説明

ゲーブルトップ型紙容器

【課題】開封側の注ぎ口の方向が容易に確認できる共に、相反する開封機能と密閉機能を併せ持つゲーブルトップ型紙容器の提供を図る。
【解決手段】板紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて4枚のブランクパネルを四角筒状に連接して形成されるゲーブルトップ型紙容器において、開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に設けると共に、該易剥離性シール領域の両端の開封始端に三角状の強剥離剤塗布領域を形成し、注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を傾斜リブパネル部とヒートシールトップパネル部が連接する中間位置を通過して傾斜リブパネル部とヒートシールトップパネル部内において開封ガイド折れ線の延長方向に設けると共に、ヒートシールトップパネル部の封鎖側方向の形状を開封限度折れ線を境界として段差付きヒートシールトップパネル部とした手段を採る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封側の注ぎ口の方向が容易に確認できる共に、相反する開封機能と密閉機能を併せ持つゲーブルトップ型紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳パックの紙容器として使われているゲーベルトップ型のミルクカートンは、1915年に米国で発明され、日本では1969年に発売されて以来、安定感と注ぎ口の使い勝手の良さから短期間の間に急速に普及し、今日に至っても圧倒的な生産シェアを維持している。現在、国内においては約2千万本の牛乳パックが毎日消費され、年間に換算すると72億本にものぼるとされており、それらの牛乳パックの材料となる紙の年間使用量は20万トンにも達する大量消費資材となっている。
【0003】
一方、牛乳パックの包装形態も時の経過と共に変化し、当初は飲み口の部分をホッチキスで封止し、開封時はナイフを使用していた時代から、現在では熱圧着と溶剤の組み合わせにより子供からお年寄りまで誰でもが簡単に開封することができる紙パック容器と進化している。
【0004】
しかしながら、現在のゲーベルトップ型の紙容器の多くは、牛乳パック紙容器における密封性、収納性、強靭性については優れた機能を有しているが、使用時においては開封側の注ぎ口の方向が容易に確認しづらいことや、注ぎ口が開けづらいことや、注ぎ口が綺麗に剥がせないことや、再封後の密閉状態が維持できないことなど、注ぎ口における開封性、密閉性に問題点があるものであった。
【0005】
従来より、その注ぎ口の開封性、密閉性の問題点を解決しようとする種々の提案がなされている。例えば、開封側の注ぎ口の方向が容易に確認しづらい点に関しては、「飲み口」の文字を注ぎ口の方向に印刷表示をしたり、飲み口の反対側の部分を半丸状に切り取って牛乳とその他の飲料とを区別する方法を採っているが、それらの表示手段は、急いで開封しようとする時や、目が不自由なお年寄りや視覚障害者においては認識されていないのが実情であった。
【0006】
また、注ぎ口の接着力が強く開けづらい点、注ぎ口が綺麗に剥がせない点に関しては、例えば「易開封性紙容器」(特許文献1参照)や、「液体用容器」(特許文献2参照)や、「ゲーベルトップ型角筒容器の開封構造」(特許文献3参照)や、「紙パック注ぎ口へ閉塞用クリップ」(特許文献4参照)が提案されている。
【0007】
上記の「易開封性紙容器」(特許文献1)の提案は、対向する一対の外側リブパネル部の上辺にトップシール部が延長される開封片を設けて頂部が全面開口されるゲーベルトップ型の易開封性紙容器であるが、該提案は、単にトップシール部を延長した開封片を設けて頂部を全面開口した提案に過ぎず、全面開口における衛生面の問題や、注ぎ過ぎの問題や、開閉作業による手間隙や面倒臭さなどの問題や、全面開口を完全密閉する手段を具備していないために、開封性と密閉性の二つの相反する機能を満たすものではなかった。
【0008】
また、「液体用容器」(特許文献2)の提案は、内側リブパネル部の容器内面側の折り返しパネル部との境界側において、両端近傍部及び接着フラップが重合する箇所及び重合する箇所の近傍を除いて剥離剤が塗布され、外側リブパネル部と内側リブパネル部との接着状態は剥離剤が塗布された位置に相当する仮着部と、それ以外の強着部で形成される液体用容器であるが、該提案は、外側リブパネル部と内側リブパネル部との接着状態を単に仮着部とそれ以外の強着部で形成する分離手段の提案であって、注ぎ口が開け易すくなったり、小さい開封力で開封できたり、注ぎ口の開封を綺麗に剥がすことができるなどの問題点を解決する手段としては、本発明の開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に設けると共に、該易剥離性シール領域の両端の開封始端に三角状の強剥離剤塗布領域を形成して初期の開封力の力を必要としない手段と比較して、剥離剤の塗布領域の形状や開封始めの力が入る位置や方向などの剥離性に関する有効性を形状に反映させておらず、漏れを有効に防止すると共に開封し易いといった相反する機能を兼ね備えた液体用容器とは言い難いものであった。
【0009】
また、「ゲーベルトップ型角筒容器の開封構造」(特許文献3)の提案は、天板の上部に連設される天板シールフラップには、その中間部に天板シールフラップの高さ方向途中までの寸法を有する開封補助スリットを設けた構造を有して提案されているが、該提案は、天板シールフラップの中間部に設けられた開封補助のスリットが、いたずらによる切り込みと一見勘違いされ易い形状を形成しているもので、消費者にとって一抹の不安を抱かせるものであった。また該スリットは天板シールフラップの溶着状態を完全に二分するスリットであるため、妻板シールフラップの両面が開封されて剥離される最大限度位置となるに過ぎないことから、妻板シールフラップの剥離開封を容易にする役目を果たすものではなかった。さらに図1(a)の状態になるには妻板シールフラップが開封案内折れ線の延長線方向の斜め方向に沿って正確に折り曲がることが重要とされるが、妻板シールフラップにはその折曲がるガイドとなる折れ線が設けられていないため不完全且つ不規則な状態で折り曲げられる状態となり、図1(b)の状態の妻板シールフラップの引き出しシールフラップの折れ線の先端部が完全に露出しない状態(本発明の図3(3)参照)で剥離が終了することによって指先が引っ掛かり辛く、開けづらいという問題が生じるものであった。またスリットが開封方向に対して直角に設けられているため上記の引き出しシールフラップの折れ線の先端部を指先に引っ掛けて開口する際に指先の逃げがなく(指先がスリットの端面に当たってしまう)開封しづらいものであった。また該提案は、本発明の小さい開封力で開封することができる手段や、注ぎ口の開封を綺麗に剥がすことができる手段や、使用時において開封側の注ぎ口の方向が容易に確認することができる手段や、再封後の密閉状態を維持する手段などの開封性、密閉性の問題点を解決する手段を備えているものではなかった。さらに該提案は、開封案内折れ線が妻板シールフラップ下部の折れ線位置まで延長されていることで、固定天面部の付勢力による反動を利用した注ぎ口の引き出しならびに収納作用(ペコッと音がして反動で出し入れできる)が円滑に行われない問題が生じるものであった。
【0010】
また、注ぎ口の再封後の密閉状態が維持できない点に関しては、例えば「紙パックの開封口閉塞用クリップ」(特許文献4参照)や「紙容器封印具および封印具ホルダー」(特許文献5参照)が提案されている。しかしながら、それらの提案は、紙パックの注ぎ口に閉塞する封印具を別途に購入しなければならず、さらに封印具を紙パックの注ぎ口から開封時毎に着脱を繰り返さなければならないことから手間を要するものでもあり、面倒でもあった。
【0011】
本出願人は、以上のような従来のゲーベルトップ型紙容器の開封手段の問題点を解決するために、注ぎ口の開封機能と密閉機能に着目し、開封側の注ぎ口の方向が分り易い方法や、注ぎ口が開け易い方法や、注ぎ口の開封を綺麗に剥がすことができる方法や、開封後の密閉状態が維持できる方法を用具を使わないで改善することができないものかとの着想の下、ゲーベルトップ型紙容器の上端に段差を設けることで開封側の注ぎ口の方向を分り易くし、注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を設けることによって注ぎ口を開け易くし、易剥離性シール領域を逆台形状に形成し、該開封始端に対向する三角状の強剥離剤塗布領域を形成することによって初期の開封力の力を必要としないことや、折り返しトップパネル部による二重折段差(二重折になって注ぎ口の開口部が補強される)を設けることによって注ぎ口の開封を綺麗に剥がすことができるようにし、さらに輪ゴムによる密閉機能を併せ持つゲーベルトップ型の紙パック容器を開発し、本発明の「ゲーベルトップ型紙容器」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006-306424号公報
【特許文献2】実開平9-191号公報
【特許文献3】特開2002-104404号公報
【特許文献4】特開平8-11875号公報
【特許文献5】再表99/52779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題点に鑑み、開封側の注ぎ口の方向が容易に確認できる共に、相反する開封機能と密閉機能を併せ持つゲーブルトップ型紙容器の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のゲーブルトップ型紙容器は、封鎖側ブランク妻パネルと、左ブランク屋根パネルと、開封側ブランク妻パネルと、右ブランク屋根パネルとで構成されるゲーブルトップ型紙容器であって、前記封鎖側ブランク妻パネルは、ボトムパネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成される上部妻パネル部と、封鎖側妻リブパネル部と、を連接して形成され、前記左ブランク屋根パネルは、胴部側板パネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成されるボトムパネル部と、傾斜屋根パネル部と、傾斜リブパネル部と、ヒートシールトップパネル部と、を連接して形成され、前記開封側ブランク妻パネルは、胴部側板パネル部と、開放側面にヒートシールボトムフラップを設けたボトムパネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成される上部妻パネル部と、開封側妻リブパネル部と、を連接して形成され、前記右ブランク屋根パネルは、開放側面にヒートシールサイドフラップを設けて前記左ブランク屋根パネルと形状を同じくして前記開封側ブランク妻パネルに対称に連接して形成され、板紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて前記封鎖側ブランク妻パネルと、前記左ブランク屋根パネルと、前記開封側ブランク妻パネルと、前記右ブランク屋根パネルとを、四角筒状に連接して形成されるゲーブルトップ型紙容器において、前記開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に形成すると共に、該易剥離性シール領域の両端の開封始端に三角状の強剥離剤塗布領域を形成し、注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を前記傾斜リブパネル部と前記ヒートシールトップパネル部が連接する中間位置を通過して前記傾斜リブパネル部と前記ヒートシールトップパネル部内に開封ガイド折れ線の延長方向に設けると共に、前記ヒートシールトップパネル部の封鎖側方向の形状を前記開封限度折れ線を境界として段差付きヒートシールトップパネル部とした手段を採る。
【0015】
また、本発明のゲーブルトップ型紙容器は、ブランク屋根パネル部のヒートシールトップパネル部の上方に折り返しトップパネル部を連接し、該折り返しトップパネル部の中間部を切り落として前記開封限度折れ線の延長線方向と対称に切り込まれる切込み部を設けると共に、縦幅寸法をやや小とし、横幅寸法をやや大とする二重折段差を形成した手段を採る。
【発明の効果】
【0016】
本発明のゲーブルトップ型紙容器によれば、紙容器の上端に二重折段差を設けることで急いで開封したりする場合や、目が不自由なお年寄りや視覚障害者においても視覚的ならびに感触的に開封側の注ぎ口の方向を分り易くすることができる優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明のゲーブルトップ型紙容器によれば、注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を傾斜リブパネル部からヒートシールトップパネル部が連接する中間位置から傾斜リブパネル部とヒートシールトップパネル部内において開封ガイド折れ線の延長方向に設けることによって、注ぎ口が最大限に開放されて開け易くなる優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明のゲーブルトップ型紙容器によれば、開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に形成し、該易剥離性シール領域の両端の開封始端に対向する三角状の強剥離剤塗布領域を形成することによって、注ぎ口を小さな力で綺麗に剥がすことができる優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明のゲーブルトップ型紙容器によれば、折り返しトップパネル部による二重折段差に一般家庭の台所にある食品包装の使用済み輪ゴムを掛けることによって、開封後の密閉状態が維持すること図ができると共に、該二重折段差に指が掛けられるようになることによって不注意や持ち手の滑りによる紙容器の落下防止が図れる優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の全体を示す展開図である。(実施例1)
【図2】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の要部拡大説明図である。
【図3】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の開封状態を示す手順図である。
【図4】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態の全体を示す展開図である。(実施例2)
【図5】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態の要部拡大説明図である。
【図6】本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のゲーブルトップ型紙容器は、紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて封鎖側ブランク妻パネルと、左ブランク屋根パネルと、開封側ブランク妻パネルと、右ブランク屋根パネルとを、四角筒状に連接して形成されるゲーブルトップ型紙容器において、開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に設けると共に、該易剥離性シール領域の両端の開封始端に三角状の強剥離剤塗布領域を形成し、注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を傾斜リブパネル部とヒートシールトップパネル部が連接する中間位置を通過して傾斜リブパネル部とヒートシールトップパネル部内において開封ガイド折れ線の延長方向に設けると共に、ヒートシールトップパネル部の封鎖側方向の形状を開封限度折れ線を境界として段差付きヒートシールトップパネル部とした手段を採ることによって、開封側の注ぎ口の方向が容易に確認できる共に、相反する開封機能と密閉機能を併せ持つことができることを最大の特徴とするもので、以下、実施例を図面に基づいて説明する。
【0022】
また、本発明のゲーブルトップ型紙容器の寸法ならび形状は、下記に述べる実施例に特に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に逸脱しない範囲で任意に変更することができる。また、明細書中に表現される方向表示は、紙容器の印刷面を表側とした展開図に基づいて説明している。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の全体を示す展開図である。
本発明のゲーブルトップ型紙容器1は、紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて封鎖側ブランク妻パネル10と、左ブランク屋根パネル20と、開封側ブランク妻パネル30と、右ブランク屋根パネル40とを四角筒状に連接して形成されるものである。
【0024】
封鎖側ブランク妻パネル10は、胴部側板パネル部11と、ボトムパネル部12と、三角折り込みパネル部13aとその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部13bとで構成される上部妻パネル部13と、封鎖側妻リブパネル部14と、を連接して形成されるものである。
【0025】
左ブランク屋根パネル20は、胴部側板パネル部21と、三角折り込みパネル部22aとその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部22bとで構成されるボトムパネル部22と、傾斜屋根パネル部23と、傾斜リブパネル部24と、ヒートシールトップパネル部25と、を連接して形成されるものである。
【0026】
開封側ブランク妻パネル30は、胴部側板パネル部31と、開放側面にヒートシールボトムフラップ33を設けたボトムパネル部32と、三角折り込みパネル部33aとその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部33bとで構成される上部妻パネル部33と、開封側妻リブパネル部34と、を連接して形成されるものである。
【0027】
右ブランク屋根パネル40は、開放側面にヒートシールサイドフラップ47を設けて前記左ブランク屋根パネル部20と形状を同じくして開封側ブランク妻パネル部30に対称に連接して形成されるものである。
【0028】
易剥離性シール領域Rは、開封側妻リブパネル部34の外側(印刷面側)に形成され、ポリオレフィンヒートシール樹脂層の表面に抗ヒートシール剤を塗布し、さらに剥がし易い剥離剤を塗布して、封鎖側妻リブパネル部14の抗剥離性シール領域Lより剥離性の高いシール領域を形成して開封側妻リブパネル部34の開封時の剥離性を良くしているものである。
【0029】
抗剥離性シール領域Lは、封鎖側妻リブパネル部14の外側(印刷面側)に形成され、ポリオレフィンヒートシール樹脂層の表面に抗ヒートシール剤を塗布し、剥離性のシール領域を形成して廃棄時の開封側妻リブパネル部34の剥離性を良くしているものである。
【0030】
側部を組み立てるに当たっては、封鎖側ブランク妻パネル10と、左ブランク屋根パネル20と、開封側ブランク妻パネル30と、右ブランク屋根パネル40と、が隣接して形成される折り線Mを山折し、右ブランク屋根パネル40のヒートシールサイドフラップ47を封鎖側ブランク妻パネル10の側端面に熱圧着して四角筒状の箱体に形成するものである。
【0031】
また底部を組み立てるに当たっては、最初に左ブランク屋根パネル20の三角折り込みパネル部22aを内側に押し込んで、斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部22bを手前に引き出し、次に対向する右ブランク屋根パネル40の三角折り込みパネル部42aを内側に押し込んで、斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部42bを手前に引き出し、次に封鎖側ブランク妻パネル10の矩形形状のボトムパネル部12を被せ、さらにその上から開封側ブランク妻パネル30の矩形形状のボトムパネル部32を被せ、さらにその上からヒートシールボトムフラップ35で熱圧着して上部が開放された容器状に形成するものである。
【0032】
また上部を組み立てるに当たっては、最初に封鎖側ブランク妻パネル10の三角折り込みパネル部13aを内側に押し込んで、斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部13bを手前に引き出し、次に封鎖側妻リブパネル部14の中間の折り線Yを谷折りし、抗ヒートシール剤が塗布される抗剥離性シール領域Lを熱圧着し、次に対向する開封側ブランク妻パネル30の三角折り込みパネル部33aを内側に押し込んで、斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部33bを手前に引き出し、次に開封側妻リブパネル部34の中間の折り線Yを谷折りし、抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域Rを熱圧着し、次に左ブランク屋根パネル20のヒートシールトップパネル部25と右ブランク屋根パネル40のヒートシールトップパネル部45の内側に塗布される抗剥離性シール領域Lを熱圧着して形成するものである。
【0033】
図2は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の要部拡大説明図である。
紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて封鎖側ブランク妻パネル10と、左ブランク屋根パネル20と、開封側ブランク妻パネル30と、右ブランク屋根パネル40とを、四角筒状に連接して形成されるゲーブルトップ型紙容器1において、開封側妻リブパネル部34に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域Rを逆台形状に形成すると共に、該易剥離性シール領域Rの両端の開封始端34aに三角状の強剥離剤塗布領域Sを形成し、注ぎ口54が最大限まで開口する開封限度折れ線60を傾斜リブパネル部24,44とヒートシールトップパネル部25,45が連接する中間位置を通過して傾斜リブパネル部24,44とヒートシールトップパネル部25,45内において開封ガイド折れ線60の延長方向に設けると共に、ヒートシールトップパネル部25,45の封鎖側方向Hの形状を開封限度折れ線60を境界として段差付きヒートシールトップパネル部26,46としたものである。
【0034】
図2(a)は要部を示す拡大斜視図である。図2(b)は開封側から見た拡大図である。図2(c)は要部を示す拡大側面図である。

開封始端34aは、開封側妻リブパネル部34の両端下部に形成されてゲーブルトップ型紙容器1の注ぎ口54を開封するに当たって最初に開かれる端部であって、この部分が少しでも開封力の要らない構造とするために易剥離性シール領域R内において三角状の強剥離剤塗布領域Sを形成しているものである。また該三角状の強剥離剤塗布領域Sを熱圧着しないで三角状の空白領域とすることもできる。
【0035】
開封限度折れ線60は、傾斜リブパネル部24,44とヒートシールトップパネル部25,45が連接する中間位置を通過して傾斜リブパネル部24,44とヒートシールトップパネル部25,45内において開封ガイド折れ線61の延長方向に設けることによって注ぎ口54が最大限まで開口することができるものである。
【0036】
段差付きヒートシールトップパネル部26,46は、ヒートシールトップパネル部25,45の封鎖側方向Hの形状を開封限度折れ線60を境界として段差を付けたトップパネル部で、段差が設けられることによって開封側方向Kの注ぎ口54を急いで開封しようとする時や、目が不自由なお年寄りや視覚障害者においても視覚的かつ感触的に認識することができる形状となるものである。
【0037】
図3は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の開封状態を示す手順図である。
(1)傾斜屋根パネル部43と三角折り返しパネル部33bの稜線折り部Fの両端の開封始端34aを摘んで両側に押し広げる。
(2)三角折り込みパネル部33aと三角折り返しパネル部33bで構成される上部妻パネル部33が平面状になるまで開封側妻リブパネル部34を開封剥離して押し広げていく。
(3)さらに開封側妻リブパネル部34の中間位置の折線の位置Qとヒートシールトップパネル部26,46の中間位置の折線の位置Pが完全に露出するまで折り部Fを摘んだ状態でさらに両側に押し広げる。
(4)開封側妻リブパネル部34の中間位置の折線の位置Qが露出したら、その折線の位置Qを摘んで注ぎ口54を本体から引き出し、開口させる。
【実施例2】
【0038】
図4は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態の全体を示す展開図である。
本発明のゲーブルトップ型紙容器1は、左右のブランク屋根パネル20,40のヒートシールトップパネル部25,45の上方に折り返しトップパネル部50を連接し、該折り返しトップパネル部50の中間部を切り落として開封限度折れ線60の延長線方向と対称に切り込まれる切込み部51を設けると共に、縦幅寸法Tをやや小とし、横幅寸法Vをやや大として、輪ゴムWが掛かり易い二重折段差52を形成するものである。
【0039】
図5は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態の要部拡大説明図である。図5(a)は輪ゴム掛け前の斜視図を示し、図5(b)は開封側から見た拡大図を示し、図5(c)は側面図を示す。
折り返しトップパネル部50によって形成された二重折段差52は、ヒートシールトップパネル部25,45を一周する段差であることから、その二重折段差52に輪ゴムWを掛けることで容易に注ぎ口54を密閉することができると共に、二重折になることによって注ぎ口54の開口部が補強される(開封時の剥離の失敗でヨレヨレにならない)ものである。
【0040】
図5(d)は輪ゴム掛け後の開封側から見た拡大図を示す。
二重折段差52に輪ゴムWが掛かることによって注ぎ口54の密閉状態が完全に維持できるものとなる。また再使用する時は、折り返しトップパネル部50の中間部が切り落とされている箇所を輪ゴムWと共に指で摘んだ状態で上方に摘み上げると輪ゴムWを二重折段差52から容易に取り外すことができる。また該二重折段差52に指が掛けられるようになっている(図5(b)参照)ことから不注意や持ち手の滑りによる紙容器本体の落下防止が図れるものである。
【実施例3】
【0041】
図6は、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の別の実施形態を示す説明図である。
ヒートシールトップパネル部25,45の両端部に輪ゴム掛け用の掛止溝53を単純に設けることによって、開封側妻リブパネル部34の開放を阻止して注ぎ口54の密閉性を維持することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のゲーブルトップ型紙容器は、上部を輪ゴムによって封止して収納物を密閉保管することができることから、牛乳紙パック容器以外の飲料紙パック容器としてや、その他家庭菜園の野菜や草花の種や肥料の保存容器としてや、釣りの生き餌ならびに練り餌入れや、虫取りの簡易虫篭としてもリサイクル利用できるもので、本発明におけるゲーブルトップ型紙容器の産業上の利用可能性は大とするものと解する。
【符号の説明】
【0043】
1 ゲーブルトップ型紙容器
10 封鎖側ブランク妻パネル
11 胴部側板パネル部
12 ボトムパネル部
13 上部妻パネル部
13a 三角折り込みパネル部
13b 三角折り返しパネル部
14 封鎖側妻リブパネル部
20 左ブランク屋根パネル
21 胴部側板パネル部
22 ボトムパネル部
22a 三角折り込みパネル部
22b 三角折り返しパネル部
23 傾斜屋根パネル部
24 傾斜リブパネル部
25 ヒートシールトップパネル部
26 段差付きヒートシールトップパネル部
30 開封側ブランク妻パネル
31 胴部側板パネル部
32 ボトムパネル部
33 上部妻パネル部
33a 三角折り込みパネル部
33b 三角折り返しパネル部
34 開封側妻リブパネル部
34a 開封始端
35 ヒートシールボトムフラップ
40 右ブランク屋根パネル
41 胴部側板パネル部
42 ボトムパネル部
42a 三角折り込みパネル部
42b 三角折り返しパネル部
43 傾斜屋根パネル部
44 傾斜リブパネル部
45 ヒートシールトップパネル部
46 段差付きヒートシールトップパネル部
47 ヒートシールサイドフラップ
50 折り返しトップパネル部
51 切込み部
52 二重折段差
53 掛止溝
54 注ぎ口
60 開封限度折れ線
61 開封ガイド折れ線
T 縦幅寸法
V 横幅寸法
M 折り線(山折り線)
Y 折り線(谷折り線)
L 抗剥離性シール領域
R 易剥離性シール領域
S 強剥離剤塗布領域
H 封鎖側方向
K 開封側方向
W 輪ゴム
F 稜線折り部
P 折り線の位置
Q 折り線の位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
封鎖側ブランク妻パネルと、左ブランク屋根パネルと、開封側ブランク妻パネルと、右ブランク屋根パネルとで構成されるゲーブルトップ型紙容器であって、
前記封鎖側ブランク妻パネルは、胴部側板パネル部と、ボトムパネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成される上部妻パネル部と、封鎖側妻リブパネル部と、を連接して形成され、
前記左ブランク屋根パネルは、胴部側板パネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成されるボトムパネル部と、傾斜屋根パネル部と、傾斜リブパネル部と、ヒートシールトップパネル部と、を連接して形成され、
前記開封側ブランク妻パネルは、胴部側板パネル部と、開放側面にヒートシールボトムフラップを設けたボトムパネル部と、三角折り込みパネル部とその斜辺に対称に隣接する三角折り返しパネル部とで構成される上部妻パネル部と、開封側妻リブパネル部と、を連接して形成され、
前記右ブランク屋根パネルは、開放側面にヒートシールサイドフラップを設けて前記左ブランク屋根パネル部と形状を同じくして前記開封側ブランク妻パネルに対称に連接して形成され、
板紙を基材とし、ポリオレフィンヒートシール樹脂層を外層とする積層体を用いて前記封鎖側ブランク妻パネルと、前記左ブランク屋根パネルと、前記開封側ブランク妻パネルと、前記右ブランク屋根パネルとを、四角筒状に連接して形成されるゲーブルトップ型紙容器において、
前記開封側妻リブパネル部に抗ヒートシール剤が塗布される易剥離性シール領域を逆台形状に形成すると共に、
該易剥離性シール領域の両端の開封始端に三角状の強剥離剤塗布領域を形成し、
注ぎ口が最大限まで開口する開封限度折れ線を前記傾斜リブパネル部と前記ヒートシールトップパネル部が連接する中間位置を通過して前記傾斜リブパネル部と前記ヒートシールトップパネル部内に開封ガイド折れ線の延長方向に設けると共に、
前記ヒートシールトップパネル部の封鎖側方向の形状を前記開封限度折れ線を境界として段差付きヒートシールトップパネル部としたことを特徴とするゲーブルトップ型紙容器。
【請求項2】
前記ブランク屋根パネル部のヒートシールトップパネル部の上方に折り返しトップパネル部を連接し、
該折り返しトップパネル部の中間部を切り落として前記開封限度折れ線の延長線方向と対称に切り込まれる切込み部を設けると共に、
縦幅寸法をやや小とし、横幅寸法をやや大とする二重折段差を形成したことを特徴とする請求項1記載のゲーブルトップ型紙容器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−86865(P2013−86865A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231480(P2011−231480)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【特許番号】特許第4917695号(P4917695)
【特許公報発行日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【出願人】(597116252)
【Fターム(参考)】