説明

ゲームシステム、ゲーム装置、ペン、ゲーム装置の制御方法、及びゲーム装置の制御プログラム

【課題】安全な課金ができ、IDにより異なる権限の処理を行うゲームシステムを提供する。
【解決手段】
ゲーム装置と、ゲーム装置の入力インタフェイスとを備えるゲームシステムを使用する。このゲーム装置は、画像を表示する表示部上で指示された位置を取得するデジタイザ読み取り部を備える。また、このデジタイザの入力インタフェイスとして、ペンを使用する。この上で、ペンには、ペンを識別するIDであるペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ量の情報とを備える。そして、ゲーム装置とペンとの間で、このペンIDとチャージ量の情報とを、秘密通信にて送受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム、ゲーム装置、ペン、ゲーム装置の制御方法、及びゲーム装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用ビデオゲーム機においては、コンシューマー(家庭用)向けのビデオゲーム機では提供不可能な専用インタフェイスを用いた業務用ビデオゲーム装置が普及している。
このような業務用ビデオゲーム装置用には、従来、ジョイスティック、ボタン、トラックボール等の様々なゲーム装置用のインタフェイスが存在する。
【0003】
そして、このような業務用ビデオゲーム装置用のインタフェイスとして、ペン型の位置入力デバイス(座標指示器。以下、「ペン」と示す。)を用いることが考えられる。
このようなペンを用いた従来技術として、特許文献1を参照すると、複数の作業員が作業するシステムにおいて、作業員が行った入力操作と共にその作業を行った作業員を特定する信号を自動的に出力する入力手段と、該信号に基づき作業員と作業員が行った作業とを対応させて記憶する記憶手段と、作業員に作業記録の入力を意識させることなく前記記憶に基づき作業員の作業を自動的に管理する管理手段とを備えることを特徴とする作業管理システムが記載されている(以下、従来技術1とする。)。
【0004】
従来技術1のシステムでは、簡単な個人認証で個々の作業員の作業を管理し、各作業員に応じたサービスを行うことのできる作業管理システムを提供することができる。
すなわち、ペンで画面を指すといった簡単な操作で簡単な個人認証行い、各作業員に応じたサービス(物質的財貨を生産する労働等)を行うことができる。
また、複数の作業員が同時に作業を行う場合でも、作業員単位での作業管理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−35923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術1は、作業員を特定する信号を自動的に出力することができるものの、その通信手段が暗号化されていないため、遊戯を行うにあたり、課金を伴うゲーム装置では用いることができないという問題があった。
また、従来技術1は、ペンにより異なるIDの信号を送信するように構成されているものの、このペンに係る異なるIDにより異なる処理を行う技術が開示されていなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のゲームシステムは、ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムにおいて、前記ゲーム装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部上で指示された位置を取得するデジタイザ読み取り部と、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する第1秘密通信部とを備え、前記ペンは、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、前記デジタイザ読み取り部用の信号を出力する出力部と、前記第1秘密通信部と決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する第2秘密通信部とを備えることを特徴とする。
本発明のゲームシステムは、前記ゲーム装置用の決済を行うチャージ装置を更に備え、前記チャージ装置は、前記ペンIDと、前記ゲーム装置用の決済に係るチャージ情報とを前記ペンに書き込むチャージ部と、前記第2秘密通信部と信号を送受信する第3秘密通信部とを備えることを特徴とする。
本発明のゲームシステムは、生体認証又はサイン認証のための認証部を更に備えることを特徴とする。
本発明のゲームシステムは、前記ペンは、クリックによりゲームの操作に係る値を変化させるためのスイッチであるクリック部を更に備えることを特徴とする。
本発明のゲームシステムは、前記ペンは、ゲームの操作に係る値を表示するクレジット表示部を更に備えることを特徴とする。
本発明のゲームシステムは、前記ペンは、音声信号を入出力する音声入出力部、振動を出力するフォースフィードバック部のいずれかを備えることを特徴とする。
本発明のゲーム装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部の画面上の座標を取得するデジタイザ読み取り部と、ペンを識別するIDであるペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを送受信する第1秘密通信部とを備えることを特徴とする。
本発明のゲーム装置の入力インタフェイスのペンは、ペンを識別するIDであるペンIDと、デジタイザ読み取り部用の信号を出力する出力部と、第2秘密通信部とを備えることを特徴とする。
本発明のゲーム装置の制御方法は、ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムの制御方法であって、前記ペンにより、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、チャージ情報と、デジタイザ読み取り部用の信号とを秘密通信にて出力し、前記ゲーム装置により、ペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信することを特徴とする。
本発明のゲーム装置の制御方法は、前記ゲーム装置は、前記ペンIDにより異なる階層の処理を行うことを特徴とする。
本発明のゲーム装置の制御プログラムは、ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムの制御プログラムであって、前記ペンにより、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、チャージ情報と、デジタイザ読み取り部用の信号とを秘密通信にて出力し、前記ゲーム装置により、ペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ゲーム装置の入力インタフェイスのペンから秘密通信によりペンIDとチャージ情報とを送信し、ゲーム装置にてペンIDとチャージ情報を送受信することで、安全な課金ができ、ペンIDにより異なる権限の処理を行うゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲームシステムAの外観を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るペン30の制御構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るチャージ装置60の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10の表示部270内のデジタイザの構成を示す概念図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のデジタイザの電極板440のループアンテナXの構成を示す概念図である。
【図6B】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のデジタイザの電極板440のループアンテナYの構成を示す概念図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のデータ表示処理のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係るペン30を用いた一般プレイヤによるデータ表示の概念図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るペン31を用いた管理者によるデータ表示の概念図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のプレイ処理のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る一般プレイヤゲーム処理のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る管理者ゲーム操作処理のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係るカジノゲームをプレイ中のゲーム画面の概念図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る複数のカジノゲームを同時にプレイ中のゲーム画面の概念図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る投網ゲームをプレイ中のゲーム画面の概念図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るリアルタイム・シミュレーション・ゲームの一般プレイヤゲーム処理のフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態に係るリアルタイム・シミュレーション・ゲームのペン指示処理のフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態に係るリアルタイム・シミュレーション・ゲームのペン指示の概念図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るリアルタイム・シミュレーション・ゲームの画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔ゲームシステムAの構成〕
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAの外観について説明する。
ゲームシステムAは、ゲーム装置10、ペン30(座標指示器)、ペン31(座標指示器)、大型表示装置55、チャージ装置60(入金登録部/入金登録手段)と、図示しないサーバ等から構成されている。これらの装置は、1つの遊戯施設に、それぞれ複数備えることが可能である。
ここで、ゲーム装置10は、複数人が同時にプレイ可能なゲームを実行するゲーム装置であり、電磁デジタイザや光学読み取りパネルやタッチパネル等(以下、「デジタイザ」と示す。)を内蔵している。このため、ペン30、31等を用いて平面ディスプレイである表示部270に対して指示された位置を取得することができる。また、ゲーム装置10は、ペン以外にも、各プレイヤや管理者が用いるスイッチ240等を備えることができ、音声入出力を行う出音装置280も備えることができる。
複数のペン30、31は、ループコイルを内蔵したデジタイザ用の電子ペンやLED(Light Emitting Diode)により、表示部270への指示位置を伝えることができる。また、各ペン30、31は、後述する固有のペンID(Identification/ペン識別情報)をペンID部350に記憶することができ、これにより複数人のプレイヤでのゲームのプレイが可能である。また、ペンに付随する固有のペンIDにより、一般プレイヤが使用できる機能と、管理者が使用できる機能とを差別化することが可能であり、これにより後述する様々な機能を実現することができる。
大型表示装置55は、大型の液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)等の表示装置(表示部)である。また、大型表示装置55は、レーザー等を用いて映像(画像)を投影する光学プロジェクタ(投影部/投影手段)を使用することができる。大型表示装置55は、ゲーム装置10のゲームに関連した画像や複数のゲーム装置10のゲーム状況等を表示することができるモニタである。なお、大型表示装置55は、一般プレイヤが装着するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、それぞれのゲーム装置10に付随してほぼ同じ内容を表示するように備えられる小型のディスプレイ等であってもよい。
チャージ装置60(入金登録部/入金登録手段)は、プレイヤがペン30等に、ゲーム等をプレイするためにコインやメダルやICカード等に記憶された金額的単位等の経済的価値媒体の入金(チャージ)を行ったり、名前(本名、ニックネーム、ユーザ名等)や住所等のプレイヤに関連するプレイヤ関連データを登録したりするための専用機器である。たとえば、このチャージ装置60は、プレイヤがペン30等をチャージ装置60の所定の位置に置き、そのプレイヤの生体認証等を行うにより、置いたペン30等に付随するペンIDを作成するとともに、チャージ部610(図4参照)にて金銭やクレジットカード等にて決済を行う。その際、チャージ装置60の秘密通信部660(図4参照)により、ペン30等の記憶部305にチャージ金額に係るチャージ量(チャージ情報)を記憶するチャージを行うことができる。なお、チャージ装置60の秘密通信部660とペン30等の秘密通信部360との通信ができれば、チャージ装置60の近辺にペン30等を置く必要はなく、プレイヤのポケット等に差し込まれた状態でもチャージを行うことができる。
これにより、複数のゲーム装置10の各々に金銭やクレジットカードを読み込ませるための決済手段を備える必要がなくなるため、コストを低減することができる。
また、後述するように、複数のゲーム装置10にて、同一のペン30やペン31等を用いて指示することができ、チャージ量(入金額)も共通に用いることができる。なお、チャージ装置60をゲーム装置10に内蔵する構成も可能である。
さらに、ゲームシステムAにおいては、この他にも、ペン30、31等を遊戯施設外に持ち出すとブザー等で警告するようなゲート装置や、各ランキングや装置の稼働状況や売り上げの集計等を行うサーバ、管理者用の管理装置等を更に備えることが可能である。
【0012】
〔ゲーム装置10の制御構成〕
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10のハードウェアの制御構成について説明する。
ゲーム装置10における制御装置(電子回路)の構成としては、CPU100(制御部、ゲーム実行部)と、記憶部110と、ブートROM130と、ペリフェラルI/F140(周辺機器接続インタフェイス手段)と、バスアービタ150と、GPU160(描画手段)と、グラフィックメモリ170と、オーディオプロセッサ180と、オーディオメモリ190と、通信I/F200(通信部/通信手段)と、照明部210(照明手段)と、認証部220と、スイッチ240と、秘密通信部260(第1秘密通信部、秘密通信手段)、表示部270(表示手段)と、出音装置280(音声入出力部)と、センサーマイコン400、電極シート440(検出部)とを含んで構成される。このうち、電極シート440が、表示部270に内蔵されることで、例えばデジタイザを構成することができる。
【0013】
CPU100は、CISC(Complex Instruction Set Computer、複合命令セットコンピュータ)方式やRISC(Reduced Instruction Set Computer、縮小命令セットコンピュータ)方式のCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Siganl Processor)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサ)等である演算・制御能力を備えた制御手段である。
また、CPU100に、後述する記憶部110の一部の機能や、GPU160やオーディオプロセッサ180等の機能を備えることも可能である。
さらに、CPU100は、プログラム111を用いて、図1のペン30、31等のタッチ位置等を検知することができる。加えて、秘密通信部260を用いて、ペン30、31との間で情報を送受信することもできる。
【0014】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)等の主記憶用に使われる高速な記憶手段と、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、磁気テープ装置、光ディスク装置等の補助記憶手段を含んで構成される。
記憶部110には、プログラム111と、データ112とが備えられている。また、記憶部110には、ゲーム装置10をコンピュータとして機能させるためのOS(Operating System、図示せず)が備えられており、プログラム111等は、OSの各種API(Application Programming Interface)により、ゲーム装置10の各機能にアクセス可能である。
プログラム111は、CPU100が実行するゲームプログラムである。また、ペン30、31等により、後述するようなデータ表示機能を実行するためのプログラムを内蔵している。なお、プログラム111自体を、サーバ(図示せず)からダウンロードしてアップデートしたり、ゲーム開始時にダウンロードしたりするような構成にすることも可能である。
データ112は、このゲームプログラム111用の各種データであり、各ゲームキャラクタやゲーム内のマップやオブジェクト等の表示用ポリゴンデータ、音楽データ等のゲーム実行に必要なデータを備えている。また難易度の設定、ゲーム装置10の稼働状況や売り上げ等の情報も記憶することができる。
【0015】
ブートROM130は、ROM(Read Only Memory)やNOR型フラッシュメモリや擬似SRAM(PRAM:Pseudo SRAM)等の不揮発性記憶媒体である。
ブートROM130は、ゲーム装置10が起動する際に、CPU100のマイクロコードの設定を行ったり、各部の初期化を行ったり、記憶部110からOS等を起動し、プログラム111が実行されるような指示を行う。
また、通信I/F200のIPアドレス等を設定したり、各部の動作テストをしたり、ゲーム装置10の稼働状況や「当たり」の出た回数やチャージ量(入金額)等をカウント(計数)するためのプログラムやデータを備えている。
【0016】
ペリフェラルI/F140は、各種周辺機器(ペリフェラル)に接続するための、USB、IEEE1394、シリアル、パラレル、赤外線、無線等のインタフェイスを提供する部位である。ペリフェラルI/F140には、ゲーム装置10で使用する各種周辺機器が接続される。
ペリフェラルI/F140には、本実施形態のゲーム装置10においては、照明部210、認証部220、スイッチ240、秘密通信部260、センサーマイコン400等を接続して用いることができる。
ペリフェラルI/F140には、更に、スティック型コントローラや振動装置等のフォースフィードバック装置、足踏み/手押し式のスイッチ、キーボード、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス等を接続して用いることができる。
また、ペリフェラルI/F140は、電子スイッチ等を制御することもでき、各種周辺機器の電源を「オン」又は「オフ」にして消費電力を抑えたりすることもできる。すなわち、ゲーム装置10が内蔵する、照明部210の照明のコントロール等も可能である。
【0017】
バスアービタ150は、いわゆる「チップセット」等の、各部を接続するためのバスインタフェイスを提供する集積回路であり、CPU100等からのバスの使用要求に応じて、バスの使用権につき調停を行う部位(集積回路)である。
このバスアービタ150で接続される各部のバスのスピードは異なっていてもよく、上り/下りで非対称であってもよい。また、例えば、CPU100と、記憶部110と、バスアービタ150の間はFSBやHTといった高速なバスで接続され、GPU160とバスアービタ150の間も広帯域なバスで接続されるのが好適である。さらに、CPU100にDDR2/3 SDRAMやXDR DRAM等のバスインタフェイスが内蔵されて、記憶部110を直接読み書きするように構成されていてもよい。
【0018】
GPU160は、3次元CGを描画する機能をもつグラフィック・プロセッサ(画像生成手段、画像生成部)である。GPU160は、ポリゴンのジオメトリ(座標)の計算を行うジオメトリ部162と、ジオメトリ計算が行われたポリゴンをラスタライズ/レンダリング(描画)するレンダリング部164とを含んで構成される。また、GPU160は、描画された画像を表示部270に出力するため、RAMDAC(RAM D/Aコンバーター)やHDMIインタフェイス等を備えている。
また、GPU160は、ペン30、31等によりサイン入力が行われた際にサインを形成する押下された点の座標情報の集合であるストロークからベクトル成分、加速度成分等の特徴量を抽出して、サイン認識を行う際に用いることも可能である。
【0019】
ジオメトリ部162は、ポリゴンの3次元空間での座標(ワールド座標)について、行列の回転や拡大等を行って、アフィン変換等を行い、ポリゴンの2次元空間での座標を求めるジオメトリプロセッサ等の機能を備える部位である。また、ジオメトリ部162は、ポリゴンの分割やスプライン補完等のテッセレーションを行う、「ジオメトリシェーダ」(又はバーテックスシェーダ)を備えることもできる。
レンダリング部164は、座標計算されたポリゴンについて、テクスチャと呼ばれる画像データを貼り付け、各種効果を加えてグラフィックメモリ170に描画するレンダリングプロセッサ等の機能を備える部位である。この各種効果としては、プログラマブル・シェーダ等を用いて、光点・影(シェーディング)計算、明暗の表現、半透明、ぶれ、霧、ぼかし、HDR(ハイダイナミックレンジ合成)等の計算を行うことができる。また、レンダリング部164が描画するポリゴンの種類としては、点ポリゴン(ポイント)、線ポリゴン(ラインリスト)、三角形や四角形といった面ポリゴン、面ポリゴンの集合体等がある。加えて、レンダリング部164がレイ・トレーシング等を用いて描画を行う際には、円、楕円、球、メタボール等の領域で定義される物体を描画することも可能である。
なお、ジオメトリ部162を、CPU100にて処理するように構成することも可能である。この場合は、記憶部110に記憶するプログラムをCPU100が実行し、CPU100のプログラムの実行により作成したポリゴンの座標情報を、グラフィックメモリ170に転送等を行う。レンダリング部164は、このポリゴンの座標情報に従って、ポリゴンを描画する。
【0020】
グラフィックメモリ170は、GPU160が描画するために高速に読み書きができる記憶媒体である。
たとえば、このグラフィックメモリとして、GDDR(Graphics Double Data Rate、グラフィックス・ダブル・データレート)等の広帯域なメモリを高レベルのメモリインターリーブ等を用いて接続することができる。
また、システムLSIのようにグラフィックメモリをGPU160に内蔵する構成も可能である。
また、GPU160が描画している間に、表示部270に表示するためのデュアルポート構成をとることも可能である。
【0021】
オーディオプロセッサ180は、音楽や音声や効果音を出力するためのPCM(Wave)音源等を備えたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)等である。オーディオプロセッサ180は、物理演算音源、FM音源等の計算を行い、残響や反射等の各種音声効果を計算することもできる。オーディオプロセッサ180の出力は、D/A(デジタル・アナログ)変換され、デジタルアンプ等に接続されて、出音装置280(例えば、スピーカ等)で音楽や音声や効果音として再生される。また、オーディオプロセッサ180は、マイクから入力した音声の音声認識等にも対応することができる。さらに、オーディオプロセッサ180は、ペン30、31等から入力した音声信号を用いた音声認識等にも対応可能である。
オーディオメモリ190は、音楽や音声や効果音のためのデジタル変換されたデータを記憶している記憶媒体である。オーディオプロセッサ180とオーディオメモリ190とを一体的に構成することも当然可能である。
【0022】
通信I/F200は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)等のネットワークに接続するためのインタフェイスである。通信I/F200は、例えば、WiMax(登録商標)、c.Link(登録商標)、HDMI(登録商標)、有線/無線LAN、電話線、携帯電話網、PHS網、電灯線ネットワーク、IEEE1394等を用いることができる。
通信I/F200を介して、ゲーム装置10は、他の同様の構成のゲーム装置10やサーバ(図示せず)と通信することができる。これにより、例えば、通信可能に接続されている他のゲーム装置10のプレイヤとの対戦ゲーム(対戦などの競争を行うゲーム)や、共同ゲーム(協力して課題を解決するゲーム)をすることができる。また、複数のゲーム装置がサーバを介して、または、サーバを介さないで、通信可能に接続されることでゲームスコア(点数、得点等)の集計や、他の遊戯施設に配置されたゲーム装置との間で対戦ゲームを行ったり、ランキングを集計したりすることが可能である。
また、後述する他のゲーム装置10が同じ施設に備えられている場合には、ペン30、31等のチャージ量(入金額)が不正な方法により増減されていないかを、各ゲームプレイを実行する直前のチャージ量の状態を通信することで、チェックすることも可能である。
【0023】
照明部210は、ゲーム装置10の筐体に備えられたLEDアレイや電球や蛍光灯等の照明機器とその照明の制御回路等である。この照明部210により、ゲーム中の各種効果に合わせて、点灯等を行うことで、ゲーム性を高めることが可能になる。
【0024】
認証部220は、指紋、静脈、網膜、脈拍、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)等の各種生体認証を行うセンサや、サインの認証を行うための専用DSP(Digital Signal Processor)を備えている部位である。
また、パスワードや暗証番号を入力して、それが正しいかどうかを判定するためのハッシュ関数のパラメータやIDをフラッシュメモリやROM等に記憶して備えるように構成することもできる。
【0025】
スイッチ240は、ゲームのプレイ時に各種の選択やメニューの呼び出し等に用いるための、ボタンやフットスイッチ/ペダルやジョイスティックやトラックボールや光学ポインティングデバイス等である。なお、本発明の実施の形態に係るゲーム装置10においては、このスイッチ240を設けない、すなわちスイッチ240を用いない構成とすることも可能である。また、タッチパネルやタッチパッドをデジタイザ読み取り部275と別に備えて、スイッチ240として使用することも可能である。
【0026】
秘密通信部260は、ペン30、31等(図1)との間で、セキュア(秘密保持、暗号化)な状態の秘密通信(暗号化通信)を行うための部位である。秘密通信部260は、Bluetooth(登録商標)や無線LANや赤外線や電磁誘導を使った通信にて、秘密通信を行い、情報を読み書きする。
アンテナ265は、秘密通信部260の通信方式に対応したアンテナや赤外線等の送受信部である。
【0027】
表示部270は、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)等の表示手段(表示部)である。また、表示部270は、光源と反射型/透過型液晶素子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、レーザー等を用いて映像(画像)を投影する光学プロジェクタ(投影部/投影手段)を使用することもできる。プロジェクタを用いる構成では、スクリーンを備えて、映像(画像)を投影することが可能である。
表示部270には、具体的なゲーム上の展開やスコア等に加え、設定画面等についても表示することができる。
なお、本実施の形態においては、表示部270に液晶ディスプレイを用いる構成について説明する。この構成では国際公開WO2008/12312パンフレットに開示されているように液晶ディスプレイに用いられるバックライト(光源)と液晶パネル本体との間にデジタイザ用の電極シート440を備えることができる。この際に、拡散部材等を用いることで、電極シート440の影が液晶パネルに映らないようにすることができる。
【0028】
デジタイザ読み取り部275(検出部)は、センサーマイコン400と電極シート440とを備えており、ペン30、31等の表示部270上の位置座標(X座標、Y座標、又はZ座標)やタッチの有無等を取得する部位である。
なお、本実施の形態においては、この位置座標の取得は電極シート440を用いた場合、すなわち、電磁デジタイザを用いた場合の例について説明する。
【0029】
センサーマイコン400は、それぞれの電極シート440からのX軸、Y軸方向の接触位置を電磁誘導の誘導電流等により取得して、検知するマイコン(MPU、センサ制御部)とA/D変換器等を備えた部位である。
ここで、表示部270がフルHD(Full High Definition、1920×1080ドット)の解像度であった場合には、センサーマイコン400は、その各ドットの座標を取得することが可能である。そして、有効なセンサの距離としては、数cm〜数10cmの距離において、表示部270の面からの上下方向(Z軸)について取得することもできる。
また、センサーマイコン400は、例えば、数本〜数十本の複数のペン30、31の座標を同時に測定することが可能である。この測定のスピードとしては、表示部270の表示更新スピードや、ゲーム画面の更新スピード(リフレッシュレート、フレームレート)に対応させることが可能である。たとえば、1/60秒や1/30秒といった周期で、この複数のペン30、31の座標を取得できる。これにより、複数の者が同時に、ゲーム装置10を用いてゲーム等を行うことも可能になる。なお、より表示更新スピードよりも速い/遅い周期で座標を取得することも可能である。
また、秘密通信部260を備えない構成の場合は、電磁誘導を用いて、直接、ペン30、31とゲーム装置10とがデジタイザ読み取り部275を介して通信を行い、データの送受信をすることもできる。
【0030】
電極シート440は、スクリーン印刷等により、導電性の複数の線がコイル状に形成されたシートである。この導電性の線は、金属粉や導電性プラスチック、透明金属等を用いて形成される。後述する構成により、この線は、液晶ディスプレイのバックライトから液晶パネルへの光に対して、導電性の線の陰影が液晶パネルに投影されにくくするように構成される。この電極シート440と表示部270との構成については後述する。
なお、電極シート440は、静電容量式デジタイザのスイッチや抵抗皮膜式のタッチスイッチ等を用いることができる。その際には、液晶パネル上にこの電極シート440を形成し、シートのような透明基板上に導電性の分割された領域(エリア)を形成することも可能である。
【0031】
出音装置280は、オーディオプロセッサ180から出力された音声信号(音声情報)を、デジタルアンプ等で増幅して、音声出力する部位である。
また、出音装置280と同時に、音声入力を行うためのマイク(図示せず)を備えていてもよい。
【0032】
〔ペン30の制御構成〕
ここで、図3を参照して、ペン30の制御構成について説明する。上述したように、ペン30は、プレイヤや管理者が表示部270の表示面をポインティング(指定)してこの表示面の位置座標をゲーム装置10のCPU100(図2)に入力するための入力手段である。なお、本実施形態では、ペン30、31が電磁デジタイザ用のループコイルを内蔵した電子ペンである場合について説明する。また、ペン30とペン31とは同様な構成であり、それぞれ複数用いることができる。
ペン30は、主に本体部35とループコイル部37とを含んで構成される。この本体部35は、電池やキャパシタ等の電源部(図示せず)により作動し、ペン30の各機能が搭載された回路基板を備えている。また、ループコイル部37には、電磁デジタイザ用のループコイルと押下圧(筆圧)感知スイッチを含んでいる部位であり、デジタイザ読み取り部275に位置を検知させる電界を発生(信号を出力)させる。
【0033】
本体部35には、制御部300、記憶部305、ループコイル出力部310、認証部320、バッテリ監視部330、加速度センサ335、クリック部340、ペンID部350、秘密通信部360(第2秘密通信部)、クレジット表示部370、音声入出力部380、フォースフィードバック部390のような構成を備えることができる。また、それらのうちいくつかを含まないような構成にして、コストを削減することもできる。
以下において、ペン30は主に一般のプレイヤが用い、ペン31は管理者が用いるものとして説明する。上述したように、ペン31はペン30と同様の構成を用いることができるものの、ペンID部350に記憶された固有のIDであるペンID(ペン識別情報)により区別することができる。
なお、ペン31には、特別な固有のIDを設定したり、認証用チップや認証部320の構成を用いる等の差異を設けることも可能である。
また、ペン30、31等は、必ずしもペンや鉛筆のような細長い棒状の形状である必要はなく、手で握るような形状であったり、フィギュア状であったりといったプレイヤが独立して動かせるようなものであればよい。
【0034】
制御部300は、低消費電力のMPUやCPUやDSP等であり、ペン30の各部の制御を行う。
記憶部305は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む記憶部であり、チャージ量(入金額、課金情報)、チャージ量に係るクレジット値(遊戯的価値情報)、ベットするクレジットの値であるベット額面金額、個人の成績や対戦相手の情報等についても暗号化して書き込んで記憶することもできる。また、この記憶部には、カジノゲームでのプレイの勝率といったプレイヤに関連するプレイヤ関連情報などを記憶することができる。さらに、このプレイのレベルにより、選択可能なゲームを変更することができる。なお、この記憶部305に、ペンIDを記憶するような構成にすることも可能である。
【0035】
ループコイル出力部310は、ループコイル部37のループコイルに電流を流し、磁場を発生させるための磁場発生部(磁場発生手段)である。
ループコイル部37が表示部270の表面の保護板等と距離が近くなると、ループコイル出力部310は、ループコイル部37のループコイルに電流を流し、磁場を発生させる。このループコイルからの磁場は、電極シート440(図5)に誘導電流を発生させ、この誘導電流の強さや分布により、デジタイザ読み取り部275のX軸Y軸の座標を得ることができる。また、この磁場を変調することにより、通信を行うこともできる。
また、ループコイル出力部310は、ループコイル部37の押下圧感知スイッチが所定の圧力以上の場合に、ループコイル部37のループコイルに電流を流し、磁場を発生させることができる。
【0036】
認証部320は、認証部220(図2)と同様の生体認証センサやDSP等を備える部位である。これにより、プレイヤや管理者がペン30,31に触れている(握っている)間に不正ができないように、所定の間隔にて認証を行い続けることができる。
この認証に失敗して、ペンを使用するプレイヤや管理者でない者(第三者)がペン30(もしくはペン31)を用いている場合には、認証部320が、クレジット表示部370に「Err」等、異常が発生している旨を伝えるエラー表示を行ったり、音声入出力部380を用いて警告ブザー音等を出力したりすることができる。なお、上述したようにペン31のように管理者が使うペンにのみ認証部320を備える構成も可能である。
【0037】
バッテリ監視部330は、図示しない電池やコンデンサ(キャパシタ)等の電源部と接続されており、この電源部の電池から供給された電力のチェックを行う。
電池やコンデンサ(キャパシタ)等の電圧が低下して「電池切れ」の状態になった場合には、音声入出力部380を用いてブザー音等を出力したり、LEDを点灯させたりして、ペン30やペン31の所持者に対し、電池の交換や充電を行うように指示することができる。
【0038】
加速度センサ335は、XYZ三軸の加速度を検出することができるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるアナログ/デジタル出力加速度を出力する公知のセンサである。
この加速度センサ335の出力は、後述するサイン認証をするときに特徴量の1つとして用いることができる。また、加速度センサ335は、デジタイザによるサイン入力とは別に、ゲームのコマンドを入力するのにも用いることができる。すなわち、ゲームシステムAにおいては、サイン入力と、ペン30を持ち上げての移動によるコマンド入力の両方を用いることができる。
また、この加速度センサ335からの出力により、ペン30のXYZ座標を計算することができる。これにより、デジタイザ読み取り部275の読み取りの精度を高めるとともに、複数のペン30、31が用いられている場合に、ペンの位置座標とペンID部350との対応を素早く行うことができる。これにより、ペン30、31の読み取り速度を速めることができ、プレイヤや管理者の素早い行動や動作に対応できる。よって、ゲーム性を向上させることができる。
【0039】
クリック部340は、図示しないメカニカルなボタンやスイッチが接続されている部位である。このボタンやスイッチは、ペン30の本体部35の機械的なバネ等により普段は接触しないようになっていてもよく、プレイヤや管理者が、メカニカルペンシルやボールペンのように押し込むことで、ゲームの操作に係る値を変化させることができる。
このゲームの操作に係る値としては、例えば、後述するカジノゲームにおいて、クリック部340は、プレイヤのクリックを行う回数により、ベット時(賭ける際)のクレジット値(遊戯価値情報)を増減させることができる。また、ベットするクレジット値の他にも、投網ゲームの網の大きさ、リアルタイム・シミュレーション・ゲームにおける攻撃の強さや攻撃の種類といった、ゲームの種類に従った値を入力可能である。
【0040】
ペンID部350は、それぞれのペン30、31毎に異なるユニークなペンIDを記憶している部位である。
このペンIDは、チャージ装置60によりその固有のIDであるユニークなペンIDをペンID部350に書き込むことが可能である。上述のように、このペンIDにより、ペン30、31の区別を行うことが可能である。すなわち、ペンIDにより、ゲームシステムAにおいて扱える機能に差をつける(扱う機能を階層的にする)ことが可能になる。
【0041】
秘密通信部360は、秘密通信部260との間でセキュアな通信を行うための部位である。ペン30の電池の消耗を少なくするため、この秘密通信部360は、省電力の電波送受信手段であることが望ましい。また、秘密通信部360は、通信のためのアンテナ365を備えている。
このアンテナ365は、ペン30に内蔵していても良いし、ペン30のクリップ部分をアンテナとしてもよい。
【0042】
クレジット表示部370は、小型の8セグメント/ドットマトリクスの液晶ディスプレイ、LED、有機ELパネル等であり、プレイヤや管理者の操作における情報を表示する。このクレジット表示部370は、小型パネルとLEDといった、複数の表示手段を用いて構成してもよい。また、クレジット表示部370は、エラー、ゲームの設定/状態/ヘルプ、プレイ指示、プレイヤや管理者の認証部320の情報、ゲームオーバー(「Game Over」)といった情報を表示可能である。
たとえば、後述するカジノゲームにおいては、クレジット表示部370にベットするクレジット値を情報として表示可能である。これにより、一度にベットするクレジット値(遊戯価値情報)を簡単に確認(認識)することが可能となる。
【0043】
音声入出力部380は、小型のスピーカとアンプ、ブザー、マイク、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ等を備えている部位である。この音声入出力部380のスピーカやブザーは、ゲームに関連する処理において、音声を出力し、警告を発する。
また、マイクによる音声入力により、ゲーム装置10に指示を出すこともできる。
【0044】
フォースフィードバック部390は、振動モータや重りによりペン30の重心を変更するアクチュエータ等であり、ゲーム装置10の処理に対応して、振動等を発生させる。たとえば、後述するカジノゲームでは、「当たり」が出た際に、フォースフィードバック部390がペンに振動を発生させることにより、プレイヤの感情の高まりを表現する。
これにより、ペン30は、単なるデジタイザのペンではなく、ゲーム用の入力機器として、臨場感あるプレイを行うことが可能になる。
【0045】
〔チャージ装置60の制御構成〕
次に、図4を参照して、チャージ装置60の制御構成を詳しく説明する。
チャージ装置60は、ペン30やペン31にペンIDを書き込み、チャージ(課金)を行うための装置である。チャージ装置60は、CPU600、チャージ部610、認証部620、ID作成部650、秘密通信部660(第3秘密通信部)、通信I/F690を含んで構成される。
【0046】
CPU600は、CPU100と同様のCPUやMPU等の制御部であり、チャージ装置60の各部を制御する。
【0047】
チャージ部610は、ゲームをプレイするために、ユーザ(プレイヤ)が投入する所定のコイン等の経済的価値媒体やプリペイドカードの金額等の経済的価値情報を検知して決済し、決済したチャージ金額に係るチャージ量(チャージ情報)とをペン30、31に記憶する部位(決済情報書き込み部/入金情報書き込み部)である。なお、このチャージ量に係るゲーム内の通貨単位(遊戯価値情報)であるクレジット値をペン30、31に記憶することもできる。
また、チャージ部610は、コイン等を保存しておくボックス等も備えている。ゲーム装置10の管理者は、図示しない鍵を用いて筐体を開けることで、このボックスにアクセスすることができる。
【0048】
認証部620は、認証部220(図2)、認証部320(図3)と同様の生体認証センサやDSP等を備える部位である。
また、認証部620は、ゲーム中でプレイヤの分身となるキャラクタであるアバターの画像データを作成するためのカメラを備えていてもよい。このカメラにより、プレイヤの顔写真が取得され、このデータを生体認証に使うこともできる。
【0049】
ID作成部650は、認証部620からのデータと、プレイヤや管理者が入力するパスワード、サイン等を用いて、ペン30、31のペンIDを作成するための部位である。
このペンIDは、通信I/F690を介して、ゲーム装置10やサーバ(図示せず)等に送信して、不正行為のチェック用に用いることもできる。
【0050】
秘密通信部660は、秘密通信部260(図2)、秘密通信部360(図3)と同様に、ペン30とセキュアな通信を行うための部位である。
チャージ装置60の秘密通信部660においては、所定のコマンドを用いて、ペン30、31と通信し、ペンIDやチャージ量などの情報を送受信し、チャージ部610と協働して、ペン30、31の記憶部305やペンID部350に書き込むことができる。
【0051】
通信I/F690は、通信I/F200(図2)と同様に、ゲーム装置10やサーバ等と通信することができる部位である。
この通信I/F690により、例えば、同一遊戯施設内の各ゲーム装置10に、ペン30のペンID等を送信することが可能である。これにより、ペン30の情報(例えばゲームにおける価値単位であるクレジット値や、クレジット値に関連するチャージ量等)を変更、改変するような不正を防止することができる。
【0052】
〔表示部270とデジタイザ読み取り部275の構成〕
ここで、図5を参照して、表示部270とデジタイザ読み取り部275の関係を詳細に説明する。表示部270とデジタイザ読み取り部275は、一体的に、デジタイザ機能付液晶表示装置として動作させることができる。
表示部270とデジタイザ読み取り部275においては、液晶パネル410の背後(後ろ側)に、光拡散部材420と、光透過性部材430と、電極シート440と、バックライト450とが、それぞれ順に配置されている。すなわち、本実施の形態に係るデジタイザ機能付液晶表示装置は、液晶パネル410とバックライト450との間に、光拡散部材420と、光透過性部材430と、電極シート440とを、この順に配置した構成を用いることができる。
ここで、デジタイザ読み取り部275としては、光拡散部材420と、光透過性部材430と、電極シート440と、電極シート440からの位置情報を読み出すセンサーマイコン400(図2)を備えて構成されている。
なお、図5には図示しないものの、液晶パネル410の表示面側に、ガラスやプラスチックの保護用の透明板を備えることができる。また、液晶パネル410は、液晶パネル410を駆動させるための制御回路を備える。また、バックライト450は、インバータ回路やLED制御回路等も備えている。さらに、液晶パネル410、光拡散部材420、第1の光透過性部材430などは、その周辺をフレーム(枠体)により固定するものの、この枠体は図示していない。
【0053】
液晶パネル410は、公知の例えば10〜150型等の大きさのTFT(Thin Film Transistor)駆動の液晶パネルである。液晶パネル410は、2枚のガラスやプラスチック板の間に液晶材料を封じ込めた液晶板と、この液晶板の両面に配置された偏光板と、RGB等の各色を表示するカラーフィルタを用いて構成される。液晶板の表示面にはTFTが形成されている。なお、この他にも、液晶パネル410は、視野角改善用のフィルムや保護フィルム等を含んで構成することもできる。
光拡散部材420は、バックライト450からの照射光を拡散させ、液晶パネル410に均一に導く導光板や光拡散用のプラスチック板等である。
光透過性部材430は、バックライト450からの照射光を透過させる光透過性を備える材質の部材である。光透過性部材430は、電極シート440と所定の間隔をもって光拡散部材420に透過された照射光を伝えることで、電極シート440の電極の影を液晶パネル410の表面で目立ちにくくする効果が得られる。光透過性部材430の厚みとしては、2〜3mm程度の設定されるようにすることが好ましい。また、光透過性部材430は、電極シート440を固定する手段として用いることができる。
【0054】
電極シート440は、液晶パネル410の表示画面上における一つの座標軸(X軸)とこの一つの座標軸の方向(以下、一座標軸方向という)と交差する他の座標軸方向(Y軸)の座標位置を、電磁誘導方式により検出するためのX軸用のループアンテナXとなるセンサ線x1と、Y軸用のループアンテナYとなるセンサ線y1とを備えている。
このセンサ線x1とセンサ線y1とを形成する面積は、液晶パネル410の表示画面の面積とほぼ同一の面積にすることが好ましい。これにより、液晶パネル410内の各点(ドット)の座標を取得することができる。
【0055】
(本発明の実施の形態に係るループアンテナX、Yの構成)
次に、図6Aと図6Bの概念図を参照して、本発明の実施の形態に係る電極シート440についてより詳細に説明する。上述のように、電極シート440は、ループアンテナX、Yが、光透過性部材のシートに導電性プラスチックや銅や銀粒子等の導電性ペーストで印刷され、これを重ね合わせて使用したり、1枚のシートの両面にそれぞれ印刷して使用したりするのが好適である。ループアンテナX、Yにおいて、シート全面に張り巡らされているセンサ線x1、y1の線幅は、上述のように線幅が300μm〜500μm(0.3mm〜0.5mm幅)であることが好ましい。
ここでは、X軸用のループアンテナXが印刷されたポリエチレンやポリエチレン・テレフタレート(PET)、アクリル等のプラスチック等のシートであるループアンテナシート4400xの構成についてのみ説明する。なお、ループアンテナシート4400yについても、Y軸用ループアンテナYの布設する方向がX軸用のループアンテナXと異なるだけで、同様の構成である。つまり、ループアンテナシート4400yはループアンテナYを形成し、後述する図示されないコモンラインycを備えている。
【0056】
ループアンテナXは、共通の接地(ベース)等である一方の電極であるコモンラインxc1、xc2に、ループを形成するもう一方の電極であるセンサ線x1(x11、x12、x13、x14、・・・)が5mm間隔で接続されているという構成を取ることが好適である。
コモンラインxc1、xc2により、ループアンテナXのセンサ線x1(x11、x12、x13、x14、・・・)等の電極内を流れる電圧を安定させることができる。よって、精度の高いX軸の座標認識が可能である。
【0057】
液晶表示エリア411は、液晶パネル410の画素が形成されている部分を示している。
認識可能エリア442は、ループアンテナシート4400xの電磁誘導にてX軸の座標を認識可能な電極シート440内のエリアである。この範囲内のエリアでは、コモンラインxc1、xc2からセンサ線x1により形成されるループアンテナXが延びており、ペン30、31等を近づけることで、電磁誘導によりループアンテナXに電流が発生し、図示されない回路基板(制御装置)により発生した電流値とループアンテナ上の電流が発生した位置等に関する情報を解析し、X軸の座標を認識することができる。
逆に、認識不可範囲443は、コモンラインxc1、xc2からセンサ線x1によるループを形成していないエリアである。このため、認識不可範囲443ではループアンテナX上の電流が発生した位置等に関する情報を解析することができないので、X軸の座標は認識不可能である。
コネクタ引き出し部445はセンサ線x1をコネクタ460に引き出すための部位である。
また、コネクタ460はセンサーマイコン400に接続するコネクタの部位である。
【0058】
密集部441は、センサ線x1の電極の集中する箇所であり、ループアンテナシート4400xにおいては、液晶パネル410の外にはみ出るような構成となっている。すなわち、密集部441は、折り曲げて、筐体に沿わせて基板上に接続するといったことが可能である。これにより、この密集部441を液晶表示エリア411の外に出すことが可能になった。
これにより、(1)密集部の影が表示される問題を解決することができ、液晶表示装置の表示面にループアンテナXとYを含む電極シート440の線影が写り込むのを防ぐことができる。
なお、同様に、設計上やむを得ず、密集部441のセンサ線x1、y1又はコモンラインxc、ycの線幅を0.3〜0.5mmより広くする必要があったとしても、このように液晶表示エリア411の表示領域外に持っていけば影響をなくすことができる。
【0059】
また、ループアンテナシート4400xにおいては、コモンラインの線幅を電極の線幅0.3〜0.5mmと同じに揃える代わりに、複数、備えることもできる。図6Aでは、2本のコモンラインxc1、コモンラインxc2を用いた例を示している。このように、コモンラインの数を複数とすることで、線幅を太くしなくても電極を安定させることができる。
さらに、この複数のコモンラインの間隔であるXYピッチ幅Cを、各電極の配置されているピッチ・線幅であるXYピッチ幅Cと合わせることが好適である。
このようにすることで、コモンラインxc1とコモンラインxc2とを、図6Bループアンテナシート4400yのセンサ線y1との一部の線と重ねることが可能になる。すなわち、シートの厚みはあるものの、一のセンサ線y1と重なるコモンラインxc1とは別の箇所に、他のセンサ線y1とコモンラインxc2の線とが重なって位置することで、光の透過量が減ることを抑えることができる。
このため、(2)コモンラインxcの線影が表示される問題を解決することができ、液晶表示装置の表示面にループアンテナXとYを含む電極シート440の線影が写り込むのを防ぐことが可能になる。
同様に、図示されないループアンテナシート4400yの複数のコモンラインについても、ループアンテナシート4400xのセンサ線x1と重ねて線影が映り込むのを防ぐことができる。
【0060】
このように、コモンラインをセンサ線x1、y1と重ね合わせるために、ループアンテナシート4400xとループアンテナシート4400yには、取り付け穴447が備えられてもよい。
取り付け穴447は、筐体に沿って取り付ける際に位置決めをする等で利用可能な、ループアンテナシート4400xがカット(切り欠き)された部分である。取り付け穴447は、ループアンテナシート4400yにおいても、ループアンテナシート4400xと重ねたときに、同じ位置になるように、精度高くカットされている。
この取り付け穴447により、特にループアンテナシート4400xとループアンテナシート4400yとが重ねて使われる場合には、位置ずれによって電極の影が太くなることを防ぐことが可能になる。
なお、この取り付け穴447は、図6のようにコネクタ460に向かう電極の外側以外にも、電極以外の位置に複数備えていてもよい。
【0061】
このように構成することで、検出するためのセンサ線x1、y1の電極部を広くすることができ、認識可能エリア442の領域を、液晶表示エリア411のほとんどの部分に広げることが可能となった。
本発明の実施の形態に係る液晶パネルは、10〜150インチについて用いることが可能である。100インチを超えるパネルに関しても、例えば、複数枚の電極シート440を貼り合わせることで実現可能である。その際に、センサ線x1又はy1とコモンラインのピッチ幅を合わせることが好適である。
【0062】
なお、コモンラインxc1やコモンラインxc2の代わりに、コモンラインの線幅を太くした上で、液晶パネル410の外に備えるような構成も可能である。その場合は、ちょうど枠部分にコモンラインが印刷されるようにするのが好適である。
また、コネクタ460は1つのみ記載したが、実際には、複数のコネクタを用いることが可能である。
また、バックライト450に関しては、LEDをアレイ状に配置すると、冷陰極管ランプに比べて、ほぼ均一に光拡散部材420で光を拡散させることができる。このため、センサ線x1又はセンサ線y1の線影が出にくくなるという効果が得られる。
【0063】
なお、上記のようなゲーム装置10のハードウェア構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、表示装置を備える任意のコンピュータシステムに適用することができる。
また、本発明のゲームプログラムは、メモリカード等の外部記憶媒体を通じてコンピュータシステムに供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてコンピュータシステムに供給されてもよいし、さらにはコンピュータシステム内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0064】
〔ゲーム装置10のデータ表示処理〕
ここで、図7〜図9を参照して、ペンIDにより、表示する情報に差をつけることができるデータ表示処理について説明する。
このデータ表示処理においては、上述のペン30を一般ユーザであるプレイヤが、ペン31を管理者が用いて、それぞれのペンにより別々のデータを表示可能である。
以下で、このデータとして、複数のゲーム装置10が設置されている遊戯施設において、どのゲーム装置10にて「当たり」の払い出しが多かったかを表示するための表示処理の1例を説明する。
この際、ゲーム装置10では、プレイヤが遊戯を行うゲーム装置10を変更することで、「当たり」の確率が異なるとプレイヤが感じられるようなゲームを実行している。このようなゲームとしては、例えば、メダルゲーム、スロットマシン、パチンコマシン等がある。
【0065】
(ステップS101)
ゲーム装置10のCPU100は、まず、認証処理を行う。
ここでは、まず、CPU100は、ゲーム装置10の秘密通信部260と、ペン30、31の秘密通信部360との間でセキュアな通信を行う。その上で、CPU100は、ペン30、31のペンID部350から、それぞれのペン30、31に対応した固有のペンIDを読み出す。
その後、CPU100は、プレイヤや管理者にサイン(署名、合図、標識等)を描くように促す画像を、GPU160を用いて表示部270に表示する。CPU100は、この指示に従ってプレイヤや管理者が書いたサインをデジタイザ読み取り部275にて検知し、検知されたサインと、記憶部305に記憶されているサインに関連する情報との対比するサイン認証を行う。
また、CPU100は、ペン30、31の認証部320にて認証を促すようなコマンドを送信する。そして、ペン30、31の制御部300は、プレイヤや管理者が認証部320で認証した結果の情報やコマンドを秘密通信部260から送信する。この認証した結果の情報は、ゲーム装置10のCPU100が秘密通信部260にて取得する。
さらに、CPU100は、ゲーム装置10の認証部320にて生体認証を行うように促し、この結果を取得することもできる。
なお、ペンIDの取得以外の認証については、ゲーム装置10のゲームプログラムや処理の内容において変化させることができる。また、いくつかの認証方法を組み合わせることも可能である。
さらに、ペン30と、ペン31とにおいて、異なる認証の方法を要求することも可能である。たとえば、一般プレイヤが用いるペン30においてはペンIDを読み出すだけで、管理者が用いるペン31においては、上述のサイン認証を求めるといった処理が可能である。
【0066】
(ステップS102)
ここで、CPU100は、認証が成功したか判定する。
Yes、すなわち認証が成功した場合、CPU100は、処理を次のステップS103に進める。
No、すなわち失敗した場合には、CPU100は、ゲーム装置10の表示部270や、ペン30、31のクレジット表示部370に上述のようなエラー表示を行い、遊戯施設の管理者に通報することができる。そして、プレイ処理を終了する。
【0067】
(ステップS103)
次に、CPU100は、読み取られたペンIDが、一般プレイヤ用のペンIDであるか判定する。すなわち、読み取られたペンIDが、一般プレイヤの用いるペン30のペンIDであるか、管理者の用いるペン31のペンIDであるかといった判定を行う。
Yes、すなわち、一般プレイヤのペン30のペンIDであった場合、CPU100は、処理をステップS104に進める。
No、すなわち、管理者用のペン31のペンIDであった場合、CPU100は、処理をステップS105に進める。
【0068】
(ステップS104)
ペンIDが一般プレイヤのペン30のペンIDであった場合、CPU100は、一般プレイヤ処理を行う。この一般プレイヤ処理を、図8を参照して説明する。
まず、図8(a)のように、表示部270に表示された遊戯施設のマップ(見取図)で、一般プレイヤが、ペン30にて配置されたゲーム装置10の位置を指し示す。この際に、このゲーム装置10の状態を色分けして表示することもできる。
この色分けとしては、他のプレイヤが使用しておらず、プレイ可能なゲーム装置10を、使用可能の台800として色分けできる。また、他のプレイヤがプレイで使用中のゲーム装置10を、使用中の台810として色分け可能である。さらに、メンテナンス作業中などで、一般のプレイヤが使用不可能なゲーム装置10を非稼働の台820のように色分けして、表示するように構成することができる。
【0069】
ここでは、プレイヤが使用可能の台800を指し示した例について説明する。CPU100は、デジタイザ読み取り部275にて、ペン30、31による指示された表示部270上の位置座標情報を検知する。そして、検知された座標位置と表示部270に表示されている遊戯施設のマップ(見取り図)に予め設定されている位置座標情報との関係により、CPU100は、プレイヤが使用可能の台800に係るゲーム装置10を選択されたことを検知することができる。
そして、図8(b)のように、CPU100は、選択されたゲーム装置10の「当たり」の払い出しについて、例えば、時系列的に表示する。すなわち、「当たり」に係る数値、例えば、メダルの払い出し枚数、スロットゲームにおける当たり率といった値をグラフにして表示することができる。
一般プレイヤがペン30でそのグラフをタップしたことを検知すると、CPU100は、そのグラフの部分を拡大して表示したり、アドバイスや詳細なデータを表示したりすることができる。
また、一般プレイヤがゲーム装置10のスイッチ240や、ペン30のクリック部340を操作したり、表示部270上の特定の「戻る」ボタン900をクリックしたことを検知して、CPU100は、図8(a)の画面を表示し直すことができる。これによりプレイヤは、「当たり」の払い出しについて知りたいゲーム別の装置10を選択することができる。
所定の時間、ペン30がデジタイザ読み取り部275から離れていることを検知すると、CPU100は、ゲーム装置10を通常のゲームを行うように待機するデモ画面等を表示することもできる。
以上により、ゲーム装置10における、一般プレイヤに係るデータ表示処理を終了する。
【0070】
(ステップS105)
また、ペンIDが遊戯施設の管理者のペン31のペンIDであった場合、CPU100は、管理者処理を行う。この管理者処理について、図9を参照して説明する。
まず、ステップS104と同様に、管理者が図9(a)のペン31にて、表示部270に表示された遊戯施設のマップ(見取図)でゲーム装置10が配置されている位置を指し示す。これをCPU100は、デジタイザ読み取り部275にて検知し、管理者が情報を表示したいゲーム装置10を選択する。
この上で、図9(b)のように、CPU100は、選択されたゲーム装置10の「当たり」の払い出しについての表示を行う。また、CPU100は、売り上げ、クレジット値の払い入れや払い出しの具体的な金額といった、一般プレイヤには見せられない情報を表示することもできる。さらに、CPU100は、選択されたゲーム装置10の払い出しの設定を表示し、ペン31にてこの設定を変更することが可能である。また、表示部270上の「戻る」ボタン900等により、CPU100は、図9(a)の画面を表示し直すことができる。
以上により、ゲーム装置10における、管理者に係るデータ表示処理を終了する。
【0071】
このように、ペンIDが異なるペンにより処理が異なる、すなわちペンIDに使用権限を付加して他の処理を行うように構成することで、ログイン等の処理が必要なくなるという効果が得られる。また、ペン30、31は、可搬性で持ち運びがしやすいため、いつでも手元にとっておけるため、紛失しにくいという効果も得られる。
また、ペンIDと、サイン認証のような認証方法、生体認証を組み合わせることで、ペン30、31を紛失した場合でも、他人により用いられるといった事態を防ぐことが可能になる。
さらに、ペンIDは、専用のチャージ装置60にてペン30、31に書き込まれ、この書き込まれた情報は、ゲーム装置10やサーバで共有することができるため、不正なペンIDのペン30、31が用いられた場合にはすぐに検知できる。よって、ペンIDの偽造がしにくくなり、セキュリティが高まるという効果が得られる。
さらにセキュリティを高めるため、管理者が管理者処理を行っている最中、ペン31の認証部320を用いて常に脈拍等の生体認証を求める構成も可能である。また、所定時間経過時や設定の変更時など、処理の最中に、時々サイン認証を求めることで、他人にペン30、31を使われることを防ぐことも可能になる。
【0072】
〔ゲーム装置10のプレイ処理〕
ここで、図10〜図14を参照して、ゲーム装置10のユーザであるプレイヤPと、ゲームのマスターである管理者とが、ゲーム装置10を用いてカジノゲームをプレイする際の処理の流れについて具体的に説明する。
このプレイ処理においては、主にゲーム装置10のCPU100と、記憶部110に記憶されたプログラム111やデータ112のようなハードウェア資源を用いて、具体的な処理を実行する。また、ペン30、31の制御部300のような制御手段も、記憶部305に記憶されたプログラムのようなハードウェア資源を用いて、具体的な処理を実行する。
プレイ処理を実行するにあたり、プレイヤP又は管理者は、まず、経済的価値媒体または経済的価値情報(例えば、紙幣やコイン、プリペイドカードの金額情報等)を用いてチャージ装置60のチャージ部610により決済(入金)を行う。この際に、ID作成部650がペンIDも作成する。そして、ペン30、31の秘密通信部360と、チャージ装置60の秘密通信部660との間で、秘密通信が実行される。この秘密通信において、チャージ装置60は、作成したペンIDとチャージ量とを含む情報を、ペン30、31に転送する。
また、チャージ装置60においては、必要に応じて、認証部620により生体認証やサイン認証を行う。この認証に係るデータについても、チャージ装置60は、ペン30、31に転送する。なお、ID作成部650は、認証に係るデータを基にペンIDを生成する構成としてもよい。
この状態で、ゲーム装置10に対して、プレイヤPはペン30を用いて、管理者はペン31を用いて、それぞれゲームのプレイを開始する。
以下、図10のフローチャートを参照して、プレイ処理の各処理について詳しく説明する。
【0073】
(ステップS111)
まず、CPU100は、プレイ開始処理を行う。
本実施の形態においては、最初にCPU100は、ブートROM130より起動し、記憶部110のプログラム111を読み出して、主にテーブルで行うカジノゲームのプログラムを実行する。このカジノゲームのプログラムは、ゲーム装置10毎に、管理者の設定により、様々なゲームを選択して実行するように構成することが可能である。たとえば、ブラックジャック、ポーカー、バカラいったカードゲーム、チップとしてクレジット値をベットするルーレット等のゲーム、サイコロを用いたダイスゲーム等のパブリック・ゲーム、馬や自転車やボート等のキャラクタが競争するランダムゲーム等を選択可能である。
このカジノゲームのプログラムが起動すると、CPU100は、各部の初期化(イニシャライズ)とチェックを行い、ゲームのスタートを促すデモンストレーション画面を表示部270に表示して、プレイする者の興味を惹くようにすることができる。この際には、CPU100は、音声を出力しないことで、ゲーム装置10がプレイされていないことをプレイヤに分からせることもできる。
同時に、ゲーム装置10のCPU100は通信I/F200を介して、チャージ装置60の通信I/F690間との間でコネクションを確立する。そして、CPU100は、セキュアな通信を用いて、遊戯施設内で決済(入金)が行われたペン30、ペン31のペンIDとチャージ量とを取得する。なお、他のサーバ等からこのペンIDとチャージ量とを一元的に取得するように構成することもできる。
【0074】
(ステップS112)
次に、CPU100は、認証・チャージ確認処理を行う。
具体的には、ペン30、31について、上述のステップS101と同様に、秘密通信部260を用いて、ペン30、31の秘密通信部360と通信を行い、ペンIDを取得する。
そして、CPU100は、取得したペンIDを確認し、必要に応じて生体認証やサイン認証を行う。
【0075】
この上で、CPU100は、ペン30、31からチャージ量を取得する。そして、CPU100は取得したチャージ量から入金されたクレジット値を確認し、それぞれのペンIDの種類に従った「必要なクレジット値」がチャージされているかについて検証する。
一般プレイヤのプレイヤPが用いるペン30の場合、「必要なクレジット値」として、そのゲーム装置10で実行されているゲームの種類毎に、後述するベットする(賭ける)ことができる1単位分のクレジットの値とすることができる。すなわち、「必要なクレジット値」とは、例えば1ドル、10ウォン、1クレジットといった、ベットする際の「額面金額の最低値」を用いることができる。
CPU100は、この額面金額の最低値を30に送信する。そして、ペン30の制御部300は、この額面金額の最低値を記憶部305に記憶する。
【0076】
ペン31の場合には、ゲームマスター(ディーラー)として必要なクレジットの値を「必要なクレジット値」とすることができる。また、この必要値を「0」として、無制限にベットできるように構成することもできる。この場合でも、ゲームマスターによる不正を防ぐため、後述するように、所定値以上のクレジットの値がゲームに使用された場合に警告を発するように構成することが可能である。
この「必要なクレジット値」の検証が終了すると、CPU100は、処理をステップS120に進める。
【0077】
(ステップS120)
ここで、CPU100は、認証・チャージ量が適切であるか判定する。
Yes、すなわち、認証が適切で額面金額の最低値が適切である場合、CPU100は、処理をステップS113に進める。
No、すなわち、認証が適切でない場合は、CPU100は、プレイ処理を終了する。この際、CPU100は、ペン30、31等のチャージ量に記憶されているクレジット値が、「額面金額の最低値」に満たない場合には、チャージ装置60を用いて決済(入金)を行うよう、ペン30、31に通知する。また、認証やペンIDの確認、チャージ量の確認に失敗したり、不正なデータであった場合には、CPU100は、サーバに「ペン故障/不正」のデータを送信する。また、CPU100は、オーディオプロセッサ180から出音装置280へサイレン等を鳴らすように指示し、遊戯施設の店員(スタッフ)を呼ぶように促すことができる。
【0078】
(ステップS113)
次に、CPU100は、読み取られたペンIDが、一般プレイヤのペンIDであるか否かを判定する。プレイヤPのペンIDの場合も、一般プレイヤのペンIDと判定する。ペンIDが特別な管理者用のものであった場合には、管理者のペンIDであると判定する。
Yes、すなわち、プレイヤPのペン30のペンIDであった場合、CPU100は、処理をステップS114に進める。
No、すなわち、管理者用のペン31のペンIDであった場合、CPU100は、処理をステップS115に進める。
【0079】
(ステップS114)
プレイヤPのペン30のペンIDを検知した場合、CPU100は、一般プレイヤゲーム処理を行う。
この一般プレイヤゲーム処理においては、一般プレイヤ用に設定された処理を行う。具体的には、ペン30を用いて、プレイヤPによる各ターンのベットの処理等を行って、ゲームを進行させる。
以下で、図11のフローチャートを参照して、この一般プレイヤゲーム処理についてより詳しく説明する。
【0080】
(ステップS201)
まず、CPU100は、一般生体/サイン認証処理を行う。
ここでは、ペン30の認証部220又はゲーム装置10の認証部320を用いて、生体認証やサイン認証を行う。これにより、他人がペン30を使う等の不正を防ぐことが可能になり、金銭換算されたクレジットの値をベットするカジノゲームにおいて高度なセキュリティを実現できる。
この生体認証やサイン認証を行う際に、CPU100は、ゲームの説明を表示部270に表示することもできる。
さらに、ベットする際の注意点やクレジットの値の増減に関する同意文を表示して、図示しないクレジットカード読み取り部に挿入したプレイヤPのクレジットカードを差し込ませ、サインにて決済させることもできる。
これらの処理が完了すると、CPU100は処理をステップS202に進める。
【0081】
(ステップS202)
ここで、ペン30の制御部300は、プレイヤPの指示を検知して、ベット額面金額変更処理を行う。
このベット額面金額とは、プレイヤPがベットするクレジットの値をいう。本実施例においては、ペン30にてベットするクレジットの値を、このベット額面金額とすることができる。このベット額面金額は、ペン30の記憶部305に記憶している。
【0082】
ベット額面金額は、プレイヤPがペン30のクリック部340のクリックをすることにより、簡単に変更可能である。
具体的には、ペン30の制御部300は、プレイヤPがクリック部340をクリックしたことを検知して、ベットするクレジットの値(ベット額面金額)を変更することができる。
たとえば、制御部300は、プレイヤPが1クリックした場合、5C(クレジット)のような所定の単位にて変化させることができる。また、2回、3回とクリックすることにより、25C、50Cといった倍数になるように変化させることもできる。
このクレジットの値は、制御部300がクレジットに対応する金額に変換して、クレジット表示部370に表示することができる。これにより、プレイヤPは、どれくらいのクレジットの値(ベット額面金額)をベットするのか、簡単に把握することができる。
このように構成することで、プレイヤPは、ゲーム装置10の表示部270の画面の指示に従ってスイッチ240等でいちいちベット額面金額を変更する必要がなくなる。このため、ベットに係る速度を増加させることができる。
【0083】
(ステップS203)
次に、具体的なカジノゲームの各ターンのベットが始まったとき、ゲーム装置10のCPU100は、ペン指示検知処理を行う。
図13を参照して具体的に説明すると、プレイヤPは、表示部270に表示されたカジノゲームのマス目等の特定の箇所をペン30で指し示して、その位置をペン30にてクリックする。
このCPU100は、デジタイザ読み取り部275を用いて、ペン30で指し示された表示部270上のX座標、Y座標を取得する。他にも、Z座標や、加速度センサ335の値等を取得することもできる。
この際に、CPU100は上述のセキュアな通信により、ペン30からペンIDとクレジットの値(ベット額面金額)を取得する。また、ペン30の制御部300は、記憶部305に記憶されたチャージ量からベットされたクレジットの値分(ベット額面金額分)を減じる。
その後、CPU100は、処理をステップS204に進める。
【0084】
(ステップS204)
次に、CPU100は、ペン30がゲーム装置10から所定の距離以上離れているかを検知する。この検知は、ベットが始まった際に、ペン30により何らかの不正を行われるのを防ぐために行う。この検知は、ペン30のループコイル出力部310が所定の間隔でループコイル部37に電流を流し、デジタイザ読み取り部275で検知できるかにより検知することが可能である。また、秘密通信部260と秘密通信部360との間の電波の強さ、通信ができるかを測定することで検知することもできる。
Yes、すなわちペン30が所定の距離より離れている場合は、CPU100は、処理をステップS205に進める。
No、すなわちペン30がゲーム装置10の所定の距離以内にある場合には、CPU100は、処理をステップS206に進める。
【0085】
(ステップS205)
ペン30がゲーム装置10の所定の距離よりも離れている場合、CPU100は警告処理を行う。
この警告処理としては、CPU100は、表示部270に「ベット中は、ペンを表示画面から離さないでください」「(ペンを)離した場合には、このターンのベットが無効になります」といった警告表示を行う。
また、CPU100は、ペン30にコマンドを送信する。このコマンドを受信した制御部300は、クレジット表示部に「ペンを近づけて下さい」といった表示を行い、音声入出力部380からブザー音等の警告音を出力する。
この警告処理を行っても、ペン30が所定の距離以上離れている場合、CPU100は、「あなたのベットは無効となりました」等の表示を表示部270に行い、ベット額面金額をペン30の制御部300に戻すようなコマンドを送信する。ペン30の制御部300は、この信号を受信すると、記憶部305のクレジット値をベット直前のクレジットの値に戻す。
また、警告処理により、プレイヤPがペン30を近づけたことを検知した場合、CPU100は処理をステップS206に進める。
なお、ゲーム装置10は、複数のプレイヤがいて別々のペンIDをもつペン30を操作している場合、複数スレッドやタスク等により、同時にステップS201〜ステップS205の処理を行う。
【0086】
(ステップS206)
ペン30がゲーム装置10の所定の距離以内にある場合、CPU100は、一般プレイヤ用ベット処理を行う。
この処理において、プレイヤPを始めとする各プレイヤは、例えば、カードを揃えたり、ベットの金額を増減させる等の処理を、ペン30とスイッチ240等を用いて行う。この際に、後述する投網ゲーム等の場合には、そのゲームの特定の処理を行う。
これに対して、ペン31をもつゲームマスターである管理者は、後述する管理者処理により、カードを配ったり、クレジットの倍率を変更したりといった処理を同時に行う。
CPU100は、所定の時間が経過したり、カードを配る枚数やベットの回数が所定値を超える等の所定の条件を満たした場合、この一般プレイヤ用ベット処理を終了する。
その後、CPU100は図10のステップS116に処理を進める。
以上により、一般プレイヤゲーム処理を終了する。
【0087】
(ステップS115)
図10を再び参照して説明すると、管理者のペン31のペンIDを検知した場合、CPU100は、管理者ゲーム操作処理を行う。
本実施の形態においては、この管理者ゲーム操作処理として、各ターンのベットの処理に係るゲームマスターの処理を実行する。具体的には、管理者がペン31を用いて、ゲーム空間においてカードをプレイヤに配ったり、サイコロを投入したり、次のターンに進めるようなベットの進行をしたり、後述する投網ゲームでは「餌」を投入したりする。
以下で、図12のフローチャートを参照して、この管理者ゲーム操作処理についてより詳しく説明する。
【0088】
(ステップS221)
ここでは、まず、CPU100は、管理者生体/サイン認証処理を行う。
具体的には、CPU100は、一般生体/サイン認証処理と同様に、生体認証やサイン認証を行う。このように構成することで、管理者でない他人(第三者)がペン31を用いるのを防ぐことができる。これにより、ゲームマスターの地位を用いた不正を防ぐことが可能である。
【0089】
(ステップS222)
次に、CPU100は、ペン指示検知処理を行う。
この管理者ゲーム操作処理においては、管理者がスイッチ240とペン31を用いて、主にゲームの進行に係る指示をしたことを検知する。
この指示においては、CPU100は、デジタイザ読み取り部275を用いて、ペンのXY座標(指示座標情報)や軌跡(指示座標情報の連続した値)を取得する。同時に、CPU100は秘密通信部260を用いて、ペン31の秘密通信部360と通信を行い、ペン31のペンIDを取得する。
また、CPU100は、サイン入力を検知することもできる。加えて、スイッチ240やクリック部340を検知して、コマンドを入力することもできる。
【0090】
(ステップS223)
次に、CPU100は、管理者用ベット処理を行う。
具体的には、CPU100は、上述のゲームの進行に係る指示を基に、カードの山から、各プレイヤへカードを飛ばしてカードを配る座標を検知したり、サイコロを投入したり、ルーレットを回したり、ビンゴ等の数値を選択したり、掛けるクレジットの倍率を変更したりといった処理を行う。また、CPU100は、投網ゲームで「餌」を投入する場合の指示も行うことができる。
この処理においては、CPU100は、各プレイヤと同時に、同一のゲームを進行させる。これにより、これまでの遊戯施設のビデオゲームの管理者とは異なり、管理者とプレイヤとが一体となってゲームを行うことができ、臨場感を著しく高めることができる。
その後、CPU100は図10のステップS116に処理を進める。
以上により、管理者ゲーム操作処理を終了する。
【0091】
(ステップS116)
次に、CPU100は、ターン結果処理を行う。
このターン結果処理においては、CPU100は、各プレイヤとゲームマスターの各ターン処理のベットを基に、具体的な1回のベットの単位(ターン)に係る処理を行う。
具体的には、管理者の指示に従ってルーレットを回したり、サイコロを投入したり、カードを配る等の具体的なカジノゲームにおける特定の処理を行う。
そして、CPU100は、このターン結果処理において、ベットの結果を基に、ゲームマスターと、各プレイヤに分配されるクレジットの値をそれぞれ計算する。この分配されるクレジットの値は、プラスの値だけでなく、ゲームによってはマイナスの値とすることもできる。
【0092】
また、このターン結果処理においては、通信I/F200の通信を遮断するようにして、不正な処理を行わないようにすることができる。逆に、サーバや他のゲーム装置10やチャージ装置60との間で通信を行って、不正を監視したり、チャージ量やベットしたクレジットの値等を同期したりすることもできる。
ターン結果処理が終わると、CPU100は、処理をステップS117に進める。
【0093】
(ステップS117)
ここで、CPU100は、チャージ増減処理を行う。
具体的には、各プレイヤがベットしたクレジットの値(ベット額面金額)から、分配されるクレジットの値を、秘密通信部260を用いて、それぞれのペン30、31の秘密通信部360に送信する。
ペン30、31の制御部300は、このクレジットの値を、記憶部305に記憶されているチャージ量から増減する。
また、この増減の処理と合わせて、制御部300は、各種のゲームの効果に係る処理を行うことができる。この効果に係る処理としては、クレジットの増加具合に合わせて、フォースフィードバック部390を振動させたり、クレジット表示部370に「Congratulations!(勝ち)」「Boo! You Lose..(負け)」といったメッセージを表示したり、音声入出力部380からファンファーレ等の効果音や悲しい曲を演奏して出力したりすることができる。
【0094】
(ステップS118)
次に、CPU100は、各プレイヤがゲームオーバーであるか判定する。
ここでは、例えば、それぞれのペン30のチャージ量のクレジットの値が上述のベット額面金額以下になっている場合に、ゲームオーバー、すなわちYesと判定する。すなわち、そのペン30のチャージ量に係るクレジットの値がゲーム実行に係るクレジットの値(ベット額面金額)以下の場合、また所定時間が経過した場合等の、ゲームに設定された条件に達した場合にはYesと判定する。さらに、チャージ量のクレジットの値が所定の値以上になった場合には「打ち止め」としてYesと判定することもできる。これに加えて、1つのターンが終了して、ペン30が所定の距離以上離されたことを検知した場合には、CPU100は、当該プレイヤが次のターンのベットには参加しないとして、Yesと判定することもできる。
また、ゲームマスターが休憩をとりたい場合や、ペン31に係るチャージ量のクレジットの値が所定値よりも少なくなった場合には、「店じまい(もしくは休憩)」としてYesと判定することもできる。
Yesの場合は、CPU100は処理をステップS119に進める。
Noの場合は、CPU100は処理をステップS112に戻す。
【0095】
(ステップS119)
ペン30、31についてゲームオーバーの判定をされた場合、CPU100はゲームオーバー処理を行う。
このゲームオーバー処理としては、ペン30の場合は、フォースフィードバック部390を振動させたり、クレジット表示部370に「Game Over」「チャージしてください」といった表示を行う。また、ペン30のクレジット表示部370のLEDを消灯することで、ゲームが終了したことを知らせることもできる。
また、ペン31のゲームマスターのチャージ量に係るクレジットの値が少なくなった場合には、所定のコマンドにて、ゲームマスターはチャージ量に係るクレジットの値を増やすことができる。この際に、プレイを行っていたゲーム装置10の表示部270に「準備中」等の表示を行い、所定期間、デモ画面を表示したり、前回のプレイ画面を再生したりすることもできる。これにより、カジノゲームをしたいというプレイヤの欲求を増幅させることができる。
【0096】
なお、管理者によるペン31に係るゲームオーバー以外の場合、すなわちゲーム装置10の全体のプレイ自体を終了するのでない場合には、CPU100は全体のベットを中止するのではなく、まだチャージが残っているプレイヤと他のプレイヤが参加して、続けてベットを行う。すなわち、CPU100は、処理をステップS111のプレイ開始処理に戻すことができる。
このような場合、プレイヤはチャージ装置60にて決済(入金)を行ったり、クレジットカードにて「コンティニュー」として決済(入金)を行ったりすることができる。これにより、円滑に次のベットを行えるという効果が得られる。
以上により、プレイ処理を終了する。
【0097】
なお、ゲームオーバーになった際や、プレイを終了した後、プレイヤPは、遊戯施設の管理者のいるカウンター等にペン30を持ち込む。すると、管理者は、図示しない払い出し装置を用いて、チャージ量に応じたコインやプリペイドカード等の払い出しを行うことができる。
また、ゲーム装置10自体に、同様の払い出しを行う機能を備えることもでき、CPU100は、コインやプリペイドカード等を払い出すこともできる。
【0098】
〔ゲームシステムAにおける、プレイ時のペン30の移動〕
図14を参照して説明すると、プレイヤは、複数のゲーム装置10にて、同一のペン30を用いてゲームを行うことができる。図14では、遊戯施設内に複数の異なるカジノゲームが実行されている場合に、ペン30を共通で使う例について示している。この場合、上述したように、各ベットの終了時や、所定の距離以上ペン30を離したり、ゲームオーバーになったりした場合に、他のゲーム装置10のカジノゲームを楽しむことができる。そして、最終的にペン30のチャージ量に係るクレジットの値に対応する金銭等の経済的価値情報/経済的価値媒体を払い出すことができる。
これにより、個々のゲーム装置に払い出しのための手段や、コインやプリペイドカードを管理するような決済手段を備える必要がなくなり、コストを削減することが可能になる。また、貴金属のコインを用いる必要もなく、上述の図示しないゲート装置により、ペン30の持ち出しを防ぐこともできる。これにより、紛失を防ぐためのコストも削減可能である。
また、プレイヤとしても、同じペン30を持ち歩くだけで複数のゲームを楽しむことができるため、一回のプレイに必要な時間を短縮し、ベットする金額や回数を多くしてゲームを従来よりも楽しむことが可能になる。
加えて、ペン30は、ペンや鉛筆に似た形状をしているために、持ち運びや取り出しが簡単であり、紛失しにくいという効果が得られる。
【0099】
さらに、ゲームシステムAにおいては、チャージ装置60やサーバや各ゲーム装置10が入金されたチャージ量の総量をチェックしているため、不正にすぐに対処可能であるという効果が得られる。
また、プレイヤのベットの傾向に合わせて、各ゲーム装置10で実行しているゲームの種類を、順次リアルタイムで変更することができる。
さらに、管理者のペン31がベットで用いるクレジットの額、倍率、上限等のパラメータもリアルタイムで変更可能である。
【0100】
〔ゲーム装置10による投網魚取りゲーム〕
さらに、ゲームシステムAは、上述のカジノゲームやパチンコゲーム等のベットを行うゲーム以外の通常のテーブルゲームにも当然適用可能である。この場合でも、ペン31を用いる管理者のゲームマスターと、ペン30を用いる一般プレイヤとで、ゲームを進行することが可能になる。
以下で、投網により魚を取得するゲームに応用する例について説明する。
【0101】
図15を参照すると、網を投げて魚を捕まえる投網魚取りゲームに対して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAを応用した例を示している。このゲームの目的は、プレイヤが「網」のキャラクタを投げて、魚のキャラクタを捕らえると得点になるというものである。
従来のゲームにおいては、画面上で「網」のキャラクタ(オブジェクト)を投じる位置を指定するために、トラックボール等のポインティングデバイスやスイッチといった間接的な手段を用いていた。これに対して、本実施形態のペン30においては、目標マーク1600の位置を直接指定することができるために、ゲームを進行させるスピードを速めることができ、操作性を向上させることができる。
これに加えて、ペン30は、上述のステップS202のようにクリック部340をクリックすることで、ベット額面金額を変更することができる。CPU100は、このベット額面金額の値に従って、例えば、投げる網のキャラクタ(オブジェクト)の大きさや引き上げるまでの時間等の値を変更できる。大きな網や長い時間で引き上げた場合は、たくさんの魚を取得できることが予想できるものの、その分、大きなクレジットを用いる必要がある。このような戦略が必要になるため、ゲーム性を高めることが可能になる。
また、プレイヤはクリック部340を用いてベット額面金額を素早く変更できるため、プレイヤは敏捷な魚のキャラクタの動きに対応して、適切な大きさの「網」を投じることができる。このため、ゲームの操作性を高めることができる。
【0102】
また、本発明の実施の形態に係る投網魚取りゲームにおいては、管理者もペン31を用いて、目標マーク1610のような箇所に、「餌」のキャラクタ(オブジェクト)を投下することができる。すなわち、CPU100は、ペン31での指示を検知し、管理者ゲーム操作処理として、ペン31で示した目標マーク1610の位置の近傍に、「餌」のキャラクタを表示することができる。その後、CPU100は、この「餌」の近くに、魚のキャラクタを誘導する。
これにより、ペン30のプレイヤは集められた魚を一網打尽に取得するといったことが可能になり、従来のゲームの管理者とプレイヤの関係とは異なる、管理者側とプレイヤ側で「一緒に遊ぶ」関係の構築が可能になる。すなわち、管理者とプレイヤにて、協調したり競い合ったりするなどのプレイが可能になる。
これにより、遊戯施設側では、管理者のプレイの進行の魅力により、プレイヤを引きつけて再度のプレイを促すことが可能になる。すなわち、いわゆる「カリスマ管理者」のように、管理者側の努力によりプレイヤを獲得することができるという効果が得られる。つまり、遊戯施設側の収益性の向上が期待できる。
なお、この他にも、ゲーム装置10は、パチンコ台、たこやきゲーム、クイズゲームといった、様々な種類のゲームに同様に対応可能である。
【0103】
〔ゲーム装置10によるリアルタイム・シミュレーション・ゲーム〕
次に、図16〜図19を参照して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAにて、いわゆる三国志の時代のような合戦を扱った戦術級リアルタイム・シミュレーションゲーム(リアルタイム・ストラテジー)を、実行する例について説明する。
このリアルタイム・シミュレーション・ゲームにおいては、管理者のペン31と、複数のプレイヤのペン30とは、多少の選択コマンドや権限が異なるだけで、協調するプレイを行うことができる。
以下で、図16のフローチャートを参照して、リアルタイム・シミュレーションゲームの具体的な処理について説明する。
【0104】
(ステップS301)
まず、CPU100は、シナリオ読み込み処理を行う。
ここでは、CPU100は、ユーザのゲームモード等の選択に従って、ゲームのシナリオを読み出す。
選択可能なゲームモードとしては、用意されたシナリオを順に勝利してゆく「キャンペーンモード」、攻める「国」を選択することで国毎のシナリオを選択する「全国制覇モード」、ユーザPと他のゲーム装置10との間でシナリオを選択して対戦を行う「マッチングモード」、終了した(クリア)シナリオを選択可能な「シナリオ選択モード」、初心者用にゲームのプレイ方法を伝授する「チュートリアル」等のモードを選択可能である。
このゲームモードの選択は、プレイヤPが、ペン30を用いて指定した表示部270上の座標を、デジタイザ読み取り部275にて選択可能である。
【0105】
CPU100は、プレイヤPがゲームモードを選択したことを検知すると、各ゲームモードに対応したシナリオを読み込む。
このシナリオは、記憶部110に、データ112の一部として記憶されておいても、サーバからダウンロードするように構成してもよい。
シナリオのデータの内容としては、3次元の地形情報や建物の配置情報や移動不可能区域の情報が記憶されたマップデータ、各部隊の配置データ、シナリオ終了条件を記憶する終了条件データ、各キャラクタが用いる武器を記憶する武器データ等を用いることができる。
シナリオ読み込み処理を終了すると、CPU100は、具体的なゲームのプレイに係る処理を開始する。
【0106】
(ステップS302)
次に、CPU100は、ペン指示検知処理を行う。
この処理の際には、シナリオ上の味方部隊(プレイヤキャラクタ、ゲームキャラクタ)について、プレイヤPがペン30にて指示を与えることができる。なお、管理者による敵部隊や中立部隊ペン31の指示も同様に行うことができる。
また、シナリオ上の敵部隊(敵キャラクタ)、中立部隊(中立キャラクタ)に関しては、CPU100がAI(人工知能)を用いて指示を与えたり、対戦相手がネットワーク経由で指示を与えることができる。
以下で、図17のフローチャートを参照して、このペン指示検知処理について、より詳しく説明する。
【0107】
(ステップS401)
まず、CPU100は、ペンID取得生体認証処理を行う。
この処理では、CPU100は、上述の認証・チャージ確認処理と同様に、ペン30、31について、秘密通信部260を用いて、ペン30、31の秘密通信部360と通信を行い、ペンIDとチャージ量を取得する。そして、CPU100は、取得したペンIDとチャージ量を確認し、必要に応じて生体認証を行う。
この際に、リアルタイム・シミュレーション・ゲームにおいては、操作の迅速性が必要であるため、サイン認証は行わないように構成することもできる。
【0108】
(ステップS402)
次に、CPU100は、ペン指示検知処理を行う。
図18を参照して説明すると、まず、CPU100は、部隊の配置画面を表示部270に表示する。
この上で、プレイヤPはペン30により、表示部270に描画された味方部隊アイコン1080−1〜1080−nを選択して、目標マーク1630の位置まで移動する軌跡を描画して、その軌跡に従って移動するよう指示することができる。また、目標マーク1630の位置を単にタップすることで、直線的に移動させることもできる。同様に、管理者は、ペン31により、敵部隊アイコン1100−1〜1100−n、図示しない中立部隊アイコンについて、移動の指示を行うことができる。
ゲーム装置10のCPU100は、デジタイザ読み取り部275にて、この移動の指示を取得する。
この際に、CPU100は、ペン30、31のペンIDも取得する。この際に、CPU100は、ペン30、31を押下している間は、ペンIDを受信し続けることができる。また、CPU100は、加速度センサ335の情報を取得して、どのペンIDが表示部270のどの位置にあるのかを精度よく把握する。これにより、複数のペン30、31の位置の誤検出を防ぐことが可能になる。
また、この移動の指示の後、プレイヤPや管理者は、表示部270にサインを書き込み、その部隊へのコマンド(命令)を指示することもできる。
このように、ステップS401とステップS402において、チャージ確認処理と、ペンIDとXY座標の取得を行う処理とを、一連の流れとして実現することも可能である。
なお、プレイヤPや管理者は、部隊のアイコンを選択せずに、表示部270にサインを書き込んでコマンドや指示を行うこともできる。
さらに、プレイヤPや管理者は、クリック部340により、攻撃/防御の強さを指示することができる。この「強さ」は、部隊の士気の値やHP(ヒット・ポイント)の消費に影響するパラメータを与える。また、加速度センサ335により、隊形その他の指示を与えることもできる。
【0109】
(ステップS403)
次に、CPU100は、コマンド認識処理を行う。
ここでは、CPU100は、取得したペン30、31による部隊への指示を取得して、具体的にゲーム上で反映させるためのコマンドとして認識する。このコマンドとしては、上述のように、軌跡に従った移動と、サインやクリック部340や加速度センサ335等によるコマンドを認識する。移動以外のコマンドとしては、攻撃(A、Attack)、防御(D、Defense)、待機、隊形変更、部隊合流/分離、攻撃武器変更、特殊攻撃等のコマンド等がある。
【0110】
図18の例では、プレイヤPが味方部隊アイコン1080−1を選択し、目標マーク1630の位置に移動するように指示している。また、プレイヤPは、「A」のサイン1700を描画して、攻撃のコマンドを指示している。なお、プレイヤPは、味方部隊アイコン1080−3は選択せず、サインも入力していない。
加えて、管理者は、敵部隊アイコン1100−1を選択し、目標マーク1640の位置に移動するように指示している。そして、管理者は、「D」のサイン1710を描画して、攻撃のコマンドを指示している。CPU100は、これらの指示を取得することができる。
このように構成することで、10人のような多数のプレイヤや管理者がゲーム装置10の上を入り乱れてリアルタイムで部隊に指示するような構成としても、操作性を損ねることなく容易に対応できるという効果が得られる。これは、ペン30、31を用いる場合には、例えばカードを移動させたりスイッチを操作する必要がなく、ペンはコンパクトであるためである。
また、従来のカードを表示部にて移動させるタイプのゲームでは、複数人が素早くカードを移動し合う「チート」(ずる)のプレイが問題になっていた。しかしながら、ペン30は一人しか持てないために、複数人が同時に部隊を移動させることができないため、このような複数人によるチートのプレイを防ぐことが可能になる。
また、CPU100は、クリック部340や、ゲーム装置10のスイッチ240による指示も同様に取得することができる。
【0111】
(ステップS404)
次に、CPU100は、不正検知処理を行う。
この不正検知処理により検知する不正/不正行為としては、ペン30、31の生体認証が失敗した場合や、不正なペン30、31のペンIDを用いている場合等が考えられる。
この不正/不正行為を検知した場合には、CPU100は、ペン30、31を使用停止として、遊戯施設の管理者やサーバに通報することができる。
以上により、ペン指示検知処理を終了する。
【0112】
(ステップS303)
ここで、図16を再び参照して説明すると、CPU100は、CPU部隊処理を行う。
このCPU部隊処理としては、プレイヤPや管理者がペン30、31にて指示しない敵部隊、中立部隊、味方部隊に関して、αβ法やMin−Max法等のAI(人工知能)を用いてCPU100が計算を行い、リアルタイムにゲームの進行に反映する。
すなわち、管理者やプレイヤPが指示をしないときは、自動的な部隊指示の処理を行うことができる。
【0113】
(ステップS304)
次に、CPU100は、描画・行動実行処理を行う。
図19を参照して説明すると、CPU100は、各部隊の各キャラクタを、GPU160を用いて、例えば1/60秒毎の「フレーム」単位にて3次元空間に描画されたマップ上にポリゴン等を用いて表示部270上に描画させる。
図19は、CPU100が、GPU160を用いて、ディスプレイ270に表示したプレイ画面を模式的に示している。このプレイ画面には、主に上述の指示を行った配置画面と同様の配置画面1010と、城のオブジェクト1020と、侵入不可能地帯1030と、部隊の回復ができる陣地1040と、画面上の向きを示す方向バー1050と、味方部隊アイコン1080−1〜1080−nと、味方部隊ダメージレベル1085−1〜1085−nと、敵部隊ダメージレベル1105−1〜1105−nと、キャラクタ1500のようなオブジェクトが表示されている。また、各部隊の戦闘を含む行動を具体的な画像エフェクトを伴って実行する。なお、キャラクタ1500のうち、リーダーのキャラクタは、色を変更したり、旗印を描いたりして、区別することができる。
また、CPU100は、これ以外にも地形やゲームの雰囲気に関係するようなオブジェクトを多数表示させることが可能である。
また、CPU100は、オーディオプロセッサ180を用いて、出音装置280から効果音やBGM(バックグラウンドミュージック)を出力させる。
【0114】
(ステップS305)
ここで、再び図16を参照して説明を続けると、CPU100は、シナリオ終了条件を満たしているか判定する。
このシナリオ終了条件としては、読み込まれたシナリオの終了条件を用いて、例えば、味方部隊又は敵部隊がすべて全滅した場合、「負け」として終了する条件を設定可能である。
Yes、すなわち、シナリオの終了条件を満たしている場合は、CPU100は、処理をステップS306に進める。
No、すなわち、まだシナリオ終了条件に達していない場合、CPU100は、処理をステップS302に戻す。
【0115】
(ステップS306)
シナリオ終了条件を満たしていた場合、CPU100は、ゲームオーバーであるか判定する。
ゲームオーバーは、シナリオ終了条件で「負け」で、ペン30、31のチャージ量に係るクレジットが額面金額の最低値を下回っている場合や、それ以外でもコンティニュー等がされていない場合、ゲームオーバーであると判定する。さらに、プレイヤPが「全国制覇モード」でプレイしていた場合には、プレイヤPがシナリオで「負け」て、「領地」がなくなった場合にはゲームオーバーと判定することができる。
Yes、すなわちゲームオーバーの場合は、CPU100は、処理をステップS308に進める。
No、すなわちプレイヤPが「勝ち」の場合は、CPU100は、処理をステップS307に進める。
【0116】
(ステップS307)
ゲームオーバーでない場合、CPU100は、得点加算処理を行う。この得点加算処理としては、CPU100は、シナリオ終了時の各種条件について「ポイント」を計算し、このポイントの合計を得点として加算する。
CPU100は、各ポイントと、ポイントの合計とを、GPU160を用いてディスプレイ270に表示する。また、CPU100は、該シナリオをクリアした旨、記憶部110に記憶する。
ここで、CPU100は、「キャンペーンモード」の場合には、次のシナリオを選択する。また、CPU100は、「全国制覇モード」の場合には、プレイヤPに、シナリオの結果に応じた次に攻める「国」のシナリオを選択させる。CPU100は、「マッチングモード」の場合は、プレイヤPに、次の対戦相手を選択させるか、通常のキャンペーンモードに変更する。CPU100は、「シナリオ選択モード」の場合には、プレイヤPに、クリアしたシナリオを選択させる。CPU100は、「チュートリアル」の場合には、プレイヤPに、通常のシナリオを選択させる。
CPU100は、それらの得点やシナリオ終了・選択の情報を、ペン30、31の記憶部305の不揮発性メモリに記憶する。
その後、CPU100は、処理をステップS301に戻して、新しいシナリオをプレイさせる。
【0117】
(ステップS308)
ゲームオーバーの場合、CPU100は、ゲームオーバー処理を行う。
具体的には、CPU100は、部隊の人員や配置や陣地の所属等のシナリオ終了条件が満たされたり、所定の時間が経過したりすると、CPU100は、ゲーム処理を終了する。
CPU100は、上述の得点加算処理と同様に負けの場合のポイントを計算して、得点として加算する。この場合は、ポイントは勝利の場合よりも、少なく計算する。
この上で、CPU100は、ゲームオーバーの表示を、GPU160を用いてディスプレイ270に表示する。
また、CPU100は、それらの得点やシナリオ終了・選択の情報を、ペン30、31の記憶部305の不揮発性メモリに記憶する。この情報は、次のプレイに用いることができる。
以上により、ゲーム装置10のプレイ処理を終了する。
【0118】
なお、ゲームシステムAは、いわゆるマルチプラットフォームであり、ゲーム装置10は、複数の種類のゲームを選択してプレイすることができる。
この際に、ペン30、31等に、プレイできるゲームの種類を記載しておき、プレイヤの選択に従って、プログラム111自体をサーバからダウンロードして実行するような構成も可能である。
また、プレイヤPがゲームをプレイしている際には、サーバを介して、大型表示装置55にプレイ内容を表示して、より迫力あるプレイを楽しむこともできる。
【0119】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
まず、従来技術1のシステムにおいては、IDを暗号化して通信していないため、金銭をチャージしてプレイするゲームに適用することができなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、秘密通信部260、360、660を用いることで、安全に決済(入金)を行い、決済されたチャージ量に係るクレジットの値を増減させつつ、ペン30、31によるプレイを行うことができる。
さらに、ペン30、31を用いて、ログインからゲームの終了までの一連の流れにおいて、いちいちキーボード入力等を用いて認証する必要がないため、使い勝手がよくなる。
【0120】
また、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、ペンIDによる認証とサイン認証を組み合わせることにより、ペン30、31の不正な使用を防ぐことが可能になる。すなわち、セキュリティを確保することができる。
このため、たとえば、その場に置いたペン30、31を他人に使用されても、サインが合わない場合には使用させないといった高度なセキュリティを実現できる。
【0121】
また、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、更に高度なセキュリティを実現するために、ペン30、31、ゲーム装置10、チャージ装置60にて生体認証を行うこともできる。
この際、プレイ時の所定の間隔や所定の処理時にサイン認証や生体認証を行うことで、より不正な使用を防ぐことが可能になる。
また、認証部320に、光センサにより脈拍を測定するような生体認証や指紋認証といった手間のかからない認証方法を用いることで、ペンを握っている間に常に認証を行うことができる。これにより、管理者やプレイヤを煩わせることなく、さらに高度なセキュリティを実現することができる。
【0122】
また、従来技術1のシステムは、ペンからの位置の読み取りを赤外線によって行っていた。このため、複数のペンを同時に用いての位置の読み取りが難しいという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、ペン30、31からのXY座標の取得に電磁誘導デジタイザを用いている。このため、複数のペン30、31を用いても、画面上の位置を同時に把握することができる。
さらに、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、ペン30、31をデジタイザ読み取り部275にタッチ時に、ペンIDを取得することができる。
これにより、複数のペン30、31によるプレイを行った場合、どのペン30、31からの位置を検知したのかを、ゲーム装置10にて確実に把握することができる。
また、この際に、加速度センサ335の値を用いることで、更に検知の精度を高めることができる。
【0123】
また、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、ペン30、31のペンIDにより、異なる処理を行うことができるため、ヒエラルキー(階層)的な処理を行うことができる。
これにより、管理者用のペン31では、ゲームの設定や売り上げのチェックといった、一般のプレイヤには不可能な処理を簡単に行うことができる。また、ペン型の入力装置であるペン31を用いることで、紛失を防ぎ使い勝手をよくすることができる。
加えて、プレイ中でペン30、31を同時に使用して、管理者がゲームの進行に関わるようにすることができる。
これにより、通常はプログラムにのみ従ってプレイされるゲームに、管理者による操作という予測不可能性や手助け/妨害による楽しさを付加することができ、ゲームの臨場感を高め、ゲーム性を向上させることができる。
【0124】
また、本発明の実施の形態に係るゲームシステムAは、ペンIDを用いたペン30により操作することにより、複数のプレイヤでプレイをするゲームにおいても、複数のプレイヤが同時にカード等を操作するチート(「ずる」等の不正行為。)プレイを防ぐことができる。
【0125】
また、本発明の実施の形態に係るペン30、31は、クリック部340を用いて、簡単にデジタイザ読み取り部275のタッチの際に、ゲームの操作に係る値を変化させることができる。
これにより、スイッチを用いて間接的な操作を行う必要がなく、ゲームの進行速度を速め、プレイヤや管理者の操作性をよくすることができる。
また、ゲームの操作に係る値は、クレジット表示部370により視認・把握可能であるため、操作性をさらに高めることができる。
【0126】
また、本発明の実施の形態に係るペン30、31は、音声入出力部380、フォースフィードバック部390を備えることができる。
これにより、ゲームの進行に従った効果を与えることができ、ゲームの臨場感を高めることができる。
また、サイン入力や指示の入力に従って、音声入出力部380、フォースフィードバック部390により出力を行うことで、誤入力を防ぐことが可能になる。
【0127】
なお、上述の実施の形態に係るゲームシステムAの構成は一例であって、他の構成を用いることもできる。
たとえば、チャージ装置60を、ゲームシステムAのサーバとして用いることもできる。これにより、チャージ金額や売り上げ等を簡単に管理可能になる。また、チャージ装置60を用いないように構成し、ゲーム装置10やペン30、31にICカードや金銭を入れることでチャージを行い、チャージ装置60と同様の機能を備えるように構成することもできる。また、チャージ装置60に、プリペイドのICカードとの間でチャージ量を直接コピー/ムーブ(移動)するような機能を備えることもできる。
また、デジタイザ読み取り部275は、静電方式のタッチパネルや光センサ付きの液晶等を用いた構成とすることも可能である。さらに、デジタイザ読み取り部と液晶パネルとを分離した構成とすることもできる。
また、ペン30、31の種類により、形状を変えることも可能である。たとえば、管理者用には豪華なペンを用いて、一般プレイヤ用には装飾の少ないペンを用いることで、操作の階層性を表現することができる。
さらに、ゲームシステムAは、ゲームの用途以外にも、複数のペン30、31を用いて同時に位置を入力し、階層的な処理を行うシステムに適用可能である。たとえば、店舗用のディスプレイや、軍事用の指示装置といった用途にも用いることができる。
【0128】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明のゲーム装置は、秘密通信部を用いてペンIDとチャージ量を送受信することで、ペンIDにより異なる権限の処理を実行可能であり決済に係るチャージ量をペンで入力可能であるゲームシステムを提供することが可能である。
【符号の説明】
【0130】
10 ゲーム装置
30、31 ペン
35 本体部
37 ループコイル部
55 大型表示装置
60 チャージ装置
100、600 CPU
110、305 記憶部
111 プログラム
112 データ
130 ブートROM
140 ペリフェラルI/F
150 バスアービタ
160 GPU
162 ジオメトリ部
164 レンダリング部
170 グラフィックメモリ
180 オーディオプロセッサ
190 オーディオメモリ
200、690 通信I/F
210 照明部
220、320、620 認証部
240 スイッチ
260、360、660 秘密通信部
265、365、665 アンテナ
270 表示部
275 デジタイザ読み取り部
280 出音装置
300 制御部
310 ループコイル出力部
330 バッテリ監視部
335 加速度センサ
340 クリック部
350 ペンID部
370 クレジット表示部
380 音声入出力部
390 フォースフィードバック部
400 センサーマイコン
410 液晶パネル
411 液晶表示エリア
420 光拡散部材
430 光透過性部材
440 電極シート
441 密集部
442 認識可能エリア
443 認識不可範囲
445 コネクタ引き出し部
447 取り付け穴
450 バックライト
460 コネクタ
610 チャージ部
650 ID作成部
800 使用可能の台
810 使用中の台
820 非稼働の台
900 ボタン
1010 配置画面
1020 オブジェクト
1030 侵入不可能地帯
1040 陣地
1050 方向バー
1080−1〜1080−n 味方部隊アイコン
1085−1〜1085−n 味方部隊ダメージレベル
1100−1〜1100−n 敵部隊アイコン
1105−1〜1105−n 敵部隊ダメージレベル
1500 キャラクタ
1600、1610、1630、1640 目標マーク
1700、1710 サイン
4400x、4400y ループアンテナシート
P プレイヤ
A ゲームシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムにおいて、
前記ゲーム装置は、
画像を表示する表示部と、
前記表示部上で指示された位置を取得するデジタイザ読み取り部と、
前記ペンを識別するIDであるペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する第1秘密通信部とを備え、
前記ペンは、
前記ペンを識別するIDであるペンIDと、
前記デジタイザ読み取り部用の信号を出力する出力部と、
前記第1秘密通信部と決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する第2秘密通信部とを備える
ことを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲーム装置用の決済を行うチャージ装置を更に備え、
前記チャージ装置は、
前記ペンIDと、前記ゲーム装置用の決済に係るチャージ情報とを前記ペンに書き込むチャージ部と、
前記第2秘密通信部と信号を送受信する第3秘密通信部とを備える
ことを特徴とする請求項1記載のゲームシステム。
【請求項3】
生体認証又はサイン認証のための認証部を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記ペンは、クリックによりゲームの操作に係る値を変化させるためのスイッチであるクリック部を更に備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ペンは、ゲームの操作に係る値を表示するクレジット表示部を更に備える
ことを特徴とする請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記ペンは、音声信号を入出力する音声入出力部、振動を出力するフォースフィードバック部のいずれかを備える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のゲームシステム。
【請求項7】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の画面上の座標を取得するデジタイザ読み取り部と、
ペンを識別するIDであるペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを送受信する第1秘密通信部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
ペンを識別するIDであるペンIDと、
デジタイザ読み取り部用の信号を出力する出力部と、
ゲーム装置の秘密通信部と信号を送受信する第2秘密通信部とを備える
ことを特徴とするゲーム装置の入力インタフェイスのペン。
【請求項9】
ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムの制御方法であって、
前記ペンにより、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、チャージ情報と、デジタイザ読み取り部用の信号とを秘密通信にて出力し、
前記ゲーム装置により、ペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する
ことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項10】
前記ゲーム装置は、前記ペンIDにより異なる階層の処理を行う
ことを特徴とする請求項9に記載のゲーム装置の制御方法。
【請求項11】
ゲーム装置と、該ゲーム装置の入力インタフェイスのペンとを備えるゲームシステムの制御プログラムであって、
前記ペンにより、前記ペンを識別するIDであるペンIDと、チャージ情報と、デジタイザ読み取り部用の信号とを秘密通信にて出力し、
前記ゲーム装置により、ペンIDと、決済されたチャージ金額に係るチャージ情報とを秘密通信にて送受信する
ことを特徴とするゲーム装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−36346(P2011−36346A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185262(P2009−185262)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】