説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラム

【課題】例えば、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図ることが可能なゲーム装置を提供すること。
【解決手段】取得手段(48)は、オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を取得する。マッピング手段(50)は、オブジェクトにおける点とテクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、テクスチャ画像をオブジェクトにマッピングする。表示制御手段(54)は、テクスチャ画像がマッピングされたオブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示する。変更手段(52)は、オブジェクトにおける点とテクスチャ画像における点との対応関係を、オブジェクトの向きに基づいて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置が知られている。例えば、ゲームキャラクタオブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置が知られている。
【0003】
上記のようなゲーム装置では、オブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表現するため方法として、オブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表すテクスチャ画像をオブジェクトにマッピングする方法が用いられている。例えば、ゲームキャラクタオブジェクトの表面上を汗が流れる様子を表現するための方法として、ゲームキャラクタオブジェクトの表面上を汗が流れる様子を表すテクスチャ画像をゲームキャラクタオブジェクトにマッピングする方法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−273519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のゲーム装置では、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザ(ゲームプレイヤ)に感じさせてしまう場合があった。図13乃至図15は、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまう場合について説明するための図である。ここでは、ゲームキャラクタの腕を汗が流れる様子を表現する場合を想定する。
【0006】
図13は仮想空間の一例を示している。図13に示す仮想空間100は、互いに直交する3つの座標軸(Xw,Yw,Zw軸)が設定された仮想3次元空間になっている。図13に示す仮想空間100には、地面を表す地面オブジェクト102が配置されている。また、ゲームキャラクタオブジェクト104が地面オブジェクト102上に配置されている。
【0007】
ゲームキャラクタオブジェクト104の腕を汗が流れる様子を表現するために、腕を汗が流れる様子を表すテクスチャ画像が、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕部分を表すオブジェクト(以下「腕オブジェクト」と記載する。)106にマッピングされる。図14は腕オブジェクト106の一部を示している。ここでは、便宜上、腕オブジェクト106が筒(円柱)状のオブジェクトであることとする。
【0008】
図14に示す腕オブジェクト106の状態は、例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104が腕を下に下げた場合に相当しており、腕オブジェクト106の向き106aがYw軸負方向(重力方向G)と一致している。なお、ここでは、腕オブジェクト106の中心線に沿った方向であって、かつ、肩側から手側に向かう方向を、腕オブジェクト106の向き106aとして用いている。
【0009】
腕オブジェクト106にマッピングされるテクスチャ画像には、腕オブジェクト106の表面の色や質感等が表される。さらに、このテクスチャ画像には、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62が描かれる。なお、本明細書では、便宜上、汗62を斜線画像として描いている。腕オブジェクト106における各点とテクスチャ画像における点とは予め対応づけられており、この予め定められた対応関係に基づいて、テクスチャ画像は腕オブジェクト106にマッピングされる。
【0010】
図14に示す状態では、汗62が腕オブジェクト106の表面上をYw軸負方向(重力方向G)に流れる様子が表されている。この場合、汗62の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまうことはない。
【0011】
しかしながら、従来のゲーム装置では、腕オブジェクト106の向きが変化すると、汗62の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまう場合があった。例えば、図15に示す腕オブジェクト106の状態は、ゲームキャラクタオブジェクト104が右腕を真横に伸ばした場合に相当しており、腕オブジェクト106の向き106aがXw軸負方向と一致している。この場合、図15に示すように、汗62が腕オブジェクト106の表面上を重力に逆らって流れるように見えてしまう。その結果、汗62の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまう場合がある。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、例えば、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図ることが可能なゲーム装置、ゲーム装置の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、オブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置において、前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新手段と、前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得手段と、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピング手段と、前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御手段と、を含み、前記マッピング手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更手段を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るゲーム装置の制御方法は、オブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置の制御方法において、前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得ステップと、前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新ステップと、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピングステップと、前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御ステップと、を含み、前記マッピングステップは、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更ステップを含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るプログラムは、オブジェクトに配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置として、家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、又はサーバコンピュータ等のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得手段、前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新手段、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピング手段、及び、前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御手段、として前記コンピュータを機能させ、前記マッピング手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更手段を含むことを特徴とするプログラムである。
【0016】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0017】
本発明によれば、例えば、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図ることが可能になる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記オブジェクトの表面上を流れる前記液体の流れ方向と、前記仮想空間における基準方向と、が所定の関係を有するように、前記オブジェクトの向きに基づいて、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を変更するようにしてもよい。
【0019】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記オブジェクトの向きに関する条件に対応づけて、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する対応関係情報を記憶する手段から、前記オブジェクトの現在の向きが満足する前記条件に対応づけられた前記対応関係情報を取得するようにしてもよい。前記マッピング手段は、前記変更手段によって取得された前記対応関係情報に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするようにしてもよい。
【0020】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記オブジェクトの向きが所定の向きである場合の、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する基本対応関係情報を記憶する手段から前記基本対応関係情報を取得する手段と、前記オブジェクトの向きが現在の向きである場合の、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する対応関係情報を、前記オブジェクトの現在の向きと、前記基本対応関係情報と、に基づいて取得する手段と、を含むようにしてもよい。前記マッピング手段は、前記対応関係情報に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするようにしてもよい。
【0021】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きと、前記仮想空間における基準方向と、の間のずれに基づいて変更するようにしてもよい。
【0022】
また本発明の一態様では、前記オブジェクトの向きが前記仮想空間における基準方向と一致する場合において前記オブジェクトの点Aと前記テクスチャ画像の点Bとが対応づけられていると仮定すると、前記オブジェクトの向きが前記基準方向からずれている場合に前記オブジェクトの前記点Aに対応づけられる前記テクスチャ画像の点は、前記テクスチャ画像における所定の点を始点とし、かつ、前記点Bを終点とする線分を、前記始点を回転の中心として、前記オブジェクトの向きと前記基準方向との間のずれに応じた回転方向に、前記オブジェクトの向きと前記基準方向との間のずれに応じた回転角度だけ回転させた場合の前記線分の終点に設定されるようにしてもよい。
【0023】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの移動方向と、前記オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方と、前記オブジェクトの向きと、に基づいて変更するようにしてもよい。
【0024】
また本発明の一態様では、前記変更手段は、前記仮想空間における前記基準方向を、前記オブジェクトの移動方向と、前記オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方に基づいて決定する手段を含むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係るゲーム装置の機能ブロック図である。
【図3】腕テクスチャ画像の一例を示す図である。
【図4】腕オブジェクトと腕テクスチャ画像との対応関係の一例を示す図である。
【図5】升目画像について説明するための図である。
【図6】腕オブジェクトの表面上を流れる汗の流れ方向と、仮想空間における基準方向と、が所定の関係を有する場合の一例について説明するための図である。
【図7】腕オブジェクトの向きが仮想空間における基準方向とずれている場合について説明するための図である。
【図8】腕オブジェクトと腕テクスチャ画像との対応関係の他の一例を示す図である。
【図9】腕オブジェクトと腕テクスチャ画像との対応関係の変化について説明するための図である。
【図10】腕オブジェクトと腕テクスチャ画像との対応関係の変化について説明するための図である。
【図11】腕オブジェクトと腕テクスチャ画像との対応関係を腕オブジェクトの向きに基づいて変化させるためのデータの一例を説明するための図である。
【図12】各機能ブロックを実現するためにゲーム装置で実行される処理を示すフロー図である。
【図13】仮想空間の一例を示す図である。
【図14】腕オブジェクトの一部を示す図である。
【図15】腕オブジェクトの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づき詳細に説明する。本発明の実施形態に係るゲーム装置は、例えば家庭用ゲーム機(据置型ゲーム機)、携帯ゲーム機、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、又はパーソナルコンピュータ等によって実現される。ここでは、本発明の実施形態に係るゲーム装置を家庭用ゲーム機によって実現する例について説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。図1に示すゲーム装置10は、家庭用ゲーム機11、表示部32、音声出力部34、及び光ディスク36(情報記憶媒体)を含む。表示部32及び音声出力部34は家庭用ゲーム機11に接続される。例えば、家庭用テレビ受像機又は液晶ディスプレイ等が表示部32として用いられる。例えば、家庭用テレビ受像機に内蔵されたスピーカ又はヘッドホン等が音声出力部34として用いられる。
【0028】
家庭用ゲーム機11は公知のコンピュータゲームシステムである。家庭用ゲーム機11は、バス12、制御部14、主記憶16、画像処理部18、入出力処理部20、音声処理部22、光ディスクドライブ24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30を含む。
【0029】
制御部14は一又は複数のマイクロプロセッサを含む。制御部14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステムや、ハードディスク26又は光ディスク36から読み出されるプログラムに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御する処理やその他の情報処理を実行する。主記憶16は例えばRAMを含み、ハードディスク26又は光ディスク36から読み出されたプログラム及びデータが書き込まれる。主記憶16は制御部14の作業用メモリとしても用いられる。バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。
【0030】
画像処理部18はVRAMを含み、制御部14から送られる画像データに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画し、VRAM上に描画されたゲーム画面をビデオ信号に変換して所定のタイミングで表示部32に出力する。
【0031】
入出力処理部20は制御部14が音声処理部22、光ディスクドライブ24、ハードディスク26、通信インタフェース28、及びコントローラ30にアクセスするためのインタフェースである。音声処理部22はサウンドバッファを含み、ハードディスク26又は光ディスク36からサウンドバッファに読み出された音声データを音声出力部34から出力する。通信インタフェース28はインターネット等の通信ネットワークに家庭用ゲーム機11を有線又は無線接続するためのインタフェースである。
【0032】
光ディスクドライブ24は光ディスク36に記録されたプログラムやデータを読み取る。なお、ここではプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するために光ディスク36を用いるが、メモリカード等、他の情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムやデータを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。ハードディスク26は一般的なハードディスク装置(補助記憶装置)である。なお、以下で光ディスク36に記憶されることとして説明するプログラムやデータはハードディスク26に記憶されていてもよいし、家庭用ゲーム機11と通信ネットワークを介して接続される記憶装置に記憶されていてもよい。
【0033】
コントローラ30はユーザが各種ゲーム操作を行うための操作部である。家庭用ゲーム機11には複数のコントローラ30を有線又は無線接続することが可能である。入出力処理部20は一定周期毎(例えば1/60秒ごと)にコントローラ30の状態をスキャンし、そのスキャン結果を表す操作信号をバス12を介して制御部14に渡す。制御部14はその操作信号に基づいてユーザのゲーム操作を判定する。
【0034】
上記のゲーム装置10では、光ディスク36から読み出されるゲームプログラムによってゲームが実行される。例えば、ゲームキャラクタが仮想空間内で行動するゲームが実行される。より具体的には、例えば、サッカー選手を表すゲームキャラクタが仮想空間内でサッカーの試合を行うサッカーゲーム等が実行される。
【0035】
以下、上記のゲーム装置10において、仮想空間に配置されたオブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表現するための技術について説明する。特に、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図るための技術について説明する。
【0036】
ここでは、ゲームキャラクタの皮膚上を汗が流れる様子を表現する場合の例について説明する。すなわち、ゲーム装置10においても、図13に示したような仮想空間100が主記憶16に構築されることとする。先述したように、図13に示す仮想空間100は、互いに直交する3つの座標軸(Xw,Yw,Zw軸)が設定された仮想3次元空間になっている。また、図13に示す仮想空間100には、地面を表す地面オブジェクト102が配置されている。さらに、ゲームキャラクタを表すゲームキャラクタオブジェクト104が地面オブジェクト102上に配置されている。仮想空間100に配置される各オブジェクトは複数のポリゴンを含んで構成される。
【0037】
ゲームキャラクタオブジェクト104は、例えばユーザによって操作されるオブジェクトであり、ゲームキャラクタオブジェクト104はユーザの操作に従って動作する。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104はユーザの操作に従って腕を動かす。なお、ゲームキャラクタオブジェクト104はコンピュータの指示に従って動作するようにしてもよい。
【0038】
ゲームキャラクタオブジェクト104の内部には、ゲームキャラクタオブジェクト104の動作を制御するためのスケルトンが設定される。スケルトンは、複数のボーンと、ボーン同士を接続するための複数のジョイントと、を含み、階層構造を有する。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104の内部には、腕に関するスケルトンとして、「上腕」及び「前腕」等のスケルトンが設定される。「上腕」は「前腕」の上位のスケルトンである。
【0039】
各スケルトンにはゲームキャラクタオブジェクト104の一又は複数の頂点が関連づけられる。一のスケルトンを回転させた場合、そのスケルトンよりも下位の階層のスケルトンが連動する。スケルトンの状態(例えば位置や回転角度)が変化すると、そのスケルトンに関連づけられた頂点の位置が変化する。その結果として、ゲームキャラクタオブジェクト104が動作する。例えば、「上腕」を回転させた場合、「上腕」よりも下位の階層である「前腕」が「上腕」の回転に応じて動く。そして、「上腕」及び「前腕」のスケルトンの状態が変化することによって、腕オブジェクト106が動くようになり、その結果として、ゲームキャラクタオブジェクト104が腕を動かすことになる。
【0040】
また、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕を汗が流れる様子を表現するために、腕を汗が流れる様子を表すテクスチャ画像が、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106にマッピングされる。先述したように、便宜上、腕オブジェクト106は筒(円柱)状のオブジェクトであることとする(図14参照)。
【0041】
なお、仮想空間100には仮想カメラ108(視点)が設定される。そして、この仮想カメラ108から見た仮想空間100を表すゲーム画面が表示部32に表示される。
【0042】
以下、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図るための構成について説明する。図2は、ゲーム装置10で実現される機能のうち、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62の表現に関連する機能を主に示す機能ブロック図である。図2に示すように、ゲーム装置10は、記憶部40、オブジェクト更新部46、テクスチャ画像取得部48、マッピング部50、及び表示制御部54を含んでいる。記憶部40は例えば主記憶16及び光ディスク36によって実現される。その他の機能ブロックは、制御部14がプログラムを実行することによって実現される。
【0043】
まず、記憶部40について説明する。記憶部40は、仮想空間100に配置される各オブジェクトに関するデータを記憶する。例えば、仮想空間100に配置される各オブジェクトの形状を示すモデルデータが記憶部40に記憶される。また、例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104が各種動作を行う場合の姿勢変化を示すモーションデータが記憶部40に記憶される。なお、ゲームキャラクタオブジェクト104の姿勢変化はスケルトンの状態変化として示される。
【0044】
記憶部40はテクスチャ画像記憶部42を含んでいる。テクスチャ画像記憶部42は、仮想空間100に配置される各オブジェクトのためのテクスチャ画像を記憶する。例えば、テクスチャ画像記憶部42は、オブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表すためのテクスチャ画像を記憶する。本実施形態の場合、テクスチャ画像記憶部42は、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106の表面上を汗が流れる様子を表すためのテクスチャ画像(以下「腕テクスチャ画像」と記載する。)を記憶する。腕テクスチャ画像は腕オブジェクト106にマッピングされるテクスチャ画像である。
【0045】
図3は腕テクスチャ画像の一例を示している。図3に示す腕テクスチャ画像は矩形画像になっている。図3に示す腕テクスチャ画像60には、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62が描かれている。また、腕テクスチャ画像60は腕オブジェクト106の表面の色や質感等を表す役割も果たしている。つまり、腕テクスチャ画像60のうちの汗62が描かれていない領域64は、例えば、肌の色に設定されており、腕オブジェクト106の表面の色や質感等を表している。
【0046】
なお、腕テクスチャ画像60にはU軸及びV軸が設定されている。U軸は横方向に対応しており、V軸は縦方向に対応している。図3に示す例では、U軸及びV軸が腕テクスチャ画像60の左下頂点において直交している。すなわち、腕テクスチャ画像60の左下頂点がU軸及びV軸の原点に相当している。また、図3に示す例では、腕テクスチャ画像60の左下頂点及び左上頂点のU軸座標値が「0」に設定されており、右上頂点及び右下頂点のU軸座標値が「1.0」に設定されている。また、腕テクスチャ画像60の左下頂点及び右下頂点のV軸座標値が「0」に設定されており、左上頂点及び右上頂点のV軸座標値が「1.0」に設定されている。
【0047】
腕オブジェクト106における各点には腕テクスチャ画像60における点が対応づけられる。図4は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係(すなわち、腕オブジェクト106における点と腕テクスチャ画像60における点との対応関係)の一例を示している。図4では、点線で表された升目画像70が腕テクスチャ画像60に重ねて描かれている。升目画像70は腕オブジェクト106の表面上の位置を示す役割を果たしている。
【0048】
図5は升目画像70について説明するための図である。図5に示すように、升目画像70は、腕オブジェクト106の表面(筒状のオブジェクトの側面)を縦方向及び円周方向に複数に分割し、かつ、腕オブジェクト106の表面(筒状のオブジェクトの側面)を展開することによって得られる図に相当している。図5において、腕オブジェクト106の表面上の点72a,72b,72c,72d,72e,72f,72gは、升目画像70の点72a,72b,72c,72d,72e,72f,72gにそれぞれ対応している。
【0049】
図4に示す対応関係に従って腕テクスチャ画像60が腕オブジェクト106にマッピングされた場合、腕オブジェクト106は例えば図14に示すようになる。
【0050】
なお、テクスチャ画像記憶部42は、腕テクスチャ画像60とともに、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係に関するデータも記憶する。この点の詳細については後述する(例えば図11参照)。
【0051】
また、記憶部40はゲーム状況情報記憶部44を含んでいる。ゲーム状況情報記憶部44は、ゲームの現在の状況に関する各種情報を保持してなるゲーム状況データを記憶する。例えば、下記に示すような情報がゲーム状況データに保持される。
(1)ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報(例えば位置、姿勢、移動方向、移動速度、及び加速度等)
(2)仮想カメラ108の状態情報(例えば位置、視線方向、及び画角等)
【0052】
ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報には、スケルトンの現在の状態を示す情報が含まれる。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104の各部位の現在の状態は、ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報によって特定される。例えば、腕オブジェクト106の位置、向き、移動方向、移動速度、及び加速度等もゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報によって特定される。
【0053】
次に、オブジェクト更新部46について説明する。オブジェクト更新部46は、仮想空間100に配置されるオブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する。本実施形態の場合、オブジェクト更新部46は、ユーザの操作(又はコンピュータの指示)に基づいてゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報を更新する。上述したように、ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報が更新されると、ゲームキャラクタオブジェクト104の部位の状態が更新されることになる。例えば、腕オブジェクト106の位置や向き等が更新されることになる。
【0054】
テクスチャ画像取得部48について説明する。テクスチャ画像取得部48は、テクスチャ画像記憶部42に記憶されるテクスチャ画像を取得する。本実施形態の場合、テクスチャ画像取得部48は腕テクスチャ画像60(図3参照)を取得する。
【0055】
マッピング部50について説明する。マッピング部50は、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係(すなわち、オブジェクトにおける点とテクスチャ画像における点との対応関係)に基づいて、テクスチャ画像をオブジェクトにマッピングする。
【0056】
本実施形態の場合、腕テクスチャ画像60が「テクスチャ画像」に相当し、腕オブジェクト106が「オブジェクト」に相当している。すなわち、マッピング部50は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係に基づいて、腕テクスチャ画像60を腕オブジェクト106にマッピングする。
【0057】
マッピング部50は対応関係変更部52を含んでいる。対応関係変更部52は、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係(すなわち、オブジェクトにおける点とテクスチャ画像における点との対応関係)を、オブジェクトの向きに基づいて変更する。
【0058】
例えば、対応関係変更部52は、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向と、仮想空間100における基準方向と、が所定の関係を有するように、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係をオブジェクトの向きに基づいて変更する。また例えば、対応関係変更部52は、オブジェクトの向きと、仮想空間100における基準方向と、の間のずれに基づいて、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を変更する。
【0059】
上述したように、本実施形態の場合、腕テクスチャ画像60が「テクスチャ画像」に相当し、腕オブジェクト106が「オブジェクト」に相当している。このため、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を腕オブジェクト106の向きに基づいて変更する。
【0060】
例えば、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62の流れ方向と、仮想空間100における基準方向と、が所定の関係を有するように、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を腕オブジェクト106の向きに基づいて変更する。図6は、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62の流れ方向と、仮想空間100における基準方向と、が所定の関係を有する場合の一例について説明するための図である。
【0061】
「汗62の流れ方向」としては、例えば、汗62の始点80から終点82へ伸ばした方向84が用いられる。また、「仮想空間100における基準方向」とは、例えば重力方向G(Yw軸負方向)である。なお、ここでは、「仮想空間100における基準方向」は重力方向Gであることとして説明するが、「仮想空間100における基準方向」は重力方向Gでなくてもよい。「仮想空間100における基準方向」は、例えば、汗62の流れ方向として適切な方向とすればよい。
【0062】
また、「所定の関係」とは、例えば、仮想空間100における汗62の流れ方向(方向84)と、仮想空間100における基準方向(重力方向G)と、が略一致するような関係のことを意味する。言い換えれば、「所定の関係」とは、仮想空間100における汗62の流れ方向(方向84)と、仮想空間100における基準方向(重力方向G)と、がなす角度が所定の基準角度未満となるような関係である。
【0063】
図6では、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とが一致している。この場合、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を図4に示したような対応関係とする。この場合、図4に示したような対応関係に従って、腕テクスチャ画像60が腕オブジェクト106にマッピングされる。そして、その結果として、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62は図6に示すようになる。すなわち、仮想空間100における汗62の流れ方向が重力方向G(仮想空間100における基準方向)と略一致するようになる。
【0064】
ここで、図7に示すように、腕オブジェクト106の向き106aが仮想空間100における基準方向(重力方向G)とずれている場合を想定する。この場合にも、対応関係変更部52は、仮想空間100における汗62の流れ方向と、仮想空間100における基準方向(重力方向G)と、が所定の関係を有するように、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を変更する。
【0065】
この場合、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を図8に示すような対応関係に変更する。この場合、図8に示すような対応関係に従って、腕テクスチャ画像60が腕オブジェクト106にマッピングされることによって、腕オブジェクト106の表面上を流れる汗62は図7に示すようになる。すなわち、仮想空間100における汗62の流れ方向が重力方向G(仮想空間100における基準方向)と略一致するようになる。
【0066】
図9は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係の変化について説明するための図である。図9は、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とが一致している状態(図4,6参照)と、腕オブジェクト106の向き106aが仮想空間100における基準方向(重力方向G)から時計回り方向に角度θずれている状態(図7,8参照)とで、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係がどのように変化するかについて説明するための図である。
【0067】
図9において、符号70aは、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とが一致している状態(図6参照)における升目画像70(図4参照)を示している。一方、符号70bは、腕オブジェクト106の向き106aが仮想空間100における基準方向(重力方向G)から時計回り方向に角度θずれている状態(図7参照)における升目画像70(図8参照)を示している。なお図9では、便宜上、腕テクスチャ画像60及び升目画像70a,70bの外枠のみを描いている。また、点線74aは升目画像70aの中心点を通り、かつ、U軸に平行な直線を示し、点線74bは升目画像70bの中心点を通り、かつ、U軸に平行な直線を示している。
【0068】
図9において、升目画像70bは、升目画像70aにおける所定の点(腕テクスチャ画像60における所定の点)90を中心として、回転方向Drに、回転角度θaだけ回転した画像になっている。なお、図9に示す例では、升目画像70aにおける所定の点(腕テクスチャ画像60における所定の点)90が升目画像70aの中心点(腕テクスチャ画像60の中心点)になっている。
【0069】
また図9において、回転方向Drは、腕オブジェクト106の向き106aの、仮想空間100における基準方向(重力方向G)からのずれ方向に対応する方向になっている。図7に示す状態では、腕オブジェクト106の向き106aは、仮想空間100における基準方向(重力方向G)から時計回り方向にずれている。このため、図9における回転方向Drは時計回り方向になっている。なお、腕オブジェクト106の向き106aが、仮想空間100における基準方向(重力方向G)から反時計回り方向にずれているような場合、上記回転方向Drは反時計回り方向になる。
【0070】
さらに図9において、回転角度θaは、腕オブジェクト106の向き106aの、仮想空間100における基準方向(重力方向G)からのずれ角度θ(図7参照)に対応する角度になる。例えば、ずれ角度θが大きくなるほど、回転角度θaも大きくなる。
【0071】
図10も、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係の変化について説明するための図である。図10は、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とが一致している状態(図4,6参照)と、腕オブジェクト106の向き106aが仮想空間100における基準方向(重力方向G)から時計回り方向に角度θずれている状態(図7,8参照)とで、腕オブジェクト106の一の点(ここでは「点A」と記載する。)に対応づけられる腕テクスチャ画像60の点がどのように変化するかについて説明するための図である。
【0072】
図10において、点92aは、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とが一致している状態(図4,6参照)において、腕オブジェクト106の上記一の点(点A)に対応づけられる腕テクスチャ画像60の点を示している。また、線分94aは、腕テクスチャ画像60における所定の点(升目画像70aにおける所定の点)90を始点とし、かつ、点92aを終点とする線分である。
【0073】
一方、点92bは、腕オブジェクト106の向き106aが仮想空間100における基準方向(重力方向G)から時計回り方向に角度θずれている状態(図7,8参照)において、腕オブジェクト106の上記一の点(点A)に対応づけられる腕テクスチャ画像60の点を示している。図10に示すように、この点92bは、線分94aを、線分94aの始点を回転の中心として、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)との間のずれ方向(時計回り方向)に応じた回転方向Dr(時計回り方向)に、腕オブジェクト106の向き106aと仮想空間100における基準方向(重力方向G)との間のずれ角度θに応じた回転角度θaだけ回転させることによって得られる線分94bの終点になる。
【0074】
腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を上記に説明したように変化させるために、記憶部40には、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を腕オブジェクト106の向きに基づいて変化させるためのデータが記憶される。図11はこのデータの一例を示している。図11に示すデータでは、オブジェクトの向きに関する条件と、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を示す対応関係情報と、が対応づけられている。
【0075】
本実施形態の場合、「オブジェクトの向きに関する条件」とは、腕オブジェクト106の向きに関する条件である。「腕オブジェクト106の向きに関する条件」は、腕オブジェクト106の向きがどの方向を向いているかの条件であってもよいし、腕オブジェクト106の向きと仮想空間100における基準方向(重力方向G)とのずれ(ずれ方向及びずれ角度)に関する条件であってもよい。一方、「対応関係情報」とは、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を示す情報である。
【0076】
例えば、図11における「条件A」は、図6に示すような腕オブジェクト106の向き106aに対応し、「対応関係情報A」は、図4に示すような対応関係に対応する。また例えば、「条件B」は、図7に示すような腕オブジェクト106の向き106aに対応し、「対応関係情報B」は、図8に示すような対応関係に対応する。
【0077】
対応関係変更部52は、図11に示すデータに基づいて、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を変更する。すなわち、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係として、腕オブジェクト106の現在の向きが満足する条件に対応づけられた対応関係情報が示す対応関係を用いる。
【0078】
ところで、記憶部40には、オブジェクトの向きが所定の向きである場合の、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を示す情報(基本対応関係情報)のみが記憶されるようにしてもよい。例えば、本実施形態の場合、腕オブジェクト106の向きが仮想空間100における基準方向(重力方向G)と一致する場合の、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を示す対応関係情報(基本対応関係情報)のみが記憶部40に記憶されるようにしてもよい。すなわち、図4に示すような対応関係を示す対応関係情報(基本対応関係情報)のみが記憶部40に記憶されるようにしてもよい。
【0079】
この場合、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106の向きが現在の向きである場合の、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を示す対応関係情報を、腕オブジェクト106の現在の向きと、基本対応関係情報と、に基づいて取得するようにすればよい。すなわち、対応関係変更部52は、腕オブジェクト106の向きが現在の向きである場合の、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を示す対応関係情報を、腕オブジェクト106の現在の向きの、仮想空間100における基準方向(重力方向G)からのずれ(例えば、ずれ方向及びずれ角度)と、基本対応関係情報と、に基づいて取得するようにすればよい。具体的には、例えば図10を用いて説明した考え方によって、腕オブジェクト106の表面上の点に対応づけられる腕テクスチャ画像60の点を取得するようにすればよい。
【0080】
なお、例えば、図11に示すようなデータを記憶する構成を採用すれば、処理負荷の増大を抑えることが可能になる。一方、基本対応関係情報のみを記憶する構成を採用すれば、データ量の増大を抑えることが可能になる。
【0081】
表示制御部54について説明する。表示制御部54は、テクスチャ画像がマッピングされたオブジェクトが配置された仮想空間100を仮想カメラ108(視点)から見た様子を表す画像を表示部32に表示する。本実施形態の場合、表示制御部54は、腕テクスチャ画像60がマッピングされた腕オブジェクト106を含んでなるゲームキャラクタオブジェクト104が配置された仮想空間100を仮想カメラ108から見た様子を表す画像を表示部32に表示する。
【0082】
次に、以上に説明した各機能ブロックを実現するためにゲーム装置10で実行される処理について説明する。図12は、ゲーム装置10において所定時間(例えば1/60秒)ごとに実行される処理のうち、本発明に関連する処理を主に示すフロー図である。図12に示す処理を制御部14が実行することによって、以上に説明した機能ブロックが実現される。また、制御部14は光ディスク36に記憶されるプログラムに従って、図12に示す処理を実行する。
【0083】
図12に示すように、まず、制御部14(オブジェクト更新部46)は、ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報(例えば位置や姿勢等)を更新する(S101)。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104がユーザによって操作される場合、制御部14は、ユーザが行った操作に基づいて、ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報を更新する。なお例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104がコンピュータの指示に従って動作するような場合には、制御部14は、コンピュータの指示に基づいて、ゲームキャラクタオブジェクト104の状態情報を更新するようにしてもよい。
【0084】
その後、制御部14(対応関係変更部52)は、腕オブジェクト106と腕テクスチャ画像60との対応関係を示す対応関係情報を取得する(S102)。例えば、図11に示すようなデータが記憶部40(光ディスク36)に記憶される場合、制御部14は該データを参照し、腕オブジェクト106の現在の向きが満足する条件に対応づけられた対応関係情報を取得する。
【0085】
その後、制御部14はゲーム画面を更新する(S103)。すなわち、制御部14(表示制御部54)は、仮想カメラ108から見た仮想空間100を表すゲーム画面をVRAM上に生成する。なお、ゲーム画面を生成する場合、制御部14(テクスチャ画像取得部48)は腕テクスチャ画像60を読み出す。そして、制御部14(マッピング部50)は、読み出した腕テクスチャ画像60を腕オブジェクト106にステップS102で取得された対応関係情報に基づいてマッピングする。このようにしてVRAM上に生成されたゲーム画面は表示部32に表示される。そして本処理は終了する。
【0086】
以上に説明したゲーム装置10によれば、例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106の表面上を流れる汗の流れ方向が不自然であるとユーザに感じさせてしまわないように図ることが可能になる。
【0087】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0088】
(1)例えば、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係(すなわち、オブジェクトにおける点とテクスチャ画像における点との対応関係)を、オブジェクトの向きだけでなく、オブジェクトの移動方向や移動速度(又は加速度)も考慮して変更するようにしてもよい。このようにすれば、例えば、オブジェクトが移動している場合に、慣性の影響によってオブジェクトの表面上を液体が後方斜め下方向に向かって流れる様子を表現できるようになる。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104が移動している場合に、腕オブジェクト106の表面上を汗が後方斜め下方向に向かって流れる様子を表現できるようになる。以下、上記のような表現を実現する場合の構成について説明する。
【0089】
この場合、対応関係変更部52は、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を、オブジェクトの移動方向と、オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方と、オブジェクトの向きと、に基づいて変更する。
【0090】
例えば、対応関係変更部52は、重力方向Gを「仮想空間100における基準方向」として用いるのではなく、オブジェクトの移動方向と、オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方に基づいて決定される方向を「仮想空間100における基準方向」として用いる。
【0091】
例えば、対応関係変更部52は、オブジェクトの移動方向の逆方向を示す第1ベクトルと、重力方向Gを示す第2ベクトルと、を合成することによって得られる合成ベクトルが示す方向を、仮想空間100における基準方向として決定する。この場合、対応関係変更部52は、第1ベクトルの大きさをオブジェクトの移動速度に対応する大きさに設定し、第2ベクトルの大きさを所定の大きさに設定するようにすればよい。または、対応関係変更部52は、第1ベクトルの大きさをオブジェクトの加速度に対応する大きさに設定し、第2ベクトルの大きさを重力加速度に対応する大きさに設定するようにしてもよい。
【0092】
このようにすれば、上記の合成ベクトルが示す方向がオブジェクトの移動方向とオブジェクトの移動速度(又は加速度)とに応じて変化するようになり、その結果として、仮想空間100における基準方向がオブジェクトの移動方向とオブジェクトの移動速度(又は加速度)とに応じて変化することになる。
【0093】
なお、対応関係変更部52は、第1ベクトル及び第2ベクトルの大きさを同じ大きさに設定するようにしてもよい。この場合、上記の合成ベクトルが示す方向がオブジェクトの移動方向に応じて変化するようになり、その結果として、仮想空間100における基準方向がオブジェクトの移動方向に応じて変化することになる。
【0094】
対応関係変更部52は、上記のようにして決定された仮想空間100における基準方向と、オブジェクトの向きと、に基づいて、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を変更する。例えば、対応関係変更部52は、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向と、上記のようにして決定された仮想空間100における基準方向と、が所定の関係を有するように(例えば、液体の流れ方向と基準方向とが一致するように)、オブジェクトとテクスチャ画像との対応関係を変更する。
【0095】
以上のようにすれば、オブジェクトの表面上を流れる液体の流れ方向がオブジェクトの移動方向(及びオブジェクトの移動速度又は加速度)に応じて変化する様子を表現できるようになる。例えば、オブジェクトが移動している場合に、慣性の影響によってオブジェクトの表面上を液体が後方斜め下方向に向かって流れる様子を表現できるようになる。
【0096】
(2)また、本発明は、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106の表面上を汗が流れる様子を表現する場合以外にも適用することができる。例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106の表面上を汗以外の液体(例えば血)が流れる様子を表現する場合にも本発明は適用することができる。また例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104の腕オブジェクト106以外の部位(例えば脚オブジェクト)の表面上を液体が流れる様子を表現する場合にも本発明は適用することができる。さらに例えば、ゲームキャラクタオブジェクト104以外のオブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表現する場合にも本発明は適用することができる。本発明は、オブジェクトの表面上を液体が流れる様子を表現する場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 制御部、16 主記憶、18 画像処理部、20 入出力処理部、22 音声処理部、24 光ディスク読み取り部、26 ハードディスク、28 通信インタフェース、30 コントローラ、32 表示部、34 音声出力部、36 光ディスク、40 記憶部、42 テクスチャ画像記憶部、44 ゲーム状況情報記憶部、46 オブジェクト更新部、48 テクスチャ画像取得部、50 マッピング部、52 対応関係変更部、54 表示制御部、60 腕テクスチャ画像、62 汗、70,70a,70b 升目画像、100 仮想空間、102 地面オブジェクト、104 ゲームキャラクタオブジェクト、106 腕オブジェクト、108 仮想カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置において、
前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新手段と、
前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得手段と、
前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピング手段と、
前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御手段と、
を含み、
前記マッピング手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更手段を含む、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、前記オブジェクトの表面上を流れる前記液体の流れ方向と、前記仮想空間における基準方向と、が所定の関係を有するように、前記オブジェクトの向きに基づいて、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を変更することを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、前記オブジェクトの向きに関する条件に対応づけて、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する対応関係情報を記憶する手段から、前記オブジェクトの現在の向きが満足する前記条件に対応づけられた前記対応関係情報を取得し、
前記マッピング手段は、前記変更手段によって取得された前記対応関係情報に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングする、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、
前記オブジェクトの向きが所定の向きである場合の、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する基本対応関係情報を記憶する手段から前記基本対応関係情報を取得する手段と、
前記オブジェクトの向きが現在の向きである場合の、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係に関する対応関係情報を、前記オブジェクトの現在の向きと、前記基本対応関係情報と、に基づいて取得する手段と、を含み、
前記マッピング手段は、前記対応関係情報に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングする、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きと、前記仮想空間における基準方向と、の間のずれに基づいて変更することを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記オブジェクトの向きが前記仮想空間における基準方向と一致する場合において前記オブジェクトの点Aと前記テクスチャ画像の点Bとが対応づけられていると仮定すると、前記オブジェクトの向きが前記基準方向からずれている場合に前記オブジェクトの前記点Aに対応づけられる前記テクスチャ画像の点は、前記テクスチャ画像における所定の点を始点とし、かつ、前記点Bを終点とする線分を、前記始点を回転の中心として、前記オブジェクトの向きと前記基準方向との間のずれに応じた回転方向に、前記オブジェクトの向きと前記基準方向との間のずれに応じた回転角度だけ回転させた場合の前記線分の終点に設定されることを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの移動方向と、前記オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方と、前記オブジェクトの向きと、に基づいて変更することを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項2,5,6のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記変更手段は、前記仮想空間における前記基準方向を、前記オブジェクトの移動方向と、前記オブジェクトの移動速度又は加速度と、の少なくとも一方に基づいて決定する手段を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
オブジェクトが配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置の制御方法において、
前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得ステップと、
前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新ステップと、
前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピングステップと、
前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御ステップと、
を含み、
前記マッピングステップは、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更ステップを含む、
ことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項10】
オブジェクトに配置された仮想空間を視点から見た様子を表す画像を表示手段に表示するゲーム装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記オブジェクトの表面上を流れる液体を表すテクスチャ画像を記憶する手段に記憶される前記テクスチャ画像を取得する取得手段、
前記仮想空間に配置される前記オブジェクトの向きをゲーム処理に基づいて更新する更新手段、
前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との対応関係に基づいて、前記テクスチャ画像を前記オブジェクトにマッピングするマッピング手段、及び、
前記テクスチャ画像がマッピングされた前記オブジェクトが配置された前記仮想空間を前記視点から見た様子を表す前記画像を前記表示手段に表示する表示制御手段、
として前記コンピュータを機能させ、
前記マッピング手段は、前記オブジェクトにおける点と前記テクスチャ画像における点との前記対応関係を、前記オブジェクトの向きに基づいて変更する変更手段を含む、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−73961(P2012−73961A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219984(P2010−219984)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】