印刷方式としては、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷など通常の方式を用いることができる。
【0057】
本発明の茹で上げる機能を有した紙容器に収納する食品としては、スパゲッティ、マカロニ、干麺、ハルサメなどを挙げることができる。他の食品で茹でる必要性があるものがあれば特にこだわらない。
【0058】
本発明の紙容器は、組み立て時に接着剤を使用しないことから、調理中に接着剤の成分が溶出し、食品に混入する問題がない。また接着剤の臭いがない。使用後は、再資源化物として廃棄することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の紙容器は、電子レンジを用いて茹で上げる機能の他に、アルファ米などのご飯を炊くことができる。また食品の下に仕切りを設ければ、水を入れて蒸すこともできる。
【符号の説明】
【0060】
1 ブランクシート
2 積層体
3 ポリエチレン層(外層)
4 紙層
5 接着層(ポリエチレン層)
6 金属酸化物蒸着層
7 ポリエチレンテレフタレートフィルム
8 接着層(ポリエチレン層)
9 ポリエチレン層(内層)
10 ポリエチレン層(シールラベル)
20 斜め折れ線
21 折れ線
22 入水確認線
110 背シールパネル
120、130、140、150 側パネル
160 妻パネル
180 妻パネル
170 屋根パネル
190 屋根パネル
200 内側リブパネル
210 内側リブパネル
220 外側リブパネル
230 外側リブパネル
240 開封片
250 開封片
300 切欠部
310 孔
320 シールラベル
330 鮮度保持材
A トップシール部
B 頂部
C 胴部
D 底部
E つまみ部
F 本発明のゲーブルトップ型紙容器
G 熱水に流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙層からなる基材層、ガスバリア性を有する中間層、内層とから構成されている積層体を用いて、四枚の側パネルが折れ線を介して連接してなる四角柱状の胴部の側パネルの上辺に連接された対向する一対の妻パネルが、それぞれ斜め折れ線によって内側に折り込まれ、同時に該妻パネルの上辺に連接された内側リブパネルが中央の折れ線によって二つに折られ、それに連動して、対向するもう一対の屋根パネルが内側に倒れこみ、該屋根パネルの上辺に連接された外側リブパネルも同時に内側に倒れこみ、該外側リブパネルが二つに折り畳まれた前記内側リブパネルを間に挟み込んで合掌シールされることにより、トップシール部が形成され、頂部が切妻型屋根状に形成されているゲーブルトップ型紙容器において、
対向する一対の前記外側リブパネルの上辺に、指で摘んでトップシール部を開封して頂部を全面開口するための開封片と、
対向する一対の側パネルの上部に、それぞれ前記基材層のみが切り欠かれた切欠部と、
少なくとも四角柱状の胴部の一角を形成し、折れ線を介して連接する側パネルの下部に、該折れ線に沿ってそれぞれ前記積層体を貫通する複数の孔と、
前記孔を前記基材層側からシールするシールラベルと、
を備えていることを特徴とするゲーブルトップ型紙容器。
【請求項2】
前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1記載のゲーブルトップ型紙容器。
【請求項3】
前記シールラベルが、少なくとも酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムと熱融着樹脂層からなることを特徴とする請求項1または2記載のゲーブルトップ型紙容器。
【請求項4】
前記屋根パネルの内面に、熱融着性樹脂からなる不織布またはシートに吸水性樹脂を塗布した鮮度保持材を備えていることを特徴とする請求項1記載のゲーブルトップ型紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−116543(P2012−116543A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269100(P2010−269100)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】