説明

ゲーム装置、ゲーム制御プログラム、及びゲーム制御方法

【課題】指示体が表示部に移動表示される移動体オブジェクトの表示の妨げとなることを防止し、プレーヤの操作性を向上させる。
【解決手段】照準カーソル表示部221は、ゲーム空間において、ボールオブジェクトBLに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを表示部211の照準カーソル表示領域DM1に表示させる。操作アイコン表示部222は、表示部211内の照準カーソル表示領域DM1とは異なる操作アイコン表示領域DM2に、照準カーソルKを操作するための操作アイコンCMを表示する。照準カーソル連動制御部224は、操作アイコン表示部222により移動表示される操作アイコンCMの動きに連動するように、照準カーソルKを表示部211に移動表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに対して仮想的に作用を与えるゲームの進行を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の野球ゲームとしては、例えば、特許文献1に示されるように、コントローラが備える十字キーをプレーヤに操作させてミートカーソルを画面上で上下左右に移動表示させ、ミートカーソルの中心部分がボールオブジェクトの中心部分に合致したときに、コントローラの所定のボタンをプレーヤにより押圧させ、打者キャラクタのバットでボールオブジェクトを打撃させる野球ゲームが知られている。
【0003】
また、近年では、タッチペンを用いてプレーヤに操作を行わせるゲーム装置が知られている。このようなゲーム装置により実行される野球ゲームとして、例えば特許文献2には、タッチペンをモニタに接触移動させることで、ミートポイントを表示させ、ボールオブジェクトがヒッティング面に到達したときに、ミートポイントを中心とした所定の範囲内にボールオブジェクトが位置していれば、打者キャラクタにボールを打撃させる野球ゲーム装置が開示されている。
【0004】
ところで、近年では、タッチパネルにユーザの指をタッチさせ、種々の操作指令をユーザに入力させるスマートフォンやタブレット端末等のタッチ式の端末装置が広く普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3892889号公報
【特許文献2】特許第3822215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、仮にタッチ式の情報端末装置において、ミートカーソルを操作させる野球ゲームを実行させようとすると、プレーヤは指を表示部に接触移動させてミートカーソルの操作を行うことになるが、この場合、ミートカーソルを操作するプレーヤの指が、表示部に移動表示されるボールオブジェクトの表示の妨げるという問題が生じることが想定される。これでは、プレーヤは勘を頼りにミートカーソルを操作しなければならないため、移動表示されるボールオブジェクトにミートカーソルを正確に位置決めすることができず、操作性が悪化し、ゲームの興趣性が大幅に低下してしまう。
【0007】
また、上記の野球ゲームにおいては、打撃指令をプレーヤに入力させる必要があるが、タッチ式の端末装置において、この打撃指令をプレーヤに入力させるための打撃ボタンを表示部に表示させると、プレーヤはミートカーソルを操作している指とは別の手の指を使って打撃ボタンにタッチしなければならなくなる。このような両手を使う操作方法は、スマートフォン等の片手入力を基本とするタッチ式の操作端末に適した操作方法とは言えない。
【0008】
本発明の目的は、指等の指示体が、表示部に移動表示される移動体オブジェクトの表示の妨げとなることを回避でき、プレーヤの操作性を向上させることができるゲーム装置、ゲーム制御プログラム、及びゲーム方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明によるゲーム装置は、ゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに対して仮想的に作用を与えるゲームの進行を制御するゲーム装置であって、タッチパネル式の表示部を備える操作表示部と、前記ゲーム空間において、前記移動体オブジェクトに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを前記表示部の照準カーソル表示領域に表示させる照準カーソル表示部と、前記表示部内の前記照準カーソル表示領域とは異なる操作アイコン表示領域に、前記照準カーソルを操作するための操作アイコンを表示し、且つ前記操作アイコンへの指示体の接触移動に応じて、前記操作アイコンを移動表示する操作アイコン表示部と、前記操作アイコンへの前記指示体の接触移動により入力される移動指令と、前記接触移動後に、前記表示部から前記指示体が離されることで入力されるタイミング決定指令とを受け付ける操作指令受付部と、前記操作アイコン表示部により移動表示される操作アイコンの動きに連動するように、前記照準カーソルを前記表示部に移動表示させる照準カーソル連動制御部と、前記操作指令受付部により前記タイミング決定指令が受け付けられたタイミングを基準として前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与タイミングを決定する作用付与タイミング決定部と、前記作用付与タイミング決定部により決定された前記作用付与タイミングにおいて、前記移動体オブジェクトと前記照準カーソルとの少なくとも一部が重なった場合、前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与部とを備える。なお、本発明によるゲーム制御プログラム及びゲーム制御方法は上記と同様であるため説明を省く。
【0010】
この構成によれば、プレーヤは、照準カーソルに指示体を直接接触させて照準カーソルを操作するのではなく、操作アイコンに指示体を接触して操作アイコンを操作することで照準カーソルを操作することができる。そして、操作アイコンは、照準カーソル表示領域とは別に設けられた操作アイコン表示領域に表示されている。そのため、指示体が移動体オブジェクトの視界を遮らず、プレーヤは操作アイコンを移動体オブジェクトに正確に位置決めすることができる。
【0011】
野球ゲームの例をとりあげると、飛んでくるボールオブジェクト(移動体オブジェクト)を打つための目安となるミートカーソル(照準カーソル)を移動させるためには、直接、指をミートカーソルに接触させることなく、異なる領域に表示されている操作アイコンを動かすことで、それに連動するミートカーソルを間接的に動かすことができる。従って、プレーヤの指によってミートカーソルが見え難くなることを回避できる。その結果、ボールオブジェクトにミートカーソルを位置決めする際の操作性が向上するのである。
【0012】
なお、ミートカーソルとは、以下のような機能を有するものである。すなわち、野球ゲームにおいては、投手キャラクタから送球されるボールオブジェクトの球種や軌道を変化させる仕様とすることが可能であるが、その場合、刻々変化するボールオブジェクトの位置に対してバットを当てることは非常に困難になるので、プレーヤが打撃を楽しめる構成にするために、ボールオブジェクトにバットを当てる目安として設けたものがミートカーソルである。プレーヤは、飛んでくるボールオブジェクトに対して、ミートカーソルを移動させて重ね合わせ、且つ、ベース上近傍をボールオブジェクトが通過するタイミングでバットスイングさせることで、ボールオブジェクトを打ち返すことができる。このとき、ボールオブジェクトに対してミートカーソルが重なっていない状態でバットスイングすると空振りとなる。
【0013】
さらに、本構成の特徴的な点として、表示部上での指示体の接触移動後に、この表示部から指示体が離されることでタイミング決定指令が入力される構成としていることが挙げられる。野球ゲームを例に取り上げると、ゲーム画面(表示部)に接している指(指示体)を離すことをトリガーとして、バットスイングが行なわれるのである。
【0014】
そして、この点と、前述のミートカーソルを別の箇所で移動できる点とを併せ、本構成によれば、一連の打撃操作を非常にスムーズ且つ容易に行うことができ、特にスマートフォンやタブレット端末等のように、手で装置を把持しながらゲームを行なう場合の操作性を非常に向上させることができる。
【0015】
具体的に、プレーヤがスマートフォンをプラットフォームとする野球ゲームを行なう場合を取り上げて説明する。ここでは、プレーヤが片手(例えば右手)でスマートフォンを持ちながらゲームしているものとする。まず、投手キャラクタから送球されたボールオブジェクトに対して、プレーヤはミートカーソルを重ねるのであるが、このとき、前述のようにプレーヤは画面上のミートカーソルに直接接触するのではなく、異なる領域に表示されている操作アイコンを動かすことで、それに連動するミートカーソルを任意の位置に移動させる。これは例えば、スマートフォンを把持している右手の親指で操作アイコンを動かすことで実行できる。ボールオブジェクトは徐々に打者側(ベース側)に近づいてくるので、プレーヤはそのタイミングを見計らないながら、ボールオブジェクトがベース上近傍に到着した時点でゲーム画面に接触させていた親指のみを離す。
【0016】
すると、この親指を離したことを契機として、打者キャラクタのバットスイングが行なわれる。従来の据え置き型のゲーム装置においては、ミートカーソルの移動については、例えば左手を用いてコントローラのアナログスイッチで操作し、一方、バットスイングについては右手でコントローラの該当するボタンを押すことで実行していたのであるが、本構成においてはミートカーソルの移動操作とバットスイングの打撃操作との両方を、装置を把持している手の指で操作できるのである。
【0017】
また、スマートフォンよりも大型のタブレット端末の場合には、装置を把持している手の指で操作を行うことが困難なことも考えられるが(画面が広く、指が届かない等)、その場合でも、例えば打撃操作については従来のように両手を使う必要は無く、片手のみで行なえるので(例えば左手で装置を把持し、右手で操作する)、操作性が非常に優れている。
【0018】
しかも、バットスイングに関しては、従来の操作のようにボタンを指で押し込むのではなく、逆に指を離したことをトリガーにしているので、特に手で把持するゲーム装置の場合には、押し込むような動作に伴う装置自体の振動やブレが生じることもなく、安定した状態でゲームを実行することができる。
【0019】
(2)前記照準カーソル連動制御部は、前記照準カーソル表示領域内において、前記照準カーソルの移動速度を前記操作アイコンの移動速度に対して一定の割合に設定して移動表示させ、前記割合は、前記操作アイコンが前記操作アイコン表示領域内の初期位置から前記操作アイコン表示領域の端まで移動したときに、前記照準カーソルが初期位置から前記照準カーソル表示領域の端まで移動する値に設定されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、照準カーソル表示領域と操作アイコン表示領域とのサイズが異なっていても、プレーヤは照準カーソル表示領域の全域に照準カーソルを移動させることができる。例えば、照準カーソル表示領域が操作アイコン表示領域より大きいにも関わらず、照準カーソルと操作アイコンとの移動速度を等しく設定すると、照準カーソルが照準カーソル表示領域の端に到達していないのに、操作アイコンが操作アイコン表示領域の端に到達している状況が起こり得る。この場合、照準カーソル表示領域内において、照準カーソルを移動させることができないデッドスペースが発生し、プレーヤはデッドスペースに到達した移動体オブジェクトを打撃することができなくなってしまう。
【0021】
そこで、照準カーソルの移動速度を操作アイコンの移動速度に対して上記の条件を満たす一定の割合に設定することで、照準カーソル表示領域におけるデッドスペースの発生を防止することができる。
【0022】
(3)前記操作アイコン表示部は、前記操作指令受付部により前記タイミング決定指令が受け付けられた場合、前記操作アイコンを非表示にすることが好ましい。
【0023】
タイミング決定指令の入力後に操作アイコンを表示し続けると、プレーヤに対して操作アイコンを操作できるのではないかと勘違いさせるおそれがある。そこで、タイミング決定指令が入力されると操作アイコンを非表示にする態様を採用することで、このような勘違いをプレーヤに与えることを防止することができる。また、不要な画像を表示部から消去して、操作性の向上を図ることもできる。
【0024】
(4)前記ゲーム空間内の所定の移動開始位置から所定の移動終了位置まで前記移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト制御部を更に備え、前記操作アイコン表示部は、前記移動体オブジェクトが前記移動終了位置に到達するまでにプレーヤにより前記タイミング決定指令が入力されなかった場合、前記移動体オブジェクトが前記移動終了位置に到達したときに、前記操作アイコンを非表示にすることが好ましい。
【0025】
移動体オブジェクトが移動終了位置に到達した後も操作アイコンを表示し続けると、操作アイコンを操作する必要がないにも関わらず、操作アイコンが表示され、プレーヤに違和感を与えてしまう。そこで、移動体オブジェクトが移動終了位置に到達したときに操作アイコンを非表示にし、このような違和感をプレーヤに与えることを防止している。
【0026】
(5)前記ゲームは、野球ゲームであり、前記移動体オブジェクトは、投手キャラクタが振りかぶる動作を行った後、投球動作を行うことで投じられるボールオブジェクトであり、前記移動体オブジェクト制御部は、前記投手キャラクタが前記振りかぶる動作を行ったときに、前記移動開始位置と前記移動終了位置との間に設定された打撃ゾーンにおける前記ボールオブジェクトの到着予想位置を前記表示部に表示させ、前記移動終了位置に前記ボールオブジェクトが到達したときに前記到着予想位置を非表示にすることが好ましい。
【0027】
従来の野球ゲームでは、到着予想位置は投手キャラクタがボールオブジェクトを投じた直後に表示されていた。本構成では、(1)で述べたように照準カーソルを直接操作させるのではなく、操作アイコンを介して照準アイコンを操作させる態様を採用している。そのため、照準カーソルを直接操作する態様に慣れたプレーヤに対し、照準カーソルのボールオブジェクトへの位置決めが難しくなったと感じさせる虞がある。そこで、(5)の構成では、投手キャラクタが振りかぶる動作を行ったときに到着予想位置を表示している。これにより、到着予想位置の表示時間が従来の表示時間よりも長くなり、プレーヤは落ち着いて到着予想位置を把握することができ、ボールオブジェクトへの照準カーソルの位置決めが行い易くなる。なお、到着予想位置は、それが画面上に初めて表示された時点では、ボールオブジェクトがベース上を通過する最終的な到着位置を示すものではなく、そこから多少離れた位置に出現する。そして、ボールオブジェクトの移動と共にその位置が徐々に変わっていき、ボールオブジェクトが最終的にベース上を通過する時点において、その通過点に合致するのである。従って、プレーヤとしては、到着予想位置の出現位置やその移動の仕方を見ながら、最終的な到着地点の予測を立てることになる。
【0028】
(6)前記操作指令受付部は、プレーヤが左利き又は右利きであるかを指定するためにプレーヤにより入力される利き手設定操作指令を受け付け、前記操作アイコン表示部は、プレーヤが左利きである場合、前記照準カーソル表示領域を前記表示部の左端に設定し、プレーヤが右利きである場合、前記照準カーソル表示領域を前記表示部の右端に設定することが好ましい。
【0029】
プレーヤの利き手に応じて操作アイコン表示領域が表示部の右端又は左端に設定されるため、照準カーソル表示領域を跨がずに自身の利き手を用いて操作アイコンを操作することができる。その結果、ボールオブジェクトのコースを正確に見極めることができ、操作性の向上を図ることができる。例えば、プレーヤの利き手が左手の場合、表示部の右端に操作アイコン表示領域が設定されると、プレーヤは照準アイコン表示領域を跨ぐようにして、左手で操作アイコンを操作する必要があり、左手が移動体オブジェクトの視界を妨げてしまう。そこで、利き手が左手の場合は操作アイコン表示領域を表示部の左側に設定することで、このような問題を回避することができ、操作性を向上させることができる。
【0030】
(7)前記操作アイコンは、前記指示体と前記表示部とが接触する領域の面積よりも所定サイズ大きな面積を持つ円であることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、操作アイコンのサイズが指示体と表示部との接触する領域の面積よりも多少大きくされている。そのため、指示体が操作アイコンの視界を遮ることが防止され、操作性の向上を図ることができる。また、操作アイコンを円形にすることで、どの方位からも容易に操作アイコンに指示体を接触させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、プレーヤは、照準カーソルに指示体を直接接触させて照準カーソルを操作するのではなく、操作アイコンに指示体を接触して操作アイコンを操作することで照準カーソルを操作することができる。そして、操作アイコンは、照準カーソル表示領域とは別に設けられた操作アイコン表示領域に表示されている。そのため、指示体が移動体オブジェクトの視界を遮らず、プレーヤは操作アイコンを移動体オブジェクトに正確に位置決めすることができる。その結果、移動体オブジェクトに照準カーソルを位置決めする際の操作性が向上し、ゲームの興趣性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施の形態によるゲーム装置のブロック図である。
【図2】図1に示すゲーム装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態によるゲーム装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】プレーヤにより利き手設定指令が入力されたときのゲーム装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】表示部に表示された照準カーソルの一例を示した図である。
【図6】表示部に表示された操作アイコンの一例を示した図である。
【図7】照準カーソル連動制御部の処理の一例を示す説明図であり、(A)は照準カーソル表示領域内のある位置に示された照準カーソルを示し、(B)は操作アイコン表示領域内のある位置に示された操作アイコンを示している。
【図8】プレーヤによりタイミング決定指令が入力され、バットオブジェクトがボールオブジェクトに当たる直前の画面図である。
【図9】照準カーソルのゲーム空間内での配置位置を示した図である。
【図10】作用付与部により実行される打撃判定処理の説明図である。
【図11】打撃されたボールオブジェクトの初速度の向きの算出処理を示した図であり、(A)は照準カーソルを示し、(B)は打撃直後のボールオブジェクトをx方向に向けて見た状態を示し、(C)は打撃直後のボールオブジェクトをz方向から見た状態を示している。
【図12】ボールオブジェクトがバットオブジェクトにより打撃されたことを明示する画像である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施の形態によるゲーム装置について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態によるゲーム装置のブロック図である。本実施の形態では、ゲーム装置として、例えば、タッチパネル式の表示部を備えるスマートフォンやタブレット端末等のタッチ式の情報処理装置を採用する。但し、これは一例であり、タッチパネル式の表示部を備える携帯型のゲーム装置を採用してもよい。
【0035】
また、本実施の形態では、ゲームとしてゲーム空間内で移動するボールオブジェクトBL(移動体オブジェクトの一例)を照準カーソル(従来ゲームのミートカーソルに対応、以下、照準カーソルで説明する)で位置決めして、仮想的に打ち返す野球ゲームを採用する。
【0036】
図1に示すゲーム装置は、ジャイロセンサ101、CPU(Central Processing Unit)102、通信制御回路103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read-Only Memory)105、サウンド処理回路106、画像処理回路107、モニタ108、マイク110、及びスピーカ111を備えている。図1に示すジャイロセンサ101〜スピーカ111の各ブロックは、バスラインBSを介して相互に接続されている。
【0037】
ジャイロセンサ101は、例えばゲーム装置のロール方向の姿勢とピッチ方向の姿勢とが検出可能なジャイロセンサにより構成され、ロール方向及びピッチ方向のそれぞれの角速度を検出して角速度信号を出力する。
【0038】
CPU102は、ROM105に記憶されたゲーム制御プログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。通信制御回路103は、CPU102により生成された送信対象のデータを、例えばCDMA(Code Division Multiple Access)等により拡散処理した後、QAM(Quadrature Amplitude phase Modulation)、PSK(Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)等により変調して送信する処理や、受信したデータを復調した後、逆拡散処理し、得られたデータをCPU102に出力する処理を行う。
【0039】
RAM104は、CPU102に対する作業領域である。ROM105は、ゲーム装置の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。
【0040】
サウンド処理回路106は、CPU102からの発音指令に応じたアナログ音声信号を生成してスピーカ111に出力する。画像処理回路107は、CPU101からの描画指令に応じてモニタ108を制御して、モニタ108に所定の画像を表示する。マイク110は、プレーヤによる音声を電気信号に変換する。
【0041】
画像処理回路107は、タッチ入力検出回路109を含み、モニタ108に種々の画像を表示する。タッチ入力検出回路109は、例えばタッチペンやプレーヤの指等の指示体がモニタ108に直接的に接触されると、接触位置の座標データをCPU102に出力し、接触位置をCPU102に認識させる。
【0042】
また、タッチ入力検出回路109は、モニタ108に表示された対象物の位置において、指示体が直接的に接触されると、対象物の座標データをCPU102に出力し、対象物がタッチされたことをCPU2に認識させる。
【0043】
モニタ108は、例えば、タッチパネル式の液晶パネルにより構成されている。タッチパネルとしては、例えば静電容量方式のものや抵抗膜方式のものが採用される。また、タッチパネルとしては、例えば、TFT(Thin Film Transistor)やSTN(Super Twisted Nematic)等の液晶パネルが採用され、例えば4096色のカラー表示が可能である。
【0044】
図2は、図1に示すゲーム装置の機能ブロック図を示している。図2に示すようにゲーム装置は、操作表示部210、制御部220、及び記憶部240を備えている。
【0045】
操作表示部210は、図1に示すタッチ入力検出回路109、及びモニタ108等から構成され、プレーヤにより入力される種々の操作指示を受け付けると共に、種々の画像を表示する。本実施の形態では、操作表示部210は、プレーヤが指示体を操作表示部210の表示部211に接触させることで、操作指令を入力する。ここで、指示体としては、タッチペンを採用してもよいが、本実施の形態ではプレーヤの指を採用する。また、表示部211とは、操作表示部210において映像が表示される矩形状の領域を指す。
【0046】
制御部220は、例えば、図1に示すCPU102、RAM104、ROM105、及び画像処理回路107等から構成され、照準カーソル表示部221、操作アイコン表示部222、操作指令受付部223、照準カーソル連動制御部224、作用付与タイミング決定部225、作用付与部226、移動体オブジェクト制御部227、キャラクタ制御部228、及び表示制御部229を備えている。これらの機能は、CPU102が本発明の実施の形態によるゲーム制御プログラムを実行することで実現される。
【0047】
照準カーソル表示部221は、ゲーム空間において、ボールオブジェクトに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを、表示部211の照準カーソル表示領域に表示させるための描画指令を表示制御部229に供給する。ここで、照準カーソル表示部221は、照準カーソル連動制御部224から照準カーソルの位置を示す座標データが周期的に供給され、この座標データにしたがって照準カーソルの表示を更新させるための描画指令を表示制御部229に供給する。
【0048】
図5は、表示部211に表示された照準カーソルKの一例を示した図である。図5に示すように照準カーソルKは、表示部211に設けられた矩形状の照準カーソル表示領域DM1内に表示される。照準カーソル表示領域DM1は、表示部211のほぼ中央に設けられている。そして、照準カーソル表示領域DM1は、ホームベースHBのほぼ真上に設けられたストライクゾーンSZよりも少しサイズが大きい。ストライクゾーンSZは、実際の野球においてホームベースの真上に設定されるストライクゾーンを仮想的に示したものであり、矩形形状を持つ。
【0049】
照準カーソル表示領域DM1をストライクゾーンSZのサイズより大きくすることで、プレーヤは打者キャラクタCL1にストライクゾーンSZから外れたボール球を打撃させることができる。本実施の形態では、照準カーソル表示領域DM1は、その中心がストライクゾーンSZの中心と同じ位置に設定され、かつ、矩形状のストライクゾーンSZと相似の形状を持つものとする。
【0050】
照準カーソルKは、中央領域K2と周辺領域K1とを持つ。中央領域K2は円形であり、周辺領域K1は中央領域K2を取り囲むドーナツ形状を持つ。図5の例では、中央領域K2の方が周辺領域K1よりも濃い色で表示されている。
【0051】
表示部211の下部に表示された強振ボタンBUがプレーヤによりタッチされ、強振モードに設定されると、照準カーソルKのサイズが中央領域K2のみからなるサイズとなる。再度、プレーヤにより強振ボタンBUがタッチされ、強振モードが解除されると、照準カーソルKのサイズは、中央領域K2及び周辺領域K1からなるサイズとなる。
【0052】
つまり、強振モードが設定された場合、強振モードが設定されていない場合に比べて、照準カーソルKのサイズが小さくなり、ボールオブジェクトに照準カーソルKを位置決めすることが困難となる。但し、そのトレードオフとして、強振モードが設定されると、強振モードが設定されていない場合に比べて、打者キャラクタCL1の打撃力がアップする。
【0053】
なお、照準カーソルKは、打者キャラクタCL1のそれぞれに対して予め定められた能力値に応じてそのサイズが変化する。具体的には、照準カーソル表示部211は、打者キャラクタCL1の能力値を能力値記憶部242から読み出し、能力値が大きいほど照準カーソルKのサイズを大きく設定する。
【0054】
図2に戻り、操作アイコン表示部222は、表示部211内の照準カーソル表示領域DM1とは異なる操作アイコン表示領域DM2に、照準カーソルKを操作するための操作アイコンCMが表示されるように表示制御部229に描画指令を供給する。また、操作アイコン表示部222は、操作アイコンCMへの指YBの接触移動に応じて、操作アイコンCMが移動表示されるように描画指令を表示制御部229に供給する。
【0055】
図6は、表示部211に表示された操作アイコンCMの一例を示した図である。図6に示すように操作アイコンCMは、表示部211に設けられた矩形状の操作アイコン表示領域DM2内に表示される。操作アイコンCMは指YBと表示部211とが接触する領域の面積よりも所定サイズ大きな面積を持つ円である。操作アイコンCMのサイズを指YBと表示部211との接触する領域の面積よりも多少大きくすることで、操作アイコンCMが指YBによって隠れることを防止することができ、操作性の向上を図ることができる。
【0056】
プレーヤは指YBを操作アイコンCMにタッチし、操作アイコン表示領域DM2内において、指YBを表示部211に接触移動させると、指YBの移動に追従して操作アイコンCMを移動させることができる。具体的には、操作アイコン表示部222は、投手キャラクタCL2が例えばボールオブジェクトBLを投げるために振りかぶる動作を行うと、操作アイコンCMを操作アイコン表示領域DM2内の所定の初期位置に表示させるための描画指令を表示制御部229に供給する。ここで、初期位置としては、例えば、操作アイコン表示領域DM2の中心が採用される。
【0057】
そして、プレーヤの指YBが操作アイコンCMに接触し、操作指令受付部223により操作アイコンCMを移動させるための移動指令が受け付けられると、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223から表示部211における指YBの接触位置の座標データが供給される。そして、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223から供給された座標データに操作アイコンCMの中心が位置するように表示部211に操作アイコンCMを表示させるための描画指令を表示制御部229に供給する。そして、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223から周期的に座標データが供給される都度、描画指令を表示制御部229に供給し、操作アイコンCMの表示を更新させる。これにより、操作アイコンCMは、接触移動される指YBの移動に追従して移動表示される。なお、座標データは、表示部211に規定された垂直座標の値及び水平座標の値を持つ二次元のデータ構造を持つ。
【0058】
操作アイコン表示領域DM2は、照準カーソル表示領域DM1の右隣であって、表示部211の右端に設けられている。このように、操作アイコン表示領域DM2を右端に設定することで、プレーヤはストライクゾーンSZを跨ぐことなく、右手で操作アイコンCMを操作して照準カーソルKを操作することができる。よって、プレーヤは自身の右手がボールオブジェクトBLの視界を遮ってしまうことを防止することができ、ボールオブジェクトBLがストライクゾーンSZに到達するまで、ボールオブジェクトBLのコースを正確に見極めることができる。
【0059】
なお、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223により利き手設定操作指令が受け付けられると、操作指令受付部223からプレーヤが左利きか右利きかを示す情報が供給される。そして、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223から左利きを示す情報が供給されると、操作アイコン表示領域DM2を、照準カーソル表示領域DM1の左隣であって、表示部211の左端の位置に設定する。
【0060】
一方、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223から右利きを示す情報が供給されると、操作アイコン表示領域DM2を表示部211の右端に設定する。このように、プレーヤの利き手に応じて操作アイコン表示領域DM2が表示部211の右端又は左端に設定されるため、プレーヤは照準カーソル表示領域DM1を跨がずに自身の利き手の指YBを用いて操作アイコンCMを操作することができる。その結果、ボールオブジェクトBLのコースを正確に見極めることができ、操作性の向上を図ることができる。
【0061】
また、操作アイコン表示部222は、操作指令受付部223によりタイミング決定指令が受け付けられた場合、操作アイコンCMを非表示にする描画指令を表示制御部229に供給する。
【0062】
本実施の形態では、タイミング決定指令を入力した後、プレーヤに照準カーソルKを操作させない態様を採用している。そのため、タイミング決定指令の入力後に操作アイコンCMを表示し続けると、プレーヤに対して操作アイコンCMを操作できるのではないかと勘違いさせるおそれがある。そこで、タイミング決定指令が入力されると操作アイコンCMを非表示とすることで、このような勘違いをプレーヤに与えることを防止することができる。また、不要な画像を表示部211から消去して、操作性の向上を図ることもできる。
【0063】
また、操作アイコン表示部222は、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PE(図9参照)に到達するまでにプレーヤによりタイミング決定指令が入力されなかった場合、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PEに到達したときに、操作アイコンCMを非表示にする描画指令を表示制御部229に供給する。
【0064】
本実施の形態では、タイミング決定指令を入力した後、プレーヤに照準カーソルKを操作させない態様を採用しているが、プレーヤが打者キャラクタCL1にボールオブジェクトBLを見送らせるために、タイミング決定指令を入力しないこともある。この場合、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PEに到達した後も操作アイコンCMを表示し続けると、操作アイコンCMを操作する必要がないにも関わらず、操作アイコンCMが表示され、プレーヤに違和感を与えてしまう。これを防止するために、本実施の形態では、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PEに到達したときに操作アイコンCMを非表示にしている。
【0065】
なお、図5、図6では、説明の便宜上、照準カーソル表示領域DM1及び操作アイコン表示領域DM2を図示しているが、実際には非表示にしてもよい。こうすることで、表示部211に表示されるグラフィックスの数の増大による視認性の低下を抑制することができる。但し、プレーヤに照準カーソル表示領域DM1及び操作アイコン表示領域DM2を明示するために、両領域を表示部211に表示させてもよい。また、投手キャラクタCL2が投球動作を開始する前に一定期間だけ、照準カーソル表示領域DM1及び操作アイコン表示領域DM2を表示させてもよい。こうすることで、両領域のプレーヤへの明示と、視認性の低下の抑制とを図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、操作アイコン表示領域DM2のサイズは、照準カーソル表示領域DM1のサイズよりも小さい。また、操作アイコン表示領域DM2の形は、照準カーソル表示領域DM1の形と相似である。
【0067】
図2に戻り、操作指令受付部223は、操作アイコンCMへの指YBの接触移動により入力される移動指令と、接触移動後に、表示部211から指YBが離されることで入力されるタイミング決定指令とを受け付ける。
【0068】
ここで、操作指令受付部223は、操作アイコン表示部222から随時、操作アイコンCMの現在の表示位置を示す座標データが通知され、操作アイコンCMの現在の表示位置を認識している。また、操作指令受付部223は、操作表示部210から指YBと表示部211との現在の接触位置を示す座標データが供給され、現在の接触位置を認識している。
【0069】
したがって、操作指令受付部223は、現在の接触位置が、操作アイコンCMの現在の表示位置に対して所定範囲(操作アイコンCMの範囲)に位置する場合、プレーヤにより移動指令の入力が開始されたと判定する。そして、操作指令受付部223は、移動指令が入力されたと判定してから、指YBが表示部211から離れるまで指YBの接触位置を追跡し、周期的に接触位置の座標データを操作アイコン表示部222に供給する。これにより、操作アイコンCMは接触移動される指YBに追従して移動表示される。
【0070】
ここで、操作表示部210は、指YBが表示部211に接触している間は周期的に接触位置の座標データを操作指令受付部223に供給する。そのため、操作指令受付部223は、操作表示部210からの座標データの周期的な供給が途切れた場合、移動指令の入力が終了され、タイミング決定指令が入力されたと判定することができる。そして、操作指令受付部223は、タイミング決定指令が入力されたと判定した場合、操作アイコン表示部222への指YBの接触位置を示す座標データの供給を停止する。
【0071】
照準カーソル連動制御部224は、操作アイコン表示部222により移動表示される操作アイコンCMの動きに連動するように、照準カーソルKを表示部211に移動表示させる。図6に示すように、プレーヤが指YBを矢印の方向に動かすことで、操作アイコンCMが矢印の方向に移動したとすると、照準カーソルKは矢印で示す同じ方向に移動される。プレーヤは指YBを触れて照準カーソルKを直接操作する態様を採用すると、ストライクゾーンSZ内に指YBが位置するため、指YBがボールオブジェクトBLの視界を遮り、プレーヤはボールオブジェクトBLに対して照準カーソルKを正確に位置決めすることが困難になってしまう。
【0072】
そこで、本実施の形態では、プレーヤは、照準カーソルKに指YBを接触して照準カーソルKを直接操作するのではなく、操作アイコンCMに指YBを接触して操作アイコンCMを操作することで照準カーソルKを操作している。そして、操作アイコンCMは、照準カーソル表示領域DM1とは別の位置に設けられた操作アイコン表示領域DM2に表示されている。そのため、操作アイコンCMに指YBを触れたとしても、指YBがボールオブジェクトBLの視界を遮らず、プレーヤは操作アイコンCMをボールオブジェクトBLに正確に位置決めすることができる。その結果、ボールオブジェクトBLに照準カーソルKを位置決めする際の操作性が向上し、ゲームの興趣性を高めることができる。
【0073】
図7は、照準カーソル連動制御部224の処理の一例を示す説明図であり、(A)は照準カーソル表示領域DM1内のある位置KOに示された照準カーソルKを示し、(B)は操作アイコン表示領域DM2内のある位置CMOに示された操作アイコンCMを示している。
【0074】
位置CMOにおいて、操作アイコンCMがプレーヤの指YBの操作によって速度vbで移動されたとする。この場合、照準カーソル連動制御部224は、速度vbの垂直座標の速度成分vb_Vに係数kVを乗じ、照準カーソルKの垂直座標の速度成分va_V(=vb_V・kV)を求める。また、照準カーソル連動制御部224は、速度vbの水平座標の速度成分vb_Hに係数kHを乗じ、照準カーソルKの水平座標の速度成分va_H(=vb_H・kH)を求める。そして、照準カーソル連動制御部224は、位置KOから垂直座標が速度成分va_V、水平座標が速度成分va_Hだけ離れた位置KO´を次の照準カーソルKの表示位置として照準カーソル表示部221に指示し、照準カーソルKを位置KO´に表示させる。これにより、照準カーソルKは、位置KOから位置KO´に移動する。同時に、操作アイコンCMは操作アイコン表示部222によって位置CMOから位置CMO´に移動される。これにより、操作アイコンCMの移動に連動して照準カーソルKが移動することになる。
【0075】
なお、照準カーソル連動制御部224は、例えば、操作アイコン表示部222から周期的に操作アイコンCMの座標データが供給され、座標データが供給される都度、操作アイコンCMの速度vbを求め、求めた速度vbから照準カーソルKの速度vaを求める。
【0076】
係数kVは、図6に示すように、照準カーソル表示領域DM1の縦辺の長さをH12、操作アイコン表示領域DM2の縦辺の長さをH22とすると、kV=H12/H22の関係を持つ。また、照準カーソル表示領域DM1の横辺の長さをH11、操作アイコン表示領域DM2の横辺の長さをH21とすると、kH=H11/H21の関係を持つ。つまり、照準カーソルKの速度vaと操作アイコンCMの速度vbとは一定の割合RT(係数kV,kH)を持つ。
【0077】
また、照準カーソル連動制御部224は、照準カーソルKの初期位置を照準カーソル表示領域DM1の中心に設定し、操作アイコン表示部222は、操作アイコンCMの初期位置を操作アイコン表示領域DM2の中心に設定する。そのため、割合RTは、照準カーソルKが初期位置から照準カーソル表示領域DM1の端まで移動したときに、操作アイコンCMが初期位置から操作アイコン表示領域DM2の端まで移動する値に設定されることになる。
【0078】
そのため、照準カーソル表示領域DM1と操作アイコン表示領域DM2とのサイズが異なっていても、プレーヤは照準カーソル表示領域DM1の全域に照準カーソルKを移動させることができる。例えば、照準カーソル表示領域DM1が操作アイコン表示領域DM2より大きいにも関わらず、速度vaを速度vbと等しく設定すると、照準カーソルKが照準カーソル表示領域DM1の端に到達していないのに、操作アイコンCMが操作アイコン表示領域DM2の端に到達している状況が起こり得る。この場合、照準カーソル表示領域DM1内において、照準カーソルKを移動させることができないデッドスペースが発生し、プレーヤはデッドスペースに到達したボールオブジェクトを打者キャラクタCL1に打撃させることができなくなってしまう。
【0079】
そこで、本実施の形態では、割合RTを上記のように設定し、かつ、操作アイコンCMの初期位置を操作アイコン表示領域DM2の中心に設定すると共に照準カーソルKの初期位置を照準カーソル表示領域DM1の中心に設定することで、デッドスペースが発生することを防止している。
【0080】
なお、操作アイコンCMの初期位置を操作アイコン表示領域DM2の中心以外の位置に設定してもよい。この場合、照準カーソル表示領域DM1における照準カーソルKの初期位置を、操作アイコン表示領域DM2にける操作アイコンCMの初期位置の対応する位置に設定すればよい。ここで、対応する位置とは、照準カーソル表示領域DM1における相対的な位置と、操作アイコン表示領域DM2における相対的な位置とが同じ位置を指す。
【0081】
なお、本実施の形態では、照準カーソル表示領域DM1と操作アイコン表示領域DM2とは相似であるため、係数kV=係数vHに設定されている。
【0082】
図2に戻り、作用付与タイミング決定部225は、操作指令受付部223によりタイミング決定指令が受け付けられたタイミングを基準としてボールオブジェクトBLに作用を与える作用付与タイミングを決定する。
【0083】
図8は、プレーヤによりタイミング決定指令が入力され、バットオブジェクトBTがボールオブジェクトBLに当たる直前の画面図である。プレーヤによりタイミング決定指令が入力されると、打者キャラクタCL1はバットオブジェクトBTのスイング動作を開始する。したがって、作用付与タイミング決定部225は、タイミング決定指令が入力されてから、バットオブジェクトBTがホームベースHBの真上に設けられた打撃ゾーンに到達するまでの所定時間が経過したときを作用付与タイミングとして決定する。
【0084】
なお、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されると、図8に示すように操作アイコンCMが非表示となり、照準カーソルKにロックがかけられ、プレーヤは照準カーソルKを操作することができなくなる。この場合、照準カーソルKが半透明表示され、プレーヤは照準カーソルKがロックされたことを認識することができる。
【0085】
このように、本実施の形態では、プレーヤは、操作アイコンCMを指YBで接触移動させ、ボールオブジェクトBLの打撃ゾーンの到達位置を予測して、予測した到達位置に照準カーソルKを位置決めし、指YBを表示部211から離すことで打撃指令を入力する。
【0086】
図2に戻り、作用付与部226は、作用付与タイミング決定部225により決定された作用付与タイミングにおいて、ボールオブジェクトBLと照準カーソルKとの少なくとも一部が重なっているか否かを判定する打撃判定処理を行い、この打撃判定処理によりボールオブジェクトBLと照準カーソルKとの少なくとも一部が重なっていると判定した場合、ボールオブジェクトBLに作用を与える。
【0087】
図9は、照準カーソルKのゲーム空間内での配置位置を示した図である。本実施の形態ではゲーム空間として、x軸、y軸、z軸の相互に直交する3軸によって規定される仮想3次元空間が採用されている。
【0088】
なお、図9に示すy軸は仮想3次元空間内におけるピッチャーマウンドの中心O2とホームベースHBの中心O3とを結ぶ直線L3と平行な方向に設定され、z軸は鉛直方向に設定され、x軸は鉛直方向と直線L3と直交する方向に設定されている。
【0089】
本実施の形態では、照準カーソルKは、例えば、ホームベースHBの中心O3を通り、且つx−z平面と平行な打撃ゾーンSF上を移動する。なお、図8に示す照準カーソル表示領域DM1は、図9に示す打撃ゾーンSFを表示部211に表示したときの領域を示している。なお、図9において、投手キャラクタCL2はピッチャーマウンドの中心O2に配置され、打者キャラクタCL1はホームベースのx方向の左側又は右側に配置されたバッターボックスBXに配置される。そして、投手キャラクタCL2は、振りかぶる動作を行った後に投球動作を開始し、ボールオブジェクトBLをホームベースHBに向けて投げる。本実施の形態では、投手キャラクタCL2がボールオブジェクトBLをリリースした位置をボールオブジェクトBLの移動開始位置PSとする。また、ホームベースHBのy軸方向の後方には図略の捕手キャラクタが配置され、この捕手キャラクタがボールオブジェクトBLをキャッチした位置をボールオブジェクトBLの移動終了位置PEとする。
【0090】
したがって、打撃ゾーンSFは移動開始位置PSと移動終了位置PEとの間に設けられていることが分かる。
【0091】
図10は、作用付与部226により実行される打撃判定処理の説明図である。なお、図10は、図9に示す仮想3次元空間をx軸方向に向けて見た状態を表している。具体的には、作用付与部226は、タイミング決定指令が入力されたときに、作用付与タイミング決定部225により決定された作用付与タイミングにおけるボールオブジェクトBLの位置を移動体オブジェクト制御部227に問い合わせて取得する。
【0092】
そして、作用付与タイミングにおいてボールオブジェクトBLが打撃ゾーンSF上の照準カーソルKと交わる又は接している場合、ボールオブジェクトBLが打撃されたと判定する。
【0093】
しかしながら、これでは、ゲームの難易度が高くなってしまい、面白みに欠けてしまう虞がある。そこで、本実施の形態では、例えば作用付与タイミングにおいて、ボールオブジェクトBLのy成分が、打撃ゾーンSFに対して−y方向に距離d1離れた位置と、打撃ゾーンSFに対して+y方向に距離d2離れた位置との間に存在し、且つそのときのボールオブジェクトBLの延長線が打撃ゾーンSF上の照準カーソルKと交差した場合、ボールオブジェクトBLが打撃されたと判定すればよい。
【0094】
ここで、ボールオブジェクトBLの延長線としては、例えばタイミング決定指令が入力されたときのボールオブジェクトBLの速度の方向にボールオブジェクトBLの重心G1を起点として伸ばした直線を採用することができる。
【0095】
或いは、タイミング決定指令が入力されたときに、ボールオブジェクトBLのy成分が、打撃ゾーンSFに対して距離d1離れた位置と、打撃ゾーンSFに対して距離d2離れた位置との間に存在する場合、ボールオブジェクトBLの重心G1を通り打撃ゾーンSFに平行な平面SF´を設定し、設定した平面SF´上に打撃ゾーンSF上の照準カーソルKを投影し、投影した照準カーソルKの領域内にボールオブジェクトBLが存在する場合、ボールオブジェクトBLが打撃されたと判定してもよい。
【0096】
なお、d1,d2としては、打撃ゾーンSFからのストライクゾーンのy成分の長さと同じ距離又は、多少のマージンを加える若しくは差し引いた距離を採用すればよい。
【0097】
また、作用付与部226は、作用付与タイミング決定部225がタイミング信号を取得したときにおける、ボールオブジェクトBLの重心の照準カーソルKに対する通過位置が照準カーソルKの重心に近いほど、打撃パワーを大きく設定する。
【0098】
図11は、打撃されたボールオブジェクトBLの初速度の向きの算出処理を示した図であり、(A)は照準カーソルKを示し、(B)は打撃直後のボールオブジェクトBLをx方向に向けて見た状態を示し、(C)は打撃直後のボールオブジェクトBLをz方向から見た状態を示している。
【0099】
図11(A)に示すように、ボールオブジェクトBLの重心G1が照準カーソルK内の点P4(u,v)を通過したとする。但し、uは照準カーソルKの中心O1を通り、且つx軸に平行な座標軸であり、vは中心O1を通り、且つz軸に平行な座標軸である。
【0100】
この場合、作用付与部226は、点P4と中心O1との距離dsを求め、距離dsが増大するにつれて、基準初速度Vrefを小さく設定するための補正係数β1を求め、この補正係数β1を基準初速度Vrefに乗じることで(β1・Vref)、基準初速度Vrefの大きさを補正し、補正後の基準初速度Vrefの大きさを初速度V0の大きさとして設定すればよい。
【0101】
なお、作用付与部226は、補正係数β1を出力とし、距離dsを入力とし、距離dsが小さくなるにつれて補正係数β1が増大する予め定められた関数を用いて補正係数β1を算出すればよい。
【0102】
次に、図11(A)〜(C)を用いて、ボールオブジェクトBLの初速度V0の向きの算出手法について説明する。図11(A)に示すように、点P4のvが負であれば、バットオブジェクトBTによる打点がバットオブジェクトBTのスイートスポットよりも下側に位置すると判定し、図11(B)に示すように、基準初速度Vrefのピッチ角θ1をvの値に応じて減少させて、減少後の基準初速度Vrefのピッチ角θ1を初速度V0のピッチ角として設定する。
【0103】
一方、点P4のvが正であれば、バットオブジェクトBTによる打点がスイートスポットよりも上側に位置すると判定し、基準初速度Vrefのピッチ角θ1をvの値に応じて増大させて、増大後の基準初速度Vrefのピッチ角θ1を初速度V0のピッチ角として設定する。
【0104】
また、点P4のuが正であれば、右打者の場合、バットオブジェクトBTによる打点は、スイートスポットよりもグリップエンドとは反対の先端側に位置すると判定し、図11(C)に示すように基準初速度Vrefのヨー角θ2をuの値に応じて+θ2側に変更させて、変更後の基準初速度Vrefのヨー角θ2を初速度V0のヨー角として設定する。
【0105】
一方、点P4のuが負であれば、右打者の場合、バットオブジェクトBTによる打点はスイートスポットよりもグリップエンド側に位置するため、基準初速度Vrefのヨー角θ2をuの値に応じて−θ2側に変更させて、変更後の基準初速度Vrefのヨー角θ2を初速度V0のヨー角として設定する。
【0106】
更に、図10に示すように、作用付与タイミングにおいて、ボールオブジェクトBLが打撃ゾーンSFよりも−y側に位置するとき、つまり、ボールオブジェクトBLの打撃タイミングが速かった場合、図11(C)に示すように、右打者の場合は基準初速度Vrefのヨー角θ2をdの値に応じて−θ2側に増大させて、増大後の基準初速度Vrefのヨー角θ2を初速度V0のヨー角として設定する。
【0107】
一方、作用付与タイミングにおいて、ボールオブジェクトBLが打撃ゾーンSFよりも+y側に位置するときに、つまり、ボールオブジェクトBLの打撃タイミングが遅かった場合、図11(C)に示すように、右打者の場合は基準初速度Vrefのヨー角θ2をdの値に応じて+θ2側に増大させ、増大後の基準初速度Vrefのヨー角θ2を初速度V0のヨー角として設定する。
【0108】
図2に戻り、移動体オブジェクト制御部227は、ゲーム空間内の所定の移動開始位置PSから所定の移動終了位置PEまでボールオブジェクトBLを移動させる。ここで、移動体オブジェクト制御部227は、プレーヤが攻撃側、ゲーム装置が守備側の場合、ボールオブジェクトBLの球種及びコースを、球種及びコース毎に予め定められた抽選確率にしたがった抽選処理により決定する。ここで、球種としては例えばストレート、カーブ、シュート等が該当し、コースとしては例えば打撃ゾーンSF内の所定の位置が該当する。
【0109】
また、球種及びコース毎に予め定められた抽選確率は、投手キャラクタCL2が持つ能力値や、ゲーム局面に応じて予め定められた値を採用すればよい。
【0110】
そして、移動体オブジェクト制御部227は、球種毎に予め定められたボールオブジェクトBLの弾道を、決定したコースに到達するように修正して、ボールオブジェクトBLの弾道を決定する。そして、移動体オブジェクト制御部227は、ゲーム空間内において、決定した弾道にしたがってボールオブジェクトBLを移動させる。
【0111】
また、移動体オブジェクト制御部227は、投手キャラクタCL2が振りかぶる動作を行ったときに、移動開始位置PSと移動終了位置PEとの間に設定された打撃ゾーンSFにおけるボールオブジェクトBLの到着予想位置YPを表示部211に表示させるよう表示制御部229に描画指令を出力する。そして、移動体オブジェクト制御部227は、移動終了位置PEにボールオブジェクトBLが到達したときに到着予想位置YPを非表示にする。
【0112】
図6において、到着予想位置YPが表示されていることが分かる。ここで、到着予想位置YPとしては、例えば、打撃ゾーンSFにおいて決定したコースを採用すればよい。これにより、プレーヤは、ボールオブジェクトBLのみならず、到着予想位置YPの表示位置も目安にして照準カーソルKを操作することが可能となる。
【0113】
従来の野球ゲームでは、到着予想位置YPは投手キャラクタCL2がボールオブジェクトBLを投じた直後に表示されていた。本実施の形態では、照準カーソルKを直接操作させるのではなく、操作アイコンCMを介して照準カーソルKを操作させる態様を採用している。そのため、照準カーソルKを直接操作する態様に慣れていたプレーヤに対して照準カーソルKのボールオブジェクトBLへの位置決めが難しくなったと感じさせる虞がある。そこで、本実施の形態では、投手キャラクタCL2が振りかぶる動作を行ったときに到着予想位置YPを表示させている。これにより、到着予想位置YPの表示時間が従来の表示時間よりも長くなり、プレーヤは落ち着いて到着予想位置YPを把握することができ、ボールオブジェクトBLへの照準カーソルKの位置決めが行い易くなる。
【0114】
なお、到着予想位置YPとして、始めに打撃ゾーンSZにおける到達位置又は多少離間した位置を表示し、ボールオブジェクトBLの移動中では、ボールオブジェクトBLを打撃ゾーンSFに投影した位置を表示させればよい。この場合、ボールオブジェクトBLの移動に応じて到着予想位置YPも移動することになり、到着予想位置YPが停止している態様に比べて、照準カーソルKのボールオブジェクトBLへの位置決めが難しくなり、ゲームの面白みを増大させることができる。
【0115】
図2に戻り、キャラクタ制御部228は、ゲーム空間内において、種々のキャラクタを動作させる。本実施の形態では、キャラクタ制御部228は、画像データ記憶部241に記憶されたキャラクタの立体モデルを動作させることでキャラクタをゲーム空間内で動作させる。キャラクタ制御部228は、投手キャラクタCL2に対しては、例えば、振りかぶる動作、及び振りかぶった後、ボールオブジェクトBLを投げる動作を行わせる。また、キャラクタ制御部228は、打者キャラクタCL1に対しては、例えば、バットオブジェクトBTを構えた後、バットオブジェクトBTをスイングする動作を行わせる。
【0116】
表示制御部229は、ゲーム空間において、野球場、打者キャラクタCL1、及び投手キャラクタCL2等の立体モデル、並びに仮想光源及び仮想カメラ等を配置し、立体モデルにテクスチャを貼り付けてレンダリングすることで、ゲーム空間を表す2次元のレンダリング画像データを生成し、表示部211に表示させる。ここで、表示制御部229は、所定のフレームレートでレンダリング画像データを生成し、図略の描画RAMに所定のフレームレートで書き込む。これにより、表示部211において、打者キャラクタCL1、投手キャラクタCL2、ボールオブジェクトBL等がアニメーション表示される。
【0117】
また、表示制御部229は、照準カーソル表示部221及び操作アイコン表示部222からの描画指令にしたがって、照準カーソルK及び操作アイコンCMの画像データをレンダリング画像データに重畳する。これにより、表示部211において、照準カーソルK及び操作アイコンCMが表示される。また、表示制御部229は、移動体オブジェクト制御部227からの描画指令に従ってレンダリング画像データに到着予想位置YPの画像データを重畳する。これにより、表示部211において、到着予想位置YPが表示される。
【0118】
記憶部240は、画像データ記憶部241及び能力値記憶部242を備えている。画像データ記憶部241は、野球場の立体モデル及びテクスチャ、選手キャラクタの立体モデル及びテクスチャ、ボールオブジェクトBLの立体モデル及びテクスチャ等の種々の画像データを記憶する。能力値記憶部242は、各選手キャラクタに対して予め定められた能力値を記憶する。
【0119】
次に、本実施の形態によるゲーム装置の動作について説明する。図3は、本発明の実施の形態によるゲーム装置の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、投手キャラクタCL2により1球のボールオブジェクトBLが投球される際のフローチャートである。また、以下の説明では、プレーヤが攻撃側であり、ゲーム装置が守備側である場合を例に挙げて説明する。
【0120】
まず、ステップS1において、表示制御部229は、ゲーム空間内に、打者キャラクタCL1、野球場、投手キャラクタCL2、及び野手キャラクタ等の立体モデルを配置し、テクスチャマッピング等を行い、初期設定を行う。また、表示制御部229は、周期的にレンダリング画像データを生成する処理を開始する。この場合、操作表示部210には、例えば図5に示すような画像が表示される。
【0121】
次に、移動体オブジェクト制御部227は、球種及びコースを抽選処理によって決定し、決定した球種及びコースにしたがって、ボールオブジェクトBLの弾道を決定する(ステップS2)。
【0122】
次に、キャラクタ制御部228は、投手キャラクタCL2に振りかぶる動作を行わせる(ステップS3)。次に、移動体オブジェクト制御部227は、到着予想位置YPの表示を開始する(ステップS4)。次に、キャラクタ制御部228は、投手キャラクタCL2に投球動作を行わせ、移動体オブジェクト制御部227はゲーム空間内においてボールオブジェクトBLの移動を開始させる(ステップS5)。これにより、ボールオブジェクトBLはステップS2で決定された弾道にしたがって移動される。
【0123】
次に、操作指令受付部223により移動指令が受け付けられると(ステップS6でYES)、操作アイコン表示部222は、移動指令にしたがって操作アイコンCMを移動表示させるための描画指令を表示制御部229に出力し、表示部211に操作アイコンCMを移動表示させる(ステップS7)。
【0124】
次に、照準カーソル連動制御部224は、移動表示される操作アイコンCMの動きに連動するように、照準カーソルKを表示部211に移動表示させる(ステップS8)。
【0125】
ステップS6において、操作指令受付部223は移動指令を受け付けない場合(ステップS6でNO)、ステップS7,S8の処理を飛ばして処理をステップS9に進める。
【0126】
次に、作用付与タイミング決定部225は、操作アイコンCMから指YBが離され、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されると(ステップS9でYES)、処理をステップS13に進める。
【0127】
一方、作用付与タイミング決定部225は、操作アイコンCMから指YBが離されず、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されない場合(ステップS9でNO)、処理をステップS10に進める。
【0128】
ステップS10において、移動体オブジェクト制御部227は、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PEに到達していない場合(ステップS10でNO)、処理をステップS6に戻す。
【0129】
つまり、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されない場合、ボールオブジェクトBLが移動終了位置PEに到達するまで、移動指令にしたがって操作アイコンCMが移動表示され、その移動表示に連動して照準カーソルKが移動表示される。そして、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されると(ステップS9でYES)、作用付与部226により打撃判定処理が実行される(ステップS13)。
【0130】
そして、作用付与部226は、プレーヤがボールオブジェクトBLを打撃することができたと判定した場合(ステップS13でYES)、打撃パワーを設定する処理を行い(ステップS14)、ボールオブジェクトBLの初速度V0の向き及び大きさを算出する。
【0131】
この場合、作用付与部226は、図12に示すように、ボールオブジェクトBLがバットオブジェクトBTにより打撃されたことを明示する画像を表示部211に表示させる。
【0132】
次に、移動体オブジェクト制御部227は、到着予想位置YPを非表示にし(ステップS15)、打撃されたボールオブジェクトBLの軌道を算出する打撃処理を行う(ステップS16)。この場合、移動体オブジェクト制御部227は、ボールオブジェクトBLの重心を質点とし、ステップS14で算出されたボールオブジェクトBLの初速度V0を用いて質点の運動方程式を解くことにより、ボールオブジェクトBLの位置を繰り返し算出して、ボールオブジェクトBLの軌道を算出すればよい。
【0133】
一方、作用付与部226は、プレーヤがボールオブジェクトBLを打撃することができなかったと判定した場合(ステップS13でNO)、すなわち、プレーヤがボールオブジェクトBLを空振りした場合、移動体オブジェクト制御部227は、到着予想位置YPを非表示にする(ステップS17)。
【0134】
次に、キャラクタ制御部228は、投手キャラクタCL2にバットオブジェクトBTを空振りする動作を行わせ、ボールオブジェクトBLを捕手キャラクタに捕球する動作を行わせ、空振り処理を実行する(ステップS18)。
【0135】
ステップS10において、移動終了位置PEにボールオブジェクトBLが到達するまでに、プレーヤによりタイミング決定指令が入力されない場合(ステップS10でYES)、つまり、プレーヤが打者キャラクタCL1にボールオブジェクトBLを見送らせた場合、移動体オブジェクト制御部227は、到着予想位置YPを非表示にする(ステップS11)。次に、キャラクタ制御部228は、打者キャラクタCL1にバットオブジェクトBTをスイングさせることなく、捕手キャラクタにボールオブジェクトBLを捕球させる見送り処理を行う(ステップS12)。
【0136】
このように、投手キャラクタCL2がボールオブジェクトBLを投じる毎に図3のフローチャートの処理が実行されてゲームが進行されていく。なお、図3のフローチャートでは、プレーヤが攻撃側、ゲーム装置が守備側にある場合を例に挙げたが、プレーヤが守備側、ゲーム装置が攻撃側にある場合、投手キャラクタCL2はプレーヤにより入力されたコース及び球種にしたがってボールオブジェクトBLを投げればよい。この場合、プレーヤは守備側にあるため、操作アイコンCMを非表示にすればよい。
【0137】
次に、プレーヤにより利き手設定指令が入力されたときのゲーム装置の処理について説明する。図4は、プレーヤにより利き手設定指令が入力されたときのゲーム装置の処理を示すフローチャートである。
【0138】
まず、操作指令受付部223は、プレーヤから利き手設定指令を受け付ける(ステップS31)。この利き手設定指令は、例えばプレーヤが1つの試合を開始する際に表示部211に表示される利き手設定画面に従ってプレーヤに入力される。この利き手設定画面は、例えば“左”及び“右”ボタンが設けられている。
【0139】
したがって、操作指令受付部223は、プレーヤにより“左”ボタンがタッチされた場合、利き手として左手を設定するための利き手設定指令がプレーヤにより入力されたと判定する(ステップS31で左)。そして、操作アイコン表示部222は、操作アイコン表示領域DM2を表示部211の左側に設定する(ステップS32)。一方、操作指令受付部223は、プレーヤにより“右”ボタンがタッチされた場合、利き手として右手を設定するための利き手設定指令がプレーヤにより入力されたと判定する(ステップS31で右)。そして、操作アイコン表示部222は、操作アイコン表示領域DM2を表示部211の右側に設定する(ステップS33)。
【0140】
このように、利き手によって操作アイコン表示領域DM2の表示を表示部211の右側または左側に設定可能としているのは、本実施の形態によるゲーム装置を片手で把持し、その把持した同じ手で操作も行うことを想定しているためである。
【0141】
図5、図6及び図8に示す形態では右手で装置を把持しながら、同じ右手の親指で操作するケースを示している。この場合、当然ながらプレーヤは右利きである。この場合、操作アイコン表示領域DM2も、図6に示す通り、画面の右側に表示されている。
【0142】
従って、仮に左利きのプレーヤが左手でこの装置を把持した場合には、左手の親指を反対側の右側まで伸ばして操作することは困難である。また、左手の親指が画面上を跨ぐことになり視認性も低下するので、実質的に片手で、把持および操作の両方を行うことは困難である。この点、本構成によれば、操作アイコン表示領域DM2を左側に表示することができるので、左利きのプレーヤでも片手での把持および操作が可能となる。
【0143】
なお、試合開始前にプレーヤにより利き手設定指令が入力されない場合、操作アイコン表示部222は表示部211の右側に操作アイコン表示領域DM2を設定すればよい。
【0144】
上記実施の形態では、野球ゲームを実行する場合を例示したが、これに限定されず、野球ゲーム以外、例えばテニス、卓球、スカッシュ等のラケットによりボールを打ち返す球技のゲームにおいても本発明は適用可能である。この場合、ラケットがボールオブジェクトBLを打撃する箇所に照準カーソル表示領域DM1を設ける。そして、照準カーソル表示領域DM1の左側又は右側に操作アイコン表示領域DM2を設ける。そして、操作アイコン表示領域DM2に表示された操作アイコンCMをプレーヤに操作させて、照準カーソルKを移動させればよい。
【0145】
また、サッカーゲームの例えばPK戦において本発明を適用してもよい。この場合、プレーヤが照準カーソルKをボールオブジェクトBLに位置決めして、ゴールキーパーのキャラクタにボールオブジェクトBLをキャッチさせるゲーム態様が採用される。この態様において、ゴールキーパーの左側又は右側に操作アイコン表示領域DM2を表示し、プレーヤにより操作アイコンCMを操作させて照準カーソルKを操作させればよい。
【0146】
また、上記実施の形態において、プレーヤの好みに応じて、操作アイコンCMと照準カーソルKとの移動速度の割合RTを変更できるようにしてもよい。この場合、例えば、1つの試合が開始される前又は試合中においてプレーヤから要求があった場合、割合RTを設定するための操作画像を表示し、この操作画像を用いて割合RTを設定させればよい。そして、変更後の割合RTにおいて、上記のデッドスペースが生じないように、照準カーソル表示領域DM1及び操作アイコン表示領域DM2の面積を変更すればよい。
【符号の説明】
【0147】
210 操作表示部
211 表示部
220 制御部
221 照準カーソル表示部
222 操作アイコン表示部
223 操作指令受付部
224 照準カーソル連動制御部
225 作用付与タイミング決定部
226 作用付与部
227 移動体オブジェクト制御部
228 キャラクタ制御部
229 表示制御部
240 記憶部
241 画像データ記憶部
242 能力値記憶部
BL ボールオブジェクト
BT バットオブジェクト
CL1 打者キャラクタ
CL2 投手キャラクタ
CM 操作アイコン
DM1 照準カーソル表示領域
DM2 操作アイコン表示領域
K 照準カーソル
PE 移動終了位置
PS 移動開始位置
RT 割合
YB 指(指示体の一例)
YP 到着予想位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに対して仮想的に作用を与えるゲームの進行を制御するゲーム装置であって、
タッチパネル式の表示部を備える操作表示部と、
前記ゲーム空間において、前記移動体オブジェクトに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを前記表示部の照準カーソル表示領域に表示させる照準カーソル表示部と、
前記表示部内の前記照準カーソル表示領域とは異なる操作アイコン表示領域に、前記照準カーソルを操作するための操作アイコンを表示し、且つ前記操作アイコンへの指示体の接触移動に応じて、前記操作アイコンを移動表示する操作アイコン表示部と、
前記操作アイコンへの前記指示体の接触移動により入力される移動指令と、前記接触移動後に、前記表示部から前記指示体が離されることで入力されるタイミング決定指令とを受け付ける操作指令受付部と、
前記操作アイコン表示部により移動表示される操作アイコンの動きに連動するように、前記照準カーソルを前記表示部に移動表示させる照準カーソル連動制御部と、
前記操作指令受付部により前記タイミング決定指令が受け付けられたタイミングを基準として前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与タイミングを決定する作用付与タイミング決定部と、
前記作用付与タイミング決定部により決定された前記作用付与タイミングにおいて、前記移動体オブジェクトと前記照準カーソルとの少なくとも一部が重なった場合、前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与部とを備えるゲーム装置。
【請求項2】
前記照準カーソル連動制御部は、前記照準カーソル表示領域内において、前記照準カーソルの移動速度を前記操作アイコンの移動速度に対して一定の割合に設定して移動表示させ、
前記割合は、前記操作アイコンが前記操作アイコン表示領域内の初期位置から前記操作アイコン表示領域の端まで移動したときに、前記照準カーソルが初期位置から前記照準カーソル表示領域の端まで移動する値に設定されている請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記操作アイコン表示部は、前記操作指令受付部により前記タイミング決定指令が受け付けられた場合、前記操作アイコンを非表示にする請求項1又は2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記ゲーム空間内の所定の移動開始位置から所定の移動終了位置まで前記移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト制御部を更に備え、
前記操作アイコン表示部は、前記移動体オブジェクトが前記移動終了位置に到達するまでにプレーヤにより前記タイミング決定指令が入力されなかった場合、前記移動体オブジェクトが前記移動終了位置に到達したときに、前記操作アイコンを非表示にする請求項1〜3のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記ゲームは、野球ゲームであり、
前記移動体オブジェクトは、投手キャラクタが振りかぶる動作を行った後、投球動作を行うことで投じられるボールオブジェクトであり、
前記移動体オブジェクト制御部は、前記投手キャラクタが前記振りかぶる動作を行ったときに、前記移動開始位置と前記移動終了位置との間に設定された打撃ゾーンにおける前記ボールオブジェクトの到着予想位置を前記表示部に表示させ、前記移動終了位置に前記ボールオブジェクトが到達したときに前記到着予想位置を非表示にする請求項4記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記操作指令受付部は、プレーヤが左利き又は右利きであるかを指定するためにプレーヤにより入力される利き手設定操作指令を受け付け、
前記操作アイコン表示部は、プレーヤが左利きである場合、前記照準カーソル表示領域を前記表示部の左端に設定し、プレーヤが右利きである場合、前記照準カーソル表示領域を前記表示部の右端に設定する請求項1〜5のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項7】
前記操作アイコンは、前記指示体と前記表示部とが接触する領域の面積よりも所定サイズ大きな面積を持つ円である請求項1〜6のいずれかに記載のゲーム装置。
【請求項8】
ゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに対して仮想的に作用を与えるゲームの進行を制御するゲーム装置としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラムであって、
前記ゲーム装置は、タッチパネル式の表示部を備える操作表示部を備え、
前記ゲーム空間において、前記移動体オブジェクトに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを前記表示部の照準カーソル表示領域に表示させる照準カーソル表示部と、
前記表示部内の前記照準カーソル表示領域とは異なる操作アイコン表示領域に、前記照準カーソルを操作するための操作アイコンを表示し、且つ前記操作アイコンへの指示体の接触移動に応じて、前記操作アイコンを移動表示する操作アイコン表示部と、
前記操作アイコンへの前記指示体の接触移動により入力される移動指令と、前記接触移動後に、前記表示部から前記指示体が離されることで入力されるタイミング決定指令とを受け付ける操作指令受付部と、
前記操作アイコン表示部により移動表示される操作アイコンの動きに連動するように、前記照準カーソルを前記表示部に移動表示させる照準カーソル連動制御部と、
前記操作指令受付部により前記タイミング決定指令が受け付けられたタイミングを基準として前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与タイミングを決定する作用付与タイミング決定部と、
前記作用付与タイミング決定部により決定された前記作用付与タイミングにおいて、前記移動体オブジェクトと前記照準カーソルとの少なくとも一部が重なった場合、前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与部としてコンピュータを機能させるゲーム制御プログラム。
【請求項9】
ゲーム空間内で移動する移動体オブジェクトに対して仮想的に作用を与えるゲームの進行をゲーム装置が制御するゲーム制御方法であって、
前記ゲーム装置は、タッチパネル式の表示部を備える操作表示部を備え、
前記ゲーム装置が、前記ゲーム空間において、前記移動体オブジェクトに作用を付与する位置を決定するための照準カーソルを前記表示部の照準カーソル表示領域に表示させる照準カーソル表示ステップと、
前記ゲーム装置が、前記表示部内の前記照準カーソル表示領域とは異なる操作アイコン表示領域に、前記照準カーソルを操作するための操作アイコンを表示し、且つ前記操作アイコンへの指示体の接触移動に応じて、前記操作アイコンを移動表示する操作アイコン表示ステップと、
前記ゲーム装置が、前記操作アイコンへの前記指示体の接触移動により入力される移動指令と、前記接触移動後に、前記表示部から前記指示体が離されることで入力されるタイミング決定指令とを受け付ける操作指令受付ステップと、
前記ゲーム装置が、前記操作アイコン表示ステップにより移動表示される操作アイコンの動きに連動するように、前記照準カーソルを前記表示部に移動表示させる照準カーソル連動制御ステップと、
前記ゲーム装置が、前記操作指令受付ステップにより前記タイミング決定指令が受け付けられたタイミングを基準として前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与タイミングを決定する作用付与タイミング決定ステップと、
前記ゲーム装置が、前記作用付与タイミング決定ステップにより決定された前記作用付与タイミングにおいて、前記移動体オブジェクトと前記照準カーソルとの少なくとも一部が重なった場合、前記移動体オブジェクトに作用を与える作用付与ステップとを備えるゲーム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−176053(P2012−176053A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39753(P2011−39753)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】