説明

ゲーム装置、ゲームプログラムおよび記憶媒体

【課題】読み込むデータのサイズが各ステージ毎に異なっていても、メモリエリアに無駄が生じないように読み込むことができるゲーム装置を提供する。
【解決手段】ステージ毎に、ゲームメディアからRAMに複数のゲームデータを読み込む。敵キャラクタの音声データの場合、1または複数のボスキャラクタの音声データ、1または複数の雑魚キャラクタの音声データ、の順で順次RAMに読み込むが、各データを前詰めで空きスペースが生じないように読み込む。そして、各データの先頭アドレスをデータ管理テーブルに登録する。これにより、メモリエリアの無駄を無くしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲーム装置、このゲーム装置を駆動するゲームプログラム、および、このゲームプログラムを記憶した記憶媒体に関し、特に記憶媒体からのデータロードの効率化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、CPUを内蔵し、CPUの情報処理機能を用いて映像・音声等を再生するビデオゲーム機が普及している。ビデオゲーム機としては、テレビに接続して使用するテレビゲーム機、やディスプレイ,スピーカ等が一体になった携帯型ビデオゲーム機等がある(非特許文献1参照)。
【0003】
ビデオゲーム機の多くは、ゲームプログラムやゲームデータを内蔵しておらず、CD,DVD,フラッシュメモリ,UMD(Universal Media Disc)(登録商標)等からゲームプログラムやゲームデータを内蔵メモリに読み込んでゲームを実行する。
【0004】
多くのゲーム(たとえばモンスターハンターポータブル(登録商標))は、大量のプログラムおよびデータで構成されており、ゲーム機のメモリに一度に全部を読み込むことが不可能なため、ゲームを複数のステージに分割して構成して遊技者の操作によって切り替え、ステージを切り替えるときに各ステージごとのプログラムやデータをゲーム機のメモリに読み込み(ロード)してゲームを実行するようにしている。
【0005】
読み込むデータには複数の映像データ、複数の音声データ等があるが、各ステージにおけるメモリ管理を容易にするために、各ステージで使用する映像データや音声データのデータサイズを同じにして、どのステージでも同じアドレスでデータを管理できるようにすることが好ましい。
【0006】
しかしながら、近年のゲームにおいては、各ステージで使用する映像データや音声データは多種多様である。したがって、どのステージでも同じアドレスでメモリを管理することは不可能である。特に、上述のモンスターハンターポータブル(登録商標)では、同じステージでも、そのステージが選択されるごとに登場するモンスターを異ならせてゲームに変化を与えている(非特許文献2参照)。このようなゲームにおいては、メモリの管理はさらに複雑になる。
【0007】
【非特許文献1】“「プレイステーション・ポータブル」情報”、[online]、PlayStation.com (Japan)、[平成19年1月10日検索]、インターネット<URL:http://www.jp.playstation.com/psp/>
【非特許文献2】モンスターハンターポータブル公式ガイドブック(2006年3月8日初版発行 制作・販売元:株式会社エンターブレイン
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、従来はデータサイズにかかわりなく、映像データや音声データの数に応じてメモリを予め分割しておくことによって、各データを同じアドレスで管理できるようにしていた。この場合、読み込まれるデータのサイズが不定であるため、各映像データや音声データのために確保する各々のメモリエリアを、使用される映像データや音声データのサイズの最大値に固定していた。
【0009】
しかしながら、このようなメモリの管理方法では、予め確保したメモリエリアと実際のデータサイズが異なる場合が多くあり、サイズの小さいデータを読み込んだ場合には、データエリアに無駄な空きエリアが生じるという問題点があった(図5の中央欄参照)。
【0010】
また、予め確保されるメモリエリアの分割数やサイズが固定されているため、使用可能な映像データや音声データの数やサイズがこれによって制限を受け、ステージに登場させるキャラクタ、オブジェクト、背景、音声などを、ゲームの進行状況に応じて変化させることが困難であった。
【0011】
この発明は、読み込むデータのサイズが各ステージ毎に異なっていても、メモリエリアに無駄が生じないように読み込むことができるゲーム装置、ゲームプログラムおよびゲームプログラム等を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、ゲームの実行に使用する複数のゲームデータを記憶した記憶媒体を接続する媒体接続部と、前記記憶媒体から読み込まれたゲームデータを記憶するゲームデータ記憶エリアが設定された内蔵メモリと、前記記憶媒体からゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込む制御部と、を備えたゲーム装置であって、前記制御部は、前記複数のゲームデータを前記記憶媒体から前記ゲームデータ記憶エリアに読み込むとき、各ゲームデータの記憶領域が連続するように読み込むことを特徴とするゲーム装置である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記内蔵メモリに、前記ゲームデータ記憶エリアに読み込まれた各ゲームデータの先頭アドレスを管理するデータ管理テーブルをさらに備え、前記制御部は、各ゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込んだとき、そのゲームデータの先頭アドレスを前記データ管理テーブルに登録することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1、2の発明において、前記記憶媒体は、ゲームにおいて順次実行される複数のステージごとに、それぞれ複数のゲームデータを記憶しており、前記制御部は、各ステージの実行時に、そのステージの複数のゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込むことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記ゲームデータは、ゲームに登場するキャラクタの音声を発生するための音声データであることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、制御部を備えたゲーム装置に、媒体接続部に接続された記憶媒体から、ゲームの実行に使用する複数のゲームデータを順次読み込む手順、読み込んだ各ゲームデータを内蔵メモリのゲームデータ記憶エリアに記憶領域が連続するように転記する手順、を実行させるためのゲームプログラムである。
【0017】
請求項6の発明は、制御部を備えたゲーム装置に、ゲームのステージを選択する手順、媒体接続部に接続された記憶媒体から、ゲームの選択されたステージの実行に使用する複数のゲームデータを順次読み込む手順、読み込んだ各ゲームデータを内蔵メモリのゲームデータ記憶エリアに記憶領域が連続するように転記する手順、を実行させるためのゲームプログラムである。
【0018】
請求項7の発明は、制御部を備えたゲーム装置に、請求項5または請求項6に記載の手順に加えて、ゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに転記したのち、そのゲームデータの先頭アドレスをデータ管理テーブルに登録する手順、をさらに実行させるためのゲームプログラムである。
【0019】
請求項8の発明は、請求項5、請求項6または請求項7に記載のゲームプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、複数のゲームデータを内蔵メモリ読み込む場合に、各ゲームデータのサイズが異なっていても、メモリに無駄な空きスペースを生じることなく、効率的なメモリを管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明が適用される携帯型ビデオゲーム機の概略の外観図である。携帯型ビデオゲーム機は、中央にカラー液晶のディスプレイ4、その左に方向キー3、右側にボタン群2(△○×□ボタン)が配置されている。図示しないメディア装着部にゲームプログラム、ゲームデータが記録されているゲームメディアがセットされ、電源がオンされることにより、ゲームがスタートする。遊技者は、左手で方向キー4、右手でボタン群2を操作してゲーム中のキャラクタ等を操作する。また、音声信号の出力部として内蔵スピーカおよびイヤホン端子も設けられている(図2参照)。
【0022】
ゲームメディアには、たとえば、モンスターハンターポータブル(登録商標)等のゲームプログラム、ゲームデータが記憶されている。ゲーム「モンスターハンターポータブル(登録商標)」は、遊技者が操作する主キャラクタであるハンターが、洞窟や海岸等の複数のゲーム空間で、敵キャラクタであるモンスターと戦うゲームである。詳細は後述するが、このゲームは、複数のステージ(ゲーム空間、クエストとも呼ばれる)で構成されており、各ステージごとに、そのステージのゲームを実行するためのゲームプログラム、ゲームデータがゲームメディアからビデオゲーム機の内蔵メモリ(RAM)に読み込まれる。ゲームデータとしては、ゲームの進行に応じた音声を発生するための音声データやゲームの進行に応じた映像を表示するための画像データ等がある。音声としては、BGM、各キャラクタが歩く足音、武器等が摺れる音、波の音等がある。
【0023】
図2は、同携帯型ビデオゲーム機1の内部構成を示すブロック図である。
携帯型ビデオゲーム機1は、CPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM(Random Access Memory)13、ROM(Read Only Memory)14、描画処理プロセッサ15、VRAM(Video-RAM)16、表示部17、音声処理プロセッサ18、アンプ19、スピーカ20、イヤホン端子21、操作部22、メディアインタフェース23、無線LANモジュール24およびバス25を含んでいる。
【0024】
このうち、CPU11、描画データ生成プロセッサ12、RAM13、ROM14、描画処理プロセッサ15、音声処理プロセッサ18、操作部22、メディアインタフェース23および無線LANモジュール24が、バス25によって相互にデータ伝送可能に接続されている。
【0025】
メディアインタフェース23は、図示しないメディア装着部にセットされたゲームメディア5にアクセスしてゲームプログラム等を読み出す機能部である。ゲームメディア5には、上述したようにゲームプログラムおよびゲームデータが記憶されている。ゲームデータは、キャラクタや背景の画像データ、ステータスなどの情報表示用の画像データ、効果音やBGMなどの音声データ、文字や記号によるメッセージデータ等を含んでいる。CPU11は、ゲームメディア5に記録されているゲームプログラム、ゲームデータをRAM13に読み込み、遊技者による操作部22の操作に応じてこれを実行する。
【0026】
RAM13には、メディアインタフェース23によってゲームメディア5から読み込まれたゲームプログラムおよびゲームデータを格納するロードエリア、および、CPU11がゲームプログラムを処理するためのワークエリアが設定される。RAM13のロードエリアには、ゲームの進行に応じて必要なゲームプログラムとゲームデータとがゲームメディア5から読み込まれる。また、RAM13には、読み込んだゲームデータのアドレスを管理するデータ管理テーブルも設定される。
【0027】
ROM14には、ディスクローディング機能などのゲーム装置1の基本的機能やゲームメディア5に記憶されているゲームプログラム、ゲームデータの読み出しを制御する基本プログラムが記憶されている。
【0028】
CPU11は、上記のようにゲームメディア5からRAM13に読み込まれたゲームプログラムを実行することより、ゲーム進行を制御する。より具体的には、操作部22から遊技者の操作信号が入力されると、CPU11は、ゲームプログラムに従ってその操作信号に対する所定のゲーム進行処理を行い、その処理結果をゲーム進行を示す画像(以下、「ゲーム画像」という。)として表示部17に表示するとともに、ゲーム進行を示す音声信号(以下、「ゲーム音声」という。)をスピーカ20やイヤホン端子21に出力する。
【0029】
ゲーム進行に伴うゲーム画像の描画は、CPU11の指示により、描画処理プロセッサ15が行う。CPU11は、操作部22から入力される遊技者の操作信号に基づき、表示部17に表示すべきゲーム画像の内容を決定し、その内容に対して必要な描画データを描画データ生成プロセッサ12に生成させ、その描画データを描画処理プロセッサ15に転送して描画処理を行わせる。描画処理プロセッサ15は、1/60秒毎にゲーム画像を描画生成し、生成したゲーム画像をVRAM16に書き込む。表示部17は、半透過型カラー液晶ディスプレイとバックライトLED(Light Emitting Diode)を有し、VRAM16に書き込まれたゲーム画像を表示する。
【0030】
また、CPU11は、ゲームの進行に応じて、スピーカ211から出力すべき効果音やBGM等の音声を決定し、その音声を発音するための音声データをRAM13から読み出して、音声処理プロセッサ18に入力する。CPU11は、再生する音声データのアドレスを上述のデータ管理テーブルから読み取り、このアドレスをアクセスすることによって目的の音声データを読み出す。
【0031】
音声処理プロセッサ18は、CPU11から入力された音声データに対して所定の効果を付与したのちアナログ信号に変換して、アンプ19に出力する。アンプ19は、音声処理プロセッサ18から入力された音声信号を増幅したのち、スピーカ20およびイヤホン端子21に出力する。なお、スピーカ20は、装置本体の左右の両端部にそれぞれ一個ずつ設けられ、ステレオ出力が可能になっている。なお、RAM13に記憶されている音声データは、CPU11が読み出して音声処理プロセッサ18に供給してもよく、音声処理プロセッサ18が直接RAM13にアクセスして音声データを読み出すようにしてもよい。
【0032】
操作部22は、前記ボタン群2(△○×□ボタン)、方向キー3を含み、遊技者の操作を受け付けて、その操作内容に応じた操作信号をCPU11に入力する。方向キー3は、主として操作者が操作するキャラクタである主キャラクタの移動方向を指示するための操作子である。また、「○」、「△」、「×」、「□」の4個のボタンからなるボタン群2は、主キャラクタの特定の動作(たとえば、ジャンプ、屈む、走る等)を指示するための操作子である。また、操作部22には、これら操作子以外に、電源の入/切を行うための電源スイッチ等が含まれる。
【0033】
メディアインタフェース23は、メディア装着部に装着されたゲームメディア5にアクセスするインタフェースである。ゲームメディア5は、半導体メモリのほか、光ディスクの一種であるUMD (Universal Media Disc)(登録商標)を採用することができる。
【0034】
無線LANモジュール24は、通信規格IEEE802.11b(使用周波数帯2.4GHz、通信速度11Mbps)に準拠した無線LANによって他のゲーム装置1とデータ通信を行い、ネットワークを構成するための通信モジュールである。
【0035】
ここで、図3および図4を参照して、ゲームにおけるステージの構成例について説明する。
図3は、ゲーム「モンスターハンターポータブル(登録商標)」におけるステージ構成を示す図である。このゲームは、通路を介して複数のゲーム空間K1〜K10が接続される設定になっており、各ゲーム空間がこの発明のステージに対応する。ここで、ゲーム空間とは、CPU11がゲームプログラムやゲームデータによるゲーム進行処理において仮想的に生成する空間であり、CPU11は、このゲーム空間内で、キャラクタを活動させ、ゲーム音声を発生させる。各ゲーム空間は、それぞれ洞窟,砂漠,ジャングル雪山,海岸等の仮想空間として特徴づけられている。
【0036】
各ゲーム空間において、主キャラクタであるハンターが、ゲーム空間を移動しながら敵キャラクタであるモンスターを狩猟してゆく。各ゲーム空間毎に、そのゲーム空間に登場するモンスターの種類や数が異なるため、ステージが転換するごとに、すなわち、主キャラクタがゲーム空間を移動するごとに、そのゲーム空間で使用する画像データや音声データをゲームメディア5からRAM13に読み込む。音声データは、たとえば、モンスターの鳴き声や海岸の場合には波の音、雪山の場合には吹雪の風の音等である。
【0037】
図4は、図3に示した複数のゲーム空間の中の1つのゲーム空間を説明する図である。同図(A)は、ゲーム空間の平面図である。同図(B)は、このゲーム空間のディスプレイ4への表示例(ゲーム画面)を示す図である。
【0038】
同図(A)において、このゲーム空間は、左(西)、右(東)、下(南)に他のゲーム空間につながる通路を有している。そして、このゲーム空間には、3匹のモンスター300、301、302が存在する。すなわち、ゲームがこのゲーム空間の場面に移行した場合には、同図に示すように、このゲーム空間に主キャラクタであるハンター200と敵キャラクタであるモンスター300、301、302がゲームに登場して対戦する。同図(B)は、ハンター200とモンスター300、301、302が登場している上記場面をディスプレイ4に表示したゲーム画面の例を示している。ゲーム画面は、主として、同図に示すような、遊技者が操作する主キャラクタであるハンター200側の背後からモンスターが見える方向に撮影したような画像が動画で表示されるものである。
【0039】
ここで、敵キャラクタであるモンスターにも大小があり、モンスター300のように大きいものをボスキャラとよび、動作や身振りの種類が多いため、このキャラクタのための映像データや音声データは大きいサイズのものである。一方、モンスター302のように小さいものを雑魚キャラとよび、動作や身振りの種類が少ないため、このキャラクタのための映像データや音声データは小さいサイズのものである。各キャラクタの音声データは、複数の動作や身振りの音声をマージして1つのデータにしている。そのため、動作や身振りの種類の多いものほど音声データのサイズが大きくなる。
【0040】
なお、同図(A)の平面図をx−z平面としているのは、ゲーム機のディスプレイ4に、同図(B)に示すような水平方向の視線のゲーム画面がレンダリング表示されるため、高さ方向がy軸となり、同図(A)の平面図は、x−z平面となる。
【0041】
上述したように、携帯型ビデオゲーム機のRAM13の容量は限りがあるため、ハンター200がゲーム空間を移動するごとに、新たなゲーム空間でゲームを実行するためのゲームプログラムおよびゲームデータがゲームメディア5からRAM13にロードされる。
【0042】
図5は、RAM13に設定されるゲームデータ記憶エリアを示す図である。この図では、音声データを記憶するための音声データ記憶エリアのみを示している。音声データ記憶エリアは、システム (SYSTEM)データ記憶エリア100、プレイヤー1(PLAYER1)データ記憶エリア110、プレイヤー2(PLAYER2)データ記憶エリア120、プレイヤー3(PLAYER3)データ記憶エリア130、プレイヤー4(PLAYER4)データ記憶エリア140、敵(ENEMY)データ記憶エリア150、および、マップ(MAP)データ記憶エリア160からなっている。システムデータとは、複数の場面(ゲーム空間)のどこでも発生する可能性のある音声(システム音など)である。プレイヤー1データとは、この携帯型ビデオゲーム機1の遊技者が操ることのできる主キャラクタ(ハンター)が発生する音声(声など)である。また、プレイヤー2〜4データとは、無線LANモジュール24を介して接続される他の携帯型ビデオゲーム機1の主キャラクタが発生する音声である。敵データとは、敵キャラクタであるモンスターが発生する音声(鳴き声など)である。図3、図4にも示したように、1つのゲーム空間に複数のモンスターが登場するため、敵データ記憶エリア150には複数の音声データ(敵データ)が記憶される。また、マップデータとは、足音や波の音等の環境音などからなるものである。
【0043】
この図の例では、敵データ記憶エリア150に、4つの音声データ(敵データ)151、152、153、154が書き込まれる。
【0044】
同図中央に示した従来の方式では、各音声データ用に予め記憶エリアが割り振られており、実際の音声データがその割り振られた記憶エリアよりも小さかった場合や、ゲーム空間によって読み込む音声データの数が少なかった場合には、敵データ記憶エリア150の途中に無駄な空きエリアが生じていたのに対し、同図右に示す本発明の方式では、各ゲーム空間ごとに読み込まれる音声データを前詰めで記憶し、各音声データの先頭アドレスをデータ管理テーブルに登録することにより、敵データ記憶エリア150のメモリエリアを無駄なく使うことができるようにしている。
【0045】
また、この図の方式では、データサイズの大きいボスキャラの音声データを先に敵データ記憶エリア150に書き込み、その後で雑魚キャラの音声データを書き込むようにしている。
【0046】
図6、図7は、同携帯型ビデオゲーム機の動作を説明するフローチャートである。
図6(A)は、ゲームスタート時の動作を説明するフローチャートである。電源がオンされると、そのとき、メディア装着部にセットされているゲームメディア5からメインプログラムおよびメインデータをロードして(S1)、ゲームをスタートさせる(S2)。メインデータにはゲーム内容、すなわち、各ステージの敵キャラクタの種類・数等の情報が含まれる。そして、遊技者の操作によってゲーム空間(ステージ)が選択されると(S3)、そのゲーム空間用のゲームプログラムをゲームメディア5からRAM13にロードするとともに(S4)、そのゲーム空間用のゲームデータをゲームメディア5からRAM13にロードする(S5)。こののち、このゲーム空間を舞台として展開されるゲームをスタートする(S6)。そして、このゲーム空間を舞台とするゲームが終了すると(S7)、次のゲーム空間を選択するためにS3にもどる。
【0047】
図7および図6(B)は、ゲームメディア5からゲームデータ(音声データ)をRAM13にロードするときの動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、このゲーム空間におけるゲーム内容の情報をゲームスタート時にロードしているメインデータから取得して(S10)、このゲーム内容の情報に基づいて、このゲーム空間におけるゲームにどのような敵キャラクタが登場するかを解析する(S11)。そして、敵データ記憶エリア150の先頭アドレスを書き込み可能データエリアの先頭アドレスMPとして設定する(S12)。
【0049】
次にこのゲーム空間のゲームにおいて、ボスキャラが登場するか否かを上記解析結果から判断する(S13)。ボスキャラが登場しない場合には(S13でNO)、ボスキャラ用の音声データをロードする必要がないため、動作をS17にジャンプさせる。ボスキャラが登場する場合には(S13でYES)、登場するボスキャラのIDを上記解析結果から取得し(S14)、データロード処理(S15)を実行する。このS14,S15の処理をこのゲーム空間のゲームに登場する全てのボスキャラについて実行する(S16)。
【0050】
ここで、図6(B)を参照して、上記S15のデータロード処理について説明する。まず、取得したボスキャラのIDでゲームメディア5を検索してこのボスキャラの音声データのサイズDSIZEを取得する(S30)。そして、この音声データを前記先頭アドレスMPから前詰めにロードする (S31)。このロードが終了したのち、このデータの先頭アドレスMPを管理テーブルに登録する(S32)。そして、次のデータのための先頭アドレスをDSIZE分後ろにずらす(S33)。すなわち、MP←MP+DSIZEの演算を行う。音声データのデータロードをこの処理で行うことにより、全てのデータが前詰めで敵データ記憶エリア150に書き込まれる。
【0051】
図7において、このゲーム空間におけるゲームに登場するボスキャラの音声データのロードが終了すると、または、ボスキャラが登場しない場合、動作がS17に移動する。S17以下では、雑魚キャラの音声データをロードする。このゲーム空間のゲームにおいて、雑魚キャラが登場するか否かを上記解析結果から判断する(S17)。雑魚キャラが登場しない場合には(S17でNO)、雑魚キャラ用の音声データをロードする必要がないためこの処理を終了する。雑魚キャラが登場する場合には(S17でYES)、登場する雑魚キャラのIDを上記解析結果から取得し(S18)、図6(B)に示したデータロード処理(S19)を実行する。このS18,S19の処理をこのゲーム空間のゲームに登場する全ての雑魚キャラについて実行(S20)したのちこの処理を終了する。
【0052】
図8を用いて、音声データのうちゲーム中でBGMとして再生される曲データのロード方式について説明する。この例は、ステージで天候変化が3段階で起こる場合の曲データ(環境音データ)のロード方式を説明する図である。まず、3つの環境音データのためのエリアを確保する(A)。この図では、環境音1データ、環境音2データがほぼ同じデータサイズで環境音3データがそれよりも大きいサイズである例を示している。ステージの開始時には、そのステージの紹介デモがあるので、まずステージ開始曲を先頭に、それに続けて天候2の環境音2データをロードする(B)。ステージ開始曲はデータサイズが大きいため、2つの環境音データ(環境音1、2)のためのメモリエリアをほぼ占有する。紹介デモ終了ののち、天候2の環境音である環境音2を再生している間に、ステージ開始曲を破棄してその前半エリアに環境音1データをロードする(C)。次に、環境音1を再生している間に、環境音2データを環境音1に続くエリアに読み直して、メモリエリアの後半に環境音3データのための広いエリアを空ける(D)。そして、この空いたエリアに環境音3データを読み込むことで、3つの環境音データを全て読み込む。
【0053】
図8(C)のように、環境音2データがメモリエリアの途中に書き込まれてメモリの空き領域が断片化している場合には、環境音3データを読み込むための連続領域を確保できない。そこで同図(D)のように、環境音2データを前詰めに環境音1データに続けて読み込みしなおすことにより、後半に連続した空き領域を確保することができ、データサイズの大きい環境音3データを読み込むことができ、無駄な空き領域を無くすことができる。
【0054】
このように、使用する順にデータを読み込んでゆき、使用済みになったデータを廃棄して、後ろに残ったデータを前詰めに再度読み直すことによって、常にメモリを有効に使用することができる。これにより、環境音3データの自由度が増し、この環境音3データを用いる3番目の天候を予め決めたものでなく、メモリエリアが許容する範囲で自由に決定することができる。例えば、ステージにおけるゲームの進行状況に応じて、複数天候の中から乱数等によってランダムに1つの天候を選択したり、あるいは乱数等によって天候の変化をランダムに3段階以上にさせることも可能となる。これにより、ゲームに用意された環境音データ全てからランダムに天候を選択することができ、ゲームにおける天候変化の自由度を高めることができる。
【0055】
また、この場合において、予め、「空きメモリ量=確保したメモリ量―(環境音1のデータサイズ+環境音2のデータサイズ)」の演算で空きメモリ量を算出しておくことにより、複数の天候の中から、空きメモリエリアに読み込むことが可能な環境音データサイズの天候を選択するようにすればよい。このような処理により、乱数等を用いてランダムに天候を選択した場合でも、読み込むべき環境音データが空きメモリ量を超えることが無くなるため、データ読み込みのエラーを未然に防ぐことができる。このように、予め算出した空きメモリ量の範囲でランダムに天候を選択することにより、エラーを防止するために予防的なマージンを設定する必要がなくなり、空きメモリエリアを最大限活用できるようになる。
【0056】
上記実施形態では、音声データのメモリエリアおよび音声データのロード方法について説明したが、本発明は、音声データに限定されず、画像データ等の他のデータおよびプログラム等のロードにおいても適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、携帯型ビデオゲーム機を例にあげて説明したが、本発明は、形態型ビデオゲーム機に限定されず、テレビに接続して使用するいわゆるテレビゲーム機に適用することも可能である。また、パソコン用のゲームソフトにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明が適用される携帯型ビデオゲーム機の概略の外観図
【図2】同携帯型ビデオゲーム機の内部構成を示すブロック図
【図3】ゲームにおける複数のステージの構成例を示す図
【図4】携帯型ビデオゲーム機のディスプレイに表示されるゲーム画面の例を示す図
【図5】ゲームデータ記憶エリアの構成例を示す図
【図6】ゲームスタート時の動作およびデータロード処理を示すフローチャート
【図7】ゲームデータの読み込み処理を示すフローチャート
【図8】ゲームのBGMデータのロード手順を説明する図
【符号の説明】
【0059】
1…携帯型ビデオゲーム機
2…ボタン群
3…方向キー
4…ディスプレイ
5…ゲームメディア
11…CPU
13…RAM
18…音声処理プロセッサ
20…スピーカ
21…イヤホン端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの実行に使用する複数のゲームデータを記憶した記憶媒体を接続する媒体接続部と、
前記記憶媒体から読み込まれたゲームデータを記憶するゲームデータ記憶エリアが設定された内蔵メモリと、
前記記憶媒体からゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込む制御部と、
を備えたゲーム装置であって、
前記制御部は、前記複数のゲームデータを前記記憶媒体から前記ゲームデータ記憶エリアに読み込むとき、各ゲームデータの記憶領域が連続するように読み込むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記内蔵メモリに、前記ゲームデータ記憶エリアに読み込まれた各ゲームデータの先頭アドレスを管理するデータ管理テーブルをさらに備え、
前記制御部は、各ゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込んだとき、そのゲームデータの先頭アドレスを前記データ管理テーブルに登録することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記記憶媒体は、ゲームにおいて順次実行される複数のステージごとに、それぞれ複数のゲームデータを記憶しており、
前記制御部は、各ステージの実行時に、そのステージの複数のゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに読み込む請求項1または請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記ゲームデータは、ゲームに登場するキャラクタの音声を発生するための音声データである請求項1、請求項2または請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
制御部を備えたゲーム装置に、
媒体接続部に接続された記憶媒体から、ゲームの実行に使用する複数のゲームデータを順次読み込む手順、
読み込んだ各ゲームデータを内蔵メモリのゲームデータ記憶エリアに記憶領域が連続するように転記する手順、
を実行させるためのゲームプログラム。
【請求項6】
制御部を備えたゲーム装置に、
ゲームのステージを選択する手順、
媒体接続部に接続された記憶媒体から、ゲームの選択されたステージの実行に使用する複数のゲームデータを順次読み込む手順、
読み込んだ各ゲームデータを内蔵メモリのゲームデータ記憶エリアに記憶領域が連続するように転記する手順、
を実行させるためのゲームプログラム。
【請求項7】
制御部を備えたゲーム装置に、請求項5または請求項6に記載の手順に加えて、ゲームデータを前記ゲームデータ記憶エリアに転記したのち、そのゲームデータの先頭アドレスをデータ管理テーブルに登録する手順、をさらに実行させるためのゲームプログラム。
【請求項8】
請求項5、請求項6または請求項7に記載のゲームプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−194248(P2008−194248A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32934(P2007−32934)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000129149)株式会社カプコン (192)
【Fターム(参考)】