説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】連携の醍醐味を味わうことができかつゲーム初心者でもプレイが容易にする。
【解決手段】ゲーム内での攻撃を行うキャラクタと、パラメータHPが設定されたキャラクタとをゲーム内に配置する手順と、入力信号に基づいてキャラクタに関するモードを連携と非連携との間で切替える手順と、キャラクタAの攻撃は、モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが強力となるように制御する手順と、キャラクタのパラメータHPは、モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが減少しやすくなるように制御する手順と、を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム中でキャラクタに戦闘を行わせるビデオゲームのゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールプレイングゲームなどのビデオゲームでは、キャラクタどうし戦闘を行って勝敗を決するゲームシステムがある。たとえば、特許文献1や特許文献2に示すようなゲームシステムが知られている。
【0003】
また、こうしたゲームシステムでは、特許文献2のように、プレイヤが戦闘時にコントローラ等の入力装置を介して操作できるキャラクタが複数登場するタイプのものがある。さらに、複数のキャラクタを連携させることができるゲームシステムもあり、連携をさせると、キャラクタ単独で攻撃する場合に比べて強力な攻撃が可能となるなど、プレイヤは連携特有の醍醐味を味わうことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−296108号公報
【特許文献2】特開平6−105959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のゲームシステムでは、戦闘において複数のキャラクタを連携させる場合に、個々のキャラクタの操作を交互あるいは順次行う方法や、複数のプレイヤがそれぞれに割当てられたキャラクタを操作することにより、複数のキャラクタを同時に操作させる方法などがとられている。いずれの方法でも、戦闘中に複数のキャラクタを操作しつつゲームを進めなければならないので、プレイの手順が複雑となりゲーム初心者にはプレイが難しかった。さらに、この戦闘が、殴る、蹴るなどの、いわゆる格闘の方法でなされる場合には、複数のキャラクタを連携させると更に一層複雑となり、ゲームとして成立させることも難しかった。
【0006】
そこで本発明は、連携の醍醐味を味わうことができ、かつゲーム初心者でもプレイが容易なゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるゲームプログラムは、方向キー3、ボタン4、タッチパネル6等の入力装置を有するコンピュータに、ゲーム内でキャラクタによる戦闘を行わせるゲームプログラム70であって、前記入力装置からの入力信号に基づいてゲーム内での攻撃を行う第1のキャラクタAと、パラメータHPが設定された第2のキャラクタBとを、ゲーム内に配置する手順と、前記入力装置からの入力信号に基づいて、前記第1及び第2のキャラクタに関するモードを連携と非連携との間で切替える手順と、前記第1のキャラクタの攻撃は、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが強力となるように制御する手順と、前記第2のキャラクタのパラメータは、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが減少しやすくなるように制御する手順と、を実行させることを特徴とする。
【0008】
本発明によるゲーム装置は、入力装置と、ゲーム内でキャラクタによる戦闘を行わせるゲーム進行制御部55等のゲーム進行制御手段と、前記入力装置からの入力信号に基づいてゲーム内での攻撃を行う第1のキャラクタと、パラメータが設定された第2のキャラクタとを制御するキャラクタ制御部57等のキャラクタ制御手段と、前記入力装置からの入力信号に基づいて、前記第1及び第2のキャラクタに関するモードを連携と非連携との間で切替えるモード切替部58等のモード切替手段とを備え、前記キャラクタ制御手段は、前記第1のキャラクタの攻撃が、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが強力となるように制御するとともに、前記第2のキャラクタのパラメータは、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが減少しやすくなるように制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2のキャラクタのパラメータ減少を代償として第1のキャラクタの強力な攻撃を得るという、連携ならではの醍醐味を失わず、かつ、入力装置からの入力信号に基づいて攻撃を行わせるのは第1のキャラクタだけで済む構成となるので、プレイの手順が複雑とならず、格闘での攻撃などであってもプレイが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ゲーム装置の一例を示す図。
【図2】各制御部の一例を示したブロック図。
【図3】ゲームプログラムによる制御手順の一例を示したフローチャート。
【図4】ゲーム画面の一例を示した図。
【図5】属性テーブルの一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に従って説明する。小型のコンピュータであるゲーム装置1は、図1に示すように、バッテリーで駆動する携帯型ゲーム機となっている。ゲーム装置1は、本体2を有し、本体2には入力装置である方向キー3やボタン4等が設けられている。また、本体2には画像出力装置である2個の液晶モニタ5,6が設けられており、液晶モニタ6は入力装置を兼ねたタッチパネルとなっている(以下、タッチパネルの機能に着目して説明する際には「タッチパネル6」と記載する。)。本体2の内部には、図示しない演算装置や記憶装置などが内蔵されており、記憶媒体としてのロムカートリッジ7が本体2に対して着脱自在となっている。なお、図1で例示したゲーム装置は、2画面・タッチパネル式の携帯型ゲーム機であるが、本発明の実施例としては、1画面式あるいはタッチパネルを有さない形式の携帯型ゲーム機であっても構わない。更に、携帯型ゲーム機でなく、据置型の家庭用ゲーム機や、汎用型パーソナルコンピュータ、携帯型マルチメディアプレイヤー、携帯電話機、PDA、あるいはアーケードゲーム機などによるものでも可能である。
【0012】
次に、ゲームプログラム70を実行するゲーム装置1について、図2に基づき、その機能面から説明する。ゲーム装置1は、図2に示すように、演算装置としての主制御部50、記憶装置としてのメモリ部51と媒体ドライブ52、描画制御部53、画像出力制御部54、ゲーム進行制御部55、入力制御部56、キャラクタ制御部57、モード切替部58等を有している。媒体ドライブ52では図1に示すロムカートリッジ7が読み書き自在に接続されており、画像出力制御部54には液晶モニタ5,6がそれぞれ接続されている。また、入力制御部には方向キー3、ボタン4、タッチパネル6が接続されている。
【0013】
以上のように構成されたゲーム装置1において実行されるゲームプログラム70について、その実行手順を説明する。まずゲーム装置1は、プレイヤによる起動操作をうけ、ロムカートリッジ7に格納されたゲームプログラム70を媒体ドライブ52を介して読み込んで実行することにより、図3(a)に示すようにゲーム進行処理(ST01)を、ゲーム進行制御部55により行う。例えば、ここで進行処理されるゲームの内容はロールプレイングゲームであるとする。なお、ロールプレイングゲームは一例に過ぎず、本発明が適用されるゲームは、アドベンチャーゲーム、格闘ゲームなど、その他のジャンルのゲームであってもよい。本例で示すロールプレイングゲームでは、図4に示すように、ゲーム内でプレイヤが操作するプレイヤキャラクタとしてキャラクタAとキャラクタBとが登場する。プレイヤは、方向キー3、ボタン4、タッチパネル6を操作し、ゲーム進行制御部55は入力制御部56を介して得られるこれら操作による入力信号に基づいてキャラクタA,Bをゲーム内で動かすなどの制御を行い、ゲーム進行処理を行う。なお、ゲーム進行の具体的内容については周知のロールプレイングゲーム等と同様のものとし、個々の説明を省略する。
【0014】
次に、本ゲームプログラム70について、戦闘処理(いわゆる「ゲームシステム」や「戦闘システム」と呼ばれる部分)を説明する。例えば、図3(a)に示すように、ゲーム進行処理ST01を行い、ゲーム終了の条件が満たされたかどうかを判定する(ST02)。ゲーム終了の条件が満たされていない場合(即ち、ゲームオーバーでない場合)には、戦闘の条件が満たされたかどうかを判定する(ST03)。戦闘の条件とは、例えば、ゲーム中でキャラクタA,Bを操作し、これらが敵のキャラクタX,Y等に接触したことである。このような戦闘の条件が満たされたと判断されると、ゲーム進行制御部55は戦闘処理(ST04)を実行する。戦闘処理とは、例えば図4に示すように、キャラクタA,Bを敵のキャラクタX,Yと向かい合って配置し、互いに攻撃しあうような戦闘を行わせる処理のことである。また、本例での攻撃は、殴る、蹴るなどによる格闘で行うものとする。
【0015】
次いで、図3(b)に基づいて戦闘処理の詳細説明を行う。まず前提の説明をする。即ち、キャラクタ制御部57は、キャラクタA,B,X,Yの属性データを、図5に示すような属性テーブルTBで管理している。なお、属性テーブルTBはメモリ部51等に記憶しているものとする。属性テーブルTBには「HP」という項目があり、各キャラクタの体力等を示すパラメータとなっている。パラメータHPの数値が大きければ体力が大きく、この数値がゼロになると死亡(敗北)するという設定である。また、「連携」という項目があり、これは後述する連携モードまたは非連携モードの識別を記録するフラグである。また、「攻撃ダメージN」と「攻撃ダメージS」という項目があり、これは対応するキャラクタの攻撃により相手に与えるダメージの数値を設定しているものである。攻撃ダメージNは通常攻撃(例えばパンチやキックなど)を意味し、攻撃ダメージSは通常攻撃よりも強力な必殺技を意味するものである。
【0016】
以上のような前提のもと、戦闘処理が開始されると、図3(b)に示すように、キャラクタ制御部57は、キャラクタA,B,X,Yを図4に示すように戦闘の場面に配置し、これらキャラクタA,B,X,Yの現時点でのパラメータHPを属性テーブルTBより読み出して、図4に示すように各キャラクタに対応した形で表示する(ST11)。表示方法は、図4のように各キャラクタの近傍に棒状のゲージや数値を表示することによって行うことが望ましいが、別の方法でも可能である。
【0017】
次いで、モード切替部58は、方向キー3、ボタン4、タッチパネル6等の所定の入力操作によるモード切替に関する信号の有無を検出する(ST12)。ここでのモードとは、ゲーム上の設定として、キャラクタAとそのパートナーであるキャラクタB(あるいはキャラクタXとそのパートナーであるキャラクタY)が、戦闘において協力するモード(連携モード)であるか、そうでないモード(非連携モード)であるか、を意味する。連携モードの場合には属性テーブルTBの「連携」の値が「1」に、非連携モードの場合には属性テーブルTBの「連携」の値が「0」と記録される(図5の例では、キャラクタA,Bが連携モード、キャラクタX,Yが非連携モードとなっている。)。なお、戦闘処理の開始時には、初期値として、キャラクタA,B,X,Yの「連携」の値はいずれも「0」となっている。
【0018】
以上により、例えば、ステップST12の検出において、モード切替部58がモード切替に関する信号を検出しなかったとすると、次に、キャラクタ制御部57は、攻撃に関する入力信号の有無を検出する(ST13)。ここで本例では、攻撃に関する入力信号は、キャラクタA,Xの2個のキャラクタについてのみ検出が行われる。つまり、ゲーム中で攻撃を行うのは、キャラクタA,Xだけであって、キャラクタB,Yは基本的に攻撃は行わない設定としている。これにより、プレイヤはキャラクタAのみの操作に集中すればよいので、格闘方式の攻撃を行うゲームであっても、初心者でも簡単にゲームを進めることができる。なお、攻撃に関する入力信号は、キャラクタAについては、方向キー3、ボタン4、タッチパネル6等の所定の入力操作による入力信号であるとしたが、キャラクタXについては、プレイヤが操作しないキャラクタ(いわゆるNPC)なので、ゲームプログラム70によって実行される所定のAI制御によって発生される信号がキャラクタXにとっての攻撃の入力信号となる。
【0019】
ここで例えば、上記ステップST13の検出において、非連携モードでキャラクタAについて攻撃の入力信号が検出されると、ゲーム進行制御部55及びキャラクタ制御部57は、攻撃結果演算処理ST14と攻撃表示処理ST15とを行う。攻撃結果演算処理ST14では、当該キャラクタAの攻撃によって相手のキャラクタXに与える攻撃ダメージの数値を算出する。具体的には、図5に示す属性テーブルTBにおいて、「キャラクタA」の「攻撃ダメージN」を読み出し、その数値を攻撃ダメージとして算出する。図5の例では通常攻撃が「攻撃ダメージN」に相当し、この数値は「10」となっている。なお、この攻撃ダメージの数値は攻撃の種類(通常攻撃や必殺技等)やキャラクタの属性(各種パラメータやフラグ等)に応じて所定値ないしは計算式をあらかじめ定めておいてもよいし、その都度抽選などの方法によってランダムな数値を取得するようにしてもよい。このように攻撃ダメージの数値を算出すると、相手のキャラクタXのパラメータHPから当該攻撃ダメージ分を減算する処理を行う(なお減算処理の結果、キャラクタXのパラメータHPがマイナスになる場合は当該パラメータHPの値をゼロとする。)。たとえば、図5のように、キャラクタXのパラメータHPが「100」であった場合には、キャラクタAの通常攻撃により攻撃ダメージ「10」を受けると、キャラクタXのパラメータHPが、「100−10=90」と減算され、その結果、キャラクタXのパラメータHPは「90」となる。減算処理した結果のパラメータHPの値は属性テーブルTBに上書きされる。
【0020】
次に、攻撃表示処理ST15では、キャラクタAが発動する攻撃に応じて、あらかじめロムカートリッジ7等に格納されているアニメーション等を読み出し、描画制御部53及び画像出力制御部54を介してこれを液晶モニタ5,6に再生表示する。また、相手のキャラクタXの攻撃ダメージの結果(たとえば攻撃ダメージの数値等)に応じて、あらかじめロムカートリッジ7等から読み出されてメモリ部51等に格納されているアニメーション等を読み出し、描画制御部53及び画像出力制御部54を介してこれを液晶モニタ5,6等に再生表示する。
【0021】
次いで、勝敗判定ST16において、ゲーム進行制御部55は、属性テーブルTBにおけるキャラクタA,Xの「HP」の値をチェックし、いずれかのキャラクタのパラメータHPがゼロとなっていれば、勝敗が決せられたと判断する。勝敗が決せられたと判断した場合には、パラメータHPがゼロとなったキャラクタが敗北し、そうでないキャラクタが勝利したものとして戦闘終了処理ST17を行う。戦闘終了処理ST17の後は、戦闘処理を終了して、図3(a)のゲーム進行処理ST01に戻る。また、勝敗判定ST16において、いずれのキャラクタのパラメータHPもゼロでなければ、勝敗がついていないと判断し、再びステップST11へ戻って上述した一連の戦闘処理のステップを繰り返す。
【0022】
ところで、プレイヤが所定の入力操作により「非連携モード」から「連携モード」にするための操作を行った場合、上述の戦闘処理のうちステップST12において、モード切替部58は当該モード切替に関する信号を検出する。この検出により、モード切替部58は、キャラクタAとそのパートナーのキャラクタBについて、モードの切り替えがなされたと判断するので、切替処理ST21を行う。切替処理ST21においてはまず、モードの切り替えがなされたキャラクタA,Bについて、属性テーブルTBの「連携」の値を書き換える。例えば、非連携モードから連携モードに切り替える場合には、「連携」の値を「0」から「1」に書き換える。なお、プレイヤが操作しないキャラクタX,Yについてもモード切替が可能になっている。この場合のモード切替に関する信号は、ゲームプログラム70によって実行される所定のAI制御によって発生されるようになっている。
【0023】
なお、上記切替処理ST21では、モード切替表示処理を行うことが効果的である。たとえば、キャラクタAまたはXなどの各キャラクタの種別や、非連携モードから連携モードあるいはその逆などの切替方向の別に応じて、あらかじめロムカートリッジ7等に格納されているアニメーション等を読み出し、描画制御部53及び画像出力制御部54を介してこれを液晶モニタ5,6等に再生表示する。また、キャラクタのモードが連携モードであるか非連携モードであるかを明示するために、例えば連携モード中のキャラクタについては表示上の識別を行うようにすることが効果的である。具体的には、連携モード中のキャラクタを光らせたり、点滅させたりするなどの識別表示を行うことが可能である。
【0024】
なお、連携モードに切り替わった後の、その後の処理については図3(b)に示す通り、上述した非連携モードでの場合と基本的に同じである。ただし、連携モードになったキャラクタが発動する攻撃は、これにより相手に与える攻撃ダメージが非連携モードの場合よりも大きくなる。つまり、キャラクタの攻撃は、当該キャラクタが非連携モードの場合よりも連携モードの場合のほうが強力となる。たとえば、連携モードになったキャラクタAによる攻撃についての攻撃結果演算処理ST14では、攻撃ダメージの数値を算出した場合、その算出結果に対してさらに係数をかけるなど、相手の受ける攻撃ダメージの数値を非連携モードの場合よりも大きくする処理をする。たとえば、図5のように、連携モード中のキャラクタAの通常攻撃による「攻撃ダメージN」は、属性テーブルTBから「10」を算出するが、さらにこの「10」に対して所定の係数、たとえば「2」(この数値「2」は一例である)をかけて「20」を最終的な攻撃ダメージの数値として算出する。そして、攻撃の相手となるキャラクタXのパラメータHPが「100」であった場合には、「100−20=80」と減算され、キャラクタXの受ける攻撃ダメージは非連携モードの場合よりも大きくなる。このように、連携したほうが強力な攻撃が行えるようになっている。
【0025】
また、図5に示す「攻撃ダメージS」に対応する必殺技は、連携モードの場合にのみ発動できるように設定するのが好ましい。そして、必殺技を発動する際には、その「攻撃ダメージS」に応じた分のダメージをパートナーのキャラクタに与えるようにする。たとえば、キャラクタAが連携モード中に必殺技を発動する場合、図5に示すように、必殺技の「攻撃ダメージS」の数値である「100」に対する所定の係数値、たとえば「0.1」をかけた分(100×0.1=10:ただし数値は一例)だけキャラクタBのパラメータHPから減算する。つまり、キャラクタBのパラメータHPが「20」であったなら、「20−10=10」により、キャラクタBのパラメータHPが「10」となる。このように、強力な必殺技を出すための代償として、パートナーのキャラクタにダメージを与える仕組みになっており、戦略性に富む連携のシステムとなっている。
【0026】
ところで、連携モード中のキャラクタB(あるいはキャラクタXについてはそのパートナーであるキャラクタY)は、時間経過とともにパラメータHPを一定値ずつ消費するように制御する(一例として、HPを毎分1ずつ減算など)。つまり、キャラクタB,YのパラメータHPは、非連携モードの場合よりも連携モードの場合のほうが減少しやすくなるように制御する。あるいは別の例として、キャラクタB,YはキャラクタA,Xが何らかの攻撃ダメージを受けると、それに対応した数値のダメージを受けるようにしてもよい。たとえば連携モードにおいて、キャラクタAが攻撃ダメージ「30」を受けるとすると、これに対応してキャラクタBが攻撃ダメージ「15」(30×0.5=15:ただし数値「0.5」は一例)を受けるようにする。そして、キャラクタB,Yは、連携モードにおいて上述のようにパラメータHPを消費した後、非連携モードに切り替えると、時間経過とともにこのパラメータHPを回復できるようにしてもよい(一例として、HPを毎分1ずつ回復など)。
【0027】
以上より、たとえば次のようなプレイ方法が実現する。戦闘処理が開始されると、プレイヤは非連携モードでキャラクタAを操作してキャラクタXを攻撃し、キャラクタXのパラメータHPを徐々に減算させる。これにより、プレイヤはキャラクタBのパラメータHPの温存を図る。その後、キャラクタXのパラメータHPをある程度まで消耗させた後に、プレイヤはモード切替を行い、連携モードにして必殺技を発動し、キャラクタXのパラメータHPを一撃でゼロにして勝利する。あるいは、戦闘処理が開始するとプレイヤはただちに連携モードにしてキャラクタAによる強力な攻撃でキャラクタXのパラメータHPを素早く消費させる。その後、モード切替により非連携モードに戻してキャラクタBのパラメータHPを回復させ、このパラメータHPが必殺技発動可能な数値になった時点で、再び連携モードに切り替え、キャラクタAの必殺技によってキャラクタXを一撃で倒して勝利する。
【0028】
以上のようにゲームプログラム70によると、戦闘処理時にプレイヤが操作するのはキャラクタAの1個だけでいいので、格闘の方法で攻撃を行うゲームであっても、ゲーム初心者でもプレイが簡単である。また、モード切替により連携モードとすることで、キャラクタAの攻撃が強力になるとともに、その代償としてキャラクタBのパラメータHPを消耗するなどのデメリットが生ずることで、ゲームを進めるうえでの戦略性に富み、連携の醍醐味を味わうことができるものである。なお、本実施形態では、キャラクタBやYなどのパートナーとなるキャラクタ(第2のキャラクタ)は、戦闘処理において攻撃を行わないように構成しているが、攻撃を行わないのはプレイヤ側のキャラクタBであって、敵側のキャラクタYは攻撃を行うようにしてもよい。また、パートナーとなるキャラクタ(第2のキャラクタ)は、戦闘処理中に、例えば図4に示すようにセリフを吹き出しウインドウで表示させるなどの演出表現をさせるようにしてもよい。例えば、キャラクタXの現在のパラメータHPを検出し、当該パラメータHPとキャラクタAの必殺技による攻撃ダメージとを比較して、当該パラメータHPが攻撃ダメージより下回った時点で、「イマダ!レンケイシロ!」(「今だ!連携しろ!」)などの予め準備していたテキストをセリフとして出力制御するようにすればよい。このセリフによって、プレイヤは、キャラクタA,Bが連携モードに切り替えるべき最適なタイミングをつかめるので、初心者にもプレイが簡単となり、効果的である。あるいは、キャラクタBやYなどのパートナーとなるキャラクタ(第2のキャラクタ)が、戦闘処理において行わない攻撃とは、複雑な操作を要する格闘などによる攻撃であって、例えば単純なボタン操作等による攻撃(ビームや弾丸の発射など)は行えるように構成してもよい。
【0029】
さらに別の例として、キャラクタのモード切替に応じて当該キャラクタの行動速度が変化するようにしてもよい。例えば、2次元または3次元座標からなるゲーム空間中でキャラクタが移動する速度や、キャラクタが、殴る、蹴るなどの攻撃のモーションを実行する際のモーション実行速度などが、ここで言う行動速度にあたり、非連携モードでのこれら行動速度が基準値とされている。そして、当該キャラクタがモード切替により連携モードになると、前記行動速度をその基準値に対して所定割合増加(例えば2倍等)させるようにすればよい。これにより、連携モードに切り替えることでスピード感のあるゲーム展開がなされ、よりいっそう連携の醍醐味が増すこととなる。
【0030】
また別の例として、キャラクタが相手を攻撃することにより与える「攻撃ダメージ」という属性に加えて(または「攻撃ダメージ」の代わりに)、キャラクタが相手からの攻撃に耐えることができる「防御力」という属性を設けてもよい。たとえば、この防御力は所定数値の係数であって、キャラクタが受ける攻撃ダメージの値と演算して、最終的な攻撃ダメージの数値を算出するものである。一例として、図5のキャラクタXの「防御力」が「1」であったとすると、非連携モード中のキャラクタAの通常攻撃による「攻撃ダメージN」が属性テーブルTBから「10」であるので、非連携モード中のキャラクタXの受ける最終的な攻撃ダメージとしては「10」を「1」で除算して「10」が算出される。なお、この例では「防御力」で除算する演算となるので、「防御力」が大きいほどそのキャラクタは「打たれ強い」という意味になる。
そして以上のようにキャラクタに「防御力」という属性を設けることを前提として、キャラクタのモード切替に応じて当該キャラクタの「防御力」を変化させるようにしてもよい。たとえば、連携モードの場合には、「防御力」の数値を大きくする形で補正するようにする。上の例でキャラクタXがモード切替して連携モードになった場合、非連携モード中のキャラクタAの通常攻撃による「攻撃ダメージN」が「10」であるので、連携モード中のキャラクタXの「防御力」は「1×2=2」(補正係数「2」は一例)のように補正され、キャラクタXが受ける最終的な攻撃ダメージとしては「10」を「2」で除算して「5」が算出される。つまり、この例では、連携することでキャラクタの防御力が大きくなり、その結果、キャラクタの受けるダメージが小さくなり、打たれ強くなる。
以上のような構成にすることで、攻撃を受ける側のモード切替によってダメージが変化し、たとえば、非連携モードでは、連携モードのキャラクタからの攻撃を受け止めきれないようなときに、モード切替を行って連携モードとなり防御力を大きくして耐えるなど、戦略性に富むゲーム展開が可能となる。
【0031】
上記の実施形態のように本発明を携帯型ゲーム機で実現する場合、携帯型ゲーム機特有の問題、CPUやグラフィック等の処理能力が低く、メモリ等の記憶容量が小さく、バッテリーの電力が限られている、などの問題があるところ、戦闘時に操作するキャラクタを1個にすることで、戦闘を終えるまでに必要な攻撃の回数を減らすことができ、連携や必殺技の発動時に再生するアニメーションのパターンを少なく済ませることができる。
【0032】
上述した例では、敵のキャラクタX,YはAI制御により操作されるものであったが、別の例として、例えばコントローラ等の入力装置が2人分装備された家庭用ゲーム機やアーケードゲーム機、あるいは汎用パーソナルコンピュータ等であれば、2人で対戦プレイ(2Pプレイ)が可能な構成とし、キャラクタAと、キャラクタXとを、それぞれのプレイヤがおのおの操作するようにしてもよい。あるいは、複数台のゲーム装置をインターネットやLANなどのネットワーク、あるいは無線や赤外線でのピアツーピア通信等で接続し、各々のゲーム装置からの入力操作によって各キャラクタを操作するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ゲーム装置、2 本体、3 方向キー、4 ボタン、5 液晶モニタ、6 液晶モニタ(タッチパネル)、7 ロムカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置を有するコンピュータに、ゲーム内でキャラクタによる戦闘を行わせるゲームプログラムにおいて、
前記入力装置からの入力信号に基づいてゲーム内での攻撃を行う第1のキャラクタと、パラメータが設定された第2のキャラクタとを、ゲーム内に配置する手順と、
前記入力装置からの入力信号に基づいて、前記第1及び第2のキャラクタに関するモードを連携と非連携との間で切替える手順と、
前記第1のキャラクタの攻撃は、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが強力となるように制御する手順と、
前記第2のキャラクタのパラメータは、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが減少しやすくなるように制御する手順と、
を実行させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
入力装置と、
ゲーム内でキャラクタによる戦闘を行わせるゲーム進行制御手段と、
前記入力装置からの入力信号に基づいてゲーム内での攻撃を行う第1のキャラクタと、パラメータが設定された第2のキャラクタとを制御するキャラクタ制御手段と、
前記入力装置からの入力信号に基づいて、前記第1及び第2のキャラクタに関するモードを連携と非連携との間で切替えるモード切替手段とを備え、
前記キャラクタ制御手段は、前記第1のキャラクタの攻撃が、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが強力となるように制御するとともに、前記第2のキャラクタのパラメータは、前記モードが非連携である場合よりも連携である場合のほうが減少しやすくなるように制御する、
ことを特徴とするゲーム装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−233338(P2009−233338A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−129900(P2009−129900)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】