説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、ならびに、プログラム

【課題】楽曲の再生にあわせてプレイヤが操作入力を行うゲームにおいて、プレイヤの上達を支援するのに好適なゲーム装置等を提供する。
【解決手段】ゲーム装置300において、再生部301は、複数の区間に分割された楽曲を再生し、表示部302は、楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示し、受付部303は、プレイヤからの入力を受け付け、取得部304は、受け付けられたプレイヤからの入力が、画面に表示されている指示に一致している度合を取得し、判定部305は、複数の区間のうち、再生部301により再生された区間に対応付けられた指示における取得された度合が、閾値以上であるかを判定し、さらに再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間を、再生し直す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲の再生にあわせてプレイヤが操作入力を行うゲームにおいて、プレイヤの上達を支援するのに好適なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲のリズムにあわせてプレイヤが入力を操作する、いわゆる音楽ゲーム(リズムゲーム)が知られている。音楽ゲームは、例えば、画面上に順次表示される指示画像が、基準画像に到達したときに、プレイヤがタイミングよく入力をすることにより進行するゲームである。プレイヤは、指示画像によって指示された操作をタイミングよく入力すればするほど、楽曲のリズムにあわせた動作(ダンスの振付けや楽器の演奏など)を行うことができ、ゲームを楽しむことができる。
【0003】
このような音楽ゲームでは、典型的には、画面上に順次表示される指示画像によって指示されたタイミングと、プレイヤが入力をしたタイミングとのずれによってゲームの採点を行う。すなわち、タイミングのずれた(失敗した)入力が多ければ多いほど、またそれらのタイミングのずれ方が大きければ大きいほど、プレイの得点は低くなる。そのため、なるべく失敗を減らして、より高得点を獲得できるようになり、プレイヤにプレイを上達させてよりゲームを楽しませるように促す技術が、種々に開発されている。
【0004】
例えば特許文献1には、失敗した入力があると、その区間(小節)の指示画像の色や大きさといった表示の体裁を、その失敗の回数に応じて変化させる技術が開示されている。これにより、プレイヤは楽曲のどの部分で自身が失敗しやすいのかを容易に把握できるようになり、失敗を修正してプレイの上達につなげることができる。また特許文献1には、プレイヤが失敗した区間(小節)を選択し、それ以外の区間を早送り若しくはスキップする技術も開示されている。これにより、プレイヤは、楽曲の中で自身が苦手とする区間を重点的にプレイしやすくなり、プレイの早期の上達につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−29296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、プレイヤは、楽曲の中で自身が苦手とする区間を重点的にプレイする上で、なるべくそれまでプレイしてきた楽曲のリズムを崩さずに行いたい、との要望がある。すなわち、苦手な区間を重点的に練習するために、楽曲全体の中でその区間のみ、あるいは周辺の数区間のみを個別に再生しても、すぐにはリズムがつかめないという状況が起きやすいと考えられる。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、楽曲の再生にあわせてプレイヤが操作入力を行うゲームにおいて、プレイヤの上達を支援するのに好適なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、再生部、表示部、受付部、取得部、判定部を備える。
【0009】
再生部は、複数の区間に分割された楽曲を再生する。
【0010】
すなわち、再生部は、例えばプレイヤが楽曲のリズムにあわせてダンスを踊る音楽ゲームにおける楽曲を再生する。ここで楽曲は、複数の区間、すなわち典型的には楽曲を構成する小節、に分割することができる。なお、ここでの区間は、必ずしも小節1個分の区間に対応するものに限られず、小節2個分の区間や、小節の半分の区間、あるいは小節に限られず、何らかの区間であればよい。
【0011】
表示部は、楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する。
【0012】
例えば、プレイヤが楽曲のリズムにあわせてダンスを踊るダンスゲームでは、表示部は、プレイヤがとるべきダンスの振付けを画面に表示する。すなわち、楽曲のある小節内では両足を左右に開き、別の小節内では左足を前に出す、といった振付けを画面に表示し、プレイヤは表示された振付けに従って、例えば床に設置されたマット型のコントローラの前後左右に配置されたボタンを左右の足で押圧することで入力し、ゲームを進める。
また別の例として、プレイヤが楽曲のリズムにあわせてピアノを弾く音楽ゲームでは、表示部は、プレイヤが弾くべき鍵盤の鍵を画面に表示する。すなわち、楽曲のある小節内では”ド”、”レ”、”ミ”、”ファ”の順で鍵を叩き、別の小節内では”ソ”、”ラ”、”シ”、”ド”の順で鍵を叩く、といった指示を画面に表示し、プレイヤは表示された指示に従って、例えば所定のボタンが配置されたコントローラの対応するボタンを押圧することで入力し、ゲームを進める。
【0013】
受付部は、プレイヤからの入力を受け付ける。
【0014】
すなわち、受付部はゲーム装置へプレイヤからの入力を受け付ける一般的なコントローラに相当する。例えば上記の例における足で押圧するボタンが配置されたマット型のコントローラ、あるいは手で押圧するための所定のボタンが配置されたコントローラ、などが典型的である。また、ボタンを押圧するコントローラに限られず、赤外線でプレイヤの動作をとらえるタイプのコントローラや、内部に備えられた加速度センサによってコントローラ自身が振られたり回転させられたりする動きをとらえるタイプのコントローラであってもよく、他にも様々なタイプのコントローラであってもよい。
【0015】
取得部は、受け付けられたプレイヤからの入力が、画面に表示されている指示に一致している度合を取得する。
【0016】
すなわち、取得部は、受付部によって受け付けられた入力情報と、表示部によって表示された入力の指示情報とを受け取り、それらがどれくらい一致しているかの度合を取得する。例えば、所定のタイミングでマット型コントローラの左ボタンを押圧する指示に対して、当該所定のタイミングとプレイヤが左ボタンを押圧したタイミングとの差を取得する。この差が小さければ、一致している度合は高くなり、差が大きければ、一致している度合は低くなる。
【0017】
判定部は、複数の区間のうち、再生部により再生された区間に対応付けられた指示における取得された度合が、閾値以上であるかを判定する。
【0018】
すなわち、再生部がある小節を再生し終わった後に、その小節に対応付けられていたすべての指示について、上記の取得部によって取得された一致の度合の合計をとる。その度合の合計が閾値以上であれば、その小節についてプレイヤは正しく指示に従って入力できたと判定し、一方でその度合の合計が閾値未満であれば、その小節についてプレイヤは正しく指示に従って入力できなかったものと判定する。
【0019】
ここで「閾値」は、合否を判定する基準となる値のことであり、ゲーム装置においてあらかじめ設定された値であってもよいし、後述するように値が変更されて設定し直される値であってもよい。
【0020】
さらに、再生部は、判定部によって閾値以上であると判定されなかった区間(以下「練習区間」という)を、再生し直す。
【0021】
すなわち、上記の判定部は、再生し終わった小節について取得された度合の合計が閾値以上と判定されなかった場合に、再生部に再生し直しの命令を出す。そして、再生部が、当該再生し終わった小節を再び再生し直す。これによって、度合の合計が閾値以上と判定されなかった小節を、プレイヤが何度も練習することができるようになる。
【0022】
このような構成により、プレイヤは、表示された指示に一致した度合が低かった区間(小節)、すなわち楽曲の再生にあわせて入力することに失敗した区間(小節)は、練習区間とされ、再生部によって再生し直される。その結果、プレイヤは失敗した区間を重点的にプレイすることができるようになり、プレイヤの早期の上達につながる。
【0023】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す、ことも可能である。
【0024】
練習区間、すなわちプレイヤが楽曲の再生にあわせて入力することに失敗した区間が再生部により再生し直される場合、この練習区間のみを再生し直すよりも、いくつか前の区間から再生し直した方が、練習区間のプレイをするときにリズムがとりやすくなると想定される。そのため、練習区間を再生部が再生し直す場合は、あらかじめ定めた数だけ前の区間の最初から再生し直す。
【0025】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、練習区間の最後から、当該練習区間の所定個前の区間の最初までを、時系列順に逆向きに再生し、さらに当該練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す、ことも可能である。
【0026】
すなわち、練習区間が再生部により再生し直される場合、再生部は、この練習区間の所定個前の区間から再生し直すが、この場合に、楽曲の再生が練習区間の最後から所定個前の区間の最初に突然戻ると、不連続となり音楽のリズムがとれなくなることが想定される。これを防ぐため、練習区間の最後から所定個前の区間の最初まで逆向きに再生してから、所定個前の区間の最初から再生し直す。
【0027】
このような構成により、楽曲の再生が時系列的に手前の区間に戻る際に、不連続に戻らずに楽曲のテンポを維持しまま、プレイヤは再度の練習をするための心構えにすることができる。また、楽曲を逆再生することで、いわゆるディスクジョッキーのスクラッチプレイを模擬することができ、ゲームの趣向を高めることができる。
【0028】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、練習区間を、当該練習区間を再生し直した回数が多いほど、再生速度を下げて再生し直す、ことも可能である。
【0029】
すなわち、プレイヤが何度も入力に失敗し、何度も再生し直される区間については、テンポを落としてゆっくり再生することで、ゲームの難易度を下げる。その結果、初心者のプレイヤがレベルの高いゲームをプレイするときなどでも、興ざめさせることなく、プレイヤの興味を引き続けることができる。
【0030】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、楽曲の再生を所定の初期速度で開始し、練習区間を再生し直した後、判定部によって当該練習区間に対応付けられた指示における取得された度合が閾値以上であると判定された場合、下げられた再生速度を所定の初期速度以下の速度に上げる、ことも可能である。
【0031】
すなわち、プレイヤが入力に失敗した練習区間について、再生速度が下げられて再生された状態でプレイし直した結果、今度は入力に成功したとする。この場合、その後再生部は、下げられた再生速度を上げて楽曲を再生する。このときの再生速度の上げ方は、楽曲の再生が開始されたときの速度、すなわち初期速度に上げてもよい。あるいは、初期速度にまでは上げなくても、下げられた速度と初期速度との間の速度に上げる、すなわち少しずつ再生速度を上げてもよい。
【0032】
これによって、プレイヤが苦手とする区間については、難易度が下げられた状態でプレイし直すことができ、プレイし直した結果、苦手とする区間のプレイに成功した後は、ゲームの難易度が下げられたままプレイするのではなく、元の難易度に戻しながらプレイすることができる。
【0033】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、下げられた再生速度が所定の初期速度に戻った後、練習区間以降の区間を再生する、ことも可能である。
【0034】
すなわち、下げられた再生速度が上述したように少しずつ初期速度に戻る場合、初期速度に戻るまでは、練習区間以降の区間の再生は開始せず、練習区間(および所定個前までの区間)の再生を繰り返しながら、再生速度を少しずつ戻す。このような構成によって、下げられた難易度を段階的に元に戻しながら、プレイヤは苦手とする区間の練習を繰り返すことができる。
【0035】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、練習区間を、当該練習区間を再生し直した回数が多いほど、閾値を下げて再生し直す、ことも可能である。
【0036】
すなわち、プレイヤが何度も入力に失敗し、何度も再生し直される区間については、判定部によってプレイの成否の判定に用いられる閾値を落として再生することで、ゲームの難易度を下げる。その結果、初心者のプレイヤがレベルの高いゲームをプレイするときなどでも、興ざめさせることなく、プレイヤの興味を引き続けることができる。
【0037】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、楽曲の再生を所定の初期閾値で開始し、練習区間を再生し直した後、判定部によって当該練習区間に対応付けられた指示における取得された度合が下げられた閾値以上であると判定された場合、当該下げられた閾値を所定の初期閾値以下の閾値に上げる、ことも可能である。
【0038】
すなわち、プレイヤが入力に失敗した練習区間について、判定部によって判定に用いられる閾値が下げられて再生された状態でプレイし直した結果、今度は入力に成功したとする。この場合、その後再生部は、下げられた閾値を上げて楽曲を再生する。このときの閾値の上げ方は、楽曲の再生が開始されたときの閾値、すなわち初期閾値にあげてもよい。あるいは、初期閾値にまでは上げなくても、下げられた閾値と初期閾値との間の閾値に上げる、すなわち少しずつ閾値を上げてもよい。
【0039】
これによって、プレイヤが苦手とする区間については、難易度が下げられた状態でプレイし直すことができ、プレイし直した結果、苦手とする区間のプレイに成功した後は、ゲームの難易度が下げられたままプレイするのではなく、元の難易度に戻しながらプレイすることができる。
【0040】
また、本発明のゲーム装置において、再生部は、下げられた閾値が所定の初期閾値に戻った後、練習区間以降の区間を再生する、ことも可能である。
【0041】
すなわち、下げられた閾値が上述したように少しずつ初期閾値に戻る場合、初期閾値に戻るまでは、練習区間以降の区間の再生は開始せず、練習区間(および所定個前までの区間)の再生を繰り返しながら、閾値を少しずつ戻す。このような構成によって、下げられた難易度を段階的に元に戻しながら、プレイヤは苦手とする区間の練習を繰り返すことができる。
【0042】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るゲーム装置の制御方法は、再生部、表示部、受付部、取得部、判定部を備えたゲーム装置が実行する制御方法であって、再生工程、表示工程、受付工程、取得工程、判定工程を備える。
【0043】
再生工程では、再生部が、複数の区間に分割された楽曲を再生する。
表示工程では、表示部が、楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する。
受付工程では、受付部が、プレイヤからの入力を受け付ける。
取得工程では、取得部が、受け付けられたプレイヤからの入力が、画面に表示されている指示に一致している度合を取得する。
判定工程では、判定部が、複数の区間のうち、再生部により再生された区間に対応付けられた指示における取得された度合が、閾値以上であるかを判定する。
さらに、再生工程では、再生部が、判定部によって閾値以上であると判定されなかった区間を、再生し直す。
【0044】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータを、上記のゲーム装置として機能させ、コンピュータに、上記の制御方法の各工程を実行させるように構成する。
【0045】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0046】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配付・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配付・販売することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、楽曲の再生にあわせてプレイヤが操作入力を行うゲームにおいて、プレイヤの上達を支援するのに好適なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置が実現される典型的な携帯型端末機の概要構成を示す模式図である。
【図2】本発明のゲーム装置等の機能を果たす典型的な携帯型端末機の外観を示す外観図である。
【図3】本発明のゲーム装置に係る概要構成を示す模式図である。
【図4】ゲーム装置のゲーム画面の構成例を示した図である。
【図5】楽曲が逆再生されているときの、ゲーム画面の構成例を示した図である。
【図6】実施形態1における、経過時間と再生される楽曲の小節との関係の一例を示した図である。
【図7】実施形態1のゲーム装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)実施形態2における、経過時間と再生される楽曲の小節および再生速度との関係の一例を示した図である。(b)実施形態2における、経過時間と判定に用いられる閾値との関係の一例を示した図である。
【図9】実施形態2のゲーム装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】(a)実施形態3における、経過時間と再生される楽曲の小節および再生速度との関係の一例を示した図である。(b)実施形態3における、経過時間と判定に用いられる閾値との関係の一例を示した図である。
【図11】実施形態3のゲーム装置に係る処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0050】
(実施形態1)
図1は、プログラムを実行することにより、本発明のゲーム装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して実施形態1に係る情報処理装置100について説明する。
【0051】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)ドライブ107と、画像処理部108と、音声処理部109と、NIC(Network Interface Card)110と、を備える。
【0052】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ107に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のゲーム装置が実現される。
【0053】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。
【0054】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0055】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。
【0056】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0057】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲームのプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワークを用いたゲームのチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0058】
DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ107は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0059】
画像処理部108は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部108が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部108が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部108に接続されるモニター(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0060】
なお、画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0061】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。フォント情報は、ROM 102に記録されているが、DVD−ROMに記録された専用のフォント情報を利用することも可能である。
【0062】
音声処理部109は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0063】
NIC 110は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0064】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0065】
図2は、実施形態1において使用されるコントローラ105の一例である、マット型のコントローラの概略図である。マット型コントローラ200は、床面に配置され、表面の所定領域には、プレイヤが足や手などでの押圧動作により押圧状態と非押圧状態とに変化するボタンが複数配置されている。例えば、本図に示すように、左ボタン201a、下ボタン201b,上ボタン201c、右ボタン201d等が配置されている。そして、これらのボタンがユーザに押圧されると、押圧されたボタンに応じた操作入力を受け付ける。
【0066】
本実施形態では、マット型コントローラ200は4つのボタン201a〜201dを備えているが、ボタンの数は4個に限定されず、3個以下あるいは5個以上でもよい。また、操作入力するものとして、床面に配置する形状に限られず、手に持って操作するいわゆるタッチパッドの形状や、手で把持する形状であってもよい。
【0067】
また、マット型コントローラ200に代えて、赤外線カメラ等を使用することによりプレイヤの体全体の動きを捉えることで、ゲーム実行の操作入力としてもよい。
【0068】
次に、実施形態1のゲーム装置の機能的な構成について説明する。本発明のゲーム装置にて実行される典型的なゲームとして、現実空間においてプレイヤが音楽に合わせてダンスをするゲームがある。以下、ダンスゲームを例にとり、本実施形態を説明する。
【0069】
図3は、本発明のゲーム装置に係る概要構成を示す模式図である。本発明のゲーム装置300は、典型的には上述した上方処理装置100によって実現される。以下、本図を参照して概要構成を説明する。
【0070】
ゲーム装置300は、再生部301、表示部302、受付部303、取得部304、判定部305を備える。なお、各部の機能は互いに関連し合っているが、用途に応じて各部の採否を適宜変更することができる。また、ゲーム装置300は、記憶部等も適宜備え、現在時刻、プレイヤが行った入力の内容、入力の時刻等を記憶することもできる。
【0071】
再生部301は、複数の区間に分割された楽曲を再生する。すなわち例えば、DVD−ROMに記録された楽曲の音声データを、DVD−ROMドライブ107が読出し、RAM 103等に一時的に記憶した後で、音声処理部109の機能によってスピーカに楽曲の音声を出力させる。すなわち、音声処理部109等が、このような再生部301として機能する。
【0072】
ここで複数の区間は、例えば楽曲を構成する小節に対応する。すなわち、楽曲は、それを構成する小節の数に分割される。小節は、例えば2拍子、3拍子、4拍子などといった複数個の拍から構成され、そしてそのような同じ拍数、すなわち小節がいくつも連なることで、一般的に楽曲は構成される。
【0073】
表示部302は、楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する。すなわち例えば、再生部301が再生している楽曲に対応付けられた画像データを、DVD−ROMから読み出して、画像処理部108によってモニターへ表示する。すなわち、画像処理部108等が、このような表示部302として機能する。
【0074】
ここで表示部302は再生部301と連動しており、例えば再生部301が第n番目の小節を再生しているときは、第n番目の小節に対応したプレイヤがするべき入力の指示をモニターへ表示する。例えばダンスゲームでは、プレイヤは、このような指示に従って入力を行うことで、楽曲のリズムにあわせた動作や振付けをとることが可能となる。
【0075】
受付部303は、プレイヤからの入力を受け付ける。インターフェース104を介して接続されたコントローラ105、すなわち一例として上記のマット型コントローラ200が、このような受付部303として機能する。
【0076】
プレイヤは、表示部302によって表示された指示に従って、例えばマット型コントローラ200の受付部303へ入力を行う。すなわちマット型コントローラ200の左ボタン201aや右ボタン201dを押圧したり、下ボタン201bや上ボタン201cを押圧したりすることで、ゲーム装置300へ入力を行う。
【0077】
取得部304は、受け付けられたプレイヤからの入力が、画面に表示されている指示に一致している度合を取得する。CPU 101がRAM 103と連動することにより、このような取得部304として機能する。
【0078】
すなわち、取得部304は、受付部303によって受け付けられた入力情報と、表示部302によって表示された入力の指示情報とを受け取り、それらがどれくらい一致しているかの度合を取得する。例えば、所定のタイミングでマット型コントローラ200の左ボタン201aを押圧する指示に対して、当該所定のタイミングとプレイヤが左ボタン201aを押圧したタイミングとの差を取得する。この差が小さければ、一致している度合は高くなり、差が大きければ、一致している度合は低くなる。
【0079】
判定部305は、複数の区間のうち、再生部301により再生された区間に対応付けられた指示における取得された度合が、閾値以上であるかを判定する。CPU 101がRAM 103と連動することにより、このような取得部304として機能する。
【0080】
すなわち、再生部301がある小節を再生し終わった後に、その小節に対応付けられていたすべての指示について、上記の取得部304によって取得された一致の度合の合計をとる。その度合の合計が閾値以上であれば、その小節についてプレイヤは正しく指示に従って入力できたと判定し、一方でその度合の合計が閾値未満であれば、その小節についてプレイヤは正しく指示に従って入力できなかったものと判定する。
【0081】
さらに、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間(練習区間)を、再生し直す。すなわち上記の判定部305は、再生し終わった小節について取得された度合の合計が閾値以上と判定されなかった場合に、再生部301に再生し直しの命令を出し、当該再生し終わった小節を再び再生し直す。
【0082】
図4は、本発明のゲーム装置300に係るゲーム画面の構成例を示した図である。表示部302は、典型的には本図に示すようなゲーム画面400を、情報処理装置100の画像表示部108によってモニターへ表示する。
【0083】
このゲーム画面400では、複数種類の指示画像401a〜401dが、演奏される楽曲のリズム等に同調して、移動レーン402a〜402d(指示画像401の種類に応じたレーン)に沿って、下方から順次現れてそれぞれ情報まで移動して消えていく様子を示している。
【0084】
指示画像401a〜401dは、異なる向きの矢印シンボルを表し、上述したマット型コントローラ200のボタン201a〜201dを押圧する(踏む)動作に対応している。すなわち、
(a)左向きの矢印シンボルである指示画像401aは、プレイヤにマット型コントローラ200の左ボタン201aを踏む動作を指示するものであり、
(b)下向きの矢印シンボルである指示画像401bは、プレイヤにマット型コントローラ200の下ボタン201bを踏む動作を指示するものであり、
(c)上向きの矢印シンボルである指示画像401cは、プレイヤにマット型コントローラ200の上ボタン201cを踏む動作を指示するものであり、
(d)右向きの矢印シンボルである指示画像401dは、プレイヤにマット型コントローラ200の右ボタン201dを踏む動作を指示するものである。
【0085】
これら指示画像401a〜401dは、移動レーン402a〜402dの下端(起点)から出現し、移動レーン402a〜402dを上方向に移動し、そして、移動レーン402a〜402dの上端(終点)にて消滅する。そして、プレイヤには、いずれかの指示画像401a〜401dが基準画像403a〜403d(各指示画像401a〜401dと同じ形状のオブジェクトを固定して配置したもの)に到達したタイミングにて、その指示画像401a〜401dに対応した動作が要求される。
【0086】
つまり、基準画像403a〜403dに、指示画像401a〜401dがピッタリ重なったタイミングにて、その指示画像401a〜401dにより指示されたマット型コントローラ200のボタン201a〜201dを押圧する(踏む)動作が求められている。例えば、
(a)指示画像401aが基準画像403aまで移動したタイミング(より詳細には指示画像401aと基準画像403aがピッタリ重なったタイミング)にて、プレイヤは、マット型コントローラ200の左ボタン201aを踏む動作が求められている。同様に、
(b)指示画像401bが基準画像403bまで移動したタイミングにて、プレイヤはマット型コントローラ200の下ボタン201bを踏む動作が求められ、
(c)指示画像401cが基準画像403cまで移動したタイミングにて、プレイヤはマット型コントローラ200の上ボタン201cを踏む動作が求められ、
(d)指示画像401dが基準画像403dまで移動したタイミングにて、プレイヤはマット型コントローラ200の右ボタン201dを踏む動作が求められている。
【0087】
なお、図4では、指示画像401a〜401dがゲーム画面400の下方から上方へ移動する場合を示しているが、指示画像401a〜401dの移動方向はこれに限られず任意である。例えば、ゲーム画面400の上方から下方へ移動させてもよく、他にも、横方向(ゲーム画面400の右側から左側、または、ゲーム画面400の左側から右側)等へ移動させてもよい。また、基準画像403a〜403dの代わりに、移動レーン402a〜402dと直交する基準ラインを表示し、プレイヤが動作をするタイミングの基準として用いてもよい。また、移動レーン402a〜402dは、ゲーム画面400において非表示としてもよい。
さらに、指示画像401a〜401dの形状は、一例であり、他の形状であってもよい。また、プレイヤに指示する動作方向(指示方向)も一例であり、他の動作方向であってもよい。
【0088】
このように、本実施形態では、ゲーム画面400内の移動レーン402a〜402d上をスクロール移動する指示画像401a〜401dが基準画像403a〜403dに重なるタイミングにて、マット型コントローラ200の指示されたボタン201a〜201dを足で踏むことにより、再生される楽曲にあわせてダンスを踊りながら、ゲームを進めることができるように構成されている。
【0089】
ここで、再生部301によって再生される楽曲は、複数の区間に分割される。本実施形態では、複数の区間として、楽曲を構成する小節をとり、小節は4つの拍からなるものとする。図4では、スクロール移動する複数の指示画像401a〜401dは、ゲーム画面400内で3つの小節404a〜404cに区分けされている(一点鎖線で囲われた部分)。ここでは1つの小節404a〜404cは、4つの拍から構成され、1つの拍に対して1つの指示画像401a〜401dが対応付けられ、その結果1つの小節404a〜404cには4つの指示画像401a〜401dによって構成されている。
【0090】
具体的に、小節404aでは、プレイヤは、
(1)1拍目には「左」を指示する指示画像401aが示されているので、マット型コントローラ200の左ボタン201aを踏む動作をとり、
(2)2拍目には「上」を指示する指示画像401cが示されているので、マット型コントローラ200の上ボタン201cを踏む動作をとり、
(3)3拍目には「右」を指示する指示画像401dが示されているので、マット型コントローラ200の右ボタン201dを踏む動作をとり、
(4)4拍目には「下」を指示する指示画像401bが示されているので、マット型コントローラ200の下ボタン201bを踏む動作をとる。
さらに、次の小節404bでは、プレイヤは、
(5)1拍目には「左」を指示する指示画像401aが示されているので、マット型コントローラ200の左ボタン201aを踏む動作をとり、
(6)2拍目には「下」を指示する指示画像401bが示されているので、マット型コントローラ200の下ボタン201bを踏む動作をとり、
(7)3拍目には「右」を指示する指示画像401dが示されているので、マット型コントローラ200の右ボタン201dを踏む動作をとり、
(8)4拍目には「上」を指示する指示画像401cが示されているので、マット型コントローラ200の上ボタン201cを踏む動作をとる。
なお、図4では、さらに次の小節404cだけは2つの方向画像401b、401dしかなく長さが短いように見えるが、これは小節404cがゲーム画面400内に一部しか表示されていないためであり、3つの小節404a〜404cの長さはすべて同一であるものとする。
【0091】
ここで図4では、1つの小節404は4つの拍からなるとしたが、本実施形態では1つの小節404を構成する拍数は4つに限られず、2拍で構成されても8拍で構成されても、あるいは別の個数の拍で構成されてもよい。また図4では、1つの拍に必ず指示画像401が1つ対応するかのように示されているが、本実施形態ではこれに限られず、1つの拍に複数の指示画像401(例えば、左方向を示す指示画像401aと上方向を示す401cにより、両足で左ボタン201aと上ボタン201cを同時に踏む指示)が同時に対応付けられていてもよいし、あるいは何の指示画像401も対応付けられていない拍があってもよい。
【0092】
本実施形態では、取得部304が、このような指示画像401a〜401dによって指示される方向のボタン201a〜201dを、指示画像401a〜401dが基準画像403a〜403dに重なるタイミングで押圧されたかどうか、その一致の度合を取得する。すなわち、プレイヤからボタン201a〜201dが押圧された時刻と、指示された(指示画像401と基準画像403が重なる)時刻との差を取得し、その差が小さいほど一致の度合が高いとし、その差が大きいほど一致の度合が低いとする。
【0093】
例えば、上記の差に対して、以下のような点数をつけるとする。
(a)0〜0.03秒であれば5点(以降、「PERFECT」と呼ぶ)、
(b)0.03〜0.06秒であれば3点(以降、「GREAT」と呼ぶ)、
(c)0.06〜0.1秒であれば1点(以降、「GOOD」と呼ぶ)、
(d)0.1秒を超えていれば0点(以降、「BAD」と呼ぶ)、
このとき、取得部304は、楽曲中の入力の指示の数だけこのような点数をつける。そして、楽曲全体としてこのような点数の和をとり得点として表示すると、プレイヤがどれくらい指示された方向のボタン201a〜201dを指示されたタイミングで押圧できたかの指標となる。
【0094】
このようにして取得された得点に対して、プレイヤが楽曲全体のうち得点が低い部分を重点的に練習できれば、楽曲全体としての得点を上げることができ、ゲームの上達を早めることができる。そのため、本実施形態では、判定部305が、小節404ごとにあらかじめ設定された閾値を設けて、小節404内の入力の指示に対して取得された点数の合計がその閾値以上であるかを判定する。そして、判定部305によってその閾値以上であると判定されなかった小節404を、再生部301が再生し直す。
【0095】
具体的に、小節404ごとに点数の合計に対して、閾値として10点が対応付けられているとした場合を考える。図4の例では、小節404aには4つの指示画像401a〜401dが対応付けられているので、4つの指示画像401a〜401dに対するプレイヤの入力のタイミングに基づいて取得された点数の合計が、10点以上であればその小節404aは合格と判定され、10点未満であれば不合格と判定される。
例えば、4つの指示画像401a〜401dに対してプレイヤから入力されたタイミングと、指定された(指示画像401が基準画像403に重なる)タイミングとの差が、順に、
(a)「PERFECT」「PERFECT」「GREAT」「GREAT」であった場合は、点数の合計は5点+5点+3点+3点=16点となり、合格となる。その結果、次の小節404bの再生へ移行する。
(b)「GREAT」「GOOD」「GOOD」「BAD」であった場合は、点数の合計は3点+1点+1点+0点=5点となり、不合格となる。その結果、次の小節404bの再生へ移行せずに、この小節404aが再生し直される。
【0096】
ここで、判定部305は、閾値と比べるために、個々の指示画像401に対する入力の一致の度合の点数を、単純な合計(和)をとらなくてもよい。すなわち例えば、1拍目の一致の度合を重要視するなど、個々の一致の度合に重みをつけて和をとり、閾値と比べてもよい。
あるいはまた、個々の一致の度合の和をとらずに、小節404内に1つでも「BAD」があれば不合格とする、という基準を用いてもよい。この場合は、判定に用いる閾値は、上記の例では3点(「GOOD」)となり、判定部305は、小節404内の個々の指示画像401に対する入力の一致の度合を調べて、1つでも3点未満のもの(すなわち「BAD」)があれば不合格とすることになる。
【0097】
このように小節404ごとに合否を判定して、基準に達しなかった小節404を再生し直すことで、プレイヤは自身が苦手とする小節404を繰り返し重点的に練習することができる。
【0098】
また、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間(小節404)、すなわち練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す。例えば、1個前の小節404の最初から再生し直す場合を考える。図4におけるゲーム画面400に表示されるようにゲームが進行していた場合、例えばプレイヤが小節404bにおいて上手くプレイできず、判定部305によって不合格と判定されたとすると、そのとき楽曲は1個前の小節404aの最初から再生され直されることになる。ここで本実施形態では、再生し直される小節404は、不合格の小節404から1個前の小節404に限られず、2個前でも3個前でも、それ以上の数だけ前の小節404から開始してもよい。
【0099】
このような構成により、判定部305によって不合格とされた小節404が再生部301によって再生し直される場合に、不合格の小節404のみを再生し直すよりも、いくつか前の小節404から再生し直すことで、プレイヤは不合格の小節404のプレイをするときにリズムをとりやすくなると想定される。
【0100】
また、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間(小節404)、すなわち練習区間の最後から、当該練習区間の所定個前の区間の最初までを、時系列順に逆向きに再生し、さらに当該練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す。すなわち、上記のように判定部305により不合格と判定された小節404に対して1個前の小節404の最初から再生し直す場合に、突然不連続に手前の小節404の最初まで戻るのではなく、楽曲を逆向きに再生して戻る。
【0101】
図5は、楽曲が逆再生されているときの、ゲーム画面400の構成例を示した図である。本図の構成要素は、基本的には図4に示されたゲーム画面400と同様であるが、図4では指示画像401a〜401dは、それぞれ対応する移動レーン402a〜402dをゲーム画面400の下から上へスクロール移動していたが、図5での指示画像401a〜401dは、上から下へスクロール移動している。
【0102】
すなわち、再生部301によって楽曲が通常の時系列順に再生されていた図4では、表示部302は再生部301の再生にあわせて、ゲーム画面400内の指示画像401a〜401dを順方向へ(下から上へ)スクロール移動させるが、再生部301によって楽曲が時系列順に逆方向に再生されている図5では、表示部302は再生部301の再生にあわせて、指示画像401a〜401dを逆方向へ(上から下へ)スクロール移動させる。
【0103】
このときの逆向きに再生される楽曲は、通常はリズムやメロディを伴った音楽にはならず、そのため逆再生中は、プレイヤがその再生にあわせてダンスをしたり楽器を演奏したりすることは難しくなる。しかし、上記のように時系列的に手前の小節404に楽曲の再生が不連続に移行するよりは、楽曲のテンポを維持したままプレイヤは再度の練習をするための心構えにすることができると想定される。
さらに、楽曲を逆再生して演奏することは、いわゆるディスクジョッキーのスクラッチプレイなどでも見られることであり、音楽ゲームを楽しむための趣向を高めることにつながりうる。
【0104】
図6は、本実施形態における、経過時間と再生される楽曲の小節との関係の一例を示した図である。本実施形態におけるここまで説明したような構成に基づいて、楽曲を構成するそれぞれの小節がどのような順に再生されるのかを、本図のグラフを用いて以下に説明する。
【0105】
図6のグラフでは、横軸に経過時間をとり、縦軸に再生される楽曲の小節をとる。ここでは、グラフの原点が楽曲を再生開始時に相当し、時間が経過するほど再生される楽曲の小節は第1小節、第2小節、第3小節、というように先へ進み、グラフ内の右上の領域へ移行する。すなわち、楽曲の再生のし直しがなく通常に再生されている限り、グラフは原点から右上方向に直線的に描かれる。
【0106】
ここで、楽曲の第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合を考える。すなわち、判定部305によって、第i小節において受付部303によって受け付けられた入力と表示部302に表示された入力の指示との一致の度合が、あらかじめ設定された閾値以上であると判定されなかった場合に相当する。この場合、楽曲の再生が第i小節の最後まで進行した時点、すなわち図6における入力失敗時601aまで進んだ時点で、再生部301によって楽曲の逆再生が開始される。
【0107】
ここでの逆再生は、あらかじめ定められた所定個前の小節の最初に到達するまで、行われる。ここでは説明のために、入力に失敗した第i小節から1個前の第i−1小節まで逆再生されるものとする。図6のグラフ上では、入力失敗時601aから、逆再生終了時602aまで、グラフ内を右下方向へ移行する。そして、逆再生終了時602aから再び第i−1小節、第i小節、の順に順方向へ再生を開始する。
ここで、本実施形態では、プレイヤが入力を失敗した第i小節から戻る小節の個数は1個に限定されるものではなく、2個前に戻っても、3個前に戻っても、あるいは所定のn個前の小節に戻ってもよい。例えば2個前に戻る場合は、第i小節の最後から、第i−2小節の最初まで逆向きに再生され、その後第i−2小節の最初から再び順方向に再生され始めることになる。
【0108】
図6では、ここでさらに、再び第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合(入力失敗時601b)を示している。このとき本実施形態では、再度時系列順に手前の小節まで楽曲を逆再生させ、そこから再生し直す。すなわち、2回目に失敗した第i小節の最後である入力失敗時601bから、再び第i−1小節の最初である逆再生終了時602bまで、楽曲が逆向きに再生される。そして再び、逆再生終了時602bから順方向に再生され始める。
【0109】
このように、本実施形態では、プレイヤが入力に失敗し続ける限り同じ小節を何度も再生し直すことで、プレイヤが苦手とする小節を繰り返し何度も練習することができる。
【0110】
図6ではその後、再び、第i−1小節から順方向に再生され始め、プレイヤは3回目で第i小節の入力を成功(入力成功時603a)し、さらに第i+1小節、第i+2小節、という順に順方向に再生していく。すなわち、図6のグラフ上では、逆再生終了時602bから右上方向へ進み、入力成功時603aを通過して、そのまま継続して右上方向へ、すなわち楽曲を順方向に再生する。
【0111】
そして、今度は第j小節(j>i)で入力に失敗し、判定部305によって一致の度合が閾値以上であると判定されなかったとする(入力失敗時601c)。このときは、第i小節における処理と同様に、入力に失敗した第j小節の最後から、1個前の第j−1小節の最初まで、楽曲が逆再生される。図6のグラフ上では、入力失敗時601cから逆再生終了時602cまで移行する。その後再び第j−1小節の最初から順方向に再生され、第j小節の入力に成功すれば(入力成功時603b)、そのまま第j+1小節、第j+2小節、という順に楽曲の再生を進める。そのため、プレイヤは入力に失敗した第j小節に、再びトライすることができる。
【0112】
このような構成により、本実施形態におけるゲーム装置300は、プレイヤが入力を失敗するたびに、失敗した小節を繰り返し再生し続ける。その際、失敗した小節よりも時系列順に前の小節の最初まで逆再生で戻ってから順方向に再生し始めるため、楽曲のテンポを維持しつつ、また失敗した小節の手前からリズムを確認しつつ、失敗した小節を重点的に練習することができる。
【0113】
図7は、本発明の実施形態1のゲーム装置300に係る処理の流れを示すフローチャートである。ここまで説明してきた本実施形態におけるゲーム装置300において実現される処理の流れまとめて、以下に説明する。
【0114】
まず、ゲーム装置300のCPU 101は、各種の初期設定を行う(ステップS101)。ここでは、プレイヤがプレイする楽曲の選択や、当該楽曲のテンポの取得、当該楽曲に対応付けられる指示画像401と基準画像403、当該指示画像401に対応付けられる移動レーン402を記録したデータの読み込み、その他ゲーム画面400に配置される各種画像の読み込みなどを行う。
【0115】
ついで、ゲーム装置300のCPU 101は、初期設定によって選択された楽曲を演奏するように、音声処理部109、すなわち再生部301へ指示を出す(ステップS102)。なお、楽曲のデータは、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データやPCM(Pulse Coded Modulation)データ、MP3(MPEG Audio Layer-3)データやOgg Vorbisデータなど、各種の音声データとして用意することが可能であり、これらのデータはDVD−ROMドライブ107に装着されるROMメディアに記憶されている。
【0116】
ここから図7のフローチャートは、再生部301が楽曲のどの小節を再生しているか、ということに焦点を当てて説明していく。すなわち、第何番目の小節を示すための変数n(nは自然数)を設けて、適切にnを更新することで、楽曲のどの小節を再生しているのかを示していく。ここで、本フローチャートにはとくに明記しないが、表示部302は、所定の垂直同期周期ごとに、画像表示部108によってゲーム画面400をモニタに表示する処理を行う。すなわち、再生部301が再生している楽曲にあわせて、移動レーン402上をスクロール移動する指示画像401等を含むゲーム画面400を、そのつどモニタに表示する処理を行う。
【0117】
ステップS102によって楽曲の演奏が開始されると、まず、上記設定された変数nに1を代入する(ステップS103)。そして、再生部301が、第n小節、すなわちここでは第1小節、の再生を開始する(ステップS104)。
【0118】
このように小節の再生が開始されると、本実施形態のゲーム装置300は、その小節に対応付けられている入力の指示と、プレイヤからの入力との、一致の度合を取得する(ステップS105)。すなわち、受付部303がプレイヤからの入力を受け付け、その受け付けられた入力が、表示部302に表示されている入力のタイミング(指示画像401が基準画像403と重なるタイミング)と一致しているかの度合を、取得部304が取得する。通常は、一致の度合が高ければ(例えば上記の「PERFECT」など)高い得点が得られ、一致の度合が低ければ(例えば上記の「BAD」など)低い得点となる。
【0119】
そして、現在再生している小節である、第n小節、すなわちここでは第1小節、の再生が終了したかを判定する(ステップS106)。終了していなければ(ステップS106;NO)、処理はステップS105へ戻る。すなわち、ステップS105における一致の度合の取得を、その小節内の再生が終了するまで、プレイヤからの入力があるたびに、あるいは、入力の指示があるたびに、行うことになる。
【0120】
一方、現在再生している小節の再生が終了した場合は(ステップS106;YES)、次に本実施形態のゲーム装置300は、第n小節、すなわちここではn=1なので、第1小節内でのプレイは成功か、を判定する(ステップS107)。すなわち、取得された度合が、あらかじめ設定された閾値以上かどうかを判定する。具体的には、判定部305が、現在再生が終了した小節について、その中でステップS105において取得された数だけの一致の度合(から得られた得点)から、例えばそれらの合計を求めて、それがあらかじめ定められた閾値以上であるかを判定する。ここでの閾値との比較の仕方として、小節内で得られた一致の度合を合計したものと比較することに限られず、上述したように小節内で1つでも一致の度合が「BAD」でないことを、閾値以上であるかの基準としてもよい。
【0121】
ここで、その小節内でのプレイが成功と判定された場合(ステップS107;YES)、すなわち再生が終了した小節(ここでは第1小節)において、プレイヤが指示に従って適切に入力できた場合は、本実施形態のゲーム装置300は、次の小節を再生することになる。すなわち、例えばこれまで第1小節を再生していた場合は、第2小節の再生へ移行する、というように、通常の順番で楽曲を再生することになる。
【0122】
そのためにここでは、現在再生した第n小節が、最後の小節であるかを判定する(ステップS108)。そして、最後の小節でなかった場合は(ステップS108;NO)、nの値にn+1を代入(ステップS109)、すなわちnをインクリメントして、ステップS104へ戻り、次の小節の再生を開始する。すなわち、例えば再生されている楽曲を構成する小節の数が100であった場合、再生された小節が第1小節〜第99小節であれば、ステップS108での判定はNOとなり、次の小節の再生へと移行する。例えば、第1小節の再生が終了していた場合には、次の第2小節の再生が開始されることになる。
【0123】
このように、ステップS104〜S109までの処理は繰り返されて、ステップS107でYESと判定される限り、第1小節から、第2小節、第3小節、と時系列順に、最後の小節に到達するまで楽曲の再生を進めていくことになる。すなわち、プレイヤが再生されている小節について、指示に従って適切に入力できている限り、楽曲は通常に最初から最後まで再生されることになる。
【0124】
一方で、ステップS107において、小節内でのプレイが失敗と判定された場合(ステップS107;NO)、すなわち、プレイヤが指示に従って適切に入力できなかった場合、図7のフローチャートは楽曲を逆向きに再生する処理へ移行する。
【0125】
ここで、一致の度合が閾値以上であると判定されなかった小節が第n小節であった場合、本実施形態のゲーム装置300は、この第n小節を逆再生する(ステップS110)。すなわち、判定部305によって判定された時点では第n小節の再生が終了した直後であるので、当該再生し終わった位置から逆向きに再生されることになる。
【0126】
そして、逆向きの再生によって、あらかじめ定められた所定個前の小節の最初まで戻ったかを判定する(ステップS111)。すなわち、上記のように第n小節の最後から逆再生し始めた場合は、例えば1個前の小節まで逆再生することが定められていたならば、第n−1小節の最初まで逆再生されたかが判定され、また例えば10個前の小節まで逆再生することが定められていたならば、第n−10小節の最初まで逆再生されたかが判定される。
【0127】
ここで、所定個前の小節の最初まで戻っていないと判定された場合(ステップS111;NO)、nの値にn−1が代入され(ステップS112)、すなわちnがデクリメントされて、再びステップS110に戻って逆再生される。すなわち、時系列順に1つ手前の小節が逆再生されることになる。このように、戻るべき所定個前の小節の最初まで達するまで、第n小節、第n−1小節、第n−2小節、と1つずつ時系列順に手前の小節が逆再生され続けることになる。
【0128】
そして、所定個前の小節の最初まで戻った場合に(ステップS111;YES)、本実施形態のゲーム装置300は逆再生を終了し、ステップS104へと戻る。すなわち、プレイヤが適切に入力できなかった小節の最後から所定個前の小節の最初まで逆再生されて、当該所定個前の小節の最初から、通常の時系列方向へ再生され始める。例えば、プレイヤが適切に入力できなかった小節が上記のように第n小節であり、1個前の小節まで逆再生されると定められていた場合、当該第n小節の最後から1個前の第n−1小節の最初まで逆再生され、当該第n−1小節の最初から再び再生され始める。このように、プレイヤが指示に従って適切に入力でき、一致の度合が閾値以上であると判定されるまで、所定個前の小節へと戻され、再生し直され続ける。
【0129】
その後、楽曲を構成するすべての小節について、一致の度合が閾値以上であると判定されて、最後の小節が再生し終わると(ステップS108;YES)、楽曲の再生を終了して、本処理を終了する。
【0130】
なお、本実施形態では、第n小節でプレイヤが入力に失敗すると、第n小節から所定個前の小節まで逆再生される。例えばここで所定個を1個とすると、第n−1小節の最初まで逆再生される。そして、第n−1小節、第n小節の順に再生され、それぞれの小節に対してプレイヤはゲームをプレイすることになる。このとき、プレイヤが失敗した小節は第n小節であり、第n−1小節はすでに成功したはずの小節であるので、第n−1小節については判定部305による判定はせずともよい。すなわち、ステップS107において、小節内でのプレイが成功したかを判定する処理は、プレイヤが失敗した第n小節のみ行うとし、すでに成功したはずの第n−1小節が改めて繰り返される場合には、処理をしないことにしてもよい。そうすることにより、プレイヤは、1個前の第n−1小節から再生されるため、あらかじめテンポをとりつつ、失敗した第n小節のプレイに集中することができ、苦手な小節を練習しやすくなると想定される。
【0131】
このような構成により、本実施形態におけるゲーム装置300は、プレイヤが入力を失敗するたびに、失敗した小節を繰り返し再生し続ける。その際、失敗した小節よりも時系列順に前の小節の最初まで逆再生で戻ってから順方向に再生し始めるため、楽曲のテンポを維持しつつ、また失敗した小節の手前からリズムを確認しつつ、失敗した小節を重点的に練習することができる。その結果、プレイの早期の上達を支援することができる。
【0132】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1では、プレイヤが入力を失敗した区間は、最初に再生されたときと同じテンポで再生し直され、また判定部305によって合否の基準とされる閾値も、最初に再生されたときと同じ閾値を用いて再生し直された。本実施形態では、プレイヤが入力を失敗した区間は、再生し直されればされるほど、遅い再生速度で再生し直され、また合否の基準となる閾値が低くなる。
【0133】
図8は、本実施形態における、再生速度と閾値がどのように変化するかを示す図である。以下、本図を参照して、プレイヤが指示に従った入力をできず、判定部305により不合格と判定された場合に、再生速度と判定に用いられる閾値がどのように変化していくかを説明する。
【0134】
まず、図8(a)は、経過時間と再生される楽曲の小節および再生速度との関係の一例を示した図である。本図のグラフでは、図6のグラフと同様に、横軸に経過時間をとり、縦軸に再生される楽曲の小節をとる。すなわち、楽曲開始時がグラフの原点に相当し、楽曲の再生のし直しがなく通常に再生されている限り、グラフは原点から右上方向に直線的に描かれる。そしてこのとき本実施形態では、所定の第1の再生速度801aで再生されるとする。
【0135】
ここで、図6と同様に、楽曲の第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合を考える。すなわち、判定部305によって、第i小節において受付部303によって受け付けられた入力と表示部302に表示された入力の指示との一致の度合が、閾値以上であると判定されなかった場合に相当する。この場合、楽曲の再生が第i小節の最後まで進行した時点、すなわち図8(a)における入力失敗時601aまで進んだ時点で、再生部301によって楽曲の逆再生が開始される。
【0136】
ここでも図6と同様に、入力に失敗した第i小節から1個前の第i−1小節まで逆再生されるものとする。図8(a)のグラフ上では、入力失敗時601aから、逆再生終了時602aまで、グラフ内を右下方向へ移行する。本実施形態では、このときの再生速度は、所定の第1の再生速度801aのまま、変化しない。
そして、逆再生終了時602aから再び第i−1小節、第i小節、の順に順方向へ再生を開始する。本実施形態では、このときの再生速度も、所定の第1の再生速度801aのまま、変化しない。
【0137】
図8(a)では、ここでさらに再び第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合(入力失敗時601b)を示している。このときも図6と同様に、2回目に失敗した第i小節の最後である入力失敗時601bから、再び第i−1小節の最初である逆再生終了時602bまで、楽曲が逆向きに再生される。本実施形態では、このときの再生速度を、所定の第2の再生速度801bへ下げる。
そして楽曲は、逆再生終了時602bから順方向に再生され始める。本実施形態では、このとき第2の再生速度801bで、再生する。すなわち、逆再生終了時602bまで逆再生された再生速度と同じ速度で、順方向に再生し始める。
【0138】
さらに図8(a)では、3たび第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合(入力失敗時601c)を示している。このときも、3回目に失敗した第i小節の最後である入力失敗時601cから、再び第i−1小節の最初である逆再生終了時602cまで、楽曲が逆向きに再生されるが、ここでの再生速度は、さらに所定の第3の再生速度801cにまで下げられる。
そして楽曲は、この第3の再生速度801cのまま、逆再生終了時602cから順方向に再生され始める。そして、4回目のトライで第i小節の入力に成功すると(入力成功時603a)、楽曲はその後も第3の再生速度801cのまま、第i+1小節、第i+2小節、という順に順方向に再生していく。すなわち、図8(a)のグラフ上では、逆再生終了時602cから右上方向へ進み、入力成功時603aを通過して、そのまま継続して右上方向へ、すなわち楽曲を順方向に再生する。
【0139】
このように、本実施形態では、プレイヤが入力を失敗した小節は、再生し直されればされるほど、遅い再生速度で再生し直される。すなわち、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間、すなわち練習区間を、当該区間を再生し直した回数が多いほど、再生速度を下げて再生し直す。その結果、ゲームの難易度を下げることができ、初心者のプレイヤがレベルの高いゲームをプレイするときなどでも、興ざめさせることなく、プレイヤの興味を引き続けることができる。
【0140】
さらに本実施形態では、再生速度を下げるだけでなく、判定部305によってプレイの成否の判定に用いられる閾値を下げることで、ゲームの難易度を調整してもよい。すなわち、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間、すなわち練習区間を、当該区間を再生し直した回数が多いほど、閾値を、最初の閾値から下げて再生し直す。
【0141】
図8(b)は、本実施形態における、経過時間と判定に用いられる閾値との関係の一例を示した図である。本図のグラフでも、横軸に経過時間をとっており、図8(a)のグラフと横軸を共有している。一方で縦軸は閾値の値となっており、上ほど高い閾値となり、下ほど低い閾値となっている。
【0142】
本実施形態では、プレイヤが同一の小節において2回入力に失敗するまで、判定部305に用いられる閾値は、所定の第1の閾値802aとなる。すなわち、図8(a)において、プレイヤが第i小節で2回目に失敗したとき(入力失敗時601b)までの経過時間では、図8(b)に示されるように、閾値は第1の閾値802aのまま、変化しない。
一方で、2回目に失敗して以降は、第2の閾値802bにまで下げられる。すなわち、図8(a)のグラフ上での入力失敗時601bに対応する経過時間において、図8(b)での閾値は所定の第1の閾値802aから第2の閾値802bにまで下げられている。そのため、プレイヤは3回目に第i小節のプレイをする際に、成否の判定に用いられる閾値を下げてプレイすることができる。
さらに、3回目に失敗すると、第3の閾値802cにまで下げられる。すなわち、図8(a)のグラフ上での入力失敗時601cに対応する経過時間において、図8(b)での閾値は所定の第2の閾値802bから第3の閾値802cにまで下げられている。そのため、プレイヤは4回目に第i小節のプレイをする際に、成否の判定に用いられる閾値をさらに下げてプレイすることができる。
【0143】
このように、本実施形態では、プレイヤが入力を失敗した小節は、再生し直されればされるほど、判定に用いられる閾値を下げて再生し直される。その結果、ゲームの難易度を下げることができ、初心者のプレイヤがレベルの高いゲームをプレイするときなどでも、興ざめさせることなく、プレイヤの興味を引き続けることができる。
【0144】
図9は、本実施形態のゲーム装置300に係る処理の流れを示すフローチャートである。本図は基本的には、実施形態1における図7にて説明したフローチャートと同じであるが、再生速度と閾値を下げる処理(図9の点線で囲われた部分)が、ステップS107とステップS110の間に、新たに追加されている。
【0145】
すなわち、本実施形態におけるゲーム装置300は、実施形態1と同様に、ゲーム処理が開始されると、まず各種の初期設定を行い(ステップS101)、楽曲の演奏を開始する(ステップS102)。そして、再生部301が第何番目の小節を示すための変数n(nは自然数)を設けて、まず変数nの値に1を代入する(ステップS103)。
【0146】
そしてここから、変数nの値を順に増やすごとに、第1小節、第2小節、第3小節、というように時系列順に楽曲が再生される。すなわち、ステップS107においてYESと判定されている限り、実施形態1と同様に、通常の順に楽曲が最後まで再生され、小節ごとにプレイヤからされた入力が所定の指示と一致しているかの度合を取得していく(ステップS104〜S109)。
【0147】
ここで本実施形態では、ステップS107においてNOと判定されたとき、すなわち、例えば第n小節において、プレイヤのプレイが失敗と判定されたときに、実施形態1とは異なる処理に入る。
【0148】
本実施形態では、この第n小節でプレイに失敗したのは初めてかを判定する(ステップS201)。初めてでないと判定された場合(ステップS201;NO)、再生部301が楽曲をする再生速度を下げ(ステップS202)、さらに判定部305によってステップS107での判定に用いられる閾値を下げる(ステップS203)。一方で、初めてであると判定された場合(ステップS201;YES)、再生速度も閾値も変更しない、すなわちここでは何もしない。その後、処理は実施形態1と同様、第n小節から所定個前の小節の最初まで逆再生され(ステップS110〜S112)、ステップS104へ戻る。
【0149】
再生速度と閾値が下げられた場合、その後、この下げられた再生速度と閾値とに基づいてプレイされる。すなわち、プレイヤは、下げられた再生速度で再生される楽曲によりプレイを行う。そして、ステップS107では、判定部305によって下げられた閾値に基づいて、各小節内でのプレイが成功かどうかが判定されることになる。
【0150】
すなわち、プレイヤが初めて入力に失敗した小節については再生速度と閾値は下げられず、同じ小節でのプレイに2回失敗した場合に、再生速度と閾値が下げられる。さらに、同じ小節でのプレイについて、3回目、4回目と失敗するたびに、そのつど再生速度と閾値が下げられる。すなわち、何度も失敗するということは、その小節はプレイヤが苦手としているので、徐々に難易度を下げることで、成功しやすくする。
【0151】
ここで、図9のフローチャートでは、初めて失敗した小節については再生速度と閾値を下げなかった。これは、1回失敗しただけで難易度が下がってしまうと、頻繁に難易度が下がりすぎることになることを想定してのものであり、本実施形態ではこれに限定するものではない。すなわち、初めて失敗した小節についても、再生速度と閾値を下げてもよいし、あるいは、同じ小節を2回失敗しただけでは再生速度と閾値を下げず、3回以上失敗したときに再生速度と閾値を下げるようにしてもよい。前者の場合は頻繁に難易度が下がることになるし、後者の場合は難易度が下がる回数が減ることになる。このようなバランスをとって難易度変化の調整をすることが可能である。
【0152】
なお、本実施形態でも、実施形態1と同様に、第n小節でプレイヤが入力に失敗して、例えば第n−1小節の最初まで逆再生され、その後第n−1小節、第n小節の順に再生される場合に、第n−1小節については判定部305による判定はせずともよい。すなわち、ステップS107において、小節内でのプレイが成功したかを判定する処理は、プレイヤが失敗した第n小節のみ行うとし、すでに成功したはずの第n−1小節が改めて繰り返される場合には、処理をしないことにしてもよい。そうすることにより、プレイヤは、失敗した第n小節のプレイに集中することができ、苦手な小節を練習しやすくなると想定される。
【0153】
また、ここでは、プレイヤが入力を失敗した区間は、再生し直されればされるほど、遅い再生速度で再生し直され、また同時に合否の基準となる閾値が低くなるとして説明した。しかし、本実施形態では、再生速度と閾値を、同時に下げることに限られない。すなわち、閾値を下げずに再生速度を下げることでゲームの難易度を調整してもよいし、逆に再生速度を下げずに閾値を下げることでゲームの難易度を調整してもよい。
【0154】
このような構成により、本実施形態では、プレイヤが入力を失敗した区間は、再生し直されればされるほど、遅い再生速度で再生し直され、また閾値が低くなる。
【0155】
その結果、初心者のプレイヤがレベルの高いゲームをプレイするときなどでも、難易度が高すぎて楽曲の先の区間へ進めなくなってプレイヤが興ざめする、という状況を防ぐことができ、プレイヤの興味を引き続けることができる。
【0156】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。実施形態2では、一旦下げられた再生速度と閾値は、元に戻らなかった。本実施形態では、再生速度と閾値を下げて再生し直された区間においてプレイヤが指示に従って適切に入力できれば、下げられた再生速度と閾値を元に戻す。
【0157】
図10は、本実施形態における、再生速度と閾値がどのように変化するかを示す図である。以下、本図を参照して、プレイヤが指示に従った入力をできず、判定部305により不合格と判定された場合に、再生速度と判定に用いられる閾値がどのように変化していくかを説明する。
【0158】
まず、図10(a)は、経過時間と再生される楽曲の小節および再生速度との関係の一例を示した図である。本図のグラフでは、図6および図8(a)のグラフと同様に、横軸に経過時間をとり、縦軸に再生される楽曲の小節をとる。すなわち、楽曲開始時がグラフの原点に相当し、楽曲の再生のし直しがなく通常に再生されている限り、グラフは原点から右上方向に直線的に描かれる。そしてこのとき本実施形態では、所定の第1の再生速度801aで再生されるとする。
【0159】
ここで、図8(a)と同様に、楽曲の第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合を考える。すなわち、判定部305によって、第i小節において受付部303によって受け付けられた入力と表示部302に表示された入力の指示との一致の度合が、閾値以上であると判定されなかった場合に相当する。この場合、楽曲の再生が第i小節の最後まで進行した時点、すなわち図10(a)における入力失敗時601aまで進んだ時点で、再生部301によって楽曲の逆再生が開始される。
【0160】
ここでも図8(a)と同様に、入力に失敗した第i小節から1個前の第i−1小節まで逆再生されるものとする。図10(a)のグラフ上では、入力失敗時601aから、逆再生終了時602aまで、グラフ内を右下方向へ移行する。本実施形態では、このときの再生速度は、所定の第1の再生速度801aのまま、変化しない。
そして、逆再生終了時602aから再び第i−1小節、第i小節、の順に順方向へ再生を開始する。本実施形態では、このときの再生速度も、所定の第1の再生速度801aのまま、変化しない。
【0161】
図10(a)では、ここでさらに再び第i小節でプレイヤが適切に入力できなかった場合(入力失敗時601b)を示している。このときも図8(a)と同様に、2回目に失敗した第i小節の最後である入力失敗時601bから、再び第i−1小節の最初である逆再生終了時602bまで、楽曲が逆向きに再生される。本実施形態では、このときの再生速度を、所定の第2の再生速度801bへ下げる。
そして楽曲は、逆再生終了時602bから順方向に再生され始める。本実施形態では、このとき第2の再生速度801bで、再生する。すなわち、逆再生終了時602bまで逆再生された再生速度と同じ速度で、順方向に再生し始める。
【0162】
そして図10(a)では、図8(a)とは異なり、3回目のトライで第i小節においてプレイヤが適切に入力できた場合(入力成功時603a)を示している。このとき、実施形態1および実施形態2では、成功した後も再生速度は元には戻らずに、そのまま成功した第i小節から、第i+1小節、第i+2小節、という順に、先の小節へ楽曲の再生が進んだ。一方で、本実施形態では、入力成功時603aの後、再生速度は、それまでの第2の再生速度801bから、元の第1の再生速度801aへ戻る。その際、一度1個前の第i−1小節の最初へ逆再生して、第i−1小節の最初から再生し直す。
【0163】
すなわち、図10(a)のグラフ上では、入力成功時603aから逆再生終了時602cへ、第1の再生速度801aで逆再生される。そして、逆再生終了時602cから同じく第1の再生速度801aで順方向に再生される。再び第i小節が再生され、プレイヤから適切に入力されると(入力成功時603b)、そのまま第i+1小節、第i+2小節、という順に、先の小節へ楽曲の再生が進む。
【0164】
このように、本実施形態では、再生速度を下げて再生し直された小節について、プレイヤが入力に成功すれば、下げられた再生速度を元に戻して再生する。すなわち、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間、すなわち練習区間を再生し直した後、判定部305によって当該練習区間に対応付けられた指示における取得された度合が閾値以上であると判定された場合、下げられた再生速度を上げる。
【0165】
その際、突然再生速度が元に戻って(テンポが上がって)そのまま先の小節の再生へ進むよりは、一旦所定個前の小節まで戻って、元に戻った再生速度で再生し直してからその先の小節の再生へ進んだ方が、スムーズにプレイすることができると想定される。そのため、本実施形態では、プレイヤが入力に失敗して再生速度が下げられた小節の再度のプレイに成功した後、所定個前の小節の最初まで逆再生してから、当該小節の最初から順方向に再生し直す。
【0166】
また、図10(a)では、再生速度は1段階の変化、すなわち第1の再生速度801aと第2の再生速度801bとの間の変化しかしなかった。しかし、本実施形態ではこれに限られず、再生速度は複数段階の変化をしてもよい。例えば、実施形態2のように、同じ小節のプレイに失敗した回数が多いほど、徐々に何度も再生速度を下げるようにしてもよい。このように複数段階に分けて再生速度が下げられた場合、その後その小節でのプレイに成功し、再生速度が戻される場合は、楽曲の再生が開始されたときの所定の初期速度へ一度に戻ってもよいし、あるいは、再生速度が下げられたときの複数の段階を逆に辿りながら、徐々に戻ってもよい。
【0167】
複数段階に分けて徐々に戻る場合は、下げられた再生速度が徐々に上げられて、最終的に所定の初期速度に戻るまでは、再生部301は、プレイに失敗した小節以降の小節を再生しないのが典型的である。すなわち、再生速度が所定の初期速度に戻るまでは、再生部301がプレイに失敗した小節を何度も再生し直し、その小節のプレイに成功する度に少しずつ再生速度を上げる。そして、再生部301は、下げられた再生速度が所定の初期速度に戻った後、プレイに失敗した小節以降の小節を再生する。このような構成によって、プレイヤが苦手とする区間のプレイに失敗し、難易度が下げられてプレイしている場合に、再生部301が少しずつ段階的に難易度を元に戻しながら楽曲を再生する。その結果、プレイヤは苦手な区間を重点的に練習することができる。
【0168】
さらに本実施形態では、実施形態2と同様に、再生速度を変化させるだけでなく、判定部305によってプレイの成否の判定に用いられる閾値を変化させることで、ゲームの難易度を調整してもよい。すなわち、本実施形態では、再生部301は、判定部305によって閾値以上であると判定されなかった区間、すなわち練習区間を再生し直した後、判定部305によって当該練習区間に対応付けられた指示における取得された度合が下げられた閾値以上であると判定された場合、下げられた閾値を上げる。
【0169】
図10(b)は、本実施形態における、経過時間と判定に用いられる閾値との関係の一例を示した図である。本図のグラフでも、横軸に経過時間をとっており、図10(a)のグラフと横軸を共有している。一方で縦軸は閾値の値となっており、上ほど高い閾値となり、下ほど低い閾値となっている。
【0170】
本実施形態では、プレイヤが同一の小節において2回入力に失敗するまで、判定部305に用いられる閾値は、所定の初期閾値、すなわち所定の第1の閾値802aとなる。すなわち、図10(a)において、プレイヤが第i小節で2回目に失敗したとき(入力失敗時601b)までの経過時間では、図10(b)に示されるように、閾値は第1の閾値802aのまま、変化しない。
一方で、2回目に失敗して以降は、第2の閾値802bにまで下げられる。すなわち、図10(a)のグラフ上での入力失敗時601bに対応する経過時間において、図10(b)での閾値は所定の第1の閾値802aから第2の閾値802bにまで下げられている。そのため、プレイヤは3回目に第i小節のプレイをする際に、成否の判定に用いられる閾値を下げてプレイすることができる。
そして、3回目で成功すると、第1の閾値802aにまで戻る。すなわち、図10(a)のグラフ上での入力成功時603aに対応する経過時間において、図10(b)での閾値は所定の第2の閾値802bから第1の閾値802a、すなわち所定の初期閾値にまで上げられている。そのため、プレイヤはこれ以降のプレイを、元に戻った閾値によってプレイすることができる。
【0171】
また、図10(b)では、閾値は1段階の変化、すなわち第1の閾値802aと第2の閾値802bとの間の変化しかしなかった。しかし、本実施形態ではこれに限られず、閾値は複数段階の変化をしてもよい。例えば、実施形態2のように、同じ小節のプレイに失敗した回数が多いほど、徐々に何度も閾値を下げるようにしてもよい。このように複数段階に分けて閾値が下げられた場合、その後その小節でのプレイに成功し、閾値が戻される場合は、楽曲の再生が開始されたときの所定の初期閾値へ一度に戻ってもよいし、あるいは、閾値が下げられたときの複数の段階を逆に辿りながら、徐々に戻ってもよい。
【0172】
複数段階に分けて徐々に戻る場合は、下げられた閾値が徐々に上げられて、最終的に所定の初期閾値に戻るまでは、再生部301は、プレイに失敗した小節以降の小節を再生しないのが典型的である。すなわち、閾値が所定の初期閾値に戻るまでは、再生部301がプレイに失敗した小節を何度も再生し直し、その小節のプレイに成功する度に少しずつ閾値を上げる。そして、再生部301は、下げられた閾値が所定の初期閾値に戻った後、プレイに失敗した小節以降の小節を再生する。このような構成によって、プレイヤが苦手とする区間のプレイに失敗し、難易度が下げられてプレイしている場合に、再生部301が少しずつ段階的に難易度を元に戻しながら楽曲を再生する。その結果、プレイヤは苦手な区間を重点的に練習することができる。
【0173】
図11は、本実施形態のゲーム装置300に係る処理の流れを示すフローチャートである。本図は基本的には、実施形態2における図9にて説明したフローチャートと同じであるが、再生速度と閾値を元に戻す処理(図11の点線で囲われた部分)が、ステップS107とステップS108の間に、新たに追加されている。
【0174】
すなわち、本実施形態におけるゲーム装置300は、実施形態1と同様に、ゲーム処理が開始されると、まず各種の初期設定を行い(ステップS101)、楽曲の演奏を開始する(ステップS102)。そして、再生部301が第何番目の小節を示すための変数n(nは自然数)を設けて、まず変数nの値に1を代入する(ステップS103)。
【0175】
そしてここから、変数nの値を順に増やすごとに、第1小節、第2小節、第3小節、というように時系列順に楽曲が再生される。すなわち、ステップS107においてYESと判定されている限り、実施形態1と同様に、通常の順に楽曲が最後まで再生され、小節ごとにプレイヤからされた入力が所定の指示と一致しているかの度合を取得していく(ステップS104〜S109)。
【0176】
ここで、本実施形態では新たに、ステップS107の後に、再生速度および閾値が下げられているかを判定する(ステップS301)処理が入る。すなわちここでは、再生部301によって再生されている再生速度(テンポ)と、判定部305によって判定に用いられる閾値とが、楽曲の再生が開始されたときの初期の値から下げられているかどうかを判定する。この再生速度と閾値は、フローチャート内のステップS202およびS203の処理によらなければ下げられないため、楽曲が通常に時系列順に再生されている限り、すなわちステップS107でYESと判定されている限りは、ここでは再生速度および閾値が下げられていないと判定され(ステップS301;NO)、そのまま時系列順に再生され続ける。
【0177】
一方で、ステップS107においてNOと判定されたとき、すなわち、例えば第n小節において、所定の入力の指示とプレイヤからの入力との一致の度合が閾値以上と判定されず、その小節内でのプレイに失敗したとき(ステップS107;NO)の流れを、以下に説明する。このとき、上述した実施形態2における処理と同様、第n小節でプレイに失敗したのは初めてかが判定され(ステップS201)、初めてでないと判定された場合(ステップS201;NO)、再生部301が楽曲をする再生速度を下げ(ステップS202)、さらに判定部305によってステップS107での判定に用いられる閾値を下げる(ステップS203)。その後、処理は実施形態1と同様、第n小節から所定個前の小節の最初まで逆再生され(ステップS110〜S112)、ステップS104へ戻る。
【0178】
すなわち、第n小節において2回以上プレイヤが入力に失敗した場合、楽曲の再生速度と判定に用いられる閾値とが下げられ、すなわち難易度が下がった状態で、再び第n小節(および第n小節から所定個前までの小節)のプレイをすることになる。この再生速度と閾値が下がった状態で、プレイヤが第n小節の入力に成功した場合(ステップS107;YES)、すなわち、所定の入力の指示とプレイヤからの入力との一致の度合が下げられた閾値以上と判定されたとき(ステップS107;YES)、本実施形態では、ステップS301での判定は、再生速度および閾値が、初期の値から下げられていると判定される(ステップS301;YES)。
【0179】
このとき、再生部301が楽曲を再生する再生速度を戻し(ステップS302)、さらに、判定部305が判定に用いる閾値を戻す(ステップS303)。その後、ステップS104へと戻って、もう一度同じ第n小節を再生してから、先の第n+1小節、第n+2小節の再生へと進むことになる。
【0180】
なお、本実施形態でも、実施形態1および実施形態2と同様に、第n小節でプレイヤが入力に失敗して、例えば第n−1小節の最初まで逆再生され、その後第n−1小節、第n小節の順に再生される場合に、第n−1小節については判定部305による判定はせずともよい。すなわち、ステップS107において、小節内でのプレイが成功したかを判定する処理は、プレイヤが失敗した第n小節のみ行うとし、すでに成功したはずの第n−1小節が改めて繰り返される場合には、処理をしないことにしてもよい。そうすることにより、プレイヤは、失敗した第n小節のプレイに集中することができ、苦手な小節を練習しやすくなると想定される。
【0181】
さらに、ステップS302〜S303の処理についても、プレイヤが失敗した第n小節のみ行うとし、すでに成功したはずの小節が改めて繰り返される場合には、処理をしないことにしてもよい。すなわち例えば、第n小節でプレイヤが入力に失敗して、所定個前の小節、例えば第n−1小節の最初まで逆再生され、その後第n−1小節、第n小節の順に再生される場合に、再生速度と閾値が下がった状態で、それぞれの小節に対してプレイヤはゲームをプレイすることになる。このとき、プレイヤが失敗した小節は第n小節であり、第n−1小節はすでに成功したはずの小節であるので、第n−1小節が再生されている間は(第n小節が再生されるまでは)、再生速度と閾値とは元には戻さない。
【0182】
また、本実施形態でも、実施形態2と同様に、再生速度と閾値を、同時に下げ上げして調整することに限られない。すなわち、閾値を変化させずに再生速度を変化させることでゲームの難易度を調整してもよいし、逆に再生速度を変化させずに閾値を変化させることでゲームの難易度を調整してもよい。
【0183】
このような構成により、本実施形態では、再生速度と閾値を下げて再生し直された区間においてプレイヤが指示に従って適切に入力できれば、下げられた再生速度と閾値を元に戻す。
【0184】
その結果、プレイヤは、自身が苦手とする区間については再生速度と閾値とを下げてプレイし、苦手でない区間については通常の再生速度と閾値とでプレイすることができる。すなわち、苦手な区間は難易度を下げてプレイできるが、苦手でない区間まで難易度を下げてプレイしなくてよくなるため、より快適にゲームを楽しむことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
以上説明したように、楽曲の再生にあわせてプレイヤが操作入力を行うゲームにおいて、プレイヤの上達を支援するのに好適なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0186】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 DVD−ROMドライブ
108 画像処理部
109 音声処理部
110 NIC
200 マット型コントローラ
201(201a,201b,201c,201d) ボタン
300 ゲーム装置
301 再生部
302 表示部
303 受付部
304 取得部
305 判定部
400 ゲーム画面
401(401a,401b,401c,401d) 指示画像
402(402a,402b,402c,402d) 移動レーン
403(403a,403b,403c,403d) 基準画像
404(404a,404b,404c) 小節
601(601a,601b,601c) 入力失敗時
602(602a,602b,602c) 逆再生終了時
603(603a,603b) 入力成功時
801a 第1の再生速度
801b 第2の再生速度
801c 第3の再生速度
802a 第1の閾値
802b 第2の閾値
802c 第3の閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の区間に分割された楽曲を再生する再生部、
前記楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する表示部、
前記プレイヤからの入力を受け付ける受付部、
前記受け付けられたプレイヤからの入力が、前記画面に表示されている指示に一致している度合を取得する取得部、
前記複数の区間のうち、前記再生部により再生された区間に対応付けられた指示における前記取得された度合が、閾値以上であるかを判定する判定部
を備えたゲーム装置であって、
前記再生部は、前記判定部によって前記閾値以上であると判定されなかった区間(以下「練習区間」という)を、再生し直す、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記練習区間の最後から、当該練習区間の所定個前の区間の最初までを、時系列順に逆向きに再生し、さらに当該練習区間の所定個前の区間の最初から、再生し直す、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記練習区間を、当該練習区間を再生し直した回数が多いほど、再生速度を下げて再生し直す、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、
前記楽曲の再生を所定の初期速度で開始し、
前記練習区間を再生し直した後、前記判定部によって当該練習区間に対応付けられた指示における前記取得された度合が前記閾値以上であると判定された場合、前記下げられた再生速度を前記所定の初期速度以下の速度に上げる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項5に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記下げられた再生速度が前記所定の初期速度に戻った後、前記練習区間以降の区間を再生する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記練習区間を、当該練習区間を再生し直した回数が多いほど、前記閾値を下げて再生し直す、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項7に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、
前記楽曲の再生を所定の初期閾値で開始し、
前記練習区間を再生し直した後、前記判定部によって当該練習区間に対応付けられた指示における前記取得された度合が前記下げられた閾値以上であると判定された場合、当該下げられた閾値を前記所定の初期閾値以下の閾値に上げる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
請求項8に記載のゲーム装置であって、
前記再生部は、前記下げられた閾値が前記所定の初期閾値に戻った後、前記練習区間以降の区間を再生する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項10】
再生部、表示部、受付部、取得部、判定部を備えるゲーム装置が実行する制御方法であって、
前記再生部が、複数の区間に分割された楽曲を再生する再生工程、
前記表示部が、前記楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する表示工程、
前記受付部が、前記プレイヤからの入力を受け付ける受付工程、
前記取得部が、前記受け付けられたプレイヤからの入力が、前記画面に表示されている指示に一致している度合を取得する取得工程、
前記判定部が、前記複数の区間のうち、前記再生部により再生された区間に対応付けられた指示における前記取得された度合が、閾値以上であるかを判定する判定工程
を備え、
前記再生工程では、前記再生部が、前記判定部によって前記閾値以上であると判定されなかった区間を、再生し直す、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、
複数の区間に分割された楽曲を再生する再生部、
前記楽曲の再生にあわせて、プレイヤがするべき入力の指示を画面に表示する表示部、
前記プレイヤからの入力を受け付ける受付部、
前記受け付けられたプレイヤからの入力が、前記画面に表示されている指示に一致している度合を取得する取得部、
前記複数の区間のうち、前記再生部により再生された区間に対応付けられた指示における前記取得された度合が、閾値以上であるかを判定する判定部
として機能させ、
前記再生部は、前記判定部によって前記閾値以上であると判定されなかった区間を、再生し直す、
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−65832(P2012−65832A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212881(P2010−212881)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】