説明

ゲーム装置、ゲームプログラム

【課題】ゲーム中の敵キャラクタを「障害物」「クリア目標」としてだけでなく、ゲームクリアのために必要なアイテムとしても活用できるようにする。
【解決手段】ゲーム装置は、プレイヤによる入力操作に応じてゲーム空間中で動作するプレイヤキャラクタと、プレイヤキャラクタに対する障害物として動作する敵キャラクタとを表示する。CPU10は、敵キャラクタ制御プログラムによって、敵キャラクタをプレイヤキャラクタに対する障害物として動作させる通常動作モードと、ゲーム空間中でプレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードの何れかにより敵キャラクタの動作を制御する。CPU10は、プレイヤキャラクタにより敵キャラクタに対して所定の動作(戦闘など)が実行されたことを判別された場合に、動作モードを通常動作モードからアイテム動作モードに変更させて、敵キャラクタをアイテムとして使用できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤの操作により制御されるプレイヤキャラクタ(PC)と、複数のノンプレイヤキャラクタ(NPC)をゲーム空間で動作させるゲーム装置、ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種のゲーム装置(家庭用ゲーム装置、業務用ゲーム装置、ゲームプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ等)において実行されるビデオゲームには、例えばロールプレイングゲーム(RPG)のように、プレイヤによるコントローラへの入力操作に応じてゲーム空間で動作するプレイヤキャラクタと、プレイヤによる入力操作がない状態であっても予め決められたアルゴリズム(プログラム)に従いゲーム空間で動作するノンプレイヤキャラクタとを用いたゲームが数多く存在している。ノンプレイヤキャラクタは、プレイヤキャラクタの味方(仲間)として動作するもの、あるいは敵として動作するものなど、様々な目的で用いられている。敵として動作するキャラクタ(以下、敵キャラクタ)は、プレイヤが操作するプレイヤキャラクタのゲームクリアまでの過程を妨害する「障害物」であったり、またその存在をプレイヤキャラクタによって除外されることで次の段階へ進ことができる「クリア目標」となっていた。
【0003】
例えば、ロールプレイングゲーム(RPG)と呼ばれるジャンルのゲームでは、プレイヤが操作する主人公キャラクタ(プレイヤキャラクタ)が、ゲーム空間において、敵キャラクタと戦闘を行うことによって経験値などを取得し、キャラクタレベルを上げながらゲームを進行していくものが一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−6942公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来のビデオゲームでは、敵キャラクタは、「障害物」「クリア目標」としてのみの役割を果たし、どのように回避するか、あるいはどのように除去するかという対象でしかなかった。従って、敵キャラクタは、プレイヤキャラクタによって回避あるいは除去された後には何の役割も果たしていなかった。
【0005】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、ゲーム中の敵キャラクタを「障害物」「クリア目標」としてだけでなく、ゲームクリアのために必要なアイテムとしても活用することが可能なゲーム装置、ゲームプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プレイヤによる入力操作に応じてゲーム空間中で動作するプレイヤキャラクタと、前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作する敵キャラクタとを表示するゲーム装置において、前記敵キャラクタを前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作させる通常動作モードと、前記ゲーム空間中で前記プレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードの何れかにより前記敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、前記プレイヤキャラクタにより前記敵キャラクタに対して所定の動作が実行されたことを判別する判別手段と、前記判別手段により前記所定の動作が実行されたことが判別された場合に、前記敵キャラクタ制御手段による動作モードを前記通常動作モードから前記アイテム動作モードに変更させる動作モード変更手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、敵キャラクタをプレイヤキャラクタに対する障害物として動作させる通常動作モードと、ゲーム空間中で前記プレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードを切り替えて動作を制御するので、例えばプレイヤキャラクタと敵キャラクタとの戦闘により敵キャラクタが負けるという所定の動作が実行された場合に、敵キャラクタをプレイヤキャラクタのアイテムに切り替えることができ、ゲーム中の敵キャラクタを「障害物」「クリア目標」としてだけでなく、ゲームクリアのために必要なアイテムとしても活用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲーム装置の構成を示すブロック図である。ゲーム装置は、コンピュータの機能が搭載されて実現されるもので、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、メモリインタフェース部13、サウンド処理部14、グラフィクス処理部16、ディスクドライブ18、通信インタフェース部19、及び入力インタフェース部20が設けられている。
【0009】
CPU10は、ROM11に記憶されているブートプログラムやOS(Operating System)等の基本プログラムに基づき、RAM12に記憶された各種プログラムを実行して、ゲームを進行するための処理を行う。CPU10により実行されるプログラムの詳細については後述する(図2参照)。
【0010】
RAM12は、ゲーム装置のメインメモリとして使用されるもので、ディスクドライブ18を介してディスク18aから転送された、ゲーム進行のために必要となるプログラムやデータを記憶する。また、RAM12には、プログラムを記憶するためのプログラム領域、データを記憶するためのデータ領域が設けられる他、プログラム実行時におけるワークエリアとしても使用される。ゲーム実行時にRAM12に記憶されるデータの詳細については後述する(図2参照)。
【0011】
メモリインタフェース部13は、メモリカード13aを脱着可能に構成されてあり、装着されたメモリカード13aに対してデータの書込み/読み出しを行う。メモリカード13aは、例えばフラッシュメモリにより構成されており、ゲーム結果などを保存するために用いられる。
【0012】
サウンド処理部14は、CPU10からの指示に従って、ゲームの進行状態に応じた効果音やBGM(Back Ground Music)、あるいは音声などのサウンドデータを音声信号に変換してスピーカ15に出力する。スピーカ15は、サウンド処理部14からの音声信号に応じて音を出力する。
【0013】
グラフィクス処理部16は、CPU10からの指示に従って、グラフィクデータを用いて3次元グラフィック処理を行い、ゲームの進行状態に応じたゲーム空間を表現する画像を表示するための処理を実行する。グラフィクス処理部16は、グラフィクデータをもとに生成した画像データをビデオ信号に変換し、ディスプレイ17に出力する。ディスプレイ17は、例えば液晶ディスプレイ(LCD(Liquid Crystal Display))により構成されており、グラフィクス処理部16から出力されたビデオ信号に応じたゲーム空間を表す画像などを表示する。
【0014】
ディスクドライブ18は、CPU10からの指示に従って、セットされたディスク18aに記録されているプログラムやデータを読み出してRAM12に転送する。なお、ディスク18aは、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)など、何れの種類の記録媒体としても良い。また、半導体メモリによってプログラムやデータを読み出す構成としても良い。
【0015】
通信インタフェース部19は、外部のネットワーク(LAN、インターネット、公衆回線網など)と接続するためのインタフェースであり、CPU10からの指示に従って、外部のネットワークを介して外部の機器との間でプログラムやデータを授受するための通信制御を行う。
【0016】
入力インタフェース部20は、各種入力装置を接続して各入力装置からのデータを入力するためのインタフェースであり、例えばポインティングデバイス21やボタン群22を含むコントローラが接続される。ポインティングデバイス21は、例えばジョイスティックやパッド、タブレットなどにより構成することができ、例えばゲーム画面中に表示されるカーソルの移動方向を指示するために用いられる。また、ボタン群22には、例えば上下左右方向の指示を入力するための十字キーや、各種の指示を入力するための複数の操作ボタン(例えば、○ボタン、△ボタン、□ボタン、×ボタン、Lボタン、Rボタンなど)、ゲームの開始を指示するためのスタートボタン、各種選択指示を入力するためのセレクトボタンなどが含まれている。これらのキーやボタンをプレイヤが操作することで、プレイヤキャラクタへの移動や動作の指示など、ゲーム進行のための指示を入力することができる。
【0017】
なお、本実施形態におけるゲーム装置は、図1に示すブロック図中の各構成が一体化された携帯型のゲーム装置として構成されているものとする。ただし、ポインティングデバイス21やボタン群22を含むコントローラを本体とは別に構成し、ケーブル等を介して接続可能とする構成としたり、サウンド処理部14とグラフィクス処理部16とを例えばテレビと接続し、テレビに設けられたスピーカやディスプレイを用いて音声や画像を出力する構成とすることも可能である。
【0018】
図2は、RAM12に設けられるプログラム領域とデータ領域に記憶されるプログラム/データを示す図である。
プログラム領域には、例えばゲームメイン処理プログラム23a、プレイヤキャラクタ制御プログラム23b(以下、PC制御プログラム23bと略称する)、ノンプレイヤキャラクタ制御プログラム23c(以下、NPC制御プログラム23cと略称する)、敵キャラクタ制御プログラム23dなど、ゲームを実行するために必要な各種のプログラムが記憶される。
【0019】
ゲームメイン処理プログラム23aは、ゲーム装置によって実行されるゲーム(例えば、アドベンチャーゲーム(RPGを含む)、アクションゲーム(格闘ゲーム、シューティングゲームなどを含む)、シミュレーションゲーム等)についてのメインルーチンを処理するプログラムである。ゲームメイン処理プログラム23aは、ゲーム内容に応じたゲーム空間を管理し、例えば3次元の仮想空間内でプレイヤキャラクタやノンプレイヤキャラクタ(敵キャラクタ)、あるいは様々なオブジェクトやアイテム等の動きを制御する。
【0020】
PC制御プログラム23bは、ゲームメイン処理プログラム23aの制御のもとで、ゲーム空間中でプレイヤキャラクタを制御する。プレイヤキャラクタは、プレイヤのポインティングデバイス21あるいはボタン群22に対する操作に応じてゲーム空間中で動作される。
【0021】
NPC制御プログラム23cは、ゲームメイン処理プログラム23aの制御のもとで、ゲーム空間中でノンプレイヤキャラクタを制御する。NPC制御プログラム23cは、プレイヤキャラクタによるポインティングデバイス21やボタン群22に対する入力操作がなくても、所定のアルゴリズムに従いゲーム空間中で動作するように制御する。ノンプレイヤキャラクタは、プレイヤキャラクタの味方(仲間)として動作するもので、1つに限らず、複数を同時にゲーム空間中で個々に動作させることが可能である。
【0022】
敵キャラクタ制御プログラム23dは、ゲーム空間における敵キャラクタの動作を制御するもので、敵キャラクタをプレイヤキャラクタに対する「障害物」(あるいは「クリア目標」)として動作させる通常動作モードと、ゲーム空間中でプレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードの何れかにより敵キャラクタの動作を制御する。敵キャラクタ制御プログラム23dは、ノンプレイヤキャラクタと同様に、プレイヤキャラクタによるポインティングデバイス21やボタン群22に対する入力操作がなくても、所定のアルゴリズムに従いゲーム空間中で動作するように制御する。敵キャラクタ制御プログラム23dは、ゲーム空間において、プレイヤキャラクタにより敵キャラクタに対して所定の動作が実行されたことを判別する。本実施形態では、ゲーム空間でプレイヤキャラクタと敵キャラクタが遭遇することにより実行される戦闘において、プレイヤキャラクタにより攻撃を受けた(戦闘に負けた)ことを判別するものとする。敵キャラクタ制御プログラム23dは、所定の動作が実行されたことが判別された場合に、動作モードを通常動作モードからアイテム動作モードに変更させて、敵キャラクタをアイテム動作モードにより動作させる。なお、本実施形態では、アイテム動作モードによる敵キャラクタの動作制御は、例えば予め決められた規定時間内とし、規定時間が経過した時点で通常動作モードに変更するものとする。なお、敵キャラクタは、1つに限らず、複数を同時にゲーム空間中で個々に動作させることが可能である。
【0023】
また、データ領域には、ゲームの実行に伴って、プレイヤキャラクタデータ24a,ノンプレイヤキャラクタデータ24b、敵キャラクタデータ24c、グラフィックデータ24d、サウンドデータ24eなどのゲームデータが記憶される。
【0024】
プレイヤキャラクタデータ24aは、PC制御プログラム23bにより制御されるプレイヤキャラクタに関するデータである。具体的には、プレイヤキャラクタデータ24aには、キャラクタ種類、位置データ、プレイヤキャラクタに対して入力されたプレイヤ操作データなどを含む。なお、プレイヤキャラクタがゲーム空間に複数存在する場合には、各プレイヤキャラクタのそれぞれに対して前述したデータが記憶される。
【0025】
ノンプレイヤキャラクタデータ24bは、NPC制御プログラム23cにより制御されるノンプレイヤキャラクタに関するデータである。ノンプレイヤキャラクタデータ24bには、キャラクタ種類、位置データ、各ノンプレイヤキャラクタに対して所定のアルゴリズムに従って決定される動作を制御するためのデータなどが記憶される。
【0026】
敵キャラクタデータ24cは、敵キャラクタ制御プログラム23dにより制御される敵キャラクタに関するデータである。敵キャラクタデータ24cには、キャラクタ種類、位置データ、各ノンプレイヤキャラクタに対して所定のアルゴリズムに従って決定される動作を制御するためのデータの他、動作モードデータ25a、アイテム動作モード時間データ25bなどが記憶される。動作モードデータ25aは、敵キャラクタ制御プログラム23dによる動作モードを示すデータであり、通常動作モードあるいはアイテム動作モードの何れかが記憶される。アイテム動作モード時間データ25bは、アイテム動作モードの実行時間を示すデータであり、通常動作モードからアイテム動作モードに切り替えてから時間の経過に伴って更新される。
【0027】
グラフィックデータ24dは、ゲーム空間を表現する画像を生成するためのデータや、ゲーム空間中のプレイヤキャラクタ、ノンプレイヤキャラクタ、あるいは敵キャラクタを表示するためのデータが含まれる。
【0028】
サウンドデータ24eは、ゲームの進行状態に応じて出力される効果音、BGM、音声などのデータが含まれる。
【0029】
次に、本実施形態におけるゲーム装置における敵キャラクタ制御処理について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。図4、図5、及び図6は、ゲーム実行中の表示画面(ゲーム画面)の一例を示している。
【0030】
本実施形態におけるゲーム装置は、ディスク18aに記憶されたゲームプログラムをディスクドライブ18により読み出し、このゲームプログラムに従うゲームを実行する。
【0031】
ここで、実行されるゲームは、プレイヤによるポインティングデバイス21あるいはボタン群22に対する操作に応じてゲーム空間中で動作する1つのプレイヤキャラクタPCと、ノンプレイヤキャラクタが動作するゲームとする。具体的には、ゲーム空間に設けられた建物などから、様々な仕掛けを回避しながら、プレイヤキャラクタにより全てのノンプレイヤキャラクタを所定の経路へ導くことを目標とする。この際、ノンプレイヤキャラクタの動作状態を、同じ位置に留まる「待機」あるいはプレイヤキャラクタについて移動する「追尾」の何れかの個別指示により切り替えながら仕掛けを回避していく。また、ゲーム空間内には、敵キャラクタが存在し、プレイヤキャラクタに対する障害、あるいは目標を達成するために必要なアイテムとして使用される。
【0032】
図4(a)には、1つのプレイヤキャラクタPCと、プレイヤキャラクタPCの仲間として動作する1つのノンプレイヤキャラクタNPC、及びプレイヤキャラクタPCの敵(障害物)として動作する1つの敵キャラクタECが表示されている。
【0033】
ゲーム画面には、ポインティングデバイス21(例えばパッド)に対する操作によってゲーム画面中の位置を指定するために用いられるカーソル34が必要に応じて表示される(図5参照)。
【0034】
また、各ノンプレイヤキャラクタNPCに対しては、例えばキャラクタの上部近傍に動作状態を表す個別状態表示31が付加されている。例えば「待機」が指示されている場合には赤色表示、「追尾」が指示されている場合には青色によって表示される。
【0035】
さらに、ゲーム画面の右上には、全体状態表示32がされている。全体状態表示32は、全てのノンプレイヤキャラクタに対する個別指示が一致した場合の動作状態を表すもので、「待機」の動作状態となった場合には上部が赤色表示、「追尾」の動作状態となった場合には下部が青色表示される。
【0036】
図4(a)に示す状況は、プレイヤキャラクタPCがノンプレイヤキャラクタNPCを上段に導こうとしているところである。プレイヤキャラクタPCは、上段に移動可能であるが、ノンプレイヤキャラクタNPCは、段差が大きすぎるために上段に移動できないものとする。この状況では、ノンプレイヤキャラクタNPCが高い場所へ進む足かがりとなるアイテム(「箱」)が必要であり、敵キャラクタをそのためのアイテムとすることがゲーム進行のための条件となっている。
【0037】
プレイヤは、プレイヤキャラクタPCのみを上段に上げて、上段にいる敵キャラクタECをアイテムにするため、ノンプレイヤキャラクタNPCに対して「待機」を指示したものとする。なお、ノンプレイヤキャラクタNPCに対する「待機」の指示は、例えばポインティングデバイス21の操作によってカーソルをノンプレイヤキャラクタNPCに移動し、この状態で特定のボタン、例えば△ボタンを押すことによってカーソルが位置するノンプレイヤキャラクタに対する個別指示であることを宣言し、さらに「待機」を指示するボタン(例えばLボタン)を押すことにより、ノンプレイヤキャラクタNPCの動作状態を指示することができる。これにより、ノンプレイヤキャラクタNPCは、NPC制御プログラム23cによりプレイヤキャラクタPCが移動されても、同じ位置に留まるように動作が制御される。
【0038】
一方、敵キャラクタECは、プレイヤによる入力操作に関係なく、図3に示すフローチャートに従って、敵キャラクタ制御プログラム23dにより動作が制御されている。すなわち、CPU10は、敵キャラクタ制御プログラム23cを実行することにより、ゲーム画面中で敵キャラクタECに対して移動等の所定の動作を実行させる(ステップA1)。図4(a)では、通常動作モードにより動作が制御されている状態にあり、上段において不規則に移動している。
【0039】
敵キャラクタECは、通常動作モード時には、プレイヤキャラクタPCがゲーム空間中で移動する場合の障害物となるもので、プレイヤキャラクタPCと遭遇した場合に攻撃を加えるように動作する。
【0040】
プレイヤキャラクタPCが敵キャラクタECと同じ上段に移動されることにより、敵キャラクタECがプレイヤキャラクタPCと遭遇したと判別された場合(領域者の距離が所定範囲内となった状態)、プレイヤキャラクタPCに対して攻撃を加える動作が実行される(ステップA3)。この結果、プレイヤキャラクタPCに対する攻撃が成功した場合(プレイヤキャラクタPCからの攻撃よりも先に攻撃できた場合)(ステップA4、Yes)、ゲーム終了と判定される。
【0041】
ここでは、プレイヤキャラクタPCにより敵キャラクタECに対して攻撃が加えられたものとする(ステップA5、Yes)。図4(b)は、プレイヤキャラクタPCが、敵キャラクタECと同じ上段に移動され、敵キャラクタECに対して攻撃を加えた状態を示している。
【0042】
CPU10は、動作モードデータ25aとしてアイテム動作モードを設定すると共に(ステップA6)、アイテム動作モードの実行時間の計測を開始する(ステップA7)。すなわち。CPU10は、時間経過に伴ってアイテム動作モード時間データ25bを更新していく。
【0043】
敵キャラクタ制御プログラム23dは、通常動作モードからアイテム動作状態に変更されると、図4(c)に示すように、敵キャラクタECをアイテム用の所定の形状、ここでは「箱」の形状に変形させて表示させる。この「箱」状態の敵キャラクタECは、通常動作モードのように移動することはなく、ゲーム空間におけるプレイヤキャラクタPCによる操作を受けた場合に、その操作に応じて位置が移動される。
【0044】
プレイヤキャラクタPCは、プレイヤによるポインティングデバイス21あるいはボタン群22の操作に応じて、PC制御プログラム23bにより敵キャラクタECを押すように動作が制御される(ステップA8、Yes)。敵キャラクタECは、プレイヤキャラクタPCによる操作に応じて、敵キャラクタ制御プログラム23dの制御によりゲーム空間中における位置が移動される(ステップA9)。
【0045】
図5(a)は、プレイヤキャラクタPCが「箱」状態の敵キャラクタECを押している状態を示している。敵キャラクタECは、プレイヤキャラクタPCにより押す操作が続けられると、図5(b)に示すように、ゲーム空間(仮想空間)の形状に合わせて、上段からノンプレイヤキャラクタNPCが待機している段に落下される。これにより、敵キャラクタECは、ノンプレイヤキャラクタNPCが高い場所へ進む足かがりとなるアイテムとして使用できる状態となる。
【0046】
ここで、プレイヤによるポインティングデバイス21及びボタン群22の操作によって、ノンプレイヤキャラクタNPCに対して上段までの移動が指示されたものとする。例えば、ポインティングデバイス21の操作によりカーソル34が移動先とする位置に移動され、ここで所定のボタン(例えば○ボタン)が押されることにより移動位置を示すマーク35が設定される(図5(c)参照)。これにより、NPC制御プログラム23cは、マーク35が設定された位置に移動するようにノンプレイヤキャラクタNPCの動作を制御する。
【0047】
図5(c)に示すように、ノンプレイヤキャラクタNPCが移動する経路上に敵キャラクタECがあるため、この敵キャラクタECを足がかりにして、ノンプレイヤキャラクタNPCを上段に上がるように動作を制御することができる。
【0048】
こうした、ノンプレイヤキャラクタNPCに対する制御が行われている間、CPU10は、アイテム動作モードに変更されてからの経過時間を監視している(ステップA10)。CPU10は、アイテム動作モード時間データ25bが示す値が経過時間を経過したことを示す場合(ステップA10、Yes)、動作モードデータ25aを通常動作モードに変更し(ステップA11)、現在の位置において通常動作モードにおける動作アルゴリズムに従う行動を実行させる(ステップA1)。
【0049】
図6は、敵キャラクタECがプレイヤキャラクタPCによって上段から落とされた位置において通常動作モードによる動作を開始した状態を示している。
【0050】
なお、ノンプレイヤキャラクタNPCが上段に移動される前に規定時間が経過した場合には、敵キャラクタECが通常動作モードに移行することで、同じ段にいるノンプレイヤキャラクタNPCに攻撃を加えるなどの動作を行う。従って、プレイヤは、規定時間内に敵キャラクタECに攻撃を加えてアイテムにして、これを指定の位置に移動させ、さらにノンプレイヤキャラクタNPCを上段まで移動させるための入力操作が要求されることになる。すなわち、敵キャラクタECは、アイテムとしての使用中においてもゲームの障害物に変化することもあり得るため、従来のゲーム装置で用いられているアイテムとは異なる新たなゲーム性(遊び)を提供することになる。
【0051】
敵キャラクタECは、通常動作モードでは、従来のゲーム装置と同様にしてプレイヤキャラクタPCに対する「障害物」「クリア対象」として存在し、アイテム動作モードでは、ゲームをクリアするために必要なアイテムとして使用することができる。
【0052】
「障害物」「クリア対象」とする以外の敵キャラクタECをゲーム中で使用することにより、様々なゲームクリアのためのルートを用意することが可能となり、新たなゲーム性を提供することが可能となる。また、敵キャラクタECによるアイテムは、従来のゲーム装置のようにプレイヤキャラクタPCが持ち歩くという扱いではなく、ゲーム空間中にそのまま表示されるため、プレイヤキャラクタPCにとって持ち運びが容易でない。従って、敵キャラクタECをアイテムとして使用できる状況へプレイヤキャラクタPCを誘導するゲーム展開が必要となり、持ち運びが容易でないアイテムを使用するリスクを生じさせる、新たなゲーム性を提供することができる。
【0053】
なお、前述した説明における敵キャラクタECは、通常動作モードにおける形状とアイテム動作モードの形状とが類似しているが、必ずしも類似している必要はなく、そのゲーム場面に必要とするアイテム用の形状に変形させて、ゲーム空間中で表示されるものとする。また、同じゲーム場面であっても、例えばプレイヤキャラクタPCによる敵キャラクタECに対する攻撃の方法によって、アイテム用の形状が変化するようにしても良い。すなわち、その場面で必要とするアイテムを得るために、適切な攻撃方法をプレイヤに要求することになる。
【0054】
また、説明を容易にするために1つの敵キャラクタECを用いて説明しているが、複数の敵キャラクタECからなるアイテムを組み合わせて使用できるようにしても良い。
【0055】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0056】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるゲームプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるゲームプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたゲームプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるRAM12に設けられるプログラム領域とデータ領域に記憶されるプログラム/データを示す図。
【図3】本実施形態におけるゲーム装置における敵キャラクタ制御処理について説明するためのフローチャート。
【図4】本実施形態におけるゲーム実行中の表示画面(ゲーム画面)の一例を示す図。
【図5】本実施形態におけるゲーム実行中の表示画面(ゲーム画面)の一例を示す図。
【図6】本実施形態におけるゲーム実行中の表示画面(ゲーム画面)の一例を示す図。
【符号の説明】
【0058】
10…CPU、11…ROM、12…RAM、13…メモリインタフェース部、13a…メモリカード、14…サウンド処理部、15…スピーカ、16…グラフィクス処理部、17…ディスプレイ、18…ディスクドライブ、18a…ディスク、19…通信インタフェース部、20…入力インタフェース部、21…ポインティングデバイス、22…ボタン群、23a…ゲームメイン処理プログラム、23b…プレイヤキャラクタ制御プログラム、23c…ノンプレイヤキャラクタ制御プログラム23c、23d…敵キャラクタ制御プログラム、24a…プレイヤキャラクタデータ、24b…ノンプレイヤキャラクタデータ、24c…敵キャラクタデータ、25a…動作モードデータ、25b…アイテム動作モード時間データ、31…個別状態表示、32…全体状態表示、PC…プレイヤキャラクタ、NPC…ノンプレイヤキャラクタ、EC…敵キャラクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤによる入力操作に応じてゲーム空間中で動作するプレイヤキャラクタと、前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作する敵キャラクタとを表示するゲーム装置において、
前記敵キャラクタを前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作させる通常動作モードと、前記ゲーム空間中で前記プレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードの何れかにより前記敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
前記プレイヤキャラクタにより前記敵キャラクタに対して所定の動作が実行されたことを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記所定の動作が実行されたことが判別された場合に、前記敵キャラクタ制御手段による動作モードを前記通常動作モードから前記アイテム動作モードに変更させる動作モード変更手段と
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記敵キャラクタ制御手段は、前記アイテム動作モードにおいて、前記敵キャラクタをアイテム用の所定の形状に変形させて前記ゲーム空間に表示させ、前記ゲーム空間の前記プレイヤキャラクタによる操作に応じて移動させることを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記敵キャラクタ制御手段は、前記アイテム動作モードに切り替えてからの時間を計測し、この計測された時間が予め設定された規定時間を経過した時点で前記通常動作モードに切り替えることを特徴とする請求項1または請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
プレイヤによる入力操作に応じてゲーム空間中で動作するプレイヤキャラクタと、前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作する敵キャラクタとを表示するゲーム装置に搭載されたコンピュータを、
前記敵キャラクタを前記プレイヤキャラクタに対する障害物として動作させる通常動作モードと、前記ゲーム空間中で前記プレイヤキャラクタにより操作されるアイテムとして動作させるアイテム動作モードの何れかにより前記敵キャラクタの動作を制御する敵キャラクタ制御手段と、
前記プレイヤキャラクタにより前記敵キャラクタに対して所定の動作が実行されたことを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記所定の動作が実行されたことが判別された場合に、前記敵キャラクタ制御手段による動作モードを前記通常動作モードから前記アイテム動作モードに変更させる動作モード変更手段として機能させるためのゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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