説明

ゲーム機の入力装置

【課題】スイッチの動作可動域が小さいことによる不具合を防止できる入力装置を提供する。
【解決手段】押しボタン11の押下げ動作により導通する一対の可動接点及び固定接点がケース12内に収容されたマイクロスイッチ5と、ケース12を固定接点側から押下げ力に抗して支持する支持部材8と、マイクロスイッチ5と支持部材8の間に設けられた弾性部材7と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機の入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機にてゲームプレイをする際に各種操作を入力する入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ゲームコントローラのような入力装置としては、部品数を少なくして小型化でき、操作時の動作可動域を比較的自由に調節可能なラバースイッチが主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−163672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラバースイッチは、動作可動域が広いもののスイッチを押すときにゴム独特の感触があるためクリックしたときの操作感覚が乏しい。ゲーム内容によっては、スイッチボタンを力強く押したときの操作感や、押したり離したりするときのクリック感もゲームの満足度に影響を与える。このため、クリック感が得られやすいマイクロスイッチの採用が検討されているが、マイクロスイッチの動作可動域が小さいことによる不具合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はスイッチの動作可動域が小さいことによる不具合を防止できるゲーム機の入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機の入力装置は、操作部(11a、11b)の押下げ動作により導通する一対の可動接点及び固定接点がケース(12a、12b)内に収容されたスイッチユニット(5a、5b)と、前記ケースを前記固定接点側から押下げ力に抗して支持する支持部材(8)と、前記スイッチユニットと前記支持部材の間に設けられた弾性部材(7)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の入力装置によれば、操作部が押し下げられるとスイッチユニットのケース内の可動接点が連動し、固定接点との間で開閉動作する。操作部から伝達される力が大きい場合には、弾性部材が変形して操作部が押し下げられる方向にスイッチユニットが移動する。スイッチユニットにかかる過度な力は弾性部材により緩衝され、スイッチユニットにかかる力を軽減できるので、動作可動域が小さいことにより過度な力を受けたときに接点機構がずれること等による検知誤差や組付け誤差を防止できる。
【0008】
本発明の入力装置の一形態において、前記スイッチユニットが、基板(6)に取り付けられ、前記基板が、前記弾性部材を介して前記支持部材に支持されていてもよい。この形態によれば、スイッチユニットは基板に取り付けられ固定されるとともに基板が弾性部材を介して支持部材に支持されるので、スイッチユニットが受けた力は基板を伝達して弾性部材を変形させる。従って、基板に取り付けられた状態のスイッチユニットにかかる力を緩衝して検知誤差や組付け誤差を防止できる。
【0009】
スイッチユニットが基板に取り付けられている形態において、前記基板には、複数のスイッチユニットが取り付けられ、前記複数のスイッチユニットのそれぞれを前記操作部の押下げ方向に移動可能とするように、前記弾性部材が設けられていてもよい。この形態によれば、基板に複数のスイッチユニットが取り付けられ、その基板にて複数のスイッチユニットが支持されているような場合でも、弾性部材を介して支持部材に基板を取り付けることで各スイッチユニットが受ける力が弾性部材で緩衝される。
【0010】
スイッチユニットが基板に取り付けられている形態において、前記弾性部材が、前記基板を挟んで前記スイッチユニットと対向しない位置に設けられていてもよい。この形態によれば、基板は、スイッチユニットが取り付けられていない位置で弾性部材を介して支持部材に支持される。弾性部材を介して支持される位置とスイッチユニットとの距離、及び弾性部材の材質を適宜変更することで、スイッチユニットが受ける力を緩衝し、検知誤差、組付け誤差を防止できる。また、前記基板には、2つの前記スイッチユニットが取り付けられ、前記弾性部材が、前記基板を挟んで前記2つのスイッチユニット間の位置と対向する位置に設けられていてもよい。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明は、操作部が押し下げられるとスイッチユニットのケース内の可動接点が連動し、固定接点との間で開閉動作する。操作部から伝達される力が大きい場合には、弾性部材が変形して操作部が押し下げられる方向にスイッチユニットが移動する。スイッチユニットにかかる過度な力は弾性部材により緩衝され、スイッチユニットにかかる力を軽減できるので、動作可動域が小さいことにより過度な力を受けたときに接点機構がずれること等による検知誤差や組付け誤差を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一形態に係る入力装置の斜視図。
【図2】入力装置の分解図。
【図3】入力装置の断面図。
【図4】本発明の変形例を説明する模式図。
【図5】弾性部材の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本発明の一形態に係るゲーム機の入力装置の斜視図を示す。入力装置1が取り付けられたゲーム機(図示せず)は、商業施設等に設置され、所定量の遊技価値の消費と引き換えにプレイヤに遊技機会を提供する商用のゲーム機として構成されている。入力装置1は、ゲーム機で実行されるゲームにおいて、プレイ設定の入力や、ゲームプレイ時の操作をプレイヤが行うためのものである。入力装置1には、コントローラ本体2と、コントローラ本体2に対し、押下げ操作が可能な2つの操作部材3a、3b(特に区別しない場合は、参照符号3で代表することがある。)と、傾け操作が可能な操作レバー4とが設けられている。コントローラ本体2は、下部に設けられた取付部材2aによりゲーム機に固定される。操作部材3a、3bは、コントローラ本体2の側面2bに設けられたボタンである。プレイヤが各操作部材3を押下げ操作することにより、ゲーム機にて実行されるゲームにおいてその操作に割り当てられた動作がゲーム機のゲーム画面上に表示される。操作レバー4は、コントローラ本体2の前面2cに設けられた360°に傾け操作が可能なレバーである。操作レバー4を傾け操作することにより、操作部材3と同様に、傾けた方向に対応する動作がゲーム画面上に表示される。
【0015】
図2に入力装置1の分解図を示す。コントローラ本体2内部には、操作部材3の押下げ操作を検出するスイッチユニットとしての複数のマイクロスイッチ5a、5b(特に区別しない場合、参照符号5で代表することがある。)が操作部材3a、3bのそれぞれに対応して設けられている。各マイクロスイッチ5は、共通する基板6に取り付けられている。さらに、コントローラ本体2内部には、基板6とコントローラ本体2の支持部材8との間に取り付けられる弾性部材7が設けられている。基板6は、弾性部材7を介してコントローラ本体2の支持部材8に支持されている。これにより、マイクロスイッチ5がコントローラ本体2内部で支持され、操作部材3からの入力を受け付ける。
【0016】
マイクロスイッチ5には、周知技術を利用してよく、各種のピン押しボタン形のマイクロスイッチを適用することができる。各マイクロスイッチ5a、5bにはそれぞれ、操作部としての押しボタン11a、11bと、可動接点及び固定接点を収容するケース12a、12bとが設けられている(特に区別する必要がない場合、参照符号11、12でそれぞれ代表する。)なお、マイクロスイッチとは、入力を受け付ける押しボタン11の押下げ動作により導通する一対の可動接点及び固定接点がケース12内に収容されたスイッチユニットのことをいい、ユニット化されたスイッチである。押しボタン11を操作部材3が押すことにより可動接点及び固定接点からなる接点機構が開閉動作する。つまり、可動接点は押しボタン11の押下げ動作と連動し、固定接点との間で接触及び離間する。
【0017】
基板6はプリント基板である。さらにいえば、リジッド基板であり、マイクロスイッチ5が取り付けられる。弾性部材7には、ゴム等の弾性を有する樹脂が素材として用いられる。弾性部材7は厚みのある板状の直方体形状で、基板6を挟んで各マイクロスイッチ5の間の位置と対向する位置に設けられている。各マイクロスイッチ5a、5bの間の位置にて基板6が、弾性部材7を介して支持部材8にねじ止めされている。弾性部材7は、基板6を挟んでマイクロスイッチ5と対向する位置にはない。支持部材8は、ケース12内の可動接点に対して固定接点が設けられた側からケース12を支持する。これにより、押しボタン11を押し下げる力に抗して支持部材8がマイクロスイッチ5を支持している。
【0018】
本発明の入力装置1の作用を説明する。図3は、入力装置1の断面図である。プレイヤはコントローラ本体2を握り、コントローラ本体2の前面2aに設けられた方向操作レバー4を傾けつつ、側面2bに設けられた各操作部材3a、3bを押下げ操作することでゲームが進行する。プレイヤが操作部材3を押すと、操作部材3は押下げ方向Pに移動して対応するマイクロスイッチ5の押しボタン11を押す。押しボタン11が押され、さらに離されると、マイクロスイッチ5内の可動接点及び固定接点が開閉動作し、それによる信号に基づいて、ゲーム内容が変化する。
【0019】
マイクロスイッチ5は一般に、押しボタン11のストローク(動作可動域)が小さい。特に、従来から用いられていたラバースイッチと比較するとストロークが小さいので、操作に力が入って無理に操作部材3を押し下げると接点機構にずれが生じることがあり、入力装置1の検知誤差の原因ともなり得る。そこで、本発明においては、マイクロスイッチ5と支持部材8との間に弾性部材7を設けることで、ストロークが小さいことによる検知誤差や組付け誤差といった不具合を防止している。弾性部材7が、操作部材3から伝わる押下げ方向Pの力を緩衝する。つまり、過度の力がマイクロスイッチ5にかかっても、弾性部材7により基板6ごと押下げ方向Pに移動するのでマイクロスイッチ5にかかる力を逃がすことができる。マイクロスイッチ5の押下げ方向Pの移動量の調整は、弾性部材7の素材、及び固定された弾性部材7からマイクロスイッチ5までの距離を調節することで可能である。
【0020】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、2つの操作部材3a、3bで説明したがこれに限られず、1つ、あるいは3つ以上の操作部材3を入力装置1に設けた場合でも本発明の適用が可能である。図4に本発明の変形例を説明する模式図を示す。図4に示した変形例は、1つの操作部材を入力装置1に設けた場合である。なお、上述した形態と同様の部材には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0021】
コントローラ本体2内部には、この1つの操作部材に対応するマイクロスイッチ5cが設けられ、基板6に取り付けられている。このマイクロスイッチ5cと距離dだけ離れた位置と基板を挟んで対向する位置で、基板6が弾性部材7を介して支持部材8にねじ止めされている。弾性部材7は、マイクロスイッチ5cと基板6を挟んで対向しない位置に設けられている。距離dが大きくなるにつれ、マイクロスイッチ5cにかかる力が同じでも押下げ方向Pの移動量が増えることになる。また、弾性部材7の弾性を調整することでも押下げ方向Pの移動量の調整ができる。このように、弾性部材7を介して固定される位置とマイクロスイッチ5cとの距離d及び弾性部材7の材質を適宜変更することで、マイクロスイッチ5にかかる力を緩衝し、検知誤差、組付け誤差といった不具合を防止できる。同様にして、2つ、あるいは3つ以上のマイクロスイッチ5が設けられた基板6に対しても、弾性部材7を取り付ける位置や材質を調整することで同様の効果を奏する。複数のマイクロスイッチ5に対して弾性部材7を取り付ける場合、各マイクロスイッチ5から等間隔となる位置と基板6を挟んで対向する位置に弾性部材7を設け、弾性部材7を介して支持部材8に基板6を取り付けるようにしてもよい。
【0022】
弾性部材7の形状は、直方体形状に限られず、例えば、図5に示すような押下げ方向Pに対し厚みのあるリング状の弾性部材7aを固定するためのねじに応じて設けるようにしてもよい。弾性素材7の形状は適宜変更が可能であり、取付位置も材質に応じて変更可能である。基板6を挟んでマイクロスイッチ5と対向する位置に設けられていてもよい。また、弾性部材7をゴム等の樹脂で説明したがこれに限られない。例えば、コイルばねや板ばね等の各種ばねによる復元力を利用して押下げ方向とは反対方向へ付勢するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 入力装置
3a、3b 操作部材
5a、5b マイクロスイッチ(スイッチユニット)
6 基板
7 弾性部材
8 支持部材
11a、11b 押しボタン(操作部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の押下げ動作により導通する一対の可動接点及び固定接点がケース内に収容されたスイッチユニットと、
前記ケースを前記固定接点側から押下げ力に抗して支持する支持部材と、
前記スイッチユニットと前記支持部材の間に設けられた弾性部材と、
を備えたゲーム機の入力装置。
【請求項2】
前記スイッチユニットが、基板に取り付けられ、
前記基板が、前記弾性部材を介して前記支持部材に支持されている請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記基板には、複数のスイッチユニットが取り付けられ、
前記複数のスイッチユニットのそれぞれを前記操作部の押下げ方向に移動可能とするように、前記弾性部材が設けられている請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記弾性部材が、前記基板を挟んで前記スイッチユニットと対向しない位置に設けられている請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記基板には、2つの前記スイッチユニットが取り付けられ、
前記弾性部材が、前記基板を挟んで前記2つのスイッチユニット間の位置と対向する位置に設けられている請求項2又は3に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−17532(P2013−17532A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151226(P2011−151226)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】