説明

ゲーム体験のグラフィック描写

【課題】ゲーム体験のグラフィック描写を生成するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】プレイヤー190のゲーム体験のグラフィック描写を生成するためのアプローチに関する。プレイヤーの活動を描写するゲーム情報は最初に収集され、グラフィック描写を生成するためのゲームイベントのセットおよび画像セットを特徴付けるゲーム・ログファイルから取得されるデータを含む。画像は、少なくとも収集されたゲーム情報から決定されたシグニフィカンス・スコアと関連する。シグニフィカンス・スコアに基づいて、グラフィック描写に使用するために画像セットが選択され、それぞれのサブセットが、グラフィック描写の1以上の連続した表示単位のうちの1つのそれぞれに表示されるように、選択された画像セットが画像のサブセットに分割される。グラフィック描写はテキスト注釈および/または画像に対する音響効果を導入することによって拡張されうる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
本出願は、ゲーム体験のグラフィック描写を生成するためのシステムと方法に関する。
【0002】
オンラインゲームは、プレイヤーを仮想的な世界で楽しませ、満足させることができるため急成長している。多人数同時参加型オンラインロール・プレイング・ゲーム(MMORPG)では、プレイヤーはゲームに参加するだけではなく、ブログおよびフォーラムを通じて彼らのゲームでの冒険を共有する。現在のところ、ビデオクリップおよびスクリーンショット(screenshots)が、プレイヤーのゲーム体験を記録するためによく用いられる2つのメディア形式である。例えば、ビデオフォーマットは、記憶場所を食うばかりではなく、ビューワ(viewers)に表示させるために集中的な編集の労力を要求する可能性がある。他方、スクリーンショットは、物語を語る(storytelling)目的での十分な文脈情報を提供しない可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年4月3日に出願された「ゲーム体験のグラフィック描写」と題された暫定的な米国出願第61/166,507号に関し、その優先権を主張するものであり、その全内容は、これによって参照して併合されている。
【0004】
概要
本明細書では、「スクリーンショット」という用語は、概してゲームの間に表示出力装置に表示される画像の格納表現(stored representation)を言い、「ゲーム・シグニフィカント・ショット(game significant shot)」(または単に「シグショット(sigshot)」)という言いまわしは、たとえそのような画像がゲームの間に表示出力装置に表示されていなくとも、概してグラフィック・レンダリング・エンジンによってレンダリングされうる画像の格納表現を言い、「コミックショット(comicshot)」という用語は、概してスクリーンショットおよびシグショットの両方を包含する。
【0005】
プレイヤーのゲーム体験のグラフィック描写生成へのアプローチに、本発明のいくつかの一般的側面が関係する。プレイヤー活動を表わすゲーム情報が最初に得られる。例えば、ゲーム情報は、複数のゲームイベントのセットを特徴付けるゲーム・ログファイルから得られたデータ、グラフィック描写を生成する際に用いられる画像セット(例えば、ゲームイベントに関連する複数のコミックショット)を含む。画像は、少なくとも収集されたゲーム情報から決定されたシグニフィカンス・スコア(significance scores)と関連付けられている。シグニフィカンス・スコアに基づいて、グラフィック描写に用いられる画像セットが選択され、それぞれのサブセットが、グラフィック描写の1以上の連続した表示単位(presentation units)をのうちの1つにそれぞれ表示されるように複数の画像のサブセットに分割される。いくつかの例では、グラフィック描写は、テキスト注釈および/または画像に対する音響効果を導入することによって拡張されうる。テキスト注釈は、収集されたゲーム情報および/またはプレイヤーにより提供された付加情報から決定されうる。
【0006】
いくつかの例では、グラフィック描写は印刷された漫画本(comic book)と実質的に同様の形式を取る。
【0007】
いくつかの実施の形態では、上記アプローチは、ゲームプレイのログおよびコミックショットを分析するシステムで実行される可能性があり、全自動で上記プレイの漫画(comics)を生成する。いくつかの実施の形態では、上記システムは、ユーザに彼ら独自の漫画をカスタマイズすることを許すユーザインターフェースも提供する。結果的に、彼らの物語を共有し、記録保管目的または物語を語るための個人的な漫画を作るため、ユーザは、上記システムを容易に使用することができる。
【0008】
上記アプローチの利点は、以下の1以上のものを含みうる。
【0009】
ゲーム体験は、インターネット上で異なるゲームプレイヤーによって共有されうる。ゲーム体験のグラフィック描写は、プレイヤーのゲーム内日記の形式として使用することができ、彼らにいつでも彼らの冒険を見直すことを許す。ゲーム体験の共有は、戦略ガイド執筆のための支援プラットフォームも提供しうる。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は以下の記述および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の説明
【図1】漫画生成エンジンの実施の形態のブロック図である。
【図2】レイアウト計算法を説明する図である。
【図3】画像レンダリング法を説明する図である。
【図4】漫画生成エンジンのユーザインターフェースを説明する図である。
【図5】ユーザが画像を編集できるインターフェースを説明する図である。
【図6】図1の漫画生成エンジンによって作られた漫画本ページの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
1 漫画生成システム
近年にかけて、オンラインゲームはプレイヤーの間で高い人気を得てきた。プレイヤーがインターネット上で彼らのゲーム体験および冒険を共有することも普通のこととなってきている。例えば、プレイヤーは、彼が遭遇した怪物の種類および彼が解決したミッションの種類について特定のゲーム集会で説明することができる。前述したように、いくつかの体験共有の既存の形式は、時間を食う(例えば、もし記事執筆あるいはビデオ編集を含むとすれば)と同時に資源集約的(例えば、もし映像を記憶する必要があるならば)である可能性がある。
【0013】
以下の説明は、例えば、漫画本と同様の形式でプレイヤーのゲーム体験のグラフィック描写を生成するための複数のアプローチの詳解を提供する。特定のゲームのコアエンジンを変更することなく、いくつかのアプローチを用いて、物語風の漫画が全自動で生成される。また、プレイヤーの好みおよび興味に基づいて個人的な漫画を生成するための対話式の編集機能が提供される。
【0014】
図1を参照すると、漫画生成エンジン120の一実施の形態が、物語を語るための、プレイヤーのゲーム活動のグラフィック描写を作るために設定されている。通常、漫画生成エンジン120は、ゲームプレイ中のプレイヤーの行動と遭遇を特徴付けるコミックショットを含むデータを取得し、それから、凝縮されて心地の良い形式でゲームストーリーのナレーションを閲覧者に提供するため、選択されたコミックショットをコミックストリップ(comic strips)に再編成する。
【0015】
本実施の形態では、漫画生成エンジン120は、データ収集モジュール130、フレーム選択モジュール140、レイアウト計算モジュール150、および画像レンダリングモジュール160を含む。以下で詳述されるこれらのモジュールは、様々なプレイヤーによって共有される望ましい描写で漫画を作成するため、プレイヤーとゲームエンジン110とのゲーム相互関係を代表するデータを活用する。プレイヤーの好みを反映させるために漫画生成プロセスで使用されるパラメータを制御するため、漫画生成エンジン120は、プレイヤー190からの入力を受け取るユーザインターフェース170も含む。
【0016】
1.1 データ収集
いくつかの実施の形態では、データ収集モジュール130は、プレイヤー活動(例えば、ゲームからの複数のゲームイベントおよびコミックショットのログファイル)を特徴付けるデータを受け取るために設定される。現在の多くのオンラインゲームは、プレイヤーの状態および行動における変化を監視する機構を提供し、ゲームプレイの間の重要と思われるゲームイベントおよびスクリーンショットを記録する。例えば、プレイヤー間の会話、戦闘、略奪、領域変更、経験ポイント変化、および貿易における状態変化および相互作用は、潜在的に重要なイベントと見なされ、それゆえに記録される。本発明のいくつかの実施の形態では、ゲームエンジン110は、自動的にログファイルを作成し、所定の時間間隔iおよび/または潜在的に重要なイベントの発生でコミックショットを記録する。そのようなデータは、取り出し用のデータ収集モジュール130によってアクセス可能であるデータ記憶部に保存されうる。ログファイルは、記録されたコミックショットの記述的情報、例えば、コミックショットのタイムスタンプと、コミックショットに関連したゲームイベントと、コミックショットが取得された時間および最後にコミックショットが取得された時間に発生した会話メッセージおよび戦闘ログとを含みうる。ログファイルは、例えばシグニフィカンス・スコアのようなグローバルパラメータ(global parameters)も含みうる。通常、セットのそれぞれのシグニフィカンス・スコアは、イベントタイプに関連し、あるイベントタイプのシグニフィカンス・スコアは、ゲームにおけるこのイベントの重要性を示す。
【0017】
いくつかの例では、データ収集モジュール130は、例えば、コミックショットが取得される条件を設定するためにゲームエンジン110と相互に作用し合うことができる。例えば、データ収集モジュール130は、プレイヤー190に彼の好み(例えば、ゲーム活動を記録および編集するときに彼がどの程度具体的であるか)に基づいてユーザインターフェース170を介してのデータ収集の頻度を設定することを許可し、彼が潜在的に重要であると考えるイベントを特定する。そのような設定データは、データが記録される方法を変更するためにゲームエンジン110に提供される。データ収集モジュール130は、ゲームプレイヤーの視点以外のゲーム世界の場面からも記録しうる(例えば、真上からの鳥瞰図またはキャラクタの顔のクローズアップ・ビュー)。他の例では、もしプレイヤーが貴重な仮想アイテムを見つけるとすれば、あとで生成される漫画の中において仮想的なアイテムの見た目を強調するのに用いるため、データ収集モジュール130はアイテムのクローズアップを取るように指示される(例えば、ユーザ入力を通じて)。クローズアップは、スクリーンショット、シグショット、またはその両方の組合せでありうる。同様に、コミックショットは、キャラクタの現在の位置以外のゲーム仮想世界における異なる場所が取られる可能性がある。例えば、キャラクタが他の場所の扉を開くあるスイッチをトグルするとき、データ収集モジュール130は、物語を語る目的で、扉を開ける場面をレンダリングするためにゲームエンジン110と相互作用する。
【0018】
1.2 フレーム選択
ゲーム体験の簡潔な要約を生成するため、フレーム選択モジュール140は、例えば、決められた重要性または意味に応じて、漫画生成に使用されるコミックショット画像を決定する。いくつかの例では、漫画の全ページ数NPageは、プレイヤー190によって規定されうる。一実施の形態では、プレイヤー190がページ数NPageを割り当て、漫画生成プロセスを初期化し、フレーム選択モジュール140が以下の3つを決定をする。第1に、それは所望の漫画に必要とされる総画像数Nimageを推定する。第2に、それは記録されたコミックショット画像のそれぞれについてシグニフィカンス・スコアを決定する。第3に、それはシグニフィカンス・スコアにより降順にコミックショット画像を順序付け、漫画で用いられる上位に順序付けられたNimage枚の画像を選択する。
【0019】
より具体的には、ユーザ定義のNPageページのために必要とされる画像数を推定する1つのアプローチは、ランダムに生成される変数NIIP(1ページ当たりの画像数を規定する)を推定プロセスに導入する。例えば、画像数NPageが与えられると、漫画に現れる総画像数Nimageは、Nimage=NPage・NIIPによって計算される。いくつかの例では、漫画のレイアウトの体裁を改善するため、NIIPは平均が5で標準偏差が1の正規分布に従うように選択される。プレイヤー190は、いつでもユーザインターフェースを通じて単に「ランダム(Random)」ボタンをクリックすることにより、NIIPの値をリセットして漫画の画像数を変更することができる。
【0020】
いくつかの例では、画像のシグニフィカンス・スコアを決定するため、Simageで画像のシグニフィカンス・スコアを表わし、Ntypeを記録されたコミックショット画像中に存在するイベントタイプの数とする。特定のイベントタイプkに対して、cで発生の頻度を示し、wをこのイベントタイプkについての重要性の度合いを特徴付ける特定の重みとする。重みの値は、最初デフォルトで割り当て、あとでプレイヤー190によって変更することができる。タイムスタンプtで発生する、画像のシグニフィカンス・スコアは、この画像が関連する様々な種類のイベントのシグニフィカンスの加重和として以下に示すように計算される。
【0021】
【数1】

【0022】
一実施の形態では、この式を用いて、どの画像が降順に順位付けられうるかに基づき、それぞれの画像が対応するスコアSimageに割り当てられる。
【0023】
いくつかの例において、画像のシグニフィカンス・スコアは、その画像に関連するイベントのスコアを合計することにより計算される。通常、それぞれのイベントは、2つの寄与成分すなわち所定成分および変動成分に基づいたスコアをそれ自体に関連させうる。例えば、「怪物を殺す」というイベントに関連するスコアは、どのような「怪物を殺す」というイベントに対しても適用される5ポイントの所定のスコアと、殺された怪物のタイプに基づいて選択される1〜3ポイントの変動スコアとの合計でありうる(例えば、キャラクタがウサギ(1ポイントの変動スコアの価値がある)を殺したとすれば、この特定の「怪物を殺す」というイベントに関連するスコアは、6(6ポイントのうち5ポイントは所定成分で、6ポイントのうち1ポイントは変動成分)であり、キャラクタが悪魔(3ポイントの変動スコアの価値がある)を殺したとすれば、この特定の「怪物を殺す」というイベントに関連するスコアは、8(8ポイントのうち5ポイントは所定成分で、8ポイントのうち3ポイントは変動成分)である。
【0024】
最後に、最高位に順位付けられたNimage画像が漫画生成のために使用されるコミックショット画像のたまり場から選択される。
【0025】
1.3 レイアウト計算
一旦、最も影響を与える(significant)画像が選択されたならば、レイアウト計算モジュール140は、以下のように、NPageにどのようにこれらの画像を配置するかを決定する。最初に、画像がグループに分割され、それぞれのグループは同じページに配置される。次に、シグニフィカンス・スコアに基づき、同じページの様々な画像のグラフィック属性(graphical attributes)(例えば、形状、サイズ)が決定される。
【0026】
図2を参照すると、複数の画像をグループに分割する過程が示されている。ここで、プレイヤー190によって規定されたページ数と同じだけのグループ数が選択される。最初、選択された画像は、時間的な順序でシグニフィカンス・スコアに基づき、ページグループに分割される。この例では、シグニフィカンス・スコアがそれぞれ6,5,5,6,7,5,5,5の8つの画像が同じページ上に選択される。これらの画像は、その後、スコアに応じていくつかの行に配置される。一旦、ページが生成されると、そのページの画像セット、ページ上の画像の位置およびサイズが固定される。
【0027】
それぞれの漫画のページの表示は、2次元の紙面にレイアウトされるので、1ページにグループ化されたイメージは、行または列の順にブロックで配置される。この特定の例では、画像は、それらの時間的な順序に応じて行に配置され、1行の画像数はシグニフィカンス・スコアに拠る。一実施の形態では、最も少ないスコアの合計を有する近隣画像が1行にグループ化される。
【0028】
いくつかの例では、1ページの画像の形状およびサイズを参照して領域が規定される。多様性および視覚的な豊かさを創造すべく、漫画上で画像の見栄えが良くなるように領域は傾斜を伴ってランダムに成形されうる。選択された画像の配置が決定されたのち、それらのシグニフィカンス・スコアに基づいて画像の寸法(dimensions)および領域が計算される。例えば、高いシグニフィカンス・スコアを有する画像はページ上のより広い面積に割り当てられ、逆に重要性の低い画像は、より狭い面積を覆う。
【0029】
1.4 画像レンダリング
いくつかの実施の形態では、漫画本の見た目および感覚を創造するため、画像レンダリングモジュール160は、1ページの画像をレンダリングする3層スキームを用いる。3層スキームは、画像、画像のマスク、ならびに吹き出しおよび(もしあれば)音響効果を含む。
【0030】
図3は、3層スキームの例である。ここで、画像は、最下層として処理され、漫画のページ上に画像が配置される領域であるパネル上に配置される。漫画のスタイルをまねるため、輪郭検出技術および漫画様フィルタ(cartoon−like filters)が画像に適用される。画像は、その後、領域に合うようにサイズ調整され、パネル上に中心がそろえられるように描かれる。次に、マスク層が最下層上に配置され、画像領域を切り取る。すなわち、領域の外側に描かれたものは無視される。最後に、例えば、吹き出しおよび音響効果のような装飾を最上位層に配置して漫画の本文の表現を豊かにする。とくに、輪郭検出技術を用いて、画像レンダリングモジュールは、主なキャラクタが配置されていない場所に吹き出しを置くように選択できる。
【0031】
一旦、レンダリングが完了すると、漫画生成エンジン120は、それぞれのページがプレイヤーのゲーム活動を表現する、選択された画像を含む1ページ以上のセットを有する漫画本のデータ表現を形成する。漫画生成エンジン120は、後に様々なプレイヤーの間で閲覧および共有されうる電子的な形式、例えば、JPEG、PNG、GIF、FLASH、MPEG、PDFファイルのようなマルチメディアファイルでデータ表現を蓄積することができる。
【0032】
2.実施例
上述した漫画生成技術が、世界で最も普及している多人数同時参加型オンラインロール・プレイング・ゲーム(MMORPG)の1つであるワールド オブ ウォークラフト(World of Warcraft)(WoW)用に漫画を作成することに説明目的のため適用される。WoWを作った会社であるブリザード(Blizzard)が公表した報告によれば、このゲームは、1千150万人のプレイヤーを有し、そのうちの多数が、現実の生活および仮想的なコミュニティの両方において彼らのゲーム体験を共有する傾向があるとのことである。例えば、記録を破るようなイベント、あるいはプレイヤーのチームの宿敵に対する勝利の話が頻繁にウェブログに投稿される。
【0033】
WoWゲームエンジンは、包括的なゲームログ計画を提供する。ブリザードは、WoWアド・オン・コンポーネントを通じたすべてのゲームイベントを記録することをユーザに許可するゲームAPIセットを発行する。それゆえに、漫画生成エンジン120は、WoWコアエンジンを変更することなしに、WoWアド・オンを漫画生成に望まれるゲームイベントおよびスクリーンショットを記述することに利用できる。
【0034】
図4は、ユーザ(例えば、プレイヤー)がWoWゲームイベントの漫画を作ることのできる例示的なユーザインターフェースを示す。ここで、プレイヤーのゲームとの相互関係は、ログファイルおよびコミックショット画像として達成される(例えば、コンピュータのディレクトリの中に蓄積されて)。ユーザは、インターフェースのログ領域(Log section)にある「ブラウザ(Browser)」ボタン上をクリックすることにより、ログファイルをロードすることができる。例えば、ユーザは、元のログファイルを開き、ログファイルを編集することができる。ユーザは、また、インターフェースの画像領域(Image section)にある「ブラウザ(Browser)」ボタン上をクリックすることにより、コミックショット画像をロードすることができる。すべての(またはユーザが選択した)コミックショットのサムネール画像が画像領域の表示パネルに供給される。画像のシグニフィカンス・スコア(もし得られれば)も画像の右上に示される。いくつかの例では、ログファイルはオプションであることに気をつけなければならない。もし、ユーザがログファイルを持っていないのならば、漫画生成エンジンはそれぞれの画像についてランダムにシグニフィカンス・スコアを割り当て、本文なしで漫画のページをレンダリングする。
【0035】
図5は、図4の画像領域に示された画像をダブルクリックすることにより、ユーザが特定の画像を編集することを許可するImageEditorパネルの例を示す。
【0036】
ImageEditorパネルを通じて、ユーザはログ情報およびシグニフィカンス・スコアを変更し、画像にフィルタを適用することができる。
【0037】
図4に戻って参照すると、一旦、インターフェースにログファイルおよびコミックショット画像がロードされると、ユーザは、この漫画に現れる合計のページ数(この例では5ページ)を入力し、「生成(Generate)」ボタンを押す。漫画生成エンジンは、その後、5ページに含める最も重要な画像と、これらのページのレイアウトと、最終的な製品に現れるこれらの画像の視覚的な特徴とを決定する。
【0038】
図6は、図1の漫画生成エンジン120によって作成されたWoW漫画ページの一例である。このページ上に、8画像が3行で表示されてプレイヤーのWoWゲームプレイの部分的な要約を提供する。この例は、領域サイズの広がりおよび視覚的な豊かさ、例えば領域の端の傾斜などを示している。漫画生成エンジン120は、ゲームのコミックショットが記録される間に発生した会話メッセージおよび戦闘ログ(例えば、ログファイルから)を取り出す。これらの会話メッセージは、ここでは吹き出しで表示される。漫画をより一層興味深くするために戦闘の音響効果も付加される。
【0039】
漫画の見た目を強化するため、様々な計算およびグラフィックデザイン技術が漫画生成の過程で用いられる。例えば、漫画生成エンジンが漫画本フレームを切り取り、吹き出しをフレーム上に正確に置けるように、物体検出技術(object detection techniques)が、コミックショットの中でのゲームキャラクタの位置とサイズを特定するために用いられる。生成された漫画がより手書きの出版物と同じになるように、レイアウト計算アルゴリズムも変更されうる。さらに、ユーザインターフェースは、ユーザの要求にこたえるため、追加的な編集機能を導入することによって改良されうる。それによって、複数のプレイヤーの間での仮想コミュニティにおける体験共有および物語を語るためのよりユーザフレンドリーなプラットフォームを作る。
【0040】
ここに述べた技術は、ディジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装しうる。上記技術は、コンピュータプログラム製品、すなわち、情報媒体、例えば、コンピュータが読取れる記憶装置または伝播信号で確実に具現化できるコンピュータプログラムと、データ処理機器、たとえばプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、あるいは多重コンピュータの実行または操作を制御することとによって実装しうる。コンピュータプログラムは、コンパイルまたはインタプリタ言語を含むどのような形式のプログラミング言語によっても書かれうる。そして、それは、スタンドアローン・プログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいは計算環境で用いられるのに適する他のユニットを含むあらゆる形式で開発されうる。コンピュータプログラムは、1つのサイトにおける1つのコンピュータ上または複数のコンピュータ上で実行されるように開発可能であり、あるいは複数のサイトにわたり配布され、通信ネットワークで相互に連結されることが可能である。
【0041】
ここに説明された上記技術の方法の複数のステップは、入力データ操作および出力生成により本発明の機能を実行する、コンピュータプログラムを実行するための1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行されうる。
【0042】
コンピュータプログラムの実行のために適切なプロセッサは、例として、汎用および特殊用途用マイクロプロセッサともに、そして1以上のあらゆる種類のディジタルコンピュータを含む。通常、プロセッサは読出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリ、あるいはその両方から命令およびデータを取出しうる。コンピュータの重要な要素は命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つ以上メモリデバイスである。通常、コンピュータは、例えば、磁気、磁気光学ディスク、または光学ディスクなどの、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置からのデータを受け取ることまたは転送すること、あるいはその両方を含むか、または操作可能なように連結されうる。コンピュータプログラム命令およびデータを具現化するのに適した情報媒体は、すべての形の不揮発性メモリ、例として、半導体メモリデバイスとして、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスクとして、例えば、内部ハードディスクまたは取り外し可能ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、およびDVD−ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊用途論理回路(special purpose logic circuit)によって補完あるいは組み込むことができる。
【0043】
ユーザとの相互関係を提供するため、ここに説明される上記技術は、ユーザに対して情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(cathode ray tube)またはLCD(liquid crystal display)モニタと、ユーザがコンピュータへ入力を与える(例えば、ユーザインターフェース要素と互いに影響し合うこと、例えばそのようなポインティングデバイスをクリックする)ことができるキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、マウスまたはトラックボールとを有するコンピュータに実装されうる。他の種類のデバイスも同様にユーザとの相互関係を提供するために使用されうる。例えば、ユーザへのフィードバックはあらゆる形式の知覚によるフィードバック、例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触知性フィードバックでありうる。そして、ユーザからの入力は、音声、発語、または触知を含むあらゆる種類の形で受け取られうる。
【0044】
ここに説明された上記技術は、バックエンド・コンポーネント、例えばデータサーバ、および/またはミドルウェア・コンポーネント、例えばアプリケーションサーバ、および/またはフロントエンド・コンポーネント、例えばグラフィカル・ユーザインターフェースを有するクライアントコンピュータ、および/またはユーザが本発明の実装と相互関係を有するウェブブラウザ、またはバックエンド、ミドルウェア、フロントエンド・コンポーネントのいずれかの組み合せを含む分散コンピューティングシステムで実装されうる。システムのコンポーネントはどのような形式、あるいは例えば通信ネットワークなどディジタルデータ通信の媒体とも相互に連結されうる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)、例えばインターネットを含み、有線も無線ネットワークも含む。
【0045】
計算システムはクライアントおよびサーバシステムを含む。クライアントおよびサーバは、通常、互いに離れており、通信ネットワークを通じて相互に関係する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上でコンピュータプログラムが動作し、互いにクライアント・サーバ関係を有することにより生じる。
【0046】
以上の記載は説明することを意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限するものではないことは理解されるだろう。他の実施の形態は以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが読取ることのできるデータ記憶部からプレイヤーのゲーム中の活動を代表する複数の画像を含むデータを取得することと、
前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像の重要性の度合いを特徴付ける少なくとも1つのスコアを決定すること、少なくとも前記決定されたスコアに基づいてグラフィック描写で表示される画像セットを前記複数の画像から選択すること、それぞれのサブセットが、前記グラフィック描写の1以上の連続した表示単位のうちの1つのそれぞれに表示されるように前記選択された画像セットを画像のサブセットに分割すること、および前記グラフィック描写の対応する表示単位に表示される画像の前記サブセットのそれぞれについて、前記画像に関連する少なくとも前記決定されたスコアに基づいて視覚的な特徴を決定することを含む、前記取得されたデータに基づいて前記ゲーム中の活動のグラフィック描写を生成することと、を含む、コンピュータで実行される方法。
【請求項2】
前記コンピュータが読取ることのできるデータ記憶部から取得された前記データは、前記複数の画像の記述的情報を含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項3】
前記複数の画像の前記記述的情報は、1以上のイベントを伴う画像によって描写される前記ゲーム活動の関連性の規定を含む、請求項2に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項4】
それぞれのイベントは、イベントタイプによって特徴付けられ、それぞれのイベントタイプは、シグニフィカンス・スコアに関連する、請求項3に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項5】
前記画像の重要性の度合いを特徴付ける少なくとも1つのスコアを決定することは、
前記記述的情報に基づいて前記画像に関連する1以上のイベントタイプを特定すること、および
前記特定された1以上のイベントタイプの前記シグニフィカンス・スコアの少なくとも一部に基づいて前記画像のスコア計算することを含む、請求項4に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項6】
前記画像の前記スコア計算することは、前記特定された1以上のイベントタイプの前記シグニフィカンス・スコアを合計することを含む、請求項5に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項7】
それぞれのイベントタイプは、所定成分、変動成分、またはその両方によって特徴付けられるシグニフィカンス・スコアに関連する、請求項4に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項8】
前記グラフィック描写で表示される前記画像セットを選択することは、
ユーザ入力に基づいて前記選択されたセットの画像数を決定すること、および
前記決定された画像数を前記画像の前記スコアに応じて選択することを含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項9】
前記選択された画像セットを画像のサブセットに分割することは、前記グラフィック描写のそれぞれのサブユニットについて、前記対応する画像のサブセットのレイアウトを決定することを含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項10】
前記画像のサブセットのレイアウトは、前記画像の行または列の位置を含む、請求項9に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項11】
前記視覚的な特徴を決定することは、前記画像によって描写される前記ゲーム中の活動の少なくとも1つのテキスト記述と画像とを関連付けることを含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項12】
前記視覚的な特徴を決定することは、前記画像によって描写される前記ゲーム中の活動に基づいた少なくとも1つの音響効果と画像とを関連付けることを含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項13】
前記画像の視覚的な特徴は、前記画像のサイズを含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項14】
前記画像の視覚的な特徴は、前記画像の形状を含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項15】
前記生成された前記ゲーム中の活動のグラフィック描写は、漫画本様式の描写を含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項16】
前記グラフィック描写のそれぞれの表示ユニットはページを含む、請求項15に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項17】
前記ゲーム中の活動の前記グラフィック描写のデータ表現を形成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項18】
コンピュータが読取ることのできるデータ記憶部からプレイヤーのゲーム中の活動を代表する複数の画像を含むデータを取得する入力データモジュールと、
前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像の重要性の度合いを特徴付ける少なくとも1つのスコアを決定すること、少なくとも前記決定されたスコアに基づいてグラフィック描写で表示される画像セットを前記複数の画像から選択すること、それぞれのサブセットが、グラフィック描写の1以上の連続した表示単位のうちの1つのそれぞれに表示されるように前記選択された画像セットを画像のサブセットに分割すること、および前記グラフィック描写の対応する表示単位に表示される前記画像のサブセットのそれぞれについて、前記画像に関連する少なくとも前記決定されたスコアに基づいて視覚的な特徴を決定することを含む、前記取得されたデータに基づいて前記ゲーム中の活動のグラフィック描写を生成するプロセッサと、を含む、システム。
【請求項19】
画像の選択に関連するユーザ入力を受け取るインターフェースをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ユーザ入力は、規定された数の前記グラフィック描写の連続した表示単位を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記インターフェースは、1以上の画像に対するユーザの編集を受けるためにさらに設定される、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記ゲーム中の活動の前記生成されたグラフィック描写は、漫画本様式の描写を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記ゲーム中の活動の前記グラフィック描写のデータ表現を形成するための出力モジュールをさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記データ表現は、マルチメディア表現を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記マルチメディア表現は、1つ以上のJPEGファイル、PNGファイル、GIFファイル、PDFファイル、MPEGファイル、およびFLASHファイルを含む、請求項24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−240377(P2010−240377A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−243791(P2009−243791)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(596118493)アカデミア シニカ (33)
【氏名又は名称原語表記】ACADEMIA SINICA
【Fターム(参考)】