説明

ゲームシステム、それに用いる制御方法及び、コンピュータプログラム

【課題】操作指示標識と操作基準標識との間の距離を所定の条件に応じて変化させるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲームシステムは、ゲーム画面を表示出力するモニタ3と、タッチパネル5と、タッチパネル5をタッチ操作する操作時期が記述されたシーケンスデータ28を記憶する外部記憶装置20と、を備えている。また、ゲームシステムは、操作時期に対応するオブジェクト60とゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識55とをゲーム画面50に表示させるとともに、操作時期と現在時刻との時間差に伴ってオブジェクト60と操作基準標識55との間の距離が減少し、操作時期にオブジェクト60が操作基準標識55と一致するようにオブジェクト60を移動させることにより、タッチ操作をプレイヤに案内するものである。そして、ゲームシステムは、所定の条件に応じて、オブジェクト60と操作指示標識55との間の距離を変化させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に設けられた操作部の操作時期をプレイヤに指示するゲームシステム、それに用いられる制御方法及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力装置に設けられた操作部の操作時期を音楽のリズムに合わせてプレイヤに指示するゲームシステムが存在する。このようなゲームシステムであって、ゲームの進行中に操作時期を指示する操作指示標識の一部を隠すような妨害手段を備えたゲームシステムが存在する(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3031676号公報
【特許文献2】特許第2922509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のゲーム機では、操作指示標識としてのタイミングマークが操作基準標識としての下端に向かって移動している。そして、操作指示標識の一部を隠す等の妨害を実行してゲームの難易度を変化させることにより、ゲームの興趣性を向上させている。しかし、操作指示標識は、時間経過に伴って下端との距離を減少させるように移動するのみである。このため、ゲームの展開が予想され易い。
【0005】
そこで、本発明は、操作指示標識と操作基準標識との間の距離を所定の条件に応じて変化させることができるゲームシステム、それに用いる制御方法及び、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲームシステムは、少なくとも一つの操作部を有する入力装置(5)と、ゲーム画面(50)を表示出力する表示装置(3)と、ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータ(28)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識(60)と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識(55)とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路(SR)に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段(10)と、を備え、前記操作案内手段は、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更手段(10)を備えるものである。
【0007】
本発明によれば、操作指示標識と操作基準標識との間の距離を所定の条件にて変化させることができる。このため、操作指示標識と操作基準標識との間の距離を減少させるだけでなく、例えば、増加させることもできる。従って、操作指示標識と操作基準標識との間の距離が減少するだけの従来のゲームのゲーム展開に比べて、ゲーム展開の予想が難しい。このため、従来のゲームに比べて操作指示標識等の変化にプレイヤの意識を更に集めることができる。これにより、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0008】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記距離変更手段は、前記所定の条件として所定の操作を利用し、前記所定の操作に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させてもよい。この場合、プレイヤの操作に応じて操作基準標識と操作指示標識との間の距離が変化するので、操作基準標識と操作指示標識との間の距離の変化と、所定の操作との関連性をプレイヤに容易に認識させることができる。
【0009】
操作指示標識と操作基準標識との間の距離の変化はどのように生じてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記距離変更手段は、前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の前記所定の経路に沿った相対的変位の方向を一定の位置まで逆方向に変化させることにより、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させるものでもよい。また、この態様において、前記操作案内手段は、前記シーケンスデータに記述された操作時期にて前記操作指示標識と前記操作基準標識とが一致するように、前記一定の位置から前記相対的変位を元の方向に生じさせる方向変更手段(10)を更に備えてもよい。この場合、相対的変位の方向を一定の位置まで逆方向、つまり操作指示標識と操作基準標識の距離が増加する方向に変化させることができる。更に、その一定の位置からは再度時間経過に伴って操作指示標識と操作基準標識との間の距離が減少し、操作時期を案内可能なように操作時期にて操作指示標識と操作基準標識とが一致する元の方向に相対的変位の方向を戻すことができる。これにより、新たなゲーム展開を提供することができる。
【0010】
また、操作指示標識と操作基準標識との間の所定の経路に沿った相対的変位としてどのようなものが生じてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記所定の経路に沿った相対的変位として、前記操作指示標識を前記操作基準標識に向かって移動させてもよい。
【0011】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作部に対する操作の時期と前記シーケンスデータにて指定された操作時期とに基づいて少なくとも一つの操作部における操作を評価する評価手段(10)を、更に備えていてもよい。この場合、操作部に対する操作の時期をシーケンスデータに記述された操作時期に基づいて評価することができる。これにより、ゲームの興趣性をより向上させることができる。更に、この態様において、前記距離変更手段は、前記所定の条件として前記評価手段の評価結果を利用し、前記評価結果に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させてもよい。この場合、プレイヤの操作に対する評価結果を操作指示標識と操作基準標識との間の距離の変化に反映することができる。
【0012】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記入力装置には、複数の操作部が設けられ、前記シーケンスデータには、前記操作時期が、前記複数の操作部のいずれかを指定する情報と対応付けて記述され、前記操作案内手段は、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記所定の経路に沿った相対的変位を生じさせてもよい。この場合、各操作部との対応関係が判別可能な態様で、操作指示標識と操作基準標識との間の距離を変化させることができる。
【0013】
各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様として、どのような態様が利用されてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記所定の経路として前記操作部毎に区別され、各操作部にそれぞれ対応する複数の経路(SR)を前記ゲーム画面上に表示させることにより、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記所定の経路に沿った相対的変位を生じさせてもよい。
【0014】
また、前記入力装置としてどのようなものが用いられてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記入力装置として前記ゲーム画面を覆うように前記表示装置に配置されるタッチパネルが用いられてもよい。
【0015】
本発明のゲームシステムの一態様において、ゲーム音を再生出力する音声出力装置(14)と、楽曲を再生させるための楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段(20)と、前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段(10)と、を更に備え、前記シーケンスデータには、前記楽曲の再生中における前記操作部の操作時期が記述されていてもよい。この場合、音楽のリズムに対応した操作時期に操作指示標識と操作基準標識とが一致するように変位する音楽ゲームであって、所定の条件にて操作指示標識と操作基準標識との間の距離を変化させることができる音楽ゲームを実現することができる。
【0016】
本発明のゲームシステムの制御方法は、少なくとも一つの操作部を有する入力装置(5)と、ゲーム画面(50)を表示出力する表示装置(3)と、ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータ(28)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、を備えたゲームシステムのコンピュータ(10)に、前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内工程を実行させ、更に、前記操作案内工程にて、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更工程を実行させるものである。
【0017】
また、本発明のゲームシステム用のコンピュータプログラムは、少なくとも一つの操作部を有する入力装置(5)と、ゲーム画面(50)を表示出力する表示装置(3)と、ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータ(28)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、を備えたゲームシステムのコンピュータ(10)を、前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段として機能させるように構成され、更に、前記操作案内手段を、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更手段として機能させるように構成されたものである。本発明の制御方法或いは、コンピュータプログラムを実行することにより、本発明のゲームシステムを実現することができる。
【0018】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明によれば、操作指示標識と操作基準標識との間の距離を所定の条件に応じて変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一形態に係るゲームシステムが適用されたゲーム機の一例を示す図。
【図2】ゲーム機の機能ブロック図。
【図3】ゲーム画面を模式的に示した図。
【図4】適切なタッチ操作が実行された場合のゲーム画面を模式的に示す図。
【図5】図4の状態から一定時間経過後のゲーム画面を模式的に示す図。
【図6】シーケンスデータの内容の一例を示す図。
【図7】シーケンス処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図8】オブジェクト割り当て処理ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【図9】操作評価ルーチンのフローチャートの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るゲームシステムの一形態について説明する。図1は、本発明の一形態に係るゲームシステムが適用された業務用のゲーム機を示す図である。図1に示すように、ゲーム機1は、筐体2と、筐体2の上面にプレイヤP側に傾けられて配置される表示装置としてのモニタ3と、を備えている。モニタ3の表面には、入力装置としての透明なタッチパネル5が重ね合わされている。タッチパネル5は、プレイヤPが指等で触れると、その接触位置に応じた信号を出力する公知の入力装置である。その他にも、ゲーム機1には、選択或いは決定をするためのボタン、電源スイッチ、ボリューム操作スイッチ、電源ランプといった通常の業務用のゲーム機が備えている各種の入力装置及び出力装置が設けられているが、図1ではそれらの図示を省略している。
【0022】
図2は、ゲーム機1の機能ブロック図である。図2に示すように、筐体2の内部にはコンピュータとしての制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、制御主体としてのゲーム制御部11と、そのゲーム制御部11からの出力に従って動作する表示制御部12及び、音声出力制御部13と、を備えている。ゲーム制御部11は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種の周辺装置とを組み合わせたユニットとして構成されている。表示制御部12は、ゲーム制御部11から与えられる画像データに応じた画像をフレームバッファに描画し、その描画した画像に対応する映像信号をモニタ3に出力することにより、モニタ3上に所定の画像を表示させる。音声出力制御部13は、ゲーム制御部11から与えられる音声再生データに応じた音声再生信号を生成して、制御ユニット10に接続されている音声出力装置としてのスピーカ14に出力することにより、スピーカ14から所定の音声(楽音等を含む)を再生させる。
【0023】
ゲーム制御部11には、外部記憶装置20が接続されている。外部記憶装置20には、DVDROM、CDROM等の光学式記憶媒体、あるいはEEPROM等の不揮発性半導体メモリ装置といった、電源の供給がなくても記憶を保持可能な記憶媒体が使用される。
【0024】
外部記憶装置20には、ゲームプログラム21と、ゲームデータ22とが記憶されている。ゲームプログラム21は、ゲーム機1にて所定の手順に従って音楽ゲームを実行するために必要なコンピュータプログラムであり、そこには、本発明に係る機能を実現するためのシーケンス制御モジュール23及び評価モジュール24が含まれている。ゲーム機1が起動されると、ゲーム制御部11はその内部記憶装置に記憶されたオペレーションプログラムを実行することにより、ゲーム機1として動作するために必要な各種の初期設定を実行し、続いて、外部記憶装置20からゲームプログラム21を読み込んでこれを実行することにより、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行するための環境を設定する。ゲームプログラム21のシーケンス制御モジュール23がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11にはシーケンス制御部15が生成される。また、ゲームプログラム21の評価モジュール24がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11には操作評価部16が生成される。シーケンス処理部15及び操作評価部16は、コンピュータハードウェアとコンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。シーケンス処理部15は、プレイヤが選択した音楽(楽曲)の再生に合わせてプレイヤに操作を指示し、或いはプレイヤの操作に応じて効果音を発生させるといった音楽ゲーム処理を実行する。操作評価部16は、プレイヤの操作を評価し、かつその評価結果に応じたゲームの制御といった処理を実行する。なお、ゲームプログラム21には、上述したモジュール23、24の他にも音楽ゲームを実行するために必要な各種のプログラムモジュールが含まれ、ゲーム制御部11にはそれらのモジュールに対応した論理的装置が生成されるが、それらの図示は省略した。
【0025】
ゲームデータ22には、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行する際に参照されるべき各種のデータが含まれている。例えば、ゲームデータ22には、楽曲データ25、効果音データ26及び画像データ27が含まれている。楽曲データ25は、ゲームの対象となる楽曲をスピーカ14から再生出力させるために必要なデータである。図2では、一種類の楽曲データ25が示されているが、実際には、プレイヤが複数の楽曲からプレイする楽曲を選択可能である。ゲームデータ22には、それらの複数の楽曲データ25がそれぞれの曲を識別するための情報を付して記録されている。効果音データ26は、プレイヤの操作に応答してスピーカ14から出力させるべき複数種類の効果音を、効果音毎にユニークなコードと対応付けて記録したデータである。効果音は、楽器その他の様々な種類の音声を含む。効果音データは、各種類に対して、音程を変えて所定のオクターブ数だけ用意されている。画像データ27は、ゲーム画面内の背景画像、各種のオブジェクト、アイコン等をモニタ3に表示させるためのデータである。
【0026】
ゲームデータ22には、更にシーケンスデータ28が含まれている。シーケンスデータ28は、プレイヤに対して指示すべき操作時期等を定義したデータである。一曲の楽曲データに対して、最低一個のシーケンスデータ28が用意される。シーケンスデータ28の詳細は後述する。
【0027】
次に、ゲーム機1にて実行される音楽ゲームの概要を説明する。ゲーム機1は、音楽に合わせてプレイヤが操作を実行し、その操作時期等を評価するタイプの音楽ゲーム装置として構成されている。ゲーム機1による音楽ゲームの実行中、モニタ3にはゲーム画面が表示される。図3は、ゲーム画面を模式的に示した図である。図3に示すように、ゲーム画面50には、上下方向に延びる所定の経路としての複数のレーンSRが表示されている。複数のレーンSRは、左から順に第1レーンSR1、第2レーンSR2、第3レーンSR3の3つに区分線SSにて区分されるといった手段により視覚的に区分されている。3つのレーンSRの下端部には、各レーンSR1、SR2、SR3を横断するように操作基準標識55が表示されている。また、3つのレーンSRの上方には、各レーンSR1、SR2、SR3の上端部から一定距離間隔をあけた位置に各レーンSR1、SR2、SR3を横断するように、上方基準線ULが表示されている。音楽ゲームの実行中、つまり、楽曲の再生の進行中において、各レーンSR1、SR2、SR3には、操作指示標識としてのオブジェクト60がシーケンスデータ28に従って表示される。
【0028】
オブジェクト60は、曲中の適当な時期に各レーンSR1、SR2、SR3の上端部に出現し、図3に矢印Aで示したように楽曲の進行に従って、上方基準線ULを通過しつつ、下方の操作基準標識55に向かって移動する。プレイヤには、オブジェクト60の操作基準標識55への到達に合わせて、そのオブジェクト60の表示されたレーンSR上の操作基準標識55をタッチするタッチ操作が要求される。プレイヤがタッチ操作を行うと、オブジェクト60が操作基準標識に一致した時刻と、プレイヤのタッチ操作の時刻との間のずれ時間が検出される。そのずれ時間が小さいほどプレイヤの操作が高く評価される。また、タッチ操作に応じて各オブジェクト60に対応した効果音がスピーカ8から再生される。図3の例では、第1レーンSR1の上方及び、第3レーンSR3の途中に、それぞれオブジェクト60が表示され、操作基準標識55に向かって移動している。プレイヤは、例えば、第3レーンSR3の操作基準標識55への到達に合わせて、第3レーンSR3上に位置している操作基準標識55をタッチ操作すればよい。本形態では、モニタ3上に表示される操作基準標識55及び各レーンSR1、SR2、SR3と、これらに重ね合わされるタッチパネル7との組み合わせによって、3つの操作部が形成される。なお、以下では、操作基準標識55或いは各レーンSR1、SR2、SR3のそれぞれを、操作部を代表する用語として使用することがある。
【0029】
更に、各オブジェクト60の操作基準標識55への到達に合わせて、適切なタッチ操作が実行されると、適切なタッチ操作が実行されたレーンSRのオブジェクト60が移動してきた方向、つまり上方の一定の位置SLまで戻る。図4は、適切なタッチ操作が実行された場合のゲーム画面を模式的に示す図である。図4の例では、第3レーンSR3に適切な操作、つまりオブジェクト60の操作基準標識55への到達に合わせて第3レーンSR3上に位置している操作基準標識がタッチ操作された場合を示している。図4に示すように、第3レーンSR3にて、適切なタッチ操作が実行されたオブジェクト60は、タッチ操作に伴い移動方向の上方に向かって戻るように後退移動している。図4の矢印Bは、適切なタッチ操作が実行されたオブジェクト60が戻る方向を示している。そして、このオブジェクト60は、上方基準線ULよりも上方の破線で示す一定の位置SLまで戻った後、新しい操作時期を指示すべく第3レーンSR3に沿って、再度下方、つまり操作基準標識55に向かって移動する。なお、図4及び図5では、一定の位置SLを破線で示しているが、実際のゲーム画面には一定の位置SLは表示されていない。このため、上方基準線ULは、一定の位置SLに対する目安として設けられている。
【0030】
図5は、図4の状態から一定時間経過後のゲーム画面を模式的に示す図である。図5に示すように、第3レーンSR3で上方基準線ULの上方まで上昇したオブジェクト60は、再度操作基準標識55に向かって操作基準標識55の直前まで移動している。このオブジェクト60の操作基準標識55への到達に合わせて、プレイヤには再度適切な操作が要求される。そして、このオブジェクト60に対して適切な操作が実行された場合には、オブジェクト60は再度上方に移動する。つまり、適切なタッチ操作が実行される限り、オブジェクト60の上方への後退移動と再下降の移動とが繰り返される。
【0031】
一方、適切なタッチ操作が実行されなかったオブジェクト60は、操作基準標識55を通過し、ゲーム画面50から消滅する。そして、新しいオブジェクト60が上端部に出現し、操作基準標識55に向かって移動する。図5の例では、適切な操作が実行されなかったオブジェクト60として、第2レーンSR2のオブジェクト60がゲーム画面50から消滅する直前の状態を示している。また、図5の例では、図4にて第1レーンSR1に表示されていたオブジェクト60に対しても適切な操作が実行されなかった場合を示している。この場合、図5に示すように、第1レーンSR1には、上端部に新たなオブジェクト60が出現し、下方の操作基準標識55に向かって移動している。このように、プレイヤは、上方から下方に移動するオブジェクト60に対して適切な時期に適切な操作を実行しつつ、適切な操作が実行された場合には上方に戻ったオブジェクトを新たな操作時期を指示するオブジェクト60として繰り返し利用するようにゲームをプレイする。
【0032】
次に、図6を参照して、シーケンスデータ28の詳細を説明する。図6に示したように、シーケンスデータ28は、条件定義部28aと、操作シーケンス部28bと、を含んでいる。条件定義部28aには、音楽のテンポ、ビート、トラック、また、オブジェクト60をタッチ操作したときにそれぞれ発生させるべき効果音を指定する情報等、楽曲毎に異なるゲームの実行条件を指定する情報が記述される。なお、図6では条件定義部28aがシーケンスデータ28の先頭のみに設けられているが、操作シーケンス部28bの途中の適宜の位置にも条件定義部28aが追加されてよい。それにより、曲中のテンポの変更、効果音の割り当ての変更といった処理を実現することができる。
【0033】
一方、操作シーケンス部28bには、レーンSRの操作時期が、各レーンSR1、SR2、SR3のいずれかを指定する情報と対応付けて記述される。図6にその一部を例示したように、操作シーケンス部28bは、楽曲中において操作が行われるべき時期(操作時期)と各レーンSR1、SR2、SR3(操作部に対応する)を指定する情報とを対応付けた複数のレコードの集合として構成されている。操作時期は、楽曲中の小節番号、拍数、及び拍中の時刻を示す値がカンマで区切られて記述されている。拍中の時刻は、一拍の先頭からの経過時間であり、一拍の時間長をn個の単位時間に等分したときのその拍の先頭からの単位数で表現される。例えば、n=100で、楽曲の一小節目の二拍目で、かつその拍の先頭から1/4だけ経過した時刻を操作時期又は表示開始時期として指定する場合には、“01,2,025”と記述される。
【0034】
各レーンSR1、SR2、SR3は、第1レーンSR1を指定する場合に“lane1”、第2レーンSR2を指定する場合に“lane2”、第3レーンSR3を指定する場合に“lane3”とそれぞれ記述される。図6の例では、一小節目の四拍目の開始時点(000)で第3レーンSR3上の操作基準標識55をタッチ操作し、一小節目の四拍目の開始時点から“010”相当だけ経過した時期に第2レーンSR2上の操作基準標識55をタッチ操作し、一小節目の四拍目の開始時点から“016”相当だけ経過した時期に第3レーンSR3上の操作基準標識55をタッチ操作するといった具合に操作時期及び操作部が指定されている。ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、上述したシーケンスデータ28にて指定された操作時期に、操作基準標識55とオブジェクト60とが一致するように各レーンSR1、SR2、SR3のそれぞれの表示を制御する。
【0035】
次に、ゲーム機1にて音楽ゲームが実行される際のゲーム制御部11の処理を説明する。ゲーム制御部11は、ゲームプログラム21を読み込んで音楽ゲームを実行するために必要な初期設定を終えると、プレイヤからのゲーム開始の指示に備えて待機する。ゲーム開始の指示には、例えばゲームでプレイする楽曲、或いは難易度の選択といったゲームで使用するデータを特定する操作が含まれる。それらの指示を受け付ける手順は、公知のゲーム等と同等でよい。
【0036】
ゲーム開始が指示されると、ゲーム制御部11は、プレイヤが選択した曲に対応する楽曲データ25を読み取って音声出力制御部14に出力することにより、スピーカ8から楽曲の再生を開始させる。これにより、制御ユニット10が楽曲再生手段として機能する。また、ゲーム制御部11は、楽曲の再生に同期して、プレイヤの選択に対応したシーケンスデータ28を読み取って、画像データ27を参照しつつゲーム画面50に必要な画像データを生成して表示制御部12に出力することにより、モニタ3上にゲーム画面50を表示させる。更に、音楽ゲームの実行中において、ゲーム制御部11は、ゲーム画面50の表示等に必要な処理として、図7に示すシーケンス処理ルーチン及び、図8に示すオブジェクト割り当て処理ルーチン、図9に示す操作評価ルーチンのそれぞれを所定の周期で繰り返し実行する。なお、図7及び、図8のルーチンはシーケンス処理部15が、図9の操作評価ルーチンは操作評価部16が、それぞれ担当する。
【0037】
図7は、シーケンス処理部15が実行するシーケンス処理ルーチンのフローチャートの一例を示している。図7のルーチンが開始されると、ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、まずステップS1にて楽曲上の現在時刻を取得する。例えば、楽曲の再生開始時点を基準として、ゲーム制御部11の内部クロックにて計時が開始され、その内部クロックの値から現在時刻が取得される。続くステップS2において、シーケンス処理部15は、シーケンスデータ28から、ゲーム画面50の表示範囲に相当する時間長に存在する操作時期のデータを取得する。表示範囲は、一例として現在時刻から将来に向かって楽曲の2小節相当の時間範囲に設定される。
【0038】
次のステップS3にて、シーケンス処理部15は、取得した各操作時期のそれぞれに対応するオブジェクト60の割り当てを実行する。この割り当ては、一例として、図8のルーチンを実行することにより実現される。図8は、シーケンス処理部15が実行する割り当て処理ルーチンのフローチャートの一例を示している。シーケンス処理部15は、取得した各操作時期のそれぞれに対して図8のルーチンを実行する。図8のルーチンが開始されると、シーケンス処理部15は、ステップS11にて、対象の操作時期に既にオブジェクト60が割り当てられているか否かを判断する。この判断が肯定的判断、つまり、対象の操作時期に既にオブジェクト60が割り当てられていると判断した場合には、以降の処理をスキップして、今回のルーチンを終了する。なお、この割り当ての有無の判断の一例については、後述のステップS13にて詳述する。
【0039】
ステップS11にて、否定的判断をした場合には、シーケンス処理部15はステップS12に進む。ステップS12にて、シーケンスデータ28の記述に基づいて対象の操作時期が表示されるべきレーンSRを判別し、判別したレーンSRにおいて一定期間内に後退オブジェクト60が存在するか否かを判断する。後退オブジェクト60とは、図4の例で示す、第3レーンSR3にて上方基準線ULの上方まで後退移動しているオブジェクト60を指す。この後退オブジェクト60の処理の詳細は図9のルーチンにて説明する。また、一定期間として、対象の操作時期を後退オブジェクト60に割り当てた場合に、移動速度が操作時期の指示に不適切なほど高速になりすぎる等、不都合が生じない期間が設定される。例えば、割り当て処理が実行されている段階で、後退オブジェクト60が上方基準線ULよりも上方に位置している場合、又は上方基準線ULから一定範囲に位置している場合等、後退オブジェクト60の位置に対応するように設定されていてもよい。或いは、一定期間の条件を省略してもよい。ステップS12にて、否定的判断をした場合、つまり一定期間内に対象のレーンSRに後退オブジェクト60が存在しないと判断した場合、シーケンス処理部15はステップS13に進み、肯定的判断をした場合ステップS14に進む。
【0040】
ステップS13にて、シーケンス処理部15は、対象の操作時期に対して新しいオブジェクト60を割り当てて、今回のルーチンを終了する。この割り当てとして、例えば、シーケンス処理部15が後退オブジェクト60と区別するためのオブジェクト情報を操作時期に付加することにより実現される。このオブジェクト情報として、例えば、“A”という情報が付加されてもよい。また、このオブジェクト情報の有無にて、ステップS11にて、シーケンス処理部15は、対象の操作時期に既にオブジェクト60が割り当てられているか否かを判断可能である。
【0041】
一方、ステップS14にて、シーケンス処理部15は、対象の操作時期に対して後退オブジェクト60を割り当てて、今回のルーチンを終了する。この割り当ては、上述のように、例えば、オブジェクト情報を操作時期に付加することにより実現可能である。また、この場合、後退オブジェクト60に対応するオブジェクト情報として、例えば、“S”が利用されてもよい。
【0042】
なお、オブジェクト60の割り当て処理は上述の形態に限定されるものではない。例えば、対象の操作時期に対応するレーンSRに後退オブジェクト60が存在する場合、次のオブジェクト60が出現する出現位置を後退オブジェクト60が上昇する上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLに補正することによっても実現可能である。この場合、後退オブジェクト60が移動方向に向かって戻りきった一定の位置SLで消滅するとともに、その消滅した位置に次の操作時期を指示する新たなオブジェクト60が出現し、操作基準標識55に向かって適切な時期に到達するように移動するので、あたかも同一のオブジェクト60が繰り返し上昇と下降とを繰り返しているような演出が可能である。
【0043】
図7のルーチンに戻り、続くステップS4にて、シーケンス処理部15は、ステップS3にて割り当てが実行された各オブジェクト60について、ゲーム画面50内における座標を演算する。その演算は、一例として以下のように行われる。各オブジェクト60に対応する操作時期に対応付けられた各レーンSR1、SR2、SR3の指定、即ち、図6の例において、“lane1”〜“lane3”のいずれかの指定に基づいてオブジェクト60を各レーンSR1、SR2、SR3のいずれに配置すべきかを判別する。次に、各操作時期と現在時刻との時間差に応じて、操作基準標識55からの時間軸方向(つまり、オブジェクト60の移動方向)における各オブジェクト60の位置を判別する。これにより、各オブジェクト60を、指定された各レーンSR1、SR2、SR3内にて操作基準標識55から時間軸に沿って配置するために必要な各オブジェクト60の座標を取得することができる。また、この際、後退オブジェクト60の座標については、後退オブジェクト60が上昇する上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLを出現位置として考慮して、算出される。
【0044】
次のステップS5において、シーケンス処理部15は、ステップS4で演算された各オブジェクト60の座標に基づいて、ゲーム画面50を描画するために必要な画像データを生成する。具体的には、演算された座標に各オブジェクト60が配置されるように画像データを生成する。続くステップS6にて、シーケンス処理部15は表示制御部12に画像データを出力する。これにより、モニタ3にゲーム画面50が表示される。ステップS6の処理を終えると、シーケンス処理部15は今回のシーケンス処理ルーチンを終了する。以上の処理が繰り返し実行されることにより、シーケンスデータ28にて記述された操作時期にオブジェクト60が操作指示標識55へ到達するように各レーンSR1、SR2、SR3内にてオブジェクト60が移動表示される。更に、操作基準標識55にて適切な時期に適切な操作が実行された場合には、上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLまで戻り、再度操作基準標識55に向かって移動する後退オブジェクト60を新たな操作時期を指示するオブジェクト60として、その新たな操作時期に操作基準標識55と一致するように操作基準標識55に向かって移動表示することができる。
【0045】
次に、図9の操作評価ルーチンを説明する。図9の操作評価ルーチンが開始されると、操作評価部16は、まずステップS21で、タッチパネル5の出力信号を参照して操作基準標識55に対するタッチ操作の有無を判別する。このとき、操作基準標識55以外の位置がタッチされた場合には、タッチ操作なしと判断される。操作評価部16は、タッチ操作がなければ今回のルーチンを終了し、タッチ操作があればステップS22へ進む。ステップS22において、操作評価部16は、タッチパネル5から出力された位置信号に基づいて、そのタッチ操作が行われた操作基準標識55の位置を判別し、更にその判別した操作基準標識55の位置が適切な位置か否かを判断する。この際、操作評価部16は、まずシーケンスデータ28に記述された直近の操作時期に対応するレーンSR、つまりはシーケンスデータ28上で時間的に最も接近した操作時期に対応するレーンSRを特定する。そして、操作評価部16は、適切な位置として特定した操作時期に対応するレーンSR上の操作基準標識55の位置を採用する。従って、操作評価部16は、シーケンスデータ28上で時間的に最も接近した操作時期に対応するレーンSR上の操作基準標識55の位置とタッチ操作が行われた操作基準標識55の位置とを比較して、タッチ操作の位置の適否を判断する。ステップS22にて、肯定的判断をした場合には、操作評価部16はステップS23に進み、否定的判断をした場合には以降の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
【0046】
ステップS23にて、操作評価部16は、タッチ操作が実行されたタイミング(楽曲上の時刻)を判別する。続くステップS24にて、操作評価部16はシーケンスデータ28に記述された直近の操作時期、つまりはシーケンスデータ28上で時間的に最も接近した操作時期を特定し、その操作時期とタッチ操作が行われた時刻との間のずれ時間を取得する。次のステップS25において、操作評価部16は、ずれ時間が評価範囲内か否かを判別することにより、プレイヤの操作が適切か否か判断する。評価範囲は、比較対象の操作時期を中心として前後に所定の時間範囲で設定される。一例として、操作時期を中心として複数段のレベルが設定され、それらのレベルが設定されている時間範囲が評価範囲として扱われる。ステップS25にてずれ時間が評価範囲外の場合、操作評価部16は今回のルーチンを終了し、評価範囲内の場合にはステップS26に進む。
【0047】
ステップS26にて、操作評価部16は、操作基準標識55に到達したオブジェクト55に対して、上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLに向かう後退移動の表示を開始させる。これにより、オブジェクト60は進行方向とは逆の上方に向かって上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLまで移動を開始する。このオブジェクト60が図8及び、図9のルーチンの後退オブジェクト60として機能する。ステップS27にて、操作評価部16は、ステップS24で取得したずれ時間に基づいてプレイヤのタッチ操作に対する評価を決定する。この評価は、一例として、タッチ操作の時期が時間範囲内に設定された複数のレベルのいずれに属するかを判別することにより実現される。複数のレベルは、時間範囲を一定期間毎に区分するように設定されており、その各区分の操作時期に近い区分に属するほど高く評価される。その後、操作評価部16はステップS28に進み、評価結果がゲーム画面50に表示されるように、表示制御部12への出力を制御する。ステップS28の処理を完了すると、操作評価部16は今回のルーチンを終了する。
【0048】
以上に説明したように、この形態のゲーム機によれば、適切なタッチ操作に伴ってオブジェクト60が進行方向とは逆に後退移動を開始する。そして、後退移動したオブジェクト60は一定の位置SLから新たな操作時期を指示すべく再度操作基準標識55に向かって移動を開始する。つまり、オブジェクト60と操作基準標識55との間の距離を減少させるだけでなく増加させることもできる。また、操作基準標識55に対して進行と後退とを繰り返すオブジェクト60を利用して操作時期が案内されるので、プレイヤにはタッチ操作した後のオブジェクト60の行方に対する配慮が要求される。このため、オブジェクト60が操作基準標識55に向かって距離を減少させる移動しかしない場合と比べて、新たなゲーム要素を追加することができる。これにより、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0049】
以上の形態において、ゲーム機1の外部記憶装置20が楽曲データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段として機能する。また、制御ユニット10が、シーケンス処理部15に図7及び、図8のルーチンを実行させることにより操作案内手段及び、方向変更手段として機能する。さらに、制御ユニット10が、評価操作部16に図9ルーチンを実行させることにより、距離変更手段及び、評価手段として機能する。
【0050】
本発明は上述した形態に限らず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、所定の条件としてプレイヤのタッチ操作の評価結果が利用されている。そして、タッチ操作が適切な場合には、後退移動と操作基準標識への移動とが繰り返し実行される。この場合、このオブジェクト60の後退移動と操作基準標識への移動と繰り返し数に応じた評価が実行されてもよい。例えば、繰り返し数10回、20回等においてボーナス得点を付与する等の評価が実行されてもよい。
【0051】
また、上述の形態では、所定の条件としてプレイヤのタッチ操作の評価結果が利用されているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、評価結果の利用が省略され、プレイヤのタッチ操作の有無が所定の条件として利用される形態でもよい。また、所定の条件として、ゲームの展開、ゲーム進行上のオプション等、ゲームの進行上の都合によって各種条件が利用されてよい。
【0052】
上述の形態では、操作指示標識55から上方に向かって上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLまで後退移動するオブジェクト60の後退移動の途中状態も表示しているが、途中の移動表示は省略されてもよい。つまり、後退移動を開始したオブジェクト60は、後退移動の途中状態が表示されずに、目的位置である上方基準線ULよりも上方の一定の位置SLに瞬時に移動するように表示されてもよい。
【0053】
上述の形態では、操作指示標識としてのオブジェクト60が操作基準標識55に向かって移動しているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、操作基準標識が操作指示標識に向かって移動するような形態でもよいし、両方が変位するような形態でもよい。
【0054】
また、上述の形態では、各操作時期に対応する操作部が操作部毎に区別されたレーンを利用して判別可能にしているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、操作部毎に色分け或いは形状等が区別された操作指示標識が利用されることにより、各操作部を判別可能にするような形態でもよい。また、上述の形態では、複数の操作部が設けられているが、このような形態に限定されるものではない。設けられている操作部が一つの形態にも適用可能である。
【0055】
上述の形態では、入力装置としてタッチパネルが用いられているが、入力装置はこのような形態に限定されるものではない。例えば、操作部としての複数の押しボタンが設けられたコントローラ等、操作部を有している限り、各種の構成の入力装置を利用することができる。
【0056】
上述の形態では、ゲーム機1は楽曲が再生され、楽曲の演奏時間に基づいて操作指示標識が操作基準標識に向かって移動する音楽ゲーム機として構成されているが、このような構成に限定されるものではない。ゲーム機1では、映像を通じて操作時期が指示される限り多様なゲームを実行可能である。さらに、本発明のゲームシステムは、商業施設に設置される業務用ゲーム機、家庭用の据置型ゲーム機、携帯型のゲーム機、ネットワークを利用して実現されるゲームシステムといった適宜の形態で実現されてよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ゲーム機
3 モニタ(表示装置)
5 タッチパネル(入力装置、操作部)
14 スピーカ(音声出力装置)
10 制御ユニット(コンピュータ、操作案内手段、距離変更手段、方向変更手段、評価手段、楽曲再生手段)
20 外部記憶装置(楽曲データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段)
21 ゲームプログラム
22 ゲームデータ
25 楽曲データ
28 シーケンスデータ
50 ゲーム画面
55 操作基準標識
60 オブジェクト(操作指示標識)
SR1 第1レーン(所定の経路)
SR2 第2レーン(所定の経路)
SR3 第3レーン(所定の経路)
SL 一定の位置
UL 上方基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置と、
ゲーム画面を表示出力する表示装置と、
ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、
前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段と、を備え、
前記操作案内手段は、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更手段を備えることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記距離変更手段は、前記所定の条件として所定の操作を利用し、前記所定の操作に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記距離変更手段は、前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の前記所定の経路に沿った相対的変位の方向を一定の位置まで逆方向に変化させることにより、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記操作案内手段は、前記シーケンスデータに記述された操作時期にて前記操作指示標識と前記操作基準標識とが一致するように、前記一定の位置から前記相対的変位を元の方向に生じさせる方向変更手段を更に備える請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記操作案内手段は、前記所定の経路に沿った相対的変位として、前記操作指示標識を前記操作基準標識に向かって移動させる請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記操作部に対する操作の時期と前記シーケンスデータにて指定された操作時期とに基づいて少なくとも一つの操作部における操作を評価する評価手段を、更に備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記距離変更手段は、前記所定の条件として前記評価手段の評価結果を利用し、前記評価結果に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる請求項6に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記入力装置には、複数の操作部が設けられ、
前記シーケンスデータには、前記操作時期が、前記複数の操作部のいずれかを指定する情報と対応付けて記述され、
前記操作案内手段は、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記所定の経路に沿った相対的変位を生じさせる請求項1〜7のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記操作案内手段は、前記所定の経路として前記操作部毎に区別され、各操作部にそれぞれ対応する複数の経路を前記ゲーム画面上に表示させることにより、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記所定の経路に沿った相対的変位を生じさせる請求項8に記載のゲームシステム。
【請求項10】
前記入力装置として前記ゲーム画面を覆うように前記表示装置に配置されるタッチパネルが用いられる請求項1〜9のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
ゲーム音を再生出力する音声出力装置と、
楽曲を再生させるための楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段と、を更に備え、
前記シーケンスデータには、前記楽曲の再生中における前記操作部の操作時期が記述されている請求項1〜10のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項12】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置と、ゲーム画面を表示出力する表示装置と、
ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、を備えたゲームシステムのコンピュータに、
前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内工程を実行させ、
更に、前記操作案内工程にて、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更工程を実行させるゲームシステムの制御方法。
【請求項13】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置と、ゲーム画面を表示出力する表示装置と、
ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、を備えたゲームシステムのコンピュータを、
前記シーケンスデータに基づいて、前記操作時期に対応する操作指示標識と前記ゲーム上の現在時刻に対応する操作基準標識とを前記ゲーム画面に表示させるとともに、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期と前記現在時刻との時間差に伴って前記操作指示標識と前記操作基準標識との間の距離が減少し、前記操作指示標識にて案内されるべき操作時期に当該操作指示標識が前記操作基準標識と一致するように前記操作指示標識と前記操作基準標識との間に前記ゲーム上の進行に応じた相対的かつ、所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段として機能させるように構成され、
更に、前記操作案内手段を、所定の条件に応じて、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の距離を変化させる距離変更手段として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−189011(P2011−189011A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58108(P2010−58108)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】