説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】座標入力手段を用いたゲーム装置において、ゲームの状況に応じた適切なスクロール処理を行うことによって操作性を向上させること。
【解決手段】タッチパネルを通じてプレイヤによる移動指示が入力されていない間は、タッチパネルからの入力座標の示す位置が、表示画面の外縁に沿った第1周辺領域に含まれていることを条件として、表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる。タッチパネルを通じてプレイヤによる移動指示が入力されている間は、タッチパネルからの入力座標の示す位置が、表示画面の外縁に沿った、第1周辺領域よりも広い第2周辺領域に含まれていることを条件として、表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲームプログラムおよびゲーム装置に関し、特に、入力装置としてタッチパネル等の座標入力手段を利用するゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル等のポインティングデバイスを用いて画面をスクロールさせる技術がある。
【0003】
特許文献1には、タッチパネルと表示装置を有する情報処理装置において、タッチパネルの周囲エリアをタッチペンでポインティングした場合、その周囲エリアに対応する方向に表示装置の表示領域を移動する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−230888号公報(段落[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、周囲エリアが固定であるため、状況によっては十分に良好な操作性が得られないことが考えられる。
【0006】
特にビデオゲームの入力装置に関しては、ゲームの状況に応じて最適な操作性を実現することが望まれる。
【0007】
それ故に、本発明の主たる目的は、座標入力手段を用いたゲーム装置において、ゲームの状況に応じた適切なスクロール処理を行うことによって操作性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号は本発明の理解を助けるために図面との対応関係の一例を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0009】
本発明の第1の局面は、ゲーム画像を表示するための表示画面(12)と、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段(15)と、データを一時的に記憶するメモリ(24)とに接続されたコンピュータ(21)を、表示制御手段、格納手段、移動制御手段、およびスクロール制御手段として機能させるためのゲームプログラムである。表示制御手段は、プレイヤによって移動操作可能なオブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する手段である。格納手段は、前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する手段である。移動制御手段は、プレイヤによる移動指示に応じて、前記メモリに格納された座標データが示す位置に向かって前記オブジェクトを移動させる手段である。スクロール制御手段は、(a)プレイヤによる移動指示が入力されていない間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った第1周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせ、(b)プレイヤによる移動指示が入力されている間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った、前記第1周辺領域とは異なる第2周辺
領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる手段である。
【0010】
本発明の第2の局面は、上記第1の局面において、前記第1周辺領域が前記第2周辺領域よりも狭いことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の局面は、上記第1の局面において、前記スクロール制御手段は、プレイヤによる移動指示が入力されていないときと入力されているときとで、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像のスクロール速度を変化させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の局面は、上記第3の局面において、プレイヤによる移動指示が入力されているときの前記スクロール制御手段によるゲーム画像のスクロール速度が、プレイヤによる移動指示が入力されていないときのスクロール速度よりも遅いことを特徴とする。
【0013】
本発明の第5の局面は、上記第1の局面において、前記座標入力手段が前記表示画面上に設けられたタッチパネルであり、前記移動指示は、前記表示画面における前記オブジェクトの表示位置を起点とした前記タッチパネル上でのスライド操作によって行われることを特徴とする。
【0014】
本発明の第6の局面は、ゲーム画像を表示するための表示画面(12)と、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段(15)と、データを一時的に記憶するメモリ(24)とに接続されたコンピュータ(21)を、表示制御手段、格納手段、オブジェクト処理手段、およびスクロール制御手段として機能させるためのゲームプログラムである。表示制御手段は、オブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する手段である。格納手段は、前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する手段である。オブジェクト処理手段は、前記メモリに格納された座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在するときに予め定められた処理を実行する手段である。スクロール制御手段は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が前記表示画面の外縁に沿った周辺領域に含まれており、かつ当該座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在しないときにのみ、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる手段である。
【0015】
本発明の第7の局面は、ゲーム画像を表示するための表示画面(12)、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段(15)、データを一時的に記憶するメモリ(24)、表示制御手段(21、S28)、格納手段(21、S12)、移動制御手段(21、S22)、およびスクロール制御手段(21、S26)を備えたゲーム装置である。表示制御手段は、プレイヤによって移動操作可能なオブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する手段である。格納手段は、前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する手段である。移動制御手段は、プレイヤによる移動指示に応じて、前記メモリに格納された座標データが示す位置に向かって前記オブジェクトを移動させる手段である。スクロール制御手段は、(a)プレイヤによる移動指示が入力されていない間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った第1周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせ、(b)プレイヤによる移動指示が入力されている間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った、前記第1周辺領域とは異なる第2周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる手段である。
【0016】
本発明の第8の局面は、ゲーム画像を表示するための表示画面(12)、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段(15)、データを一時的に記憶するメモリ(24)、表示制御手段(21、S28)、格納手段(21、S12)、オブジェクト処理手段(21、S16)、およびスクロール制御手段(21、S26)を備えたゲーム装置である。表示制御手段は、オブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する手段である。格納手段は、前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する手段である。オブジェクト処理手段は、前記メモリに格納された座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在するときに予め定められた処理を実行する手段である。スクロール制御手段は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が前記表示画面の外縁に沿った周辺領域に含まれており、かつ当該座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在しないときにのみ、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせる手段である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記第1の局面によれば、オブジェクトの移動操作中と、その他のときとでスクロール処理のための領域を異ならせることによって、それぞれの状況に応じた適切なスクロール処理が行われ、操作性が向上する。
【0018】
本発明の上記第2の局面によれば、オブジェクトの移動操作中は、表示画面の外縁間際を指示しなくてもスクロールが行われるので、プレイヤはオブジェクトの進行方向の状況を確認しながらオブジェクトを移動させることが容易となる。また、オブジェクトの移動操作をしていないときには、表示画面の外縁間際を指示しない限りスクロールが行われないので、プレイヤが座標入力手段を用いて入力操作を行っているときにプレイヤの意図に反してスクロールが行われてしまうのを防止することができる。
【0019】
本発明の上記第3の局面によれば、オブジェクトの移動操作中と、その他のときとでスクロール速度を異ならせることによって、それぞれの状況に応じた適切なスクロール処理が行われ、操作性が向上する。
【0020】
本発明の上記第4の局面によれば、オブジェクトの移動操作をしていないときには、比較的速い速度でスクロールが行われるので、プレイヤはストレスを感じることなく快適にスクロール指示を行うことができる。また、オブジェクトの移動操作をしているときは、比較的遅い速度でスクロールが行われるので、移動操作中のオブジェクトが画面外に置いて行かれることなく、プレイヤはオブジェクトの状況と進行方向の状況の両方を確認しながら移動操作を行うことができ、良好な操作感が得られる。
【0021】
本発明の上記第6の局面によれば、座標入力手段によって指示された位置が表示画面の外縁に沿った周辺領域に含まれており、かつその位置にオブジェクトが存在しないときにのみ、スクロール処理が行われる。よって、プレイヤが、周辺領域に位置するオブジェクトの表示位置またはその近傍を座標入力手段を用いて指示したときに、プレイヤの意図に反してスクロールが行われてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図
【図2】ゲーム装置の内部構成図
【図3】ゲーム画面例
【図4】他のゲーム画面例
【図5】さらに他のゲーム画面例
【図6】さらに他のゲーム画面例
【図7】さらに他のゲーム画面例
【図8】さらに他のゲーム画面例
【図9】さらに他のゲーム画面例
【図10】さらに他のゲーム画面例
【図11】さらに他のゲーム画面例
【図12】RAMのメモリマップ
【図13】キャラクタ情報の具体例
【図14】ゲーム処理の全体の流れを示すフローチャート
【図15】スクロール処理の詳細を示すフローチャート
【図16】さらに他のゲーム画面例
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の構成および動作を説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図である。図1において、ゲーム装置10は、第1のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)11および第2のLCD12を含む。ハウジング13は上側ハウジング13aと下側ハウジング13bとによって構成されており、第1のLCD11は上側ハウジング13aに収納され、第2のLCD12は下側ハウジング13bに収納される。第1のLCD11および第2のLCD12の解像度はいずれも256dot×192dotである。なお、本実施形態では表示装置としてLCDを用いているが、例えばEL(Electro Luminescence:電界発光)を利用した表示装置など、他の任意の表示装置を利用することができる。また任意の解像度のものを利用することができる。
【0025】
上側ハウジング13aには、後述する1対のスピーカ(図2の30a、30b)からの音を外部に放出するための音抜き孔18a、18bが形成されている。
【0026】
下側ハウジング13bには、入力装置として、十字スイッチ14a、スタートスイッチ14b、セレクトスイッチ14c、Aボタン14d、Bボタン14e、Xボタン14f、Yボタン14g、Lボタン14LおよびRボタン14Rが設けられている。また、さらなる入力装置として、第2のLCD12の画面上にタッチパネル15が装着されている。また、下側ハウジング13bには、電源スイッチ19や、メモリカード17やスティック16を収納するための挿入口も設けられている。
【0027】
タッチパネル15としては、例えば抵抗膜方式や光学式(赤外線方式)や静電容量結合式など、任意の方式のものを利用することができる。タッチパネル15は、その表面をスティック16で触れると、その接触位置に対応する座標データを出力する機能を有している。なお、以下ではプレイヤがタッチパネル15をスティック16で操作するものとして説明を行うが、スティック16の代わりにペン(スタイラスペン)や指でタッチパネル15を操作することももちろん可能である。本実施形態では、タッチパネル15として、第2のLCD12の解像度と同じく256dot×192dotの解像度(検出精度)のものを利用する。ただし、必ずしもタッチパネル15の解像度と第2のLCD12の解像度が一致している必要はない。
【0028】
メモリカード17はゲームプログラムを記録した記録媒体であり、下部ハウジング13bに設けられた挿入口に着脱自在に装着される。
【0029】
次に、図2を参照してゲーム装置10の内部構成を説明する。
【0030】
図2において、ハウジング13に収納される電子回路基板20には、CPUコア21が実装される。CPUコア21には、バス22を介して、コネクタ23が接続されるととも
に、入出力インターフェース回路(図面ではI/F回路と記す)25、第1GPU(Graphics Processing Unit)26、第2GPU27、RAM24およびLCDコントローラ31が接続される。コネクタ23には、メモリカード17が着脱自在に接続される。メモリカード17は、ゲームプログラムを記憶するROM17aと、バックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM17bを搭載する。メモリカード17のROM17aに記憶されたゲームプログラムはRAM24にロードされ、RAM24にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。RAM24には、ゲームプログラムの他にも、CPUコア21がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや、ゲーム画像を生成するためのデータが記憶される。I/F回路25には、タッチパネル15、右スピーカ30a、左スピーカ30bおよび図1の十字スイッチ14aやAボタン14d等から成る操作スイッチ部14が接続される。右スピーカ30aと左スピーカ30bは、音抜き孔18a、18bの内側にそれぞれ配置される。
【0031】
第1GPU26には、第1VRAM(Video RAM)28が接続され、第2GPU27には、第2VRAM29が接続される。第1GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて、RAM24に記憶されているゲーム画像を生成するためのデータに基づいて第1のゲーム画像を生成し、第1VRAM28に描画する。第2GPU27は、同様にCPUコア21からの指示に応じて第2のゲーム画像を生成し、第2VRAM29に描画する。第1VRAM28および第2VRAM29はLCDコントローラ31に接続されている。
【0032】
LCDコントローラ31はレジスタ32を含む。レジスタ32はCPUコア21からの指示に応じて0または1の値を記憶する。LCDコントローラ31は、レジスタ32の値が0の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第1のLCD11に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第2のLCD12に出力する。また、レジスタ32の値が1の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第2のLCD12に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第1のLCD11に出力する。
【0033】
なお、上記のようなゲーム装置10の構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、タッチパネルやマウスやタッチパッド等のポインティングデバイスと少なくとも1つの表示装置とを有する任意のコンピュータシステムに適用することができる。また、本発明のゲームプログラムは、メモリカード17などの外部記憶媒体を通じてコンピュータシステムに供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてコンピュータシステムに供給されてもよいし、さらにはコンピュータシステム内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0034】
次に、図3〜図10を参照して、ゲーム装置10によって実行されるゲームの概要を説明する。
【0035】
ゲームが開始されると、図3に示すように、ゲーム世界のある一部の領域の様子が第2のLCD12に表示される。ゲーム世界には複数のプレイヤキャラクタと複数の敵キャラクタが存在している。なお、図3の例では3体のプレイヤキャラクタPC1〜PC3と、1体の敵キャラクタECのみが画面に表示されているが、ゲーム世界の他の領域にはさらに別のプレイヤキャラクタや敵キャラクタが存在している。プレイヤキャラクタはプレイヤが操作可能なキャラクタであり、敵キャラクタはコンピュータによって自動制御されるキャラクタである。なお、プレイヤキャラクタは、プレイヤが何ら入力操作を行っていない状態では、単にその場で停止していても良いし、あたかも自分の意志で行動しているかのようにコンピュータによって移動制御されてもよい。
【0036】
プレイヤは、図4に示すように、第2のLCD12の表示画面の外縁に沿った第1周辺領域をスティック16でタッチすることにより、所望の方向へゲーム画像をスクロールさせることができる。このようなスクロール操作を行うことによって、プレイヤは、表示画面に表示されていないゲーム世界の他の領域の様子を確認することができる。
【0037】
ゲーム画像のスクロール方向は、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPに基づいて決定される。例えば図4に示すように表示画面の右端にスティック16を接触させれば、図5に示すようにゲーム画像(ゲーム世界)は画面左方向に向かってスクロールする。これにより、プレイヤは表示画面に現在表示されているゲーム世界の領域よりもさらに画面右方向に位置する領域の様子を確認することができる。また例えば、図6に示すように表示画面の右下隅にスティック16を接触させれば、図7に示すようにゲーム画像は画面左上方向に向かってスクロールする。これにより、プレイヤは表示画面に現在表示されているゲーム世界の領域よりもさらに画面右下方向に位置する領域の様子を確認することができる。
【0038】
なお、ゲーム画面のスクロール方向の決定方法としてはいくつかの方法が考えられる。一例として、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPから表示画面の中央に向かう方向をスクロール方向とすることが挙げられる。
【0039】
プレイヤは、図8に示すように、任意のプレイヤキャラクタの表示位置を起点としてタッチパネル15上でスティック16をスライドさせることによって、そのプレイヤキャラクタに対して移動指示を与えることができる。図8は、プレイヤキャラクタPC2を画面右方向へ移動させるときの入力操作の例を示している。
【0040】
移動指示は、プレイヤがスティック16をタッチパネル15から離すまでの間、プレイヤキャラクタに与え続けられる。移動指示を受けたプレイヤキャラクタは、図9に示すようにスティック16の接触位置TPに向かって(より正確には、接触位置TPに対応するゲーム世界の地点に向かって)所定の速度で移動する。このような入力操作(以下、移動操作と記す)を行うことによって、プレイヤは所望のプレイヤキャラクタを所望の方向へ導くことができる。
【0041】
なおプレイヤは、上記の移動操作によって、プレイヤキャラクタを表示画面に現在表示されていないゲーム世界の領域へ導くこともできる。具体的には、図10に示すように、移動操作中にスティック16を第2のLCD12の表示画面の外縁に沿った第2周辺領域までスライドさせることにより、移動操作を継続しつつ、所望の方向へゲーム画像をスクロールさせることができる。この第2周辺領域は、図4と図10を見比べれば明らかなように、第1周辺領域とは異なる領域であって、その広さは第1周辺領域よりも広い。
【0042】
上記のような移動操作中のスクロール処理についても、ゲーム画像のスクロール方向は、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPに基づいて決定される。例えば図10に示すように表示画面の右端にスティック16を接触させれば、図11に示すようにゲーム画像(ゲーム世界)は画面左方向に向かってスクロールする。これにより、プレイヤは、表示画面に現在表示されているゲーム世界の領域よりもさらに画面右方向に位置する領域の様子を確認しながら、プレイヤキャラクタPC2を画面右方向へ導くことができる。
【0043】
なお、移動操作中のゲーム画面のスクロール方向の決定方法としてはいくつかの方法が考えられる。一例として、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPから表示画面の中央に向かう方向をスクロール方向としてもよいし、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPから移動操作の対象となっているプレイヤキャラクタの
表示位置に向かう方向をスクロール方向としてもよい。
【0044】
なお、本実施形態では第2周辺領域は第1周辺領域よりも広く設定されているため、移動操作中においてプレイヤキャラクタの進行方向の様子を確認しやすくなり、移動操作中にプレイヤキャラクタが進行方向から不意に現れた敵キャラクタと至近距離で遭遇してしまうことを回避することができる。ただし、本発明においては、必ずしも第2周辺領域が第1周辺領域よりも広く設定されている必要はなく、ゲームの内容によっては第2周辺領域が第1周辺領域よりも狭くてもよい。
【0045】
なお、上記のようなスクロール操作や移動操作は、タッチパネル以外の座標入力手段を用いる場合にももちろん可能である。例えば座標入力手段としてマウスを用いる場合には、画面に表示されるポインタを第1周辺領域上に移動させてからマウス上のボタンを押下することによってスクロール操作を行うことができる。この場合、スクロール指示はマウス上のボタンを解放するまで継続して入力されることになる。また、画面に表示されるポインタを所望のプレイヤキャラクタ上に移動させてからマウス上のボタンを押下しながらマウスを移動させることによって移動操作を行うことができる。この場合、移動指示はマウス上のボタンを解放するまで継続して入力されることになる。
【0046】
以下、ゲーム装置10の動作をより詳細に説明する。
【0047】
図12にRAM24のメモリマップを示す。RAM24には、ゲームプログラム40、キャラクタ情報42、背景情報44、第1周辺領域情報46、第2周辺領域情報48、現在入力座標50、直前入力座標52、および操作中フラグ54が記憶される。
【0048】
ゲームプログラム40は、CPUコア21にゲーム処理を実行させるためのプログラムであって、ゲーム処理の実行に先立ってROM17aからRAM24に読み込まれる。
【0049】
キャラクタ情報42は、ゲーム世界のプレイヤキャラクタや敵キャラクタに関する情報である。キャラクタ情報42には、図13に示すように、プレイヤキャラクタおよび敵キャラクタの画像データや状態データが含まれる。状態データには、キャラクタ毎に現在座標と操作対象フラグが含まれている。操作対象フラグは、各キャラクタがプレイヤによる移動操作の対象となっているか否かを示すフラグである。画像データはROM17aからRAM24に読み込まれ、ゲーム画像の生成に利用される。状態データはゲームの進行に応じて随時更新される。
【0050】
背景情報44は、ゲーム世界の背景を構成する地面や木などに関する情報である。背景情報にも位置情報や画像データが含まれる。
【0051】
第1周辺領域情報46および第2周辺領域情報48は、前述の第1周辺領域および第2周辺領域の範囲をそれぞれ示す情報である。
【0052】
現在入力座標50は、タッチパネル15に対するスティック16の接触位置TPを示す座標であって、タッチパネル15の出力信号に基づいて一定の周期で随時更新される。
【0053】
直前入力座標52は、現在入力座標50の直前に検出された接触位置TPの座標である。
【0054】
操作中フラグ54は、図9に示すようなプレイヤによる移動操作が行われている最中かどうかを示すフラグである。
【0055】
次に、図14のフローチャートを参照して、ゲームプログラム40に基づくCPUコア21の処理の流れを説明する。
【0056】
ゲームプログラム40が実行されると、まずステップS10で、CPUコア21は初期化処理を行う。この初期化処理では、ゲーム世界にプレイヤキャラクタや敵キャラクタを配置する処理などが含まれる。
【0057】
その後、ステップS12〜ステップS30の処理が、第2のLCD12の画面の更新周期(通常は60分の1秒)に同期して一定周期で繰り返し実行される。
【0058】
ステップS12では、タッチパネル15の出力信号に基づいて現在の入力座標を検出し、現在入力座標50としてRAM24に格納する。このとき、更新前の現在入力座標50の値は、直前入力座標52としてRAM24に保持される。
【0059】
ステップS14では、現在入力座標50と各プレイヤキャラクタの現在座標に基づいて、プレイヤがいずれかのプレイヤキャラクタをスティック16でタッチしたかどうかを判断する。より詳細には、直前入力座標52が「入力無し」であって、かつ現在入力座標50がいずれかのプレイヤキャラクタの表示位置を指しているかどうかを判断する。この結果、プレイヤがいずれかのプレイヤキャラクタをスティック16でタッチしたと判断された場合には、ステップS16において操作中フラグ54をオンにし、さらにスティック16でタッチされたプレイヤキャラクタの操作対象フラグをオンにする。
【0060】
ステップS18では、タッチパネル15からスティック17が離れたかどうかを判断する。そして、タッチパネル15からスティック17が離れたと判断された場合には、ステップS20において操作中フラグ54をオフにし、さらに全てのプレイヤキャラクタの操作対象フラグをオフにする。
【0061】
ステップS22では、キャラクタの移動処理を行う。具体的には、移動操作対象となっているプレイヤキャラクタ(すなわち操作対象フラグがオンになっているプレイヤキャラクタ)の現在座標を、このプレイヤキャラクタが現在入力座標50に対応するゲーム世界の地点に向かって所定の速度で移動するように、更新する。なお、操作対象フラグがオンになっているプレイヤキャラクタが存在しないときはステップS22の処理はスキップされる。
【0062】
ステップS24では、敵キャラクタの移動処理や、各キャラクタのアニメーション処理や、ゲームサウンドの生成など、ゲームの進行に必要となる種々の処理を行う。
【0063】
ステップS26では、スクロール処理を行う。このスクロール処理の詳細は後述する。
【0064】
ステップS28では、ステップS26のスクロール処理を反映したゲーム画像を生成し、このゲーム画像を第2のLCD12に表示させる。
【0065】
ステップS30では、ゲームが終了したかどうかを判断し、ゲームが終了した場合にはゲームプログラム40の実行を終了し、ゲームが終了していない場合にはステップS12に戻って次のフレームの処理を行う。
【0066】
次に、図14のフローチャートを参照して、スクロール処理の詳細を説明する。
【0067】
ステップS40では、操作中フラグ54がオンかどうかを判断し、オンである場合にはステップS48に進み、オフである場合にはステップS42に進む。
【0068】
ステップS42では、第1周辺領域情報46と現在入力座標50を参照し、現在入力座標50が第1周辺領域の内部を指しているかどうかを判断する。そして、現在入力座標50が第1周辺領域の内部を指している場合にはステップS44に進み、指していない場合には図14のステップS28に進む。
【0069】
ステップS44では、各プレイヤキャラクタの現在座標と現在入力座標50を参照し、現在入力座標50がいずれかのプレイヤキャラクタを指しているかどうかを判断する。そして、現在入力座標50がいずれかのプレイヤキャラクタを指している場合には図14のステップS28に進み、指していない場合にはステップS46に進む。
【0070】
ステップS46では、現在入力座標50に基づいてスクロール方向を決定し、そのスクロール方向にゲーム画像を所定距離D1だけスクロールさせる。これにより、1フレームにつき距離D1だけゲーム画像がスクロールすることになる。すなわち、D1はスクロール速度を規定する値であると言うことができる。
【0071】
なお、上記のステップS44において、現在入力座標50がいずれかのプレイヤキャラクタも指しているときにステップS46のスクロール処理をスキップしている理由は、例えば図16のように第1周辺領域内にいるプレイヤキャラクタPC3をプレイヤが移動させようとしてスティック16でプレイヤキャラクタPC3をタッチしたときに、プレイヤの意図に反して不意にスクロール処理が行われてしまう(これは誤操作につながる)ことを防止するためである。なお、敵キャラクタや木などをスティック16でタッチすることによってプレイヤが何らかの指示を入力することができる場合には、ステップS44では、現在入力座標50がプレイヤキャラクタに限らず敵キャラクタや木を指している場合にも図14のステップS28に進むようにすればよい。これによりスクロール操作とその他の入力操作とが干渉して誤操作が発生してしまうことを防止することができる。ただし、このような誤操作が特に問題にならないゲームにおいてはステップS44の処理を省略しても構わない。
【0072】
ステップS48では、第2周辺領域情報48と現在入力座標50を参照し、現在入力座標50が第2周辺領域の内部を指しているかどうかを判断する。そして、現在入力座標50が第2周辺領域の内部を指している場合にはステップS50に進み、指していない場合には図14のステップS28に進む。
【0073】
ステップS50では、現在入力座標50に基づいてスクロール方向を決定し、そのスクロール方向にゲーム画像を所定距離D2だけスクロールさせる。これにより、1フレームにつき距離D2だけゲーム画像がスクロールすることになる。すなわち、D2はスクロール速度を規定する値であると言うことができる。
【0074】
なお、本実施形態では、D2の値をD1に比べて小さい値に設定している。これにより、スクロール操作時にはプレイヤのスクロール指示に対するレスポンスを向上させることができ、移動操作時にはプレイヤキャラクタの移動速度に応じた最適な速度でスクロールを行うことで、移動操作中にプレイヤキャラクタが表示画面の外に消えてしまうことを防止することができる。
【0075】
なお、本実施形態では、表示画面の外縁を囲むように周辺領域を設定しているが、本発明はこれに限らず、例えば左右方向のみにしか画面をスクロールさせる必要がないゲームでは、周辺領域を表示画面の左縁と右縁にのみ配置するようにしてもよい。同様に、上下方向のみにしか画面をスクロールさせる必要がないゲームでは、周辺領域を表示画面の上縁と下縁にのみ配置するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、1フレームあたりのスクロール量をD1またはD2に設定しているが、本発明はこれに限らず、例えば表示画面の中央(または移動操作対象のプレイヤキャラクタ)から現在入力座標50までの距離に応じてスクロール量を変化させるようにしてもよい。典型的には、表示画面の中央から現在入力座標50までの距離が大きいほど、1フレームあたりのスクロール量を大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 ゲーム装置
11 第1のLCD
12 第2のLCD
13 ハウジング
13a 上側ハウジング
13b 下側ハウジング
14 操作スイッチ部
14a 十字スイッチ
14b スタートスイッチ
14c セレクトスイッチ
14d Aボタン
14e Bボタン
14f Xボタン
14g Yボタン
14L Lボタン
14R Rボタン
15 タッチパネル
16 スティック
17 メモリカード
17a ROM
17b RAM
18a,18b 音抜き孔
19 電源スイッチ
20 電子回路基板
21 CPUコア
22 バス
23 コネクタ
24 RAM
25 I/F回路
26 第1GPU
27 第2GPU
28 第1VRAM
29 第2VRAM
30a 右スピーカ
30b 左スピーカ
31 LCDコントローラ
32 レジスタ
40 ゲームプログラム
42 キャラクタ情報
44 背景情報
46 第1周辺領域情報
48 第2周辺領域情報
50 現在入力座標
52 直前入力座標
54 操作中フラグ
PC1〜PC3 プレイヤキャラクタ
EC 敵キャラクタ
TP 接触位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム画像を表示するための表示画面と、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段と、データを一時的に記憶するメモリとに接続されたコンピュータを、
プレイヤによって移動操作可能なオブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する表示制御手段、
前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する格納手段、
プレイヤによる移動指示に応じて、前記メモリに格納された座標データが示す位置に向かって前記オブジェクトを移動させる移動制御手段、および
(a)プレイヤによる移動指示が入力されていない間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った第1周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせ、(b)プレイヤによる移動指示が入力されている間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った、前記第1周辺領域とは異なる第2周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせるスクロール制御手段として機能させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
前記第1周辺領域が前記第2周辺領域よりも狭いことを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記スクロール制御手段は、プレイヤによる移動指示が入力されていないときと入力されているときとで、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像のスクロール速度を変化させることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
プレイヤによる移動指示が入力されているときの前記スクロール制御手段によるゲーム画像のスクロール速度が、プレイヤによる移動指示が入力されていないときのスクロール速度よりも遅いことを特徴とする、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記座標入力手段が前記表示画面上に設けられたタッチパネルであり、
前記移動指示は、前記表示画面における前記オブジェクトの表示位置を起点とした前記タッチパネル上でのスライド操作によって行われることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
ゲーム画像を表示するための表示画面と、前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段と、データを一時的に記憶するメモリとに接続されたコンピュータを、
オブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する表示制御手段、
前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する格納手段、
前記メモリに格納された座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在するときに予め定められた処理を実行するオブジェクト処理手段、および
前記メモリに格納された座標データの示す位置が前記表示画面の外縁に沿った周辺領域に含まれており、かつ当該座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在しないときにのみ、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせるスクロール制御手段として機能させるためのゲームプログラム。
【請求項7】
ゲーム画像を表示するための表示画面、
前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段、
データを一時的に記憶するメモリ、
プレイヤによって移動操作可能なオブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する表示制御手段、
前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する格納手段、
プレイヤによる移動指示に応じて、前記メモリに格納された座標データが示す位置に向かって前記オブジェクトを移動させる移動制御手段、および
(a)プレイヤによる移動指示が入力されていない間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った第1周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせ、(b)プレイヤによる移動指示が入力されている間は、前記メモリに格納された座標データの示す位置が、前記表示画面の外縁に沿った、前記第1周辺領域とは異なる第2周辺領域に含まれていることを条件として、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせるスクロール制御手段を備えたゲーム装置。
【請求項8】
ゲーム画像を表示するための表示画面、
前記表示画面上の位置を指示するための座標入力手段、
データを一時的に記憶するメモリ、
オブジェクトを含むゲーム画像を生成して前記表示画面に表示する表示制御手段、
前記座標入力手段を通じて入力された前記表示画面上の位置に対応する座標データを前記メモリに逐次格納する格納手段、
前記メモリに格納された座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在するときに予め定められた処理を実行するオブジェクト処理手段、および
前記メモリに格納された座標データの示す位置が前記表示画面の外縁に沿った周辺領域に含まれており、かつ当該座標データの示す位置に前記オブジェクトが存在しないときにのみ、前記表示制御手段によって前記表示画面に表示されるゲーム画像をスクロールさせるスクロール制御手段を備えたゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−29712(P2010−29712A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257362(P2009−257362)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【分割の表示】特願2009−67943(P2009−67943)の分割
【原出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】