説明

ゲーム装置、ゲームの進行方法、ゲームプログラム及び記録媒体

【課題】
適切なタイミングで操作を行っているにもかかわらず、その操作がゲームの進行結果に反映されないという不満を解消することができる、趣向性の高いゲーム装置、ゲームの進行方法、ゲームプログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】
プレイヤからプレイヤキャラクタへの操作指示を受け付けると(ステップS21)、現在のステートに変更されてからの経過時間が計測される(ステップS22)。経過時間が所定の時間内であった場合は、現在のステート、及び1つ前のステートにおいて許容可能なアクションが照会される(ステップS24)。照会した結果に基づいて、プレイヤが行なった操作指示が許容可能なアクションであるか否かが判定され(ステップS26)、許容可能なアクションである場合は、該アクションが実行される(ステップS27)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、プレイヤが操作を行ったタイミング通りに処理が行なわれないために発生する不具合を解消した、趣向性の高いゲーム装置、ゲームの進行方法、ゲームプログラム、及び記録媒体を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームは、通常、ゲーム装置の制御部から描画命令が出力されると、フレームバッファに画像を展開し、ビデオ信号を出力することで、表示装置の表示画面上に画像を表示している。そのため、描画処理に時間がかかると、プレイヤが見ている表示画面中のオブジェクトの座標と、制御部で処理がなされているオブジェクトの座標等に齟齬が生じるといった問題がある。そこで、現在、多くのビデオゲームにおいて、描画の際にフレームバッファを二つ(もしくは二つ以上)持ち、ひとつのバッファで描画の処理を行なう間に、描画の完成している他方のバッファの画像を表示部に表示させ、これを1フレーム毎に交互に繰り返すことにより、高速に高品質の画像を表示することを可能にしている。しかしながら、プレイヤが操作の際に見ている画面は、実際には、ゲーム装置において処理されているフレームの少なくとも1フレーム前の画面ということになり、表示画面で確認できるタイミングで操作を行っても、実際にはそのタイミング通りに処理が行なわれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、プレイヤが操作を行ったタイミングにおける表示画面では問題なく操作を行えているはずなのに、ゲーム装置の制御部における処理はさらにその先に処理が進んでいるため、プレイヤはうまく操作を行なえていると認識をしているのに、実際にはうまく操作が行なわれていないという結果が生じる場合がある。例えば、プレイヤキャラクタが様々な障害を乗り越えて、ゴールへ到達することを目的とするようなアクションゲームの場合を例に挙げて説明する。このようなアクションゲームでは、プレイヤキャラクタは地面を歩いたり、走ったりしながら、ゴールを目指す。プレイヤキャラクタが歩いている地面には、ところどころに大きな溝がもうけられており、溝に落ちる直前で、地面を足場にしてこの溝をジャンプして飛び越えなければ、溝に落ちてゲームオーバーとなる。この際に、プレイヤは表示画面に表示されているゲーム画面を見ながら、溝に落ちる直前でプレイヤキャラクタをジャンプさせるが、この操作を行なった時には、ゲーム装置の制御部において、すでにプレイヤキャラクタは地面とは接していない「落下」の状態として、処理が進行している場合がある。したがって、プレイヤは、適切なタイミングでプレイヤキャラクタをジャンプさせたのに、溝に落下し、ゲームオーバーになってしまったという不満を持つことになる。
【0004】
本発明では、このような、適切なタイミングで操作を行っているにもかかわらず、その操作がゲームの進行結果に反映されないという不満を解消することができる、趣向性の高いゲーム装置、ゲームの進行方法、ゲームプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備えることを特徴とするゲーム装置に関する。
【0006】
このように、操作指示のなされた時間が、ゲームの進行状態に関するステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過していない場合に、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示が許容可能な操作指示であるか否かが判定されるため、適切なタイミングで操作を行っているにもかかわらず、その操作がゲームの進行結果に反映されないという、プレイヤの不満を解消することができる。
【0007】
本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、プレイヤが操作するゲーム内の操作オブジェクトの様態を、ゲーム内の仮想フィールドとの衝突判定によって判定する様態判定手段と、前記様態判定手段によって判定された現在の操作オブジェクトの様態および直前の様態と、現在の様態の継続時間を管理する様態管理手段と、各様態ごとに、操作の受付及び実行が許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、前記操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する操作指示許容判定手段と、前記操作指示判定手段によって操作指示が許容された場合に、該操作指示にしたがってゲームの進行を制御する進行制御手段と、前記進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備え、前記様態管理手段は、前記様態判定手段によって操作オブジェクトの様態が変化したと判定された場合、変化した後の操作オブジェクトの様態を現在の操作オブジェクトの様態として、変化する前の操作オブジェクトの様態を直前の様態として上書きするとともに現在の様態の継続時間をリセットし、前記操作指示許容判定手段は、前記様態管理手段を参照し、現在の様態の継続時間が所定の範囲内である場合は、現在の様態に対して許容されている操作指示だけでなく、直前の様態に対して許容されている操作指示についても受付および実行可能とすることを特徴とするゲーム装置に関する。
【0008】
このように、現在の様態の継続時間が所定の範囲内である場合は、現在の様態に対して許容されている操作指示だけでなく、直前の様態に対して許容されている操作指示についても受付および実行可能とすることで、適切なタイミングで操作を行っているにもかかわらず、その操作がゲームの進行結果に反映されないという、プレイヤの不満を解消することができる。
【0009】
本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、プレイヤキャラクタを行動させることでゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、プレイヤの入力装置への操作に応じて、プレイヤキャラクタに行動をさせるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、ゲームの進行時におけるプレイヤキャラクタの状態を時系列にしたがって記憶する状態記憶手段と、操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、プレイヤキャラクタの状態に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、プレイヤキャラクタの状態に応じて許容可能なプレイヤキャラクタの行動について設定された許容行動管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のプレイヤキャラクタの状態をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であるか否かを判定する第一の行動判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容行動管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のプレイヤキャラクタの状態より一つ前のプレイヤキャラクタの状態をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であるか否かを判定する第二の行動判定手段と、第一の行動判定手段及び第二の行動判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、プレイヤキャラクタの行動を制御する行動制御手段と、行動制御手段によるプレイヤキャラクタの行動をもとにゲームを進行させ、ゲームの進行結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備えることを特徴とするゲーム装置に関する。
【0010】
このように、操作指示のなされた時間が、プレイヤキャラクタの状態に変化が発生した時間から所定の時間を経過していない場合に、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のプレイヤキャラクタの状態より一つ前のプレイヤキャラクタの状態をもとに、操作指示が許容可能な行動であるか否かが判定されるため、適切なタイミングで操作を行っているにもかかわらず、その操作がゲームの進行結果に反映されないという、プレイヤの不満を解消することができる。したがって、例えば、プレイヤキャラクタが様々な障害を乗り越えてゴールを目指すアクションゲームにおいて、表示画面において溝に落ちる直前にプレイヤキャラクタにジャンプをさせる操作をプレイヤが行ない、この操作を行なった時のゲーム装置における処理ではプレイヤキャラクタが地面とは接していない「落下」の状態となっていても、プレイヤキャラクタをジャンプさせることが可能となる。
【0011】
さらに、仮想空間内において、プレイヤキャラクタを構成する各部位とオブジェクトが接しているか否かを判定する衝突判定手段と、オブジェクトと接している部位とプレイヤキャラクタの状態との関係が設定されている状態判定テーブルにしたがって、衝突判定手段により判定された、オブジェクトと接している部位に応じてプレイヤキャラクタの状態を特定する状態特定手段と、状態特定手段により特定されたプレイヤキャラクタの状態を記憶する状態記憶手段とを備えることが好ましい。
【0012】
仮想空間内において、プレイヤキャラクタを構成する各部位とオブジェクト(例えば、地面)が接しているか否かを判定し、どの部位が接しているかにより、プレイヤキャラクタの状態が特定され、特定されたプレイヤキャラクタの状態が時系列で記憶部へ記憶されることになる。そして、記憶されたプレイヤキャラクタの状態をもとに、プレイヤからの操作指示が許容可能なものであるか否かの判定が行なわれる。
【0013】
描画手段は、少なくとも2つのフレームバッファにより実行されることが好ましい。ダブルバッファのように複数のフレームバッファにより実行されている場合は、描画と表示に必ず1フレーム以上のラグがあるため、特に有益である。
【0014】
本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームの進行方法であって、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付け、ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶部に記憶し、受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定させ、所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定させ、所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、記憶部に記憶された、操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定させ、操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御させ、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画させることを特徴とするゲームの進行方法に関する。
【0015】
また、本発明は、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームプログラムであって、ゲーム装置を、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段として機能させることを特徴とするゲームプログラムに関する。
【0016】
さらには、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームプログラムを記録した記録媒体であって、ゲーム装置を、プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段として機能させるゲームプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態にかかるゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示画面へ表示中のフレームと、フレームバッファで描画中のフレームを表す図である。
【図3】プレイヤキャラクタの各ステートにおける表示態様を表す図である。
【図4】プレイヤキャラクタを構成する各部位を分割して管理する際の分割方法の一例である。
【図5】ステート判定テーブル13の一例である。
【図6】プレイヤキャラクタの各ステートにおける許容アクションを示す図である。
【図7】許容アクション管理テーブル14の一例である。
【図8】制御部11内のステート管理部11aの概念図である。
【図9】コリジョン判定を実行する際のフローチャートを表す図である。
【図10】許容アクションを判定する際のフローチャートを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。図1は、本発明の実施の形態にかかるビデオゲームを実行するためのゲーム装置の構成を示すブロック図である。ゲーム装置は、制御部11、記憶部12、ゲームプログラム読み取り部15、表示部16、音声出力部17、操作部18(入力装置)からなり、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)から構成され、ゲームプログラム読み取り部15により読み取られたカートリッジ20に格納されたプログラムを実行し、ゲーム装置の制御を行なう。また、制御部11は内部にタイマー19を備えている。記憶部12は、RAM(Random Access Memory)から構成され、後述するステート判定テーブル13及び許容アクション管理テーブル14が設けられることになる。RAMは制御部11のワークエリアである。
【0020】
ゲームプログラム読み取り部15は、ゲームカートリッジ20に格納されたプログラムを読み取る代わりに、DVD−ROMやCD−ROMなどからDVD/CD−ROMドライブを介して、ゲームプログラムを読み取るような構成とすることも可能である。ゲームカートリッジ20に記録されたゲームプログラム及びデータは、ゲームプログラム読み取り部15により読み出されて、記憶部12にロードされる。
【0021】
制御部11は、進行中のゲームに必要なデータを記憶部12から読み出して処理を行なうが、RAMは記憶容量が小さいので、ゲームの進行状況に応じて必要なデータのみが、ゲームカートリッジから記憶部12にロードされる。制御部11は、記憶部12にロードされたプログラム及びデータを処理し、サウンド出力の指示を音声出力部17に出力し、描画命令を、図示しないグラフィック処理部に出力する。制御部11がサウンド出力の指示を音声出力部17に出力すると、音声出力部17はスピーカーにサウンド信号を出力する。グラフィック処理部は、表示画面を有する表示部16に接続されており、制御部11から描画命令が出力されると、グラフィック処理部は、フレームメモリ(フレームバッファ)に画像を展開し、表示部16の表示画面上に画像を表示するビデオ信号を出力する。グラフィック処理部から出力されるビデオ信号に含まれる画像の1フレーム時間は、例えば30分の1秒又60分の1秒はである。グラフィック処理部は、フレーム単位(すなわち、30分の1秒単位、又は60分の1秒単位)で1枚の画像の描画を実行する。
【0022】
操作部18は方向キー又はジョイスティック、複数の操作ボタン等を備え、方向キーの操作によりプレイヤキャラクタの移動やジャンプ、他のキャラクタへの攻撃、移動スピードの変化等の操作指示を入力するものである。プレイヤによるキーパッドの操作に基づく操作部18からの入力情報をもとに、制御部11は各種の演算処理を実行する。なお、操作部18は、方向キー、操作ボタンの他にタッチパネルを備えていても良い。
【0023】
本発明にかかるゲーム装置は通信インターフェイスを備えていても良く、無線又は有線により通信ネットワークに接続されている。また、通信インターフェイスは、アンテナを有する通信ユニットを介して、他のビデオゲーム装置と無線により通信を行なうことも可能である。
【0024】
本発明にかかる実施の形態では、主に、プレイヤキャラクタが様々な障害を乗り越えて、ゴールへ到達することを目的とするようなアクションゲームの場合を例に挙げて説明する。ビデオゲーム装置の高度化に伴い、現在では高画質の映像を高速で描画処理するために、描画処理を行なうフレームバッファを2つ用意し、一方で描画処理を行なう間に他方のフレームバッファで描画された画像を表示部に表示させ、これを1フレーム毎に交互に繰り返すことにより処理の高速化を実現させる手法が一般的となっている。本実施の形態においても、フレームバッファを2つ用意し、一方のフレームバッファで描画された画像を表示する間に、他方のフレームバッファを使って次に表示する画像を描画処理する場合について、説明する。
【0025】
図2は、表示画面へ表示中のフレームと、フレームバッファで描画中のフレームを表す図である。ゲーム内のある場面において、プレイヤキャラクタが地面に設けられた溝をジャンプして越えるような操作をプレイヤに求める場面において、地面から落下するギリギリのタイミングでジャンプの操作指示を行ないたいとプレイヤが考えるような場合、図2(a)で示す画像が表示画面に表示されている。しかし、この時に、プレイヤが画像を見ながらプレイヤキャラクタ30aにジャンプの操作指示を出しても、他方のフレームバッファでは図2(b)に示される通りの画像が既に描画されており、プレイヤキャラクタ30bが、既に溝に落下し始めてしまっているため、ジャンプの操作は無効となってしまう。
【0026】
本発明では、このような表示画面に表示されている内容と制御部における処理とのタイムラグを是正する方法について開示する。具体的には、プレイヤキャラクタの「ステート」が変化しても、変化開始から数フレームの間は、現在のステートに加え、直前のステートに対して操作指示が許容されているアクションについても、操作指示を許容可能とする。
【0027】
ここで、本発明の実施の形態でいう「ステート」について説明する。ステートとは「プレイヤキャラクタが現在どのような態勢もしくは状態となっているか」を表すものである。図3は、プレイヤキャラクタの各ステートにおける表示態様を表す図である。プレイヤキャラクタのステートは、図3に示す通り、例えば、「立ち」、「ダウン」、「四つん這い」、「落下」といったものが設定されている。プレイヤキャラクタ30cは、「立ち」のステートにおける表示態様である。「立ち」のステートとは、プレイヤキャラクタ30cが地面に立っている、或いは、歩いたり、走ったりしている状態を指す。プレイヤが操作部18へ何の操作を行なわなければ、プレイヤキャラクタ30cは、通常は地面に立っているだけの「立ち」のステートとなり、操作部18に設けられた方向キーやジョイスティックを操作することで、歩いたり、走ったりする「立ち」のステートとすることができる。また、プレイヤキャラクタ30dは、「ダウン」のステートにおける表示態様である。「ダウン」のステートは、プレイヤキャラクタ30dが敵キャラクタの攻撃を受ける等によりダメージを受けて地面に倒れている状態を指すもので、数秒後に「立ち」のステートに自動的に戻るような設定とすることもできる。プレイヤキャラクタ30eは、「四つん這い」のステートの表示態様である。「四つん這い」のステートとは、プレイヤキャラクタが地面を這っている状態で、操作部18に設けられた方向キーやジョイスティックを下方向等に操作することで「四つん這い」のステートとなる。プレイヤキャラクタ30fは、「落下」のステートの表示態様である。「落下」のステートとは、仮想空間内の重力により、プレイヤキャラクタが地面方向に落下している状態を指す。プレイヤキャラクタのステートの判定は、プレイヤキャラクタのオブジェクトを形成するポリゴンと、ゲーム内の仮想空間における「地面」とがどのように接しているかを、コリジョン(衝突)判定することによって行なわれる。
【0028】
図4は、プレイヤキャラクタを構成する各部位を分割して管理する際の分割方法の一例である。プレイヤキャラクタ30のオブジェクトは、複数のポリゴンの集合体として形成されている。プレイヤキャラクタ30は、複数のポリゴンをいくつかの部位に分けて管理され、部位ごとに地面とのコリジョン判定が行なわれる。すなわち、「頭」、「胴」、「腕」、「手」、「脚」、「足」といった部位ごとに、ゲーム内の仮想フィールド面(例えば、「地面」以外にも「崖」や「壁」といった面)やその他のオブジェクト(他のキャラクタ等)と接しているか否かの判定が行なわれる。例えば、プレイヤキャラクタが「崖」や「壁」と接している場合は「登る」、「張りつく」といったステートを設定し、他のキャラクタに接している場合は「ぶら下がり」といったステートを設定することができる。
【0029】
具体的には、記憶部12内に記憶されるステート判定テーブル13を用いて、ステート判定が行なわれる。図5はステート判定テーブル13の一例である。以下、この図を用いて、本実施の形態にかかるステート判定の手順について説明する。なお、図5のステート判定テーブル13では、地面と接している場合に「1」、地面と接していない場合に「0(ゼロ)」で記憶されているものとする。各部位の地面との接触の状態がコリジョン判定によって認識され、「足」のコリジョン判定の結果のみが「1」で、残りの部位の判定結果が全て「0」であった場合は「立ち」のステートであると判定される。また、コリジョン判定の結果、「全ての部位が地面に接していない」、すなわち、どの部位もコリジョン判定の結果が「0」であると判定された場合、ステートは「落下」となる。同様に、コリジョン判定の結果、「全ての部位が地面に接している」、すなわち、どの部位もコリジョン判定の結果が「1」であると判定された場合は、ステートは「ダウン」となり、コリジョン判定の結果、「足」、「脚」及び「手」が「1」であり、「胴」及び「腕」が「0」と判定された場合は、ステートは「四つん這い」となる。
【0030】
次に、ステートと各ステートに対する許容アクションの関係について説明する。多くのビデオゲームにおいて、プレイヤキャラクタの動きをよりリアルにするために、ステート毎にプレイヤが操作指示の可能なアクションが決められている。例えば「ダウン」のステートで地面に倒れているプレイヤキャラクタに対して「ジャンプ」の操作指示を行った場合、「倒れたままジャンプ」というようなアクションを実行すると、プレイヤキャラクタが非常に不可解な動きをすることになってしまう。また、「立ち」のステートであるにもかかわらず「着地」の指示をしても、そもそもプレイヤキャラクタは空中に存在する状態ではないので操作指示がステートと矛盾してしまうという不都合が発生してしまう。
【0031】
そこで、ステートと当該ステートにおいて許容可能なアクションは、当該ステートから実行した場合に不自然にならないアクションに限られる。図6は、プレイヤキャラクタの各ステートにおける許容アクションを示す図である。図6に示すように、「立ち」のステートにおいて許容されるアクションは、「移動」、「ジャンプ」、「攻撃」、「しゃがむ」等となり、「落下」のステートにおいて許容されるアクションは、「攻撃」、「回転」等であり、「落下」のステートにおいては「移動」、「ジャンプ」等のアクションは許容されない。
【0032】
各ステートにおいて許容可能なアクションについては、具体的には記憶部12内に記憶される許容アクション管理テーブル14に規定される。図7は許容アクション管理テーブル14の一例である。各ステートに対して許容されるアクションは「1」、許容不可能なアクションは「0」が記憶されており、例えば、「立ち」のステートでは、「移動」、「ジャンプ」、「攻撃」及び「回転」が許容可能と判定される。「落下」のステートでは、「移動」及び「ジャンプ」は許容されず、「攻撃」及び「回転」が許容可能である。また、「ダウン」のステートでは、「移動」、「ジャンプ」、「攻撃」及び「回転」等のアクションは許容されない。「四つん這い」のステートでは「ジャンプ」及び「攻撃」は許容されず、「移動」及び「回転」が許容可能である。
【0033】
図8は、制御部11内のステート管理部11aの概念図である。制御部11の内部にはステート管理部11aが設けられている。ステート管理部11aは、タイマー19および記憶部12内のステート判定テーブル13を照会し、現在のステートについて、「どのステート」を「何フレーム継続中か」について常に最新情報の管理を担う役割を有する。ステート管理部11aでは、ステート判定テーブル13を照会することで特定されたプレイヤキャラクタの現在のステート情報および1つ前のステート情報が記憶されるとともに、タイマー19から送信される、現在のステートの継続時間が管理されている。
【0034】
ステート判定処理において、ステート情報が「立ち」から「落下」に変更されたことが検知されると、ステート管理部11aは現在のステートおよび1つ前のステートを、「落下」および「立ち」に変更するとともに、タイマー19をリセットする。タイマー19は、当該ステートが何フレーム間継続しているかを計時するためのものであり、前述の通りステートが変化した場合は、カウントをリセットして新たなステートの継続時間の計時を始めるものである。また、タイマー19の計時情報は常に制御部11のステート管理部11aに送信される。
【0035】
次に、図9を用いて、コリジョン判定を実行する際の処理の流れについて説明する。図9は、コリジョン判定を実行する際のフローチャートを表す図である。まず、プレイヤキャラクタの各部位が地面と接しているか否かのコリジョン判定が行なわれる(ステップS11)。次いで、ステート判定テーブル13にしたがって、地面と接している部位をもとに、プレイヤキャラクタのステートが特定される(ステップS12)。特定されたプレイヤキャラクタのステートは、時間情報とともに記憶部12(RAM)に記憶される(ステップS13)。ステップS11〜S13までの一連の処理はフレームごとに行われる。プレイヤキャラクタのステートは時系列にしたがって記憶される(ステート及び、ステートが変更した場合はそのステートに変更された時間に関する情報とともに記憶される)。少なくとも、現在のステート情報(ステート及び、そのステートに変更された時間に関する情報を含む)及びその一つ前のステート情報がステート管理部11a又は記憶部12に保持され、後述する許容アクションの判定の際に用いられる。
【0036】
次に、図10に示すフローチャートを用いて、許容アクションを判定する際の処理の流れについて説明する。図10は、許容アクションを判定する際のフローチャートを表す図である。まず、プレイヤの操作部18の操作により、プレイヤキャラクタに対する操作指示を受け付けると(ステップS21)、制御部11は、ステート管理部11aにおいて、プレイヤキャラクタのステートが、現在のステートに変更されてからの経過時間を参照する(ステップS22)。また、記憶部12に時系列にしたがって記憶されたステート情報をもとに、プレイヤキャラクタのステートが現在のステートに変更されてからの経過時間を演算する構成としても良い。
【0037】
経過時間が所定の時間内(本例では所定の時間は2フレームとするが、ゲームの種類により適宜設定することが可能であり、ユーザ自らが設定できるような構成とすることも可能である)であった場合(ステップS23においてYES)は、表示誤差範囲内であると判定し、プレイヤキャラクタの現在のステートに対応する許容アクションだけでなく、1つ前のステートに対応する許容アクションも許容アクション管理テーブルをもとに照会する(ステップS24)。なお、ステップS24において、プレイヤキャラクタの現在のステートに対応する許容アクションだけでなく、1つ前のステートに対応する許容アクションも同時に照会することとしたが、プレイヤキャラクタの現在のステートに対応する許容アクションは照会せずに、1つ前のステートに対応する許容アクションのみを照会することとしても良い。一方、経過時間が所定の時間を超えている場合(ステップS23においてNO)は、表示誤差の範囲外であると判定し、現在のステートに対応する許容アクションのみを許容アクション管理テーブルをもとに照会する(ステップS25)。
【0038】
次に、照会した許容アクションにしたがって、プレイヤが操作指示したアクションが許容アクションであるか否かを判定する(ステップS26)。この結果、プレイヤが操作指示したアクションが許容アクションであると判定された場合(ステップS26においてYES)には該アクションを実行し(ステップS27)、逆に、許容アクションではないと判定された場合(ステップS26においてNO)には、該アクションを実行せずに、無効とする処理を行なう(ステップS28)。ステップS21〜S28までの一連のステップは、操作部18からの操作指示が行なわれるごとに繰り返し実行される。
【0039】
例えば、ステートが「立ち」から「落下」に変化して2フレーム以内に、プレイヤが「ジャンプ」の操作指示を行った場合を例にあげると、従来では「落下」のステートでは「ジャンプ」は許容不可能なアクションであるため無効と処理されていたが、本発明では表示誤差の範囲内(すなわち、本例ではステートが変化してから2フレーム以内)であると判定されるため、「立ち」と「落下」の双方の許容アクションのうちいずれかに相当する場合は該アクションの受付及び実行が許容されることとなる。そのため、実際には「落下」のステートであるにもかかわらず「ジャンプ」の操作が受け付けられ、アクションが実行されることとなる。その結果、従来であればプレイヤキャラクタが地面にもうけられた溝に落下し、ゲームオーバーになるような場合であっても、ジャンプにより溝を超えて、さらにゲームを続けることが可能となる。
【0040】
上で述べた実施の形態では、フレームバッファは本例では2つとしているが、3つ以上あってもよい。3つ以上のバッファを用いることで、より高画質な画像を高速で処理可能となるが、タイムラグが大きくなるため、本例の効果も大きくなる。ダブルバッファの場合は描画と表示に必ず1フレームのラグがあるため、特に有益である。また、描画エンジンを搭載した液晶TVなどでも、画面の更新に数フレームのラグが生じる場合あるため、より有益である。また、シングルバッファで描画する場合であっても、表示画面に表示されている内容と制御部11における処理の間にタイムラグは発生するので、本発明はシングルバッファの場合であっても活用できる。
【0041】
本発明は、秒間60フレームで動いているゲームよりも、秒間30フレームで動いているゲームの方が、より効果が大きくなる(最短のラグが、それぞれ1/60秒と1/30秒であるため)。
【0042】
ところで、複数のゲーム端末が無線通信をしながら対戦等を行なうゲームでは、描画エンジンを効率よく使用し、処理速度を稼ぐために、描画エンジンに送るパケットもダブルバッファで処理されている。例えば、プレイヤキャラクタの状態が1フレームごとに状態A(例えば「立ち」)、状態B(例えば「走り」)、状態C(例えば「落下」)と順次、移行する場合について説明する。
【0043】
まず、1フレーム目では、演算結果(状態A)を他のゲーム端末にパケット転送する。2フレーム目では、次に演算結果(状態B)を他のゲーム端末にパケット転送する。2フレーム目では、これと併行して、1フレーム目でパケット転送された状態Aが描画エンジンにおいて描画演算され、これがバッファ1に書き込まれる。
【0044】
3フレーム目では、演算結果(状態C)を他のゲーム端末にパケット転送する。3フレーム目では、これと併行して、2フレーム目でパケット転送された状態Bが描画エンジンにおいて描画演算され、これがバッファ2に書き込まれる。さらに、2フレーム目において、バッファ1に書き込まれた状態Aが画面に表示されることになる。
【0045】
4フレーム目では、3フレーム目と同じく、演算結果(状態C)を他のゲーム端末にパケット転送する。4フレーム目では、これと併行して、3フレーム目でパケット転送された状態Cが描画エンジンにおいて描画演算され、これがバッファ1に書き込まれる。さらに、3フレーム目において、バッファ2に書き込まれた状態Bが画面に表示されることになる。
【0046】
5フレーム目では、4フレーム目と同じく、演算結果(状態C)を他のゲーム端末にパケット転送する。5フレーム目では、これと併行して、4フレーム目でパケット転送された状態Cが描画エンジンにおいて描画演算され、これがバッファ2に書き込まれる。さらに、4フレーム目において、バッファ1に書き込まれた状態Cが画面に表示されることになる。
【0047】
複数のゲーム端末が無線通信をしながらゲームを進行させる場合は、3フレーム目で発生した落下をプレイヤが目にするのは5フレーム目となり、パケット転送から表示されるまで、必ず2フレーム分の遅れが発生することになる。秒間30フレームで処理がなされる場合、この遅れは30分の2秒となる。したがって、複数のゲーム端末が無線通信をしながらゲームを進行させるような場合にも、本発明を適用することが可能である。すなわち、所定の時間を2フレーム(30分の2秒)とし、ステートが変更してから2フレーム以内であれば、変更される前のステートで許容されるアクションについて許容可能とすれば、4フレーム目では「走り」のステートが表示画面に表示されており、ゲーム端末の制御部では「落下」のステートとなっているにも関わらず、ジャンプをすることが可能となる。
【0048】
上で述べた実施の形態では、アクションゲームを前提に説明しているが、本発明は、カーレースゲーム、野球やテニス、ゴルフといったスポーツゲーム、シューティングゲームといったゲームにおいて適用することも可能である。特に、厳密にタイミングを計ることによって、ゲームの結果が左右されるものについて本発明を適用することで、大きな効果が得られる。
【0049】
また、上で述べた実施の形態では、プレイヤが操作する人型のプレイヤキャラクタを例にあげて説明したが、プレイヤが操作するオブジェクトについて適用することも可能である。例えば、本発明をカーレースゲームに適用する場合について、以下に説明する。カーレースゲームでは、プレイヤは車を操作し、CPUが操作する車や他のプレイヤが操作する車と競争しながら、予め定められたコースを走行することで、ゴール地点を目指す。車が走行するコースには様々な障害が設けられており、例えば、コース上に設けられた「バナナ」の上を車が走行すると、車は「スリップ」の状態となり、プレイヤは車の操作ができない状態となる。車が「通常」の状態の場合は、「加速」、「減速」、「特殊アイテムの使用」等の操作指示が許容されるが、「スリップ」の状態の場合は、「加速」、「減速」、「特殊アイテムの使用」等の操作指示ができなくなる。このようなゲームにおいて、プレイヤが見ている表示画面では「バナナ」の上を走行する直前(30分の1秒又は60分の1秒前)のタイミングに「特殊アイテムの使用」の操作指示をプレイヤが行なうと、制御部11での処理においては「スリップ」の状態となっていても、「通常」の状態における操作指示も許容されるため、「特殊アイテムの使用」の操作指示が許容されることになる。「特殊アイテム」の使用により、プレイヤが操作する車は、「バナナ」の上を走行しても「スリップ」の状態とはならない、いわゆる「無敵」の状態となり、他の車と比べて有利な条件でコースを走行することが可能になる。
【0050】
これまでの実施の形態では、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタ(カーレースゲームにおける車等のオブジェクトも含む)の状態をもとに許容されるアクションが定められているゲームに、本発明を適用することについて述べたが、(プレイヤキャラクタのステート以外の)ゲームの進行状態に関するステータス情報(例えば、時間、プレイヤキャラクタの残存する体力値、プレイヤが獲得した得点等)をもとに許容される操作指示が定められているゲームにおいても本発明を適用することが可能である。例えば、特定の時間内であれば、特殊アイテムを使用することが可能であるが、この特定の時間外であれば特殊アイテムを使用することはできないというようなゲームにおいて、本発明を適用できる。すなわち、特定の時間内と特定の時間外で、ゲームの進行上におけるステータスが変わり、特殊アイテムの使用が許容可能であるか否かが変わるような場合に、本発明を適用することで、特定の時間が終了する間際のタイミング(表示画面において30分の1秒又は60分の1秒後に特定の時間が終了するようなタイミング)で特殊アイテムを使用するための操作をプレイヤがしても、特殊アイテムの使用が可能となる。
【符号の説明】
【0051】
11 制御部
12 記憶部
13 ステート判定テーブル
14 許容アクション管理テーブル
15 ゲームプログラム読み取り部
16 表示部
17 音声出力部
18 操作部
19 タイマー
20 カートリッジ
30 プレイヤキャラクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、
ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、
操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、
第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、
進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、
プレイヤが操作するゲーム内の操作オブジェクトの様態を、ゲーム内の仮想フィールドとの衝突判定によって判定する様態判定手段と、
前記様態判定手段によって判定された現在の操作オブジェクトの様態および直前の様態と、現在の様態の継続時間を管理する様態管理手段と、
各様態ごとに、操作の受付及び実行が許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、前記操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する操作指示許容判定手段と、
前記操作指示判定手段によって操作指示が許容された場合に、該操作指示にしたがってゲームの進行を制御する進行制御手段と、
前記進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備え、
前記様態管理手段は、前記様態判定手段によって操作オブジェクトの様態が変化したと判定された場合、変化した後の操作オブジェクトの様態を現在の操作オブジェクトの様態として、変化する前の操作オブジェクトの様態を直前の様態として上書きするとともに現在の様態の継続時間をリセットし、
前記操作指示許容判定手段は、前記様態管理手段を参照し、現在の様態の継続時間が所定の範囲内である場合は、現在の様態に対して許容されている操作指示だけでなく、直前の様態に対して許容されている操作指示についても受付および実行可能とすることを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、プレイヤキャラクタを仮想空間内で行動させることでゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置であって、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、プレイヤキャラクタに行動をさせるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、
ゲームの進行時におけるプレイヤキャラクタの状態を時系列にしたがって記憶する状態記憶手段と、
操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、プレイヤキャラクタの状態に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、プレイヤキャラクタの状態に応じて許容可能なプレイヤキャラクタの行動について設定された許容行動管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のプレイヤキャラクタの状態をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であるか否かを判定する第一の行動判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容行動管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のプレイヤキャラクタの状態より一つ前のプレイヤキャラクタの状態をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であるか否かを判定する第二の行動判定手段と、
第一の行動判定手段及び第二の行動判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な行動であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、プレイヤキャラクタの行動を制御する行動制御手段と、
行動制御手段によるプレイヤキャラクタの行動をもとにゲームを進行させ、ゲームの進行結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段とを備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
さらに、
プレイヤキャラクタを構成する各部位と仮想三次元空間内に存在するオブジェクトが接しているか否かを判定する衝突判定手段と、
オブジェクトと接している部位とプレイヤキャラクタの状態との関係が設定されている状態判定テーブルにしたがって、衝突判定手段により判定された、オブジェクトと接している部位に応じてプレイヤキャラクタの状態を特定する状態特定手段と、
状態特定手段により特定されたプレイヤキャラクタの状態を記憶する状態記憶手段とを備えることを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
描画手段が、少なくとも2つのフレームバッファにより実行されることを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項6】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームの進行方法であって、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付け、
ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶部に記憶し、
受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定させ、
所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定させ、
所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、記憶部に記憶された、操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定させ、
操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御させ、
ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画させることを特徴とするゲームの進行方法。
【請求項7】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームプログラムであって、
ゲーム装置を、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、
ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、
操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、
第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、
進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段として機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項8】
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームの進行を制御し、ゲームの進行の結果を表示装置に表示させるゲーム装置において実行されるゲームプログラムを記録した記録媒体であって、
ゲーム装置を、
プレイヤの入力装置への操作に応じて、ゲームを進行させるための操作指示を受け付ける操作指示受付手段と、
ゲームの進行により変化するゲームの進行状態に関するステータス情報を時系列にしたがって記憶するステータス情報記憶手段と、
操作指示受付手段により受け付けた操作指示のなされた時間が、ステータス情報に変化が発生した時間から所定の時間を経過しているか否かについて判定する時間判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していると判定された場合に、ステータス情報に応じて許容可能な操作指示について設定された許容操作管理テーブルにしたがって、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第一の操作指示判定手段と、
時間判定手段により所定の時間が経過していないと判定された場合に、許容操作管理テーブルにしたがって、状態記憶手段に記憶された、操作指示受付手段により操作指示を受け付けた時のステータス情報に変化する一つ前のステータス情報をもとに、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であるか否かを判定する第二の操作指示判定手段と、
第一の操作指示判定手段及び第二の操作指示判定手段により、操作指示受付手段により受け付けた操作指示が許容可能な操作指示であると判定された場合に、該操作指示にしたがって、ゲームの進行を制御する進行制御手段と、
進行制御手段によるゲームの進行の結果を表示装置に表示させるためのゲーム画面を描画する描画手段として機能させるゲームプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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