説明

ゲーム機の景品陳列構造

【課題】クレーンゲーム機筐体の支柱などに拡張性の高いスリットなどを標準装備することにより、クレーンゲームにおけるデッドスペースを有効活用し、景品陳列アピールや景品ストックを可能とするゲーム機の景品陳列用の構造を提供する。
【解決手段】クレーンゲーム機1の背面の左右の支柱2にスリット3を等間隔で多数設けている。ゲーム機筐体の背面部および両隅の付近はクレーンキャッチャー7が移動しない部分であり、またクレーンキャッチャー7が開いて動作しても干渉しない領域である。スリット3に陳列棚を差し込んだり,ぶら下げ棒,ぶら下げネットを係止することにより、景品を陳列することができ、また景品保管庫としての役割も果たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品獲得ゲームにおいて、ゲーム機筐体内のデッドスペースを有効活用した景品陳列用の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンゲーム機において、ゲーム内容をアピールするためにゲーム機筐体内に景品を効果的にディスプレイする方法が講じられている。
その一例として特許文献1に示す筐体構造が提案されている。
これは筐体の底面に配置された景品載置台を複数設け、各景品載置台を個別に高さ調整できるようにしたものである。景品載置台の高さ位置を変えることにより景品の大きさに応じて、また、景品毎に効果的にアピールすることができるものである。
特許文献1は、このように景品ごとに景品載置台の高さレベルを変更することにより効果的にディスプレイを行うことが可能である。しかしながら、このような構造はあくまで獲得用景品をアームが到達する景品獲得エリアにおいて拡張する機能に留まるものである。
【0003】
クレーンゲーム機内でクレーンキャッチャーを左右前後に移動させる範囲において、筐体内の一部にクレーンキャッチャーが移動できないスペース部分があり、クレーンゲーム機を運営するにあたり、キャッチャーが到達・干渉しない隅部や背面部などのいわゆるデッドスペースに景品を陳列したり、ストックしたりする利用方法がニーズとして存在する。しかしながら、これを満たす機能を搭載するクレーンゲーム機類は存在せず、店舗運営者が必要において、クレーンゲーム機のデッドスペースの大きさに応じて現場で利用できる機能を追加工しているのが現状である。
【特許文献1】特開2006−68219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、クレーンゲーム機のクレーンキャッチャーが動く方向は左右方向および前後方向であり、平面が矩形形状のゲーム機筐体では、隅部にデッドスペースが存在するものの、その部分に景品を飾るなどのスペースとして十分な面積が確保できないことが多い。そのため、従来のクレーンゲーム機の構造では、デッドスペースを製造者段階で利用のための機構を設けることは難点があった。
本件発明者は、クレーンゲーム機のクレーンキャッチャーの動きを円形方向およびその放射方向に移動させる機能を提案しており、かかる構造では従来のクレーンゲーム機筐体に比較し矩形形状の隅部に大きなデッドスペースを取り得ることになる。したがって、クレーンゲーム機のデッドスペースに景品を陳列したり、ストックしたりする利用が現実味を帯びてくる。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みなしたもので、その目的はクレーンゲーム機筐体の支柱などに拡張性の高いスリットなどを標準装備することにより、クレーンゲームにおけるデッドスペースを有効活用し、景品陳列アピールや景品ストックを可能とするゲーム機の景品陳列構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、ゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、該支柱に複数のスリットを形成し、該複数のスリットの任意のスリットに景品陳列棚を差し込んで取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項2は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ複数のスリットを形成し、該2つの隅の支柱に形成した複数のスリットの任意のスリット間にぶら下げ棒の端部をそれぞれ差し込みぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項3は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ複数のスリットを形成し、該2つの隅の支柱に形成した複数のスリットの任意のスリット間にぶら下げネットの端部をそれぞれ差し込みぶら下げネットを取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項4はゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、該支柱に複数の孔を形成し、該複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起に景品陳列棚の端部を係止して取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項5は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ複数の孔を形成し、該2つの隅の支柱に形成した複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起間にぶら下げ棒の端部をそれぞれ係止しぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項6は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ複数の孔を形成し、該2つの隅の支柱に形成した複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起間にぶら下げネットの端部をそれぞれ係止しぶら下げネットを取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項7はゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、該支柱に縦長の孔を形成し、該縦長の孔の任意の位置に景品陳列棚の端部を係止し取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項8は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ縦長の孔を形成し、該2つの隅の支柱に形成した縦長の孔の任意の位置にぶら下げ棒の端部をそれぞれ係止しぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とする。
本発明の請求項9は前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、該2つの隅の支柱にそれぞれ縦長の孔を形成し、該2つの隅の支柱に形成した縦長の孔の任意の位置にぶら下げネットの端部をそれぞれ係止しぶら下げネットを取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、ゲーム機筐体に景品陳列構造が標準装備されデッドスペースを有効活用することによって、簡単に景品のサンプル陳列兼ストックが可能となる。また、プレイヤに景品がたくさんあるようにアピールできる。店舗運営者にとって景品ストックも兼ねるため、景品補充時便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機の実施の形態を示す外観斜視図である。
クレーンゲーム機1の筐体内にクレーンキャッチャー7が吊架されている。景品載置フィールドの前部に景品獲得口4が設けられており、クレーンキャッチャー7はゲーム開始前はこの上部に停止した状態で待機している。
操作パネル面5の操作部をプレイヤが操作することによりクレーンキャッチャー7を筐体内で円形に旋回させて位置を決め、さらに放射方向に移動させて景品をキャッチするために下降する位置を選択する。
【0009】
筐体の背後の両隅の支柱2にはそれぞれ等間隔にスリット3が多数設けられている。
この両隅の支柱2の付近には、クレーンキャッチャー7は円形に旋回するため、大きなデッドスペースが形成される。
図4にクレーンゲーム機を平面から見た図を示す。
斜線が引かれた範囲8が、クレーンキャッチャー7は進入せず、アームを開いて景品をキャッチするときの動作範囲9a,9b,9cが及ばない部分である。
この範囲8内に支柱2のスリット3に陳列棚などを取り付け、景品を陳列することができる。
【0010】
図5Aは図1のゲーム機に陳列棚を取り付けた状態を説明するための図である。
景品見本のための陳列棚31は矩形で、その1隅が欠いた形状の板であり、欠いた形状に対面する隅部31aをスリット3の任意の孔に差し込むことにより支柱2に取り付けることができる。図5Aでは左右の支柱2にそれぞれ1個ずつ陳列棚31が差し込まれている。必要に応じ多数陳列棚31を設けることができる。
この陳列棚31に景品を載せれば、効果的にキャッチする景品をアピールすることができる。また、景品載置フィールドに景品が不足した場合、陳列した景品を補充することができ、景品保管庫の機能を有する。
【0011】
図5Bは図1のゲーム機にぶら下げ棒を取り付けた状態を説明するための図である。
景品ぶら下げ棒32をその両端を背面左右の支柱2の間に掛け渡し両端部をスリット3に差し込んだ状態を示している。この図は景品ぶら下げ棒32を2個配置した例を示しており、多数景品ぶら下げ棒32を設けることができる。
景品ぶら下げ棒32に景品に取り付けられている係止部を引っ掛けることにより景品を吊り下げることができる。
【0012】
図5Cは図1のゲーム機にぶら下げネットを取り付けた状態を説明するための図である。
景品ぶら下げネット33は四角のネット形状に形成されており、その四隅にスリット3に引っ掛けるための係止部33a,33b,33c,33dを有している。係止部33a,33bを左側の支柱2の上部と下部のスリット3に係止し、係止部33c,33dを右側の支柱2の上部と下部のスリット3に係止することにより、筐体背面部分にぶら下げネット33を張ることができる。ぶら下げネット33には多数の景品をぶら下げることができる。
【0013】
図2は本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機の他の実施の形態を示す外観斜視図である。
この実施の形態は両側の支柱12にスリットではなく丸孔13を等間隔にそれぞれ設けたものである。他の構成、すなわち景品獲得口14,操作パネル面15などは図1と変わることはない。
この丸孔13に丸棒形状の突起16を差し込んで固定する。この突起16に景品に取り付けた係止部を係止することにより景品をぶら下げることができる。また、突起16に景品陳列棚の端部を係止し、景品陳列棚に景品を載せることができる。
また、この突起16に図5Bのぶら下げ棒32,図5Cのぶら下げネット33を係止することができる。かかる場合、ぶら下げ棒32の両端を突起16に載せる形状にする。また、ぶら下げネット33の四隅には輪形状の係止部を設け、左側および右側の支柱2の上部および下部の丸孔13にそれぞれ差し込んだ突起16に輪を係止することによりぶら下げネット33を取り付けることができる。
【0014】
図3は本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機のさらに他の実施の形態を示す外観斜視図である。
この実施の形態は両側の支柱22に縦長の孔23をそれぞれ1個ずつ設けたものである。他の構成、すなわち景品獲得口24,操作パネル面25などは図1と変わることはない。
両側の支柱22の縦長の孔23に図5Bに示すようなぶら下げ棒の両端部を差し込み、縦長の孔23の下方にぶら下げ棒の端部が下がらないように止め板を留めることにより、縦長の孔23の任意の高さ位置にぶら下げ棒を掛け渡すことができる。
また、図5Aに示すような陳列棚の端部を縦長の孔23に挿入し、縦長の孔23に陳列棚がさがらないように止め板を留めることにより陳列棚を設置することができる。さらに左側および右側の支柱22の縦長の孔23の上部および下部にそれぞれ止め板を留め、止め板に図5Cに示すようなぶら下げネットの四隅を係止することによりぶら下げネットを張ることができる。
【0015】
以上の実施の形態は1人用クレーンゲーム機を用いた例を説明したが、一般的な2人用クレーンゲーム機にも同様に支柱に陳列棚等を設けることができる。
また、陳列箇所は背面部分に限らず、前部の支柱の柱内側にもスリットを設けることにより同様に陳列棚等を設けることができる。さらに、側面部においても同様に取り付け可能である。また、背面の隅の支柱にスリットなどを設ける例を示したが、背面の隅ではなく辺の部分に支柱が存在する場合には、その支柱にスリットなどを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
イベント会場やゲームセンタなどに設置されるクレーンゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機の実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機の他の実施の形態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明による景品陳列構造を適用したゲーム機のさらに他の実施の形態を示す外観斜視図である。
【図4】図1のゲーム機の天井部を省略した平面図である。
【図5A】図1のゲーム機に陳列棚を取り付けた状態を説明するための図である。
【図5B】図1のゲーム機にぶら下げ棒を取り付けた状態を説明するための図である。
【図5C】図1のゲーム機にぶら下げネットを取り付けた状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0018】
1,10,20 クレーンゲーム機
2,12,22 支柱
3 スリット
4,14,24 景品獲得口
5,15,25 操作パネル面
7 クレーンキャッチャー
13 孔
23 縦孔
31 陳列棚
32 ぶら下げ棒
33 ぶら下げネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、
該支柱に複数のスリットを形成し、
該複数のスリットの任意のスリットに景品陳列棚を差し込んで取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項2】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ複数のスリットを形成し、
該2つの隅の支柱に形成した複数のスリットの任意のスリット間にぶら下げ棒の端部をそれぞれ差し込みぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項3】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ複数のスリットを形成し、
該2つの隅の支柱に形成した複数のスリットの任意のスリット間にぶら下げネットの端部をそれぞれ差し込みぶら下げネットを取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項4】
ゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、
該支柱に複数の孔を形成し、
該複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起に景品陳列棚の端部を係止して取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項5】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ複数の孔を形成し、
該2つの隅の支柱に形成した複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起間にぶら下げ棒の端部をそれぞれ係止しぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項6】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ複数の孔を形成し、
該2つの隅の支柱に形成した複数の孔の任意の孔に突起を嵌入し、該突起間にぶら下げネットの端部をそれぞれ係止しぶら下げネットを取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項7】
ゲーム機筐体の隅または辺部分に支柱を設け、
該支柱に縦長の孔を形成し、
該縦長の孔の任意の位置に景品陳列棚の端部を係止し取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項8】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ縦長の孔を形成し、
該2つの隅の支柱に形成した縦長の孔の任意の位置にぶら下げ棒の端部をそれぞれ係止しぶら下げ棒を取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。
【請求項9】
前記ゲーム機筐体の少なくとも2つの隅に支柱を設け、
該2つの隅の支柱にそれぞれ縦長の孔を形成し、
該2つの隅の支柱に形成した縦長の孔の任意の位置にぶら下げネットの端部をそれぞれ係止しぶら下げネットを取り付けたことを特徴とするゲーム機の景品陳列構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2010−142280(P2010−142280A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319831(P2008−319831)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)