説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】 音声データのデータ量を増大させることなく、ゲーム音による多彩な演出を行うことができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供する。
【解決手段】 コンピュータを、プレイヤキャラクタCが行動する仮想空間Sを生成する仮想空間生成手段30a、予め記憶され、所定の波形で構成される音声データを有し、当該音声データを再生する音声再生手段30c、仮想空間内の状態が所定の条件を満たすか否かを判定する条件判定手段30e、および条件判定手段30eが条件を満たすと判定した場合に、再生される音声データのうち少なくとも1つの音声データ(特定音声データ)の波形を加工した音声データを音声再生手段30cによって再生させる音声変更手段30f、として機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背景音楽などのゲーム音に関してゲーム進行に合わせてより多様な演出を行うためのゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想空間内にて、プレイヤキャラクタを操作してゲームを進行させるアクションゲームが市販されている。この種のアクションゲームでは、ゲームの面白さ、興奮度、リアル感などの向上のために背景音楽(BGM)、仮想空間に応じた環境音(例えば雨、風などの周囲の音)などのゲーム音による演出が行われる。
【0003】
このようなゲーム音による演出をより効果的に行うために、プレイヤの獲得ポイントなどのゲーム成果度に応じてゲーム音楽(背景音楽)の音色数、演奏パート数または演奏単位長さを段階的に変化させる処理を行う構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3746875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような構成では、変化前の音についての音声データに加えて、変化する段階分の各音についての音声データが必要となるため、ゲーム音による演出を多様化するほどデータ量が増大する。また、ゲーム成果度に応じて音声データの増減を行う必要があるため、ゲーム音を変化させるこのような処理はデータ処理量の比較的大きな増加を伴うこととなる。ゲーム音による演出のためにデータ量やデータ処理量が増加すると、ゲーム音以外の点でゲームの進行を阻害するおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、音声データのデータ量を増大させることなく、ゲーム音による多彩な演出を行うことができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゲームプログラムはコンピュータを、プレイヤキャラクタが行動する仮想空間を生成する仮想空間生成手段、予め記憶され、所定の波形で構成される音声データを少なくとも1つ有し、当該音声データを再生する音声再生手段、仮想空間内の状態が所定の条件を満たすか否かを判定する条件判定手段、および、前記条件判定手段が前記条件を満たすと判定した場合に、再生される音声データのうちの少なくとも1つの音声データ(以下、特定音声データ)の波形を加工した特定音声データを前記音声再生手段によって再生させる音声変更手段、として機能させるものである。
【0008】
前記音声変更手段は、前記特定音声データの波形における周波数特性を変化させてもよい。
【0009】
前記音声変更手段は、前記特定音声データの波形において周波数領域の一部をカットあるいは増幅して出力してもよい。
【0010】
前記特定音声データは、背景音楽および仮想空間に応じた環境音であり、前記音声変更手段は、前記キャラクタ位置が前記条件を満たした場合に、前記背景音楽と前記環境音とでカットする周波数領域を異ならせてもよい。
【0011】
前記音声変更手段は、前記仮想空間内の状態の変化に応じて前記特定音声データの波形においてカットあるいは増幅する周波数領域を段階的に変化させてもよい。
【0012】
前記音声変更手段は、1つの波形で構成される前記特定音声データの波形全体を加工してもよい。
【0013】
前記コンピュータを、仮想空間内に予め定められた領域に音声変更領域を生成する音声変更領域設定手段として機能させ、前記条件判定手段は、前記プレイヤキャラクタに関連付けられたキャラクタ位置が、前記音声変更領域内に進入したか否かを判定し、前記音声変更手段は、前記条件判定手段が前記キャラクタ位置が前記音声変更領域内に進入したと判定した場合に、前記特定音声データの波形を加工し、加工した特定音声データを前記音声再生手段によって再生させてもよい。
【0014】
前記仮想空間には、前記音声変更領域と当該音声変更領域以外の領域との境界面が設定され、前記条件判定手段は、前記キャラクタ位置が前記音声変更領域外から前記境界面を越えて前記音声変更領域内に位置したことをもって前記キャラクタ位置が前記音声変更領域内に進入したと判定してもよい。
【0015】
前記キャラクタ位置は、プレイヤキャラクタの上下に変動する姿勢変化に応じて仮想空間におけるキャラクタ位置の高さ方向座標が変化するように設定されていてもよい。
【0016】
また、本発明に係るゲーム装置は、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、音声データのデータ量を増大させることなく、ゲーム音による多彩な演出を行うことができるゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲーム装置の外観構成を示す正面図である。
【図2】ゲーム装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】音声変更処理のための音声変更領域を説明するための模式図である。
【図5】音声変更処理のための音声変更領域を説明するための模式図である。
【図6】音声変更処理のための音声変更領域を説明するための模式図である。
【図7】音声変更処理のための音声変更領域を説明するための模式図である。
【図8】図1に示すゲーム装置における音声再生処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9(a)はRAMに記憶される音声データの元の波形の例を示すグラフ、図9(b)は図9(a)の波形にローパスフィルタを適用した場合の波形の例を示すグラフ、図9(c)は図9(a)の波形にハイパスフィルタを適用した場合の波形の例を示すグラフである。
【図10】ローパスフィルタおよびハイパスフィルタの周波数特性例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲーム装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下では、本ゲーム装置にてプレイするゲームとして、プレイヤがプレイヤキャラクタを操作し、敵キャラクタとの戦闘などを行いながらゲームを進めていくアクションゲームを例にして説明する。ただし、本発明はこのような種類のゲームへの適用に限定されるわけではなく、アドベンチャーゲームおよびロールプレイングゲームを含む他のゲームにも適用可能である。
【0020】
[ハードウェアの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係るゲーム装置1の外観構成を示す正面図である。図1に示すように、ゲーム装置1は携帯型であって、横長の薄型直方体形状を成す下側本体2と、同様の直方体形状を成す上側本体3とを備えている。下側本体2の上辺部分と上側本体3の下辺部分との間にはヒンジ4が架設されており、下側本体2および上側本体3は、このヒンジ4を通る左右方向の軸回りに相対的に回動可能になっている。したがって、下側本体2の前面と上側本体3の前面とが対向するように閉じたり、その状態から図1に示す状態に開いたりすることができる。
【0021】
各本体2,3に設けられたデバイスについて概説すると、まず下側本体2の前面中央部には、例えば半透過型カラー液晶ディスプレイで構成された長方形状の第1ディスプレイ(表示部の画面)6が設けられている。この第1ディスプレイ6の左側には、電源ボタン7と十字キー8とが上下に配設され、右側には、2つのボタンを含む操作ボタン9と、A,B,X,Yの4つのボタンを含む操作ボタン10とが上下に配設されている。また、操作ボタン10の下方には電源のオン/オフ状態を示す表示灯11が設けられている。さらに、下側本体2の左上角部分にはLボタン12が配設され、右上角部分にはRボタン13が配設されている。一方、上側本体3の前面中央部には、例えば半透過型カラー液晶ディスプレイで構成された長方形状の第2ディスプレイ15が設けられ、その左右には、スピーカ16が配設されている。
【0022】
なお、図1には図示しないが、下側本体2の上辺部分であって、ゲーム装置1を開いたときの上側本体3の背面側の部分には、本実施の形態に係るゲームプログラム(画像処理プログラム)50a等を記録したゲームメディア50を挿脱可能なメディアインタフェース(図2のメディアインタフェース44参照)が設けられている。また、上述した下側本体2に設けられたデバイスと上側本体3に設けられたデバイスとは、ヒンジ4の近傍に設けられた多導線の帯状ケーブル5を介して電気的に接続されている。
【0023】
また、ゲーム装置1はポインティングデバイス20を備えている。具体的には、下側本体2に設けられた第1ディスプレイ6の表面には、透明のタッチパネル14が設けられており、これとゲーム装置1に付属するタッチペン17とで、ポインティングデバイス20が構成されている。タッチパネル14は、第1ディスプレイ6の画面(表示面)の全面と略同一の形状および寸法を有する横長の長方形状を成しており、周知のように、プレイヤがタッチペン17を操作し、そのペン先がタッチパネル14の表面に接触すると、接触点(入力点)の位置情報(座標)を、後述のCPU(図2のCPU31参照)へ出力するものである。
【0024】
図2は、ゲーム装置1の内部構成を示すブロック図である。ここに示すように、ゲーム装置1は制御部30を備えており、該制御部30は、CPU31、描画処理プロセッサ32、音声処理プロセッサ33、入力信号処理部34、RAM(Random Access Memory)35、およびROM(Read Only Memory)36を含んでいる。さらに、ゲーム装置1は、この他にもVRAM(Video-RAM)40、D/A(Digital-Analog)変換器41、上記第1ディスプレイ6および第2ディスプレイ15、アンプ42、上記スピーカ16、上記タッチパネル14、操作部43(上記電源ボタン7、十字キー8、操作ボタン9,10、Lボタン12、Rボタン13を含む)、メディアインタフェース44、およびバス45を備えている。そして、これらのうちCPU31、描画処理プロセッサ32、音声処理プロセッサ33、入力信号処理部34、RAM35、ROM36、操作部43、およびメディアインタフェース44は、バス45によって相互にデータ伝送可能に接続されている。
【0025】
このうち操作部43は、図1に示した十字キー8、操作ボタン9,10、Lボタン12、およびRボタン13を含む操作子であり、プレイヤの操作を受け付けて、その操作内容(押圧入力の有無)に応じた操作信号をCPU31へ入力する。また、操作部43には操作子以外に電源ボタン7も含まれており、該電源ボタン7が操作されると、各部に電力が供給されてゲーム装置1が起動し、各操作子への操作入力が有効になる。
【0026】
メディアインタフェース44は、ゲーム装置1の外部から接続された記録媒体であるゲームメディア50にアクセスして、これに記憶されたゲームプログラム50aおよびゲームデータ50bを読み出す。ゲームプログラム50aは、ゲーム装置1にてプレイするアクションゲームを実行させるプログラムであり、ゲームデータ50bは、上記ゲームを実行する上で必要なデータであって、例えば各登場キャラクタや背景の画像データ、ステータスなどの情報表示用の画像データ、効果音やBGMなどの音声データ、文字や記号によるメッセージデータ等が含まれる。なお、ゲームメディア50は、半導体メモリや、光ディスクの一種であるUMD(Universal Media Disc)(登録商標)などを採用することができる。
【0027】
RAM35には、ゲームの進行に応じてゲームメディア50から読み込まれたゲームプログラム50aおよびゲームデータ50bを格納するロードエリア、ならびに、CPU31がゲームプログラム50aを処理する際に使用するためのワークエリアが設定されている。ROM36には、ゲームメディア50に記憶されているゲームプログラム50aおよびゲームデータ50bの読み出し処理を制御するプログラムなど、ゲーム装置1を動作させるための基本プログラムが記憶されている。
【0028】
入力信号処理部34は、プレイヤがタッチパネル14に対してタッチペン17のペン先を接触させる入力操作を行った場合に、その入力点(接触点)のタッチパネル14上の座標に基づいて入力点の位置情報を検出し、該位置情報を示す信号をCPU31へ出力する。また、入力点の位置情報の検出は、所定のサンプリング周期(例えば、1/60秒間に4回など)で実行しており、各回で検出した位置情報を示す信号を逐次CPU31へ出力するようになっている。
【0029】
CPU31は、ゲームメディア50に記録されているゲームプログラム50aおよびゲームデータ50bの全部または一部を、メディアインタフェース44を通じてRAM35に読み込み、プレイヤによるタッチパネル14または操作部43に対する操作入力に応じてこれを実行し、ゲーム進行を制御する。より具体的には、プレイヤに操作されることによってタッチパネル14または操作部43から信号が入力されると、CPU31は、ゲームプログラム50aに従ってその操作信号に対応する所定のゲーム進行処理を行い、その処理結果を、ゲーム進行を示す画像(以下、「ゲーム画像」とも称する)として第1ディスプレイ6または第2ディスプレイ15に表示するとともに、ゲーム進行を示す音声信号(以下、「ゲーム音声」とも称する)をスピーカ16に出力する。
【0030】
上記ゲーム画像の描画は、CPU31の指示により、描画処理プロセッサ32が行う。すなわち、CPU31は、タッチパネル14または操作部43から入力された信号に基づき、第1ディスプレイ6または第2ディスプレイ15に表示すべきゲーム画像の内容を決定し、その内容に対して必要な描画データを描画処理プロセッサ32に生成させる。描画処理プロセッサ32は、生成した描画データに基づいてさらにゲーム画像を生成し、このゲーム画像をVRAM40に書き込む。D/A変換器41は、VRAM40から出力されたゲーム画像を順次アナログ信号に変換し、第1ディスプレイ6または第2ディスプレイ15へ出力(表示)する。
【0031】
また、CPU31は、ゲームの進行に応じて、スピーカ16から出力すべき効果音やBGM等の音声を決定し、その音声を発音するための音声データをRAM35から読み出して音声処理プロセッサ33に入力する。すなわち、CPU31は、ゲームの進行に伴って発音イベントが発生すると、その発音イベントに応じた音声データ(ゲームメディア50からロードされた音声データ)をRAM35から読み出して音声処理プロセッサ33に入力する。なお、音声データは、少なくとも1つ(本実施形態においては1つ)の波形で構成されている。音声処理プロセッサ33は、DSP(Digital Signal Processor)で構成されており、CPU31によって入力された音声データに対して所定の効果(例えば、リバーブ、コーラスなど)を付与したのちアナログ信号に変換して、アンプ42に出力する。アンプ42は、音声処理プロセッサ33から入力された音声信号を増幅したのちスピーカ16に出力する。
【0032】
[制御部の機能的構成]
図3は、ゲーム装置1が備える制御部30の機能的な構成を示すブロック図であり、主に、上述したゲームシステムを実現するのに必要な機能を示している。前述したとおり、制御部30は、CPU31、描画処理プロセッサ32、音声処理プロセッサ33、ROM34、RAM35を含むコンピュータとして動作する。ゲーム装置1の制御部30は、ゲームメディア50から読み込んだゲームプログラム50aおよびゲームデータ50bを実行することにより、仮想空間生成手段30a、キャラクタ制御手段30b、音声再生手段30c、音声変更領域設定手段30d、条件判定手段30e、および音声変更手段30fなどの機能を発揮する。
【0033】
このうち、仮想空間生成手段30aは、プレイヤキャラクタCが行動する仮想空間Sを生成するものであり、該仮想空間Sには、プレイヤキャラクタCおよび敵キャラクタが対戦する仮想空間も含まれる。
【0034】
キャラクタ制御手段30bは、仮想空間SにおけるプレイヤキャラクタCおよび敵キャラクタを含む様々なキャラクタの動作を制御する。例えば、プレイヤによる操作部43の操作に応じて、対戦時におけるプレイヤキャラクタの移動、攻撃、および防御を含む各種動作を制御し、また、敵キャラクタによる移動、攻撃、および防御等の各種の動作も制御する。
【0035】
音声再生手段30cは、前述したように、予め記憶され、所定の波形で構成される音声データを少なくとも1つ有し、当該音声データを再生する。
【0036】
音声変更領域設定手段30dは、仮想空間S内に予め定められた領域に音声変更領域を設定する。また、条件判定手段30eは、後述する音声変更処理を行うための条件として、仮想空間S内の状態が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的には、条件判定手段30eは、プレイヤキャラクタCに関連付けられたキャラクタ位置CPが、音声変更領域内に進入したか否かを判定する進入判定手段30e1を含む。さらに、条件判定手段30eは、所定のイベントが発生したか否かを判定するイベント判定手段30e2、および、所定の操作が行われたか否かを判定する操作判定手段30e3を含んでもよい。そして、音声変更手段30fは、条件判定手段30eが所定の条件を満足すると判定した場合(例えばキャラクタ位置が音声変更領域内に進入した場合)に、再生される音声データのうちの少なくとも1つの音声データ(以下、特定音声データと称する)の波形を加工する(波形が全体的に変化するような処理を行う)。音声変更手段30fによって波形が加工された特定音声データは、音声再生手段30cによって再生される。
【0037】
[音声再生処理]
次に、ゲーム装置1が実行する音声変更処理を含む音声再生処理について具体的に説明する。図4乃至図7は、音声変更処理のための音声変更領域を説明するための模式図である。図4乃至図7に示すように、仮想空間Sは、プレイヤの操作に応じて行動するプレイヤキャラクタCが移動可能な空間として設定されている。また、図4乃至図7に示すように、仮想空間S内には、プレイヤキャラクタCが身を隠せる岩等の固定オブジェクトOB1や、洞窟など別の環境へ移動する際にプレイヤキャラクタCが通る出入口OB2が設けられている。図4乃至図7には図示されていないが、敵キャラクタなどもこの仮想空間S内で行動するように設定されている。
【0038】
仮想空間Sの予め定められた領域には、音声変更領域が設定される。図4乃至図7の例においては、岩場を示す固定オブジェクトOB1を取り囲むように、3次元的に音声変更領域A1が設けられ、出入口OB2の内部(すなわち洞窟内)に音声変更領域A2が設けられる。より具体的に説明すると、仮想空間Sには、音声変更領域A1,A2と当該音声変更領域A1,A2以外の領域との境界面が設定されている。本実施形態の場合、音声変更領域A1は、固定オブジェクトOB1を取り囲むように設けられた5つの境界面D1(4つの側面と1つの上面とを有する)の内側として設定され、音声変更領域A2は、出入口OB2の開口面に一致するように設けられた境界面D2の内側(洞窟内部側)として設定されている。
【0039】
本実施形態において、仮想空間S中のプレイヤキャラクタCの位置(キャラクタ位置CP)は、プレイヤキャラクタCの上下に変動する姿勢変化に応じて仮想空間Sの高さ方向座標が変化するように設定されている。本実施形態において、キャラクタ位置CPは、プレイヤキャラクタCの頭部に設けられた基準点の三次元座標によって与えられる(図4乃至図7参照)。進入判定手段30e1として機能する制御部30は、このキャラクタ位置CPに基づいてプレイヤキャラクタCが音声変更領域A1,A2内に進入したか否かを判定する。具体的には、後述するように、進入判定手段30e1として機能する制御部30は、キャラクタ位置CPが音声変更領域A1,A2外から境界面D1,D2を越えて音声変更領域A1,A2内に位置したことをもってキャラクタ位置CPが音声変更領域A1,A2内に進入したと判定する。また、プレイヤキャラクタCは、操作部43からの操作に応じてしゃがみ姿勢をとることができる。これにより、操作部43からの操作に応じて仮想空間Sにおけるキャラクタ位置CPの高さ方向座標が変化する。すなわち、プレイヤキャラクタCにしゃがみ姿勢をとらせることにより、キャラクタ位置CPが通常の立ち姿勢より低い位置とすることができる。一方で、前述のように音声変更領域を高さ方向にも設定することができる。例えば前述の固定オブジェクトOB1を取り囲む境界面D1のうちの上面の境界面の高さ位置をプレイヤキャラクタCの立ち姿勢におけるキャラクタ位置CPより低くかつプレイヤキャラクタCのしゃがみ姿勢におけるキャラクタ位置CPより高い位置とすることができる。このように設定することにより、平面座標に関しては音声変更領域内であっても、その場所でしゃがみ姿勢をするか立ち姿勢をするかに応じてプレイヤキャラクタCが属する領域(音声変更領域内なのかまたは音声変更領域外なのか)を変化させることができる。
【0040】
以下では、図4乃至図7に示す仮想空間Sにおいて、BGMおよび仮想空間Sに応じた環境音が音声変更処理を行うべき対象(特定音声データ)として設定されているものとして音声再生処理全体を説明する。環境音は、プレイヤキャラクタCが位置する仮想空間Sに応じて設定され、例えば風などのプレイヤキャラクタCの周囲の音である。また、変更領域の内側か外側かに拘わらず通常再生(波形がそのまま再生)される音声としては、プレイヤ音(プレイヤキャラクタCの足音やプレイヤの操作に伴う音など)や敵キャラクタの発する音などがある。すなわち、本実施形態においては上記4つ以上の音声データのうち、2つの音声データ(BGMおよび環境音)が特定音声データとして設定されている。音声変更領域A1,A2外では、音声再生手段30cとして機能する制御部30は、該当する音声データをRAM35から読み出し、当該読み出した音声データの波形を加工せずに再生する。なお、リバーブなどの波形に追加して行う音響効果は適宜付加した状態で再生されてもよい。
【0041】
図8は、図1に示すゲーム装置における音声再生処理の制御の流れを示すフローチャートである。この処理を実行するにあたって制御部30は、仮想空間生成手段30aにより生成した仮想空間S内を、プレイヤの操作に応じてキャラクタ制御手段30bによりプレイヤキャラクタCを動作させる。また、これと同時に、プレイヤキャラクタCに関連付けて設定された仮想カメラが映す仮想空間Sの映像を、ディスプレイ2に表示する。また、プレイヤキャラクタCと仮想カメラとの間には、聴取位置として設定される仮想マイクが設定されている(ただし、オブジェクトではなく仮想カメラにより撮像されない)。そして、環境音やプレイヤ音などの仮想空間S内の音は、この仮想マイクによって検出され、ゲーム装置1のスピーカ16から発せられてプレイヤに聴取可能になっている。そして、プレイヤキャラクタCが仮想空間S内を移動する過程で、制御部30は、プレイヤキャラクタCの位置表示を更新する毎(例えばフレーム毎)に以下の音声再生処理を行う。
【0042】
まず、制御部30は、初期設定としてプレイヤキャラクタCのキャラクタ位置CPの状態フラグを「領域外」に設定する(ステップS1)。その上で、制御部30は、音声再生手段30cとして機能し、当該プレイヤキャラクタCが位置する仮想空間Sに対応するBGMおよび環境音の音声データを読み出し、当該音声データの波形の通りに再生(通常再生)する(ステップS2)。なお、BGMおよび環境音は、予め複数記憶され、プレイヤキャラクタCの操作やプレイヤキャラクタCが位置する仮想空間Sの変化に応じて適時更新される。
【0043】
その後、制御部30は、条件判定手段30eとして機能し、所定の条件を満足しているかどうかを判定する。ここでは、制御部30は、進入判定手段30e1として機能し、キャラクタ位置CPが前回の判定時(初回は領域外)における領域(音声変更領域内および音声変更領域外の一方)から境界面D1,D2を越えて別の領域(音声変更領域内および音声変更領域外の他方)に位置したかどうかを判定する(ステップS3)。制御部30の条件判定手段30eによって、キャラクタ位置CPが境界面D1,D2を越えて別の領域に位置したと判定された場合(ステップS3でYes)、制御部30は、キャラクタ位置CPの状態フラグが「領域外」であるか否かを確認する(ステップS4)。ゲーム開始後初めて境界面D1,D2を越えた場合は、キャラクタ位置CPの状態フラグが「領域外」であるため(ステップS4でYes)、制御部30は、当該状態フラグを「領域内」に変更する(ステップS5)。さらに、制御部30は、音声変更手段30fとして機能し、音声変更処理を行う。本実施形態において、音声変更手段30fは、再生すべき音声データのうち特定の音声データ(特定音声データ)の波形を加工して、音声再生手段30cにより再生する(ステップS6)。
【0044】
また、制御部30の進入判定手段30e1によって、キャラクタ位置CPが境界面D1,D2を越えていないと判定された場合(ステップS3でNo)、制御部30は、直前の再生態様を維持し、音声再生を継続する(ステップS9)。
【0045】
その後、プレイヤキャラクタCの位置表示を更新する際に、再びステップS3以降の処理が行われる。例えば、プレイヤキャラクタCの移動によりキャラクタ位置CPが音声変更領域内から再度境界面D1,D2を越えて音声変更領域外へ位置したと判定された場合(ステップS3でYes)、キャラクタ位置CPの状態フラグが「領域内」であるので(ステップS4でNo)、制御部30は、キャラクタ位置CPの状態フラグを「領域外」に変更する(ステップS7)。さらに、制御部30は、再生すべき音声データを波形の通りに通常再生する(ステップS8)。このような上記ステップS3乃至S9が、プレイヤキャラクタCの位置表示を更新する毎に繰り返し行われる。
【0046】
音声変更処理の具体例について説明する。例えば図4は、立ち姿勢のプレイヤキャラクタCが岩場を示す固定オブジェクトOB1から頭を出した状態を示し、図5は、しゃがみ姿勢のプレイヤキャラクタCが岩場を示す固定オブジェクトOB1の影に隠れた状態を示している。本実施形態においては、前述のように、固定オブジェクトOB1を取り囲む境界面D1のうちの上面の境界面の高さ位置を、プレイヤキャラクタCの立ち姿勢におけるキャラクタ位置CPより低く、かつ、プレイヤキャラクタCのしゃがみ姿勢におけるキャラクタ位置CPより高い位置に設定している。したがって、プレイヤキャラクタCが固定オブジェクトOB1の近くでしゃがみ姿勢をとることにより、キャラクタ位置CPが音声変更領域A1内に位置することとなる。
【0047】
前述の通り、本実施形態において、波形を加工すべき特性音声データは、BGMおよび環境音に設定されている。そして、音声変更手段30fとして機能する制御部30は、これらの特定音声データの周波数特性を変化させる。具体的には、制御部30は、特定音声データの波形における周波数領域の一部をカットして出力する。さらに、本実施形態において、制御部30は、キャラクタ位置CPが音声変更領域A1内に進入した場合に、BGMと環境音とでカットする周波数領域を異ならせる処理を行う。
【0048】
より具体的には、制御部30は、キャラクタ位置CPが音声変更領域A1内に進入した場合、BGMの波形にハイパスフィルタを適用し、環境音の波形にローパスフィルタを適用する。これらのフィルタはデジタルデータである波形に対してプログラム上でフィルタ処理を行い得るフィルタプログラムであり、ゲームメディア50からRAM35にダウンロードされた上で適用される。
【0049】
図9は音声データの波形の例を示すグラフである。図9(a)はRAM35に記憶される音声データの元の波形を示し、図9(b)は図9(a)に示す波形にローパスフィルタを適用した場合の波形を示し、図9(c)は図9(a)に示す波形にハイパスフィルタを適用した場合の波形を示す。また、図10(a)はローパスフィルタの周波数特性例を示すグラフであり、図10(b)はハイパスフィルタの周波数特性例を示すグラフである。すなわち、図9(a)に示すような波形に図10(a)に示すようなローパスフィルタを適用することにより、図9(b)に示すような波形が得られる。図9(b)に示す波形は、図9(a)に示す元の波形に対して高周波成分がカットされ、出力される音が元の波形の再生時よりも軟らかい音(こもった音)になる。また、図9(a)に示すような波形に図10(b)に示すようなハイパスフィルタを適用することにより、図9(c)に示すような波形が得られる。図9(c)に示す波形は、図9(a)に示す元の波形に対して低周波成分がカットされ、出力される音が元の波形の再生時よりも硬い音(金属的な音)になる。
【0050】
以上より、図4に示すプレイヤキャラクタCの状態から図5に示すプレイヤキャラクタCの状態へ移行する場合に、環境音の波形にローパスフィルタを適用することにより、岩場の影に隠れた場合に、自然現象(風の音など)の音がこもって聞こえる音響効果を演出することができ、現実感を高めることができる。また、BGMの波形にハイパスフィルタを適用することにより、プレイヤキャラクタCが岩場に隠れているという緊張感を高める音響効果を演出することができ、プレイヤの操作に応じた心理的な効果を与えることができる。
【0051】
図6はプレイヤキャラクタCが洞窟の出入口OB2の外にいる状態を示し、図7はプレイヤキャラクタCが洞窟の出入口OB2の中にいる(洞窟内にいる)状態を示している。プレイヤキャラクタCが図6に位置する状態から境界面D2を越えて図7に位置する状態に移動することにより、キャラクタ位置CPが音声変更領域A2内に位置することとなる。
【0052】
この場合においても、制御部30は、キャラクタ位置CPが音声変更領域A2内に進入した場合、BGMの波形にハイパスフィルタを適用し、環境音の波形にローパスフィルタを適用する。環境音の波形にローパスフィルタを適用することにより、洞窟などの屋内に入った場合に、屋外における自然現象(風の音など)の音がこもって聞こえる音響効果を演出することができ、現実感を高めることができる。また、BGMの波形にハイパスフィルタを適用することにより、プレイヤキャラクタCが洞窟などの閉鎖された暗い空間内に入っているという緊張感を高める音響効果を演出することができ、プレイヤの操作に応じた心理的な効果を与えることができる。
【0053】
上記構成によれば、仮想空間Sの状態が所定の条件を満足した場合(上記例ではキャラクタ位置Pが音声変更領域内に進入した場合)に、所定の音声データ(特定音声データ)が加工されて出力される。この際、特定音声データの波形を加工することにより特定の音声を通常時と変化させるため、別の波形を加えたり、複数の波形を用意して、そのうちのいくつかの波形を減らしたりする必要がない。このため、音声を変更させるために音声データのデータ量を増大させることなく、ゲーム音による多彩な演出を行うことができる。また、読み出す音声データは通常時と変わらないため、データ処理量の増大も防止することができ、音声を変更させることによりスムーズなゲーム進行を阻害することを防止することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、波形の加工方法として、周波数領域の一部をカットしているため、簡単なプログラムで迅速に波形を加工することができる。さらに、前述の通り、本実施形態においては、キャラクタ位置CPが音声変更領域A1,A2内に進入した場合に、BGMと環境音とでカットする周波数領域を異ならせる処理を行っている。これにより、音声データの種類に応じて異なる演出を行うことができ、音声によるゲーム演出をより多彩かつ容易に行うことができる。
【0055】
なお、音声変更領域は、上記岩場等の遮蔽物(固定オブジェクト)の周囲に設定された領域A1および洞窟内などの屋内に設定された領域A2以外にも適宜設定され得る。例えば、水中に音声変更領域を設定してもよい。
【0056】
また、上記例ではBGMの波形にハイパスフィルタを適用し、環境音の波形にローパスフィルタを適用したが、これに限られない。例えば、BGMの波形にローパスフィルタを適用し、環境音の波形にハイパスフィルタを適用してもよいし、BGMの波形および環境音の波形の双方にローパスフィルタを適用してもよいし、BGMの波形および環境音の波形の双方にハイパスフィルタを適用してもよい。また、上記水中に音声変更領域を設定した場合には、環境音の波形にのみハイパスフィルタを適用することとしてもよい。
【0057】
また、上記例では、音声変更処理を行う所定の条件として音声変更領域A1,A2内に進入することを主に説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、条件判定手段30eは、所定のイベントが発生するか否かを判定するイベント判定手段30e2を有し、音声変更手段30fは、当該イベントが発生した場合に音声変更処理を行うこととしてもよい。具体的には、例えば、敵キャラクタを倒すゲームにおいて、敵キャラクタの弱点部位が露出した場合に、BGMの波形にハイパスフィルタを適用して当該BGMを出力することとしてもよい。この場合、BGMが変化することによって敵キャラクタの弱点部分が露出したことをプレイヤに喚起しつつ、プレイヤの緊張感を高める音響効果を演出することができる。
【0058】
また、例えば、プレイヤキャラクタCがゲーム中に死亡した場合(ライフゲージが0になった場合)の演出時に、プレイヤキャラクタCの断末魔の叫びの音声データを通常再生しつつ、BGMおよび環境音などのその他の音声データにはすべて波形にローパスフィルタを適用して出力することとしてもよい。この場合、プレイヤキャラクタCの周囲の音はすべてぼやけて聞こえる中にプレイヤキャラクタCの声だけが鮮明に聞こえるような演出を行うことができ、意識が遠のいていくような心理表現を行うことができる。
【0059】
また、条件判定手段30eは、プレイヤキャラクタCに対して所定の操作が行われたか否かを判定する操作判定手段30e3を有し、音声変更手段30fは、当該操作が行われた場合に音声変更処理を行うこととしてもよい。具体的には、例えば、プレイヤキャラクタCが武器であるライフルを構える操作を行うことによりゲーム画面に照準を拡大表示するライフルスコープモードに移行した場合に、BGMおよび環境音の各波形にローパスフィルタを適用することとしてもよい。BGMの波形とともに環境音の波形にローパスフィルタを適用することにより、プレイヤが狙いを定める行為に集中させるような演出を行うことができる。
【0060】
また、プレイヤキャラクタCが高速移動を行う操作を行うことにより高速移動モードに移行した場合に、BGMおよび環境音の各波形にハイパスフィルタを適用することとしてもよい。BGMの波形にハイパスフィルタを適用することによりプレイヤの緊張感を高める音響効果を演出することができるとともに、環境音の波形にハイパスフィルタを適用することにより速度感を高める音響効果を演出することができる。また、プレイヤキャラクタCの動作がスローモーションとなるスローモーションモードに移行した場合に、BGMおよび環境音の各波形にローパスフィルタを適用することとしてもよい。
【0061】
なお、複数の音声データの波形のいずれにもローパスフィルタ(またはハイパスフィルタ)を適用する場合、カットする周波数領域は同じであってもよいし、それぞれ異ならせてもよい。これによれば、同じ傾向の周波数領域をカットする場合であっても音声データの種類に応じてカットする周波数領域を適宜設定することができるため、より多彩な演出を行うことができる。
【0062】
また、例えば仮想空間Sの所定の位置でデータポストと呼ばれる柱状の設備(その位置でゲームデータの保存が可能なセーブポイント)を設置する操作を行うことにより、当該データポストの設置中におけるBGMの波形にハイパスフィルタを適用することとしてもよい。この場合、BGMの波形にハイパスフィルタを適用することによりプレイヤの緊張感や期待感を高める音響効果を演出することができる。
【0063】
また、上記実施形態においては、音声変更領域A1,A2内にキャラクタ位置CPが位置するか否かで、音声変更処理を行うか否か(オンまたはオフ)のみ切り換えることとしているが、本発明はこれに限られない。例えば、仮想空間S内の状態の変化に応じて特定音声データの波形においてカットする周波数領域を段階的に変化させることとしてもよい。
【0064】
例えば、特に洞窟や建物などの内部に音声変更領域を設けた場合、キャラクタ位置CPが奥へ進入するに応じて(段階的にまたは連続的に)カットする周波数領域を変更することとしてもよい。例えば、キャラクタ位置CPが洞窟の奥へ進むにつれて環境音の波形により低い周波数領域までカットするようなローパスフィルタを適用する(通過させる周波数帯域を狭くしていく)こととしてもよい。これにより、洞窟内で環境音がこもって聞こえる演出に加えて、洞窟内を奥に進むほど息苦しい感じ(閉塞感)や不気味な感じを強調するような演出を行うことができる。また、例えば、水中に音声変更領域を設定した場合に、キャラクタ位置CPが位置する深さに応じて(段階的にまたは連続的に)カットする周波数領域を変更することとしてもよい。例えば、キャラクタ位置CPの深度が深くなるほど環境音の波形により低い周波数領域までカットするようなローパスフィルタを適用する(通過させる周波数帯域を狭くしていく)こととしてもよい。これにより、水中で環境音がこもって聞こえる演出に加えて、より深いところに位置した場合に息苦しい感じ(窒息感)や不気味な感じを演出することができる。これに加えて、または、これに代えて、状況に応じて環境音の波形により高い周波数領域までカットするようなハイパスフィルタを適用する(通過させる周波数帯域を狭くしていく)こととしてもよい。これにより、洞窟の出入口に近づくことにより軽やかな感じや安心感を演出することができる。
【0065】
さらに、例えば、データポストを起動させる際に、データポストが立ち上がるにつれて(データポストの高さが上昇するにつれて)カットする周波数領域を変更することとしてもよい。例えば、柱状のデータポストの高さが段階的に高くなるのに応じてBGMの波形より高い低周波領域までカットするようなハイパスフィルタを適用する(通過させる周波数領域を狭くしていく)こととしてもよい。これにより、プレイヤの緊張感や期待感を段階的に高めていく音響効果を演出することができる。また、データポストの起動に際し、起動初期の段階で通過させる周波数領域をある程度狭くしておき、データポストが立ち上がるにつれて、通過させる周波数領域を広げていくこととしてもよい。この場合でも、データポストが立ち上がるにつれて、プレイヤに達成感を感じさせることができる。
【0066】
なお、音声変更処理を行う条件は上記の例の組み合せであってもよい。例えば、音声変更領域内に位置しかつ所定の操作を行ったときに音声変更処理を行うこととしてもよい。さらに、条件が組み合せられることにより音声変更処理の効果が強調される(カットされる周波数領域が大きくなる)こととしてもよい。例えば、音声変更領域内に位置するだけでも音声変更処理が実行されるが、さらにその位置で所定の操作を行うことにより当該音声変更処理の効果が強調されることとしてもよい。なお、図3においては、条件判定手段30eとして3つの判定手段30e1,30e2,30e3を備えるように記載されているが、条件判定手段30eは、進入判定手段30e1、イベント判定手段30e2および操作判定手段30e3のいずれか1つのみを有してもよいし、その他の好適な判定手段を適用してもよい。
【0067】
また、上記3つの判定手段30e1,30e2,30e3に加えて、または、これらに代えて、条件判定手段30eは、プレイヤの操作にかかわらず、プレイヤキャラクタCの状態に応じた条件に基づいて判定を行うこととしてもよい。例えば、プレイヤキャラクタCが立っているか否か、プレイヤキャラクタCが座っているか否か、プレイヤキャラクタCが伏せているか否かなど、プレイヤキャラクタCの姿勢に基づいて音声変更処理を行うための判定を行うように設定することができる。また、例えば、プレイヤキャラクタCの体力やスタミナなどの所定のパラメータの値に基づいて音声変更処理を行うための判定を行うように設定することもできる。
【0068】
さらに、条件判定手段30eは、所定の音源とプレイヤキャラクタCの聴取位置との距離に応じて、当該音源に対して音声変更処理を行うための判定を行ってもよい。このため、音声変更手段30fが音声変更処理を行う音源も環境音やBGMに限られず、例えば敵キャラクタの発する音(飛翔音、泣き声など)に対して音声変更処理を行ってもよい。
【0069】
また、上記例においては、音声変更手段30fとして、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタのいずれかを適用する場合について説明したが、中間の周波数領域をカットする(帯域フィルタを適用する)こととしてもよい。また、所定の周波数領域をカットするだけでなく、所定の周波数領域を強調する(増幅する)こととしてもよい。また、周波数領域を部分的に増減させてもよい。すなわち、音声変更手段30fは、特定音声データの波数データにイコライザを適用し、所定の周波数特性に加工して出力することとしてもよい。
【0070】
また、上記例では、1つの音声特定データが1つの波形で構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限られない。すなわち、1つの音声特定データが複数の波形で構成されてもよい。この場合、当該複数の波形のうち少なくとも1つの波形に対して音声変更処理を行えばよい。本発明は音声変更処理のために波形を増やさないことを特有の効果とするものであり、1つの音声として再生される音声特定データが複数の波形で構成されることを排除するものではない。また、上記例では、音声変更処理として音声特定データの波形全体を加工することとしたが、音声特定データの波形の一部を加工することとしてもよい。
【0071】
上述した説明では、一人のプレイヤがオフラインゲームを行う場合について例示したが、本発明は、複数のプレイヤが各自のプレイヤキャラクタを同一の仮想ゲーム空間内に登場させ、これらを協力させて行動させるオンラインゲームにおいても適用することができる。
【0072】
また、本実施例では携帯型のゲーム装置について説明したが、据え置き型のゲーム装置、携帯電話機、およびパーソナルコンピュータなどのコンピュータについても、本発明を好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲーム装置において、音声データのデータ量を増大させることなく、ゲーム音による多彩な演出を行うために有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 ゲーム装置
30 制御部
30a 仮想空間生成手段
30b キャラクタ制御手段
30c 音声再生手段
30d 音声変更領域設定手段
30e 条件判定手段
30e1 進入判定手段
30e2 イベント判定手段
30e3 操作判定手段
30f 音声変更手段
35 RAM
36 ROM
A1,A2 音声変更領域
C プレイヤキャラクタ
CP キャラクタ位置
D1,D2 境界面
S 仮想空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
プレイヤキャラクタが行動する仮想空間を生成する仮想空間生成手段、
予め記憶され、所定の波形で構成される音声データを少なくとも1つ有し、当該音声データを再生する音声再生手段、
仮想空間内の状態が所定の条件を満たすか否かを判定する条件判定手段、および
前記条件判定手段が前記条件を満たすと判定した場合に、再生される音声データのうちの少なくとも1つの音声データ(以下、特定音声データ)の波形を加工した特定音声データを前記音声再生手段によって再生させる音声変更手段、として機能させる、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記音声変更手段は、前記特定音声データの波形における周波数特性を変化させる、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記音声変更手段は、前記特定音声データの波形において周波数領域の一部をカットあるいは増幅して出力する、請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記特定音声データは、背景音楽および仮想空間に応じた環境音であり、前記音声変更手段は、前記キャラクタ位置が前記条件を満たした場合に、前記背景音楽と前記環境音とでカットする周波数領域を異ならせる、請求項3に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記音声変更手段は、前記仮想空間内の状態の変化に応じて前記特定音声データの波形においてカットあるいは増幅する周波数領域を段階的に変化させる、請求項3または4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記音声変更手段は、1つの波形で構成される前記特定音声データの波形全体を加工する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、
仮想空間内に予め定められた領域に音声変更領域を生成する音声変更領域設定手段として機能させ、
前記条件判定手段は、前記プレイヤキャラクタに関連付けられたキャラクタ位置が、前記音声変更領域内に進入したか否かを判定し、
前記音声変更手段は、前記条件判定手段が前記キャラクタ位置が前記音声変更領域内に進入したと判定した場合に、前記特定音声データの波形を加工し、加工した特定音声データを前記音声再生手段によって再生させる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記仮想空間には、前記音声変更領域と当該音声変更領域以外の領域との境界面が設定され、前記条件判定手段は、前記キャラクタ位置が前記音声変更領域外から前記境界面を越えて前記音声変更領域内に位置したことをもって前記キャラクタ位置が前記音声変更領域内に進入したと判定する、請求項7に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記キャラクタ位置は、プレイヤキャラクタの上下に変動する姿勢変化に応じて仮想空間におけるキャラクタ位置の高さ方向座標が変化するように設定されている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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